【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】 作:ドン・ドナシアン
しばらく、マーリンはなにもせずにじっと待っていた。
もしも、テレーズからのなんらかの魔道操作を感じれば、即座に処分するつもりだった。
サキとかいう魔族女のことはあるが、万が一、テレーズがマーリンを出し抜いて、マーリンに精神作用を施すことができるのであれば、これほどに危険なことはない。
そのときには、テレーズを殺すことがすべてに優先する。
しかし、マーリンに対して、テレーズが魔道のようなものを放つのは感じなかった。
もっとも、マーリンにはテレーズの闇魔道の兆候に気がつく自信は完全にはない。
だが、少なくとも、おかしな感情操作があれば、マーリンは気がつくだろうと思っている。
一方で、股間と肛門に自分の指を入れるように命じたテレーズは、しばらくすると明らかに女の反応を示して、身体を悶えさせ始めた。
マーリンは、さまざま道具を収納術で格納しているが、テレーズに投げ渡した缶に入っていた油剤は、その中でも強力な媚薬だ。
我慢しているようだが、さっきから息が荒くなり、かすかな甘い声が口から漏れ出たりしている。
顔は上気して真っ赤であり、薄物の下の裸身にはかなりの汗が噴き出ている。
マーリンは、忘れていた男としての肉欲が騒ぐ気がしたが、ここで手を出して足元をさらわれるようなへまをするつもりはない。
まあ、こうやって、いつも感情を見せない女が媚薬に追い詰められて、口惜しそうに唇を噛む姿を眺めるだけで十分だ。
「じゃあ、訊問をする。嘘はつくな。命令だ」
マーリンは言った。
テレーズが赤い顔をマーリンに向ける。
「こ、このまま……ですか……」
「そうだな……。犬のくせに、わしを裏切るような奴隷には、相応しい酬いだろう? さっきも言ったが、わしは用心深い。うっかりと、訊問中に寝首を搔かれたくない」
「あ、あたしはそんなことしません……。裏切るなど……、隷属の支配に逆らうなど……で、できるはずが……。そ、それをご存知なはず……」
テレーズが言った。
しかし、かなり媚薬が効いていたらしく、しきりに腰を動かしながら身悶えをしている。また、動くと挿入している指で刺激を受けてしまうのか、小さく声を漏らしたりする。すると、はっと気がついたように、慌てて口をつぐむ。
そんな動作を繰り返している。
「わしは用心深いでな。それに、斬り合いが得意ではない。だから、まあ、拘束代わりと思っておれ。さっきも言ったが、話が終わるまで抜くな。命令じゃ。よがる分はいくらもでもよがってよいぞ」
マーリンは笑った。
自分にこういう面もあるのかと思ったが、女をこうやっていたぶるのも悪くないと考えた。
「な、なにを……。そ、そもそも、れ、隷属の支配は、あ、あたしがあなたに危害を加えることを……き、禁じてます……。隷属の支配を……疑うの……です……か?」
「疑ってはいない。だが、勝手なことをした……。なぜ二公爵を殺させた? わしがあの馬鹿たちを使って動いていたのを知っているであろう」
「し、知ってます……。で、でも裏切りなど……。二公爵の処刑を断じたのは……こ、国王で……」
「それは命じたのは国王なのだろうな。だが、その国王を闇魔道で動かしているのは、お前だ。まさか、まったく予期しないことだと言うのではないだろうな?」
「い、言いませんが……。や、闇魔道は……あ、操り術とは異なり、完全に意のままの動かすというわけには……。あ、あのう……。ゆ、指を抜かせてください……。さ、逆らいません」
テレーズが両膝を擦り合わせるようにしている。
マーリンは、そんなに強い媚薬だったのかとほくそ笑んだ。
「お前のような感情の無い女がそんなに反応するのは興味深いな。まだ、油剤は残っている。遠慮なく塗り足して、指を穴に入れ直すといい」
マーリンは言った。
それとともに、こんな風に好色めいたことが普通に口に出せるということに、少しばかり驚く気持ちもあった。
まあいい……。
とにかく、マーリンは、目の前の女が追い詰められるのを眺めるのが愉しくなってきた。
「ひ、必要ありません……」
テレーズは言った。
懸命に平静を装っているのが愉快だ。
マーリンは、「命令」と口にした。
テレーズは、追い詰められた表情になりつつも、股間から指を抜き、新たな媚薬を足して、もう一度自分の股間と尻の穴に指を入れ直した。
指を抜くとき、大きく女の反応を示し、新たに指を挿入するときには、さらに派手に悶えた。
新しい媚薬が足されると、見ているマーリンがたじろぐほどに、一斉に大量の汗がテレーズから噴き出した。
