【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】 作:ドン・ドナシアン
アドリーヌは、寝台の上でエミールと正座で向かい合っていた。
お互いに腰の下着一枚だけの姿だ。
しゃがんでいる膝はほとんど密着している。
エミールの綺麗な半球のふたつの胸の膨らみも目の前だ。
その右の乳房の上側に“9”の数字がある。
魔道によって刺青で刻まれた数字であり、調教のときの固有番号だ。
調教官たちは、アドリーヌたちを名では呼ばずに数字で呼ぶ。
アドリーヌの胸には、“7”が刻んである。
いずれにしても、エミールのはかたちのいい品のいい胸だ。
それに比べれば、自分の胸は少し小さめで、ちょっと引け目を感じる。
じっと向かい合っていると恥ずかしくなって、アドリーヌは、思わず両手で自分の胸を隠してしまった。
「も、もうすっかりと裸は慣れっこになったはずなのに、改めて向かい合うと、ちょっと恥ずかしいね、エミール」
アドリーヌは言った。
すると、エミールがくすくすと笑った。
その顔は真っ赤だ。
きっと自分の顔も真っ赤に違いないとアドリーヌは思った。
「ふふふ、アドリーヌ……。そして、ありがとう……。わたしのお願いを聞いてくれて……。わたしね、本当のこと言うと、ずっと愉しみだったの……。あなたとこうやって、一緒に自主調教するのが……。だから、ありがとう……。わたしの我がままに応じてくれて」
エミールが恥ずかしそうに笑った。
アドリーヌは驚いてしまった。
「天道様にお仕えするための修行でしょう? ありがとうだなんて変よ。わたしこそ、ありがとうよ。そして、頑張ろうね。天道様に気に入っていただけるような淫らな身体になれるように」
「ふふ……、そうね……。さすがは赤組筆頭ね……。模範解答だわ……。もちろん、天道様のために頑張るわ。でも、正直なことを言っても幻滅しないと約束してくれる? さもないと、わたしは、あんまり恥ずかしくって、もうあなたと喋れなくなってしまう」
エミールがちょっと困ったような表情で言った。
アドリーヌは首を傾げてしまった。
「エミールに幻滅するなんて、あり得ることじゃないわ。なにを言っているのよ。もちろん、あなたがなにを言っても問題はないわ……。エミールこそ、いまのわたしのことに失望しているんじゃなくって? だって、わたしは自分がこんなにいやらしい女だなんて、ちっとも知らなかったの……」
アドリーヌは、ここにやって来てからの自分の身体のことには、戸惑うことばかりだ。
調教官たちに鞭打たれたり、罵られたりすると、びりびりと肌が熱くなり、股間も痛いくらいに疼く。
みんなは一生懸命にそうなるように努力をしているが、アドリーヌは比較的最初からそうだった。
つまり、まぞというやつだ。
ここでの調教でそうなったみんなに比べれば、アドリーヌはもとからまぞだったようだ。
おそらく、自分ほどいやらしい女などいないとまで思う。
すると、エミールが噴き出した。
「毎日毎日、競い合うようにいやらしさ競争をしているのに? 明日こそ、あなたに負けないわよ。あなた、今日の祭儀のとき、明日の目標は朝礼のときに想像だけで達することだって言っていたわよね。だったら、わたしもそうする。それだけじゃなく、あなたよりも先に達する。だから、うんと焦らし調教しよう。もう身体が疼いて、疼いて眠れないくらいに……。そうしたら、きっと想像だけで絶頂することができるわ」
「ふふ、エミールも張り切っているのね……。もちろん、負けないわ。ふたりで、うんといやらしい女になりましょうね。天道様に気に入っていただけるように……」
「ええ」
エミールが恥ずかしそうに微笑みながら頷いた。
これから消灯までの時間をここでふたりで自主調練として、寸止め愛撫を交互にするのだ。
そのために、ふたりきりでここにいる。
夕食後のアドリーヌの部屋だ。
あてがわれている部屋は個室であり、この部屋の調度品は、伯爵家のアドリーヌの屋敷に揃えてあったものよりも、ずっと素晴らしいものだ。
毎日の調教は厳しいものの、それを除けば、ここでの生活はかなりの贅沢なものである。
