※この作品はR-18です。

【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】   作:ドン・ドナシアン

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49  災いを呼ぶ女

 騎士シャングリアについては、大変なものだと一郎は思った。

 

 銀色のプレート・アーマーを身につけた六人の騎士が馬上のまま練兵をしている。

 岩の多い山あいの土地を想定しているらしく、やってきた練兵場の一画は、たくさんの大きな岩が無造作に置かれていた。

 その岩を縫うようにして、三騎と三騎の王軍騎士の紋章のある銀色の鎧を身につけた騎士が馬を操りながら、木製の長い棒を槍と想定して相互に戦っているのだ。乗っている騎馬の面覆いが赤白に分かれており、それが敵味方の目印のようだ。

 

 あの六騎の中で、どれがシャングリアという女騎士なのかは、すぐにわかった。

 男の騎士に混じって、一騎だけ小柄だ。

 だが、その小柄の騎士の動きが一番いい。

 巧みに馬を操りながら、敵と想定されている騎士の横に後ろにと回り込んでいる。

 二組に分かれている六騎は、当初はそれぞれ三騎で連係し合うように動いていたが、やがて、さっとシャングリアだけが突出した。

 相手の三騎は、シャングリアを囲むように動いたが、シャングリアはそれをかわして包囲の外に出て、三騎の背後に完全に出た。

 そして、持っている槍代わりの棒で一騎の騎士を突く。

 体勢を崩した相手が馬からそのまま突き落とされた。

 

「なかなかのものです」

 

 練兵場の外側の柵にもたれながら、横で一緒に見守っていたエリカがそう言った。

 

 王都の郊外にある練兵場だ。

 

 一郎は、クエストで与えられたジーロップ山の盗賊退治を実行するために、王軍騎士に所属するモーリア男爵家の娘であるシャングリアという女騎士に面会に来たのだ。その女騎士とともに、盗賊退治をするというのが、今回のクエストの条件なのだ。

 

 最初は詰所に面会に行ったのだが、今日は練兵場にいると教えられて、ここまでやってきた。

 王軍騎士団の練兵場は、王宮に隣接されている騎士団の詰所とは異なり、王都の外壁に近い場所にある。別に警護の者などいなかったので、一郎たちは、誰にも咎められることなく、この練兵場の柵までやって来れた。

 

 それでこうやって、見物をしているところだ。

 一郎が真ん中で、エリカとコゼが一郎を挟むようにして、柵にもたれている。

 

 シャングリアだと思われる騎士が二騎目も棒で打ち倒した。

 残りは一騎。

 すると、シャングリアの味方の騎士二騎が動きを止めて、シャングリアを見守る態勢になった。

 一騎討ち──。

 シャングリアは残りの一騎と馳せ違う。

 どっという音がここまで聞こえて、その一騎も馬から落ちた。

 

「凄いねえ。ひとりでやっつけたよ」

 

 一郎は正直な感嘆を口にした。

 シャングリアといえば、美人だが男勝りのお転婆というのが世間の評価だが、少なくとも、お転婆については、その言葉に間違いはないようだ。

 一郎が見る限り、相手の三騎が特に弱いというわけでもなさそうだ。シャングリアが強いのだ。

 

「きちんと訓練を受けた正統派の武術ですね」

 

 コゼだ。

 

「でも、お前なら勝てるだろう、コゼ?」

 

 一郎は訊ねてみた。

 

「こっそりと寝首をかけと命じられればできます」

 

 横を向くと、コゼがにっこりと笑った。

 

「じゃあ、あんな風に戦場で立ち合えと言われれば?」

 

「逃げます。あたしは逃げ足にも自信はあります」

 

 コゼの物言いに一郎は笑った。

 

「だけど、俺は駄目だな。お前たちのように馬には乗れない。逃げても馬で追いつかれて終わりだ」

 

「ロウ様のことは、わたしが守ります。心配いりません」

 

