【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】 作:ドン・ドナシアン
「ロウ様、あれを──」
御者台に座っているミウが声をかけてきた。
今日の御者は、ミウとマーズだ。まだ、里の中なので馬車の外には誰もいない。ほかの者は全員が幌馬車の中にいる。
幌馬車の前側から覗くと、ちょうど里の出口に差し掛かったところであり、検問をしている場所に、
また、バロアだけじゃなく、かつてはイライジャとともに、ダルカンたちに叛乱を起こしたプルトを始めとする全員が揃っていた。
とりあえず、一郎は馬車を停めるように指示する。
「わかりました」
マーズが手綱を操って、検問の外に出たところで、馬車を寄せて停車させた。
「なんの用事でしょうか?」
コゼが不審そうに言った。
一郎は肩を竦める。
「もう用件は終わっているはずだしな。まあ、里長自ら、見送りに出てきたということだろう。ちょっと行ってくる。すぐに終わるから、乗ったままでいいよ」
ぞろぞろと降りるのもなんだから、一郎だけ降りることにした。
「待ってください。一緒に降ります」
しかし、エリカがすかさず言って腰をあげる。
護衛ということだろう。
夕べのピエールの話から、ついにアスカに居場所が知れたかもしれないということで、エリカはずっと神経をぴりぴりさせている。
ほとんど、一郎から片時も離れず、ずっと警戒している。
責任感の強いことだ。
一郎は苦笑して頷く。
「待って、わたしも降りるわ──」
イライジャだ。
このまま馬車で里を離れ、イライジャは、このエルフの里から別離して、一郎たちとともに、王都ハロルドで暮らすことに決まっている。
そういえば、イライジャとしても、プルトたちとは、きちんと別れをしたいかもしれない。
なにしろ、昨夜から慌ただしかったので、イライジャもほとんど旧交を温める余裕はなかったのだ。
ただ、アスカに一郎とエリカがこの里にやって来るということは知られたのだから、一刻も早く立ち去るべきということになり、残りのことをバロアたちに委ねて、一郎たちはこうやって、早々に里を立ち去ることになったのだ。
三人で馬車を降りた。
すると、バロアが、馬車を背にしている一郎に深々と頭をさげた。
バロアの後ろにいるプルトたち、かつて、イライジャとともに戦った反乱メンバーも一斉に頭をさげる。
「あなたには、申し訳ないことをしたわ。里を代表して謝罪する。このとおりよ」
「もう、謝罪はいいですよ。詫び代としての魔石も余分に受け取りましたし、それに、俺たちの命を狙ったのは、あなたではないでしょう」
一郎は笑って言った。
どうやら、やっぱりバロアは、一郎たちが里を出て行くにあたり、わざわざ、見送りと謝罪のためにやって来て、待っていたようだ。
律儀な人だ。
「でも、里のことは、わたしの責任です。外からやって来たあなたたちを危険に晒したのは事実だし……」
「でも、バロアさん。あなたが謝ることじゃない……。それに、トーラスさんにも、そんなには恨みはありません。トーラスさんはユイナのことで魔族から脅迫されていたんですから……。彼の立場からすれば、孫娘を人質にされれば、言いなりになるしかなかったのは理解できます」
一郎は言った。
まあ、夕べから未明にかけて、とにかく大変だった。
いまは、あの
すでに、陽は中天に差し掛かっているが、一郎たちは、もう一晩泊まるということはせずに、今日中に遅い出立をすることに決め、こうやって里の外れまでやってきたところだ。
昨夜、メイに憑依していた魔族を退治した後、トーラスにすべてを自白させてから、一郎はすぐに、バロアとプルトを呼び出して、一連の事実を説明した。
ふたりとも、驚愕していた。
特に、トーラスとは個人的な親交もあったらしいバロアは、大きな衝撃を受けていた。
ユイナの脱走に、元里長のトーラスが加わっていたこと──。
トーラスの屋敷にいたエルフ少女のメイに、魔族が憑依していたこと──。
そして、脅迫されていたとはいえ、トーラスが魔族の里への侵入を隠していて、しかも、訪問した一郎たちを襲撃しようとしたこと──。
すべてがバロアたちにとっては、信じられない話であり、俄かには受け入れがたいことだったようである。
しかし、傀儡子のピエールの死骸が動かぬ証拠であり、しかも、そのときのトーラスは完全に観念していて、一郎たちだをけではなく、やって来たバロアたちにも、すべてを淡々と告白した。
バロアもプルトも呆然としていた。
そのトーラスは、とりあえず、里の塔に監禁された。
今度こそ、トーラスには結界を解けないようにし、しかも魔道も封印されたようだ。
いずれ裁判になるのだという。
かなりの真相が闇のままだが、元里長のトーラスがユイナを脱走させたのは事実だし、そのことだけで十分な重罪らしい。
だが、この一件については、まだまだ腑に落ちないことが多い。
まずは、ユイナの行方──。
本当にイムドリス、あるいは、水晶宮に連れていかれたのか?