まるで水でも浴びたみたいになったことで、テレーズの身に着けている薄物はぴったりとテレーズの肌に貼りつき、ますます扇情的になった。
「気に入ったか? あの魔族女と遊ぶのに残しておくか?」
マーリンはくすくすと笑った。
テレーズが口惜しそうな表情になる。
「ひ、必要ありません……。うう……、くっ……」
テレーズの膝ががくりと砕ける。
「ひんっ」
すると、テレーズ自身の動きが、指を挿入しっ放しの股間と尻穴に激しい刺激になったのか、テレーズの身体がぶるぶると震えた
ふと見ると、その膝にテレーズの指の間から漏れ出たらしい愛液が内側に滴っている。
やはり、それほどの強力な媚薬だったのと思った。
「そうか……。じゃあ、訊問に戻るか……。二公爵の処断を勝手に遂行させたのは、お前の独断だな?」
「そ、そうですが……べ、別に……さ、裁量の枠外とは……」
「そうか……。だが、意図的に情報を遮断したな?」
「い、意図的? あ、あたしは……ひ、必要以上の……接触を……んくうっ」
またもや、媚薬にただれた股間かアナルを挿入している指で抉ったのか、テレーズが大きく背を反り返らせた。
マーリンは、あまりの痴態に噴き出してしまった。
「必要以上の接触を禁じられたからだというのか……。まあいい。だが、王都にいるわしの手の者に、闇魔道をかけて、わしに対する情報を遅延させるようにしたな? なぜ、そんなことをしたのか知らんけどな」
「な、なんですか……、そ、それ……」
「質問に答えろ、命令だ」
「や、闇魔道で完全に心を操るのは不可能で……あ、ああっ、んはああ」
テレーズがぶるぶると身体を震わせる。
「どうした?」
マーリンは笑った。
「ゆ、指を抜かせてく、ください……」
「そのままでいよ……。命令だ」
マーリンは言った。
いずれにせよ、テレーズは処分する。
だんだんわかってきたが、テレーズは巧みに言葉を選んでいる。嘘は言わないが、本当のことも言わなくていい、ぎりぎりの表現に巧みに変えている。
どうやら、“黒”だな。
マーリンは結論した。
使い手のある“道具”だが、道具が道具でなくなったときには、処理するしかない。
ほかの方法はない……。
いやらしく身体を反応させるところは、殺すには惜しいが……。
まあいいか……。
「……ところで、魔族の女については、お前の完全な支配下になるのだな?」
「は、はい……」
テレーズがはっとしたように、俯きかけている顔をあげた。
だが、顔は真っ赤だ。
目元はとろんとして、薄っすらと涙まで浮かんでいる。
ますます、媚薬が効いてきたみたいだ。
面白い……。
「真名を教えよ」
マーリンは言った。
すると、テレーズはきょとんとした表情になった。
「い、以前に教えましたが……?」
「念のために、もう一度教えよ……」
確かに教えられている。
あのサキという魔族女をテレーズが支配下に置いた直後だ。
ほとんど、マーリンはテレーズとは接触をしないようにはしていたが、さすがに、魔族女を支配下に置いた直後については、戻って報告をさせた。
そのときに、テレーズは、サキを支配下に置くための鍵である真名を自ら教えたのである。
そのとき、ふと思った……。
自発的に……?
およそ、与えた任務をほぼ完璧にこなすテレーズだが、逆に言えば、任務を推し量って余分なことをするというようなことをしないのがテレーズだ。
隷属をして道具だとしか考えていないテレーズに、それ以上のことを望んでもいないので、深くは考えていなかったが、いまにして考えてみると、なんとなくテレーズらしくない気がする。
余計なことを口にせず、命じたことを淡々とこなし、逆にマーリンに媚びるようなことをしない。
あのときは、真名を探り当てたという功績をマーリンに誇るような物言いだった気もするが、思い出してみると、あれはテレーズらしくはなかった……。
違和感を覚えた。
「うくっ、も、もう……お、お許しを……」
そのとき、テレーズが弱音を吐くように哀願の言葉を発した。
マーリンは、追い詰められていくテレーズの姿にやりと微笑んでしまった。
しかし、ふと、テレーズの淫靡な肢体に引きずる込まれている自分の感情に気がついた。
あまり、遊びすぎるのもよくない。
マーリンは気を引き締めた。
「命令だ。サキの真名をもう一度言え」
マーリンははっきりと言った。
その瞬間、なぜか、媚薬で呆けていたテレーズの顔が急に引き締まった気がした。
「そ、それは……リュンネガルト・ゴーテンバウム・サキュテスト……です……」
「リュンネガルト・ゴーテンバウム・サキュテスト?」
マーリンは首を傾げそうになった。
記憶していたものと、微妙に違う気がしたのだ。
そして、はっとした。
テレーズの罠がわかったのだ。
サキの真名に関して、テレーズはあのとき、微妙に嘘を混ぜて報告した?
