【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】 作:ドン・ドナシアン
「ロウ様には、これから十日間、わたしたちとセックスだけをしてもらいたいんです。ほかのことを考えないで……。だから、わたしたちは頑張ります」
エリカが妙に気合いの入った口調で言った。
「セックス? やり続けろと?」
思わず言った。
「ご主人様を守るためです」
スクルドだ。
いつもの微笑みを浮かべている。
とにかく、十日間の淫行三昧ということか?
まあ、もともとは遠慮なんかするつもりはなかったが、十日間もやり続けろって?
エリカたちの側からの申し出で?
しかも、守るためって……。
「あ、あのう……。あ、あたしは体力はあります。獣人族だから、回復も早いです……。みんなの倍はお相手をできると思います」
すると、イットが口を挟んだ。
だが、エリカが溜息をついた。
「違うわよ──。あんたが一番心配なのよ、イット。スクルドの回復魔道に頼ることができないあんたは、一度倒れたら、しばらくは回復できないじゃない……。ご主人様を甘く見てはいけないわ。どんなに覚悟しても、それをぶち破るくらいに強烈なのよ……。まあ、いいや。すぐにわかるから……。だけど、無理はしないでね……。みんなで、分担して頑張ればいいんだから……」
「なんか、悲壮感があるなあ」
一郎は笑ってしまった。
「セックスでなくともいいんです。調教でも、お仕置きでも……。とにかく、ご主人様のしたいことだけをしてください」
すると、スクルドが、さらに言った。
「どうでもいいけど、あんた、これからもずっと、ロウ様のことを“ご主人様”と呼ぶの?」
コゼがスクルドをからかうような口調で口を挟む。
「もちろんです。もう一生、スクルドはご主人様のそばから離れません。ご主人様に飼育していただく雌犬ですので……」
「雌犬ねえ……。まあいいわ。ガドニエルが復活するまでみんなで頑張るわよ」
コゼが苦笑している。
エリカとイットも半分呆れたように微笑んだ。ミウだけは、まだスクルドのこういう態度には慣れないらしく、かなり動揺している表情になる。
まあいいか……。
それはともかく、なんなのだろう、これ……?
「ところで、あんた、さっきから、ガドニエル様を呼び捨てしているわね、コゼ。エルフ族の女王なのよ──。本来であれば、ああやってお目通りすることだって難しいお方なのに……」
次いで、エリカがコゼに向かって叱るような物言いをした。
「なに言ってんのよ、エリカ──。あの雌オークの姿を見てしまったら、そんな尊敬をする気にはなれないわよ……。まあ、可愛そうだったとは思うけど……。それに、なんか感じ悪いじゃないのよ。ご主人様に助けてもらったくせに、つんけんしちゃってさ。ご主人様があの女王に話し合いをしようしたとき、邪魔にされたんですよね」
「そ、そうなの──? 聞いてないわよ。本当ですか、ロウ様──?」
エリカが息巻いた。
邪魔にされたというのは、今後の方針について、さっき、ガドニエルと直接に対話したときのことだと思う。
一郎は、ブルイネンだけを連れて向こうに行ったのだが、コゼは遠目から見ていたようだ。
また、扱いが冷たかったのは、ガドニエルの取り巻きの侍女たちであり、ガドニエル自身ではなかったのだが、まあ、それはいいか……。
「邪魔にされたということでもないけどね。まあ、しばらくは、同じ洞窟ですごすんだ。だんだんと打ち解けると思うよ」
「そうですか……」
エリカが怪訝そうな表情になる。
「それはいい。それよりも、さっきから、なんでセックス三昧の話になってるんだ?」
「だから、ロウ様の淫魔術のことです」
エリカが言った。
「淫魔術がどうしたんだよ。それで、なんでそんなに悲壮感がいっぱいなんだ?」
一郎は我慢できずに噴き出した。
すると、エリカが急に身に着けているものを脱ぎ始め、ほかの四人も揃って服を脱ぎ始めた。
