※この作品はR-18です。

【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】   作:ドン・ドナシアン

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509【仮想空間】…「痴漢電車」

『中央線の上りの快速に乗れ』

 

 耳元で声がした。

 はっとした。

 そして、突然に頭の中で、ものすごい知識が沸き起こった。

 コゼは、自分が駅の改札口を通り過ぎた雑踏の中にいるのを悟った。

 

 駅……?

 中央線……?

 快速?

 

 だが、見たことも聞いたこともない言葉と景色に、さらに、自分の中の意味不明の思考に対して、コゼは大きな戸惑いを覚えた。

 しかし、それは一瞬だ。

 すぐに、コゼは自分がこの光景を知っていることがわかり、瞬時に「現実」が認識できた。

 

 つまりは、コゼは一介の大学生であり、見知らぬ男に脅迫をされ、恥ずかしい服装を強要されて、こうやって駅までやってきたのだ。

 荷物も財布もスマホもない。

 渡されているのは、手の中の一枚の切符だけであり、すでにこうなってしまった以上、コゼは、男の「言葉」に従わないわけにはいなかかった。

 男からの命令は、左耳の中に入っているワイヤレスのイヤホンから流れてくる。男の姿を発見することはできず、そもそも、コゼは脅迫をしている男の顔がわからない。

 また、耳への指示は一方的に流れるだけであり、こちらから連絡手段はないので交渉する手段もない。

 コゼは従うしかない。

 

 一方で、コゼは奇妙な違和感もある。

 だいたい、スマホとはなんだろう……?

 ワイヤレスのイヤホン?

 耳の中に入っている異物のことか?

 そもそも、大学生って……?

 

 しかし、またもや奇妙なことに、コゼの疑念は瞬時に解決され、まったく違和感のないまま、コゼはこの見知らぬ世界に一体化した。

 そして、怪しい「声」に脅迫されている「女子大生」になりきっていた。

 

 これが、ロウの元の世界……。

 頭の片隅にかすかに残っているコゼの一部が、想像もしたことのない異世界の光景に感嘆している。

 異世界というよりは、まるで神々の世界だ。

 あちこちが光っていて輝いている。

 不思議な形状の物体もあちらこちらにあった。

 こういう場所から、ロウはこっちの世界にやって来てくれたのだと思った。

 何でもない郊外の駅の喧噪のはずだが、なにもかもが真っ直ぐで、光沢でつやつやしていて、しかも、とても美しい色の輝きで囲まれている。

 壁にある絵は、まるで描かれているものが生きているように動いていて、かなりの高位魔道がかけられているのは間違いないだろう。

 

 そもそも、あの艶々の壁──。

 材質はなに? 大理石? いえ、もしかしたら、白銀? 接したことのない石壁だ

 これだけでも、ここがどこかの王宮の中だと言われても、コゼは信じると思う。

 だが、ここはなんでもない、庶民が使用するような駅馬車の停留所なのだ。

 あまりにも巨大な施設なので、本来の用途が駅馬車に乗るための場所だというのは、コゼの認識が追いついていかないが……。

 

 そして、はっとした。

 やはり、変だと思った。

 いまコゼは奇妙な思考をしていた。

 ロウの元の世界……?

 いや、ロウって誰だろう……?

 ものすごく大切なことだという認識はあるが、凍りついたようにコゼの思考がとまってしまった。

 それよりも、いまの状況だ。

 

 「大学生」のコゼは、見知らぬ男の脅迫をされて、逆らうことのできない命令により、破廉恥な格好で、「電車」に乗るように指示を受けてここにいる。

 しかしながら、それでいて、なにを脅迫をされているのか、どうして逆らえないのかは思い出せない。

 だが、それは特段の問題でもない。

 とにかく、「声」に従うのだ。

 

『……戸惑っているな。だが、だんだんと順応しているのもわかるな……。俺の記憶とコゼの認識がだんだんと馴染んできた。そろそろ違和感も消えたか? いずれにしても、これだけ繰り返せば、俺の淫魔師レベルが天元突破したことで得た新しい“仮想現実”能力の実験は成功だな。サキの能力の淫魔師版というところだけど、これからは、コゼたちを相手に“イメクラ”ごっこも愉しめそうさ』

 

 また、耳のワイヤレスイヤホンから声がした。

 だが、まったく意味の分からない言葉ばかりだ。

 淫魔師……? 仮想現実……? それに、サキって?

