【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】 作:ドン・ドナシアン
息が漏れる音ひゅうひゅうと鳴り続ける。
ノルズの口に嵌められている穴空きの箝口具だ。
丸い球体に幾つかの小さな穴が開いた責め具のひとつであり、小さな穴から出る涎によって、嵌められている者の恥辱を誘い、惨めさを味わわせるという淫具である。
もともとは、ノルズが持っていた責め具であり、いまや、それを自由に扱えるようにさせられたエマによってなされたノルズに対する嫌がらせだ。
とにかく、それが、ノルズの口の中に押し込められて、外れないように両脇に繋がっている革紐で顔の後ろでしっかりと結びつけられている。
その小さな穴によって、ノルズが苦痛のために荒い息をするたびに、まるで笛のように音を立てているというわけだ。
拭くことすらできないノルズの鼻水と涎をまき散らしながら……。
「んひいっ」
そのとき、またもや身体が崩れかけ、鼻輪の激痛により我に返らされたノルズは、必死に姿勢を直して、つらい姿勢を保持し直した。
さっきから、果てしなく繰り返させられている苦悶の仕草だ。
ノルズは、真っ暗な山小屋の真ん中に、素っ裸のまま両腕を背中側に曲げられて、腕を束ねるように腰の括れで拘束され、つま先立ちになるまで天井から顔を吊りあげられて、立たされて放置されている。
両足首には、肩ほどの長さの鎖で繋がれた革の足枷を嵌められているが、もはや、そんなものがなくても、ノルズには、逃亡を謀るような一片の体力も気力も残されていない。
天井を向いている顔からは、夥しい汗とともに、箝口具の穴から際限なく涎が流れ続けている。
その涎の筋は、上を向いているノルズの顔から首の横に垂れ、乳房の上を撫でて、さらに腰に垂れ、両脚の側面を伝って、いまや痙攣がとまらなくなっているつま先立ちの足のあいだに流れて、苦痛の脂汗とともに大きな水たまりを作っていると思う。
もっとも、ノルズには、それを見ることはできない。
体力を使い果たしているノルズに、さらに限界を振り絞るような責め苦を強要しているのは、天井から垂れている鎖に繋げられているノルズの鼻輪だ。
だから、ノルズは下を向くことができないので、足元の情景がわからないということなのだ。
おそらく、三日目だ。
……とはいっても、アスカの言葉の通りであれば、アスカの時間術によって、半日にも満たないかもしれないかもしれない時間を引き延ばされているだけと思うが、ノルズにとっては、三日は三日だ。
どうやっているのか知らないが、そのあいだ、昼もあり夜もあって、小屋の中にはしっかりと時間間隔がつけられている。
だから、ノルズにとっては、もう幾日にもかけて、苛酷なエマとアスカの責めを受けているのと同じ状態になっている。
なまじ日にちの感覚があることも、ノルズの心を追い詰める。
なにしろ、アスカとエマは、事もあろうに、三日連続のノルズへの調教に疲れて自分たちが寝るにあたって、ノルズには睡眠を与えないように、こうやって鼻輪に天井からの鎖を繋げて、つま先立ちになるように吊り上げ、そのまま放置しているのだ。
ちょっとでも体勢を崩せば、死ぬような激痛が鼻に走るノルズは、三日も続いた疲労困憊の肉体を休めることもできず、ずっとこうやって立ち続けているというわけだ。
その足元では、アスカとエマが、三日続いたノルズへの調教に疲れて、いまは寝息を立てている。
ノルズは必死になって、箝口具を嵌められている口で、ふたりに対して、鼻輪吊りからの解放を訴えているのだが、大声さえも出せないほどに疲れているせいもあり、それはまるで風が漏れるような音しかならず、いまも、ひゅうひゅうと虚しく音が鳴っているというわけだ。
この三日間──。
ノルズは、朝も、昼も、夜もなく、まさに三日続けて、アスカとエマに道具を使って犯され続けた。
眠ることも許されずに、凌辱され続けたのだ。
最初に浣腸をされ、山小屋の外に出されて、ふたりの前で排便をしながら愛撫をされて気をやらされたあと、アスカとエマは、すぐに、ノルズを山小屋に戻して、道具を使って犯し始めた。
