【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】 作:ドン・ドナシアン
494 ひねくれ娘の幸せ
「おい、起きろよ。うんちの時間だぞ」
脇腹を軽く蹴られる感覚があった。
まどろみから目を覚ますと、そこにいたのはロウだった。
ぎょっとした。
ロウが手に持っているのは、浣腸袋という特殊な道具だ。
袋の一端にある管のようなものをお尻の穴に近づけると、簡単にお尻深く管が刺し込んできて、あとはぐっと袋を絞るだけで、中の液体が簡単に体内に注入されてしまうというものだ。
趣味の悪いこいつがよく使う魔具であり、まあ、淫具のひとつといえるのかもしれない。
要するに、無理矢理に女に排便を強要する変態道具だ。
この洞窟に、ロウたちととも滞在することになった最初に、ユイナは、視力とともに眼球紋の魔道を奪われ、逆海老にされて蝋燭による火責めの嗜虐を受けた。
そのあと、視力と股間の火傷だけは回復してもらい、一転して放置され、女たちと乱交に耽るロウの姿を見せつけられるように、こうやって首輪を洞窟の地面に打ちつけられた直柱に繋げられている日々が続いている。
その最初の数日のとき、大便を我慢しているのは健康に悪いと、気がついたようにロウが言い、こいつはあの浣腸袋を使って、ユイナに、またもや、みんなの前で惨めに大便をさせたのだ。
公開排便は、初日にロウに小便浣腸を受けたときに次いで、その時が二度目だったが、それ以降は、ユイナは毎日、この柱に結びつけられたまま、排便姿を全員の前で晒させられている。
糞尿の場所は、柱の横に掘られている穴だ。
そこに垂れ落とすのだ。
糞尿だけでなく、食事も寝るのも、ずっと杭に結びつけられたままである。
まさに犬猫のようなこの扱いに、ユイナも鼻白む思いだ。
しかも、ずっと素っ裸だ。
まあ、裸であることについては、ロウも女たちも変わりはなかったから気にはならないが、ユイナだけは、粘着性の物質で、ロウによって後手に拘束されたままなので、まるで犬のように地面に置かれた皿に口をつけて食べなければならず、それが惨めさを助長する。
その張本人の男が目の前で浣腸袋を持って嬉しそうに微笑んでいる。
ユイナは、身体を起こしてロウを睨みつけた。
「な、なによ。うんちの時間って……。また、それ? そもそも、いつもの小娘はどうしたのよ──?」
ユイナは抗議の声をあげた。
しかし、連中が十日間と称するこの狭間の森での「性活」が後半になると、ユイナに構う者も、構われる時間も減り、ミウという小娘が食事を運び、その魔道で糞便の始末をされるだけになっていたのだ。
しかし、いまは久しぶりに、ロウがやって来た。
そして、ひとりだ。
なんだか、愉しそうに、浣腸袋を手に持っている。
「お前が、恥ずかしそうにするのが面白いからな。それに、毎日出さないと健康に悪いのも本当だ」
ロウは笑いながら、顎で洞窟の奥を示した。
ユイナが繋がれている場所の眼の前だが、そこには柔らかそうなマットが敷き詰められて、女たちとロウが性交を繰り返す場所になっている。
ユイナは視線を向けた。
エルフ美女のエリカ──。
なにかというとユイナを脅迫する小柄な女のコゼ──。
でかい乳をした淫乱女のスクルド──。
スクルドの魔道の弟子らしい小娘のミウ──。
尾がとても敏感な獣人族の娘のイット──。
エルフ族女王であり、実はかなりの残念女だったのがわかった女王ガドニエル──。
その親衛隊長のブルイネン──。
ユイナがロウの女たちに嫌われているのは十分に承知しているが、その全員が完全に意識のない状態で横たわっていた。
しかも、ただ寝ているだけでなく、大股を開いたままだったり、折り重なっていたり、高尻の状態だったりと、とにかく、本当にあられもない格好だ。
紛れもなく、ロウが全員を抱き潰してしまったというのは明白だ。
ユイナも唖然としてしまった。
「あ、あんた、これだけの数の女を相手にして、全員を潰したの? どんな絶倫よ」
呆れて言った。
「お前との二人きりの時間を作るためだ。もっと早く語り合いたかったが、待たせて悪かったな」
ロウが声をあげて笑った。
ユイナは、かっと身体が熱くなるのを感じた。
なんという恥ずかしい言い回しをするのだ。
思わず勘違いしそうになるじゃないか……。
こんな仕打ちをする男に……とも思うのだが、やっぱり、ユイナはこいつが好きなので、優しい物言いは嬉しく感じてしまうのだ。
凄く悔しいが……。
「な、なによ……」
「その気になれば、一日で全員を潰せた。だけど、いままで放置していたのは、あまり早くお前を許せば、お前に対する反感が高くなるからな。でも、これだけ時間をかけて、みんなを愛してやったから、もうそれほどの不満はないだろう。次はユイナの番だ。まずはその首輪の呪縛から解放してやろう。ほらっ」
ロウがユイナの首輪にちょんと触れた。
なにが起きたかわからなかったが、ユイナがされている首輪は、『絶頂封じの首輪』だとロウが称したものである。
これを施されてもう何日も経っている……。
忌々しいこの首輪の効果は嫌というほどに思い知らされた。
だが、もしかして、その呪縛から解放された?
