※この作品はR-18です。

【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】   作:ドン・ドナシアン

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505 水晶宮乗っ取り

 カサンドラは鉄仮面を嵌められた直後から、不快な金属の味を噛みしめながら、いまにも窒息死しそうな恐怖と戦い続けることになった。

 鼻は鉄仮面の内側の縦の突起により限界まで押し潰されて、ほとんど機能を果たしていない状況で息ができないし、口の中には球体の金属が強引に入り込んで息を圧迫している。

 なによりも、視界を遮断された恐怖と、顔全体にかかる鉄仮面の重量が、息が制限されることと合わせて、カサンドラの心の重圧そのものになってのしかかってきたのだ。

 

「ほら、カサンドラ、海の底だ。行ってきな」

 

 ラザニエルの声……。

 すると、驚くことに、その鉄仮面の上の小さな蓋から大量の水が注ぎこまれた。

 カサンドラは、あまりの仕打ちに戦慄した。

 

「んがああっ、あがあっ、あがっ」

 

 カサンドラは激しくもがいたが、鉄仮面は鎖によって天井から引きあげられていて、ほとんど首を下に傾けることもできない。あっという間に鉄仮面の中は水でいっぱいになり、カサンドラの顔の前は完全な水中に浸されてしまった。

 

「なあっ、あっ、んおっ」

 

 とにかく、必死になってもがく。

 息ができないのだ。

 耳の部分や鼻の穴の下には確かに穴が開いていて、そこから水が出るようではあるものの、圧倒的に注がれる水の量が多い。

 鉄仮面内をいっぱいに浸した水は、仮面に入りきらずに、上の蓋の部分から鉄仮面の外側を通って、カサンドラの身体を水びだしにして、上半分を切断されている装束を水に濡らし続ける。

 吸い込んだ水の重みにより、腰にまとわりついていた衣装がだんだんと下にさがっていくのもわかった。

 

 しかし、それよりも息だ。

 顔の前には水しかない。

 

 それでも息を吸おうとして、カサンドラは球体の金属の隙間から水を飲み、なんとかして息を確保しようとした。

 すると、ノルズの愉しそうな笑い声が耳から入ってきた。

 鉄仮面には鼻の下のほかに、耳の部分にも小さな穴がある。そこからも少量ずつだが水が抜けていくようなのだが、いつの間にか水を入れられるのが終わっていたのだろう。水面が耳よりも下になることで、仮面の外の音が耳に入ってきたのだ。

 

「アスカ、やり過ぎだよ──。それじゃあ、息ができなくて死んじまう。加減してやりなよ」

 

 ノルズはけらけらと笑い続けている。

 一方で、まだ水は顔の前にある。

 だが、だんだんと鼻の部分から抜けて、しばらくすると、潰された鼻の穴だが、それでも、やっと気道が確保された。

 しかしやっと息ができるようになっても、首の部分はしっかりと鉄環で密着しているので、顎から口のかけての水は逃げ場がなく、水面は鼻の穴の真下直後でとどまっている。

 これがまた水責めをされるのではないかという恐怖を生む。

 急いで球体の横から水を飲み干す。

 なんとか、顔の前から水を消すことに成功する。

 

 とにかく、カサンドラは懸命に息をした。

 球体に阻まれた口を限界まで開き、鼻の穴かは顔の筋肉を総動員して、自ら鼻の穴を膨らませた。

 鉄仮面に覆われていなければ、さぞ滑稽な顔をカサンドラは晒してしまっていたことだろう。

 

「いずれにしても、高級そうな太守夫人様のお召し物が台無しだ。申し訳ないから、いっそ全部脱いでしまおうよ」

 

 刃物で衣服が切断される感覚が襲った。

 辛うじて小さな腰の下着だけは残っているようだが、ほかのすべては切断されて除去されたようだ。水に濡れた肌が風にあたってひんやりとする感触が、カサンドラの羞恥と屈辱を呼ぶ。

 

「ところで、あんたのことだ……。あんたは、パリスに屈して水晶宮を売り渡したね? あんたがそんな気はなくても、あんたは水晶宮を……ひいては、ガドニエルというラザニエルの妹を裏切ったんだ。それを認めるね?」

 

 ノルズが鉄仮面の横の耳穴から、ささやくように声をかけてきた。

 はっとした。

 突然にかけられてきたカサンドラを糾弾する言葉だったが、それはずっとカサンドラの心の重圧のようにのしかかっていた重みだった。

 もちろん、すぐに否定しようと思った。

 