 だが、“イメクラ”はわかる。

 イメージクラブの略であり、現実を模した疑似体験をする風俗施設のことだ。

 しかし、そのイメクラがなに?

 コゼはますます混乱した。

 

『……それよりも、早く階段を昇れよ』

 

 またもや声……。

 そうだ。

 命令に従わないと……。

 

「うっ」

 

 だが、コゼが思わず声をあげてしまった。

 歩き出そうとした途端に、自分の両手の親指の付け根ががっちりと背後で縛り合わされていたことに気がついた。

 動かそうとして紐が指に喰い込み、手に軽い痛みが走ったのだ。

 なんで、縛られている?

 しかし、すぐに、ここに連れて来られる直前に、男に縛られたのだという「記憶」が蘇った。

 それでいて、どこで、どういう状況で縛られたのかは思い出せない。

 また、そのとき、「男」と接したはずなのに、その男のことがまるでわからない。

 一方で、このことが、おかしなことだという思いもない。

 

 とにかく、コゼは咄嗟に後ろで手を組むふりをして、なんとか誤魔化す。

 ただ、コゼはその気になれば、こんな紐など造作なく縄抜けができることもわかっていた。しかし、男の命令は絶対だ。

 逆らわない。

 本能として、コゼは抵抗しないことを選んでいた。

 

「な、なによ、これ……?」

 

 そして、コゼは思わず声をあげた。

 スカートが異常に短いのだ。

 ほとんど丈がなく、ちょっと動くだけで白い下着が見えてしまいそうだ。

 また、薄い上衣の下には、なにも身に着けていない素肌だ。尖った乳首が服にしっかりとかたちを作っている

 

『……命令に従わないと罰だと伝えただろう』

 

 面白がるような男の声が耳で響く。

 コゼの全身に緊張が走る。

 この男の声には逆らってはならない。

 またもや、本能のようなものが、コゼの心に走る。

 

 だが、罰って……?

 男は前もって伝えたと口にしたが、そんなことを言われた?

 まるで記憶がない。

 いや、これに限らず、もしかして、なんの記憶もない?

 声の男となにをしてきて、なにを男にされた?

 コゼは訝しんだ。

 

 しかし、次の瞬間だ。

 

「いひいいっ」

 

 コゼは膝を折って、その場で崩れ落ちかけた。

 いまのいままで気がつかなかったが、股間になにかが貼りつけられている。

 しかも、クリトリスだ。

 そこが激しく振動をしている。

 

「んっ、んんんっ、んくううっ」

 

 周りの視線を感じ取りつつ、コゼは足を踏ん張って座り込むことを耐えた。

 だが。喰い縛る歯のあいだから、声が洩れる。

 それほどに貫く快感が鋭く、圧倒的な衝撃をコゼに与え続ける。

 

『歩きだせば、振動はとまる。いつまでもそうしていたければ、それでもいいけどね』

 

 男の声……。

 

「わ、わかったから……」

 

 とにかく、コゼは誰に告げていいかもわからないが、そう口にした。

 歩き始める。

 すると、声が言ったとおりに、やっと股間の振動がなくなる。

 コゼは意を決して、階段を降り始める。

 階段を進む通行人の数はかなり多い。

 その階段をコゼは、剥き出しの太腿をすり寄せて、後ろ手に短いスカートの裾を押さえて、一段ずつあがっていく。

 

 しかし、コゼの努力にもかかわらず、少し昇っただけで、少なくない他人の視線を感じてきた。

 なにしろ、これだけ短いスカートだ。

 階段をあがろうとして、太腿を持ちあげるとスカートがずれあがり、どうしても、下着が外に出てしまうのだ。

 

『とまるなよ。とまると、振動だ』

 

 また、耳でからかうような声……。

 

「くっ」

 

 恥ずかしさに声が出る。

 足をあげるたびに、スカートの裾があがって下着が覗く。それをなんとか引っ張って裾をおろす。

 その繰り返しだ。

 振り返らなくても、絡みつくような男たちの視線がコゼにははっきりとわかった。

 羞恥にどうしても歩みが遅くなる。

 

『もっと颯爽と歩いたらどうだ、コゼ。それとも、罰を期待しているのか……。まあいいだろう。だが階段から落ちるなよ……』

 

「えっ?」

 

 意味がわからなかった。

 しかし、その刹那、お尻を貫いていた張形でうねうねと動き出したのだ。

 

「おおっ」

 

 声は呑み込んだが、コゼはちょうど階段の真ん中の踊り場のところで、天を仰ぐように全身を硬直させてしまった。

 お尻になにかを挿入されていて、気がつかないことなんてあるだろうか?

