【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】 作:ドン・ドナシアン
“イット
獣人族(ガロイン族)、女
年齢:15歳
ジョブ
勇者(使徒)↑
戦士(レベル80)↑
生命力:800
攻撃力:
2500↑
経験人数
男16↑、女2
淫乱レベル:S↑
快感値:200(通常)
特殊能力
魔剣(**):未覚醒↑
状態
一郎の性奴隷↑
攻撃魔道耐性↑
淫魔師の恩恵↑
*
「えっ、勇者ですか……? 使徒?」
エリカはきょとんとした表情になった。
「うん。ちょっと、知りたくってね」
とりあえず、自分のステータスに“クロノス”などというジョブが現れたことは黙ることにした。
そもそも、エリカにも、一郎に魔眼の能力があることは仄めかしているが、他人の能力や所持品などのすべてがステータスとして覗けるなどとは、はっきりとは言っていない。
また、“クロノス”などという得体の知れないジョブだが、この世界におけるクロノス伝承のことを考えると、なにかとてつもないことのように思うのだ。
とにかく、その正体がわかるまで、そっとしておきたいという気分だ。
「……ううん……、勇者というのは……、勇気がある人という意味じゃないでしょうか……。使徒は……どこかで、うう……。確か、女神様たちに直接にお仕えする聖霊たちをそう呼んだような……。いえ、天空神に仕える女神たちのことをそう言ったかも……。申し訳ありません。あまり、神学のことは詳しくなくて……。あまり、孤児院で勉強しなかったので」
エリカは首をひねりつつ、顔を赤らめて言った。
あまり知らないようだ。
だが、少なくとも、“使徒”というのは神学用語か……。
ミウは知ってるかな?
まあ、別段、すぐに知りたいという気持ちもないから、王都に戻ってから、スクルズに訊ねてもいいか……。
いずれにしても、天空神というのは、クロノスの別名なので、まさか、神になったという意味でもないだろう。
しかも、淫魔師のレベルが“100”だ。
まあ、あのステータス表示以外に、なにかが変化した感覚はない。
エリカは、一時はアスカの側近のようなものをやっていた関係で、ちょっとばかり、この世界の人間でも普通には知らないことをよく知っていたりするから、訊ねたのだが……。
「いや、アスカのところで、そんなジョブのことを耳にしなかったかと思って……」
「じょぶ……?」
エリカは首を傾げている。
あれ?
もしかして、ジョブという概念はないのか?
いや、そんなことはないだろう。
しかし、一郎が「淫魔師」というジョブであることは理解していたし、「魔道遣い」や「魔道戦士」とかいうジョブのことも理解していた。
あるいは、「ジョブ」とは別の言葉を使っているのだろうか……?
また、「魔道耐性の呪い」となっていた状態欄が「攻撃魔道耐性」に変化している。よくわからないが、ミウの治療術もあっさりと受けつけるようになったし、これまで、すべての魔道を弾いていたものが、悪意のある攻撃魔道のみ弾くことになったとみなしていいのだろうか?
だが、一郎が精を注いだだけで、どうしてこんなにも、ステータスが変化したのだろう?
まあいいか……。
とにかく、淫魔師として、イットを支配したことが原因とは思うが……。
いずれにしても、イットの戦士としての能力向上は、異常としかいいようがない。
だけど、未覚醒の魔剣って、なんだ?
イット自身には、なにかわかるだろうか?
