【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】 作:ドン・ドナシアン
「イットの身体はすごいね。全身が性感帯のように敏感だ。それがよくわかるよ」
一郎は、再びイットに手を伸ばした。
また、今度は慎重に、粘性体で四肢を拘束するや、硬度を上昇させて、金属のように固くする。
さすがに、今度は引き千切れないだろう。
身体への愛撫を加える。
しかも、力が入らないように、イットの尻尾の付け根を粘性体で激しく淫らに振動させ続ける。
「あっ、ああっ、ああっ」
イットの悶えが急に大きくなる。
一郎は倒れているイットの頭側から身体を覆わせて、唇を身体に比して豊かな胸にある小さなイットの乳首に当てる。頭側から抱きついたのは、脚側からだと、万が一、さっきみたいに粘性体から抜け出されたときに、蹴られそうだからだ。
イットの蹴りをまともに喰らえば、一郎は即死する自信がある。
「あっ、あっ、あっ、ああ……」
だが、さすがに全身に力が入らない状態で、さらに敏感な尾の付け根を刺激されては、イットは粘性体から逃げる力はないようだ。
一郎が胸の中心から吸いあげるようにしても、身体を左右に揺さぶるだけだ。しかも、どんどんと脱力していくのがわかる。
かなり、敏感な性質みたいだ。
「うふううっ」
イットが声を放った。
一郎はそのまま、舌をイットの小さな胸の裾野まで這わせながら、両手でイットの豊かな乳房を包むようにした。
「はああ、あああっ」
イットの口から狼狽するような深い吐息が漏れだしていた。
「はああ、あああっ」
イットの身体が最後の力を振り絞るかのように、大きく跳ねた。
一郎は、ねちっこく揉んでいた乳房から手を離すと、今度は頭側から押さえつける体勢から、身体の横から覆うようなかたちに変える。
一郎の知識であれば、前世の「横四方固め」というところだろうか。
もっとも、一郎に柔道の心得があるわけじゃない。
ただ、この体勢であれば、乳房を舌で愉しみつつ、指でイットの股間を悪戯することができるということだ。
「うわあっ」
一郎の指が股間に届くと、まるで刃物で斬られらたかのような悲鳴をイットがあげた。
イットの股間は、この少女が驚くべきほどに敏感な身体を持っている証拠に、たっぷりの愛液で濡れている。
一郎の指は、あっという間にイットの股間の中の弱点を探り当て、そこを腹側に押し揉むように動く。
「きひいいっ」
イットは泣くような声をあげて身体を暴れさせた。
しかし、さすがに股間に指を挿入された状態では、非力な一郎に対しても逃げられるわけでもなく、しかも、獣人族の女の弱点であるらしい尾の付け根を一郎の悪戯で粘性体によってバイブ振動を与えられている。
それにしても、獣人族の娘の尻尾の付け根に、こんなにも強い性感帯があるなど、本当に面白くて未知の発見だ。
一郎はさらにイットへの責めを続けた。
彼女の強さは知っている。
だが、それが嘘のように、いったん責められると、こんなにも抵抗できなくなるのだ。
まずいな……。
この反応……。
一郎には、このイットの反応がどうい性質のものであるかを知っている。
簡単な愛撫だけで、望まない快感を無理矢理に引き出してしまうように躾けられた「女」の反応だ。
つまり、調教されたのだろう。
一郎自身、そういうことが趣味なので十分にわかっている。
しかも、マゾだ。
粘性体で拘束をしてから、この反応が飛躍的にあがった。
いまは、絶頂させないように、手加減するのが大変なくらいだ。
「じゃあ、このあたりで、一回いっておくか?」
一郎は軽くイットの中の指をすっと突きあげるように動かした。
「ああ、いやああっ」
イットの激しい声が響き渡った。
そして、首を仰け反らせるようにして、身体をがくがくと震わせて脱力する。
絶頂をしたのだ。
かなりの潤沢な愛液が股間から噴き出すように出てきた。
なかなかにすごい……。
「もう、抵抗はなし?」
一郎はさっと身体を移動させて、イットの足のあいだに身体を入れる。
イットがはっとした様子で顔色を変えたのがわかった。
「んっ?」
一郎は思わず声をあげていた。
イットの片膝が胴体側に引きあがりかけている。粘性体がそこだけ緩みかけていたのだ。
なにかの力が急激に、イットの片足に集まっていっていて、数瞬だけのようだが、恐ろしいほどの怪力がイットの片足に走っている気配だ。
もしかして、筋肉を一瞬にして短時間、増幅する能力か?
