※この作品はR-18です。

【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】   作:ドン・ドナシアン

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377 侍女たちへの拷問(その2)

【バロンドール王国・ノール離宮】

 

 

 

 五人の訊問の最後である侍女長のベーレを監禁している牢に跳んだ。

 ひとりで牢にいたベーレは、さっきの状態のまま素裸で縄で後手に縛られ、やはり足首を縄で繋がれた状態だ。

 逃亡をしようとした気配はない。

 その手段もない。

 自殺もしなかったようだ。

 

 もっとも、自殺とはいっても、いまのベーレには、舌を噛みきるくらいしか手段はないはずだが、実際には舌を噛んで自殺をするのは時間がかかるということをシャーラは知っている。

 それ以外の手段はない。

 あっても取りあげている。

 そのために、素っ裸にして拘束をさせたのだ。

 また、シャーラは、経験上、おそらく、このベーレには自殺はできないだろうと思っている。

 そこまでの根性はない。

 何度も修羅場を抜けてきたから、人を見れば、ある程度のことはわかるのだ。

 シャーラのこれまでの経験で、人を見誤ったのは、イザベラが身体を許して味方に取り込むのだと言って、王女宮に呼び寄せようとした冒険者のロウを、前もって処分してしまおうとして、返り討ちに遭ったときくらいだ。

 いまとなっては、あれも懐かしい思い出だ。

 

「あんたの番よ、ベーレ」

 

 シャーラは尻を床に着けて座っているベーレの前に立って言った。

 彼女は怯えたように大人しくしていたが、跳躍術で現れたシャーラに接すると、意を決したように口を開いた。

 

「なにを訊いても無駄よ……。ほかの者が喋ったことがすべてよ」

 

 ベーレは言った。

 だが、シャーラに視線を向けずに、そっぽを向いている。

 

「ほかの者がなにを話したのかわからないでしょう? あなたの話に食い違いがあれば、拷問をやり直すだけのことよ」

 

「勝手にするのね……。というか、まだ彼女たちは生きているの? さっさと殺せば?」

 

 口ぶりは冷淡だが、ベーレがかなりの恐怖に襲われているというのはわかる。

 いずれにしても、彼女は本物の侍女長ではないのだろう。

 タリオの侍女はこんなものなのかと思っていたが、護衛ながらもシャーラ自身もイザベラの侍女長をしていたのだから、エルザ付の侍女長としての彼女の仕事ぶりを眺めていれば、彼女の仕事の粗さが目立っていた。

 本物の間者というほどのしたたかさには欠けるが、あるいは、本来は女官かなにかじゃないだろうか。

 シャーラはそう予想している。

 それに比べれば、やはり、殺すまねをした女を含めやほかの四人は、彼女たち自身が口にしたように、本物の侍女なのかもしれない。動きは間者というよりは、侍女そのものだったと思う。

 

「生かしているわ。ハロンドールの王太女を害そうなんて者たちを簡単には死なせないわ。せいぜい、残酷に処刑してあげるわね」

 

 シャーラはうそぶいた。

 だが、実際には、すでにシャーラは、かなりの疲労を感じている。

 拷問まがいの訊問などというものは、やる方も心が追い詰められる。嬉々として他人を痛めつけることができる者もいるが、シャーラは違う。

 敵とみなした相手を殺すことには躊躇はないが、半死半生にして生かすということには、いまだにシャーラは慣れない。

 だからこそ、最初にひとりを殺したふりをしたことで、ほかの三人が観念して喋ってくれたことにはほっとした。

 しかし、大した情報はとれなかった。

 まあ、もともと、本命はこのベーレだと思っている。

 このベーレについては、拷問なしに喋るとも思えないが……。

 

「おいで」

 

 ベーレの腕をとる。

 跳躍して、訊問室の前に連れていく。

 

「やっと最後だね」

 

 部屋の隅で茶を淹れさせて口にしているマアが悠然と言った。

 ロウのとんでもない術で見た目の若さを取り戻したらしいマアは、一見すると、少女の面影さえ残る若い女だが、態度や醸し出す雰囲気に接すると、やはり、大陸を股にかける一代の女豪商なのだとわかる。

 ああやって、なにもせずに、座っていても大した貫禄だ。

 一方で、マアと向かい合って腰掛けているモートレットは、無表情ながらも顔色は悪い。

 こういうことには、耐性がないのだろう。

 