「あのう……。あたしにも、なにかをさせてもらえないでしょうか、ご主人様……。あたしがご主人様の奴隷になったのだということはわかりました。でも、新参者のあたしが、なにもしないで座っているだけというのは心苦しくて……。皆さま、食事を作ったり、見張りをしたりと、色々しておいでなのに……」
そのとき、イットが声をかけてきた。
イットのことを話していたのだが、自分のこととは考えていなかった気配だ。
とりあえず、一郎とエリカの話が一段落したので、口を挟んできた感じだ。
それはともかく、イットに指示しているのは、しばらく、馬車の中で大人しくしていろということだ。
身体のこともあったし、離れているとはいえ、アンドレにイットが元気になったことを知られるのも癪だ。
しかし、ここにいる女たちは、一郎以外は全員がばたばたと動いている。
イライジャとマーズが、商業ギルドの支部のある近くのエルフの里まで行っているといういのは教えていたし、シャングリアも見張りだ。
エリカとコゼは、不穏な動きのあるアンドレを探らせに向かわせ、いまは、戻ってきたコゼとさらにミウが改めて食事の支度をしている。
ずっとなにもしていないのは、一郎とイットくらいのものだ。
それが落ち着かない気持ちにさせるようだ。
生真面目な性分なのだろうか。
「いいのよ、イット――。あなたは、数ノス前まで死にかけてたのよ。いまは休みなさい」
エリカがイットに言った。
その顔はなにか険しい。心配しているのだとは思うが……。
「いえ、丈夫で回復力が高いのが、あたしたち獣人族ですから……。何でもしますので、なにかさせてください。お願いします、エリカ様」
「いや、呼び捨てでいいわよ……。それよりも、何でもするって……。イット、そんな物言いは……危険よ……」
エリカが赤い顔して、イットに物を言いたげに身じろぎした。
一郎はくすりと笑ってしまった。
エリカがなにを考えたかは、わかっている。
一郎を前にして、暇だからなにかをさせてくれなどと口にすれば、決まって、一郎は女たちを相手に嗜虐の悪ふざけをしてきた。
だが、一郎とミウの治療術で治したとはいえ、数ノス前までは、イットは瀕死の重傷だった。
一郎もさすがに、今日は無理をさせるつもりはない。
自覚があるだけに苦笑するしかないが、一郎のことを危険人物扱いとは酷いものだ。
「なにが危険なんだ、エリカ?」
だが、一郎はわざと気を悪くしたように、エリカを睨んでみた。
エリカがびくりとする。
「い、いえ……。な、なんにも……」
「それよりも、また手で隠したぞ。そのままにしてろと命じたじゃないか」
「えっ? あっ、すみません」
エリカが慌てたように、前に置いていた手を横にどける。とっさに動いたとき、エリカの両手が無意識だとは思うが、さっと前を隠すように移動していたのだ。
「罰だな。動くなよ」
一郎は亜空間から、一本の細い棒を取り出した。
特性の嗜虐棒であり、淫気か魔力を注げば、先端の部分がバイブレーターのように、振動や蠕動運動をする仕掛けになっている。長さも可変式だ。
もちろん、少し前に、スクルズに作らせたお手製の性具である。
そういえば、スクルズはどうしてるだろう。
あんなに地位の高い神官のくせに、一郎の馬鹿げた淫具作りの要求に、いつも嬉々として引き受けてくれた。
お礼は、抱いてくれればいいと、いつもにこにこして答えてくれたものだったが、スクルズを抱いて、一郎がなにかの代償を渡すならともかく、逆なのだから、スクルズとしてもただ働きもいいところだろう。
しかも、淫具作りは、それなりに資金がかかったりもする。
この馬鹿馬鹿しい責め具だって、魔力を集めるための魔石の欠片が入っていたりするのだ。
そんなのも、全部スクルズの持ち出しだった。深く考えてなかったが、もしかしたら、あの魔石代は、神官長としての経費から出ていたのではないだろうか。
そう思うと、コゼの言い草じゃないが、かなりの不良神官長ということになるのだろう。一郎にとっては頼もしい女性だが……。
「えっ、いま、どうやって、それを出したんですか?」
イットは驚いたように口を挟んだ。