 そんな気はない──。 

 断じてガドニエルを裏切るなどあり得ない……と。

 

 だが、そう叫ぼうとしたものの、内心ではパリスからの被虐の肉欲に屈してしまい、本来であれば、あり得ないほどの便宜を部外者にすぎないパリスに与え続けてきたのは事実だった。

 それが裏切り行為だと断じられてしまえば、そうかもしれないという後ろめたさが発生する。

 

 ましてや、昨夜になって、突然にもたらされたガドニエルが偽者にすり替わっているという疑惑……。

 ガドニエルが危難に遭っていて、それがカサンドラがパリスに便宜を与え過ぎたことが招いたのだとすれば、カサンドラのやってしまったことは裏切り以外の何物でもない。

 席巻したそんな思念が、カサンドラが即座にノルズに言い返すことを妨げる。

 

「黙っていちゃあ、わかんないよ、太守夫人──。言っておくけど、パリスも、その手下の連中も、とんでもない悪党だよ。その悪党どもの言いなりになって、あんたは連中に好き勝手させたんだ──。それが裏切りでなくて、なんだというんだい──」

 

「あ、が……、そ、そんなことは……」

 

「とにかく、あたしたちは、あんたらの女王を助けなきゃならない──。ガドニエル様は、このアスカの……ラザニエルの実の妹だからね──。ここにいるラザニエルは、妹と妹の治めるナタルの森の危機に接して、囚人の境遇を脱して、遥々と駆けつけてきたんだ。あんたのような裏切り者に関わっている暇はないんだよ──。さっさと、あたしらに屈服しな──」

 

 ノルズの大きな声が鉄仮面の中に響き渡る。

 それで気がついたが、ノルズは自分の言葉をカサンドラだけに喋っているわけじゃないのだ。

 おそらく、部屋の外には多くの水晶宮の者が集まっているに違いない。彼らには、この部屋の声が筒抜けになっているとも言っていたし……。

 ノルズは、その彼らにも喋っているのだ。

 それがわかった。

 

「……どうやら、素っ裸にならなければ、気が済まないようだね。言っておくけど、この後は、そのまま鏡の間まで案内してもらって、イムドリス宮への入口を開けてもらうんだからね。その裸を部下たちに見せつけたいなら、仕方ないさ」

 

 腰の下着がぐっと手で引っ張られたのがわかった。

 そして、ゆっくりと足首に向かってさげられていく。

 

「ああっ……ま、待ちな……さい……。ま、待つ……のよ……」

 

 カサンドラは口をいっぱいに拡げて、球体の横から言葉を吐く。

 下着がおろされるのがとまった。

 

「どうしたのさ……? 悪たれのパリスに便宜を図っていたのを認めるんだね?」

 

 ノルズの声──。

 まだ、カサンドラの正面に立っているようだ。

 

「……そ、それ……は……」

 

「どうした……? 何度も言うけど、いまはガドニエル様の危機なんだ。やってしまったことは仕方がない。言い繕うとするのは諦めな……。考えるのは、これからどうするかだ……。あんたが意地や見栄を張っているあいだにも、ガドニエル様がどうなっているかを考えな……。正直に言うんだ……。ここにいるのが、ガドニエル様の実の姉のラザニエルだというのは、もう納得しているんだろう」

 

 カサンドラは鉄仮面の中で目を泳がせた。

 正直に白状すべきだ……。

 そうは思う。

 だが、自分の失態を水晶宮の者たちに明らかにされるのは……。

 

「よくわからない強情たれだねえ……。ガドニエル様がどうなっていてもいいというのかい? あんたは、たれこみがあっても、なにもしなかったらしいけど、あたしは、たった数ノスしかなかったけど、調査はしたよ。近傍のエルフの里から、年端もいかない娘や無垢の女が次々にイムドリス宮に集められているんだろう?」

 

 ノルズが吠えるように怒鳴る。

 よく知っている。

 昨夜に、その報告に接したときは、この件には強い箝口令を敷いたが、なんでこの女はそれを知っているのか……。

 

「しかも、イムドリス宮に召しあげられたっきり、まったく音信さえ取れないらしいじゃないか。そんなことを本物のガドニエルがするものかい──。多分、偽者だよ──。たれこみは本物さ──。さっさと乗り込むよ。甘ったれのお前の矜持なんか、知ったことか──。こっちは一刻を争ってんだ──」

 

