※この作品はR-18です。

【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】   作:ドン・ドナシアン

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340 王様遊戯(げーむ)

「それじゃあ、王様ゲーム──。はい、拍手──」

 

 陽気に声をあげたロウに対して、ロウの女たちが訝しむ様子を示しながら、まばらな拍手をした。

 夕食の席だ。

 「メイ」はそれを見守っていた。

 

 結局のところ、食事の支度はロウの女たちがやり、彼女たちが準備をしたのは、ロウが不思議な術で保管をしていたという魚を使った料理であり、その魚を香草とともに煮た料理と、“さしみ”と呼ぶらしい魚の生肉だ。

 もちろん、そんなものに「メイ」も接するのは初めてだが、煮魚はともかく、魚の生肉については「メイ」も欲しいとは思わない。

 

 いずれにしても、「メイ」の役割はここで食事をしている彼らの給仕だ。

 ロウやロウの女たちからは、かなりしつこく、一緒に食事をしようと誘われたが「メイ」は拒絶した。

 「メイ」は下女であり、給仕だ。

 一緒に食事をするなどあり得ない。

 そう言った。

 

 しかし、マーズとかいう大女は自分は奴隷だが、一緒に食べるのだから遠慮する必要はないと朴訥そうに誘ってきた。

 大女と一緒に食事を支度していたコゼという小柄な女も、同じようなことを口にした。

 さらに、かつては、ここに一緒に住んでいたが、いまは出て行って、このロウの女になったらしいイライジャも強く一緒の食事を誘った。

 本当に鬱陶しい。

 

 結局、「メイ」はあとで食べるということになり、ロウと女たちだけで、ここで食事をしている。

 トーラスは別室だ。

 

 ロウたちに、ユイナのことを助けて欲しいという趣旨のことを語ったらしいが、それに対して、ロウがなんと応じたのかは、「メイ」にもわからない。

 残念ながら、盗聴の魔道具は反応しなかった。おそらく、あのロウがそれを阻害する魔道具かなにかを準備したのだろうと思う。

 まあいい……。

 トーラスが「メイ」を裏切るわけがない。

 ただ、雰囲気からして、ロウはトーラスの望む返事をしなかった気配だ。

 

 とにかく、そのトーラスは気分が優れないという理由で、夕食には出てこなかった。

 トーラスの食事は、「メイ」が事前に取り分けて、私室に運んでいる。

 だから、ここにいるのは、テーブルについているロウとロウの女たち合わせて七名――。

 そして、部屋の隅に待機して立っている「メイ」だ。

 

「どう、メイちゃんも、一緒に遊ばないかい?」

 

 ロウがにこにこしながらこっちに視線を向けた。

 「メイ」は大慌てで首を横に振った。

 

「い、いえ、やりません……。で、でも、王様げーむって、なんですか?」

 

 「メイ」は言った。

 なんでこうなったのかはわからないが、食事が進んでひと段落したところで、突然に、ロウがその「王様げーむ」たるものをやろうと言い出したのだ。

 そもそも、それはなんだろうと、「メイ」も疑問に思ったが、それは女たちも同様のようだ。

 「メイ」が質問すると、女たちが喋り始めた。

 

「そうですよ、ロウ様。ロウ様げーむってなんですか?」

 

 最初に口を開いたのは、エリカというエルフ女だ。

 肌の白い白エルフであり、エルフ族の中でも際立つほどに美人だ。

 それでいて、無邪気そうな可愛らしさもあり、不思議な色香まである。

 

「ロウ様じゃないわよ、王様よ、エリカ。それで、王様げーむって、なんですか、ご主人様?」

 

 コゼだ。

 こっちは人族の小柄な女だ。さっき、「メイ」に自分はロウの奴隷だと言っていたがそうは見えない。

 「メイ」の見るところ、甘えん坊という感じであり、なにかにつけ、ロウにくっついている。

 

