【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】 作:ドン・ドナシアン
「さしずめ、エルフ女だけに影響する媚薬の香というところだろうね……。あたしにはなにも感じてないよ。まあ、あんたが乗り込んでくるのはわかっていただろうし、準備したんだろう」
「畜生……。ば、馬鹿げた罠を……」
アスカが荒い息をしながら美しい顔を歪めた。
「だけど、しっかりと影響受けてんじゃないかい……。それで、魔道はいけるかい?」
ここで待ち受けていたのは、このイムドリス宮を占拠していた連中のうちの前衛みたいなものだろう。
誰がパリスの後を継いでいるかはわからないが、首謀者はさらに奥にいるのだろうと思う。
だが、アスカの魔道が使いものにならなければ、さらに進むかどうかは考えねかればならない。
ここに到着して気がついたが、ノルズの方も、このイムドリス宮の特殊な結界の中では、妖魔は呼び出すことはできないようだ。
また、魔道も無理だ。
魔道を封じる妨害波が流れている。
アスカがたったいま魔道を使えたのは、このイムドリス宮の結界を刻んだ者よりも、アスカの魔道力が上回るためだと思うが、そのアスカが使いものにならない場合は、向こうの魔道の餌食になるだけだ。
「い、いけるよ……。だけど、しゅ、集中に……いつもよりも、時間がかかる……。そのあいだ、援護して……おくれ……。ところで、お前の方は……?」
「妖魔は呼び出せない。魔道もあたしの能力じゃあ、封じられている。だけど、戦うことについては問題ない。あんたの盾くらいにはなれるよ。媚香の影響もない。やっぱり、これはエルフ女専用の媚香みたいだね」
ノルズは両手で短剣をくるくると回す。
「だ、だったらいくよ……。少し慣れてきた……。自分の魔道で媚香の影響を消していっている……。動けるよ」
「だったら、いいけどね……。魔道を遣えないあんたは、ただの非力な女だ。それを忘れないことさ。一度、引きあげるかい? そうした方がいいかも……」
「ふざけるんじゃないよ──。パリス自身ならともかく、その手下程度なら、これくらいが丁度いいあんばいさ。それに、これで、ガドニエルは偽物と決まった。あいつを助け出さないと」
アスカが険しい表情で言った。
確かにそうだ。
エルフ女であるガドニエルが、自らに影響を及ぼす媚香をここにたち込めさせるわけがない。
アスカに対するいきなりの襲撃を考えても、ここはすでに敵の城になっていることは明白だ。
だったら、エルフ女王の居城であるイムドリス宮にいた者たちは、パリスの手下の手に陥っていると考えて間違いない。
現在の女王のガドニエルも、ここのどこかに捕らわれているのだろうか……?
「なら、いくかい……。だけど、いざというときには撤退する。転送術はどうだい?」
転送術はあらかじめ刻んだ転送紋から転送紋に一気に跳躍する魔道だ。
ここに入るときには、アスカがすでに、イムドリス宮側の転送紋を失っていたので、カサンドラに転送してもらわなければならなかったが、ノルズとの事前の手筈によって、アスカは水晶宮側に、ここから跳躍するための転送紋を刻み残したはずである。
「ああ……。それもいける……。しかし、いつもよりは、時間がかかる……。まあ、それだけださ」
なら、とりあえず、進むか……。
アスカの魔道が制限されたような状態にあるのは痛いが、進むだけ進んで撤退はできる。
「なら、行こう──。だけど、あたしが指示したら、引くこともある。そのときには、文句を言わずに従うんだ」
「わかったよ……」
アスカがだるそうに息を吐きながら言った。
ノルズは肩を竦めた。
そして、奥に向かう方向に広間を進む。
ノルズは、ここに入り込んだことがあるので、このイムドリス宮の構造を熟知している。
ここは謁見室のような場所であり、館の奥にあたる女王の執務室を兼ねた私室の方向はこの先だ。
すなわち、この広間から回廊のようなものが続いていて、大小の部屋に通じる扉が左右にあり、ここほどではないが、いくつかの広間を通り抜けて、女王の間と称するガドニエルの個人的な部屋に辿り着く。
パリスの残党がどこに集まっているかわからないが、ほとんど一本道の回廊を進むだけだ。
「あれ?」
そのときだった。
ノルズが進もうと決めた方向の扉の前に、なにか小さな布片が置いてあったのだ。
なんだろう、あれ?
