【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】 作:ドン・ドナシアン
はらわたが捻られた感覚が襲って、コゼは我に返った。
気がつくと、外にいた。
城郭の広場のような場所だ。
夜が白々と明けかけていて、夜闇に薄っすらと明るさが混じりかけているという状況である。
コゼは一瞬なにが起きたのかわからなかったが、すぐにたったいままで自分たちは、保護を求めて冒険者ギルドにいたのだということを思い出した。
だが、体力回復用のポーションだと渡された薬液を飲み干したとき、急に意識がなくなったのだ。
「あの糞おやじ……」
コゼは舌打ちした。
どうやら、一服盛られたみたいだ。
保護をするとか口にしながら、面倒を避けるために、睡眠液でも口にさせて、移動術かなにかで、ここに転送したに違いない。
だが、コゼには普通の毒液には耐性があり、効き目が薄い。
アサシンとして子供時代から、多くの毒薬を少しづつ服用して、毒にかかりにくい身体を作っている。
一瞬は眠ってしまったが、移動術による身体への刺激で覚醒できたみたいだ。
とにかく、周囲を見回す。
城郭の広場だ。
上層地区ではなく下層地区である。
夜明け前の時間であり、ほとんど人はいない。がらんとしている。そのど真ん中にコゼはいた。横にはイライジャがぐっすりと眠っている。
また、コゼもイライジャも、一晩のあいだ逃げ回ったままの、血の付いた上衣を裸身にまとっているだけだ。
着替えることもなく、ギルドから追い出されてしまったのだ。
そのとき、少し離れた場所に、金属が鳴るような音を感じた。
はっとした。
エルフ兵だ。五人ほどいる。姿は見えないが足音でわかる。
彼らは五人一組になって、上層地区と下層地区の全域をたくさんの集団で徘徊をしている。
散々に逃亡し続けてきたのだ。
音だけでわかる。
とにかく、いまのうちに……。
「イライジャ──」
音で向こうに発見されるが構わない。
コゼはイライジャを引き起こすと、頬を思い切り引っぱたいた。
だが、脱力している身体は起きることはない。
コゼはイライジャの口を開けさせて、思い切り指を突っ込んだ。
ポーションを飲まされたとしても、ほとんど時間は過ぎていないはずだ。
それを吐き出させる。
「おげえええ──」
イライジャがえずいて、口から胃液が吐き出される。
コゼはさらに、指を突っ込み、喉を荒々しく刺激する。
イライジャの口からまとまった液体が流れ出た。
「あがっ、がっ、な、なに……?」
イライジャの意識が戻った。
だが、まだ半覚醒だ。
頬を力一杯に平手する。
「ふぎっ、なに? なによ──」
やっとイライジャの目が開く。
「おい、待て──」
そのとき、さっきのエルフ兵の一組がこっちを見て声をあげた
きゅるきゅるという警告音のようなものがして、別の辻からさらに五人が現われる。
見つかった──。
コゼは手元を探った。
武器はない。
ギルドに入ったとき、持っていたと思ったが、話をしているあいだ手放していたか?
とにかく、イライジャの身体を掴んで立たせる。
「な、なにが起きたの……? えっ、どういうこと……?」
イライジャはほとんど身体に力が入らないみたいだ。
立たせたものの、その場に崩れ落ちてしまった。
コゼは諦めた。
「あのギルドのおやじに一杯食わされたのよ──。また、外よ──。そして、エルフ兵が殺到しているわ」
コゼは言い放った。
そして、エルフ兵に向かって駆ける。
彼らがこっちを向いてなにかを叫んでいる。
薬液の影響が残っているのか、足元がふらつく──。
コゼは気合を入れた。
光線ようなものが飛んできた。
気がついたときには、コゼの身体は斜め横に跳躍して、それを避けている。
また、光線──。
コゼは跳躍して、五人の集団の先頭の顔面に膝蹴りを喰らわしていた。
「んぎゃっ」
端正なエルフ男に似つかわしくない声をあげて男が後ろに倒れていく。
着地したときには、その男の腰から剣を引き抜いていた。
屈んだまま、大きく一閃──。
「んぎいっ」
「ひいっ」
「あがあっ」
三人ほどの脛を具足ごと叩き斬った。
目を丸くしているもうひとりのエルフ兵の喉を斬りさった。
そいつは声を出すことなく、首から血を噴き出しながら倒れおちていく。
周囲を見回す──。
とりあえず、目の前にはいないが、すっかりと囲まれている。
「いたぞ──」
「あそこだ──」
別の一隊──。
すでに、三十人ほどが広場に集まっていた。
さらにどんどんんと集団が増えている。
逃げられないか──?
