【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】 作:ドン・ドナシアン
「くっ」
さすがに無防備にすることを命じられた腹に喰らった棍棒の打撃は、まるで熱い金属の塊を腹の奥底に叩き込まれた凄まじい衝撃をノルズに与えた。
一気に脱力してしまったノルズは、激しく咳込んで、その場に手をついて跪く。
「なに勝手に倒れてんのよ、豚──。ほらっ、立つのよ──」
憎しみのこもったエマの足蹴りがノルズの横顔にめり込む。
「んぐうっ」
衝撃とともに視界が消滅し、気がつくと小屋の壁に全身を勢いよくぶつけてしまっていた。
「それにしても、いちいち、あんたから物を出させるのも面倒ねえ。ねえ、あんたって、魔道の能力も高いんだから、いつも使っている収納魔道っていうのを、わたしに譲渡したりできないの? あっ、左手首を背中側で右手で掴みなさい。命令なしに離すんじゃないわよ」
アスカによって、エマの言葉に絶対服従を命令されているノルズの両手は、うずくまった姿勢でありながら、ノルズ自身の意思とは関係なく、さっと手を背中に動かして、言われたとおりに、右手で左手首を掴んでしまう。
これで両手は、目の前の馬鹿が許可をするまで、まったく自由がきかなくなった。
とにかく、身体を起こすために、床に額を擦りつけて体勢を整え、必死で口を開いて息を吸い込む。
腹と顔面を全力で殴られて、しばらくのあいだ息ができずに、ノルズは息が止まりそうになってしまっていたのだ。
目も眩む。
口の中の血の匂いも感じとれてきた。
かなり口の中を切っている。
ノルズは唾液とともに、血の塊を吐き出した。
「ほら、立つのよ」
エマが顔の下に手を持ってきて、ノルズに装着した鼻輪環を無造作に掴んだ。
「んぎいいっ」
思い切り鼻輪が引きあげられた。
ノルズは激痛に絶叫するとともに、力の限りエマを蹴り飛ばした。
「ひぎゃああ」
エマが獣のような呻き声をあげて、反対側に吹っ飛んでいく。
ノルズはふらつく足に懸命に力を入れて、やっとのこと立ちあがる。
やはり、両手は背中側のまま動かすことができない。
「な、なにすんのよっ──。こ、殺してやるわ。あ、頭をさげてこっちに向けなさい──」
エマの金切り声が飛んできた。
一方で、ぼんやりとしていた視界がまともに戻ってくる。
ノルズが蹴り飛ばしたエマが、さっきの棒きれを拾って立ちあがっていた。
荒い息をしながら髪を振り乱し、凄い形相で棒を後ろに振りあげている。
「し、死ね……」
ノルズは悪態をついた。
一方で、ノルズの頭はお辞儀をするように、エマに向かって垂れていく。
エマは、このままノルズの頭を棍棒でぶん殴るつもりだろう。
頭を割られれば、さすがに死ぬしかないかもしれない。
ノルズは舌打ちをした。
そのときだった。
アスカの大笑いが小屋に響き渡った。
「はははは、エマ、なにやってんだい。言葉に逆らえない女に、蹴り飛ばされるとはねえ。お前を攻撃をするなと命令すればいいじゃないかい。いずれにしても、殺すのはご法度だ……。切り刻むのもね……。こいつには、使い道がある」
アスカが言った。
そして、ノルズに顔をあげるように「命令」した。
頭をあげたノルズはアスカを睨みつける。
「こ、この、あたしを、この性悪娘に、調教させるなんて、馬鹿なことは、やめな……。いい加減に……しなよ……」
息も絶え絶えに言う。
「へえ……。いい目をするじゃないかい、ノルズ……。その目がいつか、憐れみを乞う本当の奴隷に目になると思うとぞくぞくするねえ。そしたら、可愛がってあげるよ。わたしは、わたしに刃向かう者が嫌いなだけで、尻尾を垂れて情けを乞う者は大切にする方さ。そんなに長いあいだじゃなかったけど、わたしに調教を受けて、悶え狂うお前は可愛かったよ」
アスカが笑った。
ノルズがアスカの調教を受けているときというのは、アスカ城でエマに変身してアスカに近づき、この女を脱走させる手筈を整えている時期のことだろう。
確かに、あのとき、ノルズは間違いなく、この女の手管に酔い、身体を蕩かされ、ひたすらに官能によがり狂う雌になり果てた。この女はただ淫乱なだけじゃなく、百合の交合の女の相手もとんでもなく上手なのだ。
アスカの言葉で、あのときの四肢が痺れるような快美感を思い出さされてしまい、ノルズはぐっと歯を噛みしめた。
「おや? どうやら、わたしだけじゃなくて、お前も満更じゃなかったかい? だったら、今度はちゃんとノルズとして、愛し合おうじゃないかい。わたしは気の強い女は嫌いじゃないんでね」
あぐら座りで床にいるアスカが「動くな」と命令をして、さっとなにかの魔道を放ったのがわかった。
すると、口の中の血の味が一瞬にして消滅した。
殴られた腹と蹴られた顔面の痛みもなくなる。
アスカが回復術を遣ったようだ。
「ぐっ、な、なに? うううっ」
しかし、それだけじゃなかった。
同時に、まるで全身を柔らかな鳥の羽根でくすぐられているような不可思議な感覚が襲いかかってきたのだ。
なにが起きたのかわからなった。だが、そよ風のような弱い風がノルズに当たり続ける。
そして、ただ風に吹かれているだけなのに、その場所にびりびりと痺れるような疼きが走る。
これだけ敏感に刺激を感じてしまうのは、あまりにも不自然だ。
身体になにをされた……?