一郎はびっくりした。
「さっき、話し合って決めました。この十日、ロウ様には、絶え間のない性行為をわたしたちとしていただきます。お相手はわたしたちが交代で……。あるいは、全員で一斉にご奉仕させていただきます。とにかく、ロウ様は、この十日のあいだ、淫気を維持して、そして、確保し続けることだけお考えください。敵についても、ほかの懸念のことについても、わたしたちがすべてやりますから」
エリカが服を脱ぎながら一郎に言った。
すでに上半身を脱いで乳房を露わにしているエリカは、さらにズボンに手をかけている。
ほかの女たちも次々に服を脱いでいっている。
一郎は唖然としてしまった。
「だから、十日間の性行為か?」
思わず口にした。
「だって、ご主人様は、呪術に侵されたシャングリアとマーズを取り込んでいるために、いまだって、死の呪いの危険をずっと背負っているんでしょう? もちろん、シャングリアとマーズそのもののこともありますけど……」
コゼだ。
そして、ミウが横から口を開く。
「ロウ様が前のように淫気切れをなされたら……。だから、そんなことないように、ずっと、淫気を集めてもらって、あたしたちと愉しむことだけを考えて欲しいんです。なによりも、ロウ様のご安全が第一です──」
「ご主人様、闇魔道を侮ってはいけません。いまは、収まっているといっても、パリスという男の呪術は、どんな風に変化し、どんな風にロウ様を苛むのか想像もできません。闇魔道というのは、人の抱く悪感情につけ込みます。だから、ご主人様については、ガドニエル様による解呪が終わるまで、ただただ、悪感情とは無縁の状態でいるべきなのです……。わたしたちが全員で十日間、お相手を務めます。どうぞ、お気楽にお過ごしください」
すでに全裸になっているスクルドが絨毯を敷き詰めている地面に手をついて頭をさげた。
「あ、あたしも……、が、頑張ります……」
イットも言った。
そのときには、全員が完全な裸体になっている。
五人の女が一郎に向かって正座し、一斉に頭をさげる。
なるほど……。
自分に淫気切れなどという現象が起きるとは知らなかったが、確かに、一郎は一度倒れて、パリスの魔道に侵されて、死の危険にも陥った。
ここにいるエリカたちと交わることにより、危険な状況は去ったとは思っているが、一郎が死ぬかもしれないという状況に陥ったのが、女たちにとって、相当に衝撃だったのだろう。
それで話し合った結果、ガドニエルの光魔道によって、すぐにパリスの呪術の解呪ができない以上、それまでのあいだは、一郎をセックス漬けにして、万が一にも淫気切れによる危険を回避しようということのようだ。
そこまでしなくてもいいとは思うが、確かに、スクルドの言葉にもあったとおり、パリスの闇魔道が人の持つ悪感情に作用する性質のものである以上、一郎の心が憎しみや怒り、それとも、恐怖や嫌悪といったもので増幅されたなら、いまは静かになっているパリスの呪術が思わぬ作用を起こす可能性は否定できない。
だったら、一郎には、この十日間、女たちとのセックス漬けの生活をしてもらうのが安心だという、彼女たちの考えには一理も二理もある。
なによりも、一郎の女たちの本気の心配が伝わってくる。
彼女たちが、そんなことを言う理由はなんとなくわかる。
それしか、できることがないからだ。
同じ立場なら、一郎はパニックに陥っている。
シャングリアとマーズのことだって、なんとか平静を保っていられるのは、一郎には常に彼女たちの容態を監視できる魔眼があるからだ。
そうでなければ、一郎だって狂ったようにじたばた足掻いているだろう。
どうやったら、ふたりを助けられるのだろうかと惑って……。
また、なんか真剣なのは、どうやら一郎の本気の絶倫を怖れているみたいだ。
そんなに、無茶はした覚えはないんだけどなあ……。
一郎は苦笑した。
いや、そうでもないか?