次に、どうしてアルオウィン、あるいは、その偽者がユイナの脱走に関わったのかということ──。
それだけでなく、トーラスの言い分が正しければ、ユイナを連れて去ったことになっているエルフ族のガドニエル女王の手の者は、ユイナを拷問して、奴隷の首輪を受け入れさせられたらしい。
とても、名高いエルフの長老のやったこととは思えない。
それとも、アスカの従者だとエリカが言及したパリスという少年……。
いや、少年なのか?
なによりも、ピエールが最後に口走った、パリスこそ黒幕だと叫んだことと、この森を瘴気で溢れる場所に変えるのだという陰謀のこと……。
しかし、それらの大抵のことには、バロアには、もはや関心もなさそうだ。
トーラスが里を裏切った。
バロアとしては、そのことだけしか考えられない気配である。
いずれにせよ、一郎がピエールを追い詰めて引き出した情報と、ピエールが死んでから最終的にトーラスが一郎たちに告白した内容については、辻褄が合わない部分はなかった。
少なくとも、トーラスは、自分が事実だと思っていることを話したのだろう。
トーラスのところに、里の塔に監禁されているユイナを脱走させる手伝いをしてやると、エルフ女王ガドニエルの腹心であるアルオウィンという女エルフがやってきて、彼女の指示により、トーラスは塔の結界を緩めて、ユイナを脱出させることに成功した──。
だが、逃亡に成功したものの、アルオウィンが紹介したパリスは、ユイナを残酷に拷問して奴隷の支配を刻んで、どこかに連れて行った──。
そして、パリスは、傀儡子という正真正銘の魔族をメイに憑依させて置いていき、トーラスを見張るように指示を残した。
トーラスとしては、エルフ女王の腹心が、なぜ、魔族と結託しているのか、まったく理解できなかったらしいが、残ったピエールは、自分に危害を加えたり、ピエールのことを誰かにばらせば、連れていかれたユイナは死ぬとトーラスを脅したので、ユイナの脱走に深くかかわってしまっていることもあり、トーラスはピエールを受け入れるしかなかったようだ。
トーラスの説明は、そういうことだった。
また、パリス、あるいは、アルオウィンは、ユイナが持っていた禁忌の魔道の古文書を探しているらしく、なぜか、それを一郎が所持しているという話になっているみたいだ。
魔道書の話は、観念したあとのトーラスが教えてくれたことだ。
その辺りの事情は不明だ。
とにかく、それで、一郎がユイナの競売のために、この里にやって来るという情報に急遽、接して、それでここにいたピエールが対応しようとしたということらしい。
いずれにせよ、アスカなのか、ほかの誰かなのか不明だが、そいつらが一郎を探している。
それだけはわかった。
まあ、トーラスの告白によって、得ることのできた情報はそんなものだ。
そして、トーラスにしても、ピエールにしても、最終的に喋った内容の中に、“アスカ”の名はなかった。
もしかして、本当に、この一件はアスカには関わりない?