 すると、エリカが真面目な顔でそう言った。

 さらに見守っていると、練兵が終わったのか、それぞれに銀色の仮面を外し始めた。

 シャングリアも銀の仮面を外す。

 見事な白銀の長い髪が現れた。

 確かに美人だ。

 しかし、遠目でも気の強そうな性格が顔によく出ていて、笑みひとつ浮かべずに、ほかの者たちと馬上のまま話をかわしている。

 やがて、散開した。

 ほかの五騎は、練兵場の外に向かって去っていく。

 

 ただ、シャングリアだけが、こっちに馬のままやって来た。

 どうやら、一郎たちには気がついていたようだ。

 

「こっち側に入って来い」

 

 声の届く距離になると、シャングリアが大きな声をあげた。

 柵は立て杭を二本の横材で繋げているだけで、その横材の隙間からいくらでも身体を入れることができる。

 一郎たち三人は、その言葉に従って、練兵場の中に入っていった。

 

「お前たちは、大伯父が言っていた冒険者だな? わたしの従者として、ジーロップの盗賊退治に同行する冒険者たちで間違いないか?」

 

 シャングリアが一郎たちのそばまでやって来た。

 ただし、馬に乗ったままだ。

 それにしても、いきなり“従者”と言われたことには、少し驚いた。

 

「伯父という人のことは知りません。俺たちは、冒険者ギルドから、あなたと一緒に盗賊退治をするというクエストを受けています。ついでながら、従者の指示は受けていませんね」

 

 一郎は言った。

 そのとき、目の前のシャングリアが馬上で持っていた棒をさっと動かしたように思った。

 

「ロウ様──」

「ご主人様──」

 

 エリカとコゼの叫び声がした。

 なにが起きたのかわからなかった。

 左肩に激痛が走り、一郎は宙を飛んでいた。

 馬上のシャングリアに棒で突かれたとわかったのは、視界に青空がはっきりと映ったときだ。

 そして、背中に地面がどっと当たった。

 突き倒されたのだ。

 

「な、なにすんのよ、お前──」

 

 エリカだ。

 倒れている一郎の前に立って、すでに細剣を抜いている。

 

「だ、大丈夫ですか?」

 

 コゼが屈みこんで、一郎の頭を抱き起すようにした。

 

「お前とはなんだ、エルフ女──?」

 

 シャングリアはエリカを睨むように見たが、すぐに視線を一郎に戻した。

 

「まあいい……。それよりも、男──。従者でなくて、なんなのだ? 一人前に一緒に戦うというような生意気を言ったから試したのだ。それにしても弱すぎるな。話にならん。従者なら連れて行ってもいい。ジーロップまでは二日かかる。火おこしをしたり、食糧を運んだりする者たちは必要だからな。だが、冒険者ごときと一緒に戦おうとは思わん。盗賊団など、わたしひとりで十分だ」

 

 シャングリアが口元に小馬鹿にしたような笑みを浮かべている。

 さすがに一郎も腹がたった。

 

「冗談じゃないわよ──。ロウ様に謝りなさい──」

 

 エリカがすっと剣を動かした。

 やばい──。

 やる気だ──。

 一郎にはエリカが怒りに震えているのがわかった。

 そのまま、シャングリアに突っかかっていきそうだ。

 

「ま、待て、エリカ──。やめろ──。俺は大丈夫だ──」

 

 一郎は慌てて叫んだ。

 そして、心配そうなコゼの手をどけて、立ちあがる。

 一郎の身体に刻まれている“ユグドラの癒し”のおかげで、すでに打たれた肩は治っている。

 

「で、でも、ロウ様……」

 

 憤慨した表情のエリカが振り返った。

 

「いいんだ……。コゼ、柵の外に落ちている小枝を拾ってきてくれ」

 

 一郎はエリカを制して、その前に出ながら、コゼに言った。

 コゼは一瞬、当惑した表情になったが、すぐに柵の外に出た。柵の外には背の低い樹木が何本かあり、地面にはその樹から落ちた枝がたくさんあったのだ。

 