一郎は、自分が精を放つよりも、相手の女がいきまくるのが好きなので、どうしても一郎の相手をする女は、限りなく絶頂の回数を増やすことになる。
エリカたちは、その一郎に手加減することなく、好きなようにしろと訴えているのだから、それこそ決死の覚悟なのかもしれない。
まあいいか……。
どうやら、目の前にいる女たちは、心から一郎のことを心配してくれているらしい。
それに、確かに、もうじたばたしても始まらない。
目の前の女たちと十日間のセックス三昧の生活か……。
それもいいな……。
急に、そんな風に思えてきた。
なによりも、それでエリカたちが安堵できるなら……。
「そうだね。なにも考えずに愉しむのか……。それもいいな……。なによりも、俺を心配してくれてありがとう。嬉しいよ」
一郎も服を脱ぎ始めた。
すると、あっという間に女たちが集まって、競うように一郎の世話をして、それを手伝い始める。
一郎は、なすがままに任せて、女たちが一郎から服を取り去るのに任せた。
そのときだった。
一郎はこの洞窟の一角を洞窟のほかの部分と隔てている大きな布の向こうに、数名の人影があることに気がついた。
少し前から、そこに立っていたらしいが、一郎は女たちとの話で意識がいかなかったのだ。
「ガドニエル様たちですか? 申し訳ありませんが、ちょっと取り込んでいるところでしてね。これからの話は、ブルイネンと、うちのイライジャが戻ってから改めてしましょう。お互いの情報の交換も必要ですし……。でも、いまは、心配をかけた俺の女たちのためにも、しばらくセックスをした方がいいようでしてね」
一郎は笑って、カーテンのようになっている布の向こうに話しかけた。
カーテンの向こう側にいるのが、ガドニエルと五人の侍女たちだということはステータスでわかった。
「えっ? 女王様?」
エリカがびくりと身体を竦ませる仕草をした。
ほかの者はそうでもないが、やはり、エルフ族にとっては、ナタルの森の女王のガドニエルというのは特別な存在なのだろう。
「話をしたいと思って、ここに来たのは確かですが……。でも、申し訳ありませんが、立ち聞きをしてしまいました……」
布の向こうから返ってきたのは、ガドニエルの声だ。
周りの女たちに、ちょっと緊張が走るのがわかった。
一郎もエリカたちも、すでに完全な素裸だ。
しかも、これから、乱交を開始しようとしていた矢先である。
さすがに、ちょっと間が悪い。
「そちらに、入ってもよろしいですか……? わたしたちを救ってくださった淫魔師様に、わたしたちも恩返しをしたいのです」
すると、ガドニエルが向こう側から声をかけてきた。
一郎の周りの女たちは、ちょっとびっくりしたようだったが、一郎は間髪入れずに「どうぞ」と応じた。
エリカたちが、慌てたように隅にある掛け布に走るのが面白かった。
それにしても、ガドニエルは、一郎のことを「淫魔師」だと呼んだが、どうしてわかったのだろう?