だが、パリスというのは、アスカの従者だ。ピエールが叫んだ“パリス”がそのパリスであることは間違いないだろう。
しかし、アスカではなく、そのパリスが黒幕というのはどういう意味なのだろう。
一方で、一郎を拳で殴りつけたメイについては、しばらくのあいだ、バロアが面倒を見ることになった。
今頃、メイは里の養生所だろう。
ピエールに憑依されていた間の記憶はまったくないようだ。
説明はしたものの、一郎が自分を犯したということについては、まだ納得がいっていない様子だ。
まあいい。
犯されて意気消沈するよりも、激怒するくらいの元気があった方がいいに決まっている。
メイも大丈夫だろう。
「寛大ね……。あなたがそう言ってくれるなら、トーラスはそれほどの罪にはしないですむわ。まあ、里の追放くらいかしら……。ユイナちゃんのことはよくわからないけど、改めて、ガドニエル女王に問い合わせるわ。まあ、十日もすれば、なにかの答えが戻るとは思うのだけど……」
バロアはまた言った。
彼女は、そう言って、もう少しくらい里に留まってはどうかと促している。
しかし、一郎は断固として拒否した。
一郎とエリカに恨みを抱いているアスカという魔女に、この里に一郎たちがやって来ることは知られている可能性があり、すぐにでも立ち去る必要があるというのがその理由だ。
バロアも、それに対しては、引き留めを強要することはできなかった。
一方で、エルフの女王のところで異変が起こっているかもしれず、問い合わせてもまともに返事が戻るわけがないという、一郎の勘とピエールから聞き出した情報については、彼女たちに一蹴された。
しかし、ピエールが死の直前に、それを匂わすことを口走ったことは確かなのだ。
また、バロアは、エルフ族の女王がユイナの脱走と誘拐に関わったということも全否定した。
ユイナは、魔族によって別の場所に連れていかれたと判断しているようだが、一応は一郎の主張を受け入れて、問い合わせだけはするとは口にしただけだ。
エルフ族の女王のガドニエルが、ユイナを連れて行くということは、あり得ないと何度も言った。
だが、死の間際、ピエールは間違いなく、ユイナはエルフ族の長老の隠し宮殿であるイムドリスか、水晶宮にユイナはいると「自白」したのだ。
だから、ユイナが、そのどちらかにいるのは間違いないと思っている。
少なくとも、ピエールはそれが真実であると思っていたはずだ。
一郎の淫魔術で刻んだ状態で、一郎に嘘をつくことができるはずがない。
だが、確かに、なにかがおかしい。
伝聞によれば、エルフ族の女王のガドニエルは人格者だそうだ。
そのガドニエルが、部下にエルフ娘への拷問を許し、奴隷にしてイムドリスという隠し宮殿まで連れて来させるというのは不自然だ。
このユイナの事件と、最近のエルフの森での魔獣の異常発生、そして、エルフ族の女王のガドニエルの不自然さには、やはり、関連するのかもしれない。
「まあ、いずれにしても、ここから先は、エルフ族であるあなた方の範疇でしょう。これをもって、俺たちは、ユイナのことから手を引きます。イライジャも納得してくれました。ハロンドールに戻ります」
一郎は言った。
イライジャが頷く。
「……わたしの手前勝手なお願いが、彼らを危機に陥らせたのです。ピエールという傀儡子の罠に陥りさせかけたということ以上に、ロウたちを追いかけているアスカという魔女に、居場所を教えてしまったということは重大な失敗です。とにかく、なにができるかはわかりませんが、せめて、彼らの近くで、アスカとかいう魔女から、ふたりを守る手伝いをしたいんです」
そのイライジャがバロアに言った。
バロアは大きく頷いた。
「なあ、本当に、そいつと一緒に里を去るのか?」
そのとき、プルトが寂しそうに言った。
「そうね」
しかし、イライジャはきっぱりと言った。
プルトが意気消沈したみたいになった。
「じゃあ、お元気で……」
バロアが言った。
一郎は馬車に乗り込んだ。
そのとき、イライジャだけは、ちょっと待ってくれと口にして、少し残った。
一郎は、イライジャの背中を見守りながら思った。
ただの勘だが、プルトはイライジャに恋心を抱いていると思う。初めて会ったときからそんな感じだったし、なんとなくだが、イライジャを見るプルトの態度を眺めていればわかる。
