【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】 作:ドン・ドナシアン
「ブルイネン、賊だぜ。これが、ガドニエル様が捕らえろと命じた巨悪の張本人だ。連れていって拷問にかけろ」
パリスがそう言って、一郎たちから離れていく。
それに代わるように、前に進み出てきたのは、すらりとした体形をした美しいエルフ美女だ。
服装からこの一隊の指揮官だということがわかる。
一郎は舌打ちした。
完全に囲まれている。
「感謝する、パリス。あなたの手柄はガドニエル様に報告しておく」
ブルイネンと呼ばれた美人エルフが軽く頭をさげた。
一郎はすかさず、ブルイネンに魔眼を向ける。
“ブルイネン=ブリュー
エルフ族、女
エルフ族上級貴族
女王ガドニエル親衛隊長
年齢40歳
ジョブ
魔道戦士(レベル30)
軍師(レベル5)
生命力:100
魔道力:400
攻撃力:500(剣)
経験:なし
淫乱レベル:B
快感値:150
状態
パリスによる隷属支配(弱)”
一郎は舌打ちした。
ガドニエル女王の親衛隊長?
だが、しっかりと、このエルフの女隊長は、パリスに支配されてしまっている。
また、年齢は四十歳とあるが、見た目は人間族の二十代だ。かなりの美貌で見た目も若々しい。
そして、処女か……。
「なあ、パリス、本当に俺の女たちはお前のところにはいないんだな?」
一郎は、エルフ兵の後ろ側に隠れていくパリスに口を開いた。
いまや、パリスは一郎とエリカを囲む一団の後ろまで退っている。
そのパリスがエルフ兵の身体越しに、忌々しそうな表情を一郎に向けた。
「知らねえな。俺が興味があるのは、お前だ。そして、俺は欲しいものを奪うだけだ。いまのところ、お前の女には興味ねえ。お前が手に入った以上、次に手に入れたら、すぐに処分する」
パリスがせせら笑った。
一郎は確信を得た。
こいつは、本当にコゼとイライジャを捕えていない。
だったら、長居は無用だ。
イライジャには悪いが、ユイナのことについては、命を賭してまで助けてやる義理はない。
それに、ユイナは、どういうことだかわからないが、魔道の古文書のことで、一郎たちにパリスをけしかけた気配がある。
いずれにしても、まったく、離れていていてさえも、とんでもない娘だ。
「エリカ──」
一郎は吠えるとともに、身体を貫く槍の幻覚のために手放した剣の代わりに、再び亜空間から取り出した別の剣をエリカに渡す。
同時に、跳躍して横に身体を倒した。
「弓を射てっ」
ブルイネンが叫ぶ。
だが、一郎の手の中にはすでに、亜空間から取り出した火のついた銃がある。
先に仕掛けたのは一郎だ。
轟音は、一郎の手に起きた。
「うあっ」
ブルイネンの肩が弾かれて、血を噴きだして倒れる。
「隊長──」
近くのエルフ兵たちが、悲鳴をあげた。
ブルイネンはその場に崩れ落ちている。
「クグルス、いまなら弱っている。憑りつけ──」
叫んだ。
そのときには、新しい銃を亜空間から出して、握り直している。
一郎は火の付いた銃を数十丁は準備している。
いくらでも、瞬時に取り出すことが可能だ。
「あいあいさー」
クグルスがエリカから飛び出す。
一直線にブルイネンに突き進む。
「わっ、なんだ──?」
「魔妖精──?」
「どうして、ここに──?」
エルフ兵たちが慌てている。
しかし、構わず一郎は銃を放つ。
今度は、パリスを狙ったつもりだったが、すでにエルフ兵の陰に隠れて見えない。
前列のエルフ弓兵が倒れる。
「ロウ様、後ろに──」
エリカが一郎の前に立つ。
矢が飛んできた。
エリカが剣を風車のように回して弾く。
だが、それでも矢は終わらない。
回り込んだ弓兵がエリカの背中側の一郎に向かって矢を放つ。
二本、肩に刺さる。
「ロウ様──」
それに気がついたエリカが叫んだ。
エリカの腕にも矢がかすった。
「男は殺すな──。そいつらには、まだ訊きたいことがある」
パリスの声──。
やっと矢がやむ。
「無駄だ──。抵抗するな。女だけは助けてやるぞ」
パリスだ。
なにかを仕掛けてくる?