「ありゃあ、なんだい?」
アスカも気がついたようだ。
訝しんだが、害意のようなものは感じない。
アスカとふたりで近づいた。
「これは……」
「はああ──?」
扉の前に置いてあったのは、小さな女物の下着だ。
指輪のようなものも乗せている。
それだけでなく、その下着には男の精液だとわかるものがたっぷりとかけられていた。
近づいただけでわかる汚臭で、それがわかった。
「ふ、ふざけやがって……。これは女王の指輪だよ……。下着もガドニエルのものなのだろうさ」
アスカが舌打ちをした。
「わかりやすく、挑発しているんだろうね……」
ノルズも言った。
この先でパリスの残党が待ち受けているのは、これで間違いない。
罠もあるのだろう。
だが、同時にガドニエルもいるということだろうか……。
いずれにしても、少なくとも、元々ここにいたり、あるいは新たに集められたエルフ族の女たちが、先で捕えられているのは間違いない。
「……ふざけやがって……」
横でアスカが歯をぎしぎしと噛んでいる。
すっかりと腹が煮え返っている顔だ。
「あんたを怒らせるための手じゃないか。まんまと嵌まってどうすんだい」
ノルズは嘆息した。
「いいから、いくよ──」
アスカは扉をこじ開けた。
「うわっ」
アスカが仰天したような声をあげる。
「おうっ」
「うりゃあっ」
続いている回廊にふたり立っていて、いきなり剣で飛びかかってきた。
一瞬で手練れとわかる。
アスカがぎょっとした顔になっている。
ノルズは踏み出し、アスカの前に出ると、向かってきた剣を短剣で受けて、相手の身体ごと弾き飛ばす。
体勢を崩した正面の者は追わず、もうひとりと向き合い、一度剣を引いてから突き出して、身体を回転させた。
腕を切断する。
「前から──」
残っているひとりに斬りかかりながら、ノルズはアスカに声をあげた。
離れた場所から、こっちに魔道を打ち込もうしている者が目に入ったのだ。
「わ、わかってい……るよ──」
アスカから巨大な火炎弾が連発で飛び出す。
ノルズが残っている男を剣で貫いたときには、離れていた魔道遣いたちも、火だるまになっていた。
回廊から刺客が消える。
ちょっと一息だ。
ノルズは最初に腕を切断してうずくまっていた男の首に短剣を刺す。
横に払う。
血しぶきがあがって、その男も死骸に変わる。
「つらそうじゃないかい、アスカ。一度、そこで気をやって、すっきりしたらどうだい? 手伝ってやろうか」
「さ、触ったら承知しないよ――。ほ、本当だよ――。絶対触るんじゃないよ――」
アスカが怯えるように、胸と股間を手で隠すようにして、ノルズを睨みつけた。
そんなに必死に言われると、逆に触りたくなる。
ノルズは声をあげて笑った。
とにかく、ノルズとやり合ったことで、頭に血がのぼっていた感じのアスカも少しは冷静になったようだ。
「そもそも、媚香くらい、魔道で身体の疼きをとめられないのかい。外道の魔女とも称されているあんたじゃないかい」
エルフ女専用の媚香とやらは、アスカには相当に効いているようである。股間から流れ落ちる体液が凄いことになっている。また、ちらりと覗く股間は真っ赤に充血しているし、愛液はすでに足の指にまで達している。
「な、なにが外道だい――。そ、それに、そんなのは、とっくに、や、やってんだよ──。そもそも、いくら媚香を解毒しても、どんどん新しい媚香を吸っちまうんだ。切りがない。息をしないわけにはいかないからね──。本当に忌々しい──」
アスカが吐き捨てるように言った。
ノルズは肩を竦めた。
とにかく、また、進むことにした。
この先に首謀者が待っているのは確かだ。