まあ、イライジャを迎えに出たブルイネンには、淫魔師であることは隠さなかったので、彼女に聞いたのかもしれない。
そうでないとしても、パリスの呪術を解呪するのに、一郎は、ガドニエルにしても、侍女たちに対しても、性交をして精を注ぐことで、解呪を行った。
ガドニエルだったら、そんな能力の持ち主が、「淫魔師」という伝承の特殊能力者であることくらい、すぐに見抜いたかもしれない。
「えっ?」
「わっ」
「な、なに?」
しかし、布の向こうからやってきたガドニエルたちの姿に、エリカたちが一斉に声をあげた。
「ほう?」
一郎も驚いてしまった。
先頭に立っているガドニエルにしても、その後ろの五人の侍女たちにしても、全員が一糸まとわぬ素っ裸だったのだ。
オーク化により衣服を無くしてしまった彼女たちには、一郎の亜空間に置いてあった女物の服から適当なものを手渡していた。
それを身に着けていたはずだったが、ふと見ると、それらはすべて、畳まれて洞窟の壁の隅に置かれている。
どうやら、一郎たちの話を聞いているあいだに、この場で、彼女たち自ら脱いだようだ。
ガドニエルは、片手で乳房を隠し、反対の手で股間を覆うようにして、恥ずかし気に立っている。
一方で、後ろの侍女たちは、飲み物らしきものを入れた容器や切った果物を並べている皿代わりの大きな葉っぱを抱えている。やはり、素っ裸だが……。
本来は、これを持ってきたのかもしれない。
いや、食べ物などを持っているのは、五人のうちの三人だ。残りのふたりは、ガドニエルの両脇に立ち、ガドニエル同様に両手で乳房と股間を隠している。
後ろの三人はとりあえず、持っているもので胸を隠すようにして、片足をちょっと曲げ、内腿を擦り付けるようにして股間を隠そうとしている。
全裸でやってきたわりには、羞恥はあるようだ。とても、さっきまでオークの姿で暴れまわったとは思えない。
いずれにしても、さすがにエルフ族だ。
ガドニエルには及ばないが、大変な美女揃いである。
「ロウ様にお願いされた光魔道をすぐに扱えないわたしに、もどかしく思っていたのですが、ロウ様のために、すぐにでもできることを耳にして嬉しく思います。どうか、ロウ様の淫気を保つためのご奉仕に、わたしたちも協力させてくださいませ。どんな、破廉恥なご命令にも従いますから」
ガドニエルがはにかむように頬を染めて言った。
「ガ、ガドニエル様が? だ、だけど、六人か……。だったら……」
「ええ?」
「はあっ?」
エリカだけでなく、スクルドやミウも驚いてはいる。イットも口を開かなかったが、かなりびっくりしている。
しかし、人数が増えることそのものについては、むしろ一郎の相手をするひとり当たりの負担が減るので、ほっとしている気配ではある。
十日間の相手をすると口にしたものの、実際には、余程に一郎の絶倫が怖いらしい。
一郎は笑いそうになった。
「どうしたというの? さっきは、あたしたちのご主人様を邪魔みたいに言っていたじゃないのよ。大丈夫よ。大変だけど、あたしたちだけでもいいの。向こうで女王様してればいいじゃない」
ただ、コゼについては、不満そうな表情をした。まだ、根に持っているみたいだ。
「お前──。なんという口のきき方を──」
侍女のひとりが怒って前に出た。ガドニエルの両脇のなにも持っていない侍女のうちのひとりである。
だが、素っ裸であり、手で身体を隠したままだ。
なんとも変な感じだ。
「ヒルエン──。お前こそ、なんという物言いですか──。先ほど、叱ったことがまだわかってないようですね。ロウ様はわたしたちの救い主──。それにも関わらず、お前たちの態度は不遜です。謝りなさい──」
「で、ですが……」
「わたしの申すことが、わからないのですか──」
ガドニエルが怒鳴った。
ヒルエンというエルフ侍女はかなり不満そうだが、小さな声で「申しわけありません」とガドニエルに謝罪した。
一郎は、謝る相手が違うだろうと苦笑したくなったが、黙っていた。
一方で、ヒルエンという侍女だけでなく、ほかの侍女たちもかなり面白くなさそうな顔をしている。
ただ、ガドニエルだけは、にこにこと微笑みを浮かべ直して、なにか情熱的な視線を一郎に向けていた。
どうやら、侍女たちの態度に意識を向けていないみたいだ。
