【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】 作:ドン・ドナシアン
ここは、褐色エルフの里の外れにあるトーラスの家だ。
「ほら、これでいいか? じゃあ、頼むよ」
厨房で料理の支度を始めていた女たちのところに行くと、一郎は亜空間から鯉のような魚を二匹取り出して渡した。
今日の当番は、コゼとマーズだ。
ふたりはもう厨房に立っていて、ロウは、イライジャとともにやってきたところだ。
厨房には、ほかにこの屋敷の下女のメイがいる。
メイは、厨房の使い方について、コゼたちに教授をしている。
ほかの女は、とりあえず、一泊するための荷を馬車から客間に移動させて寝床の確保中だ。
「これが魚というものですか。初めて見ました」
メイが感心したように言った。
今日の夕食の料理として、魚を選んだのは、この褐色エルフの里では、そもそも魚そのものが滅多に手に入らないということを教えられたからだ。
この辺りのエルフの里は、あまり流通が発達しておらず、食材になるような大きな魚が取れるような川がないので、魚が食材となることはない。
流通があったとしても、腐りやすい魚をここまで運んでくるのは、魔道でも使わない限り難しく、魔道を遣うとなれば、当然に高価なものになる。
だから、このナタルの森では、魚そのものが高級食材なのだ。
だが、一郎が運んできた魚は、まだハロンドール内にいるときに、ある河沿いの宿場町で仕入れたものであり、その場所では庶民の口に入るような安価なものだ。
あれから一箇月近くが過ぎていると思うが、買い溜めした樽の中から、たったいま取り出した魚は、買ったときと同じに新鮮なものである。
それを可能としているのが、一郎の亜空間の能力だ。
「本当に便利ね。あなたの亜空間収納……」
一郎の横にいるイライジャが感嘆したように言った。
もともとは、雌妖魔のサキから賦与された能力なのだが、一郎はこの空間に、どんなものでも収納して、しかも時間をまったく経過しないようにさせることができる。
アネルザの
それだけではなく、淫具もすぐに出せるし、支配している女限定だが、女が身につけている服を瞬時に収納して、素っ裸にすることができる。
身に着けている服や装備しているものだけを術で亜空間に収納することは、高位魔道遣いでもできないそうだ。
とにかく、この旅でも、大きな荷や新鮮な食材、飲み水などを大量に亜空間に持ち込んでいる。
食材については、旅の途中で仕入れもしているし、まあ、旅の食べるものや飲むもので困ることはない。
そうやって、一箇月半以上の旅をして、ユイナの競りに参加をするために、はるばるとここまでやって来た一郎たちだったが、到着してみると、そのユイナは一箇月前に、監禁されていた里の塔から脱走してしまっていたことを教えられた。
競りは中止である。
とりあえず、一郎たちは、ユイナの祖父であって、この事件が起きる前までは、
すると、突然に土下座をされて、ユイナを助けてくれと頼まれた。
どうやら、今回のユイナの脱走にはなにか裏があり、しかも、トーラスがなにかを知っている気配だったが、まだ話は聞いていない。
おそらく、このあと、話をするつもりだと思う。
トーラスからは、一郎とイライジャだけが、食事前にトーラスの私室に来てくれと声をかけられている。
それで、このあと、そのまま向かうことになっている。
「物だけじゃなく、生きている人間でも運ぶことができるの?」
イライジャが訊ねた。
一郎たちは、厨房から少し離れて立ったままだ。
料理をしていて不足している食材があれば出さないとならないので、少しのあいだ、調理を眺めているところだ。
しばらくすれば、ふたりでトーラスのところに行くつもりだ。
「まあできるよ……。でも、本来は運搬するための能力じゃないのさ。遊ぶための能力なんだ。プレイのための場所さ」
一郎は言ったが、よく考えれば、運搬するための能力を一郎がプレイのために使っているのかもしれない。
だが、亜空間に入っているあいだは、時間は存在していながら、時間経過がないので、この中でいくらでも遊んでから、亜空間に入った直後の時間に戻ることもできる。
また、逆に外の時間と同じ時間を経過してから、元の場所に戻ることも可能だ。
本当に、亜空間内は、一郎の意思によって時間を自由自在に管理できる。
