※この作品はR-18です。

【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】   作:ドン・ドナシアン

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452 元女神殿長の告白(その1)

「ほら、ユイナ、舐めるのか? 舐めないのか?」

 

 一郎はユイナの前に素足を差し出して、跪いているユイナの膝に片足を載せた。

 

「お、お前ねえ……」

 

 ユイナが真っ赤な顔で一郎を睨みつけた。

 その形相には、はっきりとした怒りが込めれられている。

 たったいま、一郎に対して屈服の言葉を口にしたと思ったが、エルフ族としての気位が高すぎ、根っから人間族を賎民扱いをしているユイナだ。

 なかなか、その価値観を変えるというのは難しいだろう。

 ましてや、その人間族の男の足を舐めるというのは、ユイナにとって最大限の恥辱に違いない。

 

 だが、ユイナが足を舐めなければ、一郎はユイナに施した『絶頂封じの首輪』は外すつもりはない。

 そして、ユイナに飲ませた精液に含ませた媚薬成分は、一郎が淫魔師の力をもって合成したものであり、そんじょそこらの媚薬とは一線を画すほどの効き目のはずである。

 ユイナには、これまでに経験したこともないような強烈な性の疼きが荒々しく席巻しているはずだ。

 この自尊心がやたらに高いエルフ娘が、どれくらい我慢できるのか愉しみだ。

 

「ああっ、あんた、またロウ様のことを“お前”って……」

 

 エリカがやって来て、ユイナを怒鳴りあげた。

 しかし、一郎はそれを手で制する。

 スクルドとミウとブルイネンもやってきた。

 一郎だけでなく、女たちもしゃがみ込んでいるユイナを取り囲むかたちになる。

 

「ユイナさんって、なんで、そんなにロウ様を嫌うんですか? ロウ様は素敵なお方です」

 

 そのとき、ミウが心底不思議そうにユイナに語りかけてきた。

 

「こいつのどこがよ――。ただの淫乱絶倫鬼畜男じゃないのよ──。うっ」

 

 ユイナが鼻を鳴らして、ミウに言い返そうとしたが、自分を睨んでいるエリカと視線が合ってしまったらしく、慌てて口をつぐんだ。

 一郎は笑って、ユイナの腿に載せたままだった足をおろす。

 

「あっ……」

 

 すると、ユイナが一瞬、迷ったような表情になり、一郎の足を追いかけるような仕草をしたが、すぐにぐっと拳を握って動きをとめた。

 全身の淫情で、かなりつらいはずなのだが、相当の頑固娘だな……。

 

 まあいい……。

 

 今日、堕ちなくても、いつかは堕ちる。

 健康な少女の身体をしている限り、疼き続ける身体に耐えられるわけがないし、いまこの場で自慰を始めないのが不思議なくらいに、全身が疼きまくっているのは間違いない。

 しかし、あの首輪をしている限り、いくら自慰をしても、却って苦しいだけになる。

 ユイナは、一郎に屈服するしかない。

 それまで、せいぜい、セクハラを愉しませてもらおう。

 たっぷりと──。

 一郎はほくそ笑んだ。

 

「さて、じゃあ、ミウ、俺の靴を……」

 

 一郎は、ミウを手招きして、革靴を準備してもらおうと思った。

 さっき、一式の衣類とともに靴も出したものの、まだ履いておらず裸足だったのだ。

 

「はい、ご主人様」

 

 だが、一郎の靴を胸に抱くように持っていたのは、満面の笑みを浮かべているスクルドだった。

 

「あっ、えっ?」

 

 ミウも呆気に取られている。

 

「まだまだですね、ミウ」

 

 スクルドがにこにこしながら、ミウに茶目っ気を込めたような表情を向ける。

 

「スクルド様?」

 

 また、こんなスクルドは見たことがないのか、さっきもそうだったが、いまも驚いているような表情だ。

 もっとも、一郎たちからすれば、神殿で取り澄ましている顔よりも、こうやって半分羽目を外す態度の方が自然なので違和感はない。

 

「いつの間に……」

 

 エリカも、ミウと競い合いの真似をしてみせたスクルドに、呆れてはいるが驚いてはいない

 一郎も苦笑してしまった。

 

「じゃあ、頼む、スクルド」

 

「はい、ご主人様」

 

 とりあえず、一郎が足を前に出すと、スクルドが一郎の足元にやってきて、その場に正座し、一郎の片足を自分の膝の上に導いて載せた。

 しかも、世話をするのが嬉しそうだ。

 そして、一郎の足から土を払って、靴を履かせていく。

 おそらく、このスクルドは、舐めろと言われれば、なんの躊躇もなく、この場で一郎の足を舐めるだろうなと思った。

 

 満たされぬ欲情に襲われ、快感の飛翔を求めて疼きに疼いているユイナの前で、スクルドに足を舐めさせ、その褒美として、ユイナがいま欲しくてたまらない絶頂をスクルドにさせてやったら、どんな顔をユイナはするのだろうか?