そのイライジャとプルトが検問施設の裏に消えていった。
だが、しばらくすると、イライジャは何事もなかったように馬車に乗り込んできた。
「もういいの?」
「いいわ。ありがとう、ロウ」
イライジャはすっきりとした顔をしていた。
ロウが御者台に声をかけると、すぐに馬車が動き始めた。
幌馬車になっている馬車の床に座っているのは、一郎のほかに、エリカ、コゼ、イライジャ、シャングリアだ。
ミウとマーズは、御者台のままである。
馬車が揺れ始めると、コゼが口を開いた。
「結局、無駄足でしたね、ご主人様……。まあ、ユイナという女奴隷のエルフ娘が手に入らなかったのは残念でしょうけど、その分、あたしが一生懸命にお勤めをしますね」
コゼがにこにこしながら、馬車の壁にもたれかけた一郎に寄ってきた。
そして、一郎の胸に身体をしなだらせる。
「すぐにそうやって、ロウ様に甘える──。とにかく、あんたは離れなさい──。それよりも、集中していてよ。こうしているあいだにも、アスカ様は、ロウ様を追いかけてやって来るかもしれないのよ」
「アスカって、あんたが仕えていた魔女よね」
「そうよ。あのピエールが、アスカ様の従者のパリスに、ロウ様のことを事前に報告したのは間違いないだろうし、そうだとすれば、アスカ様がそれを知らないはずがないわ。もしも、ピエールで失敗したとわかれば、自ら追ってくるかも……」
エリカがコゼを睨んだ。
一郎は微笑んだ。
「いやいや、いいよ、エリカ……。言おうと思ってたんだけど、いつ来るかわからないアスカのことを警戒して、ずっとそうやって神経を尖らせたままいるつもりか……。いいから、ゆっくりしてろよ」
「そんなわけには……。アスカ様なのか、パリスなのかはわかりませんが、ロウ様が狙われているのは改めてわかったのです」
エリカが不満そうに言葉を続けようとしたが、一郎はそれを遮った。
「アスカなんて、かなりの気紛れ女なんだろう? 俺たちのことなんて、実際には、大して気にしてないさ。そもそも、俺たちがハロンドールの王都を拠点にしているというのは、以前から、向こうには伝わっていたはずだ。そういう意味では、なにも変わっていない」
一郎は言った。
ずっと前だが、一郎たちの居場所が判明して、アスカ城から、クライドとボニーという能力者を送りこまれたことがある。そのときには、一郎とエリカが殺されたという偽装工作したが、その後、
だが、結局、あれから二度目の刺客が派遣される気配もなかった。
いずれにしても、ピエール、パリス、アスカが繋がっているのであれば、一郎たちの存在はアスカまで伝わっているのかもしれない。
しかし、それは、これまでの状況と変わりない。
変化があったことといえば、パリスというアスカの従者、あるいは、ガドニエルの側近のアルオウィンというのが、ユイナの所持している魔道書のことで、一郎を探しているという情報が得られたくらいだろう。
なんのことか、まったくわからないが……。
とにかく、アスカがまだ、怒り狂っていて、もしも、いまだに一郎とエリカのことを必死に追いかけようとしているのであれば、他人に任せるというのがしっくりこない。
本気のアスカだったら、自らやってくるか、少なくとも、もっと大物を寄越しそうな気がするのだ。
そもそも、今回のことは、アスカが黒幕なのか?
なんとなく、腑に落ちない。
「そうでしょうか……。いえ、そうだとしても、パリスが……」
「とにかく、アスカから狙われているのは、以前も同じだった。だから、なにか状況が変化したわけじゃない。油断するわけじゃないが、これまでどおりでいいさ」
「でも……」
「いいから来いよ……。お前をだっこさせてくれ。心配してくれてありがとう」
一郎はコゼを片側に動かして半身を空けると、エリカを手招きした。
エリカはさっと顔を赤らめて、胡坐にしている一郎の脚にちょこんと乗るようにしてきた。
「なによ……。ご主人様に呼ばれたら子犬のように嬉しそうに……。アスカとかいう魔女を見張るんじゃないの? さっさと警戒に戻りなさいよ。そうだ。外で警戒しててよ」
反対側に座っていて、エリカと密着するようになったコゼが、エリカへの嫌味を口にした。