それからが、本物の性の地獄の始まりだ。
男との性交と異なり、女が女を責められるときの凌辱には終わりはない。
ノルズは、それをよく知っていた。
男なら、なんだかんだで精を放って終わりだが、女にはそれがなく、ただただ、体力の続く限り、調教が続くのだ。
そして、アスカは徹底していた。
とにかく、ノルズをして完全に心を潰し、屈服させるのだという強い意気込みで、ノルズを責め続けた。
アスカは、ノルズがパリスによる洗脳をノルズが受けていると信じ込んでいて、どんなにそれをノルズが否定しても、それはパリスによる暗示によるものだと決めてかかっているのだ。
なにしろ、ノルズには、アスカに対する隷属の魔道を受けれているほかに、あのロウからの淫魔術を受け入れていて、自分を越える何者かの隷属魔道をノルズが刻まれていることに気づき、アスカは、それはパリス以外にあり得ないと断定している。
ノルズは、もはや隠すことは不可能と思い、ロウの淫魔術ことを正直にアスカに告白したが、アスカは、ロウが淫魔師であることは承知しているものの、その能力が大したものであるとは思っておらず、よりにもよって、あの“イチ”の操りだとノルズに思い込ませるというのは、パリスもなんの冗談なのだと、せせら笑うだけだった。
イチというのが、アスカが認識しているロウの名前だというのは、そのときに知った。
とにかく、アスカは、ノルズに加えられている「パリスの洗脳」を解くために、ノルズを体力の限界まで責め続けて、アスカに屈服することをやろうとしている。
心を弱らせれば、洗脳に対する解呪の魔道はかけやすくなる。
まあ、あのロウも、パリスがノルズに加えていた呪術を解呪するときに、同じようなことをしていたので、淫魔術にしろ、洗脳排除の魔道にしろ、やり方は一緒なのだろう。
だが、それを受けるノルズはたまったものじゃない。
そして、ノルズは、アスカとエマからの性の拷問を受けることになったのだ。
アスカは、ノルズに身体の感度が怖ろしいほどに上昇する媚薬を繰り返して与えつつ、その身体を張形や振動する魔道の淫具でいたぶり続けた。
逃げることは不可能だ。
身体は拘束されているし、アスカを主人とする隷属の紋章の縛りにより、アスカからは、アスカはもちろん、エマに対しても、一切の言葉に従うように「命令」されている。
ノルズには、ただ、ふたりの責めを受け続けること以外は、許されていない。
責めは比較的単純だ。
抵抗できないノルズの裸体をふたりがかりで責めたてるということの単純な繰り返しだ。
ただ、それを休みなく、徹底的にするのた。
アスカがやり、アスカが疲れると、責める者がエマに変わり、エマが休息のあいだは、またアスカと交代して、再びエマに替わるということをひたするに続けるという具合だ。
しかし、責められるノルズには休息は許されない。
ただ、受けるだけだ。
気絶はもちろん、三日間、アスカは、ノルズに寝ることさえ許さなかった。
水を飲まされ、食べ物を口に入れられるときも、張形は股間で動き続けたし、火照りきっている全身のあちこちを責める淫具は取り付けられたままだった。
気がつくと、全身の痙攣がとまらなくなっている自分がいた。
頭は真っ白になり、自分がどうなっているかも、なにが起きているかも知覚できなくなっていた。
そういうノルズを、アスカかエマが、嘲笑しながら責め続ける。
絶頂は数えきれないほどした。
しかし、何度気を失いそうなっても、意識を失うことは許されなかった。あらゆる手段で強引に起こされるのだ。
それこそが、まさに地獄だった。
あまりもの連続絶頂で、気絶しそうになると、アスカが魔道をかけてそれを阻止し、あるいは、エマが強力な気付け薬を無理矢理に嗅がせて、ノルズを強引に覚醒させる……。
そして、責め苦が続く。
それが繰り返す。
失禁をし──。
そして、脱糞もした──。
それでも、張形は動き、淫具は苛み、愛撫はやまない。
三日──。
そして、三日──。
このあいだ、ノルズは、本当にただの一睡もさせてもらっていなかったのだ。
眠れないこと──。
睡眠を奪われていること──。