 さらに、ノルズが怒鳴る。

 水をびっしょりと浴びた背に冷たい汗がどっと流れたのがわかった。

 なにも言い返せない……。

 ノルズの言葉は、まさに正鵠を突いている。

 

「アスカ、まだ水浴びが不足みたいさ。また、頼むよ」

 

「あいよ、相棒……。じゃあ、カサンドラ、もう一度、海の底だ」

 

 ラザニエルの笑い混じりの声が響いて、再び噴水のように水が鉄仮面内に注がれてきた。

 

「んふうっ」

 

 悲鳴をあげられたのは一瞬だけだ。

 すぐにいっぱいになった鉄仮面内の水に声を阻まれる。

 また、今度は、猛烈な勢いで仮面に入りきらない水が奔流となってカサンドラに身体を直撃し始めた。

 それだけじゃなく、鉄仮面の下の肩から乳房、背中や脇、身体の前後左右からも水が叩きつけられる。

 鉄砲のような水を四方八方から身体にぶつけられて、カサンドラは驚くほどの速さで追い込まれていく。

 また、鉄仮面に溢れた水は、またもやカサンドラから呼吸を奪ってしまっていた。

 

 息のできない苦痛──。

 鉄仮面の圧迫感──。

 水を浴びせられる圧迫感と屈辱感──。

 激しい噴流を裸身に叩きつけられる苦悶──。

 それらが入り混じって、カサンドラをどんどん追い詰める……。

 

「んぐうっ」

 

 そして、カサンドラは水の中で悲鳴をあげた。

 水を当てられている背中に、水とは異なる強烈な衝撃が襲いかかったのだ。

 背中を切断されたのかと思う激痛だったが、鞭による打擲だとわかったのは、第二打目のときだ。

 しかも、二打目は背中ではなく、最後に残っている下着に向かって打ち下ろされたものだった。

 

 いずれにしても、拘束を受け、全裸に近い状態にされての水浴びとともに与えられる鞭打ちだ。

 だが、本来であれば、憤怒と屈辱を受けるはずのカサンドラだったが、実際のところ、それほどの嫌悪感を鞭打ちには感じていないことをカサンドラ自身も気がついていた。

 

 三発──。

 

 五発──。

 

 九発──。

 

 容赦なく背後から鞭が浴びせられる。

 カサンドラは水の中で悲鳴をあげ続けた。

 

 しばらくすると、やっと水がとまる。

 だが、鞭打ちは続く。

 息が再開できるのは、小さな鼻の穴の下の穴から水が落ちきる長い時間の末のことだ。

 そのあいだは、ずっと窒息するような苦しみに耐え続けなければならない。しかし、今度は容赦なく、四方からノズルによると思われる鞭打ちに襲いかけられている。

 カサンドラは身体よりも、精神そのものがずたずたに引き裂かれていく気がした。

 

 そして、水まみれの肌に鞭が炸裂するたびに、得体の知れない感覚にカサンドラは覆われていっていた。

 激痛の衝撃と官能の疼きが混ぜ合わされる感覚の拡がりは、鞭が襲う身体の表面だけでなく、しっかりと熟れきった肉芯まで叩きのめすかのようだ。

 ずしん、ずしんという重しのようなものが鞭とともに、カサンドラの身体の奥底に響き渡る。

 

「どうだい、アスカ? やっぱり、こいつはパリスの呪術にかかっているかい?」

 

 水面が鉄仮面内から引くことで、再び聴覚が回復する。

 聞こえたのは、鞭打ちをしながらラザニエルに声をかけるノルズの言葉だった。

 

「しっかりとね……。もっとも、すでに解除しかけているよ。わたしの魔道力と同じさ。パリスの死の状態が続いていることで、あいつがあちこちにかけた呪術はどんどんと弱まっているようだ。あとしばらく、鞭打ちしてやりな。それで、こいつは性根を取り戻す。気合代わりだ」

 

 パリスの呪術──?

 それにかかっている──?

 もしかして、カサンドラのことを言っているのか──?