食材や水が腐らないのは、その性質を利用しているからだ。
便利なものだ。
一郎はイライジャにそう説明した。
この能力で、王都にいるときには、本来は忙しいイザベラの侍女たちとの全員と逢瀬を毎日愉しんだ。
そういえば、あいつら、どうしてるだろう。
「へえ、じゃあ、しまっている食材と同じように、人も、あなたの作る特殊な場所に隠れていて、それであなたの意思で、どこにでも出現することができるということね。すごい力だわ」
イライジャは感動したように言った。
人を運ぶことができるというところだけは反応し、「プレイ」の部分は意図的に聞き流したようだ。
まあ、いいか……。
「まあ、だけど、どこにでもというわけにはいかないね。あくまでも、俺の能力だから、俺以外の者については、亜空間に入って、俺が自由に出現させるということができるけど、それは、俺がいる位置からしか出現できない」
「そうなの?」
「うん……。それから、俺自身が亜空間に入った場合は、亜空間と現実世界を再び繋げられるのは、入った瞬間の場所だけなんだ。ほかにもある。亜空間に入り込めるのは、俺の女だけだ。誰でもというわけにはいかない」
まあ、必ずしも女でなくても、顔に精液を擦りつけたりして、淫魔師の結びつきを作れば、一時的には連れ込むこともできると思うが、面倒なので説明は省いた。
「制限があるということね。もしも、誰かが亜空間に入って、そのあいだに、あなたが意識を失ったり、眠ったりしたらどうなるの?」
「前に試したんだけどね、その場合は、亜空間に入りっぱなしなる。但し、死んだときにはわからない。多分、死んだら、その場で現実空間側に出てしまうと思うんだけど、こればかりは、試すわけにはいかないしね」
一郎は白い歯を見せた。
「ふうん……。それでも、さまざまな作戦に応用できそうね」
イライジャは感心したように、しきりに頷いている。
そのとき、厨房にいたメイが、一度トーラスの様子を確認すると口にして、離れていった。
コゼがとことこと厨房から、ここまでやって来る。
「ねえ、ご主人様、あの魚どんな料理にしたいですか? やっぱり、いつか教えてもらった刺身というものにします?」
前に屋敷でどんな料理が好きかと訊ねられたことがあったので、そのときに一郎は、魚を捌く刺身料理について教えたのだ。
だから、器用なコゼは、上手に魚を捌くことができる。
醤油についても、前にマアが海の向こうから調達してくれた似たものが、亜空間の中にある。
そういえば、そのマアは、一郎たちが王都から出立する直前に、タリオに一時帰国したままだ。
もともと、マアはタリオ公国の女豪商であり、独立した商会の会長とはいえ、タリオ大公の強引な帰国命令には逆らうことができなかったのだ。突然にタリオからやってきていた自由流通商会をハロンドールから引きあげさせたのは、あのアーサーの嫌がらせには違いないが、マアはこれを機会に、公国と商会との繋がりを断ち切って独立性を確保し、もう一度ハロンドール王国に戻って来るつもりでいる。
マアはやる気満々だったし、ハロンドール王国に戻ることだけについては、数箇月以内に達成したいと口にしていた。
このクエストで、一郎が王都を出てしまったので連絡の取りようもないが、一郎のために金にものを言わせ、一郎が喜ぶ料理を準備したり、専用温泉を作ったりと、実に健気な女だった。
一郎たちが王都に戻った頃には、マアと再会できると信じたい。
ところで、実のところ、一郎の女たちの中で、屋敷妖精のシルキーを除けば、一番料理が上手いのはコゼであり、次いでマーズだ。
奴隷あがりのふたりは、なんだかんだと料理をする経験も多かったようであり、普通に料理をする。
ここにはいない、アンの侍女のノヴァも上手だ。
スクルズとベルズも同様に料理はする。
料理のようなことも修行時代にひと通り学ぶようだ。
ただ、スクルズもベルズも、いまは高位巫女になったので、料理をする機会はないようだ。
また、なによりも、イザベラ侍女団の中のデセオの料理は絶品だ。彼女は、一郎の淫魔師の恩恵で、料理人のレベルが“30”レベルになっていて、その料理の味は神がかり的な美味しさだ。
また、ミランダも料理くらいはすると言っていた気がする。
そういえば、みんな元気だろうか。