「まずは、みんなで、棒で作った(くじ)を引く。それに、“王様”の印のある棒と、番号が書いてある棒がある。王様を引いた者は、家来である者に番号で命令できる。例えば、“一番は二番と口づけ──”とか命令したら、一番と二番の棒を引いた者が口づけをする……。まあ、そういう遊びだ」

 

 なんという馬鹿げた遊びだと思ったが黙っていた。

 ふざけた遊びに興じてくれた方が仕事はしやすい。

 

「引いた番号は教えるんですか?」

 

 童女の魔道遣いが首を傾げながら言った。

 年齢は、この「メイ」の身体と同じくらいだろう。

 魔道遣いだというが、帯びている魔力はそうでもない。小さなものだ。

 この中では、まあ安全牌という感じだ。

 

「教えない。だから、王様は番号を知らずに、その番号で命令するんだ」

 

「じゃあ、ご主人様と王様が愛し合うという命令は?」

 

 コゼが悪戯っぽく言った。

 

「馬鹿じゃないの──」

 

 すかさず、エリカが横から口を出す。

 ロウは笑っている。

 

「……名指しは駄目だ。“王様となんとかをする”、という命令も違反。必ず、家来たちになにかをさせる」

 

「おかしなことを考えるのだな。まあいい。ロウがやりたいならやるか」

 

 シャングリアという人間族の女が口を挟んだ。

 

「じゃあ、やるぞ。マーズとイライジャもいいな。参加だぞ」

 

 ロウだ。

 

「は、はい」

 

 大柄のマーズという人間族の女が声をかけられて、びくりと姿勢を伸ばすようにしながら言った。

 だが、イライジャは首を横に振る。

 

「わたしはいやよ。メイがいるのよ。あまり馬鹿げたことはやめましょうよ」

 

 首を竦めて、目の前の杯から飲み物を口にした。

 みんなに準備したのは、この里の名産の果実水だ。

 そのとき、イライジャの持つ金属の盃に、さっと白い霜のようなものが浮かんだのがわかった。

 不思議に思って、視線を向けると、あの小さな魔道遣いのミウが指を動かす仕草をしている。

 

 冷却魔道で盃を冷やしている? 

 驚いたが、すぐにイライジャがお礼をミウに言ったので、やっぱりそうだったようだ。

 制御された鋭い切れ味の魔道に、「メイ」はさっき抱いたミウに対する評価を改めた。

 

「こっちも頼むよ、ミウ」

 

 ロウも杯を持つ。

 

「はい、ロウ様」

 

 ミウがロウに命令されたのが、嬉しそうににこにこ顔になって、指を小さく動かした。

 やはり、ロウの杯にも霜が浮かぶ。

 大した魔力もないようなのに、あんなに魔道を連発して大丈夫なのだろうかと思ったが、注意していると、ミウが魔道を振るうときには、突然に魔力がどこからが集まって膨れあがるみたいになっている。

 「メイ」の身体も、幼いとはいえ魔道族たるエルフ族のかたわれだ。

 魔力を感じる力は備わっている。

 

「じゃあ、イライジャ抜きでやるか。イライジャは、さっきエリカが口にした“ロウ様ゲームだ”──。“イライジャは、肌に布が触れるたびに悶えるような百倍の感度の肌になって踊る──”。じゃあ頑張れ。踊り終わったら、尿意を消してやろう」

 

 ロウが奇妙な言葉を口にした。

 一方でイライジャは、さっと顔色を変える。

 

「ま、待って──。やっぱり参加する」

 

 イライジャはぎょっとした表情で叫んだ。

 しかし、ロウは笑いながら首を横に振るだけだ。

 ほかの女たちは、ちょっと驚いた感じで目を丸くしている。

 

「もう遅いよ」

 

 ロウがさっと手を動かした。

 

「いひいいっ」

 

 イライジャが突如として身体を抱き締めるようにして悲鳴をあげた。

 

 えっ?

 ロウも魔道遣い?

