【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】 作:ドン・ドナシアン
372 侍女たちの悪戯
【バロンドール王国・ノール離宮】
「あっ」
食器を洗っていたノルエルが一瞬身体を硬直させて、身体を棒立ちにさせた。
トリアが侍女服の前掛けのポケットに入れていた操作具で、ノルエルに股間に装着させている貞操帯の淫具を振動させたのだ。
もっとも、振動は微弱なものであり、ゆっくりとした蠕動運動をノルエルのクリトリスに密着している部分で始めただけだ。
強弱も自在にできるのだが、強い振動にしてしまうと、感じやすいノルエルは、たちまちに脱力してしまって、その場に倒れ込んでしまうに決まっている。
だから、耐えられるぎりぎりのところで責めながら、家事を続けさせるというわけだ。
ノルエルは、顔を真っ赤にして、歯を食いしばる仕草をしている。
「ふふふ……、ロウ様の愛撫と思って我慢しなさい。ロウ様だったら、きっと、こんなものじゃあ、お許しにならないわ。よがってもいいけど、皿洗いは続けるのよ」
トリアもまた、ノルエルと並んでしゃがみ込み、厨房の裏でたらいに張った桶に入った食器を洗っていたのだが、その手を休めて、すっとノルエルのスカートの下から手を入れて、お尻を擦ってやる。
「あん、トリア様……」
さすがに手が鈍り、作業を中断させたノルエルが身体をくねらせる。
もっとも、トリアの手を跳ねのけたりはしない。
いつものように、ノルエルはトリアの隠微な悪戯をただ受け入れるだけだ。
ノルエルは、イザベラの侍女団になってすぐに、トリアが仕込んだ「ねこ」である。
従順で……快感に弱くて……、トリアに責められると絶対に逆らうことも、抵抗することもできない。
そうなるように、トリアが躾けた。
ロウがトリアたちの全員を愛人にしたことで、ロウを前にしては対等な性奴隷なのだが、ふたりきりのときはトリアが「主人」でノルエルは「人形」だ。
この関係はいまでも変わりはない。
そして、いまはふたりきりだ。
トリアとノルエルは、いまは昼食の片づけとして、料理屑の処理と皿洗いを命じられて、ふたりで厨房裏の一画でいまは皿洗いをしているところだった。
このノールの離宮で働くのは、ヴァージニアとシャーラを除く侍女の九人であり、その九人で、王妃や王女たちの世話や離宮内の家事のことのすべてを分担して行う。
ほかに王太女の女官団としての仕事もあるのだが、いまは王都の情報がなく、王太女イザベラもすべての公務から離されている状態なので、官吏としての仕事はほとんどない。
だから、いまやっているような雑事が主要な仕事だ。
下働きもおらず、本来は下級女中のすることも、すべてトリアたちがやらなければならない。
まあ、もともと、イザベラが王太女になる前の王城内の小離宮でも、雑事をする下女のような者たちもおらず、トリアたち九人ですべてのことをやっていたので、その頃の状況が戻った程度のことだ。
どうということもない。
ほかの者たちも、掃除や洗濯など、ここに侍女たちがいなかったために、行き届かなかった離宮の手入れを分担してやっている。
ほかには、タリオ公国公妃のエルザが連れてきた五人のタリオ人の侍女がいるのだが、あっちは数日前に、エルザが急に微熱で寝込んでしまったので、そっちにかかりきりになっている。
それはともかく、今日については、トリアは、ノルエルと組んで仕事をするように、女官長のヴァージニアから指示を受けた。
仲のいいノルエルと組めることを喜んだトリアは、ノルエルに淫具付きの貞操帯を装着して来るように命じたのだ。
ノルエルは恥ずかしがったが、もちろん拒否はしなかった。
淫具の貞操帯は、ロウが「遊び」のために王城に置いていったものであり、どういう仕掛けになっているのかわからないのだが、仲間内であれば、魔道遣いではないトリアたちにも、こうやって魔道仕掛けの淫具のように、それらを動かしたりすることができる。
あの王城脱出のときに、トリアはほかの荷と紛れさせて、これを含めて幾つかの淫具を持って来ていた。
山賊に襲われたときにも、地方軍に捕らわれそうになったときも、淫具を入れた背負い袋だけは持って来れてしまったのだ。
まあ、おかげでこんな風に、ノルエルと遊ぶことができるというわけだが……。
「ト、トリア様……、お、お戯れは……、あんっ」
