【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】 作:ドン・ドナシアン
【ハロンドール王都・ラングーン公爵家の王都(別宅)】
「おはようございます、公爵閣下……、お客様」
全裸の奴隷少女が挨拶をした。
その奴隷少女も美しかったが、すでに十五歳に達しており、ラングーンの趣向からは外れている。
ラングーンの興味対象は、その少女奴隷が鎖で引っ張っているふたりの童女たちだ。
また、客というのは、ラングーンがこの別宅に招待した男であり、一応は子爵の地位を持っている貴族である。
名はクリス=マッケンバー。
同じ公爵家の敷地内ではあるが、妻がいる本宅ではなく、奴隷たちを隠してるこっちの別宅に客を招くのは、極めて珍しい。
少女奴隷も、表情には出さないがびっくりしている。
一瞬、裸体を手で隠すような素振りをしたが、すぐに諦めて前を晒したままになった。
「ほう、これは……」
裸の少女奴隷が連れて来た四つん這いのふたりの童女の姿に、クリス子爵が感嘆したような声をあげた。
クルスもまた、好色の視線は、少女奴隷ではなく、童女側に向かっている。
ラングーンはそれが嬉しく思った。
もちろん、少女奴隷同様に、童女のふたりも素っ裸だ。
ふたりの童女の首には真っ赤な首輪があり、それに繋いだ細い鎖は後ろを歩く少女奴隷の手にまとめて握られていた。
四つん這いの童女たちの年齢は十歳と八歳である。
この童女姉妹をラングーンの王都屋敷の敷地内にある別宅に連れて来たのは一年半前であり、これまで、練りに練り、磨きに磨いて、ここまで輝かせた「
童女とは思えない、華やいだ色香を漂わせているし、なによりも身体は小さいがしっかりと、女の体形を思わせる肢体を身に着けていて、それでいて、未成熟の女のかわいらしさも備えている。
エルフ族の血が八分の一ほど混じっているらしいが、最初にこの姉妹を孤児院で見つけたときには、ラングーンは狂喜したものだ。
肌の色質も、顔立ちの造形も、磨けば超一級になると確信した。
すぐに引き取り、ここで毎日のように性調教をして性感を育て、香草や薬草をふんだんに使って肌を磨き抜き、さらに金にあかせた美容をふたりには注ぎ込んだ。
それだけでなく、行儀作法や教育も施し、一級の人間としての内面も磨きあげた。
つまりは、ただの泥の玉にすぎなかった子供をラングーンが、ここまで仕立てあげたということだ。
「幼いですが、どこかの貴族子女……ですか?」
クリスが唸るように言った。
ラングーンはほくそ笑む。
このクリスは、秘密パーティで知り合った「同好の士」だが、調べれば調べるほど深かった。
暗殺も請け負う闇組織に繋がりのある男なのだ。
これは役に立つと思って、囲うことにしたということだ。
もちろん、こうやって、ラングーンの秘密の館を見せる気になったのは、この男がラングーンと同様の小児性愛嗜好家だと知ったからなのは間違いない。
ラングーンの大切な宝だから他人に触れられたくはないが、自慢をして見せびらたいという気持ちはある。
その点、このクリスはいい。
嗜好が同じなので必ずラングーンの「蒐集品」には羨望すると思ったし、案の定、この男は涎をたらさんばかりに、ラングーンの宝に釘付けになっている。
危険な男であることはわかっているので、護衛なしのふたりきりになるのは不安だが、ラングーンは手首に「陽光の腕輪」という魔道の装具を身に着けている。
すべての危害をこの腕輪が弾いてくれる。
クリスがラングーンを傷つけるのは困難だ。
「元はただの路傍の泥よ。それを俺がここまでにしたのだ。ここまで育てるのに、一年半かけた。簡単には犯さんよ。あと半年磨き抜く。それでふたり揃って犯すのだ。楽しみだ」