どうやら、イットは亜空間から物を取り出した一郎に、びっくりしたようだ。
なにもないところから、突然に品物を取り出す収容術は、高位の魔道遣いでもできるものじゃないらしい。
非常に珍しい術のようだ。
驚くのは無理はないかもしれない。
しかし、その亜空間に入って一郎と対決もしたのだ。
やはり、よくわかっていない感じだ。
「イットを最初に抱いたのと同じ場所に隠していた。秘密だぞ」
一郎はさっそく、棒をエリカの股間めがけて伸ばして、ちょうど小さな下着が隠す境目の部分に棒の先端を当てる。
「ひっ」
エリカの身体が跳ねる。
「動くなと言ったろう」
一郎の言葉でエリカの抵抗がなくなった。
まずは、振動をさせないまま、下着の上を軽く動かす。
エリカのスカートは腰の部分で折り曲げさせ、ただでさえ短いスカートが怖ろしく短くなっている。
エリカは馬車の床に正座をしている状態だったので、スカートの裾は下着を隠す用は果たさず、股間を包む白い下着が完全に剥き出しになっていた。
「うっ、くっ」
エリカの身体がびくりびくりと震える。
一郎はそのいやらしい光景にほくそ笑んだ。
「そう言えば、エリカ。遠耳具で傍受してたけど、イットが奴隷状態でなくなったことをあっさり、アンドレの前で口にしただろう。わざわざ教えることないだろう――。それも罰な」
「も、申し訳……。あっ、んひいっ」
エリカの身体が跳ねて、弓なりになる。
棒の先で布越しだがクリピアスを弾いたのだ。
「こら、暴れるな。じっとしてろ」
「は、はいっ、ううっ、あっ、あん、だ、だけど、んくううう」
エリカは必死に耐えようとするが、一郎がクリピアスを容赦なく棒の先で振動させるので、声も出るし、びくびくと大きく身体を反応させ続ける。
実に面白い。
エリカの下着の染みがどんどんと大きくなる。
一郎は、しばらくエリカの身悶えを愉しんでから、淫魔力を注いでエリカの太腿の付け根に対して、淫らな振動と蠕動の刺激を加える。
「んふうっ、ああっ」
エリカが大きな嬌声をあげた。
「イット、最初に言っておく。俺は、この通り、女扱いが酷い主人だ。女に意地悪したり、苛めたりするのが大好きな男なんだ。ここに残るんなら、覚悟しておくことだ」
「イ、イット……。ロ、ロウ様は……お、お優しいわ……。た、ただ、ちょっと……好色……だ、け、ど……。あっ、はあっ」
エリカが体側の手をぎゅっと握りしめて、腰をくねらせた。
懸命に棒の先端から与えられる刺激を我慢しようとしているようだ。
エリカの顔がますます真っ赤になり、額の汗がぽたぽたと落ち始める。
かわいいものだ。
「両手を頭の上に乗せるんだ、エリカ」
甘い声を洩らし始めたエリカに一郎は言った。
わずかな刺激でも、ほんのちょっと与えれば、エリカの身体はすぐに火がついたように性感を燃えたたせるようになる。
そのように調教している。
エリカが、喘ぎ声とともに「はい」と小さく返事をして、手を頭上に乗せて組む。
「じっとしていろよ。これは、罰なんだからな」
一郎は振動を続ける棒の先端をエリカの脇の下に持っていった。
「ひああっ」
布越しだが堪らない刺激だったのだろう。
エリカの身体が電撃でも浴びたように激しく動いた。
「動くなと命じたぞ」
「は、はい……」
一郎の言葉で、エリカの身体がはっとしたように固まる。
同時にぐっと唇が噛みしめられた。
一郎はかなりしつこく、そのまま両方の脇の下を代わる代わる責めた。
エリカの反応が、くすぐったさのものから、明らかな性感帯の悶えに変わったのは、そんなに長い時間のことではなかった。
「……繰り返すけど、イット……。俺はこんな風に自分の女をいたぶるのが大好きな変態だ。ここに残るということであれば、さっきも言ったが、それなりの覚悟もいる。まあ、その分、能力向上の見返りもあるがな」
一郎はエリカを責めながら言った。
まるで、気を飲まれるように息を詰めていたイットが、背後でびくりとなったのがわかった。
面白いのはイットの反応だ。
一郎が責めているのはエリカなのに、イットのステータスで、彼女がすっかりと感じてしまっているのがわかってしまった。
