※この作品はR-18です。

【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】   作:ドン・ドナシアン

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427 人間族の魔女と女魔族(その1)

 ユンゲル=モーリアという人間族の男爵の屋敷を離れたあと、ジャスランはスクルドとともに、再び里の中心部に向かって歩いていた。

 里……といっても、ほとんど街なのだが、そこに宿があり、ジャスランとスクルドはそこを拠点にしていたのだ。

 ユンゲルは、ぎりぎりまで屋敷の客室を準備すると繰り返したが、スクルドが頑なに断り、四日後にやってくるということだけを強い言葉で告げ、一度立ち去ることになった。

 

 ジャスランは、それを見守りながら、スクルドが喋る言葉のひとつひとつに、強い暗示を込めていることに気がついていた。

 暗示を込めたのは、“四日後にジャスランが来る”──。“ジャスランの指図に従う”──。“その指示により、ロウ=ボルグを捕らえる網を張る”──。そして、“ジャスランが現われなければ、すべてを忘れる”──という幾つかの言葉だ。

 

 違和感もあり、困惑することもあったが、人間族との交渉についてはスクルドという人間族の女に任せて、絶対に口出しするなと、サキに命令をされていたので、仕方なく黙っていた。

 だが、目の前を歩くこの女が、ユンゲルに、国王でもなく、辺境候とやらでもなく、王太女に味方せよと暗示をかけていたのは、不思議であり、不満だった。

 王都にいるサキの思惑は、ロウが辺境候に与して、人間族の国王と戦を起こし、その戦に勝利して、新しい人間族の王になることだ。

 だったら、スクルドは、ユンゲルに辺境候に味方しろと強要すべきではなかったのか?

 

 サキが王太女の陣営──すなわち、王太女のイザベラ、彼女に味方するドワフ女のミランダ、神官巫女のベルズと仲違いをしたのは承知している。

 従って、ユンゲルが王太女に味方するように暗示をかけるのはおかしく、まるでサキの敵に味方をしろと告げるようなものだ。

 まあ、結局のところ、サキの指示のとおりに、ユンゲルの操るモーリア家の兵は、ロウ=ボルグの身柄を抑える手兵を出すことになったのだから、結果的には問題ないといえないこともないが、どうにもジャスランは納得できないでいる。

 

 いずれにしても、人間族の使う権謀術数というやつは、ジャスランたちのような魔族には難しい。

 白いものを白と言わず、黒くても黒くないといい、それでいて、最終的には言いくるめる。

 そうやって、人間族というのは、狡いやり方で大切なものを奪うのだ……。

 本当に人間族には、むかつく。

 

「おい、人間──。どうして、里まで歩くのだ? 朝に屋敷に向かうときには、お前の移動術で跳躍したであろう。それに、四日後にユンゲルが兵を出すなら、そのまま屋敷にいればよかった。宿に一度戻ることに固執したのはなぜだ──?」

 

 モーリア家の屋敷は、集落部分とは離れた小高い丘の上にある。

 だから、ジャスランたちが宿泊している宿屋とは距離があるのだ。

 ジャスランは、道の両脇が林に囲まれ、周囲に人影がなくなるのを待って、スクルドを呼びとめた。

 すると、スクルドが立ちどまり、道の端でジャスランに振り返る。

 

「だって、一度はちゃんと道を歩いて覚えないと、次に館に向かう時に間違ったら大変ですわ、ジャスランさん。もちろん、あなたのために歩いているのです」

 

 スクルドがにこにこと微笑みながら言った。

 ジャスランは、なぜかその笑みにむっとした。

 だが、ジャスランのために歩いているとはどういう意味だ。

 そもそも、そんな必要などない。

 

「馬鹿にしているのか、人間──。この私が道を誤るとはなんだ──。一度向かった場所だ。間違えるか──」

 

 ジャスランは腹がたった。

 だが、スクルドがかすかに首を傾げた。

 顔には、いつもの笑みを浮かべたままだ。

 本当に、あの微笑みはジャスランを苛つかせる。

 

「だけど、次はおひとりで来るのですから……。だけど……。そうですね……。ジャスランさんが必要ないというのであれば、じゃあ、終わりにしましょう」

 

 スクルドが言った。

 ジャスランは訝しんだ。

 

「待て──。ひとりとはどういう意味だ?」

 

 叫んだ。

 すると、スクルドがすっと姿勢をただした気がした。

 

「そのままの意味ですわ……。では、必ず四日後にモーリア家に戻ってくださいね。さもないと、わたしのかけた暗示は解けますので……。そうすると、サキさんのご命令に失敗することになりますものね……。それでは……」

 

 スクルドがわざとらしく大きく頭をさげた。

 移動術──?