いずれにしても、この程度の小出しの刺客など、どうということはない。
回路を抜けて、次の広間に出た。
六人が隠れていた。
全員を倒すのに、それほどの時間はかからなかった。
さらに回廊に出る。
そこでは魔道がきた。
アスカが対応し、呆気なく惨殺した。
次の部屋──。
部屋に入るや否や、横から剣で斬りかかってきた。
正面からは火炎弾だ。
「変わり映えしないねえ」
ノルズは打ちかかってきた相手を剣であしらい、位置を変えた。
火炎弾については、少し身体が媚香に慣れて楽になったのか、アスカがなんなく魔道壁で受けとめ、そのまま逆進させて、術者を倒す。
さらに、ノルズが避けた男はアスカの前から吹っ飛んでいた。
そっちにも魔道を放ったのだろう。
床に落ちるときには、その男の身体の胴体は首から離れ落ちていた。
「まだ、いるよ──」
この部屋にいるのは、これまでのような数名ではない。
十人くらい──?
もしかして、さらに倍かもしれない。
四方八方から魔道の光線が走ってくる。
もう、アスカを気にしている余裕はない。
ノルズは集団がいる方向に飛び込んで、魔道を防ぐ。
味方が入り混じっていては、敵も魔道を放てない。
ふたり倒した。
小さな弓を持っていた。
逃げようとする数名に追いつき、背中から次々に斬り倒する。
ちらりとアスカに目をやる。
壁を背にして、次々に小さな火炎を放っている。
誰も近づけず、近くに寄っている者から先に火だるまになっている。
あれなら大丈夫だろう。
ノルズは大きく息を吸った。
広間の中を駆けまわる。
常に誰かの敵の近くにいるようにした。
斬り込む。
剣と短剣が触れ合う。
また、矢──。
短剣で払う。
跳躍する。
たまたまいたひとりを切り倒す。
矢──。
叩き落す。
一本が肩を掠る。
悲鳴が離れた場所で起きた。
ノルズに矢を射かけた男たちがそこで火だるまになっている。
残りはもう少し──。
ノルズはふたりを斬り倒した。
もうひとりか……?
逃げようとしている──。
両手に持つ短剣のうち、一本を背中に向かって投げる。
その男の背に突き刺さり、前のめりに倒れていく。
「終わったかい?」
アスカが片膝をついたまま、肩で息をしながら言った。
「ああ、とりあえずはね……」
ノルズは言った。
結局、この部屋だけで二十人近くは潜んでいた。
すでに動いている者はいないが……。
ただ、さらに先の回廊の向こうに人の気配を感じる。
しかも、大勢だ。
「……この先に多くの人の気配があるね……」
アスカがノルズのところに寄ってきながら言った。
さっき矢が掠った肩に温かいものを感じた。
治療術だろう。
眼をやったときには、肩の傷どころか血の痕まで消滅していた。
「そのようだね……。行こうか、アスカ……」
倒した刺客の横を通り過ぎた。
次の間に向かう回廊に入るが、今度は仕掛けてくる者はいない。
ただ、先の広間からの人の声がだんだんと大きくなる。
普通の声じゃない。
女の嬌声だ。
それも、何十人もの女の声だ。
広間に着く。
「なんだこりゃあ──」
「趣味が悪いねえ……」
部屋の中には刺客のような者はいなかった。
その代わり、床の至るところに裸の女たちが倒れていて、涎を垂らし、股間から愛液を垂れ流しながら身悶えている。
大勢の若いエルフ女たちだが、様子が異常だ。
また、全員の首に首輪があり、ほとんどの者には革の貞操帯のようなものが股間に嵌まっている。
その股間がぶるぶると震えているように見えるので、おそらく、内側のディルドのようなものを局部に貫かれて、振動をされているのだろう。
見回すが誰ひとりとして、まともな者はいなさそうだ。