「んぐっ」

 

 シャーラはいきなり、ベーレの腹に拳を叩き込んだ。

 絶息したベーレがその場にうずくまる。

 

 部屋の天井には、両手を拡げたほどの長さの鉄棒が横に走っていて、そこには二本の鎖が結ばれて吊り下がっている。

 シャーラはいったんベーレの手首の縄を解き、それぞれの手首に一個ずつの革枷を嵌めた。さらに、左右の枷を鉄棒から吊ってある鎖の先に繋げる。

 

「うう……」

 

 ベーレもさすがに怯えた表情になる。

 

「とりあえず、浮いてもらおうかしら」

 

 シャーラは壁になる操作具のところまで移動し、鎖を引きあげさせる。

 ベーレ―の腕があがり切り、さらに身体が伸びて、足先が床に触れるか触れないかになった。

 シャーラは鎖の引きあげをとめた。

 

「なにか話す気になった?」

 

 シャーラは柔軟性のある細い木鞭を手にして、ベーレに近づく。

 こういう拷問具はひと揃いしてある。これも、もともとここにあった備え付けだ。

 

「なにを知りたいのよ……」

 

 ベーレが不貞腐れたように言った。

 一方で身体を吊られる痛みで顔をしかめている。

 シャーラは形よく盛りあがったベーレの尻を力いっぱいに引っ叩いた。

 

「ぐあっ」

 

 びしりと肌で音が鳴る。

 だが、ベーレは歯を喰いしばった表情で、今度は悲鳴を押し殺した。

 

「へえ、案外根性あるのね」

 

 シャーラは再び木鞭を振るう。

 一回目と寸分たがわずに同じ場所だ。

 二回目は、むせ返るように呻きをあげた。

 三度目、四度目――。またもや同じ場所に鞭打つ。

 ベーレは少しも鞭をずらそうと、左右に尻をうねらせる。かまわずに、シャーラは同じ場所に鞭を打ち続ける。

 肌や破けて、赤い線が走り、そこから血が滲みだす。

 

「あああっ、いやあああ」

 

 ベーレが泣き出した。

 シャーラは木鞭を捨てた。

 もう気力が折れてしまったのか……。

 

 だったら、これから、時間はかかりそうもないか……。

 しかし、そうだとすれば、やはり、訓練を受けているような正式の諜報員ではないとうことだ。

 得られる情報は多くないだろう。

 

「知っていることを全部話す気になったら、頷きなさい。すでにほかの女が喋ったことと違っていれば、目玉から抉るわよ」

 

 シャーラは右手の人差し指をベーレの脇腹に押しつけた。

 

「んぐうううう」

 

 吊られているベーレの裸身ががくんと弾き、見たこともない激しさで痙攣を始める。シャーラは指が離れないように、左手でベーレの胴体を抱え込んだ。

 部屋にベーレの凄まじい悲鳴が響き渡った。

 

「あがああああ、ぎゃあああああ」

 

 ベーレは眉間に皺を刻んで、眼をこれ以上ないというほどに剥き出しにして、頭をぶるぶると打ち振る。

 シャーラはベーレの身体から手を離した。

 ベーレに加えたのは、強い電撃だ。

 がくりとベーレの身体が脱力する。

 この一回だけで、ベーレの裸身は真っ赤に高揚し、全身からは夥しいほどの汗が滴り落ちだしている。

 

「喋る気になった、ベーレ?」

 

 顔を覗き込むと、ベーレは荒い息をしながら、ぎゅっと口をつぐんだ。

 

「……いい覚悟ね……。でも無駄よ。世の中には耐えられないこともあるわ……」

 

 もう一度指を身体に差す。今度は下腹部だ。逃げられないようにまたもや反対の手で支える。

 電撃を打つ。

 

「ひがああああああ」

 

 今度は少しばかり長くした。

 じょろじょろとベーレの股間から尿が迸りだした。

 

「さあ、答えるわね?」

 

 シャーラはベーレの髪の毛を後ろから掴んで強引にあげさせる。

 ベーレがすっかりと怯えたように、口を開いた。

 だが、言葉は発しない。

 息が漏れる音がするだけだ。

 もしかしたら、不要に自白しないように、軽い暗示でもかけられている?