食事もかなり質がいい。しかも、ただ豪華なだけでなく、健康にも気を使っているらしく、ここでの生活になってから、以前よりもずっと肌も綺麗になった気がする。
それだけでなく、身体を洗う浴槽でさえ、各部屋に備えられているのだ。
部屋の個人用の浴槽など、王族並みの設備だと思った。
また、浴室の支度をしてくれるのは、青チョーカーの貴婦人の方々だ。
赤チョーカーであるアドリーヌたちのために、その調教が終わる頃に合わせて、湯を作っておいてくれるのだ。
さらに魔法石の粒も箱に入れてたくさんあり、そこから一粒を入れると、すぐに冷めた湯が沸き直して、汚れた湯も浄化もされる。つまりは、調教の時間以外は温かくて清潔な湯に入り放題ということだ。
まさに、至れり尽くせりだ。
汚れた衣類だって、青チョーカーの方々が調教時間のあいだに、清潔なものと交換をしてくれる。
その青チョーカーの方々は、本来であれば、アドリーヌこそ、お仕えしなければならないような高位の貴婦人たちばかりなのだ。
しかし、家事の大部分は、昼間の調教時間に、青チョーカーの人たちが全員の分を交代でするので、手伝いたくても、調教参加が義務の赤チョーカー組には手伝うことはできない。
夜にする家事など、簡単なものだけだ。
青チョーカーの人たちに世話をしてもらうなど、おこがましいとは思うが、それも赤チョーカーに選ばれた自分たちの立場だ。
だからこそ、天道様にお仕えする心と身体を作るために、精一杯に調教に頑張らなければいけないと思う。
「じゃあ、しよう、アドリーヌ」
「うん」
エミールがすっとアドリーヌの素肌の肩を抱くようにしてきた。
アドリーヌも同じようにアドリーヌの手を伸ばす。
さすがに、全身に緊張のようなものが走る。
ずっと幼馴染のように育った親友のエミール……。
エミールとは年齢も一緒であり、同じ爵位の伯爵家というだけでなく、親同士の仲もよくて屋敷も近く、幼い頃からいつも一緒に遊んだりしていた親友という仲だ。
こんなことになってしまったが……。
いや、こんなことになったからこそ、エミールと一緒でよかったと思っている。
でも、そんなことをエミールに言ったら怒るだろうか……?
今夜は昨日からの約束であり、エミールとふたりで自主調教として、お互いに焦らし責めの修行をすることになっている。
自主練習はこの数日の毎夜のことだが、エミールとふたりだけでするのは初めてだ。
誘ってきたのはエミールであり、もちろん、アドリーヌは応じた。
「ところで、アドリーヌ……。さっきの話の続きだけど……」
エミールがちょっとはにかむように微笑んだ。
「さっきの話?」
しかし、アドリーヌは首を傾げてしまった。
すると、さらにエミールがずいと近づく。
さっきまでは膝を突き合わせんばかりに近づいていたのだが、エミールはアドリーヌの膝と膝のあいだに、強引に自分の両脚の膝を差し入れてきたのだ。
「うわっ」
膝で腿を押されるようになったため、アドリーヌは体勢を崩して、後ろに倒れそうになった。
そのアドリーヌの背中に、エミールが両手を回して倒れないように抱える。
乳房と乳房が当たり、ふたりの胸がぎゅっと潰れる。
エミールの顔もほとんど目の前だ。
しかも、エミールの両脚があるので、アドリーヌの脚は大きく開かれた格好である。
「あっ」
裸体をこんなに密着するのが恥ずかしくて、つい声が出た。
しかし、くすくすと笑うエミールに、さらに強く抱き締められる。
ものすごい速さでエミールの心臓が鼓動を打っていた。
エミールもまた、すごく緊張しているのだ。
かっとアドリーヌの身体も熱くなったのがわかった。
「……続きの話というのは、どうしてわたしがあなたを自主調教に誘ったのかということよ……。実をいうと、わたし、前からあなたのことが好きだったの……。ずっと素敵だと思っていたわ……。可愛くて……、優しくて……、とても清楚で……。頭もいいし……。でも、ちっともそれをひけらかさずに、むしろ、面倒見がよくて……」
エミールがアドリーヌを抱き締めながら、耳元でささやくように言った。
息が耳に当たりぞくぞくする。
アドリーヌは思わず身体を縮ませてしまった。
「きゃん──」
そのとき、耳に触れんばかりになっていたエミールの舌がぺろりとアドリーヌの耳を舐めた。