 だが、確かにさっきの瞬間まで、なにも感じなかったのに、突如としてお尻の中に淫具が出現して、これがコゼを苛みだしたのだ。

 とにかく、お尻は最大の性感帯だ。

 お尻から全身に凄まじい嘉悦が迸る。

 階段を進む他の者たちが、コゼの異変に気がついたことは確かだろう。

 

『今度、足を遅くしたら、容赦なく最後まで達してもらう』

 

 くすくす笑いとともに、すぐにお尻の異物の振動は停止された。それだけでなく、挿入の感覚も消滅する。

 どうして?

 疑念が湧いたが、躊躇の暇はない。戸惑って立ちどまっては、今度はどんな「罰」を与えられるかわからない。

 

 異物が消えたのならいまのうちだ。

 コゼは懸命に階段をあがる。

 やがて、やっとホームに着いた。

 あがったときには、完全に自分の頬が上気しているのがわかった。

 並んだ乗客の列に並び、滑り込んで来た電車にコゼは乗る。

 指示を受けた「電車」だと思う……。

 

 すると、五人ほどの男女の乗客がさらに入ってきて、コゼは扉のある電車の壁に押しつけられるようになった。

 とにかく、コゼは背中で結わえられた親指を隠すために、背中に壁を付けるような態勢になり、なんとか後ろ手に扉の脇の手すりを掴む。

 

 車内は、それなりに乗客が多かった。

 コゼの周りにはさっきの五人組がそのまま集まったかたちになった。

 だが、囲むような不自然な感じだったので、少しばかりコゼは警戒をした。

 

『怯えるなよ……。ちょっと視界を消すけど騒ぐなよ……』

 

 またもや、あの男がした。

 だが、視界を消す?

 困惑したが、次の瞬間、突如として肩にちくりと針が刺したような痛みを感じた。コゼとしたことが、なにかを刺されるまで、まったく気がつかなかったことにびっくりしたが、さらに驚いたのは、急速に視界が暗くなっていったことだ。

 

 なにがあった?

 

 まさか、視覚を消す毒を打たれた?

 咄嗟に、後ろ手に握る手摺りに力を込める。

 すると、がちゃりと金属音がして、手首に手錠のようなものを嵌められる感覚が襲った。

 さらに、手摺りの棒を潜って反対側の手首にも金属が鳴る音が……。

 

「えっ?」

 

 思わず声をあげた。

 これでは指の紐が解けても、コゼは壁を背にして動くことができない。

 また、すでに全く視界は消えている。

 なにも見えない。

 

 すると、前側からぎゅっと複数の者たちから身体を密着される。

 壁にくっついていた背中側にも強引に身体を差し込まれて、背中に誰かが身体をくっつける。

 

「大きな声を出すなよ。もっとも、出しても誰も助けないけどな。まあ、恥ずかしくなければ、声を出すといい」

 

 後ろから耳元に囁かれる。

 だが、その声は明らかに、ずっと耳元のワイヤレスイヤホンから流れていた声だ。つまりは、さっきの五人組の中に、あの男が混じっていた?

 

「声を出してもいいのよ、コゼちゃん……。それにしても、これ、なんか愉しい……。こいつ、こんなに怯えちゃって……」

 

 電車が揺れ、前側の人間が身体に吸いついてきた。

 そして、前側からミニスカートの裾に手を入れられ、下着の頂きをぎゅっと押される。

 

「んっ」

 

 コゼは全身を強張らせた。

 こんなところで──?

 

 コゼは膝をすり合わせようとして、さらにはっとした。いつの間にか踏ん張るために開いていた脚のあいだに、前の人間の膝が割り込んでいたのだ。コゼの脚を内側から拡げるかたちになっている。

 それはともかく、前からコゼの下着に手を触れている相手は女だ──。

 どうして、気がつかなかったかわからないが、密着している相手の胸に乳房の膨らみを感じる。

 どんな女だった?

 そう考えて、コゼはさっきの五人組の顔をまったく知覚していなかったことがわかった。

 たったいま見たはずなのに、どうして記憶から欠如している?