 

 そんな情報はなかったから、「メイ」は驚いてしまった。

 教えられていたのは、ロウは“淫魔師”だということだ。

 その力で女たちの心を操って支配するとは聞いていたが、淫魔師って魔道も遣えるのだろうか?

 

「ひいいっ」

 

 イライジャが一度は抱き締めた乳房を慌てたように離す。

 次に股間を押さえるようにして、上半身をぐいと折り曲げる。

 だが、やはり悲鳴をあげて、手を股間から離す。

 なにか異常な状況が肉体に襲っているようだ。

 

「ミウ、イライジャが踊り終わる前に洩らされると、この部屋を汚してしまう。メイちゃんにも悪い。イライジャの身体の下に、魔道で受け布のようなもの敷いてくれ。イライジャが垂れ流したら、それで受けとめられるようにね」

 

「は、はい、ロウ様──」

 

 呆気に取られていたようなミウがさっと手をかざす。

 イライジャの身体の下に、真っ白い光の布のようなものが出現した。

 「メイ」は、今度こそ驚愕した。

 結界術──。

 高等魔道だ。

 この小さな人間族の魔道遣いが──?

 びっくりしてしまった。

 

「う、うう……。あ、悪趣味よ、ロウ……。や、やめて……」

 

 イライジャが、椅子に座った状態でうずくまったまま、呻き声をあげた。

 その顔は真っ赤であり、全身からは夥しいほどの汗が噴き出している。

 

 もしかして、さっき感度百倍とか言ったから、本当にそうなっている?

 だったら、尿意も……?

 「メイ」は呆気にとられてしまった。

 

 それに、「メイ」の記憶によれば、イライジャという女は、とんでもなく気が強くて、何人ものエルフ男の戦士に指図をしていたような女である。

 そのイライジャが、ロウの阿呆げた性的悪戯に文句も言えないようだ……。

 

 いや、文句は言っているか……。

 ただ、逆らえないだけだ……。

 

「ほら、踊るんだよ。そうすれば解放してあげる。なんでもいいから、唄を歌いながら踊ってごらん」

 

 ロウが声をかけている。

 イライジャは身体を折り曲げて歯を喰いしばったような顔をしていたが、きっと顔をあげてロウを睨んだ。

 その汗ばんだ赤ら顔には涙も浮かんでいる。

 

「い、いい加減に……」

 

 イライジャが呻くように言った。

 すると、すっとロウが立ちあがってイライジャの方に近づく。

 イライジャがはっとした表情になった。

 

「踊れないなら、踊らしてあげよう。ほら、ほら……」

 

 立ったままイライジャの腕を掴むと、強引に立たせた。

 

「ひ、ひいいっ、んああっ、あああっ」

 

 イライジャは身体を引きあげられて、ロウに身体を抱かれるようになった。

 やっぱり、なんの抵抗もできないようだ。

 

「ほら、踊ろう、一、二、三──。一、二、三……」

 

 お道化た口調でロウがステップを踏み始める。

 イライジャは腰が砕けたようになって、しかも身体を無理矢理に動かさせられるたびに、甘い声をあげている。

 さらにロウに抱かれている部分は、感じるのか、くすぐったいのか、ぶるぶると震えるような仕草もする。

 

「あ、あああっ──だ、だめ、だめ……。で、出る……も、漏れる……」

 

「漏れるのはどっち? おしっこ? それとも愛汁?」

 

 ロウは笑いながら、イライジャの全身をまさぐり続ける。

 イライジャが泣くような声を出し始めた。

 

「あぐうううっ」

 

 やがて、イライジャの身体が、ロウの腕の中で弓なりに大きく反れ、次いで完全に力を失ったようにロウにもたれかかった。

 ふと見ると、脚のあいだから、かなりの水流が足元に流れ出している。

 

「あれっ? 気を失ってしまったようだな」

 

 ロウが愉しそうに言った。

 そのとおり、イライジャは完全に意識がない状況だ。

 一瞬にして、それ程の快感を覚えるなんて、そんなことがあるのか?