まるで風でノルズの肌を愛撫されているかのようだ。
もしかしたら、身体の感度をかなりあげられてしまったのかもしれない。異常なほどに身体が熱くなっているのだ。
アスカは回復術の遣い手でもある。
そして、回復術というのは、身体の感覚や状態を操る術もである。
身体の感度を急激に上昇させることも、アスカはお手のものに違いない。
その熱くなった身体を風がまさぐり続ける。
「はっ、はあっ、ふううっ」
ノルズは声をあげてしまった。
ちょっと強めに風が当たり、それだけで、恐ろしいほどの快感が全身を貫いたのだ。
「な、なにを……? あたしに……なにをしたんだい……?」
思わず、言った。
すると、アスカがけらけらと笑った。
「風で欲情するほどに、全身の感度をあげてやったのさ。いまのお前は、普段の十倍も二十倍も感じやすくなっている。頭に血が昇ってるようだから、ちょっと発散させてやろうと思ってね……。ほらっ」
風が乳房をすくいあげるように撫ぜあげる。
「ひやっ、はああっ」
ノルズは泣き崩れような声を出して、身体をびくびくと反応させてしまった。
「……ここも弱かったよねえ」
アスカが微笑みながら、ふっと息を吹きかける仕草をする。
ノルズとアスカには部屋の端と端ほどに距離があるのだが、アスカが吹いた息がちょっと強い風になって、ノルズの乳首をくるくると撫でるように擦っていく。
「うくうっ」
我慢していようと思っているのに、またもや、はしたない声を出してしまった。
風によって、ぞくぞくと全身を疼かせるような甘美な戦慄に見舞われる。
しかも、風は一度では終わらず、繰り返し繰り返し、急激に敏感になった肌の上を通り撫ぜていく。
ノルズは信じられないくらいに呆気なく、しかも、他愛のない風だけの愛撫で追い詰められてしまった。
「いい声が出たねえ。だんだんと素直になってきたかい?」
アスカが笑いながら、また息を吹く。
「ひやあっ」
ノルズががくりと膝が砕けそうになって身体を沈めるとともに甘い声をあげた。
かなり強めの風が股間のあいだをすり抜けていったのだ。
それだけのことだったのに、ノルズは激し欲情のざわめきを股間から全身に向かって駆け巡らせてしまった。
これが、二十倍の感度……?
風が当たるだけでこんなに?