「ほう、丸一日は肩があがらんとは思ったがな。打たれ強いのだな」

 

 相変わらずの馬鹿にしたような笑みのまま、シャングリアが口元を綻ばせた。

 一郎は魔眼でシャングリアを見た。

 

 

 

 “シャングリア(モーリア=シャンデリカ)

  人間族、女

   騎士

  年齢22歳

  ジョブ

   戦士(レベル15)

  生命力:60

  攻撃力:300(模擬槍)

  経験人数:なし

  淫乱レベル:A

  快感値:100(通常)”

 

 

 

「シャンデリカ? あんた、シャンデリカというのか?」

 

 思わず言った。

 口にして、しまったと思った。

 魔眼で垣間見た情報を口にするのは不適切だ。

 だが、シャングリアが顔を真っ赤にした。

 

「な、なんで、わたしの本当の名を──。わ、わたしは騎士シャングリアだ。“シャンデリカ”という、そんな女っぽい名前など──」

 

 シャングリアが顔を真っ赤にしたのは、怒りのためのようだ。

 “シャンデリカ”に比べて、“シャングリア”が男っぽいということはないだろうが、シャンデリカというのは、一郎の知識では“光り輝く”という意味だ。

 耳で聞く言葉については、この異世界も、元の世界も変わりはないことを一郎は知っている。

 シャングリアの様子から予想すると、シャングリアの本名は、その銀色の髪に相応しく、光り輝く“シャンデリカ”というのだろう。しかし、それを嫌って、騎士としては、“シャングリア”と名乗っているということのようだ。

 

「これでいいですか、ご主人様? でも、なにに使うんです?」

 

 コゼが何本かの小枝を持ってきた。

 一郎はその中で、ちょうど乗馬鞭くらいの長さと太さ、そして、しなりを持っているものを選んで手に取った。

 

「まあ、見てろ、コゼ……」

 

 一郎はコゼと、そして、まだシャングリアを睨んでいるエリカを一郎の後ろに下げた。

 

「じゃあ、ちょっと俺と果し合いをしよう。俺が勝ったら、一緒に盗賊退治に行くことを認めてもらうよ」

 

 一郎はにっこりと笑った。

 

「わ、わたしと果し合い?」

 

 シャングリアが愉快な冗談でも聞いたというような顔になった。

 

「な、なにを言っているんです、ロウ様──。そんなことはさせられません。こいつを懲らしめるんなら、わたしがやります」

 

 エリカが叫んだ。

 

「こ、懲らしめるだと──。生意気を言うな、エルフ女──」

 

 すると、シャングリアがエリカに怒鳴った。

 一郎はふたりを宥めるように手をあげて、シャングリアに近づく。

 

「まあまあ、シャングリア……」

 

「わ、わたしを呼び捨てにするな──」

 

 シャングリアが怒鳴った。

 

「じゃあ、俺が勝ったら、仲間として呼び捨てにするよ、シャングリア様」

 

 一郎は言った。

 すでに、一郎はシャングリアが乗っている馬の前にいる。

 

「お前が勝つだと? ふざけるな──。だったら、そのエルフ女と戦ってやる。その女がそれなりの心得があるのは、剣の構えでわかる──。逆に、お前など素人だ。武芸の心得はないだろう──?」

 

「確かにないね。この三人の中で、飛びぬけて俺が弱いということは確かだということは認めるよ。でも、その俺に負けたら、少しは俺を認めな」

 

「あり得ん──。だ、だが、まあいい──。戦ってやる。その代わり、骨の一本や、二本は覚悟しろ──」

 

 シャングリアが馬から降りようとした。

 しかし、一郎はそれを制した。

 

「待って──。まずは、勝負のルールを決めないと……。いくら果し合いといっても、まさか殺し合うわけにはいかないしね」

 

 一郎はわざと陽気な声をあげた。

 