 そんなことをちょっと思ったりした。

 

「ご主人様、改めてこれからよろしくお願いします。どうぞ、このスクルドのことは、雌犬としてお扱いください」

 

 驚いたことに、本当にそのまま、スクルドは一郎の靴の前に身体を屈めて、靴先に口づけをしたのだ。

 しかも、舌を出してぺろりと靴を舐めた。

 一郎はちょっと驚いた。

 

「ふふふ、愉しいですわ。もっと、スクルドはご主人様に鬼畜に扱われたいです」

 

 スクルドが悪戯っぽく笑った。

 一郎はさすがに笑ってしまった。

 まったく、この女は……。

 変わらないな……。

 

 そして、よくわからないけど、このスクルドは、いつもいつも、一郎がスクルドを鬼畜に嗜虐するのを愉しそうに受け入れていたことをなんとなく思い出した。

 まだ、なにも訊ねてはいないけれど、このスクルドは、スクルズという名も神殿長という立場も捨てて、身ひとつでここまで来たのだろう。

 ステータスで、“元神殿長”という言葉が現われていたので間違いないと思う。

 一郎の魔眼が、実はこの世にふたつとない能力だということはわかってきている。

 だから、その魔眼で、“元”がつくというのであるから、単に家出のように出てきたのではなく、何らかの手段で正式に神殿界と縁を切って神殿長を本当にやめたのだろうと思った。

 

「あのう、そういえば、どうして、スクルズ様はスクルド様と名乗っているのです? そもそも、どうして、ここにおられるのです? 王都でなにかあったのですか?」

 

 ミウだ。

 スクルドが一郎の世話を甲斐甲斐しくするのを眺めつつ、小首を傾げている。

 まあ、当然の疑問だろう。

 

 そもそも、スクルドは王都の神殿長として、ミウを見習い巫女として神殿に預かって面倒を看てきた。今回の旅にミウを同行させたのも、ミウの不安定な魔道力を心配した結果のことであり、ミウもそれはわかっている。

 ミウにとっては、スクルドは恩人だ。

 突然の再会からここまで、大騒動だったので訊きそびれていたとは思うが、ミウがスクルドがここにいることに疑問を抱くのは当たり前である。

 

「そういえば、そうね。コゼやイライジャは事情を知ってそうだったけど、結局訊ねる暇もなかったものねえ……。スクルズはなんでここにいるの? 神殿長をやめたとコゼが口にしてた気がするけど……。スクルドと呼んでくれというのはどういう意味なの?」

 

 エリカも口を挟んだ。

 どうやら、コゼとイライジャは、スクルドから事情を教えられているが、エリカはなにも知らないみたいだ。

 一方で、それを聞いて、ミウが目を大きく見開いた。

 

「えええ? 神殿長をやめたって、どういうことですか、スクルズ……いえ、スクルド様──。嘘ですよねえ」

 

 ミウが大きな声をあげる。

 すると、スクルドが跪いたままミウに顔を向け、にっこりと微笑んだのがわかった。

 

「本当です、ミウ。あなたが戻る場所を無くしてしまったようで申し訳ありませんが、王都ではわたしは死んだことになっているのです。だから、第三神殿にわたしが戻ることはありません」

 

「死んだ? えっ? えっ? ええ?」

 

 ミウは困惑している。

 

「あなたが望むなら、王都に戻っても第三神殿にあなたの席を確保しましょう。以前はともかく、どうやらあなたは魔道に覚醒したようですし、喜んで神殿はあなたを高位神官候補として迎えると思います……。ベルズのところでもいいですし、でも、やっぱりもしかしたら、ご主人様のところで、このまま暮らすことになっているのですか……」

 

「ちょ、ちょっと待ってください、スクル……ド様。あたしことはどうでもいいです。それよりも、死んだことになっているとはどういうことですか?」

 