なにかの変化があった証拠として、首輪自体は外れていないが、ロウが首輪に触れた瞬間に、これまでとまっていた血が一斉に流れ出したような感覚が襲いかかった。
だが、これは……。
妖しい疼きという疼きが全身を走り回る。
その妖しい感覚は、ずっとユイナが欲しいと思っていた愉悦の頂点にまっしぐらに進んでいく快感の解放に似ていた。
抑圧されていたものが、一斉に解放されたと確信できるような新たな性感の目覚めだった。
「う、ううっ、はああ……」
我慢できずに声が出てしまう。
よくわからない。
おかしな疼き……。
容赦のない淫靡な感覚……。
まるで全身を柔らかな筆のようなもので撫ぜ続けられているような錯覚の疼きだ。
全身から脂汗が噴き出し、身じろぎするだけで、息があがって甘い声が出てしまう。
「ずっと溜まっていたものが流れだしたからな。しかも、六日か七日分か……? とにかく、すごいだろう……? 罰だからな。鬼畜に抱いてやる。前戯はなしだ。ちょっとわざと痛くするぞ」
ロウが首輪を杭に繋がれたままのユイナを抱き寄せて、筵の上に仰向けに横たわらせる。
しかも、覆い被さってくる。
いきなりのことでびっくりしたが、ロウはいまからユイナを抱くつもりらしい。
しかも、さっきまで手に持っていた浣腸袋が手元から消えている。
「な、なによ……。あ、あんた、か、語り合うって……」
「俺にとっては同じ意味だ。俺は女を抱けば抱くほど、相手のことがわかる」
ロウがユイナの顔のすぐ前で白い歯を見せた。
この時間のあいだも、さっきからの妖しい身体の疼きが続いている。
前戯なしだと称しながら、もう幾日間も静止させられていたらしい絶頂感の解放で、ユイナの身体は快感の流れが堰を切って濁流になったような状態になっている。
まるでずっと長い愛撫を受け続けていたみたいに身体が激しい疼きで力が入らない。しかも、一気にその状態にされたので、身体も頭もついていかない。
抵抗力は皆無だ。
「う、ううっ」
両腿を抱えあげられ、ロウの怒張の先端が簡単にユイナの秘部の入口を捉えた。
「どうだ、ユイナ。処女を失う気持ちは?」
「処女?」
処女とささやかされて、馬鹿なことをと、言い返しそうになった。
なにしろ、ユイナの処女は、この男と知り合うきっかけとなったダルカンの告発状を運ぶときに、それを阻止しようとしたダルカンの手の者にされて凌辱されて失っている。しかも、今回もパリスに捕らわれて拷問を受けているあいだも、何度も違う男たちに犯された。
いまさら、処女なんてと笑いたくなったが、そういえば、この男はユイナの全身の傷を不思議な淫魔術で治したとき、ユイナの処女膜と膣の状態を生娘のときに戻したとか言っていたっけ……。
それで……。
阿呆か……。
「あ、ああっ、痛いいいっ」
ぐいとロウの怒張がユイナの秘裂に侵入してきた。
思わず悲鳴をあげたものの、それは思ったよりも激しい痛みではなかった。
むしろ、これくらい痛い方が気持ちいいかも……。
そう思わせるくらいに上手な挿入だ。
それに、確かに前戯はなかったが、さっき絶頂封じの首輪の効果をなくされたときに、全身を駆けまわった大きな疼きにより、激しく股間を濡らしている。