「ル、ルールだと──? そんなものあるか──。どっちかが参ったというまでだ」

 

 シャングリアが声をあげた。

 

「なるほど……。だったら、ルールなしでいこう」

 

 一郎はいきなり、シャングリアが乗っている馬の鼻先を持っていた小枝で力いっぱい引っ叩いた。

 びっくりした馬がいななきをあげて、前脚をあげて胴体を縦にする。

 

「きゃああ」

 

 シャングリアが悲鳴をあげた。

 すかさず、一郎はシャングリアが足にかけていたあぶみから片足を外す。

 完全に体勢を崩したシャングリアが馬から落ちて、背中から地面に叩きつけられた。

 

「あぐうっ──」

 

 呻き声をあげたシャングリアに一郎はのしかかった。

 

「誰か、“始め”の合図をしてくれ」

 

 一郎はプレート・アーマーの隙間を使って、小枝を胸のあたりに差し込みながら言った。

 

「始め」

 

 エリカが早口で言う。

 一郎の眼には、シャングリアの性感帯が桃色のもやでしっかりと映っている。

 そこをめがけて小枝を差し込んでくすぐるように動かした。

 

 プレート・アーマーは重い。

 さすがのシャングリアも容易には起きあがれない。

 しかも、一郎はシャングリアの力が入らないように、一番敏感な場所を探して刺激しているのだ。

 シャングリアは悲鳴をあげてもがくだけで、馬乗りになっている一郎をどかせられないでいる。

 もちろん、シャングリアが身に着けているプレート・アーマーは自力で起きあがれないような重すぎるものではないはずなのだが、一郎がシャングリアの力が入るのを邪魔しているので、シャングリアは重いプレート・アーマーを起こせないのだ。

 重い鎧があだになったかたちだ。

 

「や、やめろ──。ひ、卑怯……ぐうっ、くっ──。お、お前、さっきから、なにを……」

 

 シャングリアが真っ赤な顔で身体を捩じって、一郎を下から掴んで上からどかそうしている。

 しかし、一郎もそうはさせない。

 

「卑怯も、くそもあるか。相手は盗賊だ──。どんな手でも使うぞ。自分ひとりで大丈夫などとおこがましいことを言うな」

 

 一郎は、シャングリアの脇の下にあるプレート・アーマーの継ぎ目に小枝の先を突き差してくすぐった。

 

「ひやあ、ひゃははは──や、やめろ──く、くすぐったい──やめえ──」

 

 シャングリアが笑い出した。

 一郎には、シャングリアがとても感じやすい性質であり、脇の下が弱いことがわかっている。

 そこをくすぐられて、シャングリアの力は完全に抜けた。

 一郎は片手でシャングリアの腕を押さえて、さらに小枝でくすぐる。

 単純な力だけなら、男である一郎が上だ。

 そのうえに、シャングリアは重い金属の鎧を身に着けているのだ。

 一郎のくすぐりで力の入らないシャングリアは、逃げられないでいる。

 

「コゼ、さっきの小枝を全部投げろ」

 

 一郎は言った。

 小枝が飛んでくる。

 一郎は足を延ばして、シャングリアの両手を完全に足で押さえた。

 そして、無防備になった両方の脇の下に小枝を差すと、そこを思い切りくすぐる。

 プレート・アーマーの下は布の下衣のようだ。

 しかし、魔眼と淫魔師の力で赤いもやを見ながらくすぐっている一郎にかかっては、シャングリアはくすぐったさから逃れることはできないはずだ。

 シャングリアは、苦しそうに笑いながらも、しばらくは頑張ったが、やがて、諦めたようにぐったりとなった。

 

「ま、参った……」

 

 シャングリアがついに言った。

 

「よし、勝負あったな」

 

 一郎は笑いながら、シャングリアの身に着けているプレート・アーマーの隙間から脇をくすぐるのをやめた。

 そして、馬乗りになっていた身体をシャングリアからどかそうとした。

 そのとき、一郎の脚をやっと自由になったシャングリアの腕が掴んだ。

 