一方でまったくしないのは、貴族女のシャングリアだ。アネルザやイザベラも当然やらない。シャーラもだめだ。
また、エリカもほとんどしない。
エリカ本人は、料理をちゃんとやっているつもりのようだが、彼女の料理は実に大雑把なのだ。
食材となる獲物を捌いて、肉を焼き、せいぜい塩をかけるという程度であり、いわゆる野外料理の域を越えない。
それについては、人妻だったイライジャも大差なく、おそらく、料理の習慣と技術というのは、人間族とエルフ族の本質的な差なのではないかと思う。
そして、いまふと思いついた。
イライジャを一度亜空間に連れていこう……。
亜空間については、説明するよりも、実体験する方が早い。それに、少し試してみたいことがあるのだ。
一郎の淫魔術で、どのくらい女を操心状態、すなわち、暗示にかけられるのかという実験だ。
これがうまくいけば、亜空間を使ったプレイに大きな幅が生まれる。
「一匹は刺身は作って欲しいな。好きなんだ。もう一匹は任せるよ」
「香草と一緒に煮てもいいでしょうか?」
「そうだなあ……」
一郎は目の前のコゼに応じながら、イライジャに視線を向けた。
「ところで、イライジャ、さっきの亜空間のことだけど、一度体験するといい。問題ない。一瞬後に戻れる」
「えっ?」
すると、イライジャがぎょっとした表情になった。
「だから、体験してみようよ。ついでに、操心術の実験もさせてもらえるかな。心を操って、記憶を消して、暗示をかけさせてもらう。まあ、ちょっとした“ぷれい”だね」
実際にはイライジャは体験しているが、冒険者ギルドで再会したとき、みんなで話しているうちに眠ってしまったイライジャを運んだだけなので、イライジャには亜空間の記憶はないだろう。
それに、ちょっとした思いつきが頭に浮かんだのだ。
「ちょ、ちょっと、待ってよ──」
一郎が口にした「操心術」という単語に不穏なものを感じたのが、イライジャが不審顔になる。
そして、慌てたように、イライジャが拒絶の言葉を口にしようとしたのがわかった。
だが、もう遅い。
一郎はイライジャを亜空間に放り込み、自分自身も亜空間の中に入っていった。
*
「えっ?」
はっとした。
イライジャは気がつくと、見知らぬ部屋の中にいた。
いや、真っ白い世界だ。
それ以外になにもない。
そして、はっとした。なにも思い出せないのだ。どうして、こんなところにいるのだろう?
なにもわからない。
「いい姿になったよ。さすがのイライジャも、これでもうおしまいだね」
男の声がした。
くすくすと笑っている。
目の前に立っているのは、黒髪の男だ。年齢は三十歳は越えているだろう。一見して武術の心得はないのはわかる。だが、不思議な風格と世慣れているような凄みを感じる。
会ったことがあるような気がするが、どうしても思い出せない。
「うわあっ、きゃああ──」
だが、次の瞬間、我に返って絶叫した。
イライジャは素っ裸だった。
しかも、両手両脚を大きく拡げて、部屋の真ん中に突っ立っている。身体の両脇に二本の柱が立つ拘束台があり、イライジャは素っ裸になって四肢を拡げて拘束されていた。
その男はそのイライジャの裸を眺めながらにやにやとしているのだ。
「ちょっ、ちょっと――。いやっ」
慌てて身体を隠そうとしたが、手首と足首に革枷が嵌められていて、その革枷で左右の柱に繋げられていて、びくともしない。
まったく身動きできないのど。
想像もできないような絶体絶命の状況に、イライジャは背中に冷たい汗が流れるのを感じた。
「とりあえず、二、三回、気をやってもらおうかな……。抵抗しても無駄だよ……。そうだねえ……。俺は悪者だ。名前はロウ……。女を洗脳して自分の性奴隷にする卑劣漢だ。イライジャはあるクエストで、仲間と俺を捕らえようとしたけど、逆に捕まえられた……。そういうことにしようか」
男が静かに言った。
その瞬間、イライジャの頭に、いま男が口にした通りの記憶が甦った。
そして、どういう状況なのかを思い出した。
この男の名はロウだ。
おかしな術で女を洗脳しては、自分の性奴隷にしている卑劣男であり、イライジャは、このロウの悪事の証拠を掴むというクエストを受けて、数名の冒険者と組んで、こいつの身の回りを探っている最中だった。
だが、逆に捕らえられて、こうやって監禁されてしまったのだった。
「な、仲間は……?」
仲間はどうなったのだろう――?