さっきも思ったが、イットはイットで、その性癖には、かなりのマゾっ気があるようだ。
一郎の「女」になる素質は十分だろう。
「……い、いえ……。あ、あたしも……せ、性奴隷として飼われていましたから……。ど、どうぞ、ご主人様の満足なさるように……。で、でも、覚悟って、どういう意味ですか……。それに、能力向上?」
イットが言った。
同時に、ごくりと唾を飲み込む音もする。
「んくううっ」
その時、脇の下を責められ続けるエリカが、耐えられなくなったかのように、喰いしばる顔を天井に向ける。
それを逃さず、一郎は攻撃の先をエリカの膨らんでいる胸に移す。
服の上からでも、エリカの乳首に嵌めているピアスの位置は一郎には明確にわかっている。
それを刺激するように、一郎は最大振動で棒の先端を振動させた。
「いやあああ、んああああっ」
エリカがあられもない声を放った。
そして、ぐいと背中を反りあげるようにして、ぶるぶると身体を震わせた。
胸いきで、達してしまったようだ。
「はああっ」
エリカの身体が前側に倒れる。
相変わらずの身体だ。
本当に愉しい。
「終わりだ。いやらしくて最高だった。じゃあ、今度は、そのお礼だ……」
一郎は棒を亜空間に収納すると、前のめりになったエリカを引き寄せて、唇を吸った。
「あっ……んあっ……ああ……」
エリカが夢中になって舌を絡めだす。
一郎がエリカの背に手を回してさらに強く口を刺激してやると、エリカも一郎を抱き返してきた。
しばらく、抱擁したまま口づけを続けた。
やがて、口を話したときには、エリカは完全に力が抜けたようになっていて、一郎の身体にもたれかかってきた。
一郎は苦笑して、エリカを抱き支えた。
「……は、はああ……」
そのとき、イットが後ろで気が抜けたような声を出した。
エリカを抱いたまま振り返ると、イットが真っ赤な顔で目を大きく見開いている。
「ほら、しゃきっとしろ、エリカ──。新人奴隷様が呆れているぞ」
エリカを起こす。
「あっ、申し訳……」
エリカが慌てたように一郎から離れる。
一郎はエリカに、スカートを直していいと告げた。
エリカが背を向けるようにして、すぐに腰で丸めていたスカートを元に戻しだす。
「……ついでに、下着も変えたらどうだ」
一郎は声をかけた。
エリカの白い下着が色が変わるくらいに濡れたことはわかっている。
エリカは汁の多い
さっきの絶頂で、股間からおしっこを漏らしたかのように汚れたのをしっかりと確認していた。
「ミウに浄化の魔道をかけてもらいます。もう、ロウ様って……」
振り返ったエリカがぷっと頬を膨らませて言った。
魔道に覚醒したミウは、魔道で身につけているものや身体を一瞬にしてきれいにできる魔道を操れる。
生活魔道であり、もともと遣えたようだが、魔道の能力が跳ねあがったことで効果が桁違いになっている。
まあ、旅には便利な能力だ。
それはともかく、快感で我を忘れていたが、気を一度やって落ち着いたことで、やっと理不尽な目に遭ったという自覚ができて、ちょっと腹をたてたのかもしれない。
一郎は苦笑して、なんとなくイットを眺めた。
すると、眼があった。
唖然とした顔で口を開けている。
どうしたのだろう……。
「どうした、イット? 俺の悪戯に呆れたか? さっきも言ったが、命を救ったくらいで恩に着る必要はないぞ。その分は身体で支払ってもらった。折角、奴隷から解放されたんだ。実家に戻りたければ、路銀やある程度の手切金もやろう。払うのは俺じゃないけどな」
一郎はうそぶいた。
金を出すのは、あいつだ。
人の女に手を出そうとするような男は、しっかりと灸をすえてやる。
また、イットの“勇者”ジョブや魔剣の能力表示、そして、一郎に現れた“使徒”や“クロノス”の表示は、少し気になるところだが、イットの意思に反して奴隷状態で縛りつけることは、やはりするべきでないだろう。
「えっ? い、いえ、違います。ちょっとご主人とエリカさんが気安そうだったので……。奴隷のわりには、ちょっと普通じゃないなあって……。やっぱり奴隷じゃないのですよね? ところで、あたしについて、さっきから、奴隷解放と言ってる気がするんですが、どういうことなのですか?」