一郎は嘆息した。
「……エルフ族の女王様が俺に抱かれてもいいと……? だけど、お連れの侍女さんたちは、大層不満そうですよ」
一郎は言った。
すると、やっとガドニエルがはっとしたように、自分の後ろに視線を向けた。
「そ、そんなことは……。いえ、お前たち、そういえば、ロウ様に申すことがあるでしょう。先ほどの態度を謝罪しなさい。命令です──」
ガドニエルが怒鳴った。
五人の侍女たちが、お互いに視線を合わせるようにしていたが、やがて、一斉にその場で頭をさげた。
「無礼な態度をとったつもりはなかったのですが、不快に思われたのであれば謝罪します」
さっきのヒルエンという侍女が代表するように言った。
ただ、無表情であり、内心には大きな不満があるみたいだ。
魔物化の呪術の解呪のために、精を注いでいるので、彼女たちにも淫魔術の結びつきができている。
操るつもりがないのでなにもしていないが、感情は読める。だから、侍女たちの全員が一郎の存在を愉快に思っていないのはわかった。
いや、全員ではないな……。
特に不満そうなのはふたりだ。残りの三人は無表情なだけで、一郎への悪感情は大きくない。
なんにせよ、選民意識の強いエルフ族だし、なによりも、女王に仕えるほどの者たちだ。自尊心も高いのだろう。
「それで、ヒルエンだったか? 俺に抱かれたいのか? それも女王の命令?」
一郎はわざとぞんざいな物言いをした。
顔をあげたヒルエンがむっとしたように眉間に皺を寄せた。
「よ、呼び捨て……。ぶ、無礼な……。い、いえ、なんでも……。も、もちろん、身体を提供します……。ガドニエル様の命令ですので……」
ヒルエンが言った。
「そうか……。じゃあ、そうしてもらうか。いいか、お前たち?」
一郎は、自分の後ろにいるエリカたちに視線を向けた。
「ま、まあ、ロウ様がよろしいなら……」
エリカが代表するように言った。エリカにも、さっきまでの緊張をした態度はない。
だが、嫌な雰囲気になったこの状況に対して、ちょっと苛ついている様子ではある。
「じゃあ、こっちに来てください」
一郎がそう言うと、ガドニエルだけがぱっと嬉しそうに笑みを浮かべた。
「は、はいっ、で、では、お前たち……。そうです……。それを前に……。皆さんに食べてもらおうと……」
ガドニエルが合図をして、食べ物と飲み物を持っていた三人の侍女が一郎たちの前にそれを並べる。
続いて、ガドニエル自身も、いそいそと一郎に近寄る気配を示した。
そのときだった。
ガドニエルの脇のもうひとりの侍女のひとりが口を開いた。
「お待ちください。獣人も一緒ですか?」
「獣人?」
さすがに、その言い方については、一郎もむっとしてしまった。
ステータスで読み取ると、名前を“ギルリーズ=エーデル”とあった。
「こ、これ、ギルリーズ──」
さすがに、ガドニエルがたしなめの言葉を放った。
「いえ、獣人については、外で見張りをさせてはどうかと思っただけで……。全員で性愛に耽るのも問題ではと……」
ギルリーズは、イットに視線を向けずに言った。
どうやら、獣人嫌いみたいだ。
そういえば、エルフ族は、他種族全部を下等に見るところがあるが、なによりも、獣人に対しては、蔑視意識が強いと教えられたことがある。
「イットについて、お前たちから指図される筋合いはない。嫌なら戻れ──」
一郎はぴしゃりと言った。
ガドニエルが狼狽えた表情になる
「ギルリーズ、謝罪しなさい──」
「申しわけありません」
ギルリーズが頭をさげた。
また、口だけの謝罪か……。
一郎は不満に思った。
だが、ガドニエルはほっとした表情になった。
どうにも、この女王様は、部下の態度や口のきき方に無頓着だ。いや、なによりも関心が薄い感じである。
だから、パリスにつけいられたのだろうと思った。
だんだんと、わかってきた。
一郎は亜空間から縄束を出して、前に放った。
「ならば、ひとりひとり、こっちに来てもらおう。縄化粧というのを体験してもらうか」
一郎はわざと冷たく言った。
侍女たちが一斉に鼻白んだのがわかった。
しかし、ただひとり、ガドニエルだけが興奮したように、ぶるりと身体を震わせた。
「は、はい――。喜んで──」
ガドニエルが一郎の前に跪いてきた。