 そうであるなら、心が毀れるほどに追い詰めるしかない。

 シャーラには、心を操るような闇魔道は得意じゃない。

 

「仕方なわいね」

 

 指をベーレの身体に差す。

 同じ下腹部だが、さらに股間に近い部分だ。ベーレにはだんだんと局部に接近しているのがわかるだろう。

 次は耐えられるかもしれないが、その次には耐えられない。

 それを悟るはずだ。

 

「んぎゃあああ、あぎゃああああ、あがああああ」

 

 電撃を送り込む。

 二回目よりも長い時間だ。

 打ち終わったとき、ベーレの裸体は完全に脱力して、深く頭をさげて、小刻みな痙攣を続ける感じになった。

 

「今度はどう?」

 

「あ、ああ……」

 

 ベーレは涙を流している。

 声が漏れたが、やはり言葉にはならない。しかし、音は出ている。

 強い衝撃で沈黙の暗示が破れかけているのだろう。

 弱い支配でよかったと思った。

 これなら、もう少しで暗示も崩壊して、ベーレは喋りだす。

 

「な、なにも知らない──。知らないのよ──」

 

 すると、突然にベーレが叫んだ。

 シャーラは首を横に振った。

 

「そんなことは訊いていないわ。そもそも、なにを知らないというの?」

 

 シャーラはベーレの目の前で指から天井に向かって電撃を飛ばしてやった。

 

「ひっ」

 

 ベーレの顔が恐怖に引きつる。

 

「次はあんたの股に、これを叩き込むわ。それとも、タリオの犬はそういうのが好きなの?」

 

「や、やめて……。喋る……。喋るわ……」

 

「じゃあ、喋って……」

 

 シャーラは言った。

 しかし、口を開くが言葉は出ない。

 駄目か……。

 シャーラは、ベーレの股間に指をぎゅっと押し当てる。亀裂の上側、クリトリスだ。

 

「いやああああ」

 

 ベーレが絶叫して暴れる。シャーラは尻を押さえて逃げることを防ぐ。

 

「んぎゃああああああ、ひぎゃあああああ」

 

 二度目の失禁──。

 振り絞るような悲鳴が部屋に響き続ける。

 

「まだ十分じゃない?」

 

 シャーラは電撃をとめて言った。

 髪の毛を掴んであげさせたベーレの口からは涎が流れ出している。涙も鼻水も垂れ出てひどい状態だ。

 

 だが、シャーラは迷い始めていた。

 もしかして、どれほどに衝撃を受けても喋れないような強い暗示だったら……。

 そうでないと踏んで、拷問を続行しているが、シャーラの勘が外れていれば、いくらやっても無駄だ。

 

 どうするか……。

 続けるか……。

 しかし、ほかの女たちにはそんな暗示はなかった。

 だったら、ベーレだけに強い沈黙の暗示をするわけがない……。

 

「これを味わってみる?」

 

 シャーラはベーレの膣の中に指を抜き入れる。

 腰をうねらせて逃げようとしたが、すでに抵抗の力は弱い。シャーラの指は根元までベーレの股間の中に入り込む。

 それはともなく、ベーレの股間は意外にもびっしょりと濡れていた。

 

「や、やめて……。やめてえええっ」

 

 ベーレが小刻みに震えだす。

 電撃を股間の中で放つ。

 

「ぎゃあああああ」

 

 ベーレが眼を見開いて絶叫した。

 シャーラはベーレを見ながら電撃を継続する。

 これまでよりもずっと長い。

 それでも、シャーラは電撃を放出し続けた。

 

「やめてええ、もういやああ、じょ、女官長──。大公府付き──。任務は──」

 

 感情が崩壊したような叫喚が迸り、堰を切ったようにベーレが話だす。

 シャーラは電撃をとめて、指を抜く。

 まるで尿のようなまとまった淫液がベーレの股間が垂れ出てきた。

 達した?

 それとも、この拷問がベーレに、なにかおかしな性癖を引き出してしまった?