「あ、あんたに言われたくないわよ──」
エリカがぷっと頬を膨らませる。
一郎は嘆息した。
「本当にお前たちは、すぐにそうやって喧嘩して……。そうだ──。ちょっと仲良くなるような遊びをするか。これから、ここでふたりで責め合え。相手の手を払いのけたらだめだぞ。相手の責めはただ受けるんだ。そして、自分がいくよりも早く、相手をいかせたら、勝ったほうだけを犯す。その代わり、負けた側は、今夜は抱かない。自慰だけをして寝るんだな」
一郎がそう言うと、エリカとコゼが、ぎょっとしたように顔を見合わせた。
しかし、すぐにお互いに相手の身体に服の上から手を伸ばした。
一郎の膝の上に乗ったまま、お互いに相手の股間や胸に手をやって、淫らに動かし始める。
「き、汚いわよ……。ぴ、ぴあすに、触らないでよ──」
「な、なにが汚いのよ……。う、うわっ、ああっ、あ、あんた……ズ、ズボンに手を……」
「んふうっ──。ず、狡いって、言ってんじゃないのよ──」
淫らに声を出しながら、目の前で必死に悶えを我慢し始めるふたりの姿に、一郎は思わずほくそ笑んでしまった。
「相変わらずねえ、あんた……。呆れるわ」
イライジャが嘆息した。
「呆れるのはエリカとコゼだ──。わたしは除け者か? 狡いぞ、ふたりとも──」
一方で、反対側の馬車の壁にもたれていたシャングリアが不満そうな声をあげた。
一郎は笑ってしまった。
「……ところで、イライジャ、馬車の誘導の指示を頼む。行先はナタルの森の深奥……。エランド・シティだ。場合によっては、エルフ族の女王に会いに行こう。ただ、しばらくは、ハロンドールに戻る進路をとってくれ。そして、適当なところで方向を変える。偽装工作だ」
一郎は言った。
「えっ?」
イライジャが意外そうな顔をした。
それだけじゃなく、目の前でお互いを責め合っていたエリカとコゼまでが、驚いてその手をとめてしまった。
「えっ、ハロンドールに、帰るんじゃないんですか、ご主人様?」
「まだ、ユイナを追いかけるのですか?」
コゼとエリカが一郎を凝視した。
「もちろんだ──。ハロンドールに戻ったと思わせたいから、里の中ではずっとそう言っていただけだ。一度受けた限りは簡単には依頼は投げ出さないよ。ユイナを奴隷にして引き取る。それがイライジャの依頼だ……。ちょっと状況が変化したけど、とにかく、追いかけようじゃないか。これも乗りかかった船だ」
「で、でも、ロウ様──。ユイナはエルフ女王のガドニエル様のところですよ。しかも、アスカ様だって、絡んでいるかもしれないし……。この一件に、これ以上関われば、今度こそ、ロウ様の存在がアスカ様に知れてしまいます。危険です──。よくわからないですけど、古文書とかのことで、ロウ様を探している気配だし……」
エリカが真剣な口調で言った。
「知れて結構だ。こう言っちゃなんだけど、あのときはいざ知らず、いまの俺は、相手がアスカでも負けないと思う。襲ってくれば、返り討ちにして、尻の穴を犯してやる。エルフ族の女王だって同じだ──」
一郎ははっきりと言った。
エリカとコゼは唖然としている。
「まあ、あんたって、やっぱり頼りになるわ──。ロウ、ありがとう──」
そのときだった。
イライジャが感極まったように、一郎に抱きついてきたのだ。
そのため、エリカとコゼが突き飛ばされるようになって左右に押しのけられたかたちになる。
「うわっ」
「ひっ」
ふたりが尻もちをついて悲鳴をあげた。
しかし、イライジャは意にも介さない。
一郎に抱きついて、頬に頬を擦りつけてくる。
「ああ、本当はそうして欲しいと思っていたんだけど、そこまでは口にしてはならないと思っていたのよ……。嬉しいわ、ロウ──。でも、無理はしないでね。お願いよ……」
「お、おい、イライジャ……」
イライジャはすごい迫力で一郎に甘えてくる。余程に嬉しいみたいだ。
「しかし、あんなのでも義理とはいえ、妹のようなものなの。とんでもないことに巻き込まれたんなら、助けてあげたいわ。ああ、感謝するわ、ロウ。ねえ、なにして欲しい? なんでもするわ。縛る? 淫具? いまはなんでも受け入れる。感謝、感謝、感謝よ、ロウ」
イライジャが力一杯に一郎を抱き締めてきた。
演技ではなく、本当に感動してくれているようだ。