 「メイ」は驚愕してしまった。

 

 ロウがイライジャの身体を横たえる。

 気がつくと、いつの間にか毛布が床に敷いてある。

 いつの間に?

 

 「メイ」にはいつそれが出てきたのかわからなかった。

 とにかく、イライジャは身体をそこに横たえられた。

 すると、さっとロウが別の毛布を出す。

 

 なにあれ──?

 「メイ」も驚いた。

 なにもないところから、突然に大きな毛布を出したのだ。

 やっぱり、魔道遣い……。いや、魔道以上の不思議な力を持つ魔道師(マジシャン)だ。

 

 ロウは毛布をイライジャの身体にかけて、その下に両手だけを入れて、もぞもぞと動かした。

 しばらくして、濡れたイライジャのスカートと下着を取り出した。

 毛布の下で脱がせて外に出したのだと思った。

 一方で、イライジャの失禁については、あのミウが始末したのか、どこにもそれらしい痕はない。

 馬鹿げた遊びを通じてだが、「メイ」はこのロウたちの驚くべき能力の一端に触れた思いだ。

 

「待たせたね──。じゃあ、王様ゲームをしよう」

 

 ロウがテーブルに戻った。

 手にはやはり、いつの間に出現させたのかわからない小さな棒がある。

 呆然としていたほかの女たちが、我に返ったように姿勢を正した。

 

「じゃあ、改めて、王様ゲーム──。ほら、拍手だ」

 

 ロウが高らかに宣言をした。

 女たちが慌てたように拍手をした。

 

 

 *

 

 

「はーい、次の王様、誰?」

 

 コゼが大きな声で叫んだ。

 

「あ、あたしです……」

 

 遠慮がちに手をあげたのはマーズだ。

 ロウたちが始めた「王様げーむ」という馬鹿げた破廉恥遊戯はなかなかの佳境となっている。

 「メイ」は呆れた思いで、思い切り弾けている感じのロウたちを見守っていた。

 

 最初こそ、「メイ」の視線を気にしてなのか、遠慮がちだった女たちだったが、途中からまったく気にしなくなり、いまは完全に生き生きと遊びに興じている。

 

 ロウに密着するように争って群がり、そのために、ロウは椅子からおりて床に直接に座った状態で胡坐をかいている。

 その周りに、女たちがぴったりとロウにくっついているのだ。

 しかも、さっきから破廉恥な命令ばかりしているので、女たちの服装もすっかりと砕けてしまっている。

 また、酒を飲んでいるわけでもないのに、興奮して酔ったような状態になっているのだ。

 

 まあ、酔ったようになっているのは、実は仕掛けがある。

 「メイ」が流し続けている毒風が身体に反応しているのだ。

 ただ、いまのところ、その身体の異変に、ロウたちが気がつく様子はない。

 

 いずれにしても、とにかく馬鹿騒ぎだ。

 服だって、下着姿の者もいれば、上半身が裸の者もいる。コゼが唯一まともなくらいで、それでも半ズボンは脱いで下は下着だ。また、上はシャツのようなものを着ているが、その下はなにも身につけていない。

 そんな半裸の女たちに密着された中心で、ロウはにこにことしている。

 すっかりと、「メイ」のことなど、忘れ去っている気配だ。

 

 いや、本当に忘れてる?

 もしかしたら、あのロウという男がおかしな操り術でも、女たちに仕掛けてるのではないかと疑いたくなる。

 さもなければ、こんな子どもの「メイ」が同じ部屋にいるのに、淫らにはっちゃけたりしないだろう。

 まあ、とにかく、そんな状態だ。

 本当に、このまま乱交でも開始しそうな勢いだ。

 淫魔師というのは、実は謎に包まれた存在なのだが、女たちを性の力で支配し、操ってしまうという伝承は正しいのかもしれない。

 

「じゃあ、早く、命令を言いなさいよ」

 

 コゼがけしかけたように言った。

 

「じゃ、じゃあ……、二番と四番が口づけをしてください……」

 