「きゃあああ」
悲鳴──。
イライジャだ。
首に腕を掛けられて無理矢理に立たされていた。
意識はしたものの、身体には力が入らないのだろう。
ほとんど抵抗はしていない。
両側と後ろから身体を摘ままれている兵に身体を預けるようにしている。
「おい、人間族の女──。抵抗するな──。さもないと──」
イライジャを掴んでいる男が叫んだ。
「いやああ、なによ──、や、やめてえ」
イライジャの声──。
身に着けていた服を剥がされたのだ。
イライジャの褐色の肌が外気に露わになった。
「近寄ると、全員殺すわよ──」
コゼは叫んで走った。
こっちにも、大勢のエルフ兵が襲い掛かってきている。
イライジャの姿もエルフ兵の集団に阻まれて見えなくなる。
もうどうしているのか、見る余裕もない。
「しゃああっ──」
剣を掴んだまま包囲されている一角に飛び込む。
細身の剣だ。
コゼに斬りかかってくる剣も同じ──。
それが四方八方から襲う。
身体を屈ませて剣を払う。
数名が倒れる。
そのときには、すでにコゼは別の集団にいる。
横からエルフ兵が突っ込んできた。
払い斬る──。
別のひとり──。
かろうじてかわす。
それで精一杯──。
体当たりをされて、コゼは横に転がった。
なにかの気配を感じて、コゼは寝たまま剣を振る。
魔道陣──。意識することなく斬る。
身体を弛緩させるような魔道を飛ばされたのだと思った。
前に、エリカたちと魔道対処の訓練をしたことがある。
それを思い出した。
魔道はそれを発動させるときに、宙に魔道紋が開く。それを途中で剣で切れば、魔道は発動しない──。
それを思い出す。
「イライジャ──、どこ──?」
跳ね起きながら叫ぶ。
起きながらエルフ兵を数名切り倒している。
エルフ兵に完全に囲まれている。
紐──?
左右から襲ってきた。
避けようと思ったが避けきれなかった。
左手は避けたが、右手首には飛んできた紐が絡んで捕らえられる。
「ひっ」
紐を引っ張られて身体が倒れる。
エルフ兵たちが襲い掛かる。
「舐めんじゃないわよ──」
右手首に紐を巻きつけられたまま、その手で剣を投げる。
紐を持っていたエルフ兵の胸に剣が刺さる。
右手首が緩んだ。
左手で地面を叩いて、身体を起こして突っ込む。
「うわっ」
「来るぞ──」
「捕らえろ──」
十人ほどのエルフ兵たちの集団に飛び込む。
密集体形であれば、魔道も剣も遣えない。
コゼは手刀を次々に喉に叩きつけて、片っ端から倒していく。
二度と捕まるか──。
捕まれば、あの拷問の再開だ──。
身体を掴まれる──。
構わずに手を首に打ち込んで倒す──。
力が緩む──。
だが、捕らえられている腕が緩む前に、別の腕に身体を掴まれた。
さらに別の手──。
「さ、触るなああ──」
声をあげた。
ついに地面に身体を倒された。
四肢をそれぞれ数名ずつに掴まれて、仰向けに押さえられてしまった。
「は、離せええ」
コゼはもがいた。
だが、もう逃げられない。
胴体に縄が落とされる。
まるで生きているのかのように、その縄がコゼの身体に巻きつく。
腕と脚をぐるぐる巻きにされる。
やっと、群がっているエルフ兵たちの力が緩む。
しかし、離してはいない。
「ひとりで何人殺しやがった──。殺しましょう」
顔を殴られる。
コゼはその手に噛みついた。
「いたあああっ、こ、こいつ──」
噛みつかれた男が絶叫する。