アドリーヌはエミールに抱き締められながら、その腕の中で身体を身悶えしてしまった。
「可愛い反応……。アドリーヌはやっぱり可愛い……」
エミールが悪戯っぽく笑った。
だが、その息さえ耳に当たってくすぐったい。
アドリーヌはエミールの口の近くにあった耳をずらしながら、両手をエミールの胸の上にそっと添え、ちょっと身体を起こすようにして、アドリーヌに顔を向けた。
「もう、悪戯しないで」
アドリーヌはエミールを睨んだ。
しかし、エミールは愉快そうに微笑んだ。
「悪戯じゃないわよ。これも自主調教の一環じゃない」
エミールが小さく笑う。
アドリーヌははっとした。
「そ、そうだったわ、エミール……。不満みたいなこと口にしてごめんなさい……」
アドリーヌはすぐに謝った。
しかし、エミールがさらに笑った。
「あなたって、とても真面目ね……。そして、いつも一生懸命……。それが素敵なところよ……。本当に大好き。こんな風にあなたと愛し合えるのが夢だったのよ、アドリーヌ……。わたし、あなたのことが好き……」
エミールが再び強くアドリーヌを抱く。
アドリーヌもエミールの背中に手を回して抱き締め返す。
「わたしも、あなたのことが好きよ、エミール」
アドリーヌはエミールを抱き締めながら言った。
「ち、違うわ……。多分、あなたの好きと……わたしの好きは違う……。好きなの……。あなたのことが……。だけど、こんな気持ちは許されない……。だから、一生、この気持ちを隠して、墓場まで持っていくつもりだった……。あなたとは一生親友で……、そのうちにお互いに誰かに嫁いで……、そして、それぞれに子を産んで……。いつまでも友達で……。それでいいと思っていた。それで……。でも、こんな風になって……。ああ、もう……」
そして、エミールがアドリーヌの唇に唇を重ねてきた。
舌が入って来て、アドリーヌの舌を舐めてくる。
アドリーヌは戸惑いながらも、口の中のエミールの舌をそっと舐め返す。
これも自主調教だ。
ふたりで、うんと淫らな女になるための調練だ。
舐め返すと、エミールの身体が感極まったように震えだした。
やがて、エミールがアドリーヌから口を離した。
「は、初めての口づけ……。ごめんなさい、急に……。でも、どうしても、一番最初はあなたとしたかったの……。ご、ごめんね、アドリーヌ……。ああっ」
エミールはちょっと興奮しているみたいだった。
そして、またアドリーヌの裸身に抱きついてきた。
「う、ううん……。べ、別に大丈夫よ……。ちょ、ちょっと驚いたけど……」
アドリーヌはエミールと肌を合わせながら言った。
どきどきしている。
すごくどきどきしていた。
エミールの心臓の音はまるでここまで聞こえるくらいに大きく鳴っている。それがうつったのか、アドリーヌの胸もいまは同じくらいに激しく鼓動を打っている。
「言いたかったのは、わたしがアドリーヌの崇拝者だということよ。あなたは素敵な女性よ。きっと天道様はあなたのことを可愛がってくれると思う……」
「エ、エミールこそ……。そんなに美人なんだから、あなたこそ、天道様は愛してくださるわ。でも、一緒に天道様に気に入っていただけるように頑張りましょうね」
アドリーヌは言った。
すると、エミールがアドリーヌの身体を離して上体を起こす。
再び正座をして向き合う態勢に戻った。
その目の前のエミールの顔が微笑む。
年齢に不似合いとも思うほどのエミールの妖艶さに、アドリーヌはどきりとした。
「ええ、頑張りましょう……。でも、あなたが天道様のことを想っているほんの一部でいいから、同じようにわたしを想ってくれたら、多分、わたしはもっと頑張れるわ……」
「えっ?」
意味がよくわからず、アドリーヌは思わず問い返してしまった。
すると、エミールが小さく笑った。
「なんでもない──。忘れて──。じゃあ、始めよう、アドリーヌ。身体の感度をあげるためには、焦らしが一番いいのよね……。調教や集会のときにも、調教官様が言っていたわね。アドリーヌ、いきそうになったら、声をかけてね」
エミールが急に明るい声を出した。
それはともかく、いまだにエミールの両脚はアドリーヌの膝と膝のあいだにあり、アドリーヌは脚を閉じることができない。