 マーズは大きな乳房を両手で隠すようにした裸だ。

 誰の命令だったか忘れたが、お互いに胸を舐め合えという命令で、エリカとふたりで交互に乳首を奉仕し合っていた。

 驚いたがあのエリカの乳首には、綺麗な石が嵌まったおかしな金具が喰い込んでいて、こっちが恥ずかしくなるくらいに感じていた。

 それを見て、ロウが横から手を出したりして、そんな光景がずっと続いている。

 おそらく、ロウと女たちは、いつもこんなことばかりやっているとのだろう。

 突然に、今夜だけ羽目を外しているという雰囲気ではない。

 

「また、あんた、そんな普通の命令ばかり……。やっと王様になったんだから、遠慮しないで思い切り、恥ずかしい命令を与えてやればいいのよ」

 

 コゼが小馬鹿にしたように言った。

 

「やめなさいよ、けしかけるのは……」

 

 エリカが口を挟む。

 そういうエリカは、腰の下着一枚であり、両手で乳房を隠している。

 このエリカに限らず、全員が全身を赤くしていて、しかもすっかりと汗をかいている。

 自慰をしたり、服を脱いだり、ときにはくすぐりっこなんかもやったりしている。

 そのせいだ。

 とにかく、いずれにしても、馬鹿騒ぎは好都合だ。

 「メイ」のことを忘れてくれたことも「仕事」をしやすいし、馬鹿げた性的遊びに熱中してくれて、誰も彼もすっかりと油断したようになっている。

 「メイ」は、魔道の毒風を静かに彼らの周りに流して、彼らを深い眠りに誘おうとしていた。

 ほとんど感じるか感じないかくらいに微弱なものなので、いまのところ、「遊び」に夢中になっている彼らが気がついた気配はない。

 

 だが、この毒風は、さっきまで彼らが口にしていた食事と飲み物に混ぜた毒と反応して、ゆっくりとロウたちの身体を蝕んでいるはずだ。

 それぞれの毒は無害なので、それに侵されても、まず気がつくことはない。

 ただ、食事の中の毒と、いま流している風の毒が混ざると、ゆっくりと身体が弛緩するとともに、意識を失っていくことになる。

 あとは待つだけだ。

 

「四番はあたしです……」

 

 童女の魔道遣いのミウがおずおずと言った。

 すると、ロウが嬉しそうに言った。

 

「二番は俺だ。よし来い、ミウ」

 

 ロウが両手を拡げた。

 そのロウもまた、いまは上半身にはなにも身につけていない。

 ミウは逆に上半身には衣服を着ているが、腰から下は下着すら脱いでいる。上衣の裾が辛うじて股間を隠しているだけだ。

 こいつらの格好は、すべて、いままでの王様げーむとやらの遊びの結果だ。

 

「あっ、ロウ様ですか。やった──。ありがとう、マーズ」

 

 ミウが嬉しそうに、ぱっとロウの胸に飛び込んでいった。

 コゼが小さな声で「狡い」とか口にしている。

 

「……んんっ」

 

 ミウがロウに抱き締められて、唇を奪われた。

 それだけで、ミウはロウの腕の中でぐったりと脱力したようになる。

 しかも、ロウはミウの上衣の裾に手を入れて、剥き出しのお尻に手をやって、卑猥に触りだした。

 んんっ? もしかして、お尻の中に指を入れている?

 そして、さらに別の指が動き回ってミウの股間に向かって近づいたりもしている?