ノルズやアスカにも無反応であり、ただただ淫らに身体をくねらせて悶え続けるだけだ。
ほとんどが若いエルフ娘のようだが、中には明らかに童女である者も何人か混じっている。
また、エルフ男も数名いた。
手足を切断されていて、こっちはいずれも首を絞められて殺されている。
「ここで捕らわれていた女たちや男だろうさ……。生きている者は媚香に頭をやられているよ……」
アスカが呟き、大きく息を吸ってから、大量の理力を放出させたのがわかった。
女たちの股間から貞操帯と拘束具が弾け飛び、首輪も壊れて外れた。
しかし、女たちは淫らな声をあげて倒れたままであり、あちこちで、エルフ女たちが自由になった手で自慰を開始している。
なかなかに壮絶な風景だ。
「……あそこだね……」
ノルズは顎で広間の奥を示した。
そこに隣室に通じていると思われる扉があるのだ。
人の気配をそこに感じる。
短剣を握り直し、無造作に前に出た。
しかし、すぐに見えない壁のようなものに阻まれる。
「け、結界を刻まれているようだね……。どれ……」
アスカが気だるそうに息を吐きながら、手を見えない壁に向かってかざす。
「くううっ」
しかし、いきなりアスカが悲鳴をあげて、その場にしゃがみ込んだ。
驚いたが、小さな羽根のようなものが、アスカの裸体のあちこちをくすぐっているのがわかった。
その刺激でアスカは、感じまくってしまったようだ。
「気をつけることだな、アスカ、いや、ラザニエル……。その結界に魔道を遣おうとすると、小さな羽根がお前の身体を襲いかかるようにしている。その媚薬に爛れきった身体では、羽根にくすぐられながらじゃあ、魔力を刻むための集中もできまい」
奥の部屋に通じる扉が開いて、ひとりのエルフ男がひとり出てきた。
身体には、ひと目で魔道防護がかかっているとわかる革の具足を身に着けていて、手に鎖を持っている。
その鎖にはなにかが繋がっていたのだが、男が引っ張り進んできたものを見て、ノルズは鼻白んだ。
男が引きづってきたのは、ひとりのエルフ女だ。
ただ、手足はなく、胴体と顔だけの裸の女だ。
その女の首に首輪があり、その男はその女の首輪に鎖を繋げて、引っ張ってきたのだ。
女は懸命に胴体を動かして前に進もうとしているが、何度も首輪を引っ張られて、そのたびに首を絞められる苦痛に呻いている。
しかも、その手足のないエルフ女の股間には、ここから見てもわかるくらいに激しく振動しているディルド付きの貞操帯を装着されており、それで力も入らないみたいだ。
「ダ、ダルカンかい……。よりにもよって、お前がこの悪趣味の館の首謀者なのかい……。パリスの腰ぎんちゃくの分際で……」
アスカが踞ったまま言った。
どうでもいいが、アスカの全身は上気して真っ赤であり、しゃがんでいる股の下には股間からぽたぽたと愛液が滴っている。
やはり、余程の媚香なのだろう。
「俺とお前の仲じゃないか。だから、精一杯の歓迎を準備したんだ。クリスタル石を使いまくったエルフ族専用の媚香の魔毒と、集めまくった一味の手の者たちだ。イムドリス宮を制圧していた者たちだけじゃなく、シティ内で工作活動をしていた者たちまで総動員した。愉しかったか? だが、お愉しみはこれからだ」
「ぬ、抜かすんじゃないよ」
「じゃあ、かかってこい。俺は結界の内側だ。ここまでくれば、俺の首がとれる。とにかく、待ちわびていたぞ。だから、ガドニエルは偽者だと噂を流してやったが、それでやっと来てくれたな」
「噂を流した? お前が流した噂だと言うのかい?」
「まあ、そういうことだ」
ダルカンという名らしいエルフ男が満足げな笑い声をあげた。