 ジャスランは嫌な予感がした。

 すかさず、周囲に結界を張る。

 同時に、亜空間からスクルドを囲むように、魔道具を出現させた。

 八個の羽が生えているこぶし大の球体だ。

 亜空間越しだが、ずっとスクルドの周囲を囲ませていた。

 サキの命令なので、ずっと自由にさせていたが、ジャスランはこの胡散臭い人間族の女を信用したことなどなかった。

 準備しておいてよかった。

 

「まあ」

 

 結界を張ったことで、スクルドが宙に刻んだ移動術も魔道紋が消失した。

 しかし、その代わりに、ジャスランの張った結界が、それと相殺されて弾けてしまった。

 これにはジャスランもびっくりした。

 

「私の結界を魔道同士がぶつかった干渉で相殺するのか?」

 

 驚いた。

 ジャスランは、スクルドの張ろうとした魔道紋を結界で周囲を包むことで破壊させたのだが、その破壊の衝撃により、ジャスラン側の結界もまた壊れたということだ。

 これは込められた魔力量が近似しているときにのみに起きる現象であり、通常はどちらかの魔道が一方的に破棄されるものだ。

 ジャスランは、当然ながら、人間族よりも、魔族である自分の魔道力が強いと思っていたので、スクルドの魔道を中断させたことは当たり前として、その代わりに結界が砕けるとは思いもしなかった。

 すなわち、スクルドの魔道力は、ジャスランと同等程度ということになる。

 

「こちらも驚きましたわ。魔道破壊の結界が構成できますのね。もう少し、強い魔力が必要ということになりますか……。ところで、いまの魔道力はジャスランさんの限界から、どの程度の弱さなのです?」

 

 スクルドが顔に笑みを絶やさないまま言った。

 その笑顔が忌々しい。

 

「なにを考えているのかわからんが逃がさんぞ。サキ様のご命令は、ここでロウ=ボルグという人間族の男を待ち受けて、辺境侯とやらのところに連れていく……。まさか、逃げるつもりなのか──」

 

「逃げはしません。わたしはきちんと、サキさんとの約束は果たしましたよ。モーリア様をロウ様をお迎えする隊として引き込みました。彼には暗示をかけています。ジャスランさんさえいれば、ナタル森林から戻ろうとするロウ様がハロンドール王国側に現れるまで、ロウ様を見張る役目を続けるでしょう。問題ありませんわ」

 

「なにが問題ないだ──。どうも、言葉がおかしいと思ったが、最初からサキ様の命令に逆らって、逃亡するつもりだったのだな? だから、お前ではなく、私を暗示の鍵として使ったのだろう」

 

 どうにもおかしいと思ったのだ。

 スクルドがユンゲルを操るのに、魔道を遣ったのはわかった。

 だが、ずっと自分ではなく、ジャスランに従うように、あの人間に暗示をかけていた。

 しかも、最後には、ジャスランが四日後に現れなければ、暗示が解けるように操りをかけた。

 おそらく、スクルドが逃亡しても、ジャスランが追いかけて来られないようにするためだったのだろう。

 なにしろ、スクルドが逃亡したとして、ジャスランがこいつを追いかけると、四日後にジャスランがユンゲルのところに向かえなくなる。すると、ユンゲルが準備する隊をロウの見張りに使うということができなくなる。

 サキに命令に逆らうことができないジャスランには、それはできないことだ。

 

 とにかく、ずっと不自然さを感じていたのだが、サキからは、スクルドという人間族の女に交渉を任せて、絶対に邪魔も口出しもするなと念を押されていたので、ユンゲルとスクルドの話し合いのあいだは、横で我慢して黙っていたのだ。

 やっぱり、こいつは裏切ろうとしていた。

 怪しいと思っていたジャスランの勘は当たった。

 

「もう役目は果たしましたよ。あとは、ジャスランさんの仕事です。わたしはすることがありますので」

 

