※この作品はR-18です。

【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】   作:ドン・ドナシアン

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400 黄色組の恥辱労働

「はうっ」

 

 マリアは浴槽の床を擦る手をとめて、その場にうずくまってしまった。

 貞操帯の中の張形がぶるぶると動き出したのだ。

 しかも、今度は後ろだ。

 

 ただでさえ、やったことのない労働を強いられる公爵夫人だったマリアだが、こんな恥辱的な仕打ちを受ける屈辱には耐えられるものではなかった。

 とにかく、淫らな刺激に耐えられず、マリアは清掃道具を取り落として、その場に跪いてしまった。

 

「マリア様──」

 

 今日の浴槽掃除当番を一緒にやっていた侯爵夫人のランジーナが心配そうに駆け寄る。

 だが、そのランジーナの動きもぎこちない。

 当然だ。

 マリアもランジーナも、……いや、黄色チョーカーを装着させられ、後宮における一切の家事労働をすることになった五十人ほどの貴族女たちの全員が、この忌々しい張形付きの革製の貞操帯を装着させられている。

 この貞操帯には、魔道が込められているということであり、装着しっ放しでも清潔を保てるらしいのだが、これを四六時中装着されて、労働をしながらの日常生活を送ることを強要されているというわけだ。

 これまで、侍女や従者にかしずかれる生活を送っていた上級貴族の女の自分たちがだ――。

 

 しかも、身に着けているのは、貞操帯だけであり、監禁されている女の全員が貞操帯のみの全裸だ。

 ほかには、「家事奴隷」を表す首に巻かれている黄色のチョーカーと、乳首にぶらさげられている二個の鈴だ。

 服を身に着けることを許されずに後宮内の家事を行い、みじめな格好を忘れることを許さない、乳首のちりんちりんという絶え間のない鈴の音が、マリアたちの恥辱を助長する。

 

 しかも、貞操帯は股間に食い込むように密着しており、その内側には粘性質の突起物がびっしりと存在している。それが身体を動かすたびに、右に左にと形や大きさを変化させながらうごめくのだ。

 四十をすぎているとはいえ、マリアも女だ。

 さらに、前後のふた穴に、張形まで挿入させられるとあっては、満足に動くことも難しい。

 

 そもそも、公爵夫人だったマリアもそうだし、いま一緒にいるランジーナもランジール侯爵家の夫人だ。

 生まれてから一度もやったことのない家事をするだけで必死なのに、こうやって嫌がらせ以外のなにものでもない淫靡な刺激を与える貞操帯を四六時中装着されているのである。その淫らな刺激が夫人たちの動きを妨げる。

 ここに集められて、まだ三日ほどにしかすぎないのだが、もうすっかりと、マリアたちはこの生活に参ってしまっていた。

 

「だらしないねえ。それだと、またずいき汁の懲罰になるよ。しっかりと働きな。今日からは、組になった当番については、一方の懲罰をもうひとりも連帯責任で受けることになったんだからね。迷惑をかけたくなければ、さっさと立つんだよ」

 

 マリアたちの仕事を監督しているモリガンという女兵が後ろから呆れたような声を出した。

 近衛兵の女兵の格好だが、廃絶させられたはずのラングール公爵家のマリアはともかく、侯爵家夫人のランジーナ、そのほかの侯爵家、伯爵家の女たちに対して、まったく容赦のない態度を崩さない。

 まさに、奴隷を使役する奴隷監督そのものだ。

 

 モリガンのような女兵が十数名いて、マリアたち五十人ほどの黄色組を監督している。

 家事労働をしたことのないマリアたち貴族夫人に、そのやり方を教えるとともに、失敗に対して懲罰を付与するのが、彼女たちの役割だ。

 彼女たちの怖さは、たった三日で、マリアたちの心にしっかりと刻まれてしまった。

 

「あ、ああっ、そ、それは……や、やります。やりますから……」

 

 マリアは慌てて立ちあがろうとした。

 “すいき汁の懲罰”というのは、一日の家事労働でもっとも不甲斐ない者の数名に与えられる折檻である。

 マリアたち黄色組は、股間に装着されている貞操帯を一日に三回だけ許されている「排便・排尿時間」以外は、ずっと嵌めっぱなしである。自分で外せないだけでなく、外からの一切の刺激を遮断してしまう。