 

 女たちはともかく、「メイ」の想像が正しければ、女たちはともかく、ロウ自身は「メイ」のことを認識はしているはずだ。

 それなのに、まったく遠慮なく、さっきからああやって女たちに淫らに悪戯をしてばかりだ。

 どうでもいいけど、なんという男だろう……。

 

「んんああああっ」

 

 やがて、そのミウの全身がロウに抱かれたまま、不意に震えたかと思うと、唇を離して背中を弓なりに反らせた。

 なにをやったのかわからない。

 だが、ミウは達してしまったようだ。

 しかも、その身体がぐったりと脱力してしまった。

 意識を失ったらしい。

 「メイ」は目を丸くした。

 

「おやおや……。口づけで失神するとはなあ……。まだまだだな」

 

 ロウがミウの身体を床に横たえて、ずっと眠ったままのイライジャの隣に置く。

 イライジャ同様にさっと毛布を出してかけた。

 また、なにもない空間から毛布を出現させた。

 何度見ても、どうやってロウが物をなにもない場所から取り出すのかわからない。

 おそらく、収納術だと思うのだが、「メイ」の感じる限り、魔道のようなものが動いた感じではないのだ。

 

 これが淫魔師……?

 「メイ」は首を傾げるしかない。

 だが、まあいい。

 いくらロウに得体のしれない能力があろうとも、毒風で意識を失ってしまえば、どうしようもないだろう。

 

「ロウ、なにかやったな? いまのはおかしかったぞ。一回絶頂しただけで、突然に意識を失うなど……」

 

 シャングリアだ。

 凛とした気の強さが顔に出ているような女だったが、この乱痴気騒ぎにすっかりと打ち解けている。

 この女は上下の下着姿だ。

 

「さあな……。じゃあ、棒を一本抜こうか。まだまだやるぞ」

 

 ロウが棒を手に取って、五本にしてから、まだ残っている女たちにぐいと手を伸ばした。

 

 それからも、しばらく騒動が続いた。

 

 次はロウが王様になり、全員に寸止め自慰を命じた。

 「メイ」がいるというのに女たちが一斉に下着に手を突っ込んで、股間をまさぐり始めたときには、「メイ」も唖然としたものだ。

 このことで、やはり女たちは「メイ」のことを認識できないのだと確信した。

 また、淫魔師に支配された女は、ここまで従順に命令に逆らわないようになるのかとも驚嘆した。

 

 その次は、コゼが王様になった。

 すっかりと調子に乗っている感じのコゼが、もう一度全員に、しかも三回連続の寸止め自慰を命令して、大騒ぎになった。

 だが、ロウもちゃんと股間を出して、手で擦ったりしていたから、「メイ」も目を丸くしてしまった。

 一方で、四度続けての寸止め自慰をさせられたほかの女たちは苦しそうだった。

 しかし、それでいて、ロウの自慰が始まると、興味深くそれを真っ赤な顔で見守ったりしていた。

 

 そんな感じで、挿入こそないが、まさにセックスそのものの行為が延々と続いた。

 しかし、やがて、シャングリアとコゼが糸が切れたようにばったりと倒れた。

 ロウが訝しむ表情を見せたが、そのロウも、その頃には完全にふらふらになっていた。

 そのロウが続いて倒れると、残ったマーズとエリカも、そのまま横になった。

 

 やっと全員が気を失ってくれた。

 「メイ」は立ちあがった。

 

 

 *

 

 

「終わったぞ、トーラス──」

 

 部屋の扉を開いて、屋敷の奥のトーラスの私室に向かって大声を飛ばした。

 しばらくすると、そのトーラスがのっそりとやって来た。

 しかし、部屋の惨状を見て、目を見開いている。

 

「これは……?」

 

「俺がやったんじゃないぞ。こいつらが勝手に馬鹿げた破廉恥遊びを開始したんだ。まあいい。とにかく、お前の魔道で、全員を無力化しろ。毒が効いているから、朝まで目が醒めんとは思うが、どうやら毒消しのようなものを事前に飲んでいた気配もある。思ったよりも効き目が遅かった」

 

 「メイ」は言った。

 毒風を流し始めて、なかなか効果が出ないことで、ロウたちが事前に毒を無効にする薬剤のようなものを飲んでいるのはわかった。

 まさか、なにかを悟ったということはないだろうから、用心のために、いつも飲んでいるのかもしれない。

 それでも、「メイ」が準備した毒は、どんな毒消しも通用しない強力なものであり、時間の問題でしかなかったが……。

 