それがちょっと恥ずかしい。
ずらそうとすると、エミールの膝が追いかけて来て、アドリーヌが脚を閉じることをエミールが許さない。
顔を見ると、また悪戯っぽく笑っている。
これはわかっていてやっているみたいだ。
まあいいか……。
とにかく、アドリーヌは、エミールがやろうと言った寸止め調練のために、集会の後で調教官を追いかけて、改めて聞いてきたことをエミールに教えようと思った。
今日の集会の後、広間を出ていった調教官を廊下まで追いかけて質問をしたのだ。
「それで、エミール──。調教官様にあれからも聞いてきたんだけど、寸止めは、できるだけぎりぎりまで我慢するのがこつなんだって……。ほんの少しでいきそうになるまで我慢して、それでも続け、本当にいくと思うまで我慢してそれでもやめず、最後のぎりぎりのところでやっとやめるの……。それを果てしなく繰り返すんだって。それがこつだそうよ。そうすれば、すぐにもっと淫らな身体になれるって……。とにかく、大切なのは絶対にいかないことと仰ったわ……。頑張ろうね、エミール」
とにかく、ぎりぎりまで耐えるのがいいのだと、繰り返し繰り返し諭された。
調教官は、ちょっと笑いを堪えるような表情だったけど、すごく効果があると言われたので、アドリーヌは勇気を出して質問をしてよかったと思っている。
とにかく、アドリーヌは、天道様に相応しい性奴隷になるために、できるだけ淫乱な身体になりたい。
「そうね、頑張ろう、アドリーヌ……。でも、すごいね……」
かっと身体が熱くなった。
エミールの視線が、アドリーヌの股間にすっと移動したのだ。
脚を閉じられないアドリーヌの股間の下着は、すでにびっしょりと濡れていて、薄い絹の下着には、はっきりと恥毛が透けている。
「い、意地悪──」
咄嗟に手で隠そうとした。
しかし、それ手を途中でがっしりとエミールに阻まれた。
「意地悪じゃないよ、アドリーヌ……。わ、わたしも濡れているもの……。あなたと……こんなこと……するんだから……」
エミールがぎゅっと閉じ合わさっている膝をちょっと開いた。
すると、確かに、下着に包まれたエミールの股間が露になった。
エミールの下着も濡れている。
アドリーヌと同じくらいにびっしょりだ。
それにしても、どうでもいいが、エミールの膝がどかないので、アドリーヌはさらに脚を開かなければならず、いまは大股開きみたいになっている。
すると、その股間に下着の上からエミールがすっと手を動かした。
「あんっ」
アドリーヌは思わず鼻息のかかった艶めかしい声をあげて、身悶えてしまった。
「ふふ、敏感ね……。それとも、もともと感じやすかった……?」
「そ、そんな……、あっ、あああっ」
言い返そうとするが、さらにエミールがアドリーヌの下着の上から手を這わせる。
それだけで、痺れるような快感が全身に迸り、アドリーヌはなにも喋れなくなってしまう。
実際、ここでの生活は見事なくらいに、アドリーヌの身体を作り変えてしまっていた。
やはり、元からの素質があったかもしれないが、ちょっとした刺激だけで、もう全身に疼きが走り回り、立っていることはおろか、じっとしていることもできないくらいに感じまくってしまう。
それだけでなく、痛みや恥辱の中にも快感を見つけられるようになったし、露出にだって異常なくらいに反応してしまう。
調教のときには全裸になるものの、それにより、人前で裸になることに慣れることなどなく、むしろ、だんだんと恥ずかしさが大きくなるほどで、しかも、服を取り去って裸になると、異常なほどに性感が高まってしまうのだ。
「エ、エミールったら」
悪戯っぽく微笑みながら、さらに手を股間を刺激しようとするエミールの手を制して、アドリーヌは今度は自分からエミールの股間に手を伸ばして、下側からすっと撫ぜた。
「あっ、あああっ、はううんっ」
エミールがアドリーヌが驚くほどに大きな喘ぎ声をあげ、がくりと上体を倒して、アドリーヌのもたれかかるようにしてきた。
アドリーヌはちょっとたじろいでしまったくらいだ。
思わず、手を離す。
すると、エミールが脱力したようになった。
「はあ、はあ……、わ、わたしたちって、ちょっと感じやすすぎるのかもね……。ふふふ、でも、素敵で可愛いアドリーヌが触ってくれるからかもしれないけど……」