 当惑した。

 しかし、思念はそこまでだ。

 今度は後ろからお尻を撫でられたのだ。

 

「あんっ」

 

 喰い縛っている口から声が迸ってしまった。

 何気ない愛撫なのに、とんでもない快感が全身を貫いたのだ。

 腰が砕けるような気持ちよさだ──。

 またもや、膝が折れそうになる。

 しかし、大胆にも後ろの男は、後ろから下着の中に手を入れて、直接に指でお尻を下から押して、腰がさがるのを阻止する動きをした。

 

 まさか、こんな電車の中で……?

 驚愕した。

 

 でも、コゼは抵抗できない。

 後ろ手は手首に手すりに手錠のようなもので繋がれてるが、まったく動かないことはないので、男の手首くらいを掴んで、卑猥な愛撫を邪魔するくらいはできると思う。

 だが、その気にならない。

 コゼの内心に、後ろの男には逆らいたくない、いや、むしろ受け入れたいという本能のようなものがある。

 それがコゼの抵抗を失わせもしている。

 コゼは自分の心に困惑するしかなかった。

 

「ふふふ……、これを動かしてもいいですか、コゼさん」

 

 また、女の声……。

 しかも、さっきの女とは別の女だ。

 もしかして、五人組って、後ろの男以外は女?

 なんとなくだが、気配でそう思った。

 

「いひいっ」

 

 大きな声が出てしまった。

 股間に貼りつけられていた淫具が突然に振動をしたのだ。

 

「うわっ、いきなり動かさないでよ、スクルド」

 

 前から下着の頂きをゆっくりと愛撫していた女がびっくりしたように手を引っ込めた。

 だが、スクルド……?

 誰、それ……?

 知っているような、知らないような……。

 

「申し訳ありません、ユイナさん……。でも、こんなに大人しくて、怖がっているコゼさんも新鮮ですね」

 

 スクルドと呼ばれた女がくすくすと笑った。

 ユイナ?

 前の女の名前?

 だけど、両方とも外人のような名前……。

 外国人?

 しかし、その思考がさらにコゼを混乱に陥らせる。

 外人って、なに?

 どうして、自分はまったくわからないことを考えてしまうのか?

 

「……まあ、それは認めるわね。こんなに怯えるコゼも可愛いわね。ちょっと悪戯したくなるかも」

 

 前側からの別の声で、今度はさっきのスクルドという女の反対側──。

 またしても知らない声だ。

 そっちから、手が伸びるのを感じた。しかも、スカートの下に伸びてきて、下着を脱がしにかかる。

 コゼはびっくりした。

 

「あっ、手伝いますね、エリカさん」

 

 男のいる後ろ側からの声……。

 今度も初めての声だ。

 女の声だが、妙に若い?

 子供?

 だが、その女の子の手もスカートの中に入ってきた。

 前後から引っ張られて、すっと下着がさげられる。

 

「うっ」

 

 コゼは唇を噛んで腰を捩った。

 しかし、後ろ手に拘束をされている女から下着を脱がすことなど、わけもないことだ。

 あっという間に、コゼの下着は太腿までずりさげられた。

 股間の振動も離れていったので、さっきの淫具は下着に貼りつけられていたみたいだ。

 それはともかく、こんなところで下着を脱がされるなど……。

 ほかにも人がいる電車の中である。

 相変わらず視界は復活しないが、周囲に男女のほかにも、もっと大勢の人の気配を感じる。

 

「羞恥責め用に、ちょっと性格も大人し目に調整しているからな。この新しい能力の仮想空間ならば、どんな偽の記憶も作り出せるし、あり得ない場面を受け入れさせることもできる。サキの能力の丸うつしだが、こんなこともできたら愉しいと想像したらできるようになった。とにかく、これでたくさんの遊びができるぞ」

 

 再び男の声──。

 なにを喋っているのか、やはりわからない。

 だが、いきなりお尻の穴に指を入れられた。

 なにか潤滑油のようなものを塗っていたのか、ぬるぬるとした感触とともに、根元まで指を挿入されてしまう。

 しかも、二本も……。

 

「あっ、んあっ、ああっ」

 

 声が出る。

 信じられないくらいに気持ちいい。

 こんなのだめ……。

 我慢できない。

 

「……それにしても、これがあんたの故郷なの? 随分と不思議なところねえ。しかも、とっても騒がしいし……。それに、なんか匂いが……」

 

 確か、ユイナと呼ばれていた女?