思い出せない……。
なぜ、思い出せないのか……。
「仲間とははぐれたよ。戻ってくる望みもない。そもそも、イライジャが捕らわれたことにも気がついてないからね」
ロウが言った。
すると、仲間の冒険者とはぐれたという記憶がやってきた。おそらく、イライジャがロウに捕らわれたことにも気がついてないかもしれない。そんな気がしてきた。絶望がイライジャを襲う。
とにかく、いまは、このロウとイライジャのふたりきりだ。
魔道は……?
駄目だ。魔道も遣えない。そもそも、イライジャはこの危機を脱するのに役に立つような魔道は遣えない。
「ち、畜生──。こ、こんなことをしてただでおかないからね──。このけだもの──」
イライジャは逆上して啖呵を切った。
もっとも、こうなってしまえば、どうしていいかわからない。
ロウはちょっと動じた素振りをしたが、すぐに笑顔に戻る。
「おお、凄いねえ……。イライジャの敵になると、こんな風に怒鳴られるのか……。じゃあ、とりあえず、じゃじゃ馬ならしといこうかな」
ロウがイライジャの裸身に近寄ってきた。
そして、すっとイライジャの下腹部に手を伸ばして、太腿をくすぐるように手のひらで撫ぜ始める。
「うっ」
その瞬間、電撃のような快感が迸り、イライジャはびっくりして歯を喰い縛った。
「案外に感じやすいね……。それとも、こうやって拘束されて苛められるのが好きなのかな?」
ロウの手が、すっすっと太腿から股間を動く。
挑発するようなロウの言葉にかっとなる。
「んふうっ」
しかし、次の瞬間、ロウの愛撫に襲いかかられて、口から声が迸り、身体が前後に跳ねた。
なんという愛撫だ。
それほどの刺激とも思えないのに、ロウがイライジャに触れると、それだけで、全身が脱力するほどの甘美感に襲われるのだ。
だが、こんな女を操って弄ぶような卑劣漢に身体を自由にされるなど、血を吐くような屈辱だった。
「こ、この仕返しは……。あ、ああっ、いやっ」
声を出すまいと必死で口をつぐんでいたのだが、悪態をつこうと思って、口を開いたところを狙い定めるように肉芽を弄られたのだ。
イライジャは大きな声をあげてしまった。
ロウがけらけらと笑う。
かっと羞恥と怒りが全身を駆け巡る。
「まあ、固くなるなよ、イライジャ。こうなったら、愉しまなきゃ損というものさ。じゃあ、乳揉みをしてみる?」
すると、ロウが後ろに回って、二本の手をすっと乳房に伸ばしてきた。
「ひんっ」
イライジャは悲鳴をあげてしまった。
ぐにゃぐにゃと胸を揉まれて、乳房が溶けるような快感に襲われる。
「はあああっ」
イライジャは全身をのたうたせた。
もう思考ができない。
片手が股間に移動して、ゆっくりとクリトリスや股の亀裂に指が這う。
ねちっこい乳房への愛撫と股間への責め……。
イライジャは、もう声を耐えられなくなり、甘い声をあげて火照りきった顔を左右に激しく振った。
「ああ、ち、畜生……。口惜しい──」
イライジャは喘ぎ声をあげて呻いた。
恐ろしいほどの性の技だった。
あっという間に、イライジャは追い詰められる。こんなにも簡単に感じてしまうなど、とても信じられない。
胸と股間をちっこく責められる。
イライジャは狂乱状態になった。
どんどんと快感が競りあがる。
なにもできない……。
圧倒的に甘美感……。
イライジャは、ただただ身体を悶えさせて、裸身をのたうたせるしかなかった。
「さて、じゃあ、目隠ししようか。快感が飛び抜けるぞ……」
背後のロウが呟いた気がした。
すると、目の上になにかが出現して、イライジャの視界を塞いだ。
「ああっ」
視界が消え、それだけで快感が飛翔した。ロウの手がさっと離れる。
安堵感よりも、恐怖が襲う。
どこをどう責められるのか、わからないからだ。
すると、ロウがいつの間にかイライジャの前に移動していて、両脇に手を伸ばして、いきなりくすぐり始めた。
「ひいっ、ひいっ、ひいっ、や、やめっ、やめてええっ──」
信じられないくらいのくすぐったさが襲った。
イライジャは無理矢理に笑い声を引き出される。
「くすぐりながらの愛撫っていうのが、結構効くんだよね。やってみようか?」
ロウがいやらしく指を脇に動かしながら言った。
両方の太腿と胸になにかが乗る感覚が襲う。
なに?