 ミウが叫ぶように訊ねた。

 突然のスクルドの告白に眼を見開いて驚いている。

 一郎も、ステータスを読むことで、ある程度予期していなかったら、同じように度肝を抜かれたと思う。

 すると、スクルドが意を決したように、一度すっと姿勢を伸ばした。

 

「そうですね……。では、ご説明します。ロウ様……、スクルドたちは、ご主人様にきついお仕置きを受けるようなことをいたしました。いえ、しております……。申し訳ございません。そして、おめでとうございます」

 

 スクルドがそう言い、地面に両手をつけて頭をさげた。つまりは、再び土下座をした。

 さすがに一郎も面食らった。

 なんだというのだ。

 

「さっぱりわからないな。わかるように説明してくれ、スクルド」

 

 一郎は、その場に胡坐に座った。

 だが、スクルドは頭をあげない。

 そのまま、地面に頭をつけ続ける。

 エリカとミウも、怪訝そうな顔をしながら横に座ってきた。一郎は、ブルイネンにも座るように合図し、みんなでぐるりとスクルドを囲むかたちになる。

 

「ね、ねえ──」

 

 すると、急に無視されるようなかたちになったユイナが不満そうな声をあげた。

 

「なんか、込み入った話をしそうだぞ。お前は僕が遊んであげるよ」

 

 そのとき、ユイナの眼の前にクグルスがぱっと飛び出した。

 一郎が視線を向けると、ユイナがぎょっとしたのがわかったが、そのときには、クグルスはユイナの身体の中に入り込んでしまった。

 まあ、あっちはクグルスに任せておくか。

 ユイナが参加すると、ややこしくなりそうだし……。

 

「うわあっ、なにすんのよおお──」

 

 クグルスに身体の中に入り込まれて、かつてひどい目に遭ったことのあるユイナが顔を蒼くして悲鳴をあげた。

 だが、すぐにその顔が真っ赤になる。

 

「あああ、あっ、あっ、いやああ、ひっ、ひいっ」

 

 なにをされているのかわからないが、ユイナが股間を押さえて、狼狽とも嘉悦とも苦痛ともつかぬ激しい悶えようを示しだす。

 一郎は、にやりと微笑んでしまった。

 

「クグルス、なにをしてもいいけど、いかせるなよ。こいつについては調教の最中だからな」

 

 一郎はユイナの身体の中のクグルスに声をかけた。

 

「な、なにが調教中よおお──。いひいっ、ゆ、許してええ、ああああっ」

 

 ユイナが狂乱したように喚いた。

 まあ、いいだろう。

 一郎は、女たちに向き直る。

 

 すると、なぜか、四人がじっと一郎とユイナを見守るように見つめていることに気がついた。

 全員の顔が赤い。

 しかも、四人とももじもじと内腿を腰り合わせて、物欲しそうな顔になっている気がした。

 まだ十一歳のミウでさえ、欲情をした女の顔をしている。

 

「ご主人様の調教……。な、なんか……う、羨ましいような……」

 

 スクルドがぽつりと言った。

 そして、はっとしたように口をつぐんだ。

 一郎は咳払いした。

 

「とにかく話を聞こうか、スクルド」

 

 一郎は言った。

 スクルドが改まったように表情を直して、一郎にもう一度頭をさげた。

 

「では、お話……。いえ、告白いたします……。ロウ様、ただ、どこからお話すればいいのか……。とにかく、おめでとうございます。王都におられるイザベラ姫様、そして、アン様に子が宿りました……。ただ、その結果、大きな騒動になったのです」

 

 スクルドが顔をあげる。

 一郎はびっくりした。

 

 子供……?

 俺に……?

 

「えええええ?」

 

「ほ、本当ですか──。うわああ」

 

 エリカとミウが悲鳴のような歓声をあげた。

 

「お、お子様ですか……。あ、あのー。ロウ殿は結婚してられたのですか? でも、まさか、奥様がふたり……ではないですよね……? あれ? だけど、ハロンドール王国の王都で“姫様”といえば……しかも、アン様って、もしかして……」

 

 また、ブルイネンが困惑した声をあげた。

 一郎たちがハロンドールの王都からやって来た冒険者だということは認識しているはずだが、どうやら姫様という呼び掛けとアンの名で、そのふたりが誰のことであるのか直観が働いたみたいだ。

 