 その女が前側から指を挿入してきた。

 

「んんっ」

 

 抵抗なく受け入れてしまい、コゼは狼狽えた。

 しかも、指を内側から曲げられて、お尻側に膣を押される。

 男の指の刺激と重なり、コゼは一気に快感を昂ぶらせた。

 

「あっ、んぐうっ、んあああっ」

 

 必死に口をつぐむが淫らな声を我慢できない。

 身体が小刻みに震える。

 

「俺の元の世界を見たいというコゼの望みだから、俺の記憶を利用して、痴漢電車を再現だ。だが愉しい場所でもないだろう? ユイナの言うとおりに、こっちの世界に慣れると、とても騒がしいな。だけど匂いか? 俺にはまったく感じないけどな」

 

 男がコゼのお尻を愛撫しながら言った。

 ふたりの会話は全く聞こえはするが、まったく頭には入ってこない。

 男がやっと指を抜く。

 

「ユイナ、調子に乗らないのよ──。ロウ様の世界よ──。小馬鹿にしたようなことを言うならひどい目に遭わせるわよ」

 

 エリカと呼ばれた女か?

 ぴしゃりと言った。

 

「エ、エリカさん、そんなつもりなんて……」

 

「じゃあ、どういうつもりよ──」

 

 ふたりが言い争う声──。

 しかし、それをコゼの股間を愛撫しながら言うのだ。

 コゼもたまったものじゃない。

 

「まあまあ、エリカ……。いまのコゼからは記憶は抜いているが、仮想空間から抜けたときには、この記憶はコゼには残しておく。ユイナから責められたと記憶が残れば、きっと仕返しをするさ。それで許してやれ」

 

 後ろの男が言った。

 さっきまで指を入れていたコゼのお尻に尖ったものが当たった。

 まさか、男根──?

 驚愕したが、そのままゆっくりと、お尻の中に、勃起している怒張を挿し入れられる

 

「なっ、んあっ」

 

 コゼは辛うじて悲鳴を呑み込んだ。

 

「ちょ、ちょっと聞いてないわよ──。このコゼって、わたしには容赦ないのよ──。記憶を残さないでよ」

 

 ユイナが狼狽えた声をあげている。

 

「いや、残す。しかも、動けなくして、怒っているコゼの前に転がしておく。次の舞台は、ガドとブルイネンの希望の世界だから、そのあいだ遊んでいろよ」

 

「冗談じゃないわよ、殺されるじゃない──。だったらやらなかったわ」

 

 ユイナが慌てたように、コゼの膣から指を抜く。

 後ろの男……ロウが声をあげて笑った。

 やはり、意味がわからない……。

 

 一方で、お尻に挿入されてしまった男の怒張が抽送を始める。

 どんと衝撃のような快感──。

 それが連続で……。

 あっという間に絶頂が襲ってきた。

 

「んふううっ」

 

 悲鳴のような声も迸る。

 

「口を押えてやれ、エリカ……。コゼもちょっとは自重しろよ。お前は痴漢をされているんだぞ」

 

 男がコゼを背後から抱えるようにして、アナルを犯しながら言った。

 

「はい」

 

 横から女が抱きついてきて口を塞がれる。

 

「ロウ様、その次はあたしです。あたしは、王都の真ん中で羞恥責めされたいです」

 

 さっきの童女だ。

 そいつがコゼの胸をさすってきた。

 

「よい考えですね。わたしと一緒にやりましょう。ご主人様の仮想空間で愛されたいですわ。ご主人様、わたしとミウに、首輪をつけて、王都の街を四つん這いで歩かせてください」

 

 反対側からも、確かスクルドという名前だった女が童女が愛撫している胸の逆側から胸を揉んでくる。

 左右の胸を揉まれて、お尻を犯され……。

 しかも、公衆の中で──。

 あまりのことに頭が白くなる。

 

「えっ? だけど、スクルド様って、さっきも、仮想空間を体験なさったし……」

 

「なにを言っているんです、ミウ。何度繰り返しても、わたしは問題ありませんよ。仮想空間なら、現実ではなかったことになるんです。それなのに、そのときには“現実”なのです。だから、ご主人様との素敵な“ぷれい”が可能なのです」

 

「い、いえ……、そういうことではなくて……」

 