「また、エミールったら、恥ずかしい言い方しないで……」
アドリーヌはさっきから、エミールがアドリーヌをからかうような物言いや行為ばかりしてくる。
ちょっと意地悪……。
「ふふ、じゃあ、そろそろ脱ごう、アドリーヌ。自主調教は脱がないと……。わたしのはアドリーヌが脱がして……。アドリーヌはわたしが脱がせるね」
エミールが腰をあげて立膝になる。
アドリーヌも同じようにした。
ふたりで相手の腰に手を伸ばして、すっとお互いに膝までおろす。
エミールの股はすでにびしょぬれだった。
股間から出ている体液が下着の裏にねっとりと糸を引くようになっている。
自分のはわからないが、多分、エミールよりも汁は多いと思う。
膝まで下着がおりたところで、ちょっと膝を片側ずつ浮かせるようにして、エミールが下着をさげるのを手伝う。
エミールも同じようにしてくれた。
アドリーヌとエミールの股間からむっとするような女の香りがした。
「……エミール……」
「アドリーヌ……」
さらに手を伸ばして、完全に足首から下着を抜いていく。
そのときには、当然にお互いに密着して抱くような体勢になる。
乳房がエミールの身体にあたり捻じれるような感じになり、アドリーヌは喘ぎ声をあげてしまった。
エミールも淫らな声をだした。
ふたりとも完全な生まれたままの恰好になったときには、すっかりと興奮してしまった感じになり、アドリーヌも息があがったようになってしまった。
エミールの息も荒い。
「か、変わりばんこでいい、アドリーヌ……? まずは、あなたに奉仕させて……。でも、できるだけ長く我慢してね……。その次はわたしを……」
「うん……」
アドリーヌは寝台に仰向けに横たわった。
エミールがアドリーヌの股間に顔を移動させ、すっと唇でアドリーヌの肉芽を包み込む。
「あっ、んんんっ、あああっ」
エミールが繊細な舌遣いで、アドリーヌのクリトリスを優しく吸いあげて、さらに舌先で転がすようにした。
すでにすっかりと熱くなっていたアドリーヌの身体に、稲妻のような甘美感が走り、背中を弓なりにして甘い声をあげてしまった。
「うふふ、可愛いね、アドリーヌ……。大好きよ……」
エミールがさらに舌を伸ばしてクリトリスを舌から揺らすようにする。
「んんっ、んっう、ああっ、ああああっ」
その刺激に腰が砕けたみたいになり、脱力して腰が沈む。
だが、さらに執拗なエミールの舌責めに、アドリーヌはしらず、腰を右に左にと悶えさせてしまった。
「できるだけ我慢するのよ、アドリーヌ……。でも、よがっているアドリーヌって、本当に可愛い……」
一度口を離したエミールがくすくすと笑った。
また、アドリーヌの股間に顔を埋める。
そうだった……。
これは寸止めの自主調練なんだ……。
できるだけ耐えないと……。
「はああっ」
しかし、アドリーヌはまたしても、大きな声をあげた。
エミールの舌が股間を這い回るたびに、すべての思考が飛んでいくような快感が爆発する。
だめよ、我慢しなきゃ……。
だが、アドリーヌは歯を喰いしばるようにするが、舌が動くたびに強烈な快感に襲われてしまい、どうしようもなく淫らな声をあげてしまう。
そのときだった。
こんこんと扉が外から叩かれた。
エミールもアドリーヌも、びくりと身体を硬直させた。
ふたりで扉に視線を向ける。
「あたしらだ、入るよ……」
廊下から声がした。
調教官だ──。
全身に恐怖が走る。
この時間に調教官が奴隷たちの個室にやってくるということは、臨検に違いなかった。
あるいは、なにかの理由で、臨時の懲罰をするかである。
このところ、臨検も懲罰もかなり少なくなっていたが、前は頻繁に行われていた。
時間の決まっている調教とは異なり、懲罰は厳しい。
天道様のためとは思っても、やはり怖いものは怖い。
「は、はいっ」
エミールが慌てて、アドリーヌの上からどく。
急いで寝台から降りて立ち、直立不動の体勢になる。
両手は体側に、首は真っ直ぐ──。
ぴったりと腿は閉じて、なにがあっても動かない。
この姿勢は恐怖とともに、徹底的に身体に染み込まされた。
扉が開く。
ふたりの調教官がそこにいた。