肉を噛みちぎったので血が噴き出ている。
もしも、指に届いてたら噛み千切ってやったのにと思った。
「大人しくしろ、人間──」
腹を蹴られて踏みつけられた。
別の男に顔を横から蹴られる。
「んぐうっ」
コゼは胃液を吐いた。
「殺すのはだめだ──。生きたまま連行しろという命令だ。だが、腹いせだ。服を破ってやれ。全裸で水晶宮まで連行だ。その前に、下層地区で引き回してやる」
群がっているエルフ兵の後ろから、誰かの声がした。
口調と周囲のエルフ兵の態度から、おそらくこの一団の指揮官だと思った。
頭を身体が四方から押さえらる。
一斉に手が伸びて、縄が絡んだままのコゼから服を引き破りだす。
「か、勝手にさ、触るな──。あ、あたしに触っていいのは、ご、ご主人様だけよ──」
悪態をついたが、もはや抵抗のすべはない。
コゼはされるがままにさせた。
一方で、イライジャの姿はまだ見れない。
イライジャも捕らえられたに違いない。
裸にされていきながら、コゼはひとつの違和感も覚えていた。
集まっている兵が少ない……。
少なくとも、逃げ回った夜はこんなものじゃなかった。
もっと警邏の組は多かった。
そもそも、ギルド本部から跳躍されて、この広場に来たとき、この広場そのものにエルフ兵の捜索組はいない状況だった。
すぐには見つかったが、それは道路から出てきた組がたまたまやって来ただけだ。
一瞬であろうと、この広場にエルフ兵がいないという状況が、夕べのことを思い出すとあり得ない。
この下層地区には、おそらく数千のエルフ兵があちこちを捜索して、上空には警備用の鳥のようなものまで飛び回っていた。
だが、いまは空にはなにもなく、明らかに兵が減っている。
これが示すものは、ひとつしかない……。
すでに彼らが捜している者が見つかったのだ……。
エルフ兵の集団は、別段、コゼとイライジャを捜索していたわけではない。
彼らの狙いは、最初からロウであり、エリカだった。
だが、その捜索が緩んでいるということは……。
すでに……。
コゼは背中に冷たいものが流れるのを感じた。
「や、やめなさい──。ちょ、ちょっと──」
そのとき、近くにイライジャの声が聞こえてきた。
コゼはすっかりと裸にされていたが、その身体を引き起こされた。
集団が左右に割れる。
イライジャがいた。
素っ裸で後手に縛られている。
しかし、剃毛のない股間に、縄瘤がついた股縄が食い込んでいる。
薬剤のせいもあるが、その股縄の刺激のせいでもあるだろう。
左右からエルフ兵に掴まれているイライジャの足元はぎこちない。
「へへ、こいつもせめて、辱しめましょうよ、隊長──。ただ、裸で歩かせるくらいじゃあ、俺たちの溜飲が……」
コゼの近くにいたエルフ兵が言った。
隊長と呼ばれたエルフ男の姿も見えた。
そいつが憎々し気にコゼを睨んで鼻を鳴らした。
「いいだろう」
わっという声がして、コゼの股間に縄が差し入れられる。
「や、やめなさいよ──。あ、あんたら──。そ、そんなことは、ご主人様しか――」
コゼは叫んだ。
だが、前後から捕まれる縄が股間で前後に激しく動かされる。
その刺激にコゼは身体を弓なりにしてしまう。
「んひいっ、だ、だめええ」
コゼは絶叫した。
そのときだった──。
「なんだ?」
「どうしたんだ、これ?」
エルフ兵たちが騒ぎ出した。
コゼの股間をいたぶろうとしていた縄も緩んだでだらりとさがる。