この技でさっきも粘性体から脱出したのか……。
とにかく、イットが一郎に膝蹴りをしようとしているのはわかった。
「ご、ごめんなさい──」
抵抗は本意ではないのだろう。
他人に犯されそうになったら徹底的に抵抗しろという命令を受けているイットだ。
一郎を受け入れる受け入れないの心に関係なく、イットには全力で一郎を拒むしかない。
「いや、謝らなくていい。君のような可愛い獣人戦士を強姦するというのは愉しい遊びさ」
本来であれば稲妻のように鋭いイットの蹴りかもしれないが、達したばかりの力の抜けた状態では、力は十分には出ないようだ。
それで一郎にも、あっという間に粘性体を強化して捕まえ直すことができた。
一郎は、イットが一郎を蹴り飛ばすために膝を曲げた状態に降り曲がった瞬間に、粘性体で足全体を包んだ。
これで、イットは脚を伸ばせなくなってしまったということだ。
「う、うわっ」
イットが狼狽えている。
一郎はすかさず、残っている脚も、同じように折り曲げた状態で拘束してやろうとした。手を伸ばして脚を抱え込む動作をする。
「ちょ、ちょっと……」
さすがにそれは恥ずかしいのか、イットの抵抗が身体だけでなく、心からのものになった感じになった。
だが、腰の下にさっと手を差し込んで、振動を与えられている尻尾の付け根を手で掴む。
指でゆるゆると愛撫する。
急激にイットの快感が上昇していくのがわかる。
イットの小さな身体が限界まで弓なりになった。
「んふううっ」
そして、がくがくと身体を震わせて、再びまとまった体液が股間から噴き出す。
二度目の絶頂だ。
イットの全身が脱力する。
「これでもう抵抗の手段は完全にないな」
一郎は蛙が裏返しにされたような無防備の恰好になったイットの股間に怒張を当てる。
「な、なんで、あなた様は、そんなに強いのですか……?」
イットの呆然としたような声がした。
確かにそうだな……。
一郎も思った。
こんな強戦士を粘性体の術とはいえ、ここまで手玉に取れるのは我ながら不思議だ。
「さあなあ……。俺自身も自分の弱さは自覚しているが、いざ、性行為となれば、我ながら神がかりな動きができるから不思議だ……。ところで、挿すよ……」
「んふうううっ」
一郎の怒張が突き挿さると、イットは身体を弓なりにして高い声で喘いだ。
すぐに、律動を始める。
もはや抵抗の手段を失っているイットは、もうなすがままだ。
腰の動きを速めたり、遅くしたりして呷りながら、三度目の絶頂に追い込む。
「んんあああっ」
やがて、イットが吠えるような声をあげて、再び全身を震わせた。
一郎はそれに合わせて、最初の精を注ぎ込んだ。
「ああ、あああ、あああ……」
イットの声が続いている。
一方で、一郎はイットの心を鷲掴みにする確かな手ごたえを感じていた。
そのとき、ぱんとイットの首で音がした。
奴隷の首輪が外れたのだ。
「えっ?」
さすがにイットもそれに気がついて目を丸くしている。
それとともに、あれだけ激しかったイットの抵抗の態度が一気に消滅してしまったのがわかった。
「……な、なんで……?」
イットは奴隷の首輪が外れたということが信じられないようだ。
「淫魔師だって言っただろう? もう少し我慢しろ。すぐに呪いも消す。なにもかも、俺に委ねるんだ」
一郎は、イットの身体の粘性体を消滅させた。
もう、イットは抵抗をしないという確信があった。
抵抗の命令が消えた以上、イットは一郎を受け入れてくれるものと思う。
そのとおり、イットはもう一郎に逆らう素振りを見せない。
挿入したままの一郎を受け入れる態度になる。
「後ろを向け」
一郎は貫いたままのイットの身体を反転させると、今度はバックからイットを突いた。
イットの房毛の尾が一郎の腰とイット自身のお尻に挟まれる格好になる。
一郎はちょうどイットの尾の付け根が当たるように、後ろから腰を押しつけた。
お尻には、尻尾を中心に丸い体毛がある。
それがいかにも、亜人種を犯すようで興奮する。
一郎は両手を伸ばして、乳房をぐっと掴んだ。
「はああっ」