「うわっ」

 

 次の瞬間、一郎は地面に放り投げられていた。

 

「ゆ、許さん。こ、殺してやる──。ひ、卑怯な手を使いやがって……」

 

 シャングリアが真っ赤な顔をして、さっきまで乗っていた馬に走った。その鞍に剣が結んであり、シャングリアはそれを掴んだのだ。そして、鞘をそのままにして剣だけを抜く。

 シャングリアが上段に構えた剣が陽に当たって光った。

 

 まずい……。

 怒っている……。

 シャングリアは怒りに震えているようだった。

 

 一郎はとっさに腰の必撃の剣を握ろうとしたが、さすがに躊躇した。

 必撃の剣は、攻撃だけができる魔剣だ。

 受けるだけということはできない。

 これを抜くということは、シャングリアを斬りつけるということが前提だ。

 それに、咄嗟に覗いたシャングリアのステータスでは、剣を持ったことで、直接攻撃力がさらに“400”に跳ねあがった。

 必撃の剣を装備した一郎よりも直接攻撃力はずっと上だ。

 こりゃあ、まずいな……。

 一郎は逃げることに決めた。

 しかし、立ちあがろうとする前に、シャングリアが迫ってきた。

 

「ま、待て、正当な勝負だろう──」

 

 一郎は尻餅をついた状態で叫んだ。

 

「なにが正当な勝負だ──。この卑怯者──」

 

 シャングリアが剣をおろす態勢になったのがわかった。

 だが、そのシャングリアがぱっと後ろに跳び除けた。

 なにが起きたかわからなかったが、一郎とシャングリアのあいだの地面に矢が突き刺さっている。

 

 顔を向けた。

 エリカだ。

 

 エリカは剣のほかに、背に小弓と矢束を抱えていたのだが、それを険しい表情でつがえている。

 

「それ以上、一歩でも動いてごらん、シャングリア──。脳天に矢を突き射すわよ──」

 

 エリカが怒鳴った。

 そして、風のようなものを感じた。

 コゼが一郎の前に割り込んだのだ。

 すでに両手に短剣を持っている。

 

「な、なんだ、お前たちは──? だ、だいたい、いまのを見ていただろう──? こいつは卑怯だ。わたしは卑怯な手でやられたのだ……。わ、わかった。もういい──。その代わり、もう一度だ。もう一度勝負しろ──」

 

 シャングリアは、ふたりから武器を向けられて、ほんの少し冷静さを取り戻したようだ。

 いまにも飛びかかってきそうな表情は消えている。

 剣をすっとおろした。

 一郎はほっとして、立ちあがった。

 

「冗談言うなよ。もう一度やれば、お前が勝つに決まっているだろう、シャングリア──。だが、これが実際なら、お前さんは、すでに俺という敵に捕らわれて負けている」

 

 一郎は服の土を払いながら言った。

 

「もう一度だ──」

 

「やめなさい、シャングリア──。あんたの負けよ。ロウ様のいう通りよ。いまのが本当なら、あんたはロウ様に捕らわれた。敵なら殺されたでしょう。卑怯だなんて罵ったところで死ねば負けよ。あんたは死んだのよ。死人がなにもいう権利はないわ」

 

 エリカが言った。

 エリカは引き絞った弓を離してはいない。

 シャングリアは、まだ荒い息をしている。

 一郎はもう一度、シャングリアのステータスを覗いた。

 

 

 

 “シャングリア(モーリア=シャンデリカ)

  人間族、女

   騎士

  年齢22歳

  ジョブ

   戦士(レベル15)

  生命力:60

  攻撃力:400(剣)

  経験人数:なし

  淫乱レベル:A

  快感値:50↓”

 

 

 