喘ぎ声とともに、抵抗の言葉を口にしたノルエルの股間の振動を、もう一度ポケットの中に手を入れて、ほんの少し振動を強くしてやる。
ノルエルはびくびくと身体を痙攣させた。
だが、すぐに元の微弱な振動に戻す。
ノルエルががくりと身体を前に倒しそうになる。
「ロウ様よ……。ロウ様と思いなさい。さあ、皿洗いをやめちゃだめじゃない」
トリアはノルエルの耳元でささやきながら、トリアはスカートの中の手をお尻側から股間側に持ってきた。
ノルエルの股は、貞操帯の締めつけでも押さえられない愛液でべっとりと内腿が濡れている。
ぎくりとノルエルが震える。
「も、もう……。ああ、だけど、ロウ様にお会いしたいです……」
「わたしもよ……。ところで、さあ、手を動かすのよ。洗い物を続けるの――」
トリアは強く言った。
「は、はい……」
ノルエルが皿洗いを再開する。
しかし、さすがに股間を責められながらではつらそうだ。
トリアは、恥ずかしそうに顔を歪めるノルエルの姿に嗜虐心を満足させた。
そのときだった。
「いたあっ」
頭に衝撃が加わり、トリアは思わず悲鳴をあげてしまった。
顔をあげると、そこにいたのはモロッコだった。
洗濯物を抱えている。
どうやら、通りかかったモロッコに拳骨を喰らわされたみたいだ。
ほかにも、セクトとデセルもいる。
トリアは、とりあえずノルエルとともに、その場に立ちあがる。
セクトは、トリアと同じ男爵家出身だが、モロッコは騎士爵家出身で、デセルはノルエル同様に平民である。
だが、ロウに抱かれるようになって、身分差など弾け飛んでしまった。ノルエルがトリアに丁寧な言葉を使うのは、性格的なものであり、それ以外の者たちは、ほとんどがお互いを呼び捨てにする。
当然にモロッコは、トリアに容赦のない言葉使いをするし、扱いもぞんざいだ。
また、モロッコは、剣技で男の騎士を圧倒するくらいであり、気も強く容赦ない。
もっとも、モロッコは、自分の剣の腕では、騎士になるのは難しいと諦め、イザベラの侍女になった経歴であり、もともと剣の腕は平凡だった。
だが、ロウに抱かれたことで、突然に能力が覚醒して、王都でも五本の指に入るくらいの腕になったのだ。
つまりは、信じがたいことではあるが、ロウには、精を注ぐことで女の能力を飛躍的に向上させることができる不思議な力があるのだ。
これは、イザベラ侍女団共有の秘中の秘である。
もしも、こんなことが知れれば、王都だけでなく大陸中が大騒ぎになるのは、目に見えている。
例えば、トリア自身については、ロウに抱かれて、不思議なほどに頭が回るようになり、物事の変化に対して鋭敏になったと思う。単なる鋭敏という言葉では言い表せないほどだ。
ロウに抱かれる前と後とでは、まるで他人だ。
「観察分析力」とロウが教えてくれた気がするが、とにかく、トリアは、急激に周囲のことが理解できるようになったと思う。
ノルエルもまた、頭がよくなり、他人が思いもつかないような豊かな発想力溢れた知恵が回るようになってと思う。
侍女団の中では、ノルエルは軍師的な立場にある。
とにかく、ロウによって覚醒した能力のことをトリアたちは、「ロウ様の加護」と仲間内では呼んでいる。
その「加護」の最大の恩恵は、なんといっても、女官長ヴァージニアだろう。ヴァージニアは四十歳になり、もともと化粧などに気を配る性格ではなかったので、以前は本来の年齢よりもずっと老けて見えていた。
ところが、ロウにより、肌が若返り、皺が消え、顔の見た目の印象までも変化して、誰もが認める美貌を手に入れてしまった。
ヴァージニアは、ロウの秘密がばれないために、わざと老け顔をつくるように化粧で工夫しているが、それでも突然に美女に変身したヴァージニアは、「王太女府の奇跡」とも呼ばれている。
ヴァージニアに限らず、トリアたちもまた、ロウに抱かれて美しくなったと言われるようになり、これひとつだけでも、もうロウとは離れられないし、離れることなど想像もできない。
「なにさぼっているのよ、トリア。ちゃんと真面目にしなさいよ」
モロッコが怒鳴った。
もっとも、そんなに怒ってはない。むしろ呆れている感じで苦笑している。
「本当に痛ああ……。ちょっと、ノルエルをからかっていただけよ。仕事はやっているわよ」
「どこがよ──。罰として、トリアは夜はお仕置きのくすぐり刑よ。全員で苛めてあげるから、覚悟しなさい」
「えええ──」