中腰だったイットが耐えられなくなったように、完全に膝を折って、両手を地面につける。
一郎は再び律動を再開した。
「うあああ、お、お願いですうう、あああっ」
一郎はぐいとイットの身体を垂直になるまで引きあげた。
「こんな角度もいいだろう?」
「はあああっ」
イットの悲鳴があがる。
やはり、感じやすぎるくらいに感じる身体だ。
全身をエクスタシーに痺れ切らせたイットの快感をあがった状態で固定する。
これで、イットは絶頂した状態のまま、さらに快感を引きあげることはできても、おりてくることはできない。
別に意味はないが、この獣人少女が狂乱する姿を眺めたかっただけというのが本音だ。
「な、なにこれ、なにこれ。え、ええええ……、ああああ……」
我を忘れた感じのイットが一郎に背後から貫かれたまま暴れまくる。
一郎は、二射目を注ぎ込みながら、慎重にイットに刻まれている「呪い」を解除していった。
*
身体が揺れていた。
イットは朦朧としていた状態から、はっきりとした意識を拡幅させた。
一瞬、ここがどこだがわからなかったし、なぜ身体が揺れているのかもよくわからなかった。
「ああ、気がつきましたか?」
声がかけられた。
視界にまだ幼さが残る感じの人間族の美少女の顔が映った。
ローブを身にまとっているので、まるで魔道遣いのようだと思った。
魔道遣い……?
いや……。
そういえば、ぼんやりとした記憶の中に、イットが
意識が混濁しているときだったので、幻かと思ったが、あれは現実……?
「どこか、痛いところところとか残っていませんか、イットさん? ロウ様からお預かりした後、一応は、あたしの治療術で完全に回復できたと思うのですが……」
その童女が言った。
そして、やっとイットは自分の状態に気がついた。
イットは動いている馬車に横になっていたのだ。身体の下には毛布のようなものがあり、その上に横たわっている。また、身体の上にもやはり、毛布が掛けられていた。
身体が揺れていると思ったのは、馬車が動いているからだ。
イットはどこかに移動している馬車の中に寝かされていたようだ。
治療術……?
そういえば、あの淫魔師を名乗った男がイットの身体を治療したと言っていたが、さらにこの幼い魔道遣いがイットを治療した?
魔道を受けつけないイットに?
「おう、気がついたか、獣人?」
別の方向から声がした。
やはり、人間族の女だった。凛とした感じの銀色の長い髪をした美しい女性だ。
「獣人はないでしょう、シャングリア姉さん。イットさんです」
ミウがたしなめるような口調で言った。
「そうだったな、イット。よろしくな。わたしはシャングリアだ。ロウの性奴隷のひとりだ。お前の先輩奴隷ということになるな。まあ、お前がそれを望めばだが……。ロウはお前については、性奴隷にしたものの、一緒に残るかどうかは自由意志に任せるとか言っていたぞ」
「じゆう、いし……?」
意味がよくわからず、ぼんやりと呟いた。
だが、はっとした。
どうして、こうなっているのかわからないが、奴隷であるイットが、見知らぬ人たちの前で、こんな風に横になって休むなど、許されることのない非礼行為だ。
慌てて起きようとした。
「わっ、わっ、わっ」
だが、急いで上体を起こしたところで、思わず声をあげてしまった。
身体をあげたことで、被っていた毛布がばさりと落ちたのだ。イットの肌が露わになる。
イットは素っ裸だった。
「えっ? どうして?」
慌てて胸を隠したものの、同時に、一気にいろいろなことを思い出した。
目の前の童女の魔道遣いが
イットは、別段、抵抗するつもりはなかったのだが、アンドレによって与えられていた「命令」により、その男に抵抗してしまった。
だが、その男はとても強くて、イットは途中から純粋に戦うことに本気になってしまって……。
もっとも、その男は、イットの本気がまるで歯が立たないくらいに強くて、ほとんど抵抗らしい抵抗もできずに、イットは犯された。
それから、イットはただひたすらに、犯される時間を過ごしただけだ。
信じられないくらいに短い時間に、繰り返して絶頂してしまい、なにがなんだかわからなくなった。