ラングーンは背もたれに体重を預けたまま、酒の入ったグラスを口の中に傾けた。
苦くて甘い麦芽の蒸留酒が軽く喉を焼く。
うまい……。
すぐに、横の椅子に座っているクリスが身体を伸ばして、両手でラングーンのグラスに酒を注ぎ足す。
ラングーンは、それを受けながら、軽く指で合図をした。。
女奴隷──とはいっても、まだ十五歳なのだが、彼女が手に持っていた乗馬鞭を童女の姉妹の尻に思い切り叩きつけた。
「あうっ」
「いぎい」
まだ、幼い童女たちが悲鳴をあげる。
ふたりの童女に比べれば、奴隷少女については、すべての感情を失ったような表情だ。
「行きなさい、公爵様がお待ちよ」
少女奴隷がふたりの首輪から鎖を外す。
そして、尻を鞭で叩く。
「ひっ」
「んんっ」
景気のいい音が鳴り、ふたりが悲鳴をあげた。
ラングーンは、クリスに高価な魔道の治療薬があり、いくら傷をつけても、一晩たてばまったく傷は消え失せるので、どんなに手荒く扱っても問題はないのだと説明した。
クリスは、自分の財力では、奴隷ごときに、高価な魔道薬を使うなどとんでもない話なので、それは羨ましいと媚びを売るように応じた。
「ほら、ぼやぼやしない──」
少女奴隷がさらに二発ずつ尻を打つ。
「ああっ」
「んぎいっ」
ふたりは、追い立てられるように、ラングーンたちの座る椅子の前まで四つ足でやって来た。
「ご、ご主人様……マミでございます。卑しい孤児のあたしたちをお育て頂いて感謝申しあげます。今日も調教を受けるためにやってまいりました。ご存分にお躾ください」
「ウリムです。お、おねえちゃんといっしょに、ちょうきょうをおねがいします」
ふたりはラングーンの足先に触れるばかりに近づき、そこにひれ伏して、自分たちの額を手の甲に押し当てて、口上を述べた。
そして、上体を起こして二本の脚を曲げたまま左右に広げ、両手を頭の横に置くような姿勢をする。
「服従のポーズ」から「ちんちんのポーズ」だ。
ラングーンが命じて、後ろの「躾係」の少女奴隷に躾させたものであり、ラングーンの童女奴隷であれば、全員が鞭によって身体に叩き込まれているポーズだ。
数年前までは、いまは躾係をしているこの少女奴隷も、当時は前任の躾係に教えられたものである。
「下についても躾けておるようですね」
クリスが目の前の童女たちの裸身を眺めながら笑いながら言った。
がに股に開いている童女たちの無毛の股間からは、すでにたっぷりの愛液が滴っている。
この姉妹は、年齢に似つかわしくない、淫らすぎる身体に仕立てあげている。
だから、彼女たちは、あんな鞭一本でこれだけの欲情をしてしまうのだ。
まさに、自慢の性奴隷だ。
だが、こうやって飼っている童女たちだが、成長というのはどうしようもない。
どんなに磨きあげたものでも、やがて大人になっていく。
十四、どんなに耐えても、十五になれば、すっかりとラングーンの嗜好から離れてしまう。
そうなってしまうと、もうだめだ。
躾係にしている少女奴隷のように、正規の奴隷として処置をして、引き続き館で飼育するということもあるが、大抵は「処分」してしまう。
このふたりについても、いずれはそうなるだろう。
ここまで育てたものを、飽きたからといって、奴隷にして他人に与えるということはできない。
誰かに与えるくらいなら、殺す。
「まあな。自慢の品物だ」
ラングーンは、姉に、妹の股間を奉仕するように命じた。
ちょっとだけ悲しそうな表情になった姉の方だったが、すぐにそれを躾係の少女奴隷に見抜かれて、肩と脇に鞭を一発づずつ浴びる。
すぐに、妹の股間の前に寝そべらんばかりに頭をさげ、ぺろぺろと妹の股間をなめ始める。
「あっ、お、おねえしゃん、ああっ」