 だが、ナタル森林のエルフ女王といえば、イムドリス宮という幻の宮殿に閉じこもり、ほとんど外には出てこないと耳にしていた。エルフ族女王そのものが、外交であっても外に出ることはないという。

 そもそも、エルフ族は、このナタル森林でしか生産のできない魔法石をほぼ独占しており、積極的にエルフ族側から外交をする必要がないのだそうだ。

 

 一郎からすれば、よくそんな消極的な外交で、外国からの侵略などから、エルフ族の里を守れるものだと思うが、エルフ族というのは、狩猟民族の別名があるくらいに武芸や魔道に長けている種族であるし、しかも、ナタル森林は、人族発祥の地とされるこの世界のかなりの権威らしい。

 人間族からすれば、多少の利益があろうとも、ナタル森林を侵略するなど及びもつかぬものであるし、逆に、ナタル森林のエルフ族は、長い歴史の中でただの一度も軍を外に出したことはない。

 

 つまりは、この世界のエルフ族というのは、それだけの孤高の権威を誇っており、そのエルフ族の頂点に立つ女王というのは、その姿をほどんど見せたことがないこともあって、神秘的な権威の象徴ということだ。

 だから、その女王に仕えて、イムドリスという隠し宮から出ることがない親衛隊長ともなれば、同じように世間知らずなのかと思ったが、イザベラのことを親しい者だけが呼ぶあだ名だけで、誰のことであるのかを悟ってみせた。それなりの外国事情も承知しているようだ。

 

「はい、ハロンドール王国の王太女イザベラ様、そして、その姉君のアン元王女様がご懐妊されました。正式に公表はされておりませんが、いまのところ母子ともに健康でございます、ご主人様。おふたりともノールの離宮にて静養をなされております」

 

 スクルドがにこにことしながら、一郎を見ながら言った。

 

「えっ、えっ、えっ、ハロンドール王国の王太女様? 確か、ご年齢は十七歳くらいだったはずですが……。しかし、まだ未婚では……? ええっ、そのお姉君のアン様というと……。そ、それで、ロウ様のお子様を身ごもられたというのはどういうことで……」

 

 ブルイネンが驚いている。

 まあ、無理はないだろう。

 

 ハロンドールの王族事情を承知しているのであれば、かたちとしては王族から離れているアンはともかく、王太女の懐妊ということであれば、とんでもない政治的事件でもある。

 その張本人が目の前にいるというのだ。

 事情を知らないブルイネンが……いや、事情を知っていても、エリカやミウも驚いている。

 なによりも、一郎自身が驚きだ。

 

 しかし、子供か……。

 

 この時点で、一郎にはその原因を悟ってしまった。

 淫魔術を操り、女を犯しながらも、受精しないのもさせないのも自在にできる一郎は、淫魔術に頼る以外の避妊を一度もしていない。

 まあ、この世界には、女側が妊娠をコントロールできる安価な避妊剤が出回っているので、一般的に避妊は女側がするのが常識なので、それ自体は一郎にも問題はない。

 ただ、イザベラも、アンもおそらく避妊はしていなかっただろう。

 王妃のアネルザ自身が、ふたりが一郎の種を身籠るのを待ち望んでいた節もある。

 ただ、さすがに王族の王女を妊娠させれば、大問題になる。

 従って、一郎は淫魔術の力により、どんなに犯しても、相手を孕ませないように気をつけていたのである。

 

 しかし、一度……いや、二度だけ例外がある。

 多分、あのときだ……。

 

 イザベラについては、この旅に出る前に、全員を集めてやって性宴のときだ。

 あのとき、イザベラに精を注ぎながら、妊娠をさせてやろうかとからかった記憶がある。あのときには、子爵位があるとはいえ、流浪の冒険者である一郎の子を身籠るのは困るだろうと意地悪と言ったのだが、イザベラは産みたいと応じてきた。

 一郎は戸惑いながらも、イザベラの子であれば、可愛いだろうなと思ってしまった。

 つまり、子ができてもいいと思考しながら、精を注いだということだ。

 そのときだろう……。

 

 アンについては、もっと複雑だ。

 おそらく、一郎の子ではない。

 いや、ある意味、一郎があいだに関わっているので、一郎の子と言えないこともないとは思うが、正確には、多分、アンとノヴァの子だと思う。

 旅の出立の直前に挨拶として第三神殿に立ち寄ったとき、半分冗談で『ふたなりの指輪』という半分冗談の性具を手渡して、アンとノヴァのどちらかにふたなりの男根が生えて、数回相手に精を放たないと男根がなくならないという術を込めた。