一郎にはそれがわかった。
「ちょっとぉ──。なにすんのよ──。あたしとエリカがご主人様にだっこしてもらってたんだから──」
一方で、突き飛ばされたかたちのコゼが憤慨して怒鳴った。
「あら、いたの? 気がつかなかったわ。ごめんなさい」
イライジャが一郎の首にしがみついたまま、悪戯っぽく舌を出した。
「気がつかなかったじゃないわよ──。いたわよ──。ちょっと、どきなさいってばあ──。そこはあたしの席よ──」
コゼが割り込んできた。
しかし、一方のエリカは、諦めたように息を吐いた。
やはり、エリカは、イライジャには逆らえないようだ。
そして、コゼがイライジャを押し避けるように、一郎の膝の上に割り込んできた。
ついさっきの態勢から、エリカがイライジャに交代した感じだ。
「だったら、さっきのする?」
すると、イライジャがにやりと笑った。
「さっきの?」
「この人が言ったでしょう。先にいった方が負けで、勝った方がこの人に可愛がってもらうのよ。勝負しましょう」
イライジャがコゼをぐっと捕まえるように抱き締めた。
コゼの顔がぎょっとなった。
以前、イライジャに百合責めをされて以来、コゼはイライジャの百合の責めにはかなわないことを悟ったようであるのだ。
とっさに逃げる体勢になった。
しかし、そのコゼをイライジャが羽交い絞めにして、床に押し倒した。
「うわっ、ちょっと──」
一郎の膝の下から転がったコゼの上に、イライジャが馬乗りになる。
イライジャがコゼの両手を掴んで床につけさせた。
「な、なにすんのよ──」
コゼが必死に逃げようとする。
面白そうなので、一郎はさっと粘性体を出して、コゼの両手を馬車の床に粘着させた。手だけじゃなく、足首も拡げた状態で粘着させる。
大の字に手足を拡げた格好である。
コゼが目を見開いた。
「い、いやあ、ご主人様――」
コゼが悲鳴をあげた。
「あら、ありがとう、ロウ──。これでたっぷりと愉しめるわ。だったら、ユイナの面倒を見てくれるお礼に、わたしの技をお見せするわね。じゃあ、そういうことで、コゼ」
イライジャがお道化た口調で笑いながら、手でコゼの股間と胸を触り、さらに唇をうなじに触れさせだす。
「な、なにがそういうことよおお――。んひいっ、ご、ご主人様、これはないです──。た、助けてください──」
コゼが真っ赤な顔で悶えだす。
だが、こうなったらどうしようもないだろう。
それに、一郎はなんだかんだと言いながら、まだ、イライジャの本格的な百合の技を改めて見たい気もする。
それに、美女同士の絡みというの、いつだって淫靡だ。一郎も愉しみだ。
「いいじゃないか、コゼ。あとで、死ぬほど俺も可愛がってやるから」
一郎はうそぶいてから、空いた身体にエリカとシャングリアを招き寄せる。
ふたりが嬉しそうにやって来る。
「後なんてあるかしらね、コゼ? あのときの夜のこと覚えてる。その次の機会の夜も……。あんたって、わたしの相手をするたびに、お願いだから許してくれって泣き喚くわよね。今日は、もっと可愛がってあげるわ。気絶しなかったら、ロウに抱いてもらうといいわ」
イライジャが意地悪い口調でコゼをからかいながら、コゼのズボンを股の下くらいまで下げた。
指がいやらしく、コゼの下着の内側で動いているのがわかる。
コゼが身体を弓なりにしてもがいている。
「な、なにか、とても騒がしいと思ったら、お姉さんたちばかり狡いです……」
そのとき、ミウが御者台から駆けるようにやってきた。
エリカとシャングリアを悪戯している一郎に、ミウまで割り込んでくる。
「わかった、わかった──。全員、気持ちよくしてやるから──。だったら、ミウはフェラチオの練習だ。エリカとシャングリアは右手首を左手で背中側で持って膝立ちしろ。俺がいい気持ちになって、ミウに精を放つまでいくなよ。ちゃんと我慢できたら、ご褒美に犯してやろう。その代わり、我慢できなかったら、罰だ」
一郎はふたりから手を離して、一方でミウの顔を股間に寄せる。
ミウは小さな手で一郎のズボンから一物を露出させると、すぐにぱくりと口に咥えて、ぺろぺろと舌を動かし始めた。
「そ、そんな、我慢だなんて……」
「そうだ。無理だ」
エリカとシャングリアが抗議の声をあげた。
