【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】 作:ドン・ドナシアン
「い、いやああああっ、パリス──。そ、そ、それだけは許してええ。後生だよう」
アスカは悲鳴をあげていた。
一方で、アスカの身体は、パリスに命じられたとおりに、ノルズの四肢を切断するための魔道を放とうとしている。
その瞬間──。
ノルズが短剣を抱えたまま、ダルカンの身体のパリスに飛び込んだ。
パリスがぎょっとしている。
「アスカ、やれっ」
パリスが焦ったように怒鳴る。
「命令」に逆らうことは不可能だ。アスカは心とは無関係にノルズに向かって攻撃魔道を放っていた。
「んがああああっ、あがああああっ」
パリスに向かう跳躍態勢のまま、ノルズの手足が付け根から吹っ飛んだ。
血が噴き出し、パリスに向かって跳んだ勢いのまま、胴体と頭だけになったノルズが、パリスにどんとぶつかる。
「ちっ、汚ねえなあ」
血しぶきを浴びてしまったパリスが、忌々しそうに腕を振って、ノルズの身体を床に叩きつけた。
「ノルズ──」
叫んだ。
慌てて、止血をする。
いや、しようとした……。
「あたしの治療をすんじゃない……。このまま──。このままだよ──」
だが、ノルズ自身が口を開いて絶叫した。
四肢を切断しろというのは、パリスの命令なので逆らえなかったが、治療については、まだアスカの自由意志にある。
だが、ノルズが自分を治すなと言ったことで、躊躇ってしまった。
しかし、なんで──?
激しく疑念が起こったが、ノルズの表情があまりにも必死だったので、とにかく、言われるままにした。
とはいっても、ノルズの身体は、そのために、だくだくと今も血を噴き出し続けている。
そのノルズの身体がごろごろと床を転がって、パリスに向かった。
パリスの足元で、パリスに血を擦るつけるように動く。
「く、糞ったれがああ──。や、やりやがったな──。アスカ、すぐに止血しろ──。血を全部消せ──」
切羽詰まったような口調で、ダルカンの身体の中に入っているパリスが怒鳴った。
パリスの慌てぶりが理解できなかったが、とにかく、アスカはノルズに治療をして、まずは切断した四肢の付け根からの出血を止める。
切断部に肉が張ったようになり、ノルズの出血がなくなる。
パリスによる全部の血を消滅させろという命令もあるので、床に飛び散った血とパリスの身体の表面にかかった大量の血を魔道で消した。
「仕込んでやがったのか──。この女──」
パリスが興奮したように、ノルズの顔を蹴り飛ばした。
「んぎいいっ」
ノルズが悲鳴とともに、壁に向かって吹っ飛ぶ。
しかし、パリスがノルズの顔を蹴ったときに、ノルズの鼻から血が噴き出し、パリスがそれを怯えるように、後ろに跳躍して逃げた。
アスカは、呆気にとられた。
「ははは、このあたしが……なんの準備も……なく……。お前の前に現れるかと……思ったかい、魔族野郎……。あんたの血が魔族だというのは……予想がついてた……。だから、魔族にしか効かない魔毒をたっぷりと全身の血に混ぜてたんだ……。あるところには、それがひそかに備蓄されていてね……。『魔族……殺し』の秘薬だ……。その……様子じゃあ……。効果ある……ようじゃないかい……。どうだい。結構、強い毒だからね……。お前が……息をしただけでも、あたしから出る血毒が混じって……身体に入り込む……。ははは、もう魔道も遣えねえだろう……」
まだ、鼻血を流しているノルズが勝ち誇ったように嘲笑の声を出す。
血に魔族用の魔毒を混ぜていた?
アスカは、ノルズが口にした内容に唖然としてしまった。
いや、そもそも、パリスは魔族だったのか?