 一郎はシャングリアが怒っている理由がわかった。

 さっきのくすぐりで、どうやら性的刺激を感じまくってしまったようだ。

 快感値が“50”にもなっている。

 それだけさがれば、シャングリアの股は蜜でびっしょりと濡れているはずだ。

 男勝りのシャングリアは、それも許せなかったのだろう。

 それにしても、あれっぽっちのくすぐりでそんなに感じてしまうとは、かなりの感度のよさだ。

 一郎はほくそ笑んだ。

 

「ふたりとも構えを解け──。シャングリアはもうかかってこない」

 

 一郎は声をあげた。

 エリカとコゼがやっと武器をおろす。

 

「とにかく、明日の朝、出発にしよう、シャングリア。ジーロップ山に近づくにあたっては、行商人を装いたいと思う。俺たちで荷を積んだ馬車を準備する。馬車を曳く馬もな──。街道沿いの村で喜ばれそうな女の小物や衣類を積む。それで街道沿いの里を二、三箇所、周りながらを情報を集めながら進もう」

 

「行商人だと――」

 

「そうだ。うまくいけば、ジーロップの山街道に差し掛かったときに、向こうから俺たちを襲ってくれるかもしれない。あんたは、俺たち行商人に雇われた用心棒という格好をしてくれ。あんまり強い恰好をしないでくれよ。間違っても、王軍騎士団の鎧はやめてくれよな。女たらしの俺に雇われた美人用心棒ということがいいな」

 

「な、なんだと──。お前の指図は受けん──。わたしがリーダーだ。それに、わたしは女の格好はせん──」

 

 シャングリアが怒鳴った。

 

「別に女の格好をしなくても、それだけ美人なら女にしか見えないだろう」

 

 一郎は笑った。

 だが、シャングリアが再びおろした剣をあげる気配を示した。

 その瞬間、エリカとコゼがまた武器を掴んだ。

 

「やめろって、ふたりとも──。だったら、あんたがリーダーでいい、シャングリア──。なあ、リーダー、俺の提案でいいかい?」

 

「それでいい──」

 

 まだ赤い顔をしているシャングリアが一郎を睨んだまま言った。

 

 

 *

 

 

「災いを呼ぶ女──?」

 

 一郎は思わず繰り返した。

 

「本人は知りません。だけど、騎士仲間たちはひそかにシャングリアのことをそう呼んで陰口を使っているようです」

 

 コゼが説明した。

 住まい代わりにしている宿屋の一室だ。

 部屋にはふたつの寝台があるが、一郎たちはそれを横に繋げて、「ダブルベッド」のようにしていた。

 いまは三人ともその寝台の上にいる。

 

 この王都に居つくようになってから、この一箇月──。一郎たちは、適当な宿屋を転々として暮らしてきた。

 だが、宿屋暮らしもそろそろ終わりにしようと思っている。

 (アルファ)ランクの冒険者に昇格したことで、届けをすれば、王都周域に定住して家を買う権利をもらえることになった。

 

 家を買うとなれば、かなりの資金が必要だが、このあいだの特異点封印の賞金もあるし、それ以前のクエストも淡々とこなしたので、すでにかなりの蓄えもある。

 郊外に小さな家を購うくらいのものは十分にある。

 今回のクエストが終われば、ミランダに相談してみようと思う。

 副ギルド長のミランダだったら、いろいろとアドバイスをしてくれると思うし、あるいは、いい家を紹介してくれる気もする。クエストが終われば、三人でミランダの家に遊びにいくことになっているし、そのときにでも話をしてみようと考えている。

 

「災いを呼ぶ女なあ……。だけど、なんで災いなんだ? あれだけ強ければ、戦場では活躍するだろう」

 