モロッコの言葉に、トリアは自分の顔色が変わるのがわかったが、
多分、寝台の上に四肢を拡げて括りつけ、よってたかって柔らかい刷毛や筆で刺激しまくる「遊び」のことだ。
もともと、性愛の関係だったのは、トリアとノルエルくらいだったが、ロウに抱かれるようになって、仲間通しの百合遊びは盛んになった。まあ、毎夜毎夜、ロウの能力による不思議な空間に連れていかれて、体液まみれの裸でお互いのまぐ合いを見ているのだ。
そういうことに遠慮するというのが無理だ。
それに、ロウがいなくなって、もう二箇月以上──。
身体が疼きまくって、耐えがたい。
みんなも口には出さないが、身体が疼いて仕方なさそうな素振りである。
だから、トリアも、本当はご法度である仕事中の百合遊びをついついやってしまった。
トリアは悪くない──。
いずれにしても、ロウは単に抱くだけでなく、いつも過激なやり方でトリアたちを抱く。
だから、ロウがいないときの女同士の百合遊びも、自然にどんどんと過激になって言っていると思う。
しかし、くすぐり刑──。
あれは苦しいのだ。
ロウの影響もあり、責め合うときには、一切の容赦は抜きという約束事ができあがっている。
きっと、どんなに泣き叫んでも、悲鳴をあげても、体液という体液をまき散らしても、発狂寸前までみんなはやめないだろう。
助けもない。
「遊び」のときには、あの真面目で厳しい女官長のヴァージニアだって、トリアたちと淫靡に興じ合う。
イザベラ王太女だって、アネルザ王妃だって、ロウにすっかりと染まっているから、その手のことには慣れっこだ。
とめるわけがない。
トリアは、今夜に自分が味わわされるであろう痴態を想像して、ぎゅんと股間が熱くなってしまった。
「だったら、お任せください……。トリアお姉様の弱いところは、あたしすっかりと知っていますから……。皆様に全部お教えしますね」
すると、ノルエルが妖艶に微笑んだ。
トリアは呆れた。
「なんで、あんたも責め側なのよ──。一緒に遊んでたんだから同罪でしょう。ノルエルも罰を受ける側よ」
トリアは声をあげた。
すると、ノルエルは、わざとらしく両手で自分の身体を抱いて、震える仕草をした。
「あたしはトリアお姉様に脅されて、逆らえなかっただけです──。苛められていただけですわ」
声は小さいが凛とした言葉に、トリアはまごついた。
深く考えなかったが、ただ気が弱くて大人しいだけのはずだったノルエルが、冗談とはいえ、いつの間に、こんなにはっきりとした物言いをするようになったのだろう。
考えてみれば、ここにやってくるときの逃避行のときも、危機を乗り越えるときの策については、ノルエルは自分から積極的にみんなに提案したりしていた。
以前のノルエルなら、他人の会話に口を挟んだり、自分の考えを進んで口にすることなどあり得ないことだったのに……。
「ノ、ノルエル、あなたねえ……」
とにかく、トリアは睨んだ。
だが、ノルエルはにこにことしているだけだ。
なんだか、ちょっと面白くなかった。
ノルエルは、トリアの「ねこ」なのだ。
なにをしても逆らえないトリアの「生き人形」なのに……。
トリアはさっとポケットに手を入れて、ノルエルの股間に嵌まっている淫具のスイッチを入れた。
「ひんっ」
ノルエルが真っ赤な顔をして両手を股間に当ててしゃがみ込んだ。
「あんたねえ──」
モロッコがトリアのポケットから淫具の操作具とりあげて、振動をとめる。
「ああん」
ノルエルが切なそうに小さく身体を震わせた。
「ほら、ノルエル、立って……。んんっ……? あれえ?」
そのとき、座り込んだノルエルを助け起こそうとして腰をおろしたセクトが首を傾げた。
セクトが不思議そうな顔をして視線を向けたのは、料理の残飯を集めている木桶だ。洗い物が終わったら、離宮の裏に掘ってある穴に放り込む予定で、そこに置いてあったものだ。
「もしかして、アダジュの茶? この匂いは間違いないかなあ……? でも、何でここに混じっているの? お茶には使ってはならない葉のはずなのに……」
セクトが呟くような声で言った。
なにを言っているのかわからなかったが、セクトが桶を覗きながら口にしたのは、料理をしたときに出た野菜の皮の下くらいにあったお茶の葉のことみたいだ。
セクトが桶に手を伸ばして、湯の通った茶の葉の塊を取り出していた。
セクトがロウの加護で現出した能力は「料理」の能力だ。