気がついたが水だ。
なぜか、くるぶし程の高さまで地面から湧き出たかのように、周囲一帯に水が浸っている。そして、奇妙なことにコゼとイライジャの周りだけは、ぽっかりと水のない場所になっていた。
つまりは、コゼとイライジャの足元だけを除き、突然に周囲一帯が水びだしになったのだ。
「ひっ」
思わず声をあげた。
凄まじい風が周りを通り過ぎていったのだ。
いや、風ではない……。
強烈な魔道の波動だ。
規模の大きい魔道は、宙を歪めるような変異を引き起こし、それを風のように感じることがある。
それだ。
「ひぎゃああ」
「あぐうう」
「ぐあああ」
すると、コゼの周りで一斉に悲鳴が発生して、気がつくとほとんどのエルフ兵が膝を折り、あるいは地面に倒れ伏している。
コゼは唖然とした。
「今度はなに?」
声はイライジャだ。
縄掛けをされた状態で跪いている。
コゼを掴んでいたエルフ兵も倒れていて、雁字搦めの縄を掛けられた状態でコゼは突っ立っている。
周りを見回す。
百人を超えるエルフ兵だと思うが全員が倒れている。
だが、その倒れているエルフ兵の向こうに、黒いフード付きのマントで身を包んだ、ひとりの人物がいることに気がついた。
あいつがやった……?
この全員を一瞬で……?
コゼが目を丸くしてしまったが、やっとエルフ兵を襲った正体がわかった。
電撃だ──。
怖ろしいほど強烈な電撃が一斉に地面を這ったのだ。
それが水を通して、エルフ兵たちに気絶をするほどの電撃を喰らわしたのだ。
「コゼ、見て。兵士たちが肩に着けていた魔道反射板が砕け散っているわ。水晶軍の兵が保有している反射板を越える強烈な魔道をあいつがかけたということよ。何者なの──?」
イライジャがコゼにだけ聞こえるほどの声で言った。
魔道反射板というのは、攻撃魔道を無効にする護符の魔道具だが、水晶軍、すなわち、エルフ兵たちは全員がそれを肩に縫い付けていたみたいだ。
それが全部砕けて壊れている。
これは、魔道技術の高いエルフの里で作られた魔具を簡単に毀してしまえる強い魔道によって攻撃されたということだ。
イライジャの驚きが、コゼには理解できた。
すると、黒いマントの人物がこっちに駆けてきた。
コゼは身構えた。
だが、全身をぐるぐる巻きにしていた縄がぱらりと解けて地面に落ちた。
イライジャも驚きの声を出す。
一瞬だけ見ると、イライジャを縛っていた縄があちこちを切断されて解けている。
これも、あいつがやったのか?
とにかく、コゼはとりあえず意識を失っているエルフ兵のひとりから剣を奪うと身構えた。
「おふたりとも、その格好はどうされたんですか? もしかして、ロウ様のいつもの“ぷれい”でしょうか? だったら、邪魔しては……? いえ、そうじゃないですよね。昨日の夜はとんでもない騒ぎでしたもの……。わたしも驚きましたけど、これはどういうことなんでしょう、コゼさん」
やってきたフード付きの人物が明るい声で早口で喋り出した。
そいつがフードを外す。
今度こそ、本当に驚いた。
「ス、スクルズ──。あ、あんた、なんでここにいるのよ──?」
コゼは声をあげた。
現われた顔は間違いなくスクルズだ。
ただ、髪が青白くなり、しかもマントの下まで伸びていて長くなっている。そのために雰囲気が違っているが、間違いなくハロンドールの王都にいるはずのスクルズだ。
彼女がなぜここにいる?