 スクルドは言った。

 だが、一方で周囲を回っている球体を気にもしている。

 どういう魔道具かはわからないと思うが、気味の悪さは覚えているのだろう。

 いまだに、魔道を遣おうとしていない。

 注意深く、その正体を探ろうとしているのがわかる。

 

「することとは?」

 

「もちろん、ロウ様を追いかけることですわ。ロウ様の向かった先はわかっているのです。わたしの能力であれば、追いつけますわ」

 

「“縮地の術”か?」

 

 ジャスランは言った。

 そのあいだも、対峙するようにスクルドを向き合いながら、スクルドを囲ませている球体に力を込め続けている。

 次にスクルドが魔道を遣おうとするのを待っているのだ。

 それで、ずっと気に入らなかった目の前の女を懲らしめられる。

 

 また、縮地の術というのは、ここにやって来るまで、スクルドがジャスランを運んでくれた跳躍術だ。

 移動術と似たようなものだが、このスクルドはずっと遠方に見える場所を視界に認めることで、一瞬にしてそこに辿りつくことができるのだ。

 だから、平地から見上げる山の山頂に、あっという間に移動できるし、その山頂から遠くの山の山頂、あるいは、見下ろす平地のどこにでも跳躍できてしまうのだ。

 この人間族の女が移動術を極めているというのは、認めざるを得ない。

 魔族の中でもかなりの遣い手であるジャスランも、移動術系の魔道は全く遣えない。

 得意は攻撃魔道だ。

 

「お前のことは逃がさんぞ。お前の逃亡を許すなというのも、サキ様のご命令なのだ。人間族はすぐに裏切る。逃がすと思うな。いずれにしても、お前を自由にするのは終わりだ。これからは、逃げられないように隷属をさせてもらう。やはり、人間族は信用できなかったな」

 

 ジャスランは言った。

 人間族は常にずる賢く、そして、魔族を騙す──。

 それが、魔族と人間族の歴史であり、だから、ジャスランは人間族が大嫌いだ。

 自分の血の半分がその人間族だと思うと、腹の中が煮え返りもする。

 

「サキさんを裏切りなどしませんよ。だって、友達ですから……。ところで、この球体はなんですか? どういう品物なのです?」

 

 スクルドが言った。

 全く動じていないような物言いだが、ジャスランはスクルドがかなり緊張しているというのがわかった。

 かなりの汗を顔にかきだしたのだ。

 しかし、表情には変化がない。

 ジャスランは、顔と心が一致しないという人間族の特色を改めて垣間見た気がした。

 

「サキ様のことを友達か……。それだけで万死に値するな……。それに裏切っているではないか。サキ様はお前がここを離れることを許可していない。サキ様のご命令は、モーリア家という人間族の貴族の兵を利用して、ロウ=ボルグを見張る罠を張ることだ」

 

 ジャスランは言った。

 もちろん、スクルドを囲む魔道具の正体を説明するわけもない。

 

「罠など……。ロウ様をお迎えする兵ですわ。それに、ジャスランさんは間違っていますわ」

 

「間違い?」

 

 ジャスランはきょとんとした。

 

「ここでロウ様を見張る兵を準備するように命じられたのは、ジャスランさんですよ。わたしはご協力はするとは告げたつもりですが、一度だって、命令をされたつもりはありません。だって、わたしとサキさんは対当ですもの。お互いに同等ですわ」

 

 スクルドはくすくすと笑った。

 ジャスランはかっとなった。

 

「サキ様と対当なものなどいるか──。サキ様は妖魔将軍とも称され、眷属の数は一千とも二千とも数え、亜空間を操り、私たち追放された魔族を導き……」

 

「わたしも、サキさんもロウ様の性奴隷です……。対当です」

 

 スクルドがジャスランの言葉を遮るようにきっぱりと言った。

 ジャスランはかっとなった。

 言葉を中断されたのもそうだが、サキが人間族の性奴隷?