どうやら、イットはあまり現状を理解できていないようだ。
亜空間で、奴隷の首輪が外れたことを認識しているし、いまも外れているのだから、わかっていると思っていたが、いま少し認識してないようだ。
「……ちゃんと説明してなかったかな……。とにかく、いま、イットは奴隷状態からは解放されている。アンドレのことは問題ない。明日の朝には話はつける。だが、それからのことについてだ。実家に帰りたいという希望があるなら、そうしてもいいと言っているんだ」
「えっ? 解放? 実家に?」
イットは困惑している。
「もちろん、俺たちと一緒に旅をしてもいい……。俺たちは冒険者だ。一緒に来るなら、パーティーメンバーということになるな。イットは強いから大歓迎だ。かなり敏感な身体をしていることも、俺好みだね」
一郎は右手の人差し指を突き出すと、指を曲げてくねくねと動かして見せた。
イットの顔が真っ赤になる。
性奴隷だったわりには、純情な娘だ。
一郎はにやりとしてしまった。
「ロウ様、下品ですよ」
スカートを元に戻したエリカが、横からぴしゃりと言って、一郎の手を軽く払った。
一郎は声を出して笑った。
「……わっ、ご主人様に対して……」
イットは驚いている。
だが、それでわかった。
イットは、やっぱり、まだ、わかっていない。
「イット、もしかして、このエリカが……、いや、エリカだけじゃなく、俺の周りにいる女たちが本当の“奴隷”だと思っているだろう?」
一郎は言った。
「えっ、やっぱり、違うのですか?」
イットはきょとんとしている。
まあ、その気になれば、淫魔師の力で、完全な奴隷状態にすることも、いとも容易いが、断じて一郎はそれをしていない。
もしも、エリカが心変わりして、一郎から離れようとでもすれば、あるいは、その力を行使するかもしれないが、あのアスカ城を逃げ出して以来、エリカはずっと一郎に忠実だった。
だから、なんだかんだで、淫魔の支配は必要最小限に留めている。
それはほかの女たちも同様だ。
一郎は、意思のない「人形」を嗜虐する趣味はない。
そう言えば、支配を弱めたことで、かつて、エリカがほかの男に操られた不愉快な事件もあったが、いまはそれも完璧だ。
「奴隷というのは、イットのいう意味の言葉じゃない……。俺は一度も、誰かを奴隷状態にした覚えはない。そりゃあ、淫魔の術で身体を支配したり、ときには、命令で行動を強要したりすることもあるけど、一時的なものだ。奴隷状態のままで、ずっと心を支配したりしてない。実際には、みんな、俺の恋人たちだ」
「恋人たち? 奴隷じゃない……? で、でも、皆さま、ご自分でそう……」
「こいつらが、自分たちを“性奴隷”というのは……まあ、言葉の遊びだ。俺がそう言うから……。つまり、比喩的な表現だ。俺の女という意味でな……。」
一郎は言った。
イットはやっと納得できたみたいだ。
「イット、ロウ様は、クロノスなのよ。そういえば、わかるでしょう。わたしたちは、ロウ様の愛人よ。あなたはどうしたいの? どっちにしても、あんなご主人様の奴隷に戻りたいわけじゃないでしょう。あいつは、あんたを囮にして使い潰して、あっさりと殺そうとしたのよ」
エリカは怒った口調で言った。
だが、同じことを何度言うのだろうと思った。アンドレが、イットを殺そうとしたことについては、エリカはどうしても許せないみたいだ。
「クロノス……。ああ、そういうことですか……。あ、あたし、てっきり……。こ、これは失礼しました。奴隷の分際で……」
イットが慌てたように姿勢を正して、エリカにお辞儀をしようとした。
一郎はそれを辞めさせた。
「何度言えばわかるんだよ。イットの奴隷解放も終わっている。俺にはその力があるんだ。そして、もう、元に戻すつもりはない。なにかの借金とか契約とかがあって、奴隷のままでいなければならないということになっているなら、物のついでに、なんとかしてやるよ」
「えっ?」
イットは絶句している。
「どっちにしても、もう、イットも奴隷じゃない。実際のところ、首輪だって外れているだろう。繰り返し、言ったはずだけどなあ。俺はイットに、俺の奴隷になれと言ってるんじゃない。エリカたちと同じで、俺の恋人にならないかと相談してるんだ」