いや、そんなものじゃない……。
この狂い魔女は、ノルズの性感をこれ以上ないというほど引きあげたに違いない。
ノルズは慌てて内股をぎゅっと閉じた。
ぬるりとした愛液が股間に溢れ出すのがわかったからだ。
それを隠すとともに、これ以上、風が当たらないようにしたかった。
「わたしの言葉にも、いちいち絶対服従だ、ノルズ……。脚を開いて真っ直ぐに立て。両手は今度は頭の後ろに置きな」
身体が言われたとおりに動いて、静止してしまう。
逃げられない……。
ノルズは絶望的になった。
「……身動きできない状態で愛撫を受けて、こんなにも身体が悦んでしまうのは、被虐の体質の証拠だ。素直になりな、ノルズ。そんなに股で涎を流しているのに、隠せると思ってんのかい」
「あっ、やっ」
風の勢いが強くなった。
そして、熱くなった身体のあちこちを次々に擦り過ぎていく。
胸を捏ねるように……。
体液がどんどんを滲み増していく股間を弄び……。
脇や横腹や内腿など、ノルズが感じる場所を余すことなく風の愛撫が続く。
弾けるような快美感が風で沸き起こり、全身を席巻する。
畜生……。
この魔女はどれだけノルズの感度を上昇させたんだ……。
ノルズは風によって、だんだんと自分の身体が絶頂に向かって近づかされているのをはっきりと知覚した。
「あまり感度をあげすぎると、頭がおかしくなってしまうからね……。全身がクリトリス並みに感じる程度の引きあげで勘弁してやるよ」
アスカの声が終わるとともに、さらに信じられないくらいに全身がかっと熱くなった。
また、感度をあげられたのだとわかった……。
しかも、風のはずなのに、まるで柔らかい手で触られているような刺激に変わってもいる。
どうにもならない快感の痺れが五体に襲いかかってきた。
「んふううっ、はああああっ」
なにかが弾けるような興奮が一瞬にして沸き起こった。
四肢の性感という性感が、峻烈すぎる絶頂の感覚に打ち抜かれてしまった。
ノルズは全身を痙攣するように、がくがくと震わせて脱力していった。
もしも、「静止」の命令がなければ、そのまま崩れ落ちてしまったに違いない。
ただ、アスカの命令の縛りが、辛うじてノルズをみっともなく跪くのを防いでくれていた。
まとまった愛液がどっと股間から出て、内腿から膝に向かって、つっと流れていく。
「どうだい、一度、気をやったことで、血が昇った頭も落ち着いたかい?」
アスカが愉しそうに笑ったのがわかった。
ノルズは、やっと我に返り、自分が醜態を晒してしまったことを知覚してしまい、ぐっと歯を噛みしめた。
「お、お姉様、わ、わたしが調教をするはずです──。横取りは……」
そのとき、じっと見守っていたかたちだったエマが、ちょっと恨めしそうにアスカに向かって不満そうな言葉を口にした。
だが、アスカは、笑みは浮かべたままだったが、非難するように横目でエマを睨むような表情をした。
「そうだよ。わたしは調教をしろって言ったんだよ。それなのに、なんだい、お前は──。いきなり、蹴り飛ばしたり殴ったり……。あまつさえ、棒で頭を叩き割ろうってかい? それのどこが調教なんだい──」
「す、すみません……」
アスカに叱られてしまったエマは、しゅんとなって頭を項垂らせる。
「まあいい。もう一度、機会をやるよ。こいつをお前の調教で堕としてみな。ただし、殴る、蹴るはなしだ。鞭くらいは許してやるけどね」
「わかりました、お姉様。やらせてください」
エマが気合のこもった声をあげる。
「な、なにが、あたしを堕とすだい。おととい来な──。今度は蹴り飛ばすくらいじゃあ、すまないよ、エマ。隙を見せたとき、その目玉に足の指を突っ込んでくり抜くよ。それとも、歯で顔を噛み千切るかもね。痛い思いをしたくなけりゃあ、あたしに近づくんじゃないさ」
ノルズは怒鳴った。
だが、いまだにアスカの命令が効果を及ぼしていて、足を開いて両手を頭の後ろに置いた状態から動くことができない。
これじゃあ、啖呵を切ったところで、恰好もつかない。
案の定、エマは怯えた様子もなく、憎々し気にノルズを見ただけだ。
「豚、わたしを攻撃するのは禁止するわ……。刃向かうこと……。許可なく魔道を遣うこと……。わたしを傷つける一切の行為を禁止する……。いいわね」
エマが言った。
ノルズは口の中で悪態をついた。