感じると余計に舌足らずになるのが妹の癖だ。
敏感に躾けられた身体は、八歳とは思えない発情を妹に起こさせる。
「おお、淫らな……。素晴らしい」
クリスが溜息混じりの声を出す。
見ると股間がズボンの下ではちきれんばかりに大きくなっている。
ラングーンはほくそ笑んだ。
「さっきも言ったが、これはだめだぞ。勝手に手を出せば、俺はお前を殺すしかない。こいつらは、半年後に愉しむために熟成をしているのだ。それを奪われればかなわん」
「滅相もない。こうやって、公爵様の宝物を見せていただけるだけでも、眼の至福です」
クリスが恐縮したように言った。
そのくせ、視線だけは目の前の童女ふたりの肢体に釘付けになっている。
「見るだけなら問題はない。いい声で鳴くだろう?」
このふたりは、十歳と八歳でありながらも、肉体だけは熟女のそれのように、感じやすくなるように作りあげた。
八歳の妹が、姉の舌奉仕に、身体をぶるぶると震わせて、とろんと雌の顔を示し出す。
「確かに……。それにしても、首輪はただ首輪なのですね。隷属の首輪ではない……。奴隷ではないのですか? 紋章も見当たりませんが……」
クリスが訊ねた。
この男の言及のとおり、ラングーンの飼っている童女奴隷に装着しているのは、普通の犬用の首輪だ。
それに比べれば、童女の世話のために奴隷にした少女については、隷属の首輪である。
おそらく、ラングーンが集めている童女については、ほとんどがあちこちの孤児院から連れて来たものだと承知しているので、当然に闇奴隷の処置をしていると考えたに違いない。
また、紋章奴隷というのは、首輪奴隷に対するものであり、隷属の魔具である首輪に代わりに、隷属も紋様を身体に刻み込むものだ。
首輪奴隷とは異なり、紋章奴隷にすると、服を着てしまえば、奴隷かどうかはわからないが、転用をして売りさばくということが難しくなる。
いずれにしても、ラングーンは自分の性奴隷の童女たちには、奴隷化の処置はしていない。
奴隷にするのは、童女としての価値がなくなり、目の前のように飼育係として使うようになった場合のみだ。
「まあな。隷属の首輪で支配するなどつまらん。それよりも、心が潰れるまで調教をして逆らわなくする過程が愉しいのではないか?」
「それもそうですね」
クリスが白い歯を見せた。
「さて、それよりも奥に来い。そっちで話がある」
ラングーンは立ちあがった。
「奥ごさいますか?」
「場所を変える。このふたりはだめだが、俺の蒐集品はこれだけじゃないぞ。お前が触れてよいものもある。もっとも条件次第ということになるがな」
少女奴隷に、あと二ノスは「調教」を続けるように指示して、ラングーンはさらに奥に向かう扉に向かう。
クリスが慌てたようについてくる。
「いま、俺が触ってよいものもあると申しましたか、公爵閣下?」
「言ったな。実はまだ未調教だ。あの叔父から譲り受けたものでな。まあ、俺を懐柔するつもりなのだろう。母親については、叔父が引き取っている」
「
クリスは首を傾げている。
「母親の名はロレーヌだ。知らんか?」
ラングーンは応接室を兼ねている広間から次の部屋に入る。
童女奴隷たちの飼育室だ。
真ん中が通路になっていて、両横には鉄格子の嵌まった牢が並んでいる。牢の数は二十ほどだが、いまは半分も埋まっていない。
ラングーンが通りかかると、慌てたように全員が牢の中でラングーンに向かって土下座をしていく。
「どれもよい……。すごい……」
クリスが生唾を飲んだのがわかった。
ラングーンが集めさせているのだから、さっきの童女姉妹ほどではなくとも、一定の美的水準を満たす童女たちである。
ここで飼育するほどの価値がないものは、さらに先にある調教室で、そのまま責め殺すということもよくある。