嫌な予感がもする。
そのとき、けたたましい悲鳴が起きる。
突風と電撃が沸き起こる。
爆発音とともに、十数名のエルフ兵が飛ばされて弾け飛ぶ。
「ブルイネン隊長──?」
「どうしたんです──」
やったのは、ブルイネン……。
いや、どさくさ紛れに、ブルイネンに入り込むことに成功したクグルスだ。
ブルイネンが突然に、仲間に向かって魔道砲を叩き込んだのだ。
周囲が大混乱になった。
「いやあ、やあ、やあああっ、か、身体が──」
ブルイネンだ。
顔が真っ赤だ。
ふと見ると、ブルイネンの履いているズボンの股が失禁したように濡れている。
クグルスの支配下になったことで、性感を暴発させられたのだろう。
こうなったら、クグルスの支配から免れることは不可能だ。
一郎は肩に刺さっていた矢を強引に抜いた。
激痛が走ったが、癒しの護りのおかげで、耐えられないほどのものではない。
「身体を乗っ取られやがったか──。ブルイネン、この役立たずの雌が──」
パリスが出てきた。
一郎はパリスに銃を向ける。
ぎょっとした表情になり、パリスが再び人の陰に隠れた。
どうやら、操りの術に長けていても、それほどの攻撃魔道はないようだ。
だからこそ、これまでアスカや、あるいは、このエランド・シティのエルフ人たちを使って好き勝手していたのだと思う。
「こっち来い、クグルス──」
肩からまだ血を流しているブルイネンがこっちに走ってくる。
突然にあらぬ行動を起こしだした女隊長に、エルフ兵たちはどうしていいかわからず、手をこまねいている。
「エリカ、ついて来い──」
一郎はエリカとともに、ブルイネンに飛びついた。
がっしりと、ブルイネンを後ろから抱きかかえる。
「攻撃するな──。女隊長が死ぬぞ──」
一郎は叫んだ。
再び銃を出して、ブルイネンの頭に銃口を向ける。
抵抗しようにも、ブルイネンの身体はクグルスが入り込んで、その自由を奪っている。
ブルイネンは脱力したように、だらんと両腕を体側にさげたままだ。
「やめよ──。攻撃中止──」
ブルイネンに次ぐ士官らしき男エルフが声をあげた。
束の間、エルフ兵の動きがとまる。
一郎は、ブルイネンの顎を掴んで首だけ振り向かせると、いきなり口を吸った。
「んんっ?」
突然のことに、ブルイネンの眼が大きく開かれる。
周囲が騒然となる。だが、クグルスが入り込んでいるブルイネンには抵抗する手段がない。
慌てて、飛び抑えようとするエルフ兵たちをエリカがブルイネンの身体に剣を向けて威嚇する。
一方で、構わずに、一郎はブルイネンの口に唾液を流し込んでいく。
眼に見えて、ブルイネンの顔から抵抗の色が消滅するとともに、だんだんとブルイネンの心に引っ掛かっているべとべとの膜のようなものに接触することができた。
これがパリスの支配なのだろう。
一郎が力を注ぐと、呆気ないくらいに簡単に、そのべとつきを弾き飛ばすことができた。
また、ついでに、さっき撃ち抜いたブルイネンの肩の怪我を治療した。外からではわからないが、これで肌には傷も残ってないはずた。
一郎はブルイネンからやっと唇を解放した。
「……えっ、な、なに……?」
一郎の腕の中のブルイネンが呆然としている。
肩の痛みがいきなり消失したせいもあるだろうが、パリスの操りから抜け出したからでもあると思う。
ブルイネンの困惑と戸惑いの感情が伝わってくる。
おそらく、これまでパリスの隷属状態にあったことには気がついていなかったと思うが、一郎によって、それを剥ぎ取られたことで、自分の中のなにかが変化したことは悟ったのだと思う。
「ブルイネン、命令だ──。そいつらを捕らえよ。お前自身が犠牲になっても、絶対に捕らえるんだ。これはすべてに優先する命令だ──」
周りを囲むエルフ兵を割ってパリスが出てきた。
しかし、もう遅い。
すでにブルイネンは、一郎の支配下にある。
ついでだ……。
一郎は淫魔力を発動させた。
「ひっ、な、なんだ──?」
抱いているブルイネンの顔が真っ赤になるのがわかる。エルフ族特有の尖った耳が赤く染まっている。
後ろから組みついている一郎の性器が固く勃起して、布越しだがブルイネンのお尻に当たっているのだ。
すぐに、射精した。
だが、瞬時に亜空間に収納する。
一射、二射、三射……。
大量の精液を亜空間に飛ばす。
そして、終わったところで、接していることで感じるブルイネンの子宮に出現させてしまう。
強い淫魔術がブルイネンに結びつくのがはっきりとわかる。
「ひっ、な、なにが、なにが起こったのだ──?」
ブルイネンが困惑して、一郎の腕の中で身悶える。
「ブルイネン、移動術だ……。どこでもいいから、俺たちを連れて跳躍しろ……」
一郎はブルイネンに耳元でささやいた。
ブルイネンの魔道戦士としての能力は、レベル30もある。
転送術が遣えるだろうというのは、ほぼ確信している。
「む、無理だ……。こ、この庭園には結界が……」
ブルイネンが腰をもじつかせながら言った。