しかし、さらに強要すると、結局は、ふたりとも目の前で言われたままの体勢になる。
一郎はふたりのスカートの中に手を伸ばして、下着の上からふたりの秘部をまさぐりだす
途端に、ふたりともびくりと身体を震わせて、ぴんと身体を伸ばしたような仕草をする。
「んふうっ、はあっ」
「ああ、ああっ、あっ」
シャングリアもエリカも甘い声を出し始めた。
「んぐううっ、あああっ、あふっううう」
また、そのとき、床に磔になっているコゼが、イライジャに責められて、早くも気をやった。
拘束されている身体を弓なりにして、がくがくと震えている。
イライジャの手は、コゼの下着の中だ。
いや……。
違う──。
いったと思ったが、ぎりぎりで留まさせられている。
絶頂寸前で、刺激をとめられたというのが一郎にははっきりとわかった。
「ああっ」
コゼが切なそうに歯噛みした。
だが、脱力したようになったコゼを、すぐにイライジャが責めを再開する。
休むことさせずに寸止め責めか……。
あれは、つらいだろう。
一郎はふたりを眺めながら思った。
「も、もう駄目……。い、いきそうです、ロウ様──」
その時、エリカが悲鳴をあげた。
シャングリアもかなり追い詰められているが、感じやすいエリカは、もう追い詰められている。
「罰はそうだな……。素っ裸で馬車の外を歩いてもらうか……。まだ明るいぞ。それが嫌なら、死ぬ物狂いで我慢しろ」
一郎は笑った。
「そ、そんなあ……。あっ、んんん……、んんっんああはっ」
エリカが歯を喰い縛る仕草をしたが、次の瞬間、呆気なく絶頂をしてしまった。
一郎は笑った。
「いったな。じゃあ、首輪と縄で馬車の後ろに繋げてやる。しっかりと、ついて来いよ、エリカ……。まあ、数タルノスで許してやるから」
一郎はにんまりとした。
エリカは、顔に恐怖の色を浮かべて、引きつらせている……。
「心配するな、エリカ……。どうせ、シャングリアももたない。ふたりして、全裸歩きをしろよ。美女二人の太陽の下での全裸歩きも愉しみだな。ふたりとも身体を隠せないように、後手縛りにしてやる。これくらいすれば、俺たちがハロンドール方向に戻ったのは評判になるだろうさ」
一郎は笑った。
そのあいだも、シャングリアの股間で指は動き続けている。
「んんんっ、は、早く──、ミウ──」
シャングリアが快感を逃がそうと、必死の様子で首を左右に振びながら叫んだ。
しかし、まだ、覚えたての稚拙なミウのフェラチオで、一郎が簡単に達するわけがない。
もともと、シャングリアを指だけで絶頂させるのも、一郎がわざと先に達することも自由自在なのだ。
このまま射精して、エリカだけ裸で歩かせるというのも面白いか……?
いや、あるいは、不甲斐ないフェラの罰ということで、股間で頑張っているミウを裸で歩かせてもいいか……
それとも、三人とも……?
一郎は、シャングリアの秘部に指を潜らせながら、どうしてやろうかと、ちょっとばかり頭を捻らせた。
「うううっ、はあああっ」
そのとき、床の上に磔にされているコゼが、イライジャの責めに大きな呻き声をあげながら、全身を弓なりにしている。
いや、今度も寸止めだ。
確かに、なかなかの性技だ。
「ふふふ、そろそろ、頭に血が昇ってきた、コゼちゃん? でも、まだまだ、休めないわよ」
イライジャが興に乗ったように笑った。
「あああっ、だめええっ──」
そして、シャングリアがついに気をやった。
一郎はシャングリアの股間から手を抜き、エリカとともに、素っ裸になるように命じた。
がっかりした表情になりながらも、ふたりとも観念して服を脱ぎ始める。
ふたりの白い肌が露わになっていく。
まあ、今日は、思い切り羽目を外すことにしよう──。
いつになく、夢中になってコゼに悪戯をしているイライジャも、そんな気分なのだろう。
一郎は、ミウの奉仕を受けながら、そう思った。
「さて、じゃあ、エリカとシャングリアは、全裸のまま外に行け。趣向を凝らした羞恥責めをしてやろう」
一郎はふたりを促すとともに、ふたりのクリトリスに感覚を繋いだ刺激玉を二個作った。
この玉を刺激すれば、首輪で繋がれて、外を歩くふたりの股間に、玉が受けた刺激が、そのまま、ふたりの股間に伝わるという仕掛けである。
これをどう使うのか?