つまりは、館に残していく価値があると思ったものだけ、こっち側の檻部屋に連れてくるということだ。
だいたいは、さらに向こう側で処分してしまうということになる。
いずれにしても、小児性愛というのは、なかなかに同行の士は乏しい。こうやって、わかってくれる者の存在は嬉しいものだ。
「……ところで、さっきロレーヌと申しましたか? もしかして、ローダム家のですか?」
ラングーンたちは、さらに屋に向かう部屋の前の扉に着いた。
この奥が「調教室」だ。
この館に連れてくる童女たちは、そっちの奥の部屋に最初は入ることになる。
そこには、地下に通じる階段もあり、そこから王都内の秘密の地下道に繋がり、一軒の家屋にあがる階段に通じている。
館に連れてくる獲物は、その家屋から運び込む。
「賢婦人で有名な、いや、有名だったあのロレーヌ夫人だ。グリムーンの叔父が屋敷に連れ込んだ。そのときに、一緒に娘も誘拐同然に連れ込んで、俺が預かったということだ。さっきも言ったが、条件次第で調教をやらせてもいい。いや、犯してもいいぞ。許可する」
すでに一度調教したが、残念ながらラングーンの蒐集欲を刺激するほどの存在ではないと判断した。
だが、グリムーンとの約束もあるし、あれが夫人を毀してしまうまで、こっちで勝手に処分するわけにはいかない。
それで、この訳ありクリスを取り込むために利用することを思いついたのだ
「本当に?」
クリスは驚いている。
扉を開けた。
さっきと同じような広間だ。
違うのは、応接用の椅子やテーブル、豪華な調度品や美術品などがある先ほどの部屋とは異なり、ここにあるのは、大小の責め具であり、童女をひたすらに苛め抜く品物が並んである棚類だ。媚薬や治療用の魔道薬もたくさん揃っている。
牢があるという点では、先ほどの通路部屋と同じなのだが、こっちは壁をくり抜いて作ってあり、屈まなければ入れないような天井が低いものだ。
牢ではなく、“檻”ということだ。
「あれを?」
クリスが部屋の真ん中に、うつ伏せでうずくまっている裸体の童女に気がついて言った。
まだ、午前中だし、夕べの「躾」疲れで眠っているのだろう。
童女の両手首には束ねて革枷を嵌めており、その革枷は天井の金具に鎖で繋がっている。
いまは、鎖は緩んでいて、床に鎖が垂れているが……。
童女は、ラングーンたちが入ってきたのに、気がついた様子はない。
そのまま、この部屋を眺める位置にある肘掛け付きの長椅子の真ん中に腰をおろす。もうひとつ同じ形の長椅子が並列に置いてあるが、クリスは座ろうとしない。
立ったまま、疲労で寝入っている娘に見入っている。
ここからは彼女の横顔しか見えないが、クリスの様子を見ると、十分に気に入ったみたいだ。
股間はズボンの下でしっかりと膨らんでいる。
「正真正銘の生粋の子爵家の娘だ。行儀はいい。夕べ、数ノスほど調教をしたが、それだけだ。この館から出すことは認められんが、あれを任せてもいいぞ。ここにある道具も薬は使い放題だ。滅茶苦茶にしてもかまわん。いくら鞭で肌を割いても、瞬時に治療ができる魔道薬も使わせてやる。調教の幅も拡がるぞ」
「ほ、本当に……ですか?」
クリスが唾をのんだ音が聞こえた。
ラングーンは、準備していた小さな箱から丸薬を数個目の前の小さな台に置いた。その横には水差しと盃もある。
ここには、なるべく家人を入れないようにしている。そのために、身の回りの世話をする者もいないが、なるべく、同好の士ではない余人をここに入れたくないのだ。
「それは?」
クリスがいぶかしむ声を出した。
「毒だ。命を奪うことはないが、三箇月に一度、解毒剤を飲まなければ、股間が勃起しなくなる。これを飲めば、あれを好きなようにしていい。俺の犬になる褒美だ」