何度も何度も子宮に精を注がれ、イットはついに意識を保つことができなくなった。
まだ、頭が朦朧として、うまく記憶が繋がらないが、確か、彼の名はロウ……。
あんなに強い男は初めてだし、完膚なきまでに敗北したのも初めてだ。
あっ、そうか、これは、そのロウの馬車……。
「えっ、ええっ、傷が……?」
また、やっと気がついたが、露わになったイットの身体は無傷だった。
イットの身体は、一切の治療魔道や治療の魔道薬が受け付けない身体だ。
普通なら、安価な下級ポーションで当たり前に治ってしまう傷でさえ、イットの肌にはたくさん残っていた。しかし、少なくとも上半身に限れば、それらのすべてが消滅している。
「イットの傷は、ミウが治したのだ。ロウによれば、魔道耐性そのものは残っているが、少なくとも、同じ性奴隷仲間の魔道だけは受け付けるようになったと言っていたぞ。それと、
シャングリアだ。
イットは馬車を見回したが、幌の付いた馬車の中にいるのは、イットのほかには、シャングリアと名乗った女と、童女魔道遣いの三人だ。
ロウらしき男はいない。
「あ、あのう、あのお方は……?」
「ロウか? 御者台だ。エリカも一緒だ。お前の持ち主のアンドレとかいうのが、どうやら、よからぬことを考えている気配なので、ロウとわたしたちが仲のいいところを見せつけて、餌にするとか言っていた。おかげで、エリカはいつもの半分くらいの丈の短いスカートで御者台に座らせられているのだ。呼ぶか?」
シャングリアが言った。
エリカというのが誰のことかわからないが、なんとなく、そのロウの性奴隷のひとりの気配だ。
アンドレもそうだったが、どうやら、こっちの“ご主人様”のロウも、アンドレ同様にたくさんの性奴隷を飼っている「主人」ということらしい。
それにしても、目の前のシャングリアという女性は、まったく奴隷には見えない。
もうひとりの童女魔道遣いもだ。
一気に
「い、いえ……。それには及びません……。あ、あたしから、挨拶に行きます……」
起きあがろうとした。
だが、不自然なくらいに腰が重かった。
いや、腰というよりは全身がだるい……。
そして、さらに違和感が……。
「えっ?」
イットは手を首に持っていった。
ない。
奴隷の首輪がない……。
つまり、あれは夢ではない……。
「首輪か? そこにあるが、外に出るときにはしていろと言ってたぞ。まだ、それを勝手に外したことは、知られたくないらしい。装着するなら、ミウに言え。魔道で首に固定してくれる」
ふと見ると、割れた首輪がある。
イットは呆気にとられた。
「だけど、まだ、横になっていた方がいいですよ、イットさん……。あたしの治療術では、身体の治療はできても、疲労の完全回復というわけにはいかないのです……。それと、服です。アリアさんを通じて、向こうの人たちから預かってきました。あなたの服はもう着られる状態じゃなかったので……」
ミウが後ろから畳まれている服を差し出した。
上下の服のほかに、下着や履き物など一式揃っている。
イットはそれを受け取った。
確かに身体はだるかった。
だが、動けないというほどではない。
イットは毛布から完全に出て、衣服を身につけだした。
それにしても、奴隷の首輪を外した?
あれは幻じゃなかったのか……。
イットは混乱した。
そもそも、あれは奴隷商以外には外せないと思ってた……。
「おっ、さすがは、ロウが見込んだ獣人戦士だな。あのロウに抱き潰されて、すぐに動けるとはな」
シャングリアが横で笑った。
イットは身支度をしながら首を傾げていた。
さっきから、このシャングリアは、自分がロウの性奴隷だと口にしながら、ロウのことを呼び捨てだし、随分とぞんざいな物言いをしている。
なんだか、違和感がある。
「あのう……。あなた様は……?」
イットは童女魔道遣いを見た。
「あなた様? ええっと、ミウです」
ミウは当惑したように答えた。
とても無邪気そうなその笑顔には、奴隷特有の哀しみのようなものはなにもなく、まったく、心の影を感じない。本当に奴隷だろうか……?