「問題あるわよ、スクルド──。あんたって、こっちに来てから弾けたように我儘よねえ。自重しなさいよ」

 

 遠慮がちなミウと、にこやかな声のスクルドに言い合いに、コゼの口を押えているエリカの声が重なる。

 だが、男による肛姦は続いている。

 もう絶頂がそこまでやってきている。

 

「ふふふ、だけど、可愛い……。こんなコゼなら大歓迎ね」

 

 さっき、スクルドに怒鳴ったエリカが、一転して愉しそうに笑い、口を押さえてつつ、舌でコゼの耳をくすぐってきた。

 

「んんんんんっ」

 

 たくさんの手による全身同時の愛撫に、ついにコゼの我慢が崩壊した。

 がくがくと大きな震えが襲い、コゼは身体を弓なりにしていた。

 電車の中で、達してしまったのだ。

 

「もう達したか……。だったら、罰だな。今度は電車の中で浣腸を受けてもらうか? もう一度達したら、浣腸責めな」

 

 男が軽く腰を振って、コゼのお尻に精を放ったのがわかった。

 だが、抽送はやめない。

 気をやったばかりの快感がまたもや高みに飛翔される。

 だけど、浣腸──?

 おそらく、この男は冗談ではなく、本当にやるだろう。

 コゼは直感した。

 だから、必死に快感を我慢する。

 

「おっ、いい感じだなあ。じゃあ、我慢な」

 

 男が面白がるように肛姦を再開する。

 一度達したところから、快感をさらに持ちあげられる。

 耐えられない──。

 コゼは懸命に耐える。

 

「次は、三鷹(みたか)……、三鷹……」

 

 電車の中に声──。

 コゼの周りの者たちが動き出すのがわかる。

 びくりとする。

 こんなところを見られたら……。

 羞恥が襲う。

 

 そのときだった。

 

「ロウ様──、イライジャ様が来られました──。戻って来てください。緊急の要件とのことです──」

 

 周りにいた女ではない声が響きわたった。

 誰──?

 コゼは一度達し、さらに絶頂しようとしていた身体を緊張させた。

 しかし、背後のロウがびくりと動いたのがわかった。

 

「ガドか? イライジャが? わかった。ちょっと待ってくれ……」

 

 男……いや、ロウがそう口にして、どちらかというとゆっくり目に動いていた怒張を急に激しく動かしだす。

 視界が戻る。

 電車の中の情景が溶けるように消滅していき、岩肌の見える洞窟の光景に変化した。

 ぼんやりとしていたコゼの頭がすっきりして知覚が復活する。

 すべてのことを思い出した。

 

 よくはわからないものの、エルフ女王のガドニエルを支配に置いたことで、ロウの淫魔師としてのレベルがあがり、ロウが幾つかの新しい能力を得たらしいのだ。

 そのひとつが、サキが持っている仮想空間術であり、性行為に関する場面に限るものの、ロウの記憶や想像にある限りの作り物の空間に、女たちを連れ込めるようになったのだ。

 それで、みんなで交代でロウに、その仮想空間術を強請(ねだ)り、コゼについては、ロウの元の世界でロウの好きな状況で犯されたいと言ったのだ。

 そして、連れ込まれたのがさっきの場面だ。

 

 うろ覚えだが、コゼはさっきの仮想空間の中では、しっかりとロウの元の世界のことを受け入れていた。

 いまにしてみると不思議なことだが、まったく見たこともない光景と不思議な物ばかりに溢れている世界だったものの、あの世界にいるあいだは、コゼはずっと前から住んでいた世界のように馴染んでもいたのだ。

 本当に不思議な心地だ。

 

 それにしても、コゼがだいがくせい──?

 “だいがくせい”って、なんだろう?

 もう思い出せない。

 

「あっ、ああっ、ああっ、ご主人様ああああ」

 

 コゼは嬌声をあげた。

 快感の大渦に引き戻された。ロウによる肛姦はまだ続いているのだ。

 だが、立ってはいない。

 拘束もない。

 洞窟に敷きつけている絨毯に四つん這いになっている。

 ロウがそのコゼを後ろから犯しているのだ。

 

 いずれにしても、ロウに犯されている。

 さっきまでの不安感と恐怖が嘘のようだ。

 全身を飛翔させるような安堵感と幸福感が襲う。

 

「もう少し遊びたかったけどな。これで終わりだ」

 