長い付き合いになるが、アスカはパリスの本当の正体さえも知らなかった。
どんな種族の、どんな存在にも姿を自由に変えるので、まったくの正体不明だったのだ。
このところずっと、アスカの前ではパリスは、人間族の子供の恰好だったが、それは子供に嬲られることをアスカが一時期心の底から嫌ったので、それを面白がったパリスがあえて、人間族の子供の姿になったものだ。
そのときパリスは、人間族の子供の姿を取り込むために、アスカの前でわざわざ人間族の少年を惨殺したりしたのだ。
あいつは、自分が殺したり、あるいは、自分を殺そうとした相手の魂を乗っ取り、その姿と能力を自分のものにするの能力がある。
パリスの年齢が本当は何歳であるかというのは見当もつかないが、少なくとも、アスカよりも歳下ということはない気がする。
その長い人生のあいだに、パリスは何百人もの相手から、姿と能力を奪い続けてきたのだと思う。
だから、パリスはあらゆる種族、どんな性別にも、無数に近い存在になりきることができる。
そのため、パリスの正体は、アスカさえもわからなかったのだ。
しかし、パリスは魔族……?
それにしても、ノルズはよくそれがわかったものだ。
まあ、ノルズはもともと、アスカではなく、パリスに直接仕えていた者なので、それなりにパリスのことを知る機会はあっただろう。
だが、それはアスカも同じだ。
むしろ、パリスとの関係については、ノルズよりもアスカが遥かに深い。
それでも、アスカはパリスが魔族だというのは思いもよらなかった。
まあ、ノルズのことだから、アスカを救出してからも、パリスこそが真の敵だとして、精緻な調査を続けてきたのだとは思うが、改めてアスカはノルズの情報収集力と分析力の高さに舌を巻いた。
ましてや、それを見越して、魔族にしか効かない強力な魔毒を自分の身体に仕込むなど……。
それにしても、いつの間に……。
「た、ただ死ねるとは思うなよ、ノルズ……。およそ、残酷に殺してやるぜ……。生まれたのを後悔するほどにな……」
パリスが呻くように言って、ノルズを睨んだ。
すると、ノルズの嘲笑がさらに大きな声になる。
「やってみるんだね……。能力を……封じたあんたには……、もう、殺しても……相手から能力を……奪えないんじゃ……ないかい──? あんたみたいな……悪党に……力を奪われないで……済むと思えば……、せいせいするよ……。好きなようにし……な。だけど……、血が出ないように……した方がいいかもね……」
ノルズが鼻からだけでなく、口からも血を噴き出しながら笑い続ける。さっき、パリスが蹴り飛ばしたときのものだろう。顔の半分が紫色になってきたから、もしかしたら、顔の骨も折ったかもしれない。
「う、うるせい──。覚悟しておけよ、ノルズ──。おい、アスカ、ノルズの血を止めろ。治療術をかけろ。だが、斬った手足はそのままだ」
パリスが舌打ち混じりに言った。
アスカは急いで治療を施す。
命令でとめられていないので、出血するだけでなく、顔の治療もしたし、大量の出血で衰弱した身体の回復も施した。
弱々しくなっていたノルズが生気を取り戻したのがわかる。
「パ、パリス……?」
そのときだった。
パリスの魂が宿ったダルカンの身体が変化をしはじめていたのだ。
エルフ族の男だった身体は、すでに二回りほど大きくなり、身に着けていた装束や具足を突き破る。全体的に肌が黒く変色し、さらに背中に大きな羽根が──。
「パ、パリスなのかい、お前──」
アスカは流石に叫んだ。
姿を変えたパリスは、完全に魔族そのものの姿だった。
真っ黒い身体と頭には短いが曲線を描いている二本の角──。
なんといっても、背中についた大きな二本の羽根──。
これは鳥人族だろう。
アスカ城にもいなかったので、鳥人族の姿に接するのは初めてだが、確か、遥かな南の蛮地に追いやられた種族のはずだ。
ずっと昔の冥王戦争のとき、大部分の魔族は冥王とともに異界に封印されたが、いくつかの種族は冥王に加担しなかったことから、封印を免れて、この地に残ることができた。
淫気を食すために人間族に依存している淫魔族などがその例だが、鳥人族もそういう生き残りの種族だ。