 ちょっとだけ、シャーラはそんなことを思った。

 

 いずれにしても、やっとベーレが喋り出した。

 すると、どんどんと喋りだした。

 

 それによれば、やはり、彼女たちの任務はタリオ側から指示があったときに、イザベラに堕胎薬を服用させることだった。また、その薬剤は堕胎というよりは、お腹に宿したまま死産になる公算が高い薬剤とのことだ。

 そして、指示はなんらかの手段で別に来ることになっていて、その手段はベーレには知らされてなかったということだ。

 ただ、暗号があり、指示にその暗号の言葉が混ぜてあるので、それに接したら、与えられている魔道薬をイザベラの飲食物に混ぜる手筈になっているということだ。

 

 おそらく、ハロンドールの宮廷とタリオ公国のアーサー大公のあいだで、イザベラとの形式婚の調整が急速に続いているのだろう。

 タリオのアーサーは、まとまり次第にイザベラの腹の中の子を殺す算段だったということに違いない。

 イザベラのお腹の子が堕胎になっても死産ということでも、アーサーは他人の子を自分の子として養育する義務から免れることになる。

 とにかく、かなりの卑劣男だ。

 訊問で訊き出せたのは、あとは、タリオ公国にいるときに、ベーレに指示を与えたのは、マーリンという魔道遣いということだ。

 マーリンの名は知っている。

 アーサーの側近のひとりである老人であり、魔道の遣い手だ。

 ただ、あまり正体は知られていない。

 シャーラが承知しているのは、アーサーの元で、諜報や調略を一手に引き受けている老人ということくらいだ。

 

 マーリンか……。

 収穫はそれくらいか……。

 聞き出した合言葉も、エルザの侍女たちが捕らわれたと発覚すれば、役に立たないものになる。

 

「まあ、そんなところだろうね」

 

 ベーレへの訊問が終わったと見計らったのか、マアが声をかけてきた。

 シャーラは首を横に振る。

 

「次はもう一度、三人を訊問します。三角木馬にでも乗せて……。内容に矛盾がないかどうかをもう一度確かめます。それから、ベーレもまた繰り返します」

 

「念のいいことで……」

 

 マアが笑った。

 一方で、モートレットはかすかに気後れしたような表情になった。

 

「じゃあ、もうわたしたちは行くよ。アネルザ王妃たちにも改めて挨拶したいしね。それとエルザ妃の治療さ。少し診たけど、あれならすぐに解毒剤で元気になる。数日後には、王都に一緒に迎えるとに思うね」

 

「王都に向かってくれるんですか?」

 

 シャーラは言った。

 

「ああ、ロウ殿を出迎える準備をしないと……。王都が荒れていては、ロウ殿も心苦しいだろうからね」

 

 マアが立ちあがった。

 すると、モートレットも慌てたようにマアに続いた。

 

「……ああ、それと、できればお願いしたことが……」

 

 シャーラは思い出して言った。

 忘れていたのだ。

 マアに続いて、一度部屋の外に出る。

 廊下に出たところで、改めてマアに口を開く。

 

「見目のいい新しい女奴隷を五人を適当なところに売ってもらえますか? 隷属の首輪を装着して……」

 

 シャーラの言葉にマアがほんの少し目を細めた。

 

「連中かい? 殺さずに、奴隷にして放り出すということかい? あんたの一存でいいのかい?」

 

「もちろん、王妃殿下や姫様には話を通します。どっちにしても、あの連中は大したものじゃありませんしたし、逆に、今回のことはいずれ、タリオとの取引きの材料になるかもしれません。とりあえず、生かしておきます。ただ、逃げるなり、タリオから口封じに処分されるでもしても、それはいいのです。その程度の者たちです」

 

「まあいいけどね。あんたも優しいことさ。あのとき、エルザ妃が命だけは残してやって欲しいということを口走っていたからね。だから、最初の女のときも、殺したふりで終わらせたんだろう」

 

 マアが少し呆れたように苦笑した。

 シャーラは首を竦めた。

 

「だからといって、得体の知れない者たちを残せません。自由放免もできません。奴隷にしてどこかの娼館にでも売り飛ばして監禁しておくのがいいと思いました」

 

「だったら、ここの隊長に委ねたらどうだい。隷属の首輪をして逃げられないようにするのは同じだけど、女の少ない軍人の集まりには、溜まったものを発散する性の相手も必要さ。連中を与えてやればいい。幸いにも堕胎薬もある。使い過ぎて毀れればそれだけのことさ。タリオにもいい目せしめになる」

 

「怖いことを言いますね」

 

「あんたに言われたくないね」

 

 マアが声をあげて笑った。

 

 

 

 

(第20話『護衛長の汚れた仕事』終わり)

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