このことは、ノルズを想像以上に追い詰めている。
体力のすべてを奪われている以上、ノルズの身体は、必死になって休むことを求め続けている。
しかし、眠りは与えられない。
責めは続く。
結果的に、ノルズは残っているはずのない体力を総動員して、自分を覚醒させ、アスカとエマの凌辱に反応し続けるというわけだ。
だが、そんなことがどうして可能だろうか……。
凌辱されながらも、睡魔と疲労で意識が失いそうになり、それを強引に起こされる。
そして、容赦なく苛酷な性の拷問に引き戻される。
それを繰り返される。
いつしか、ノルズは大きな黒い不安のような恐怖に押し潰されそうになってしまっていた。
自分が狂うのではないかという怖さだ。
それとも、すでに狂っているのか……。
これまでに、ノルズもいくつもの汚辱を味わったこともあるし、拷問を受けたことだって初めてではない。
しかし、そのどれにも、ノルズは打ち勝っていた。
だからこそ、いまのノルズが存在するのだといっていい。
ノルズは、どんなときでもノルズでいられたし、ノルズが心から屈服したと思ったのは、あのロウに対してだけだ。
だが、今回は様子が違っている。
追い詰められている恐怖の先にあるのは、さらに深い真っ黒な闇だ。
絶対に自分では脱出することができない心の地獄だ。
ノルズは、自分の心がその穴倉にどんどんと嵌まっているのを感じていた。
まるで全身を犯す闇そのもののようだった。
ノルズの意思とは無関係に、ノルズを蝕む闇だ。
アスカは、ノルズの心を壊し、完全に狂わせ、そのうえでノルズを支配しようとしている。
ノルズにはそれがわかったが、どうすることもできないでいる。
実際、ノルズは疲労に苛まれている身体を強引に覚醒させられながら、いつの間にか、自分が意味不明の言葉を口走りそうになっているのを何度も我慢しなければならなかった。
脂汗は、もはやとまることなく身体から流れ続け、最初にあんなに我慢した排便でさえも、もう自然に垂れ流すのについて、思考することができなくなっていた。
それでも、ノルズは、たったの二回しか、お願いだから寝かせてくれと、口にしなかった。
ノルズが弱音を吐くと、あのエマがそれを口実に、それまでの数十倍もの責め苦を罵詈雑言とともに与えるのがわかったからだ。
アスカにしても、無論、エマにしても、いまノルズが最も苦しんでいるのが、なによりも眠らせてもらえないことだとわかっているので、絶対に睡眠は与えてくれない。
今夜だって、さすがに三日目に入って、ふたりにも疲れが出て、同時に眠りに陥ったというのに、こうやって、鼻輪吊りの地獄にノルズを放り込んでまで、ノルズが寝ることを阻止する。
「んぐうっ」
気が遠くなりかけて身体が傾いたのを、天井から吊られている鼻輪による激痛に阻止され、ノルズは懸命に、姿勢を保つために身体を伸ばした。
上を向いている首はもちろん、背骨も、腰も、悲鳴をあげてのたうち回りたいほどに痛くて、なによりも疲れ果てていた。
鼻輪に吊りあげられているノルズの身体は、まるで重りを装着されて、深い水の中にでも放り沈められたような恐怖と絶望感に苛まれていた。
息が苦しかった。
なにかが、ノルズが呼吸をするのを邪魔している。
ノルズに残っている意思──。
理性──。
気力──。
なにかに対する怒り──。
すべての尊厳──。
そういうもののすべてを、どんどんとすり潰されていくような気分だった。
身体がばらばらになりそうな身体の重みを、鼻をぶらさげられている激痛が支えている。
それでも、つま先立ちの足先に力を込め、ノルズは込みあがる号泣を必死に我慢していた。
そのときだった。
不意に箝口具が顔の後ろ側から外されたのだ。
いつの間にか、真っ暗だった部屋に燭台の光が灯っている。
鼻輪の鎖がほんの少しだけ緩んだのがわかった。
ノルズがそれで解放されたわけではなかったが、それでも首を上ではなく前に向けることができただけではなく、なによりもつま先立ちだった姿勢が、すべての足裏を床に付けることを許されたのだ。
苦痛から解放されたわけじゃないものの、それでも、なによりもノルズにありがたい束の間の「休息」だった。