 いつの間にかコゼを寄ってたかって愛撫していたエリカたちは離れている。

 愛撫を続けているのはロウだけだ。

 だが、ロウの魔道のような手で胸を揉まれ、股間をいじられ、さらにお尻を犯されている。

 コゼは一気に昇天した。

 

「んはああああっ」

 

 コゼはがくがくと身体を震わせて、再び全身を弓なりに反らせた。

 ロウが二度目の精を放つ。

 コゼは脱力して、そのまま身体を絨毯に突っ伏させた。

 

「終わりだ。頑張ったな。ありがとう、コゼ。楽しませてもらった。そして、これで新しい能力の仮想空間の実験に終わりだ。ああいう使い方もできることがわかった。亜空間とは別のものだし、かなりの使いでもありそうだ」

 

 コゼを支えるようにしてくれていたロウが怒張を抜く。

 

「あんっ」

 

 快感がさらに弾けて、コゼは甘い声を出してしまった。

 

「さ、さあ、わたしがお掃除を……」

 

「いえ、あたしが……」

 

「お待ちなさい、ミウ。ここはわたしが……」

 

 ガドニエルとミウとスクルドが一斉に寄ってきた。

 コゼは脱力している身体を鞭打って反転し、胡坐になったロウに飛びついて、対面でしがみつく。

 

「ま、まだ、あ、あたしの番よおお──。あん、ご主人様、あれがご主人様の故郷なんですね。素敵な場所でした。ありがとうございます」

 

 抱きついて口づけを強請る素振りをすると、ロウはすぐに苦笑して唇を重ねてくれた。

 コゼはむさぼるように、ロウの舌を舐め、唾液をすする。

 気持ちいい……。

 とにかく、気持ちいい……。

 

「興奮しているのはわかるけど、一度離れなさいよ、コゼ──。イライジャが緊急の要件だそうよ」

 

 エリカだ。

 呆れたような彼女の口調で、ちょっとだけコゼも我に返る。

 

「そうだったな……。どうかしたか、イライジャ?」

 

 ロウがコゼを抱いたまま言った。

 気がつくと、いつの間にか、ほかの女たちもほとんどロウに密着したようになっている。

 ロウとコゼも含めて、全員が全裸であり、むっとする熱気と淫靡な香りに包まれる。

 服を身に着けているのは、イライジャだけだ。

 イライジャだけは輪の外にいる。

 

 いや、ユイナもまた、輪の外だ。

 半分不貞腐れたように、こっちを見ている。

 そして、目が合った。

 すると、コゼににやりと笑いかけた。

 

「さっきは、可愛かったわね、あんた」

 

 くすくすと笑う。

 ロウが受け入れたから認めているが、本音をいえば、ロウを危険に晒したこいつだけは気に入らない。

 ユイナの物言いにむっとなる。

 

「馴れ馴れしく話しかけないでくれる」

 

 殺気を込めて睨みつけてやった。

 ユイナがびくりと反応する。

 

「いいから、コゼ……。ところで緊急事態だって、イライジャ?」

 

 ロウだ。

 イライジャに視線を向けている。

 すると、イライジャが気を引き締めたような表情になる。

 

「シティに、アスカが現われたわ──。シティのあちこちでおかしな事件が連続して……。しかも、エビダスが水晶宮に潜入させていた手の者によれば、太守夫人を捕まえて、連れの女とふたりだけで、そのままイムドリス宮に乗り込んだということよ。ガドニエル女王を救出すると言っていたらしいわ」

 

 イライジャが言った。

 エビダスというのは、エルフ族の都であるエランド・シティに唯一ある冒険者ギルドのギルド長だ。

 

「ラザニエルお姉様が──?」

 

 ガドニエルが大きな声をあげた。

 

「いつの話だ? それと、ふたり連れというのはなんだ? 誰だ?」

 

 目の前のロウが真剣な表情になる。

 

「すべて、たった今よ──。ギルドに情報が一気に入ってきたの。連れの女の情報はまだないわ。とにかく、アスカのことをあなたたちに伝えようと……。それと、おかしな噂でシティが持ち切りなの」

 

「おかしな噂?」

 

 ロウが訝しむ顔になる。

 

「イムドリス宮のガドニエル女王は偽者だと……。なぜか、急にその噂が蔓延していて……。内容はともかく、誰が流したものなのか……。裏を取ろうと思ったら、アスカ出現の第一報がもたらされて……」