「あっ、いえ、どういう立場のお方なのかと……」
「あたしも、ロウ様の性奴隷なのかという意味ですか……? ええっと……。そう自己紹介していいんですよねえ、シャングリア姉さん? あたしって、性奴隷として認められているんですか?」
しかし、ミウがシャングリアに答えを求めるように、視線を向ける。
なんだかとても不自然な反応であり、首を傾げたくなった。
「性奴隷だろう。なんだかんだで、ロウの伽を交代でしているのだ。性奴隷でなくてなんなのだ。そもそも、ロウのおかげで、魔道に開眼したのだろう。その恩恵を預かっていることこそ、ロウの性奴隷の証だ」
シャングリアが言った。
すると、ミウが嬉しそうに、「だったら、あたしはロウ様の性奴隷です」とイットに言った。
その表情があまりにも幸せそうなので、どうも調子が狂う。
「それで、いまは、どういう状況なんでしょう。そのう、あたし、ロウというお方に助けられたと思うんですけど、どうして、あたしはここにいるのでしょう?」
どうやら、瀕死のところをこの馬車の人たちに助けられたようだ。しかし、アンドレたちと一緒ではなく、こっちのロウという男の馬車の中で寝かされている理由はなんなのだろう。
「んっ? いまか? いまは、お前の元持ち主のアンドレの案内で、宿営予定地の河原とやらに一緒に向かっているところだ……。だが、ロウから聞いてないのか? お前は、あのアンドレからロウに譲られた。だから、こっちの馬車にいるのは当然だろう」
シャングリアが説明した。
イットは驚いてしまった。
だが、だんだんと頭が回ってくると、記憶もはっきりと蘇ってくる。
「あたしは、あのロウ様の奴隷になったのですか?」
あのロウがイットを助けるために支配すると言ったことは、やっと思い出した。
だが、そのまま、奴隷として引き取るという話になっていたのか?
いや、それにしては、首輪が……。
だけど、目の前のふたりにも奴隷の首輪はないようだし、もしかして、紋章奴隷になったのだろうか?
紋章奴隷というのは、首輪奴隷に対して、身体に隷属の道術紋を刻んで奴隷になるものであり、服を着てしまえば、外からでは奴隷であることはわからない。
しかし、目の前のふたりは、どうしても奴隷に見えない。
そもそも、銀髪の女性は貴族だろう。
佩いている剣に家紋があった。よく見ると同じ家紋つきの指輪もしている。
「とりあえず、ご挨拶をします、人間様。イットです。性奴隷ですが、これでも戦士であります。種族はガロイン族です」
イットは服装を整えるや、その場に正座し直して、床に頭をつけて、深々と頭をさげた。
「そんなに、かしこまるな。わたしはシャングリアだ。お前と同じで性奴隷だぞ。ロウのな」
「ど、奴隷って……。貴族様じゃないのですか?」
本当に奴隷か?
絶対にそうは見えない。
最初に売られた分限者のところにいるとき、本物の貴族と何度も会っているので、貴族かどうかはなんとなくわかる。
「爵位か? わたしはモーリア男爵家の一門の出だが、わたし自身は騎手爵だな。だが、貴族に興味があるのか? 爵位を訊ねられるなど久しぶりだ」
シャングリアが笑った。
やっぱりだ。
危なかった。
貴族にしては威張った様子もなく、型破りな感じだが、思った通り奴隷なんかじゃない。
でも、だったら、どうして自分たちを奴隷などと自己紹介するのだろう?
「さっきも言いましたが、あたしはミウです。ハロンドールの王都の見習い神官ですが、この度のロウ様の旅に同行して、寵愛を受ける幸運を受けているところです」
ミウが言った。
ハロンドールといえば、イットたちが主に活動しているローム三公国の隣国になる。
だが、見習い神官?
彼女もだ――。
奴隷って言ったくせに、本当は違うようだ。
紋章奴隷でもないということか?
「ほかにも、エリカ姉さんが御者台でロウ様と一緒で、とてもお綺麗なエルフ族の女の方です。さらに仲間にはコゼ姉さんがいて、いまは馬車の外で警護をしながら歩いています。マーズとイライジャさんというおふたりもいるのですが、ロウ様の言いつけで、ここから一番近いエルフ族の里に向かわれています。とりあえず、ここには六人のロウ様にお仕えする性奴隷がいて、イットさんを含んで七人になったところです」
ミウが言った。
みんな奴隷?
どういう意味で使っているのだろう?
イットはすっかりと混乱してしまった。