【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】 作:ドン・ドナシアン
「さて、ちょっと取り込んでしまって待たせたな。じゃあ、そろそろ話をしようか、ユイナ……。ところで、お前への罰だが、まずはお前の一番大切なものを奪うことにする。まあ、それが一番堪えるだろうしね」
一郎は言った。
ユイナがぎょっとした表情になった。
「無論、そんなことじゃ済まないけどね……。色々趣向もあるぞ。燭台の刑。三角木馬放置の刑。それとも、さっき追い出した五人みたいにオークになってみるというのはどうだ? 十日間の陰核吊るしというのでもいいぞ。一日に三回痒み剤を塗ってやろう。この全員で一回ずつだ」
「そんなの生ぬるいですよ、ご主人様。まずは、四肢を切断。次に目を潰し、耳を聞こえなくして、豚のような声しか出せなくして、エランド・シティの真ん中にでも捨てていきましょうよ。もう、いいじゃないですか。こんなのに構わなくても」
コゼが辛辣に言った。
しかし、顔はまだにやけたままだ。
嬉しそうな笑顔のまま、ユイナに悪態をついているのだ。
ちょっと面白い。
「でも、こいつ、故郷の里に魔獣を召喚して呼び込んだ罪で奴隷売買の侮辱刑を受けているんだぜ。いや……、脱走罪が重なって、いまは死刑判決に変わってたかな……。いずれにしても、このナタルの森に放置すれば、見つかり次第に死刑だ。俺の奴隷にして連れていくしかないだろう」
「自業自得です。わたしも、こいつを連れ帰るのは反対です。イライジャには悪いけど……」
エリカもまだ怒っている。
ユイナが泣きそうな顔になった。
「わたしの罪じゃないわ──。そりゃあ、あのとき魔獣を召喚してしまったのはわたしの失敗だけど、脱走についてはわたしは関係ないもの。侮辱刑で終わりだったのよ──。脱獄は、パリスがわたしを陥れるために罠にかけたの。アルオウィン様に化けて、お爺ちゃんに、わたしの脱走を唆したのも、あいつなのよ──」
ユイナががに股のまま声を荒げた。
おそらく、そうなのだろうと思う。
「まあ、そりゃあそうなんだろうけど、現実として、俺に訴えても無意味だ。褐色エルフの里で確かめたが、すでにほかの里にも通知されていて、お前の身柄が確保次第に死刑になると言っていた気がするぞ」
こいつが外のことをどれだけ認識しているか知らないが、現時点でこいつは見つかり次第に死刑になる脱獄囚だ。
ただ、見殺しにするほど、情がないわけじゃない。
それに、死なせるには惜しい。
パリスが、このナタルの森を瘴気で蔓延させる陰謀を企てようとしていたのは事実であり、ユイナが瘴気を大発生させて、魔獣を召喚したことに目をつけたのは間違いない。
それで、罠をかけて、ユイナを手に入れた……。
少ししか接していないが、パリスからは策謀好きという印象を受けたし、さらった後のユイナに対する執拗な拷問の痕を思うと、パリスはなんとしても、ユイナの知識を欲しがったのだと思う。
そう考えれば、なんだかんだで、ユイナはパリスの求める知識については、一郎に手渡した魔道書にあると出まかせを言うだけで、自分はなにも知らないと、パリスの拷問をずっと凌ぎきっているのだ。
つまりは、パリスの闇魔道にも耐えたということだ。
これはこれで、なかなかすごいことなのは間違いない……。
一郎を巻き込んだことだけは閉口物だが、ユイナもまた相当の実力を持った女傑に数えるべきなのだろう……。
「なんだ。お前は里で悪さをして処刑判決を受けていた脱走犯であったのか? ならば、カサンドラは、その水晶宮で脱獄死刑囚をひそかに監禁していたということになるのか。本来であれば、即座に処刑手続きをするために里へ戻さねばならんのにな……」
ガドニエルだ。
一郎と接するときとは打って変わって毅然とした物言いだ。