 それを渡すときに、魔が差したというか、男の精と同じなので、子供ができるかもしれないと軽口を言った。

 それが言魂(ことだま)になったか……。

 一郎は苦笑した。

 

「どうかしましたか?」

 

 スクルドが一郎を見ている。

 いや、気がつくと、集まっている女たちの視線がじっと一郎に注がれている。そうでないのは、クグルスにからかわれているユイナだけだ。

 どうやら、少しのあいだ、黙り込んでしまったみたいだ。

 

「いや、どうもしない。突然に知らされて戸惑っただけだ。そうか……。スクルドは、それを教えに、ここまで来てくれたのだな。ありがとう」

 

 一郎は言ったが、すぐに、自分でも腑に落ちないと感じた。

 だったら、なぜ、神殿長をやめる必要があったのだ? そういえば、ふたりの妊娠を切っ掛けに、王都が大変なことになったと言っていたし、偽装死などという不可思議な表記もステータスにあった。

 名乗りを変えることくらいは、一郎自身も、本名でなく、ロウが通り名になっているくらいであり、珍しいことではないが、スクルズという社会的地位と名を捨てなければならないなにかがあったというのは間違いないのだろう。

 いや、スクルドのことだから、なにもなくても、一郎たちと一緒に暮らす切っ掛けを狙っていただけかもしれないが……。

 

「……とにかく、嬉しいことだ。無事にこっちのことを終えて、ふたりに会いたいものだ。しかし、そうとなれば、色々と変わるな……。ところで、エリカ」

 

 一郎はエリカに視線を向けた。

 

「えっ、は、はい?」

 

 突然に呼び掛けられて、エリカが戸惑った声を出した。

 

「聞いてのとおりだ。節操のないことで申し訳ないけど、姫様とアン様の胎に、俺の子ができたようだ。無事に王都に戻れれば結婚ということになるだろう。でも、お前は俺の一番奴隷だと言ってくれるけど、妻ということになっても、それを変えるつもりはない。一番妻はお前だ。王都に戻ったら結婚しよう、エリカ」

 

 一郎はきっぱりと言った。

 

「え、ええええ? ええええええ?」

 

 エリカが眼を真ん丸にしてびっくりしている。

 だが、顔がみるみると真っ赤になる。

 そして、イザベラとアンの妊娠と耳にして、堅くなっていた表情が一気に緩むのもわかった。

 

 一方で、一郎もほっとした。

 拒むわけはないと思ったが、いや、拒んだところで、淫魔術で操ってでも、エリカについては承知させるつもりだったが、そんなことをしなくてよかったと思った。

 一郎は、さらに口にする。

 

「エリカだけでなく、コゼとも、シャングリアとも……。ミウはまだ年齢が足りないが、いずれはな……。そして、スクルドも許されるなら……」

 

 一郎はさらに付け加えた。

 こうなったら、全員とけじめはつける。

 さすがのさすがに、女たちの全員を妻にするわけにはいかないと思うけど、一緒に暮らしているエリカとコゼとシャングリアについては譲れない。

 イザベラとアンも大切だが、三人を蔑ろにして妻は迎えるつもりはない。

 

「えっ、あ、あたしもですか──。本当に──?」

 

 ミウもぱっと顔が綻んで嬉しそうな顔になった。

 一郎も思わず笑顔に引き込まれた。

 

「ご主人様のお気持ちはわかりました。ありがとうございます……。だったら、やはり、アネルザ様たちを出し抜いて、誰よりも先にロウ様に会いに来た価値がございました。ご主人様は、このまま王都に戻っても、ご主人様の思う通りにはなりません。エリカさんやコゼさんとは結婚できないと思います」

 

「なに?」

 

「ご主人様……いえ、ロウ様……。ロウ様は、もしも、エリカさんと結婚できないとしたら、それでも、イザベラ姫様の旦那様になる選択をなさいますか?」

 

 スクルドがいつもの微笑みを浮かべながら、それでも、目元だけは真剣なまま一郎に訊ねてきた。




 *

【作者注】

⓵ イザベラの妊娠
 ……264『くじ引き三人セックス(その1)』
⓶ アンの妊娠
 ……268『神殿奥の淫事』
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