そして、燭台の光に灯されたのは、ノルズの前側に回り込んできたエマの勝ち誇った顔だった。
アスカは、まだ寝ているようだ。
ノルズの後ろ側に、アスカの静かな寝息がいまでも聞こえ続けている。
そして、姿勢が楽になったことで、ノルズは急速に睡魔に襲われて、気が遠くなった。
「あぎゃあ」
だが、またもや鼻輪の激痛がノルズを覚醒させる。
極端な上向きの視線から解放されたとはいえ、ノルズの鼻が天井から吊られていることには同じだ。
身体をちょっとでも倒しそうになれば、たちまちに鼻輪の激痛が加わることには変わりはない。
「眠れるなんて、思わないことね、ノルズ。ほら、もっと疲れさせてあげるわね。あんたがもっと苦しむようにね」
エマが酷薄な笑みを浮かべて、ノルズの胸に手を伸ばして、乳首を捏ねるように胸を揉み始めてきた。
「きゃううう」
自分でも耳にしたことがないようなおかしなノルズ自身の悲鳴だった。
だが、怖ろしいほどの快感だった。
エマはただ、稚拙ともいえる胸への愛撫をしているだけだ。
それなにの、ノルズの身体は、そこから信じられないような快感を絞り出していた。
「ふふふ、もういきそうね。じゃあ、前で一回。後ろで一回──。二回気をやったら、またさっきの姿勢で鼻を吊りあげるわね。それが嫌なら、必死に我慢することね」
エマが笑った。
エマの手が乳房から離れて、ノルズの股間と菊座に前後から伸びてきた。
「ふううっ、おおっ」
息を飲んで、身体を仰け反らせていた。
すぐに身体が淫らにくねり始める。
快感を受けとめまいと抵抗することは、もはやノルズには不可能だった。
あっという間に快感がこみ上がる。
だが、それは恐怖の快感だ。
ここで達してしまったら、解放されることで、ほんのちょっと楽なった鼻吊りの地獄を再び開始されるのだ。
「ゆ、許して、エマ……。許して……」
まったく自然に、エマに対して哀願を発していた。
エマが勝ち誇ったように微笑んだと思ったが、もうノルズにはなにも考えられないでいた。
ただ、もうさっきの鼻吊りは受けたくない。
そして、わずかでもいいから眠りたい──。
そのことしか考えられない。
「ああっ、ゆ、許して──。許して──」
「いい声で泣くようになったわね……。ふふふ……。忘れないでね。わたしはあんたが心底嫌いなことを……」
エマの嘲笑が耳元でした。
愛撫は続く……。
すぐに津波のような甘美感が、エマが愛撫している場所からせりあがった。
快感が、全身を席巻する。
でも、絶頂してはならない──。
達すれば、鼻吊り──。
ノルズは歯を喰いしばった。
しかし、結局、あっという間に達した。
それも、前と後ろで続けざまに──。
「あああっ、ああああっ」
ノルズははしたない声を発して、絶頂の快感に身体を震わせていた。
そのノルズの鼻が容赦なく、天井に引っ張られて、再びつま先立ちの姿勢を強要された。
ノルズは今度こそ泣き叫んだ。
「じゃあ、お休みね、大嫌いなノルズ……」
箝口具が再び嵌められ、燭台の炎も消滅する。
再びやってきた暗闇とともに、ノルズは全身を苛む背骨と首の痛み、そして、なによりもな鼻輪の激痛に襲われた。
エマがすぐに眠ってしまったのはわかった。
さっきまでノルズを責めていたのが嘘だったように、エマの寝息が聞こえだしたのだ。
ノルズは、懸命に身体を伸ばし続ける。
だが、一方で、ずっと強靭さを保っていた自分の心が、今度こそ崩れていくのをしっかりと感じ出していた。
おそらく、間違いない……。
ノルズはあまりもの疲労のために、身体を支えられず、繰り返し眠りかけては、鼻輪吊りの地獄の激痛で覚醒させるということを続けた。
たが、その苦悶と屈辱の中で、ノルズはしっかりと自分の全身が爛れるような快感に染まっているのを感じとっていた。
感じている……。
この恥辱に……。
この苦痛に……。
すでに、狂気の半分は、ノルズを包んでいた。
残りの半分は、朝までに崩れるだろう。
おそらく、もうすぐ、自分は壊れてしまうに違いない。
再び鳴りだした箝口具が奏でるノルズ自身の息の音を耳にしながら、ノルズはぎしぎしと崩壊する自分の心の音を感じていた。