こっちの方が女王としての本来の話し方なのであろうが、一郎にとっては、ガドニエルが真面目そうになにかを語るとおかしな感じになる。
「だ、だから、女王様──。それはわたしのせいじゃないんです──。冤罪なんです──」
いや、冤罪は脱走だけで、魔獣召喚は立派な犯罪だろうと、思わず突っ込みそうになったが、とりあえず黙っていた。
すると、ガドニエルが真面目な顔で、さらに口を開く。
「冤罪かどうかは、わたしには判断できん。いずれにしても、それぞれの里で行われた裁判の決定をわたしが覆すということはできんことだ。冤罪であるならば、その里において、改めて証拠を添えて訴えるがいい……。もっとも、ロウ様の申す通り、エランド・シティでも、その里でも、見つかり次第に死刑ということは変わるまいな。余程の証拠があらねば、再裁判は難しいと思うぞ……。それに耳にしたところによれば、魔獣召喚の事実は本当のようではないか」
ガドニエルはあっさりと、ユイナを突き放した。
「だ、だって……」
ユイナが絶望的な表情になる。
「まあ、そう言うなよ、ガド……。こんなんでも、ちょっとした知り合いでね。俺が責任を持つから、処刑はともかく、奴隷として俺に引き渡すくらいのところで、勘弁してやってくれ」
一郎が口を挟んだ。
ガドニエルが一郎にがばりと顔を向けた。
すでに表情が一変していて、ユイナに向けたような冷たいものから、うっとりと顔を赤らめているようななんともいえない色っぽい顔になっている。
「します──。ロウ様のお言葉ならなんとかします……。そ、そうですね……。ならば、イムドリス宮を取り戻してからのことになりますが、女王の名でその里に手紙を書きましょう。それで大抵は収まると思います」
「で、できるんじゃないですか──」
ユイナが声をあげている。
だが、もうガドニエルはユイナを見ておらず、じっと一郎をにこにこと見つめたままだ。
一郎も苦笑した。
「やっぱり、連れていくんですか、ロウ様……。あ、あたしは反対です──」
ミウが不満そうに口を挟んだ。
「な、なによ、小娘──」
すると、ユイナが怒鳴った。
「まあまあ……。それよりも、ユイナのことだ。訊ねたいことがいくらかあるけど、その前に、悪いけど、その眼球紋……。俺の力で封印させてもらうよ」
「えっ?」
一郎の言葉に、ユイナが驚愕した表情になる。
「その右目の鑑定術の魔道紋でクグルスの真名を読み取ったのは見当がついている。さっきの不能薬とやらをクグルスに作らせたとか言っていたけど、おそらく、それをさせるまでに相当のことをやったんじゃないか? クグルスが簡単に俺に不利なことをするわけがないしね。そんなことをしでかす魔道を許すわけにいかないよ」
「あ、あいつは、わたしのお尻に淫具を入れ……。しかも、浣腸をして草っぱらのど真ん中で排便させようとしたり……。とにかく、わたしを好き勝手にからかおうとしたのよ──。だから、ちょっとした仕返しをしただけよ──」
ユイナが間髪入れずに怒鳴る。
まあ、クグルスが大概のことをしたのは予想がついている。
そして、もしも、反撃の材料を得たら、ユイナも容赦はしないだろう。
これについては、一郎も両成敗くらいに考えている。
「ちょっとしたねえ……」
だが、ユイナが言う「ちょっとした仕返し」というのはどの程度のことなのだろう。
詳しく訊ねてみたくなってしまった。
「まあ、それはいいか……。だけど、ずっと気になっていたんだけど、そもそも、パリスは、お前が持っていたあの魔道書を探していたんだよなあ。いくらお前が俺が持っていると嘘を言ったとはいえ、大切な魔道書を他人に渡したなどという戯言をあいつが信じたのは、あいつが懸命に捜索したにも関わらず、ユイナの周辺に古文書の魔道書がなかったからだろう? あいつって、褐色エルフの里のトーラスさんのところにも、間者を残してたんだぞ。どこにどうやって隠したんだ? あれをお前が処分するわけがないよな」