 「ずいき汁の罰」というとは、怖ろしいほどの痒みが襲われるその汁を就寝前に貞操帯の張形に注入される罰だ。

 貞操帯を装着した状態で、張形の内側の空間に、貞操帯の外側から液汁を流し込めるようになっていて、それがしばらくのあいだ振動をしながら、張形の外に大量に滲み出てヴァギナとアナルの内側にまき散らされる。

 貞操帯の外から痒みを癒す方法はない。

 初日のときには、全員が懲罰を言い渡されたので、マリアもその洗礼を受けたが、発狂するほどの痒みが夜のあいだ続き、まさにマリアたちは七転八倒した。

 あの痒み地獄だけは、二度と味わいたくない。

 ましてや、自分の失敗でランジーナに迷惑をかけるなど……。

 

「だったら動くんだよ。家事奴隷のお前らは、どんなに快感を覚えても、それに没頭することは許されないんだ。とにかく、お前らは、快感に耐えることを覚えさせろと言われている。いつまでも乳首を勃てていずに、さっさと床を磨きな」

 

 モリガンが腕組みをしたまま酷薄な口調で言った。

 マリアは歯を喰いしばって立った。

 振動の時間は短いし、激しく動くことは少ない。

 加減をされているのだ。

 いまも、すぐに張形の振動はすぐに終わった。

 だから、マリアはなんとか自分で立つことができた。マリアは荒い息を隠すことができず、離してしまった床ブラシを拾って、床を磨く仕事に戻る。

 

「マリア様……」

 

「も、申し訳ありません、ランジーナ様……。だ、大丈夫です……」

 

 マリアは肩を抱くようにしてくれているランジーナに軽く頭をさげる。

 心配そうにしてくれるランジーナとともに、再び床を磨く動作に戻る。

 黄色組については、爵位は忘れて名前で呼び合おうと提案したのは、一応、黄色組の「奴隷側」のとりまとめをすることになったラングーン公爵家夫人のフラントワーズだ。

 確かに、こんな状況になっては、むしろ爵位で呼び合うことこそ惨めだ。

 全員が賛同し、それからマリアたちは下の名で呼び合っている。

 

 ところで、ここは後宮に数個ある浴室のひとつであり、一度に三十人ほどは入れるほどの大きな浴槽だ。

 浴場清掃は、浴槽の湯を抜き、浴槽と床を磨き、また湯を戻すという仕事だ。そのほかに、湯桶の整理に、石鹸や髪洗い粉の補充など、さまざまな仕事がある。

 これをモリガンのような監督の女兵に言われるまま、示された時間内にやり終えるというのが、今日の午後に命じられている最初の仕事である。

 だが、いまのように、時折起こる股間の刺激に邪魔され、ただでさえ不慣れな清掃などという仕事は、まったく捗っていなかった。

 

「ひんっ」

 

 すると、今度はランジーナががくりと膝を落とした。

 張形の振動はいつ起きるかわからないし、間隔も激しさも全く予想することができない無秩序だ。

 狂うくらいに連続で起きることもあれば、焦らすようにいつまでも静止したままのこともある。

 動いたときは動いたで、とまったままであれば、とまっていることでマリアたちは、貞操帯の刺激に苦しんでいた。

 なにしろ、これだけの快楽責めを受けながらも、この三日、ただの一度も絶頂を覚えてない。

 そして、どうやら、それはマリアだけのことではないみたいなのだ。

 黄色組の誰ひとりとして、まだ一度も達してないようだ。

 マリアたちの貞操帯に、そういう仕掛けが備わっているとしか思えないが、そのため、切なさのような疼きは日にちに拡大し、三日目のいまになると、いまように、ほんのちょっとした刺激だけで、震えるような甘美感に襲われるようになっていた。

 

「ラ、ランジーナ様」

 

 マリアは今度はこっちが声をかけたが、背後のモリガンに叱咤の声を浴びせられて、床磨きの動作に戻った。

 ランジーナは、マリアのように清掃具を落とすような醜態は示さず、刺激に耐えて掃除を継続している。

 それを見て、マリアも仕事に戻った。

 しかし、そのランジーナの内腿からくるぶしにかけて、ねっとりとした愛液が滴っているのがちらりと見えた。

 貞操帯では防げない体液の漏れが、股間から流れ落ちているのだ。

 あの愛液の滴りだけで、ランジールの苦しさがわかる。

 だが、それはマリアも同様だ。

 情けないが、マリアの脚にも、同じような愛液の汁が流れている。

 ほかの夫人たちも一緒だ。

 