言葉では「痛い」と叫んだが、実は気持ちよさが圧倒的だ。
それにしても、この男は、いつも口で鬼畜ぶっている割には、女遣いが優しすぎる。
いまも、罰として凌辱するユイナを気持ちよくさせてどうするのだ。
本当に優しすぎる……。
最初の出会いのとき、この男がユイナを助けてくれたことがわかっているのに、知らんぷりして意地悪を言ったときも……。
魔妖精騒動で、ユイナが自分が禁忌の魔道に手を出したにもかかわらず、ロウが疑われて、処刑されそうになったときも……。
そして、今回も……。
ユイナの嘘のせいで、パリスに狙われることになり、命を失いそうになったのに……。
しかも、ユイナのつまらない嫉妬の感情の暴発から、毒煙で取り返しのつかないことをしそうになったのに……。
いつもいつも、この男は優しい……。
とてもとても、面倒見がいい。
ユイナが同じ立場なら、自分はユイナのような女に容赦しない。
そんなことはわかっている。
自分がどんなに、恩人であるこの男に迷惑をかけたか……。
それにも関わらず、可愛らしい礼のひとつも口にせず、ひどい態度をとり続けたか……。
それなのに……。
「ユイナ、お前を俺が女にしてやるぞ。お前の嫌いな人間族の男にね」
悪ぶったロウがぐっと肉棒をユイナの股間を貫き、あっという間に再生されていたらしい処女膜を突き破った。
そして、ロウの怒張の先端が子宮近くにまで達した。
やはり、大きな痛みはない……。
その分、快感が大きい。
はしたない声を我慢できない。
「ああっ、あ、ああっ、あ、あんたあっ──」
実はロウに女を犯されるのは、これが初めてだ。
それが、やっと……。
そのことが、ユイナを感動させていた。
この男は、ユイナへの腹癒せのつもりだったのだろうが、ずっとユイナを肛姦しても、前を犯さなかったのだ。
しかし、やっと……。
本当に、やっと……。
やっと、ユイナの女に、この男が手をつけた。
それは、二度目の破瓜の痛みなど、どこかに消し去ってしまうほどの感動をユイナに与えている。
「どうだ、ユイナ──。俺の女になった感想は? だが、まだまだだ。もっと苦しんでもらうぞ」
ロウが激しい律動運動を開始する。
言葉だけは、痛みに苦しむユイナを無視するかのような物言いだが、実のところ、ロウの亀頭の先端がユイナの気持ちのいいところを探り当てるように擦ってきて、絶息するような快感を一打一打と伝えてくる。
気持ちよすぎる。
「ああ、ああっ、あああっ」
いつの間にかユイナは快感に声をあげていた。
やはり、この男は優しすぎるのだ。
ユイナの処女膜を再生させたのは、ユイナを破瓜の痛みで苦しませて、苦闘させるためではなかったのか……。
わざわざ快感を覚えさせてどうする……。
いく……。
ユイナはなにもかも忘れて、ロウに与えられる愉悦に没頭して、快楽の頂点に向かった……。
激しい……。
途方もない快感……。
ひそかに好きな相手に与えられる快楽の極み……。
もっとも、無理矢理告白させられたので、すでに「ひそかな想い」などではないが……。
いくうっ──。
ユイナは嬌声をあげて、身体を弓なりにし、ロウに抱かれたまま腰を浮かせた。
そのときだった。
ちゅるちゅる……。
ぎゅるぎゅる……。
なに?