 妖魔将軍のサキがあの人間族を気に入っていることは確かだが、それは限られた期間の気紛れのようなもので、サキが人間族を飼育しているようなものだと思っている。

 ところが、この人間族の女は、サキが人間族の男の奴隷だと言ったのだ。

 許せない……。

 

「まだ、サキ様を愚弄するのか──」

 

「ですから、対当ですし、裏切りではありません。わたしは、サキ様に協力を申し出ましたが、ロウ様を追いかけないとは言っていません。わたしは最初からそうするつもりでしたし」

 

「そうするつもりだった──? やはり、裏切りではないか──。サキ様にはそう言わなかった。私はその場にいたのだ。お前はここを去るとは言わなかった。サキ様に嘘をついたのだ」

 

「言わないということは、ただ言わなかったということだけで、嘘ではありません」

 

 スクルドは微笑んだまま言った。

 ジャスランはもう我慢ならなかった。

 亜空間から剣を抜いて突っ込む。

 スクルドが横に跳んで、林の中に逃げ込んだ。球体もついていく。

 

「待て――」

 

 追いかける。

 あっという間に追いつく。

 樹木にゆく手を阻まれたスクルドがさっと振り返って、身構えるのがわかった。

 

「きゃああああああ」

 

 次の瞬間、スクルドが絶叫してその場に倒れる。

 スクルドを囲ませていた魔道返しの球体群の効果だ。

 これを待っていた。

 あれらは、囲んでいる空間に魔道発生の揺らぎを感知すれば、魔道紋を破壊して、それを無効化するのみではなく、吸収した魔力を中心に向かって、電撃として飛ばす。

 強い魔道ほど、強い電撃が浴びせられるというわけだ。

 つまりは、スクルドは魔道を遣おうとして、球体に魔力を電撃として反射され、ひっくり返ったということだ。

 

「さて、どうしてやろうか」

 

 ジャスランは、牽制のために使った剣を亜空間にしまうと、まだ電撃で痺れて動けないスクルドの手首と足首に、次々に魔道封じの輪を嵌めていく。

 これで、こいつは魔道を遣えない。

 

「こ、これは……」

 

 スクルドが困惑して声を出したが、まだ弛緩から抜け出せないのがせか、抵抗はない。

 最後に隷属の首輪を嵌めてやる。

 もっとも、魔道封じはすぐに効果を発揮するが、隷属の首輪は、この女の心が屈服しないと効果を発揮しない。

 だから、これからどうやって、屈服させるかだ。

 

「や、やられました……。魔道反射の魔具ですね……。困りましたね。あなたが操っているものですね……? だったら、あなたを先に気絶させるべきでした。そうすれば、球体に力を注げなくなり、効果が消えるのに……」

 

 倒れていたスクルドがやっと、よろよろと上体だけ起こす。

 

「なにが先に気絶させるだ。確かに私が意識を失えば、魔道反射の球体は力を失うがやってみるんだな」

 

 ジャスランはスクルドの前にしゃがむと、スクルドの襟首をつかんで、顔を引き寄せた。

 

「きゃっ」

 

「さて、とりあえず、屈服してもらうか。二度と逃げられないように隷属させてやる。サキ様を裏切ろうとした罰だ。覚悟しろ」

 

「裏切りなどしませんのに……。最初からわたしは、サキさんと組んだ覚えはないと言っているではありませんか……」

 

「まだ言うか──」

 

 この女の頬を引っぱたこうとした。

 十発ほど殴れば、多少は心が折れるだろう。

 

 そのときだった。

 突然としてスクルドに首に抱きつかれて、口づけをされた。

 

「んっ、んんっ?」

 

 なにかが口に入ってきた。

 思いもしなかったスクルドの行為に、反応することができなかった。

 口移しで液体を口の中に注がれているのだと悟った。

 跳ね避けようとしたが、すごい力でしがみついてくるし、得体の知れない液体を飲み込んでしまうと、それで身体が急速に弛緩してしまった。

 ジャスランは砕け崩れた。

 

「……歩きだす直前から、薬液の入った小さな袋を口の中に入れていたんです……。ただの薬では効かない可能性を考えましたが、ロウ様仕込みの強力な媚薬には対応できないと思いました。やっぱりですね。こんなものしかなくてごめんなさい」

 

「な……なん……れ……?」

 

 舌が痺れて、うまく動かない。身体もだ。

 ジャスランは愕然とした。

 

「だけど、本当に、ロウ様のお薬は無敵ですね……。ふふふ……。ロウ様からの預かりものはたくさんあります。この媚薬もそれのひとつですわ」

 

 スクルドは倒れてしまったジャスランの上から顔を出した。

 その顔は赤い。

 かなりの汗もかいていて、まるで酔っているように見える。

 

「あ、あなたの口に注ぐとき、わ、わたしもちょっと、媚薬に舌を触れさせました……。そ、それで、これですから、大部分を飲んだジャスランさんはしばらく動けませんよね……。それに、そろそろ効いてきたのでは……?」

 

 スクルドの顔は上気していて、表情もとろんとして妖艶さを感じる。

 だが、それよりも、身体が苦しい。

 とてつもなく、熱い……。

 なんだ、これは……?