一郎はにやりと微笑んだ。
あの古文書にどれくらいの価値があるかは知らない。ただ、パリスが大騒ぎしてまで血眼で手に入れたかったほどのものだ。
それなりに価値があるものなのだろう。
ユイナが、あれを本当に大事にしていたのは、一郎もよく覚えている。
「古文書とはなんですか、ロウ様?」
スクルドが怪訝な表情で口を挟んだ。
「禁忌の魔道書のようだ。あのパリスは、その古文書にナタルの森を瘴気で充たしてしまう方法が書かれていると信じていたんだ。そもそも、ユイナがパリスに捕まったのも、俺たちがパリスの陰謀に巻き込まれたのも、それが発端でね……」
「そんな方法なんて、古文書には書かれてないわよ──。いくらあの本を読んでも、そんな方法は書いてないったらあ──」
ユイナが叫んだ。
一郎は首を横に振った。
「まあいい……。だけど、それがお前が大切にしていたものということは変わりなんだろう? 最初に会った時だって、随分とそれを大事にしてたしね。だから、処分してしまおう。もしも、ナタルの森を瘴気で充たす方法に通じる術式でも書かれているなら、そんな本は焚書にしてしまうに限る」
ユイナが今後こそ、恐怖で目を見開いた。
「じょ、冗談じゃないわよ──。パ。パリスだって、あんなに欲しがったけど、あれはわたしの宝物なの──。絶対に渡さない──。そもそも、焚書ってなによ──。わたしが使ったのは魔獣召喚術だけよ。なんで、あんなに瘴気が大発生したのかよくわからなかったけど、いまはわかるわ──。わたしのせいじゃないのよ──。
「お前のせいじゃなくてなんなんだよ? お前がその古文書をもとにしてやった魔獣召喚がきっかけなんだろう?」
「だから、もともと、本来、このナタルの森は魔物も共存するすべての人族の共存の地だったの──。かつては瘴気も部分部分には存在していた──。それを古いエルフ族が森を独占するために瘴気を封印しただけよ。だから、その封印を無くせば、勝手に森には瘴気が復活するわ。多分、わたしの魔獣召喚はたまたま封印除去を引き起こす現象を発生させるなにかがあったのよ。わたしの魔道書とは関係ないわ」
「それを関係あるというんだよ」
「関係ない。関係ない──。関係ないったらあ──」
ユイナが必死に絶叫した。
喋っていることは全く理解できないが、とにかく、魔道書を処分しても無意味だと訴えたいのだろう。
だが、この態度で、やはり、その古文書の魔道書は、ユイナにとってとても大切なものなのだと思った。
パリスの拷問はすさまじい。
一郎だって、たった半日で音をあげた。
ユイナのような少女がそれを耐え続けるのは、辛いなんてものじゃなかったはずだ。
しかし、ユイナは、その古文書だけは守り通した。
どんなに拷問を受けても……。
闇魔道の遣い手のパリスに対して……。
「そんなに大切なものなら、やっぱり罰に相応しいかもな。悪いことをした罰として、それを目の前で焼いてやるよ。なによりの罰だ」
一郎は笑った。
ユイナの顔が憤怒で真っ赤になった。
「そ、そんなの許さない──。絶対にだめだからね──。そもそも、言わないわ──。絶対にその古文書の置き場所は口にしない──」
ユイナが必死の口調で言った。
一方で股を開いて大きく横開きをしているユイナの脚がプルプルと震えてもきている。
不自然な恰好なので、そろそろつらくなってきたのだろうと思う。
「じゃあ訊問してやろうか? そのぱっくりと開いている股間に掻痒剤を塗ろうかな……? それとも、尻穴か……? あるいは、くすぐり責めってのはどう? 耐えることのできない拷問はいくらもあるぞ」
「や、やってみるのね。パリスにさえ、わたしは屈しなかったのよ──。な、なんで、あんたなんかに──」
だが、ユイナの訴えは無意味であることを一郎は知っている。