ただ、封印されなかったといえ、魔族は瘴気がまったく存在しない地では、生きていくことができない。
言い伝えによれば、冥王が封印されたあと、この大陸からは次々に瘴気が消滅させられて、冥王に加担せずに、人間族に味方したはずの魔族たちも、この地から追放されてしまったのだ。
約束が違うと彼らは怒ったが、力の源を失った彼らにはどうしようもなかったそうだ。
淫魔族のような種族は自ら異界に逃亡し、それができなかった魔族たちは、南方荒地と称する人外地のさらに南方に移動して、まだ残っている瘴気の地に生存の拠り所を移していった……。
あまり世間にも伝えられていないが、ナタルの森の女王になるはずだったアスカは、この地で起こった冥王戦争と魔族追放の話を「歴史」としてしっかりと認識している。
なによりも、冥王戦争のあとで、瘴気封印にもっとも積極的に動いたのが、エルフ族だ。
そもそも、このナタルの森は、エルフ族、ドワフ族、人間族だけでなく、獣人族、そして、魔族たちの発祥の地である。
魔族が生存できる瘴気地帯も、このナタル森林にはあちこちにあったそうだ。
それをことごとく封印して、魔族を棲めなくしたのが、エルフ族なのだ。
エルフ族の傲慢な行いは、エルフ王家のみに伝える秘密の歴史として、代々に受け継がれている。
「おう、俺がパリスだ。本来の姿になったのは、何百年ぶりかな……。エルフ族に追放された一族だぜ。お前らは知らないかもしれねえが、俺たち種族は、エルフ族のやったことを一日たりとも忘れちゃいねえ。お前らへの恨みを子守歌のようにして育ったんだ」
すでに完全な鳥人族になっているパリスが喚いた。
やっぱり、南の蛮地からやって来た鳥人族の生き残りか……。
アスカは唖然としてしまっていた。
だったら、エルフ族に恨みを抱いていたのは当然だし、ナタルの森やそれを支配するエルフ王家に手を出したのも頷ける。
それだけでなく、もしかしたら、こいつの本当の目的は、ナタルの森に瘴気を戻して、魔族の生存の地そのものを復活させることであり、冥王などというのはどうでもいいことだったのかもしれない。
しかし、それよりも、アスカには驚いていることがある。
ノルズの仕掛けた血の魔毒により、姿を変える能力を封印されてしまったパリスは、魔族の姿に戻ざるを得なくなったようだが、大きな身体が妙にその線が細いのだ。
それだけでなく、破れた衣服に隠れてはいるが胸も膨らんでいるし、腰も細い……。
声もちょっと高くなり、男声にはもう聞こえない……。
「パリス、お前は女だったのかい?」
アスカは声をあげた。
すると、パリスの顔がみるみると真っ赤になる。
「やかましい──。ノルズをなぶり殺すまで、お前はその棒に跨って、せんずりしてろ。許可するまで、股を丸太の突起に擦りつけて、何度でもいき続けろ──。命令だ」
パリスが忌々しそうに言った。
ここには、ダルカンが死ぬ直前に、アスカをからかうために出現させた男根の尖端の突起がたくさんついている丸太棒が残っているのだ。
それに跨れという命令だ。
パリスが魔族であろうと、闇魔道の能力を失おうと、アスカがパリスに隷属の支配をされていることには変わりない。
アスカの身体は、アスカ自身の意思とは無関係に、丸太に近づいていく。
そして、勝手に跨り、さっそく突起に跨ってしまった。
魔道が切れているので、男根の先に似た突起は振動こそしていないものの、媚香で熟れきった股間がそれに刺激されて、たちまちにアスカは追い詰められた。
「あっ、いやあ、ああっ」
アスカは身を捩らせて声をあげてしまった。
「ははは、そのみっともない姿こそ、お前らに相応しいぜ……。さて、どうしてやるかな、ノルズ? 血を流さずに殺す方法なんて、いくらでもあるぜ」
「やってみるんだね。魔毒を仕込んだのは、血だけじゃないよ。唾、涙、汗、小便だって──。とにかく、あらゆる体液にお前らが嫌う魔毒が混じるように準備した。股汁だってそうさ。どうか、犯しておくれ。魔毒があっという間に、あんたの身体に染み渡るさ……。いや、その姿を見ると、どうやら、あんたは、あたしらと同じ女だったのかい? だったら、犯せないか」