これで、一矢報いることさえ不可能になった。
忌々しい……。
「じゃあ、しばらく、任せるよ、エマ。ノルズに泣きべそをかかすことができれば、お前の勝ちだ。見事に泣かせてみな。わたしを愉しませておくれ」
「任せてください、アスカお姉様。この豚をお願いだから、許してくれと泣かせてあげます」
エマが媚びるような口調で言った。
アスカは満足そうに頷く。
「誰がそんなこと、言うものかい──」
ノルズはせめてもの腹癒せにそれだけを言った。
「……そういえば、面白いことをさっきエマが言っていたねえ。魔道の譲渡さ。それは無理でも、お前なら、お前の収納魔道で格納しているものをエマが取り出すようにもできるんじゃないかい、ノルズ? 正直に可能かどうか言いな、ノルズ。命令だ」
そのとき、アスカが思い出したように言った。
収納魔道への魔道による接触受け入れか……。
確かにできる。
ノルズは可能だと答えるしかなかった。
「だったら、エマをお前の収納魔道の中身を扱えるようにするんだ。命令だよ……。エマは、ノルズが持っている調教道具で思う存分、いたぶってみな。こいつの持っている調教具はなかなかのものがある。きっと、お前の調教も楽になると思うよ」
アスカだ。
一方で、命令を受けてしまったノルズは、収納魔道をエマの魔道でも触らせるせるための魔道を刻み始めていた。
すぐに、魔道の効果がエマに及び、旅のために準備していたものを格納している異空間の収納物に接触する権利がエマ側にも移ったのがわかった。
「うわっ、これすごい──。頭にいろいろなものがどんどんと浮かんでくる……。へえ……。これで、取り出したいものを思い浮かべて、魔道を刻めばいいのね? 魔道も遣える……。うわあ……」
エマは感極まったような声を出した。
「……じゃあ、これからいこうか。後ろを向け、豚。両手を腰の後ろで重ね合わせなさい」
口惜しいけど、エマの言葉に逆らえない。
ノルズはエマに背を向けて、手を後ろに回した。
あっという間に、重ね合わせたノルズの両腕に革帯が巻きつけられ動かなくされる。
さらに両足首にも、後ろにいるエマから、それぞれに革枷が嵌められた。
鎖……?
最初はわからなかったが、足首に嵌まっている革枷には、鎖がついているようだった。
エマが魔道をかけたのか、すぐに鎖ががらがらと天井に向かってあがっていく。
顔をあげた。
小屋の天井に二箇所の金具があり、そこに二本の鎖が繋がっていて、それに向かって鎖が消滅するような感じで鎖が上昇していく。
これもエマの魔道の仕業に違いない。
「な、なにを……?」
抵抗することは不可能であり、あっという間にノルズの両脚は宙に引きあげられ、そのため、ノルズはひっくり返って尻もちをついた。そのノルズの身体がさらに天井側にあがっていく。
「く、くそおっ」
ノルズは声をあげた。
腰が宙に浮く……。
さらに肩……。
やがて、頭まで床から離れた。
ノルズは両足を拡げた状態で逆さ吊りにされてしまった。
髪の毛が垂れて、床を這う。
「ち、畜生、お、降ろせっ、エマ──。後で殺すよ──。殺すからね──」
怒鳴った。
しかし、逆さに映っているエマの顔はにやりと微笑んだだけだ。
なにかを企んでいる表情だと思った。
一瞬だが、エマに対する恐怖のような感情が浮かぶ。
だが、ノルズは慌てて、それを打ち消した。
こんな娘の責めを怖がるなど……。
「豚に相応しい飾りをつけてあげるわね。気に入るといいけど……」
エマがそう言うと、頭の下でごとりと大きな音がした。
赤ん坊の頭ほどの鉄球だ。
その一端に小さな鎖がついている。
エマは鉄球に繋がっている鎖をノルズの鼻に嵌まっている鼻輪に魔道で接続すると、無造作に鉄球を蹴った。
「んぎいいいっ」
ノルズは絶叫した。
転がった鉄球が鼻を引っ張り、鼻の穴に金属の棒でも突き刺されたような痛みが走ったのだ。
鉄球は少し離れた場所でノルズの顔に引かれてとまったものの、ノルズは逆さ吊りのまま、顔を限界まで前に出したような体勢になってしまった。
痛い──。
痛い──。
痛い──。
鼻輪に繋がっている鎖の長さが怖ろしく短いので、ただ真下に鉄球を置かれただけで、鼻の穴がめくれるほどに引っ張られたのに、それを前に移動されたのだ。
恐ろしいほどの激痛が鼻に走る。
「ひいっ、ひいっ、ひいいっ」