「わかった……。だが、約束だ……。ユイナのことは……」

 

 トーラスが術をかける気配を示しながら、「メイ」を見た。

 「メイ」は肩を竦めた。

 

「まあ、それはお前次第だ。とにかく、さっさとやれ。逆らえば、ユイナがどうなるかは知らんからな」

 

 「メイ」はうそぶいた。

 この里にロウがやって来るというのは、ユイナをさらってから、しばらくして知ったことだ。

 パリスがロウという男を探しているというのは、トーラスも承知していたことである。

 なにしろ、パリスがユイナを最初に拷問をしたとき、ユイナは、ロウに渡した魔道書がないと禁忌の魔道を再現できないと白状し、その魔道書をロウという男に手渡したとユイナは口にしている。

 その拷問の現場に、トーラスは居合わせていた。

 従って、当初は、ユイナやトーラスがロウの正確な居場所を教えなかったと判断されて、パリスを激怒させたらしい。

 なにしろ、パリスはなんとしても、魔道書を手に入れたいらしく、多数の手の者をハロンドール王国に一気に投入したようなのだが、それがことごとく、後手に回ったかたちになったからだ。

 

 パリスは、エランド・シティの水晶宮に連れていったユイナを訊問という名の拷問をしたようだが、そのユイナはロウがこっちに来ることを事前に知っていたことを必死に否定したみたいだ。

 ユイナは、パリスを主人とする奴隷の首輪を嵌められている。

 だから、ユイナは主人であるパリスに嘘を言えないから、ユイナが知らなかったと主張したならば、まあ、そうなのだろう。

 

 この里にいたトーラスもまた、ロウが来ることを知っていたことを否定した。

 人間族の奴隷商が数名やって来ることは承知していたが、ロウだとはわからなかったと答えた。

 まあ、トーラスについては、ユイナを人質にしているだけで、奴隷の刻みなどをしているわけじゃないので、真実を言っているかどうかはわからないが、嘘をつけないユイナが知らないと口にしている以上、トーラスもまた、知らなかったと判断してもいいのだろう。

 いずれにしても、エランド・シティのユイナは、このことにより、パリス直々の散々な懲罰拷問を受けたみたいだ。

 

 魔道で拘束されて、耳と鼻と乳房を削がれ、四肢を寸刻みにされたそうだ。さらに、股と尻の穴に真っ赤に焼けた鉄杭を突っ込まれたのだという。

 それで死にかけたが、魔道で肉体の損傷を完全回復させられて、同じようなことを三日続けてされたそうだ。

 パリスのエルフ族嫌いは病的なほどであり、やり過ぎのところもあるが、その情報をトーラスに教えてやったら、ぶるぶると震えて泣き叫んでいたので、トーラスの脅迫には効果があったと思う。

 

 いずれにしても、このことは、自分にとって運がよかったと思っている。

 ロウを捕まえて古文書を奪うことは、最近のパリスの最重要の課題になっており、トーラスの見張り役にすぎなかった自分がこれを任されることになったからだ。

 とにかく、ロウがエルフの里に向かっているという情報が入るのが遅すぎた。

 パリスが本当に信頼ができる手の者も数が限られており、改めて、ここで罠を張る余裕はなかったのだ。

 それで、最初からこの里にいた自分が、ロウの捕獲という重要な役割を与えられることになった。

 これを成し遂げることが、大変な功績なのは間違いない。

 

 だから、こうやって「メイ」の身体を乗っ取って、トーラスにひと芝居打たせた。

 ユイナを人質にされているトーラスは従うしかない。

 

 そういえば、これで、アスカ城にも、いい土産ができたかもしれない。

 あのアスカも、裏切り者の逃亡奴隷とエルフ娘を連れ戻せば喜ぶと思う。

 アスカの愛人だったエルスラは、いまはエリカと名乗っていたみたいだが、このやたらに身体の感度がよさそうで、乳首におかしな宝石付きの金属をつけているエルフ女は、アスカのところから逃亡したエルスラだ。