青チョーカーの面倒を看ることが多い調教官たちであり、あまりアドリーヌは面識がない。追いかけて寸止め調教のやり方を訊ねた調教官とも別の女性だ。
十数人いる調教官の中ではもっとも若そうであり、アドリーヌたちの年齢に、最も近いと思っていた。
「め、雌奴隷七番のアドリーヌは、雌奴隷番号九番のエミールと、自主調教として寸止め調練をしておりました──」
「雌奴隷九番のエミールも、雌奴隷七番のアドリーヌと自主調教中です──」
アドリーヌ、エミールは部屋に入ってきたふたりの調教官に向かって絶叫した。
ちょっとでも声が小さければ、鞭の罰だ。
「あっ、違う──。かしこまらなくていい。座って、座ってよ……。ちょっとお願いがあって……」
「そうよ……。楽にして、楽に」
しかし、調教官のふたりは慌てたように、手でアドリーヌたちを寝台に座るように促す。
口調もいつものような厳しいものじゃなく、まったく力を抜いたものだ。
アドリーヌは呆気にとられた。
いずれにしても、懲罰や臨検という雰囲気はない。
とりあえず、エミールとともに、調教官に促されるまま寝台に腰をおろした。
その前に、調教官のふたりが立つような感じになる。
「あ、あのう、お願いというのは……?」
とりあえず、アドリーヌは言った。
聞き間違いでなければ、目の前の調教官の女性は、アドリーヌたちに“お願いがある”と口にしたと思う。
すると、調教官ふたりは、ちょっと顔を赤らめた感じになった。
「……そのう……。実はね……。ほら、あなたたちって、毎日、天道様にお仕えするために、日中は修行しているよね……。それで日に日に身体も淫らになっていっているのもわかるし、痛みや苦痛にだって、しっかりと感じられるようになっている。だけど、あたしたちはどうしたらいいんだろうって、話していて……」
ひとりがいった。
すぐに、もうひとりが続いて口を開く。
「うん……。あたしたちだって、実はちゃんと天道様にお仕えする修行をしたいんだ……。だから、あの三角木馬を使わせてもらえないかと思って……。サキ様が修行用に渡したやつだ。あれは、あんたの管理なんだよねえ? あれで、あたしらも苦痛の中から快感を見つける修行をしたいんだ。使わせてもらえないだろうか?」
そして、ふたりが頭をさげる素振りをした。
アドリーヌはびっくりしてしまった。
ふと見ると、横のエミールも目を丸くしている。
だが、それで思い出した。
この二、三日、調教終わりの集会のときに、調教官たちも残って、何人か参加するようになっていたが、このふたりは最初から集会に参加していたふたりだ。
集会で発言することはないが、アドリーヌたちと同じように祭儀に参加し、交わりの儀だってしっかりとやっている。
どうやら、このふたりは、アドリーヌたちと同じように、調教の修行をしたいと思って、それでやってきたようだ。
唖然とするとともに、ほっとした。
また、嬉しくもあった。
アドリーヌたちばかりじゃなく、しっかりと調教官たちにも、スクルズ様のお言葉が浸透して、天道様に対する信仰が拡がっているのだと実感した。
ただ集会に参加するだけじゃなく、実践により信仰を深めようしてくれているのだ。
アドリーヌも、天道様にお仕えするために修行することによって得られる幸福感を自分たちで独占するのではなく、できるだけみんなで分かち合いたいという気持ちはある。
「あっ、も、もちろんです。今夜はたまたま使っている者がいません。エリザベス……いえ、三十一番が天道様のために外見を磨く訓練と脱衣研究をしているので、かなりの人数がそこに集まっているので……。どうぞ、ご自由にお使いください」
アドリーヌは言った。
すると、調教官のふたりが破顔した。
「ありがとう──。よかった。それと、できれば、今夜だけでなく、これからも空いているときに使わせてもらってもいいだろうか? あたしたちはどうしても、昼間には、天道様にお仕えする修行はできないので、夜にしかできないし……」
「うん──。もちろん、分はわきまえているさ。あたしらは、あんたらとは違う。あたしたちが、天道様のお手付きになることは、ないってこともわかっている……。でも、あたしらも天道様のことを想いたいんだ」
ふたりが言った。