隷属した状態で、それが可能なのかと、疑問が一瞬頭がよぎったが、やりようによっては、それもできるということを悟った。
隷属されているサキは、絶対に「命令」には逆らえない。
だが、「命令」されてないことであれば、逆らうことも可能なのだ。つまりは、「正直に話せ」と命じられる前に、進んで喋ることにより……。
「前に聞いたものと異なるような気がするな……」
マーリンはテレーズを睨んだ。
「そ、そんなことは……、も、もう指を……」
テレーズの膝が震えている。
やはり、強力な媚薬なのだと思った。
いままで、この女を性欲の対象として見なしたことすらなかったが、こうやって淫欲に追い詰められている目の前の女に接していると、自分の中で忘れていたような黒い情動に見舞われる。
テレーズの脚に流れている愛液は、いまやくるぶしまで達している。
あのまま、指を動かせと命じたらどうなるだろう。
いつも無表情なテレーズがよがり苦しむ姿は淫靡だ。
この姿にさせる前のテレーズの姿など記憶の隅にもないが、この姿の女伯爵のテレーズ=ラポルタは、若くはないとはいえ、ルードルフが愛人にしたがるくらいの美女だ。
当然に、その女伯爵と同じ姿のいまのテレーズの外見は、色香が漂うを錯覚するくらいの美女だ。
その美女が媚薬に追い詰められて、苦しむ姿はいい景色ではある。
「まあいい……。それよりも、お前は俺よりも魔族について詳しい……」
マーリンは言った。
冥王戦争の時代ならばいざ知らず、あのとき異界に追放された魔族は、現在の人族にとって身近なものではない。
マーリンも、古文書では触れるが、実際に魔族に接する機会などなく、詳しくはないのだ。
ところが、テレーズは、魔族に対する知識があり、扱いについてよく知っていた。
どういう経歴を過ごしてそうなったかはわからなかったが、とにかく、テレーズは魔族の扱いについての知識が豊富だった。
サキという女魔族のことをテレーズに任せることになったのも、それが理由のひとつでもある。
「え、ええ……」
テレーズが頷く。
「真名を支配された魔族は、支配したものに隷属し、その命令には逆らえない……。これは間違いないな?」
「は、はい……」
「ならば、真名を支配した者がふたりいて、相反する命令を受けた場合、どちらの命令に従う?」
「そ、それは……、め、命令は絶対……。ど、どちらも実行しようとして……。ほかに相反されていても……」
「余計なことを言うな……。相反する命令を同時に与えられている場合、どちらを優先する。先に与えられた命令か、それとも、後に与えられた命令か……? 答えよ、命令だ」
「はあ、はあ、はあ……、か、身体が……あ、熱くて……」
テレーズが眉をひそめて歯を食い縛る仕草をする。
しかし、マーリンにはやっとわかってきた。
テレーズの痴態……。
これは、丸っきりとは言わないが、これももしかして計算づくか……?
もしかして、答え難い質問をぶつけられると、意図的に痴態を示して、マーリンの意識を反らしている?