一郎は笑った。
イットが目を丸くした。
「首輪って……。あ、あたし、てっきり、紋章奴隷にされたのかと……。そ、それに、奴隷解放って……。そんなこと簡単にできるんですか? それに、恋人? そんな、おこがましい……」
イットはびっくりしている。
簡単にできることなのかどうか知らない。
だが、一郎には最初からできた。
一郎の淫魔師の支配に陥った場合は、一郎の支配が勝って、それ以前に掛かっていたなんらかの支配は、全部無効になる。
「できる──。というよりも、もう、そうなっている……。ただ……」
「ただ……、なんですか……? やっぱり、奴隷でしょうか……? あっ、あたしは、別に、新しいご主人様の奴隷になったことはなんとも……。……というか、嬉しいというか……。命も助けていただいたみたいだし……。そもそも、恋人とか、自由にしろって言われてもどうしていいか……」
イットは困惑している。
一郎は首を横に振った。
もしかして、一郎が否定的な言葉を使ったので、奴隷解放に条件でもあると思ったのかもしれない。
しかし、一郎が気にしたのは、淫魔師の恩恵のことだ。
おそらく、一郎の支配から抜けて、一郎の精を受けない状態が長くなれば、だんだんと能力の低下が発生するはずだ。
また、発生した“勇者”ジョブも消えると思う。
それがなんなのか、いま少しわからないが……。
しかも、このイットに関しては、わけのわからない能力向上が、ステータスに頻発しているのだ。
「ああ、つまり、自由意思にしてもいいんだげど、そうすると、イットの能力が下がるんだよ。下がるというよりは、元に戻るというか……。あのう、イット、お前は、俺に犯される前と後で、身体の違いを感じないか?」
一郎は訊ねた。
戦士レベルが“30”から“80”に跳ねあがったイットだ。
それは、異常なほどの身体の調子の良さを呼び起こしていると思うのだが……。
「えっ……。身体……。は、はい……。実はなにか変だなあとは……。ちょっと疲れた感じはあるんですけど……。なんだか、身体が軽くなったような気も……。で、でも、それって、ご主人様の力なんですか?」
イットが言った。
「そうよ。ロウ様の女になったら、能力があがるわ。あがり方には個人差があるみたいだけど……」
エリカが横から口を出した。
だが、例えば、魔道遣いと淫魔師が相性がいいというような個人差もあるのだが、支配した時点での一郎の淫魔師レベルにも関係がある気もする。
後から支配したミウやこのイットの能力向上は、最初に支配したエリカやコゼに比べて桁違いだ。
また、もしかしたら、イットについては、“使徒”というものに関係があるのかもしれないが、現段階ではイットの急激な能力成長の秘密は謎である。
「能力が? 本当ですか──。もしかして、戦士としての力があがったのでしょうか──」
イットが声をあげた。
その口調に異常なほどの力が入っている。
よくわからないが、このイットにとって、戦士としての能力があがるということは、奴隷状態であること以上の重要事かもしれない。
いや、奴隷だったからこそか……。
戦士であるというひそかな自尊心は、奴隷であったイットを支える心の拠り所なのだろう。
「魔剣とか、わかるか? なにか、そんなのが出せるようになったとか……」
「魔剣?」
イットはきょとんとしている。
わからないみたいだ。
まあ、そうかもしれない。
「未覚醒」とあったし……。
まあ、それはいいか……。
もしかしたら、やらせたら、なにかわかるかもしれない。
「論より証拠だ──。一度、手合わせしてみろ、イット──。とはいっても、殺し合いは物騒だしな……。じゃあ、下着の脱がしごっこにするか……。イット、外に出て、先輩女たちと戦ってみろ。ただし、傷つけるんじゃない。イットについては、相手を無傷のまま、下着を剥ぎ取るか、もぎ取る。そんな戦いにしよう。エリカたちは、武器でもなんでも遣って抵抗していい。そういう勝負にしよう」
一郎は言った。
「な、なんですか──、その馬鹿げた勝負は──」
エリカが全力で抗議した。