 全身が……疼く……。

 股間が……。

 乳首が……。

 痛いくらいに……。

 痒い……?

 

「な、なんら……これ……?」

 

「ごめんなさいね、ジャスランさん。でも、あなたほどの魔族の女性を昏睡させる毒は持ってないんです。多分、効かないと思ってました……。だから、ロウ様からお預かりしている淫具の中から、強力媚薬を使わせてもらいました」

 

「ば、ばかな……」

 

「できれば、わたしの周りに浮かべた球体を排除してもらえますか? ジャスランさんの魔力で浮かべているものですよね。だったら、ジャスランさんが魔力を解除すれば効果を失いますよね?」

 

「ふ、ふざけるな……。逃がすか……」

 

 魔力反射の魔道具を解除すれば、あっという間に逃げるに決まっている。

 絶対に逃がさない。

 サキから言われているので殺しはしないが、ユンゲルのところに戻るまでの期間、死んだ方がましな目に遭わせてやる……。

 

「だったら、申し訳ありませんが、気絶させていただきますね。あなたが跳ばした反射具は、ジャスランさんが意識を失わないと、わたしの周りから外れないタイプのようですし、だからといって、わたしが魔道を遣うと、電撃が飛びますし……。ならばこうするしかないでしょう……」

 

 スクルドがなにかを言っている。

 だが、頭に入ってこない。

 それよりも、全身が熱い。

 身体が疼く。

 しかし、手足が弛緩して動かない……。

 

 魔族である自分が人間族の作った毒でやられる可能性など考えなかった。

 しかも、媚薬だと?

 とにかく、毒消しを……。

 ジャスランは魔道を遣おうとした。

 

「させませんよ」

 

 その瞬間、倒れているジャスランの服の上から無造作にスクルドがジャスランの胸を愛撫した。

 

「ひああっ」

 

 その瞬間、ジャスランの中でなにかが弾けて、あられもない声が口から迸った。

 刻みかけていた魔道も中断されてしまう。

 

「……電撃と引き換えになりますが、ジャスランさんの口に、もう一度媚薬の球体を飛ばします。大丈夫ですよ。こうやって、ジャスランさんにも電撃を受けてもらいますし……」

 

 スクルズががばりと仰向けに寝ているジャスランに全身で覆いかぶさった。

 目を丸くしたが、口を手で押さえられる。

 口の中に球体が発生して、ジャスランの口が大きく膨らむ。

 

「んぎいいいい」

「うわああああ」

 

 電撃が襲い掛かった。

 スクルドが魔道を遣ったために、反射具の球体がスクルドに電撃を飛ばしたのだ。だが、身体を密着しているジャスランにも、その電撃が襲い掛かった。

 

「んぐううう」

 

 それとともに、口を噛みしめてしまい、球体が破れて、一気に大量の液薬が喉の奥に入ってきた。

 吐き出そうと思ったが、それができないようにスクルドがジャスランの口を押えている。

 

「んふううう」

 

 数瞬後、頭の芯が弾けて、全身が痙攣した。

 股間からなにかが噴き出したのがわかった。

 

「あっ、あっ……。きょ、強烈ですね……。か、身体は……ど、どうですか……?」

 

 まだ全身が痺れて動けなさそうなスクルドがジャスランのズボンの股間をすっと手でなぞった。

 

「んはああ」

 

 およそ、自分の声とは思えないような甘い声が迸る。

 スクルドがさらに股間を揺するように動かす。

 

「こ、こんなのもあります……。媚薬と一緒に亜空間から取り出しました。これもロウ様の淫具です」

 

 棒のようなにかを胯間に押し当てられた。

 それがなんなのか確かめる間もなく、その棒の先端が左右にうねりつつ、激しく振動を始めた。

 

「ひ、ひいいい」

 

 衝撃が襲った。

 そして、なにも考えられなくなり、信じられないほどに簡単にジャスランは絶頂を極めてしまった。

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