アドリーヌは首を横に振った。
「いえ、わたしたちも、ただお仕えせよと命じられているだけで、天道様とお話したことさえありませんし……。調教官様たちと同じです。ただ、想っているだけです」
アドリーヌは言った。
調教のふたりはにっこりと微笑んだ。
「ありがとう、優しいね、あんた……。じゃあ、木馬を使うね。それと、明日からはできるだけ、あんたらの組の調教係に回してもらうよ。あんたらの修行がもっと進むように、徹底的に苛めるし、痛めつける。せめてもの恩返しにね」
調教官のひとりが言った。
徹底的にか……。
ほんのちょっとだけ怖くなったが、ちょっとだけだ。
確かに、苦しめば苦しむほど、天道様に近づくことになるというのは本当だし……。
それに、ふたりの表情を見ればわかる。
このふたりは意地悪でそう言っているんじゃない。
本気でそれがアドリーヌたちへのお礼と思っているのだ。
心の底から……。
もちろん、望むところである。
「よろしくお願いします」
アドリーヌは頭をさげた。
エミールも慌てて、一緒に頭をさげる。
「ありがとう」
「感謝する」
調教官のふたりが部屋を出ていく。
再びふたりきりになると、思わずエミールと顔を見合わせる感じになった。
そして、どちらからということもなく、ふたりで笑い合ってしまった。
「始めようか、アドリーヌ……」
「そうね……」
笑い合ったあと、エミールが声をかけてきた。
アドリーヌは頷いた。
しかし、寝台にあがり直そうとすると、再び扉が外から叩かれた。
調教官たちが戻ってきたのだろうかと思って、ちょっと緊張しながら返事をすると、すっと扉が開く。
「まあ」
「あれ?」
アドリーヌとエミールは同時に声をあげてしまった。
扉の外にいたのは、エミールの妹のカミールだった。
アドリーヌとは二歳下であり、まだ十四歳だ。
そのカミールが素肌に薄物を身に着けただけで、顔を赤くして立っている。
「あ、あのう、で、できれば、わたしもアドリーヌ姉様と、じ、自主調教をさせてもらえないでしょうか? お姉様と一緒に……。実は、わたしは、アドリーヌお姉様のことをずっとお慕いしていて……。それで、できれば……」
カミールが真っ赤な顔になって言った。
アドリーヌは、カミールのその緊張したような姿がちょっと可愛くて、思わず頬が綻んでしまった。
「もちろん、いいわよ……。一緒に天道様のために頑張りましょうね……。ねえ、いいわよね、エミール?」
アドリーヌがそう言うと、カミールが心の底から嬉しそうに微笑んだ。
一方で、横のエミールが肩を竦めるのがわかった。
「……今夜は、わたしがアドリーヌを独占できると思ったのに……。まあいいわ。あなたも来なさい」
「だって、お姉様ばかり、お狡いですもの……」
カミールがエミールに向かって、ぷっと頬を膨れさせた。
しかし、アドリーヌの視線が向いているのがわかると、慌てるように顔を取り繕ったのがわかった。
カミールは、薄物をさっと脱ぎ捨てて下着一枚になると、寝台にあがって、アドリーヌに嬉しそうに抱きついてきた。
(第38話『救世主様の教え』終わり)
*
【天道教】
原始教であるクロノス信仰から発展し、統一帝国の初代帝ロウ=サタルスを神格化した宗教。
通説としては、諸王国時代の末期、兇王ルードルフのもたらしたハロンドール王国の王都の混乱の中において民衆の間に生まれ、初代伝道長フラントワーズを中心に急速に拡がったとされる。
天道たるロウとその言葉を伝えたスクルズの教えを信仰し、享楽と友愛を重んじ、すべての種族を区別することなく愛することを説く。
初代帝ロウの即位とともに、皇帝自身の神格否定宣言によって禁教となったが、帝国運営の多くに天道教徒が加わっていたこともあり、禁教処置は厳格なものにはならなかった。
三代帝***帝時代に禁教処置が解除され、七代帝***のときに国教となった。
…………。
(中略)
…………。
現在では、大陸を越えて全世界に拡がっており、東教会と西教会に分裂しているが、両派を合わせた信者数は**億を超え、世界最大である。
ボルティモア著『万世大辞典』より(ここに再録した引用文はすべてスクルズ記念国際図書館から許可を受けて初版本から抜粋して採録したものである。)