 怪訝に思ったが、そんなカサンドラの思考は鞭打ちにより打ち砕かれる。

 

「むごっ」

 

 まだ鼻と口の前に残っている鉄仮面内の水の中で、カサンドラの悲鳴が弾けた。

 今度はさっきまでとは異なる前側からの角度で鞭が叩きつけられたのだ。

 金属の球体で口を開かされたまま、カサンドラは声を叫ばずにはいられなかった。

 とても、じっとしていられるような痛みではない。

 乳房から下腹部にかけてに、まる焼け鉄杭でも押しつけられたような衝撃が発する。

 

 とにかく、もう少しで息が……。

 だんだんと低くなる水面に感覚に、カサンドラはいまかいまかと、鼻の穴の下まで水面がさがるのを鞭打ちを浴びながら待った。

 

「ほら、追加だよ──」

 

 しかし、ラザニエルの冷酷な声とともに、仮面の上から激しく水が注がれだして、再び水責めが始まった。

 叩きつけられる奔流とともに、息ができる寸前の高さから、みるみると量を増した鉄仮面内の水に、カサンドラは心の底から絶望の泣き声をあげた。

 だが、そのカサンドラに、またもや容赦のない鞭が──。

 

 圧倒的で残酷な水責めと鞭打ちの地獄の繰り返し──。

 

 カサンドラの中の水晶宮の主としての矜持や自尊心のようなもののなにもかもが吹き飛ばされる。

 

 狂ってしまう──。

 カサンドラは思った。

 

 死の一歩手前まで追い詰められる苦痛の果て──。

 そこにあるのは、苦痛でありながら苦痛ではない……。

 

 そうではなく、自由を奪われ……。

 耐えがたい苦悶を耐えさせられ……。

 圧倒的な恥辱……。

 そして、屈辱……。

 

 惨めであればあるほどに、一方で沸騰するような興奮と悦びにがカサンドラに襲いかかる。

 

 そうだ……。

 自分はこの苦痛に、大きな快感を覚えている……。

 

 もっと……。

 もっとよ……。

 

 ああ……。

 もっと──。

 

 肌にまといつくノルズの鞭によって、血しぶきとともに白い肌が引き裂かれるのを感じながら、カサンドラは間違いなく、自分がどん底まで惨めに扱われることを期待するようになっていた。

 

 この欲望……。

 この束縛……。

 顔も身体も拘束されているのに、カサンドラは間違いなく、心の自由を手に入れ始めている。

 

「やっぱり、マゾの素質が十分さ」

 

 水が終わる。

 少しして、耳の部分から水が抜けると、また、聴覚が復活して、ノルズとラザニエルの会話が聞こえてくる。

 

「んがあっ」

 

 その瞬間だった。

 正面から鞭の柄と思われる部分で、カサンドラの股間がなぞりあげられたのだ。

 視覚を奪われているカサンドラには、まるで電撃にも等しい愛撫だった。

 怖ろしいほどに敏感になっていたらしい肌が、とてつもない快感をそこから導いたのだ。

 

「カサンドラ、お前は、もう引退だ……。その代わり、わたしがお前を引き取ってやる……。可愛がってやるよ……。昔のようにね……」

 

 ラザニエルが口説くような優しい口調で言った。

 それもいい……。

 この快感が与えられるなら……。

 もうなにも必要ない……。

 

 やがて、だんだんと水面がさがって鼻の穴の近くまでさがる。カサンドラは残りの水を懸命に飲み干して、やっと息を確保した。

 

「ふわあっ」

 

 またもやノルズの愛撫──。

 今度は乳房だ。

 鉄仮面の中でカサンドラはわずかに顔を仰向けにして、大きな嬌声をあげてしまった。

 

「いい感度だねえ。アスカ、これはあたしたちのいい飼い犬になれそうだよ。随分な感度だ。エマと一緒に、末永く可愛がってやろうじゃないか」

 

 ノルズの嘲笑うような声がする。

 しかし、本来であれば恥辱を感じるはずの人間族の女であるノルズの侮蔑が、もはや心地いい言葉の愛撫のようだった。

 体内で渦を巻いていた大きな性の疼きものが、ノルズが愛撫を加えている乳房から身体の全身に向かって強いざわめきになって響き渡っていく。

 

 カサンドラには、はっきりとわかった。

 自分はこの恥辱と屈辱に快感を覚えている。

 おそらく、もう離れられない……。

 

「どうしたんだい、太守夫人? 急に無口になったじゃないか?」

 

 ノルズが捏ねあげている乳房の尖端を指の間でまぶすように動かしてきた。

 同時に、ずりおろされかけている下着がさっと引かれ、股間になにかを差し入れたのがわかった。

 

「い、いやああ──」

 

 甲高い声で絶叫した。

 下着の中に入れられて股間に当てられたのは、ぶるぶると振動を続けるなにかの淫具のようだ。

 それがクリトリスに貼りついて、弾けるような刺激を加えてきたのだ。

 