 

 ここでロウとセックス三昧をしているコゼたちに対して、イライジャはただひとりだけ、シティ側で情報収集をしていた。

 コゼはロウの上からおりた。

 すると、急にだるかった身体が軽くなる。

 ロウだろう。

 全員の服や武具が洞窟内に出現する。

 これもまた、ロウが亜空間にしまっていたものを出したに違いない。

 

「ガドはここにいるから、その噂というのは真実なんだが、急にそんな風聞が流れるなんて、罠のようなものも感じるな……。ガド、お前の魔道の復活具合は、まだ全盛期の四半分の三くらいか?」

 

 ロウだ。

 すでに立ちあがっている。

 コゼもまた、服を身に着けていく。

 ほかの女も一斉に衣類に手を伸ばした。

 全員が無言で服を着ていく。

 

「かなりの回復はしています。だけど、まだ完璧ではありません。ロウ様のおかげで魔道力もあがっているみたいで、以前程度であれば、すでに回復はしていると思うんですけど……」

 

 ガドニエルが言った。

 すでに身支度を終っている。

 魔道で支度をしたのだろう。

 

 それはともかく、この隠し谷の中で、コゼたちがやっていたのは、ロウの淫気の蓄積とともに、ガドニエル女王の魔道力の回復待ちだった。

 この間まで魔獣に姿を変えられていたガドニエルは、すっかりと魔道が乱れてしまい、魔道力の回復に十日ほどかかかるということだったのだ。

 ロウの亜空間で保護しているシャングリアとマーズに掛けられた死の呪術の除去には、ガドニエルの完全復活による光魔道が必要だ。

 それまでには、残り二日くらいと聞かされていた。

 だから、まだ、ふたりはロウの亜空間の中で時間を限りなく静止した状態で仮死状態のままだ。

 

 また、ふと見ると、スクルドもまた、ここにやって来たときと同じフード付きマントの装着まで終わっている。

 ほかの者は、コゼもそうだが、まだ下着をつけたくらいだ。

 それで気がついたが、ユイナについては、ただひとりなにもしていない。

 服は寄せているが、自分のものを確保したという感じで、着ようとはしていない。

 

「なにやってんのよ、ユイナ。早く準備しなさい。雰囲気でわかるでしょう。イムドリス宮に乗り込むのよ。アスカという魔女が出現したのなら、そいつを捕らえるのよ。そいつがイムドリス宮に行ったというなら、あたしらも行くのよ」

 

 コゼはユイナに声をかけた。

 

「はああ? なんで、あたしが……。あんたらと違って、ただのエルフ女よ。一緒に行っても仕方じゃないじゃない」

 

 ユイナがあっけらかんと言った。

 コゼはかっとなった。

 そして、仮想空間で記憶を消滅させられていたといはいえ、こいつが電車という乗り物の中でコゼにやった仕打ちまで蘇ってくる。

 

「あんたねえ……」

 

 コゼは蹴り飛ばしてやろうと思った。

 しかし、それをロウが留める。

 

「全裸がいいなら、そうさせてやれよ、コゼ……。ユイナについては、裸のままで連れ出すだけだ」

 

 ロウがにやりと微笑む。

 

「き、着るわよ──」

 

 ユイナが慌てたように服に手を伸ばす。

 すると、ロウが再び真剣な顔になり、ガドニエルに視線を戻した。さらに、スクルドにも目を向ける。

 

「ガドの魔道力とスクルドの魔道を繋ぐ。本調子でない部分は、ガドはスクルドから魔道力を借りろ。スクルドについてはガドの援助につけ」

 

「わかりましたが、そんなことがご主人様はできるんですか?」

 

 スクルドがきょとんとしている。

 

「女たちの能力を繋げることか? もちろんだ。ただ、そうすると、性感も繋がるけどな。そういう遊びは終わってからやろう」

 

 ロウがにやりと微笑んだ。

 スクルドがはにかんだように頬を赤くするのがわかった。

 相変わらずの淫乱巫女だ。

 いや、もう巫女じゃないか……。

 

「よろしくお願いしますわ、スクルド様」

 

 ガドニエルが言った。

 スクルドが小さく頷く。

 

「よし、準備ができ次第に突入するぞ。ただ、向こうで、なにが待っているかわからない。慎重に行こう」

 

 ロウが言った。

 女たちが一斉に大きく頷いた。

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