粘性体?
そういうねっとりとした柔らかいものだ。
だが、それがまるで人の手のようにイライジャの身体を揉みほぐしだす。
「ああ、いやっ、あはっ、ああっ」
なにが起きているかわからない。
さらに、さっきの得体の知れないものが、お尻にも伸びる。
そして、脇をくすぐる手は刷毛のようなものに変わる。
「あはあっ、んふふふっ、んぐううう、いやあああ」
まるで、三人がかりのような愛撫とくすぐりに、イライジャはもうどうしようもなくなった。
腰から背中にかけて、じんと切なくて鋭い快感が貫き、イライジャは全身を発作のように激しく震わせた。
「ああああっ」
そして、イライジャは四肢を拡げたまま、大きな悲鳴をあげて絶頂を極めた。
がくがくと、素っ裸を二度、三度と激しく震わせる。
「さっそく、いったね。でも、まだまだ、終わらないよ」
ロウが酷薄に言った。
こんな男の前で呆気なく果てたのかと思うと、かっと屈辱が込みあがったが、さらに次の汚辱がイライジャに襲いかかった。
背後から愛撫している物体がイライジャのお尻の穴にゆっくりと沈み始めたのだ。
触手――?
そうとしか思えなかった。
しかも二本――。
潤滑油でも塗っているのか、それ程の抵抗もなく、イライジャは、深々と二本の触手もどきをお尻の奥まで受け入れさせられた。
そして、内部をくねくねと二本の触手で弄られる。
「ひいい、んくくうっ、うああっ」
すると、疼くような快感が沸き起こって、イライジャに名状のできない汚辱感と羞恥心が駆け巡った。
口惜しいが信じられないほどの快感が全身を席巻する。
「俺の手と粘性体から快感を逃げるのは不可能だよ。ほらっ。粘性体は手のようにも動かせるし、触手にもできる。固さも形も動きも、肌触りさえも自由自在さ」
ロウの言葉が終わると同時に、胸を刺激しているものが、まさに人の手の感触になり、乳房を揉みだす。しかも、指で挟むようにして、乳首もくりくりと動かされる。
股間の刺激は、柔らかい筆のようなものを感じさせる刺激になった。
とにかく、大津波のような激しい快楽に、イライジャの意識は完全に飲み込まれる。
それにしても、粘性体?
そのとき、脇のくすぐりがやっとなくなった。そして、前側からロウがイライジャの秘部にゆっくりと怒張を埋め込んできていたのがわかった。
「ああっ、だめえええ、いくううう」
イライジャはつんざくような悲鳴をあげて悶えた。
あっという間に奥まで貫かれた。
ますます痺れが大きくなる。
そして、律動が始める。
すると、この世のものとも思えないほどの、凄まじい快感が襲いかかり、イライジャはただただ悶え泣くしなかった。
そして、ついに絶頂してしまった。
「すごいね、イライジャ。だけど、まだ終わらないよ」
律動は続く。
胸やお尻への愛撫もそのままだ。
すぐに、二度目の快感の飛翔がやってきた。
「んはあああ、やめてええ、あああっ」
イライジャは心の底から悲鳴をあげた。
前後からふたつの穴を犯されるという衝撃もそうだが、それによって沸き起こった、妖しい自分の被虐の快感をはっきりと自覚したからだ。
「あああっ、だめええ、ああああっ」
ロウがゆっくりとイライジャを犯し続ける。
イライジャが二度目の絶頂をするのに、いくらの時間もかからなかった。
「も、もう許してええ──。せ、せめて、少し休ませてえ──。あはああっ」
イライジャは、続けざまの二度目の絶頂をさせたにも関わらず、イライジャを解放する気配さえも見せないロウに、もう恥も外聞なく哀願した。
すぐに三度目が襲ってきた。
しかし、ロウは許してくれない。
再びイライジャを絶頂に押しあげにかかる。
やがて、イライジャは完全に絶頂の大波の上に載せられた。
前からの律動と後ろからの刺激、そして、乳房の愛撫が続く。なによりも、視界がないことで、全身が敏感になりすぎている。