 一郎は、今日の午後にシャングリアの人となりについて聞き込みに回ったコゼからの報告を受けながら、コゼの服を脱がした。

 コゼの身体はすでに一郎に抱かれる期待感で熱くなっている。

 あっという間に生まれたままの姿にしたコゼを抱き寄せると、一郎は両手でコゼの引き締まった腰の括れを撫ぜあげ、さらに脇腹から小ぶりの乳房に手をやった。

 一方で一郎の唇は、コゼの肩口の付近を這いまわっている。

 いずれもコゼの身体に浮かんでいる赤いもやの部分だ。

 それをなぞるように手や唇を動かしているのだ。

 

「あ、ああ……ご、ご主人様って……い、いつもすごい……。あ、あっという間に気持ちよくなる……。ま、まるで魔道みたい……」

 

 コゼが一郎の両腕の中で悶えながら言った。

 

「それよりも報告だ、コゼ──。なんで、シャングリアは騎士仲間から疎まれているんだ? それに、エリカ──。呆けてないで、コゼの報告を一緒に聞かないか──。起きろ──。起きて、俺の一物をしゃぶっていろ──。そして、こっちに耳だけ傾けていろ──」

 

 一郎は、コゼの愛撫をいったんやめ、裸のまま寝台の隅で丸くなっていたエリカを足で小突いて起こした。

 騎士団の詰所や男の騎士たちが立ち寄る酒場で聞き込みをしていたコゼに対して、エリカにはここで一郎の性の相手をずっとやらせていた。

 一回どころか、十回くらいの気をやらされたエリカは、ぐったりとしている。

 だが、一郎に起こされたエリカは、気だるそうな身体を必死に起こして、抱き合っている一郎とコゼに這い寄ってきた。

 

「ロ、ロウ様、すみません……。コ、コゼ、お帰り……。お疲れさまね……」

 

 エリカが一郎の股間に顔を寄せながら言った。

 

「お疲れさまは、エリカね……。大丈夫?」

 

 一郎の腕の中のコゼが苦笑している。

 

「だ、大丈夫じゃないわ、コゼ……。わ、わたしはもうだめ……。ロ、ロウ様……。わ、わたし、もう限界です……。コゼをいっぱい愛してあげてください……」

 

「そのつもりだ」

 

 一郎は笑った。

 エリカが一郎とコゼの身体に顔を強引に差し込むようにして、一郎の一物を口で咥えた。生温かいエリカの口の粘膜と舌に包まれた股間から快感が込みあがる。

 

「ほら、コゼ……」

 

 一郎は中断していたコゼへの責めを再開した。

 

「はううっ」

 

 コゼが一郎の腕の中で身体を弓なりにする。

 

「シャ、シャングリアは……、お、男勝りなのは……い、いいけれど……ふううっ、ロウ様……そ、そこは──」

 

 コゼが悲鳴のような声をあげた。

 一郎の指がコゼの尻の亀裂を動き、すっと菊座に指の先を埋めたのだ。いまや、すっかりと後ろの穴の快感の虜になっているコゼは、それで耐えきれない愉悦を感じてしまったようだ。

 

「やめるな──。報告しろ」

 

 一郎は意地悪く指をコゼの尻穴の中で動かしながら言った。

 

「……シャ、シャングリアは、み、身勝手な……ふ、振る舞いが……多くて……、せ、先日、あ、ああっ……はっ……はうっ……お、王軍が出動して、賊徒討伐にいったときも、と、討伐には……せ、成功しても……味方に……そ、損害が……。ご、ご主人様……ちょ、ちょっと、しゃ、喋っているあいだは……」

 

 コゼが必死に快感と戦うような仕草で言った。

 かなり、コゼの身悶えが激しくなっている。

 絶頂までの余裕の度合いを示す快感値は、すでに“12”だ。

 一郎はコゼの股間が滴るくらいの蜜で溢れていることを知っている。その状態まで欲情させられて、一方でまともに報告することを強いられるのはつらいだろう。

 一郎は思わず、にやにやとしてしまう。

 

「しっかりと報告するんだ。俺の精が欲しくないのか?」

 

 一郎はコゼの尻穴から指を抜いて、その腕でコゼを抱くようにしながら、今度は反対の手でコゼの肉芽の付近をまさぐった。

 コゼが悲鳴のような嬌声をあげる。

 