 ほかの女は不要だが、まあ一騎当千の女傑揃いという感じだったし、奴隷にして連れ帰れば使い道があると思う。

 

「そういうことか……」

 

 そのときだった。

 気絶をしているはずのロウが、下着一枚の格好で、のっそりと起きあがった。

 「メイ」は驚愕した。

 トーラスもはっとしている。

 

「マーズ、いけっ」

 

 そのロウが不意に怒鳴った。

 

「うぐっ」

 

 マーズとかいう大娘が半裸のまま飛びかかり、トーラスの首に背後から手刀を打った。

 トーラスが呆気なく崩れ落ちる。

 

「ま、まさか、芝居──」

 

 「メイ」はとっさに逃げようとした。

 だが、気がついたが、身体が硬直したように動かない。

 足も床に貼りついて動かない。

 「メイ」は混乱した。

 なんで……?

 おかしい……。

 魔道も封じられている。

 どうして……。

 

「無駄だ。お前が俺たちの遊びに夢中になって見ているあいだに、俺も少しずつ粘性体でお前の身体を包んでいた。メイちゃんの魔道を遣っているらしいけど、この粘性体には、魔力を遮断する効果もあるから逃げられんぞ」

 

「なにっ?」

 

 「メイ」はもがいた。

 しかし、やっと全身を薄い透明の膜のようなもので包まれているのがわかった。

 それが「メイ」の身体を凍結したようにしているのだ。

 しかも、魔力を遮断?

 そんなことが――?

 

「油断したな。何者かは知らんが、メイちゃんではないことにはすぐに気がついた。ただ、トーラスさんがどういう立場なのかわからなかったから、ちょっと遊んでいたのさ」

 

 ロウが笑った。

 

「な、なんで――。ど、毒は?」

 

 「メイ」は狼狽えた。

 

「俺の準備した毒消しで、全員が効いてない。俺には毒を見破る能力があってな。女たちが倒れたのは、毒のせいじゃなく、俺の操作だ……。さて、みんな、もういいぞ」

 

 ロウが言った。

 すると、女たちがのそのそと起きだす。

 

「やっと思い出した。メイが怪しいから、油断させるとは言われたが、さっきのはなんなんだ? 完全にわたしは変になってたぞ。メイのことも頭から消えてしまってた」

 

 シャングリアだ。

 どうやら芝居というよりは、ロウ以外は、やっぱり、ロウによってなにかの暗示をかけられてしまっていた気配だ。

 ほかの女も一様に同じようなことを口にし始めた。

 

「どうでもいいですけど……。もっとましな手段があったんじゃないのですか、ロウ様」

 

 エリカが言った。

 脱ぎ捨てた自分の服を掴んで、裸身を隠している。

 

「まあ、いいじゃないか。半分は俺の遊びだ。俺の術にかかっているあいだは、なにもかも忘れて、それはそれで、愉しそうだったぞ」

 

 ロウが悪びれた様子もなく言った。

 

「油断させるために、なにかをするとは教えられてたけど、なんてことさせるのよ。夕食前も同じようなことをされたけど、記憶を操るのはやめて。今度したら、怒るわよ」

 

 イライジャも不機嫌そうに文句を言った。

 腰に身体にかかっていた毛布を巻いている。

 

「とにかく、こいつだ、みんな……。メイちゃんの中に憑依しているピエールという魔族だ」

 

 ピエールは度肝を抜かれた。

 これまで、ピエールが憑依をしていることなど、見破られたことなどないのだ。

 しかも、名前まで……。

 このロウは何者……?

 

 いずれにしても、このロウを含めた全員が、完全に覚醒している。

 それなのに、「メイ」は、不思議な粘性の膜に包まれて、ぴくりとも動けない。

 

 ロウの女たちが立ちあがって、交代で服を整えながら、「メイ」を囲み始める。

 彼女たちは、いつの間にか、武器を手に持っている。

 「メイ」、つまり、ピエールは、背に冷たいものが流れるのを感じた。

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