「えっ、勃起しなくなる……?」
クリスは困惑したような声をあげたが、すぐにぷっと噴出した。
「……つまりは、俺のこいつが人質ということですか──。そりゃあいい。だったら、俺はその三箇月に一度の解毒剤をもらわなければ、女を抱くこともできなくなるんだから、あなたの命じることに従わなければならなくなるというわけだ」
子爵が大笑いしている。
そして、その薬をに手に取る。
「お前の持っているコネが必要になるときもある。そのときには、役に立て」
ラングーンは言った。
なにが琴線に触れたのかは知らないが、クリスは面白そうに笑い続けている。
そして、ラングーンを見た。
「なるほど、一介の子爵ごときの私を、公爵閣下の秘密の施設に連れて来ていただけたのは、単に趣味が一致しただけではないということですね」
「当たり前だ。その代わり後悔はさせんぞ。俺の犬になれば、俺が与える餌はうまいぞ。お前の性癖を満足させる童女を次々に与えるだけでない。家族ともども信じられないくらいに贅沢もできる。俺の指一本だ」
「なるほど……。それで、誰を? まさか、この国で最も高貴なお方を狙えとは言いませんよね」
クリスが言った。
すでに、自分が暗殺のできる家人を抱えていることを隠していない。
また、これまで被っていたものは外して、素の自分を出してきている。ラングーンに対する口調も、不遜とも思えるものに変わってきている。
まあいいだろう。
ラングーンも、この手の男は嫌いではない。
「それはいい。もっと簡単な仕事だ。隙があって近づきやすい。罪もない子爵家族を罠に賭けて、妻子を玩具にするような老人だ……。心配せずとも、無理だと思ったことは命じないし、それで失敗しても咎めはせん」
「わかりました……」
クリスが頷く。
それでわかったのだろう。
ラングーンがこの男に狙わせたいのはグリムーンだ。
王位を狙うという目的では一致しているが、あの男の下で副王などで甘んじるつもりはない。
ルードルフを排除した時点で、あの男は邪魔になる。
だが、共通の目的を達成したところで、あの男が死にさえすれば、自動的にラングーンが王だ。
だったら、殺すしかない。
どうせ、グリムーンも同じようなことを考えているのは間違いない。
「まあ、悪くないですね。私にグリムーン公を紹介していただけますか? それでやりやすくなる。あなたの役に立つことは約束します」
子爵が丸薬を口に入れた。
水をとって喉に流し込む。
「三日後に会う。そのときに同行させよう。そこの娘の調教を任せたと伝えれば、同席を許すはずだ。大事な秘密の会合に、誘拐同然で連れて来た女を股間を奉仕させながら連れてくるような男なのだ」
「なるほど」
クリスは頷き、壁まで歩いていき、一本の鞭を手に取った。
また、壁にある操作具で童女の手首に嵌まっている鎖を天井に引きあげていった。その操作具もちょっとした魔道具であり、壁から外しても操作できるようになっている。
クリスは、操作具と乗馬鞭を両手に持ち、童女に近寄っていく。
「ひやっ、ああっ」
一方で、上にあがっている両腕によって覚醒した童女が狼狽えた声をあげた。
そして、目の前にいる鞭を持ったクリスに、戸惑いの表情を見せた。だが、その顔がすぐに恐怖で引きつる。
「ああ、もうお許しください。言うことをききます。絶対に逆らいませんから」
童女が悲鳴をあげた。
その両脚が床からかすかに浮いたところで、鎖の引きあげがとまった。
「名前と年齢を言え」
「……エ、エリー……、ロ、ローダム家のエリーです……。ね、年齢は九歳……。あ、あのう、た、助けて……、ひぎいいっ」
エリーが赦しを求める言葉を発し始めると、クリスが太腿を力一杯に鞭打った。