お尻に違和感が……。
そして、はっとした。
一気に身体が絶望感に冷たくなる。
そのため、まさに寸前まで到達しかけていた絶頂感まで遠のいた。
なにをされたのかがわかったのだ。
この男は、ユイナがまさに絶頂しようとする瞬間を狙って、浣腸袋の管をユイナの肛門に挿し込み、袋を絞って液体を腸に注ぎ込んだのだ。
その衝撃で快感が吹き飛んで、ユイナは絶頂から遠のいてしまったが、それを狙ったように、ロウがユイナの子宮に精を注ぎ込んだのがわかった。
「ははは、簡単にいけると思ったか、ユイナ? お前を昇天させるのも、ぎりぎりで留めるのも、俺の自由自在だ。絶頂したければ、土下座をして俺の足の指を舐めるんだね」
ロウがユイナの股間と肛門から、男根と浣腸袋の管を抜きながら笑った。
ユイナは歯ぎしりした。
心の言葉は前言撤回だ。
やっぱり、こいつは鬼畜だ。
すでに浣腸袋の中の液体がユイナのお腹の中で暴れ始めている。
「さてと……。じゃあ、次は排便を我慢しているユイナを犯してみるかな? 今度は邪魔をしないよ。ちゃんと絶頂できたら、そこの掘った穴でさせてやろう。さもなきゃ、俺の身体をうんちだらけにした罰として、舌で全部掃除させてやる」
今度は、ロウはユイナを胡坐に座った股間に抱きよせ、今度は上を向いている怒張に股間を被せるようにして、再びユイナの股間に怒張を挿入しようとしてきた。
対面座位という体勢らしく、見ていた限り、この男が一番好きな体位のようだ。
それはともかく、ユイナは驚愕した。
「じょ、冗談じゃないわよ──。ふ、ふざけないで──。こんな状態で犯すなんて、気でもおかしいの──。よ、汚すわよ──。む、無理よお──。あんたに与えられる快感を我慢できるわけないじゃなのよお」
「快感を我慢しろなんて、言ってないよ。達していいんだ。我慢するのはうんちだけさ。次は処女の股でなく、性交の快感を覚えきった淫女の股だ。こっちも味わってくれ」
一郎は笑いながら、後手に拘束されているユイナの腰を押さえて、上下に動かし始める。
またも、おかしな術でも遣ったのか、膣がロウの怒張を上下するたびに、気が遠くなるような快感が全身を駆けまわる。
「う、うひっ、うひいっ、あはあっ、うひいいい」
もはや叫ぶしかない。
ユイナは、あっという間に快感の頂点に引きあげれた。
だが、限界まで迫っている便意がユイナを快感に没頭することを許さない。
「変な反応するなあ」
ロウがユイナの腰を強引に上下しながら笑った。
なにを考えているのか……。
快感も排泄の我慢も限界だ……。
これ以上は──。
ユイナを絶望が襲う。
「だ、だめええええ」
ユイナは絶叫した。
せりあがった快感に、今度はユイナはなんの制御もできなかった。
ロウから与えられる快感に考える力を失わされ、ロウに跨ったまま全身を弓なりにして絶頂した。
長い長い絶頂への飢餓感の末にやってきた快感の飛翔は、とてつもない気持ちよさだった。
しかし、同時にユイナは、一瞬、お尻を締めつけることを忘れてしまっていた。
そして、それで十分だった。
ユイナは絶頂をしながら、ロウの腰に糞便をまき散らしてしまっていた。
「ああっ、ご、ごめんなさいいいっ」
ユイナは泣き出してしまった。
それでも一度始まった排便は、とめることなど不可能だ。
汚物がユイナとロウの身体を汚していく。
ユイナは、自分とロウの身体を糞便だらけにしたまま、快感の昇天を極めていっていた。
「いいじゃないか。臭い仲になろうぜ」
ロウが大きな声で笑った。
だが、その落ち着きぶりにかっとなる。
ユイナは号泣しながら、そして、達しながら、ロウに腹がたってきた。
しかし、またもや、はっとした。
排便をしながら達するというだけでなく、その大便をロウの身体に撒き散らしてしまうという醜態に、がっくりと脱力して号泣をしていたユイナだったが、想像していた大便にまみれる気色悪さや、それどころか匂いまで存在しないことに気がついたのだ。
つまり、排泄した汚物が消えている……。
しかも、浣腸液によるお腹の痛みすらない。
「えっ? えっ? ど、どうして……? ううっ」
呟くように言った。
だが、身じろぎしたことで、ユイナの股間に大きな疼きが走る。
まき散らしたと思っていた大便こそないが、ロウと対面座位の状況で接し、ロウの怒張さえ、ユイナの中に入り込んでいるのは、そのままなのだ。
それにしても、大便だけがないのはどうして……?
どういうこと……?
「さすがのツンデレちゃんのユイナも、犯されながら粗相をさせられるのは肝が冷えたか? まあ、本当にさせてもよかったけど、いまのは亜空間による幻だ。ユイナが排便をしたのはな。いまは、すでに現実空間に戻っているよ」
つんでれちゃん……?
亜空間……?