「いぐうううっ」
ついに、イライジャは、三度目となる絶頂をしてしまった。
一番深い絶頂だ。
しかも長い――。
イライジャは、拘束された身体を電撃でも浴びせられたように痙攣させた。
そのとき、前に挿入されているロウの怒張も熱さを帯び、心なしか太さを増したような気がした。
ロウの腰がくいくいと動いたのがわかった。
「ああ……」
精を放たれた。
イライジャは、がっくりと脱力してしまった。
「おっ?」
すると、ロウが戸惑うような声をあげた。しかし、その口調の中に、ちょっと面白がるような響きが混じっている。
「あっ」
イライジャも、どうしてロウがそんな反応をしたのかわかった。
脱力したときに力を抜き過ぎたのか、イライジャはじょろじょろとおしっこを漏らしてしまったのだ。
当然に前にいるロウの下半身に、イライジャの尿が当たる感覚があった。
「ああ、ご、ごめん、ごめんなさい……」
イライジャは狼狽の声をあげた。
ロウが笑いながらイライジャから一物を抜いて離れる。
しかし、イライジャは迸りだしたおしっこをとめることもできずに、ただただ、流れ出る放尿に放心するしかなかった。
「まあ、こんなところかな……。結構、操り術もいけるんだなあ。これなら、いろいろな愉しみ方ができそうかな」
やっとおしっこがとまる。
それを待つように、ロウがそう言った。
だが、言い返す余裕もなく、なにかを口に押し込まれた。
どろりとした液体が口の中に入っていく。
なにかを飲まされたとわかったのは、それをすっかりと飲み込んでしまってからだ。
「げほっ、げほっ、げほっ」
イライジャは咳込んだ。
ロウが持っていたのは小瓶だ。
どうやら、そこになにかの薬液のようなものが入っていたのだと思う。
しかし、すでに全部の液体がイライジャのお腹に入ってしまった。
「な、なにを飲ませたのよ……?」
イライジャは言った。
だが、ロウは笑った。
「心配しなくてもいい。毒じゃない。むしろ、逆だよ。毒消しだ。これをあらかじめ飲んでおくと、間違って、毒を飲んでも大事に至ることはない……。まあ、念のためにね。こんなことだと思うんだよね。勘だけど……」
毒消し……?
なんのために……。
疑念が沸き起こる。
しかし、そんなことを言いながら、きっと得体のしれない媚薬でも飲ませたに決まっている。
この男はそういう男だ。
あるいは、なにかの洗脳剤か……。
「……ところで、メイのことだけど……」
ロウが近寄ってきて、耳打ちした。
イライジャは、意味がわからずに眉をひそめた。
目の前が真っ白になった。
*
「えっ?」
気がつくとイライジャは、床の上にしゃがみ込んでいた。
一瞬、状況を理解することができなかったが、すぐに、ここが褐色エルフの里であり、トーラスの屋敷内だとわかった。
はっとした。
だが、服は着ていた。
しかし、髪は乱れている感じだし、なによりも腰が抜けたみたいになっている。
また、よく見れば、身につけているものを服もかなり乱れている。
イライジャが自分で着たのではなく、ロウに着させてもらった?
「……ほら、おマアからもらった“ソイの汁”だ。亜空間から持ってきた。刺身にする側に使ってくれ。それと、残りの一匹はコゼの提案でいいよ。任せるし、愉しみにしている」
ロウがコゼにそう言って、調味料の瓶を渡している。
あれは、“ソイの汁”という調味料らしい。ロウは“しょうゆ”とも呼んでいた。
この旅のあいだでも、何度か刺身という食べ物を口にしたことがあったから、イライジャも知っている。
「わかりました、ご主人様……。ところで、いま一瞬、ご主人様とイライジャの姿がぶれたように見えたんですけど、亜空間に行ったんですか?」
コゼが訊ねた。
一瞬?
イライジャは、コゼの言葉を訝しんだ。
それにしても……。
さっきまでのは……?
夢……?
亜空間……?