だから、舌覚や嗅覚だってすごい。その特別な鼻で、なにかに気づいたのかもしれない。
「アダジュ茶……? あらやだ、しかも、もしかして、こっちはカレウム草──? もっと見せて、そんなのあり得ないわ。アダジュ茶だけでなく、カレウム草が一緒になっているなんて?」
真剣そうに口を挟んだのは、デセルである。
昔から本の虫だったが、彼女が覚醒した「加護」は、その趣味の読書の習慣の影響から発出したのか、圧倒的な知識量だ。
以前に読んだものを含めて、デセルは人生で一度でも目を通したことがある書物の内容を詳細に思い出せるようになっていた。
その知識量で、セクトの言葉を受けて、なにかを思い出したみたいだ。
「見せてください、セクト……。うん、間違いなさそう……。でも変ねえ。そのふたつを一緒の茶に通すなんてあり得ないのに……」
デセルも首を傾げた。
「アダだか、カレだか知らないけど、それがどうしたのよ?」
トリアは口を挟んだ。
デセルが、まだセクトに手のひらに載っていた茶の葉を指で避け分けるようにした。
「しっかりしなさいよ、トリア。アダジュ草といえば、味が苦くなるということで、お茶には違いないけど、絶対に使ってはならない茶葉のことじゃないのよ……。だけど、誰か、そのアダジュ草をどなたかのお茶に使ったの?」
モロッコが眉間に皺を寄せた。
「それだけじゃありません。これは、そのアダジュ茶と言われる茶草の欠片ですけど……。こっちはカレウム草なんです。ずっと北方の異国でしか採集できない薬草で、これがあることでも珍しいんですが、特に、アダジュ草にカレウム草を混ぜると、強い毒性が活性化するんです。そういう研究本を読んだことがあります」
「研究本? 混ぜると毒になるって?」
モロッコが目を丸くした。
「ええ……。だから、アダジュ草をお茶には使ってはならないとなっているんです……。いずれにしても、このふたつの薬草が同じ湯を通した状態でここにあるなんて、あってはならないことで……。だけど、どうして……」
デセルはまだ首を傾げている。
「今日の厨房担当は誰? このお茶は誰が捨てたもの?」
驚いたモロッコが声をあげた。
すると、デセルが小さく手をあげる。
「厨房はいつもわたしよ。だけど、それに見覚えはないわ……」
「もしかしたら……。あっ、多分、あたし……です……」
次いで、ノルエルがなにかを思い出すような感じで言った。
「ノルエル? あなたがこれを?」
トリアはノルエルを見た。
ノルエルは小さく首を横に振る。
「あたしというか……。多分、あのときかも……。エルザ様の侍女様たちから、薬を煎じた茶器を受け取ってお洗いしたから……。受け取ったというよりは、トレイに載せて廊下に出してあったから、勝手に片付けて、洗っただけなんですが……」
ノルエルは言った。
エルザというのはしばらく前に突然にやってきたタリオ公妃であり、もともとはイザベラやアンの異母姉妹である。
そのエルザは、混乱をしている王都情勢を探るため、ここから離れることのできないイザベラやシャーラたちに代わり、自分が向かうということになっている。
しかし、その直後に脱力感に襲われる軽い病になって、数日寝込んでしまっていた。
もともと、この離宮のことは、すべてトリアたち侍女団でやることになっているので、エルザが連れてきた侍女たちについては、エルザの世話だけに専念させていた。
だから、業務もはっきりと切り分けられていたのだが、ノルエルはたまたま、廊下に出してあったので、エルザの侍女たちの仕事だった茶器の洗い物に手を出したに違いない。
昔からトリアたち、イザベラ侍女団と言われる者たちは、仕事の切り分けというものはあまりなく、どんなことでもお互いを手伝いながら、やれることをやるという感じだ。
下働きの仕事も、家事全般も、イザベラの侍女としての仕事も、話し相手も、官吏としての仕事も、全部みんなで分担してやる。
ロウの性の相手もそうである。
なにもかも、一緒だ。
だから、ノルエルは、エルザの侍女たちが本来すべきだった茶器の片付けも、つい黙って手を出したと思う。
「シャーラ様に──」
モロッコが慌てた感じで言った。
トリアは口を開いた。
「シャーラ様は、面会人があるということで、先ほど離宮を出ていかれました……。とにかく、ヴァージニア様に、このことをお伝えしましょう」
その場にいた全員が真剣な表情になった。