喋っていることは、よくわけがわからないが、とにかく、さっきのは現実ではないと言っているようだ。
しかし、排便をした感覚がいまでも……。
そもそも、どこからどこまでが現実で、どこからどこまでが亜空間とやらだったのか、さっぱりとわからない。
だけど……。
まあ、よかったか……。
いずれにしても、気が動顛して、なかなか我に返ることができなかった。
ユイナが目の前のロウを睨んで、悪態をつけるようになったのは、しばらくしてからだ。
そのあいだも、ロウの怒張は、ユイナの股間に入りっぱなしで、まったく小さくなる気配さえない。
かなりの時間呆然としていたとは思うが、ロウは身じろぎさえもしないのに、ずっと股間を大きくしたままだ。
男の生理の仕組みなど、ユイナが詳しく知りようもないのだが、それはそれで大したものなのではないかと思ったりもする。
「あ、悪趣味ねえ……」
とにかく、ユイナはそれだけを言った。
すると、ユイナを対面座位で抱いているロウが愉しそうに微笑んでいる
「今頃、気がついたか? 悪趣味で変態で鬼畜なんだ、俺は──。こんな俺の性奴隷になったんだ。せいぜい覚悟するんだね」
ロウが声をあげて笑った。
ユイナは、とんと額をロウに当てるようにしながら溜息をついた。
「確かに、あんたは悪趣味で……変態よ……。でも、鬼畜ではないわね……。鬼畜なんて、あんたみたいな男がおこがましいわよ。笑わせないで……」
ユイナはわざと馬鹿にしたように鼻を鳴らした。
すると、ロウは気を悪くした様子もなく、ユイナを抱いたままくすくすと笑った。
「なにがおかしいのよ?」
その余裕ぶった笑いが気に入らなくて、ユイナはちょっとむっとして言った。
「俺に犯されながら、そんな憎まれ口を叩ける女は珍しいからね……。ほらっ」
「ひゃん」
ユイナは大きな声で甘い声をあげてしまった。
ロウがユイナの中に収まっている肉棒を軽く揺すったのだが、その瞬間に、激しい愉悦が全身に迸り、ユイナは激しく喘がされてしまったのだ。
なにをされたのかもわからなかった。
しかし、ロウの男根の先端は間違いなく、ユイナの一番気持ちいい場所を思い切り擦った。
再生とはいえ、ユイナはたったいままで処女だったはずだ。
それにもかかわらず、ユイナはほんの少しの膣内への愛撫だけで、この男の前で余裕のない痴態を晒してしまった。
まるで、お前は淫乱だと笑われているようで、ユイナはかっと自分の顔が熱くなるのを感じた。
「な、なによ──」
一度動かしただけで、ロウは股間を動かすのをやめたが、こいつはユイナをいかせるのも、いかせないのも自由自在だと主張したいらしい。
ユイナの慌てぶりに満足したのか、ロウはにやりと得意そうに笑みを浮かべる。
これも面白くない。
「こんな風に意地悪をする男が鬼畜でないって?」
一郎がまた言った。
ユイナは呆れてしまった。
「鬼畜というのはパリスの男のような者をいうのよ。わたしは、あいつの部下に、三度全部の歯を金具で引き抜かれたわ。爪は十回は引き剥がされた。爪の下に釘を打ちつけられたのは五回以上。膣を内側から焼かれたのは多分三回。お尻は十回以上ね。目に針を刺されて、失明させられる恐怖も味わったわ。その都度、回復術で元通りにされて、次の拷問を受けられる状態に戻されたけどね……。それくらいのことをやって、あんたは鬼畜を名乗りなさい。だって、あんたは、わたしの顔に刺青をすると言って、まだしないし、股の豆の皮を切除すると言っておいて、まだやらないわね。あんたの鬼畜は口だけよ」
ユイナは一気に言った。
しかし、ロウはユイナを抱きながら、肩を竦める仕草をしただけだ。
だが、そんな些細な動きだけで、ユイナは股間を翻弄されて、またも声を出させられた。
これは、なにかの仕掛けがあるに違いない。
いくらなんでも、ちょっと股を動かされただけで、これだけの快感などあり得ない。
「もしかして、俺が淫魔術を使って、ユイナの身体を操っていると思っているか? それは違うぞ。確かにユイナの気持ちのいい場所を探して刺激はしているが、断じて、ユイナの身体にはなんの仕掛けもしていない。ユイナが感じているのは、正真正銘、自分の身体が感じているだけだ」
まるでユイナの心を読んでいるかのように、ロウが言った。