「ひうううっ、欲しい……。欲しいです……。ご主人様の精……、ほ、欲しいです……」

 

 コゼが哀願の声を発する。

 

「だったら、ちゃんと報告しろ」

 

「シャ、シャングリアは、か、勝手なんです──。だ、だから、実際の戦いで、仲間と連携……で、できなくて──。じ、自分はいいけど、な、仲間を守らないから、そ、損害も出るんです……。そ、それで、疎まれて──災いを呼ぶ女と悪口を言われているんです──」

 

 コゼが一気に早口でまくしたてた。

 そして、がっしりと一郎に抱くようにしがみつく。

 可愛い女だ。

 

 しかし、それでなんとなく、シャングリアの実家が冒険者を雇ってまで、シャングリアに別の手柄を立てさせようとしているかがわかった。シャングリアの性格から引き起こったことだが、騎士団の仲間から疎まれているという状況を心配した実家が、悪い評判を払拭する功績をシャングリアにあげさせようと考えたのだろう。

 それで、適当な盗賊団に目をつけたに違いない。

 一郎は合点がいった。

 コゼをさらに引き寄せる。

 

「よくできました……。じゃあ、俺がコゼに入っていくぞ。気持ちよく迎えてくれ」

 

 一郎がそう言うと、それを察したエリカが、一郎の怒張からさっと口を離した。

 一郎は向き合った座位の態勢ままコゼの腰を持ちあげて、コゼの股間の亀裂に怒張の先をあてがった。

 そして、腕をぱっと離す。

 

「ふうううう──」

 

 一郎の怒張に股間を落とされるかたちになったコゼが、一気に子宮近くまで一郎に貫かれた快感の衝撃に、上肢をぴんと伸ばして悲鳴をあげた。

 だが、構わず一郎は、コゼの腰を持ったまま身体を上下させて律動を開始する。

 

「あうっ……はっ……ああっ……」

 

 コゼが大きく喘ぎ始める。

 そして、一郎の怒張に膣の内側を擦られるたびに、とめどのない蜜を噴き出させた。

 あっという間にコゼは絶頂を迎える状況になった。

 一郎はコゼを押し倒した。

 正常位の体勢だ。

 

「コゼ、もっと脚を開け──。エリカ、俺とコゼが繋がっている場所を舐めろ──。コゼをもっと悦ばしてやれ──」

 

 一郎は律動を再開して言った。

 

「は、はい──。コ、コゼ、もっと気持ちよくなってね……」

 

 エリカが一郎とコゼの結合部分で舌を動かしだす。

 

「はううう──。そ、そんなの凄すぎる──。エ、エリカ──いっちゃう──。あ、あたし、いっちゃううう──。ご、ご主人様──お、お願い──。口づけさせて──口づけさせてください──」

 

 コゼが叫んだ。

 一郎はコゼの口を吸ってやった。

 

「ん、んんっ、んんんっ──」

 

 コゼが一郎の舌をむさぼるように舌を動かし始める。

 一方でエリカの舌は、コゼの激しい愉悦にあてられたかのように、動きに勢いが増している。

 火の出るような歓喜が一郎にも拡がってくる。

 一郎だけでなく、エリカの舌にまで責められているコゼはなおさらだろう。

 

「んふうううっ──ありがとう……ありがとうございます、ご主人様──。ありがとう、エリカ──」

 

 コゼが一郎から唇を離して絶叫した。

 エクスタシーの暴発がコゼの全身を貫いたのだ。

 コゼが全身を弓なりにして、力いっぱい一郎の背中を抱きしめてきた。

 一郎はコゼの中に精を放つ。

 コゼはさらに興奮した声をあげた。

 そして、膣の中で膨れあがった一郎の怒張を締めあげながら、二射目、三射目の一郎の精の迸りに、さらに全身を歓喜にわななかせた。

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