だが、亜空間内の出来事と記憶が、いまのイライジャの意識と結びついていく。
だんだんと、理解が追いついてきた。
直前まで亜空間の話をしていて……。
そして、ロウが体験してみようと話……。
そのとき、操心術を試すとか、なんとか……。
やっとわかってきた。
とにかく、あそこに連れ込まれていたとき、イライジャはイライジャであって、イライジャではなかった。イライジャは、たったいままで、心の底からロウのことを嫌悪していた。
だが、本来は、いまさら、ロウの悪戯をあんなに憎しみとともに屈辱を覚えることはない。
つまり、操り術か――。
偽物の記憶と、おかしな暗示に……。
つまり、イライジャは、ロウから亜空間とやらに連れていかれただけでなく、操り術で、おかしな暗示をかけられたのだとわかった。
しかも、それなりの時間を犯されたと思ったが、亜空間に意識が飛ぶ瞬間にコゼが料理のことをロウに訊ねていて、その状況から一瞬しか経っていないらしい。
「まあな。体験してもらったんだ。亜空間のことを訊ねられたからな」
「それで、座り込んでるのね。ご主人様に可愛がってもらったの、イライジャ? 気持ちよかった? まあ、その感じだと聞くまでもないか」
コゼがけらけらと笑った。
そのあいだも、だんだんと冷静になっていく。
すると、次第に、かっと怒りも込みあがってもきた。
「あ、あんた、悪趣味よ、ロウ──。記憶をいじるなんて――」
イライジャは立ちあがって、ロウに詰め寄ろうとした。
だが、腰をあげようとして、力が抜けて尻もちをついてしまった。
身体に犯されたときのままの身体の火照りと絶頂の余韻が残っている。
腰に力が入らないのだ。
それでわかったが、服は着させられたみたいだが、下着を身につけていない。イライジャはスカートを両手で押さえた。
「どうしたか、イライジャ?」
ロウが笑ってる。
ズボンのポケットからイライジャの下着らしきものをちらりと出した。
まったく、この男は……。
「ねえ、大丈夫、イライジャ?」
コゼが声をかけた。
「別にどうってことないさ。いつものことさ」
ロウが笑った。
次の瞬間、さっとロウとコゼの姿が目の前から消滅した。
驚いたが、またもや、ロウが亜空間に消えたのだとわかった。今度はコゼを連れ込んだのだろう。
しかし、数瞬後には、ふたりが戻ってきた。
だが、にこにことしているロウに対して、コゼは現われるや否や、イライジャ同様にしゃがみ込んでしまった。
しかも、コゼはたっぷりと汗をかいていて、顔も赤い。イライジャと同じように肩で息をしている。
イライジャは、コゼもまた、さっきのイライジャと同じようなことをされたのだと思った。
「……ああいいうのも、刺激があっていいだろう、コゼ? 市街地の真ん中と思ったかもしれないけど、実際にはいつものなにもない白い空間の亜空間だ。だけど、ただの暗示であって、いまのは亜空間と操り術の併用のぷれいだ」
一郎が笑った。
「ひゃ、ひゃい……」
コゼはまだ舌が回っていないようだ。
イライジャは鼻白んだ。
ロウは、コゼもまた、おかしな暗示をかけて抱いたのだろう。
いずれにしても、ロウが亜空間に女を連れ込むということがどういうことかわかった。
「ほら、ふたりとも」
一郎が声をかける。
すると、抜けていた腰に力が入った。性交の余韻による怠さも一気に晴れる。
一郎の仕業みたいだ。
相変わらず、不思議な能力を次々に使う……。
「……どうかしましたか、皆様?」
そのとき、声がした。
イライジャは慌てて立ちあげる。コゼも立った。
メイだ。
そして、そのことで、イライジャは、亜空間の中でロウがイライジャに口にしたことを思い出した。
我に返る……。
本当──?
思わず、見入ってしまう。
「……なんでもないですよ、メイちゃん。もしかして、そろそろ、トーラスさんが呼んでるかい?」
ロウが微笑みながら言った。
メイが大きく頷いた。
「じゃあ、行こうか、イライジャ……。それと、コゼ、さっきのこと頼むな。全員によろしく」
ロウがコゼに声をかけた。
コゼは、イライジャが亜空間の中で飲まされた毒消しだとかいう小瓶を四本ほど持っていることに気がついた。
はっとしたように、コゼが大きく頷くのがわかった。