「アスカ、こいつはとんでもないマゾだ。こりゃあ、愛撫だけじゃない。すっかりと水と鞭で感じまくっていたようさ。股ぐらは、すでにびしょびしょだ」

 

「あああっ」

 

 カサンドラは我慢できずに、吠えるような嬌声をあげた。その声は自分でも信じられないくらいに、甘く掠れている。

 両膝ががくがくと振るい始めてもきた。

 このあいだも、股間に当てられた淫らな淫具の振動による刺激は、カサンドラから圧倒的な快感を引っ張り出している。

 パリスからも、同じような恥辱的な快感を受けた。

 そのたびに翻弄し、カサンドラはめくるめく倒錯の悦びの中に沈められたが、いま受けているノルズからのものは、それと同じくらい……いや、もっと凄まじい性感を目覚めさせている。

 

 もっと欲しい……。

 カサンドラは、心の底から思った。

 

「じゃあ、また、水責めに行こうか。今度は窒息寸前までいくよ。たっぷりと息をしときな」

 

 ノルズの言葉が終わると同時に、上から滝のように水を注がれ始めた。

 カサンドラは恐怖と恥辱に震えた。

 すぐに、またもや、鞭が始まる。

 

 窒息するような水責め──。

 激しい鞭打ち──。

 顔面や腕の拘束──。

 股間の淫具の刺激──。

 これらが一気に襲いかかって、カサンドラは水の中で悲鳴をあげ続けた。

 

 やがて、やっと水が止められ、鉄仮面の中の水が耳の下まで下がって、ノルズの声が届くようになる。

 

「ほらっ、なにか言うことあるだろう、カサンドラ──。お前には、なんの落ち度もないのかい──。いい加減にしな──」

 

 とてつもない衝撃が走った。股間そのものを鞭で打ち抜かれたのだ。股間の淫具が弾け飛ぶ。

 あまりの痛撃に頭が真っ白になる。

 

「んがあはあはっ」

 

 カサンドラは絶叫した。

 そして、窒息死寸前の苦悶の中で、心からの言葉を口にした。

 

「ご、ごめん……なさい……。わ、わたしが……パリスを受け入れて……。あいつに……堕とされて……」

 

「やっと、謝ったかい……。まあいい。じゃあ、正直になったご褒美だ」

 

 そして、本当に死の一歩手前までの窒息責めに追い詰められたあと、今度は股間から下着を剥ぎ取られて、ディルドを前から一気に股間を貫かれた。

 体内に席巻していた情欲という情欲が一気に開花する。

 声を放っても、鉄仮面の中の耳にも届かないほどだ。

 それくらい、脳天を貫く衝撃は鮮烈だ。

 

「こりゃあ、聞きしに勝る好き者だねえ。そら、好きなようにいきな。これも、パリスの呪術から解放されるための儀式のようなものさ。あんたも犠牲者なのはわかっている。心配するんじゃない。ガドニエル様もあんたも、ラザニエルが助けてくれるよ。だから、なにも考えずに昇天しちまいな」

 

 ノルズがディルドを抽送しながら、耳元でささやいた。

 だが、カサンドラからは、すでに思考など吹き飛んでいる。

 もう、なにも考えられない。

 

 もはや本能のまま、カサンドラ自身も、ノルズの操るディルドに合わせるように、腰を動かし続けるだけだ。

 股間からはまるで失禁したように果汁が垂れ流れているのがわかる。

 

 やがて、絶大で苛烈な喜悦がやってきた。

 ついにカサンドラは脳を妬くような絶頂を駆け抜けさせた。

 すると、音をたてるようにして、顔の鉄仮面が左右に分かれて外れる。

 カサンドラは、全身の脱力とともに、その場に後手に拘束されたままの裸身を跪かせた。

 

「さて、休む前に、ひと仕事してもらうよ、太守夫人。あたしたちを鏡の間に連れていきな。あとは任せるんだ。ガドニエル様が本物なら、それでよし──。だが、もしも偽者なら、パリスが死んだにも関わらず、逃亡もせずに、好き勝手やっていた連中には、悪事に相応しい酬いをラザニエルが与える」

 

「酬いを与えるのは、わたしとお前だ、ノルズ──。じゃあ、遊びは終わりだ。今度は本物の(いくさ)さ」

 

 ラザニエルが愉しそうに笑った。

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