前から思っていたが、この男の勘の良さは、本当に神がかっている。
「そうそう、それから、ユイナの顔の刺青だけはするぞ。ガドにも相談したが、里で侮辱刑なしの死刑判決を受けたお前の命を助けるためには、やっぱり、俺の奴隷になるというのは、最大の妥協点らしい。事が終わったら、お前の額に刺青を打ち込む。それと同時に魔道的に俺に隷属する刻印を施す。さもなければ、エルフ族の掟とやらを覆せないらしい。まあ、そのつもりでな」
「そういうことをいちいち説明してくれるのが、あんたの優しさなのよ──。鬼畜ぶりたいのなら、黙って、わたしの額に刺青を打ち込めばいいのよ。言い訳しないと鬼畜ができないなら、鬼畜を名乗るのはやめなさい」
ユイナはロウの裸の胸に額を押しつけながら、呆れて言った。
すると、ロウが初めて、当惑したような声の反応をした。
たったそれだけのことなのに、ユイナはものすごく嬉しくなった。
「んふうっ」
するといきなり、またもや股間に挿入されている怒張を動かされてしまった。
すぐに終わったのだが、腹癒せのようなロウのいたぶりに、ユイナはきっとロウを睨んだ。
「あ、あんたねえ……」
「なんだい? さっきも言ったけど、これはお前の身体がだな……」
「もういいわよ──」
ユイナはロウの言葉を遮った。
ロウがくすりと笑う。
「だけど、お前とのセックス、悪くないな……。遠慮なくいたぶれる。実をいうと、お前は俺の鬼畜の目覚めなんだぜ。お前を好きなようにいたぶることで、なんというか……。それ以来、女に対する遠慮のようなものがなくなったんだ……。そういう意味では、お前に感謝しているよ。それから先は実に女を抱くのが愉しくなった」
「ば、馬鹿ねえ……。あ、あんたって、本当に馬鹿ねぇ──」
ユイナは心の底からそう思って嘆息した。
なんという馬鹿な男性だろう。
ユイナとの性交を少しでも意味あるものと考えてくれるなどと……。
これまでに、ユイナを犯した男のすべては、ユイナを女としてどころか、なにかの価値のある存在として見なさなかった。
それにも関わらず、ユイナを犯して感謝するなどと……。
この男特有の女を悦ばせる技としても、ユイナのような女にとって、これは嬉しすぎる。
やっぱり、こいつは阿呆だ。
ユイナは押しつけている顔をさらに強くロウにすりつけた。
「そういえば、さっきも言っていたけど、なんでお前はパリスの拷問に耐えられたんだ? あいつの拷問は凄まじかった。俺は半日で音をあげた。同時になんの良心の呵責もなく、殺す気になったな」
「そういえば、ちゃんと言っていなかったけど、お礼を言うわ。あんたらがパリスを殺したのは、わたしもすかっとしたわね……。後先考えずに、呪術にかかりかけたのはいただけないけど。あいつは、自分が殺した相手や、殺された相手の魂を引き抜いて、自分のものにする闇魔道の遣い手だったのよ。それを知らずに、襲いかかるなんてね」
パリスの能力のことは、パリスから拷問を受けているあいだに、ひそかに眼球紋による鑑定術を駆使して知った。
それに禁忌の魔道を調べまくって、古代魔道まで遡って研究したユイナには、闇魔道のことを接すればかなりわかる。
また、自分の能力に過信があるのか、パリスはああみえて、隙の多い男であり、鑑定術を深めると、相手に勘付かれるので、普通は浅いところで留めるのが普通なのだが、あのパリスについては、かなりのところまで深めても、まるで無頓着だった。
それで、それなりのことをパリスについては知ったと思う。
正常に存在する魂に対して、小さくはない部分が欠けている子供……。
そして、あいつには心臓もないことも……。
魂が欠けているのは、あいつが禁忌魔道である『魂の分離』の術を使っている証拠だ。自分の本体の魂が死んだとき、欠片から復活するための保険だ。
魂の欠片を生け贄になる存在に入れておき、本体の魂が損失したときに、その生け贄を殺して、その身体を乗っ取るという闇魔道だ。
また、心臓がないことも、臓器を外に隔離して魔道的な繋がりを保持させるという行為を通じた、なんらかの自分の死に対する保険の一瞬だろう。臓器を外に出すということがどういう意味なのかは知らないが、あいつには、まだまだ秘密がある。
「俺がパリスの闇魔道の知識がなく、後手に回るのは仕方ないだろう。ところで、イムドリスへの乗り込みのときはついてこいよ。お前の闇魔道の知識は、やはり武器になる」