だが、赤くはなるが、血は出ない。きちんとぎりぎりのところで留めている。
かなり手馴れている感じがした。
「余計なことを口にするな。俺はクリスだ。お前の調教を公爵様から請け負うことになった。とりあえず鞭だ。俺の鞭の怖さを心に刻み込め」
クリスがエリーの尻たぶを鞭打つ。
「んぎいいい」
エリ―が泣き声をあげた。
クリスは容赦なく、エリーの身体を滅多打ちにした。
しばらく、エリーは悲鳴をあげながら、右に左にと身体をくねらせていたが、やがてあまり動かなくなった。
痛みに慣れたというわけではなく、体力が削ぎ落とされてしまったようだ。
「もう音をあげたのか? 仕方がない。休憩にしてやろう」
クリスが鎖を大きく引きあげた。
そして、壁際に三角木馬を運んでくる。台車に乗せてあり、簡単に移動できるようになっているのだ。
そのままエリーの脚の真下に置き、今度は鎖をおろしていく。
彼女は朦朧としていたが、足先が三角木馬の頂点に触れ、視線を股間に迫っている三角の木馬に向ける。
「あっ」
途端に表情が引きつる。
しかし、そのときには、彼女の脚は木馬を挟むように両脇におりていた。
そのまま、股間を三角の頂点に落とされてしまった。
「いやあっ、ああっ」
エリーが慌てたように、鎖を掴んで身体を浮かせようとした。
だが、そんな力は残っておらず、あっという間に身体が脱力して、無毛の股間に三角の頂点が深く食い込んでいく。
「いぎいいいっ」
エリ―が顎を上にあげて、絶叫をする。
「お、おろしてください──。ご、ごめんなさい。許してください──」
エリーが哀願の声を放った。
「我儘を言うな──。お前がつらそうだから、わざわざ休めるようしてやったのだ。まだ、鞭打ちは終わっていないぞ」
クリスがエリーの無防備な腹を鞭で一閃した。
「あがああっ」
エリーが泣き叫んだ。
さらに十発ほど打つ。
鞭打たれるたびに股間が動いて、激痛が走るのだろう。エリーが泣きじゃくりながら、絶叫し続ける。
「どれ、じゃあ、次は薬を塗ってやろう。少しは楽になるぞ」
クリスがいまは腰にぶらさげている操作具で鎖をあげる。
ほんの少し股間が浮くと、それまでのあいだに、棚から油剤を持って戻ってきた。
ふと見ると、強力な掻痒剤だ。
ざっとラベルを見ていたので、無論、持ってきた薬剤の効果はわかっているだろう。
「あ、いやです……。あああ……」
エリーの股間に油剤を塗りたくっていく。
まだ、性的快感に目覚めていない童女にとっては、股間を触れられるのは、羞恥心以上に、気味の悪さが勝っていそうだ。
クリスは作業が終わると、再びエリーを三角木馬におろした。
「じゃあ、そのまましばらく、そこに座って休んでいていいぞ、エリー」
クリスが愉しそうに笑った。
だが、エリーが静かにしていられたのは、ほんの少しだ。
すぐに、またもや泣き叫び出した。
「ああ、かゆいいい、かゆいですう、ああ──。お、おろして、おろしてください──」
「ははは、休憩だと言っただろう」
クリスが大笑いした。
そのときだった。
不意に喧噪のようなものを感じて、ラングーンは、童女を責めるクリスを見守っていた顔をあげた。
すると、いきなり童女の檻がある側の扉が開いて、王宮の近衛兵が雪崩れ込んできた。ただ、先頭は黒い衣装を身に着けてた美女だ。
また、その美女の横には、若い女がもうひとりいる。
ラングーンは唖然とした。
「なんだ、お前たちは──」
ラングーンは立ちあがって叫んだ。
だが、そのときには、すっかりと近衛兵に周りを囲まれていた。
クリスも呆然としている。
「耳にしていた通り、なかなかに
女が兵たちに告げている。
そして、エリーの手首に嵌めていた革枷がいきなり弾けた。
魔道?