それはお愉しみだ。
とりあえず、一郎は、収納術で首輪を出してふたりの首にする。それなりに長い鎖も繋いでいる。
「マーズ、一度、馬車をとめてくれ。エリカとシャングリアが降りる」
一郎は馭者台に叫んだ。
ふたりが顔を蒼くした。
「んっ、んっ」
一方でミウの口による奉仕はまだまだ続いている。
そして、コゼが泣くような声でまたもや、悲鳴をあげた。
まあ、このまま、悪ふざけのままでは、危険な森は進めないし、潮時はわきまえているつもりだ……。
まだ、里に近い地域に限った、ほんの数分だけだ。
すぐにやめる。
しかし、それは今ではない──。
一郎に促されたエリカとシャングリアが、白い裸体を必死で手で隠しながら馬車の後ろから降りていく。
「ミウ、ちょっと中断だ」
「は、はい」
一郎は童女による口奉仕をやめさせると、座る場所を場所の一番後ろに変えた。
全裸歩きさせるふたりがよく見える位置だ。
ミウの奉仕を再開させる。
また、一郎は、粘性体を腕のように使って、ふたりの首輪に繋いだ鎖を幌馬車の後ろに接続した。
「マーズ、馬車を出せ」
一郎はマーズに命じた。
そして、エリカとシャングリアの両手に粘性体を飛ばすと、強引に後ろ手にして拘束する。
「いやっ」
「ああ、ロウ──」
ふたりが悲鳴をあげた。
そして、馬車がゆっくりと進みだした。馭者のマーズに叫んで、本当に遅い速度にさせる。
次に、粘性体で長い紐を作ると、さっき作った刺激球を二個ともその紐に繋ぐ。
紐の端を幌馬車の後ろに密着して、刺激球を繋いでいる紐の長さが、丁度地面を引きずるくらいに調整して、ひょいと馬車の下に放った。
これも粘性体を使った遠隔操作だ。
「ほら、頑張れ」
また、いまだに一心不乱にフェラチオしているミウの頭に手を置いて撫でる。
ミウが嬉しそうに笑った。
「んふううっ」
「ひやああ、なに、なにが起きたのだ」
一方で、刺激球が地面をかたんかたんと引きずられだすと、その刺激球にクリトリスの感覚を繋げられているエリカとシャングリアが、悲鳴をあげて、がくりと腰をその場で崩した。
「あっ、あふうっ、だ、だめえっ」
エリカがほとんどしゃがみ込むばかりに、裸体をくの字に曲げる。すでに愛液が膝まで垂れている。
いつもながら、感じやすい身体だ。
「あっ、エリカ」
横のシャングリアが声をあげた。
「しっかりな。愉しませてくれたお礼に、気絶するまで犯してやるから」
一郎はにやにやと笑ってしまった。
そして、淫魔術で、シャングリアの膀胱を水分でいっぱいにする。
別に理由はない。
気まぐれだ。
ただ、シャングリアのような美貌の女騎士が素裸で馬車に引きずられながら、おしっこをするのを見たいと思っただけだ。
「うわあっ、んくうっ」
今度は、シャングリアが悲鳴をあげた。
エリカの絶頂が早いか、シャングリアのお漏らしが早いかだな……。
それとも、シャングリアもいくかな。
まあ、シャングリアが放尿してしまったら、許してやるか。
「ひいっ」
「ああっ、だめえええっ」
そのとき、ふたりが同時に声をあげて、裸体を弓なりにした。
馬車が引きずっている刺激玉で、大きな刺激が股間に加わったのだろう。
「もう、やめてええ」
今度は馬車の奥側からコゼの悲痛な声が聞こえてきた。
イライジャの悦にはまったような笑い声も……。
「ミウ、ただ舌を動かすだけじゃなく、口をすぼめて性器のように前後に動かしたり、それとも、睾丸をしゃぶったりしてみろ。なにがなんでも、俺から精を出すんだ」
「んんっ」
ミウが一郎の一物を咥えたまま大きく頷き、一転して激しく口を動かしだした。
(第16話『いなくなったエルフ娘』終わり)