そもそも、すでに一郎に支配しているユイナには、一郎の訊問に抗する方法がないのだ。
パリスの場合は、隷属しているとみせかけておいて、実際にはユイナは誰の隷属にもなっていなかった。
だから、訊問を逃れられた。
しかし、一郎に対しては、すでに隷属状態にある。
支配しようと思えば支配できる……。
「だったら、手っ取り早く、すべてを正直に話せと命令しようか? お前の身体をこうやって、自由に操ることのできる俺だ。嘘を言わないように、お前を操るのは簡単だ」
するとユイナは今度は真っ蒼になった。
一郎は小さく首を振った。
「……もっとも、それも実際は必要ない。もうわかっている……。ユイナに右目にあるのは三個の眼球紋だ。よくわからないけど、それが“鑑定術”、“反射術”、“欺騙術”の紋様なのかな? だけど、もっとわかりにくいけど、実は左目にも二個ほどある。おそらく、むしろ、右目はダミーなんじゃないかな。本当に探してもらいたくないのは、むしろ、左目……。俺はユイナの内面側から、ユイナの能力を覗いているからわかるのさ」
ユイナの眼が大きく見開かれた。
しかも、身体をがたがたと震わせだした。
「だ、だめ……。し、しないで……。わ、わかった……。な、なんでもするわ……。奴隷になる……。だ、だから、あの本を焼くなんて……」
ユイナが震えながら言った。
そのとき、スクルドがその場でユイナを覗き込むような仕草をした。
「ああ、言われてわかりましたわ。確かに、右目には“鑑定術”、“反射術”、“欺騙術”の紋様を刻んでますね。だけど、もっとわかり難いけど、ご主人様のおっしゃるとおりに、左目にも紋様の刻みがあります……。それにしても、これは相当の技術ですね……。ええっと……左目にあるのは、ひとつは“遮蔽術”……。これは眼球紋そのものを隠す機能ですね……。もうひとつは……“魔道箱”……」
「だめえええっ」
ユイナが絶叫した。
一郎は容赦なく念を込めて、ユイナの“鑑定術”とその“魔道箱”という能力だけをユイナから封印する。
おそらく、魔道箱というのは、一郎の亜空間と同じようなものであり、物を異空間のような場所に収納してしまう魔道なのだと思う。
つまり、収用術だ。
「ああああっ」
ユイナがのけ反った。
一郎が強引に魔道紋を剥がしたために、両目が衝撃のようなものを受けたようだ。
とっさに、ユイナを拘束していた淫魔術を解除する。
さもなければ、そのままひっくり返って、ユイナは受け身もできない。
ユイナがその場に後ろ向きに倒れた。
「きゃああああ──。目が……目が見えない──。あんた、なにしたのよお──。なにしたのよお──」
倒れたユイナが両手で目を押さえている。
どうやら、一時的に失明したのかもしれない。
しかし、それが重大なものでないことは、いまだにユイナの身体との接触を淫魔術で保っている一郎にはわかっている。
魔道を引き剥がすという強引なことをしたことによる一時的な現象だ。
もちろん、すぐに目が見えるようにすることもできる……。
でも……。
やめた──。
しばらく、失明状態にしておこう。
ユイナに恐怖を煽るのにちょうどいい。
ばさりと音がした。
魔道箱とやらに隠されていたユイナの古文書が、一郎が魔道箱の魔道を封印したことで外に出てきてしまったのだ。
見覚えのある表紙の書物だ。
あれに間違いない。
「いやああ、だめよお──。取らないで──。それはわたしのよお──」
ユイナが悲鳴をあげて、本を手に取ろうとしている。
しかし、目が見えないユイナには、どこにあるのかわからない。
懸命に地面を這いつくばって手探りをしている。
「ご主人様──」
イットがさっと飛び出して、書物を拾ってきた。
ユイナもそれに気がついて、慌てて追いかけようとするが、そもそも、動いてしまったので、ユイナにはどっちが一郎たち側なのかさえ見当がつかないらしい。
「どこよ──。わたしの──。わたしの本よおおお」