さすがにコゼも混乱した。
「えっ、もしかして、第三神殿の神殿長様?」
イライジャだ。
「いえいえ、神殿長のスクルズは王都で処刑されて死にました。わたしはスクルドです。それで、ロウ様はどこなのです? 色々とお話が……。罰をいただきたいですし……。でも、とにかくお顔が見たいです。ねえ、どこなのですか、ロウ様は? あっ、そうだ、これを……」
スクルドか、スクルズか知らないけど、コゼに迫ってきて、早口でまくしたてる。
だが、思い出したように、宙からスクルズが被っているのと同じようなマントをコゼとイライジャに差し出してきた。
とりあえず、それで裸身を隠す。
「それで、ロウ様は? わたしはお仕置きを……」
スクルズは期待に満ちた顔でうるうるさせた視線をコゼにぶつけてきた。
しかし、コゼは訝しむことしかできなかった。
だが、身体を温かいものが包んでいるのがわかった。
全身の痛みと疲労とだるさが消失していく。
治療術だと思った。
視線を向けると不完全だった手の治療も完全な状態になっていた。足の怪我も治っている。
「あ、ありがとう……。だけど、お仕置きって……。なにを能天気な……。あたしたちは昨日の夕方に水晶軍とやらに捕まって拷問を……。そして、逃げ回って……。」
「逃げ回る? もしかして、ロウ様の身になにかが──? それはどういうことでしょう──。わかるように説明してください──」
スクルズが気色ばんで叫んだ。
にこにこと微笑んでいた口元がやっと締まったものに変化する。
「わかるように説明してほしいのはこっちよ──。なんで、あんたはここにいるの? そもそも、いつここに?」
「昨日の夜です。魔道で駆けに駆けてきたんですけど、そうしたらあんな大騒ぎで……。とにかく、空き家を見つけて隠れていたんですけど、そろそろ朝になったんで、ロウ様を探そうかと……。だけど、勘が当たってよかったです。褐色エルフの里には辿りついたんですけど、それからの行方がわからなくて……。だけど、聞きまわっているうちに、もしかしたら、ユイナといかいう少女を追って、エルフの都に行ったんじゃないかと……」
よくはわからないが、このスクルズは自分たちの後を追いかけて、ナタル森林までやきたようだ。
クエストの目的地が褐色エルフの里だったので、そこに辿り着き、さらに足取りを掴むために、里で情報収集して、ユイナを追ってエランド・シティに向かった可能性に思い当ったのか?
里の者たちには、エランド・シティに向かうとは説明せずに、ハロンドールに帰還すると伝えたのだが、ハロンドールからやって来たスクルズは、情報を集めることにより、このエランド・シティに向かっただろうと結論付けしたのかもしれない。
ユイナについて知ることができれば、エルフ女王のガドニエルの女部下が誘拐して連れていったという情報がえられたはずだからだ。
それについては、囚われているはずのユイナの祖父や、あるいは、エルフ女の里長は知っている。
もっとも、余所者のスクルズに簡単に教えられることではないと思うが、まあ、こいつは能力が極めて高い魔道遣いであるので、無理矢理に情報を掴む方法はいくらもあるに違いない。
いずれにしても、すごい執念だ。
スクルズのいうとおりに、昨日の夜にここに辿りついたのであれば、コゼたちがシティに到着したのと、ほとんど変わりないことになる。
「とにかく、話はほかで……。逃げよう」
イライジャが声をかけてきた。
コゼも我に返った。
見ると、ところどころでエルフ兵が身じろぎを始めている。
「そうですね。じゃあ、わたしが隠れていた空き家に……。でも、ロウ様はどこにおられるのです? わたしはロウ様にお会いしたくて……。お仕置きとか……」
「その話は後よ、不良巫女」
我慢できずにコゼは悪態をついた。
すると、スクルズ、いや、スクルドがにっこりと笑う。
そして、次の瞬間には、身体が移動術の魔道で包まれるのがわかった。
(第28話『エルフの都の罠』終わり)