「はいはい。まあ、せいぜい守ってよね。わたしは、あんたらに魔道を封じられて、眼球紋まで消失させられて、無力なんだから」
すでに、現段階でパリスについて知っていることは、とりあえず、これまでの時間の中ですべて話している。
ロウは、ガドニエルあたりと色々と相談もしていたようだが、結局のところ、よくわからないようだ。
ユイナの悪態のような言葉を受けても、ロウは朗らかにくすりと微笑んだだけだった。
本当にむかつく男だ。
ユイナがこれだけ苛立ちをぶつけているのに、もっと感情を激してくれないと、ユイナがいたたまれない。
「ひんっ」
そのときだった。
ユイナの中に入っているロウの男根がまるでユイナをからかうように、びくびくと動いたのだ。
しかも、ほんのひと動きしただけなのに、それだけで気が遠くなるような快感が全身に迸った。
ユイナは脱力してしまい、後手に拘束されたまま、ロウの胸に、今度は顔だけじゃなく、身体のすべてを預けるようにしてしまった。
すると、ロウがユイナを支えるように、ぎゅっと抱く。
ほっとして、不思議な安堵が拡がる。
同時にむかつく。
その余裕がむかつく。
ユイナとの格の違いを見せつけられているようで、本当にむかつく。
絶対に追いつけないような大人ぶりが苛立つ。
ユイナがこんなにこいつを好きなんだから、ユイナを好きになればいいのだ。
「……ところで、さっきの話の続きだ……。俺にとっては、パリスを確実に殺す機会を待っている半日だったが、お前の場合は、なんの助けも希望もない絶望の日々だったはずだ……。それでも、お前は耐え続けて、隠し持っていた古文書をついに渡さなかった。それが不思議でね。余程に大切な古文書だったからだとは思うが……」
ロウが何事もなかったかのように、平然と話を続け出した。
やはり、苛立つ男だ……。
「あ、あんなもの……。大して大切でもないわよ……。中身はすべて頭の中よ……。ああ、処分するって言っていたわよね。遠慮なく処分していいわよ。まだ、してなければね」
あの古文書は、最初にロウたちに没収されたままだ。
罰として燃やすとか言っていたが、この男のことだから、まだ保管しているのだろう。
それはともかく、いま、ユイナが喋ったことは本当だ。
本当に、古文書なんて、別にどうでもよかった。
パリスの拷問に屈せずに、あいつに古文書を渡さなかったのは、それが、なんだかんだで、こいつとの思い出の品物だったからだ。
ほかに理由などなにもない。
こいつの絵を描いて自慰の材料にしたのも同じ理由だ。
あの古文書は、こいつとの唯一の思い出だった。
こいつが死んだと思い込んでいたから……。
「そう……なのか?」
すると、ロウがちょっと当惑した表情になった。
ほんの少しだが、こいつを戸惑わせたりできると、溜飲が下がる気がする。
ユイナは微笑んだ。
初日に、こいつのおかしな術で、ユイナの隠している本音を次々に暴露させられた。
その術がいまだにかかっているのか、もう解除されているのか知らないが、なにを隠しても無駄だという感覚があるので、もはや、嘘をいう気にもなれない。
「なにを考えて拷問に耐えていたかと訊いたわね……。教えてあげるわ──。考えていたのは、あんたのことよ──。わたしはずっとあんたのことしか考えていなかった。あの拷問だって、実際にはあんたがわたしにやっているんだと思い込んだ。そう思い込んだから、楽になった。なんだって耐えられたし、むしろ、もっと、あんたに近づく気がした……。結構幸せだったのよ……。あんたに酷い目に遭わされているのだと想像するのは……。古文書を渡さない限り、命を奪われないのはわかっていたし……。だから、あんたの名を出した。わたしはあんたの恋人で、あんたはわたしを嗜虐するけど、実はわたしを大切にしてるんだと想像した。人伝で、死んだと一度耳にしたけど、嘘をつくことで、あんたは遠いハロンドールの王都で絶対に生きていると夢想した。すると、むしろ幸せな気持ちになったわ……。だから、あんたが目の前に現れたとき、夢かと思った。あんたが生きていて、しかも、わたしの前にもう一度現われるだなんて……」
ユイナはロウの胸に頭をつけたまま、ひとりごとのような小さな声でささやいた。