そんな感じだ。
「ラポルタ、どっちが公爵じゃ?」
「こいつです」
若い女が、先頭になって入ってきた美女に告げている。若い女が指を差したのは、ラングーンに対してだ。
なんなんだ、こいつらは──?
なぜ、ラングーン公爵家の屋敷に──?
とにかく、かっとなった。
「答えんか──。ここをどこだと思っておる。ラングーン公爵家の敷地内であるぞ。そして、俺はラングーン公爵だ」
叫んだ。
一方で、かなり、ラングーンは戸惑っていた
どういう事態なのか、さっぱりとわからない。
しかし、異常な事態というのは理解できる。
いずれにしても、公爵家の敷地を警護していた私兵はどうしたのだ?
王軍がやってくるにしても、彼らはこの屋敷を防護するために戦うことになっている。国王そのものが指揮をするにしても、あいつらはラングーンだけに忠誠を誓っているはずだ。
それなのに、ここまで踏み込まれるまで、ラングーンに一切の報告がないとは……。
「お前が人間族の公爵とやらか……。さて、これが書類だ。お前たち一家を捕縛するようにとの国王命令だ」
「国王命令?」
「国王を害そうとした謀反の罪だな。ついでに、違法であるはずの闇奴隷の取り扱い……。童女に対する暴行──。とにかく、まあ、そんなところだな。ああ、それと一切の私財没収というのもあった。観念することだ」
女が白い歯を見せた。
ラングーンはあまりの驚きで目を見開いた。
「おっと」
すると、美女の横にいた若い女がいきなり声をあげて、クリスを組み伏せていた。
見ると、クリスの手には小さなナイフが握られていた。
あれで襲おうとしたのだろうか?
こんなに兵だらけの状況で?
「お、俺は関係ない──。関係ないんだ──」
若い女に組み伏せられているクリスが床に倒されて暴れている。
ラポルタと呼ばれていたと思うが、クリスはラポルタに完全に押さえつけられている。
そして、近衛兵が群がり、縄で拘束していく。
「おお、忘れておった。これが捕縛命令とかいうやつらしいぞ」
美女が懐から一枚の羊皮紙を示した。
正式の捕縛命令書だ。
ルードルフのサインと玉璽もある。
なぜ……?
そのあいだに、三角木馬からおろされたエリーが毛布に包まれて若い兵に連れて行かれている。
それではっとした。
さっき、ほかの童女も保護しているということを口にしなかったか……?
つまりは、もしかして、牢に集めている童女も?
ましてや、応接室側で調教をさせていた童女姉妹も──?
「どこに連れていく──。ここにあるのは俺の蒐集品だ。勝手なことは許さん──」
頭にかっと血がのぼり、エリーを取り戻そうと咄嗟に掴みかかろうとした。
しかし、その身体が浮かびあがり、気がつくと後頭部を床に叩きつけられていた。
一瞬意識が消えかけ、すぐに覚醒した。
その身体が浮かびあがる。
足が地面についてない。
さっきの美女に襟首を掴まれて、片手で大きく宙に引きあげられていた。
何者だ、この女──?
あまりのことに理解がついていかない。
「妙なものを手首にしとるな。わしには通用せんが、破壊しておくか」
いきなり手首で爆発が起こった。
「あぎゃああああ」
右手首から先がなくなっている。
投げ捨てられたラングーンは、床でのたうち回った。
「最低限の治療だけして連れていけ──。どうせ、すぐに、王都の広場で晒しの処刑だ。死ぬなら死んで構わん──」
美女がラングーンの顔を踏みつける。
暴れまわる身体を押さえられた。
すると、近衛兵にどっと身体を押さえつけられた。