 絶頂を許されず、刺激されるだけの三日──。

 マリアたち黄色組の令夫人たちは、なによりも、発散することのできない性の焦燥に苦しんでいた。

 

「ほううっ」

 

 すると、またもやマリアの股間に張形の振動が襲いかかった。

 全身の欲情を揉み抜くような愉悦がうねり起こる。

 

「手を休めるんじゃない──。気持ちよくても働くのをやめるんじゃないよ。感じていいのは、赤組だけの特権さ。青組の連中だって、魔道で絶頂を取りあげられたまま王の性の相手をしているんだからね。そりゃあ、苦しいらしいよ」

 

 モリガンが笑った。

 

「えっ?」

「絶頂を?」

 

 モルガンの意外な言葉に、マリアだけでなく、ランジーナもまた驚きの声を発した。

 休む場所が異なるので、ほとんど出会うことはないが、モリガンは口にした青組の夫人たちの状況は耳にしていた。

 すなわち、後宮の家事労働を命じられている黄色のチョーカーのマリアたちに対して、青組というのは、ルードルフ王の性の相手を命じられている女たちだ。

 五十人ほどの黄色組に対して、青組は十人ほどしかいないが、年配の夫人が多く、ほとんどが五十代、若くても四十代後半の年齢層だったと思う。

 その代わり、社交界ではそれなりに格式の高い夫人たちであり、彼女たちは、すっかりと凶暴になったルードルフ王の暴力的な性の相手を交代で務めているのだという。

 

 しかし、それはともかく、魔道で絶頂を取りあげられて性の相手──? 

 そんなことができるのか?

 マリアはびっくりするとともに、それはそれで、かなり残酷な仕打ちのように思ってしまった。

 

 そもそも、どうしてこういうことになったのか……。

 

 それは、絶対に逆らうことができない国王名義の園遊会の招待状から始まったそうだ──。

 マリアたち二家の公爵家の者は、夫たちの捕縛の連座により連れて来られたのだが、ランジーナのような多くの女は違う。

 最近の王都の混乱と、突然の国王の恐怖政治のために多くの貴族が王都からの逃亡を始める中、まだ王都に留まっていた伯爵以上の貴族の令夫人や令嬢に、一斉に王宮への園遊会という名の出頭命令がかかったのだそうだ。

 拒否すれば叛逆の意思ありと見なして、一族全員を捕縛の対象にするとまで招待状に書かれており、赴くしかなかったらしい。

 そして、集められて、全員が王兵に拘束され、三種類のチョーカーを装着された……。

 そのあと、チョーカーによって首を絞められる恐怖と、王兵の電撃棒の激痛に脅されて、全員が身に着けているものを剥がされて全裸にされたらしい。

 

 こうして、この理不尽な生活が始まった。

 すなわち、マリアたち黄色のチューカーを装着されたものは、貞操帯の刺激に苛まれたままの家事労働生活、青組の年配組は王の性の相手、そして、赤組の若い令嬢たちが、性調教という名の性拷問の生活が始まったのだ。

 

 人数は黄色組が最も多く五十人ほど……。年齢は二十代から四十代──。

 青組は十人ほど──。

 赤組は十代が多く、高くても二十代の前半だ。特に赤組は女のマリアからも嘆息するほどの、美貌と若さの持ち主たちだ。

 彼女たち赤組については、誰かに性奉仕をして仕えるための訓練だと言われているらしいが、はっきり言って、マリアにはなんのことかさっぱりとわからない。

 赤組の彼女たちは性調教を受ける以外は、家事のようなものはせず、彼女たちの世話は黄色組の仕事だ。

 だから、目に入ることもあるのだが、そのときに見かける彼女たちは、可哀想なくらいに追い詰められているのがわかる。

 

 それにしても、あがりきったまま達することのできない性の疼きが苦しい……。しかし、休むことは許されない。ましてや、一緒に働いているランジーナに迷惑をかけるとあっては……。

 いずれにしても、逆らえば、チョーカーの首が締まり、粗相をしても折檻の電撃か鞭打ちだ。

 逆らうことは不可能だ。

 

「んふうっ」

「ああっ」

 

 そのとき、またもや股間の振動が始まった。

 しかも、ランジーナにも始まったらしい。

 ふたりで同時に嬌声をあげて、身体をぐいと反らせてしまった。

 

「その調子じゃあ、時間内に清掃を終わらせるのは無理かねえ。ずいき汁の折檻はお前らで決まりかい?」

 

 後ろでモリガンがせせら笑うのが聞こえた。

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