「……テレーズ……、お前……?」
そのときだった。
いきなり、テレーズが激しく痙攣をした。
「んふううっ、もうだめええ」
そして、いきなり前後の穴に指をを入れたまま、派手な声をあげてしゃがみ込んでしまった。
かなり激しい絶頂の仕草だ。
あまりもの醜態に、マーリンが大きく噴き出してしまった。
「はははは、我慢していた分、逆に激しく達したみたいだのう。別に指を入れろとは命令したが、動かせとは言わんかったぞ。媚薬で股間が熱くなりすぎて、じっとしておられんかったか」
マーリンは大笑いした。
テレーズが膝を震わせながら立ちあがった。
かなり、懸命に立とうとしているが、絶頂したばかりで脚に力が入らない感じだ。
そして、最初に命じた壁の添って立てという命令が生きているのだとわかった。
マーリンは、さらに笑ってしまった。
隷属の支配を受けている者は、どんなことがあろうとも、支配には逆らえない。
改めて、その残酷さをマーリンは認識した。
「そ、相反する命令がある場合は……ま、魔族は、こ、好む命令を……い、意図的に選択できる……可能性が……う、生まれます……。だ、だから、決して、魔族の支配は、複数ではしません……。し、支配があやふやになります……」
テレーズが腰を起こしながら、突然に語り出した。
マーリンは、これも、対応が遅れた命令に対する反応なのだとわかった。
いずれにしても、訊ねたいことは事前に確認できた。
念のために、テレーズのことを確認しにきてよかった。
だが、やはり、こいつは、なにかを企んでいる……。
それもわかった。
少なくとも、魔族女の正しい真名をマーリンに教えていなかった。
もしも、確認することなく魔族女のところに赴けば、真名の支配に失敗して、マーリンは殺されていたかもしれない。
用心深くてよかった。
「指を抜いていいぞ。命令を解いてやろう。もう休んでよい。後は、心おきなく自慰でもしてよい」
なかなかに愉しい見世物だったが、それよりも、すぐに行動に移すべきと悟った。
そして、最初に考えていた通りに、テレーズは処分するべきだと判断した。
この“道具”は、どうにも使い手が悪すぎる。
すぐにやらなければならないのは、魔族女のサキをマーリンが支配することだ……。
次いで、ここに戻って、不要になったテレーズを処分する……。
いま、テレーズを処分しないのは、先にテレーズを殺してしまうと、真名の支配が途切れるからだ。その瞬間、魔族女は逃亡をするだろう。
しかし、マーリンが支配してしまった後なら、テレーズは不要になる。いや、さっきのテレーズの言葉なら、二重支配を避けるために、テレーズは死なねばならない……。
「……け、結構です……」
テレーズは内腿を擦り合わせている。
まだまだつらそうだ。
そして、その顔は屈辱感に溢れている。
マーリンは笑ってしまった。
「自慰をせんのか? もう一度、すっきりしてからでいいのだぞ。とにかく、終わったら、やってもらうことがある。その前に、少しは発散した方がいいのではないか」
「……は、発散? や、やることとは……?」
「サキのところに案内してもらう。わしは隠れておるから、わしに抵抗しないように命令せよ」
「そ、そして……、サ、サキを支配する……つ、つもりですか……。あ、あなたが彼女の……ま、前に……しゅ、出現した……時点で殺されるかも……しれません……よ」
テレーズが荒い息をしながら言った。
「だから、お前が先に行って、魔族女を無力化するのだ──。これは命令だ──。とにかく、これ以降、命令された以外の行動をするな──。お前がするのは命令されたことだけだ」
「よ、用心深い……ですね」
テレーズが言った。
なぜか、その物言いにむっとした。
「わしの性分だ──。余計なことを喋るな──」
マーリンは怒鳴った。
「……わ、わかりました……。あたしについては……命令されたこと以外のことは……しません……」
そのとき、汗びっしょりのテレーズが会心の微笑みを浮かべたと思った。
なぜ、笑う?
なにか気になる言い方だ……。
あたしについては──?
思わず立ちあがって、テレーズに近づいた。
だが、違和感があった。
それがなにかわからずに立ちどまったが、すぐに、灯火によってできているテレーズの影が、たったいままでテレーズの後ろの壁にあったのに、いつの間にか床に移動し、さらに、マーリンの後ろに向かって伸びているからだと気がついた。
灯火の位置は変わらないのに、なぜ影が動く?
疑問を感じたのは一瞬だ。
あるかないかの刺激を首に感じ、次いで頭に衝撃が発生して、いつの間にか、床に仰向けになって天井を見あげていた。
不思議にも、視線の先に首のない自分の身体がある。
痛みはない。
ゆっくりと首から血を噴き出しているマーリンの身体が倒れていき、すると、じっとこっちに視線を注いでいるテレーズと、いつの間にか出現しているもうひとりの美女がマーリンを見おろしているのがわかった。
もしかして、この女がサキ?
マーリンは、咄嗟にサキの真名を呼ぼうとした。
だが、できなかった。
喋れない。
それどころか、急速に視界が消えようとしている。
もしかして、首を斬られた?
消えていく意識の中で思ったのはそれだった。