泣き叫びながら、地面を這っている。
イットが一郎に書物を渡した。
これが、そうか……。
一郎は古文書を受け取って、何気なく表紙を開いた。
「あれっ?」
「あら」
「なんですか、これ?」
「えっ、どうしてです?」
「あらまあ……」
「へえ……」
一郎と同じように表紙の裏を覗き込んだ、女たちが一斉に声をあげた。
そこにあったのは、表紙裏の白い部分に描かれた、本物そっくりの一郎の似顔絵だった。
しかも、それだけじゃなく、その裏表紙の部分だけ妙に汚れている。
あちこちに染みのような丸い点がたくさんあるのだ。
「なんだ、これ?」
一郎は思わず言った。
「わああ──。見ちゃいやあ──。あああ、開けたのね。その本を開けたんでしょう──。な、なんでもないのよ──。ただ、ちょっと描いてみただけよ──。なんでもないんだから──」
ユイナがいまだに地面に手をついたまま叫んでいる。
「これ、お前が描いたのか?」
一郎は驚いて訊ねた。
すると、一郎が驚くくらいに、ユイナが真っ赤な顔になった。
どうやら、図星のようだ。
「とりあえず、クグルスを呼び出すか」
一郎は腕を擦るいつもの仕草でクグルスを呼び出す。
目の前に、ぱっと魔妖精のクグルスが出現した。
「呼ばれて、飛び出て、じゃじゃ……。あああっ、ご、ご主人様、こいつねえ──」
だが、ユイナの姿を認めるなり、クグルスの態度がいきなり激変して、大きな声をあげる。
しかし、その直後、急ににこやかな顔になり、「な、なんでもないよう」とへらへらと笑い出した。
どうやら、真名によってクグルスを支配したユイナに、そういう「命令」を与えられたんだろう。
「クグルス、正主人の権威で、ほかの者に与えられた支配権を取り消す。お前の主人は俺だけだ」
一郎は口にした。
その途端に、クグルスがぼろぼろと泣き出した。
「ご、ご主人様ああああ──。こ、こいつったら、こいつったら、ぼくのこと……、ぼくのこと……。えええん、えええん、ええええん──」
すると、クグルスが一郎の胸に飛び込んできて、いきなり号泣し始めた。
余程のことがあったのだろう。
一郎は、ユイナにわざとらしく咳払いをしてみせた。
「そ、そいつが最初に、わたしに意地悪したのよお──。わたしは仕返ししただけよ──。そもそも、いつでも支配できたのに、最初はなにもしなかったじゃないのよおお」
ユイナはまったく悪びれる様子もない。
それどころか、いまだにクグルスに対して憤慨している気配だ。
また、やっと一郎たちの方向がわかったらしく、両手をついたままの身体を一郎たちに向けている。
「わおっ──。もう仕返ししてくれたの──? こいつ眼が見えないんだねえ──」
クグルスが喜々とした声をあげる。
「まあな……。もっとも、いまは、ちょっとばかり視力が一時的になくなっただけだけどな。でも、元に戻すか、それとも、このままにしておくかは、考え中だ」
「な、なによお──。眼を見えるようにして──。してったらあ──」
ユイナが叫んだ。
「それよりも、これはなんだ? なんで俺の絵がここに描いてるのか教えてくれたら、考えてやるぞ」
見れば見るほど、この似顔絵が一郎であることは明白だ。
しかも、以前に一度これを取りあげたときには、断じてそんなもの描かれていなかった。
それはともかく、本当によくできている似顔絵だ。
ユイナは絵心もあったのかと思った。
「そ、そんなの、どうでもいいじゃないのよ……」
ユイナがほとんど聞き取れないくらいの声で言った。
その顔は真っ赤だ。
「へえ……。これって、ご主人様の顔じゃないか──。そして、この本についてる染みって、この尻娘の淫汁だよ。お前って、この絵を見て、いつも、自慰をしてたのか?」
クグルスがけらけらと笑う。
一郎はちょっとびっくりした。
「だ、だまれええ──」
すると、ユイナが悲鳴のような声で絶叫した。