すでに回復術によって元気を取り戻しているノルズが、大きな声でパリスを罵った。
「ち、畜生めが──」
パリスは怒りも露わにノルズに近づこうとしたが、途中で思い出したように、はっとしたように足を途中で止めた。
そして、ノルズから離れるように距離を取り、口惜しそうに歯ぎしりをする。
しかし、ふたりに気を回すことができたのは、ここまでだ。
擦りつけている股間から発生して蹂躙する快感が、アスカからほかに気をとられることを妨げる。
丸太の突起が、秘裂に挿さって、怖ろしいほどに敏感になっている肉芽とともに、甘い痺れを爆発させる。
「んんっ、あああっ、はああっ」
アスカは乳房を揺らして股間を丸太に擦りつけながら嬌声をあげた。
だが、はっとした。
突然に見えない力によって、ぐいと身体を丸太に向かって押されて、うつ伏せの状態にされてしまったのだ。
いや、誰かに後ろから抱かれている……。
驚いて、後ろを見るが、なにも見えない。
それにもかかわらず、確実にそこに誰かがいる。
アスカはぎょっとしてしまった。
おそらく、隠蔽の魔道だろう。
しかし、驚いたのは、アスカがその魔道を探知できないことだ。
つまりは、これをやっている術者は、アスカをずっと上回る魔道遣いだということだ。
だが、アスカはこれまでの人生で、自分を遥かに上回る高位魔道遣いなどに接したことがない。
「……受け入れてくれよ……。いろいろと抵抗はあるだろうが、いまは、パリスの隷属から脱するにはこれしかない。俺の支配を受け入れれば……、それでパリスの支配から逃げられる……」
耳元でささやかれた。
男の声……?
アスカが愕然とした。
しかし、あげようとした声が不思議な力で口を閉ざされることで封じられる。
粘性体?
唇に粘性体が浮かびあがり、ぴったりとアスカの口を封印してしまった。
それだけでなく、丸太を抱え込むようになってしまった腕や身体にも、おかしな粘性物が発生して、まったく動けなくなる。
男の手がアスカの腰を左右から掴んだ。
腰が持ちあげられて浮く。
股間になにかが入ってくる。
「んっ、んんっ」
呆気なく、アスカは見えない男根に股間を背後から貫かれてしまった。
その瞬間、怖ろしいほどの快感が沸き起こり、全身に甘い痺れが席巻した。
「んんっ、んんんっ」
すぐに律動が始める。
アスカはなにも考えられずに、悶え狂った。
得体の知れない相手……。
それに犯される……。
魔道で抵抗しようとは思う……。
だが、与えられる快感が強すぎて、とても集中できない。
快感が駆け昇る。
一瞬だけ、パリスを見た。
ノルズに向き合っているパリスは、こっちには気がついていない。
「んひいっ、んんんっ、んひいいっ」
後ろから感じる場所を男根の先で集中的に強く擦られる。
気持ちよすぎて、腰の動きがとまらない。
いつしか、アスカは背後の男に合わせるように、淫らに自分の腰を動かしまくっていた。
腰の痺れが身体全体に席巻する。
もう身体が暴走して、意思の力ではどうにもならない。
「んんっ、んぐううっ、んぐううっ」
快感がせりあがる。
子宮が溶け落ちると思うほどに熱く燃えあがる。
あっという間に意識が怪しくなり、快感に翻弄されて身体が痺れきる。
「そうだ──。おい、アスカ──。俺を解毒しろ──。すぐにだ──。命令だ──。んっ、なんだ?」
そのとき、パリスが思い出したように、アスカに向かって声を張りあげた。
だが、アスカの様子が不自然なことに気がついたのだろう。
訝しむような声をあげた。
しかし、もうアスカはそれどころじゃない。
怒涛のような快感に身体の芯まで痺れ切り、自我さえもなくしていた。
言葉では理解しても、パリスの命令が頭に届かない。
「やっと、その方法に気がついたんだな。だが、もう遅い──」
背後の男はしっかりとした声を発した。
一方でアスカは、粘着体で拘束されている身体を限界まで弓なりにして、がくがくと身体を痙攣させた。
最高の絶頂に呑み込まれたのだ。
貫かれている男根の先から精が迸ったのがわかった。
大きな白い光に頭が包まれた気がした。