だが、一郎に抱え込まれても抵抗はしない。
ブルイネンは、いまや完全な欲情状態だ。
すでに、息も荒く、後ろから抱えている一郎にしだれかかっている。
おそらく、この場で犯しても、この気の強そうなエルフ美女はなんの抵抗もできない。
なんだかむらむらしてきた。
本当に、やってしまいたいところだが、いまはそれどころじゃないのはわかっている。
どうにも、この淫魔師の身体は、異常な性欲がありすぎる。
一郎は、この状況で欲情しつつある自分の異常さに、内心で苦笑した。
「無駄だ。ブルイネン様を解放しろ──。ここからは逃げられん──」
包囲をしているエルフ兵の将校らしき男が言った。
すでに、一郎たちは十重二十重と包囲されている。
確かに逃亡の手段はなさそうだ……。
……とはいえ、包囲をしているエルフ兵にとっても、ブルイネンは大切な存在なのだろう。
ブルイネンに武器を向けている一郎たちに攻撃をすることを躊躇っている。
「ロウ様……」
エリカだ。
不安そうな声を出している。
どうするか……。
切り札を出すか……。
一郎は迷った。
「おい──」
そのときだった。
パリスの大声がした。
包囲の環が割れた。
そこにいたのは、首に奴隷の首輪をつけられたユイナだった。
おそろしく短い真っ赤なスカートと胸の下で切断したような短い上衣を身につけている。
驚いたのは、その挑発的な服から剥き出しになっている肌にある無数の鞭の痕だ。
彼女がここで、どんな扱いを受けてきたかは、それだけでわかった。
“ユイナ
褐色エルフ族、女
パリスの奴隷(偽)
年齢18歳
ジョブ
魔道遣い(レベル10)
魔道技師(レベル20)
生命力:100
攻撃力:10↓
経験人数:男20
淫乱レベル:S
快感値:100
状態
一郎の性奴隷(強、凍結)
パリスの支配(弱)”
あれから、二年か……。
人間族であれば、十六歳から十八歳になれば、かなりの大人の女として雰囲気が変わる気もするが、ユイナの見た目には変化がない気がする。抱き締めているブルイネンもまるで二十歳女だし、長命族のエルフ族だと、若い世代の成長速度も人間族とは異なるのかもしれない。エリカも自分の年齢だと、エルフ族社会では一人前扱いはされないと口にしていた気もする。
しかし、ユイナのステータスを見る限り、随分と経験数が増えている。
そういえば、褐色エルフの里から連れ出されるときにも、輪姦されたとかいう話だったから、おそらく、ここでも、随分と酷い目に遭い続けてきたのだろう。
だが、パリスという男の奴隷状態になっているのかと思えば、どうやら一郎にも隷属しているようだ。
それにしても、魔道技師?
しかも、レベル20……。
かなり高い……。
そして、パリスの奴隷(偽)って、なんだ?
「お前の大切な恋人なんだろう? 理由があって離れていたが、成功して迎えに来るという約束をしたそうじゃねえか? だから、ここまで追いかけてきたんだろう? それが死んでもいいのか?」
パリスがユイナの嵌められている奴隷の首輪の上に、短剣を突きつけた。
ユイナは目に見えて怯えている。
しかし、驚いたのは、そのパリスの言い草だ。
「はあ? そんなことになってんのか? ユイナ、お前は俺の大切な恋人なのか?」
呆れて言った。
ユイナが真っ蒼になる。
「よ、余計なことを言わないでよ──。こ、殺されるの……。わ、わたしが、あんたを捕らえる人質の役にも立たないなら殺されるの……。ね、ねえ……。お願い……」
ユイナが震えながら言った。
パリスは怪訝そうな表情になった。
これは一郎の想像だが、パリスが最初にユイナに目をつけたのは、ユイナの研究した瘴気に関する禁忌の術だったのだろうが、そのユイナへの訊問の過程の中で、もしかしたら、ユイナは自分の身を守るために、それが書いてある古文書は一郎が持っているとか、一郎を捕らえるには、自分の存在が切り札になるとか、嘘八百を並べたのかもしれない。
まあ、想像だから、なんとも言えないが、そんなところだろう。
とにかく、ここで、この娘など知ったことかと見捨てることは簡単だ。
だが、そうなれば、ユイナは簡単に殺されそうな気がした。
一郎は嘆息した。
そして、ブルイネンにしか聞こえない声で、ある命令をささやいた。ブルイネンの中にはクグルスも入り込んでいる。
だから、クグルスにも聞こえるはずだ。
いずれにしても、すでに、このエルフ女は一郎が淫魔術で支配している。
命令には逆らえない。
「え?」
ブルイネンが当惑した声を出す。
「絶対の命令だ……。必ず実行しろ」
ささやいた。
そして、顔をあげて、エルフ兵たちに視線を向ける。
「わかったよ。降伏する──。どこでもつれていきな」
一郎は銃を地面に捨てて、ブルイネンを解放した。
いずれにしても、逃亡は困難と考えるしかない。
だとしたら、ユイナを見捨てようが、庇おうが結果は同じだ。
「お前、貸しよ」
エリカもユイナをひと睨みしてから剣を捨てた。
一郎とエリカに、大勢のエルフ兵が殺到した。