ノルズはあまりの痛さに、出したくもない悲鳴をあげ続けた。
しかし、エマは無視して、ノルズから離れていく。
「ちょっと冷めてしまいましたけど、朝食にしましょう。お姉様……。一日は長いですから。豚はお預けよ。わたしたちが食事をするのをそこで見ていなさい」
エマが愉しそうに言って、部屋の隅に置かれてた兎汁の入った皿をアスカのところに持っていき、自分の分も運ぶ。
食べる場所は、ノルズの顔のほんの真正面だ。
ちまちまとした嫌がらせに、ノルズは歯ぎしりした。
「食事が終わるまで退屈だと思うから、魔道で贈物をあげるわね、豚……。でも、あんたって、色々なものを持ってんのね。まさか、自分に使われるなんて思ってなかったでしょうけど……」
エマが再びやってきて、ノルズのお尻に軽く触りながら言った。
次の瞬間、魔道でなにかが体内にいきなり送り込まれたのがわかった。
思わず、びくりして身体を竦ませてしまい、それで鼻を引っ張られ、小さな悲鳴をあげてしまう。
「な、なにを……。えっ、こ、これは……」
しかし、すぐにノルズは、エマがなにをしたのか悟ってしまった……。
送り込んだ場所は、お尻の中だ……。
この娘──。
送り込まれたのは浣腸液だ。
ノルズは調教の材料のひとつとして、樽に入れた液体の下剤を大量に保管をしていた。
エマは収納魔道の中身に触る権利をノルズから渡されることで、その存在を知り、アスカから増幅された魔道でノルズの腸に、その液体の下剤を送り込んだというわけだ。
しかも、かなりの量の一度に……。
視線を送らなくても、ノルズの下腹部が送られた液体のための膨らんでいるのがわかる。
「先に、お代わりもあげるわね」
また、お尻に触る。
そして、さらに同じ量の下剤……。
ノズルはあっという間に恐ろしいほどの便意に襲われてしまった。
「くっ……。エ、エマ……。お、お前……」
ノルズは脂汗が全身から噴き出すのを感じながら、慌てて、じわじわとノルズを追い詰める荒々しい便意に耐えるために、必死に尻の筋肉を引き締めた。
すごい勢いで、液剤がノルズの腹で暴れまくりだす。
こいつ……。
なんてことを……。
「どうしたんだい、ノルズは? 急に顔を蒼ざめたようだけど」
アスカがさじで食物を口に送りながら、きょとんとした表情で首をひねった。
「さあ、もしかしたら、うんちがしたいのかもしれません……。豚ですから……でも、もしも、もらしてしまったら、わたしが魔道で洗浄しますから。これも調教の一環です。お許しください、お姉様」
エマがわざとらしく言って、食事のために床に腰をおろした。
アスカはそれで、すべてがわかったのか、それはいいと大笑いした。
「そうだ、エマ。そのノルズの身体の感度はさっき一気に引き上げて、そういえば、そのままだったよ。いまのノルズは全身が肉芽並みなんだ。言うのを忘れてた」
すると、アスカが思い出したように笑うながら言った。
「あら、そうなんですか。じゃあ、これなんか、どうでしょう」
エマが収納魔道でなにかを探るような表情をしたが、すぐに愉快なものを見つけたように顔を輝かせる。
次の瞬間、逆さ吊りの全身の表面に、急になにかが発生したのがわかった。
「な、なにを──。ひ、ひいいっ、こ、これは──」
全身に浮かんだのは、真っ白の毛虫のような綿くずの塊だ。
それが数十個発生して、ノルズの全身に張りついたのだ。
しかも、一斉にうようよと動き出して、敏感になりすぎている肌を刺激し始める。
「んんんんんっ」
ノルズは鼻の痛みも忘れて、歯を喰いしばったまま、身体を限界までのけ反らせた。
そして、思わず尻穴から力を緩めそうになり、慌ててぐっと締めつける。
猛烈な便意と、圧倒的にくすぐったい全身への刺激――。
ノルズら、逆さ吊りのままのたうちまわった。
「ははは、いいざまね、豚……。それと、あんたの収納物の中の素敵なものがあったから使ってあげるわね。強烈な掻痒剤塗り薬よ。鼻の穴に詰めてあげるわね。あっ、そうそう、わたしからも命令しておくわ。絶対に背中側で握った左手首を離しちゃだめよ。それと、逃げずにじっとしなさい……。命令よ」
エマが立ちあがって、空中から取り出したように持った小瓶の蓋を開けると、つんと強い香りのする油剤を容赦なくノルズの鼻の穴に塗り込めだす。
「んひいいい」
さすがのノルズも悲鳴をあげてしまった。