【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】 作:ドン・ドナシアン
“アスカ(ラザニエル=ナタル)
エルフ族王家嫡女
エルフ族、女
年齢:***歳
ジョブ
魔女(使徒)↑
魔道遣い(レベル150:限界突破)↑
戦士(レベル5)
生命力:200↑
攻撃力:50
魔道力:15000↑
経験人数
男***、女***
淫乱レベル:S
快感値:100(通常)↓
特殊能力
逆行:未覚醒↑
状態
一郎の性奴隷↑
淫魔師の恩恵↑
*
「こ、小僧──」
アスカは激怒して叫んだ。
しかし、すでにロウは、素知らぬ顔で寝台をおりており、自分で衣服を身に着けようとしている。
いや、ほとんど着終わっている。
一方でアスカはまだ寝台の上で、やっと身体を起こしただけの裸だ。
ロウとの交合のあいだ、アスカを拘束していた粘着体は、裸体から消滅していた。
もっとも、完全な全裸ではない。
股間に黒い革の下着をはかされていた。
革の生地が厚くて、外からの刺激はまったく伝えないような材質でできたものであり、端の部分には金属の細い糸が入っているらしく、しっかりとアスカの股に喰い込んで、指一本すら入らない感じだ。
それだけじゃなく、内側に大小二本の男性器をかたどったディルドがアスカの前後の股間を打ち抜いているのだ。
さらに、外側の固い材質からは信じられないくらいに内側が柔らかく、しかも、無数の小さな球体を思わせるものがあって、それがいやらしく動き回ってアスカの股間を刺激するのだ。
つまりは、アスカは、ほんの少し気を失っているあいだに、このロウによってディルド付きの貞操帯を装着されてしまっていたのだ。
「まだ、小僧呼び? まあ、いいけどね。それよりも、どうしたのさ、ラザ……。服を着なよ。脱がして取りあげたものは、そこに置いておいたよ。早く着るといい」
ロウが笑いを我慢するのを耐えられないような表情で、寝台の横の小さな台を示した。
なるほど、確かに服がある。
アスカは、さっとそれを手に取る。
「あんっ」
だが、そのちょっとした動きで、革の下着の内側の異物が跳ね動き、アスカに甘い声を出させた。
さっきも、上体を起こしただけで、強い刺激を与えられてしまったので、この貞操帯がどんなにえげつなく、アスカの股間を責めたててくるのかよくわかっている。
「くうっ、はあ、はあ、はあ……。ま、まさか……。こ、このわたしがこんなものを……」
アスカは、早くも息があがってしまっていた。
しかも、案の定、そこにおいてある服の中には、下半身に身に着ける下着だけがない。
この男が取りあげたままなのだろう。
「だ、出しなよ、下着をね──」
「下着は身に着けているじゃないか。それは、特別なものだよ。ラザ専用の淫具だ。内側の球体もディルドの揺れも、ラザを責めるために、一番都合がいいような構造になっている。しかも、絶対に慣れることがないように、常に球体の位置は変化する。ディルドもね。愉しんでくれ」
ロウがくすくすと笑う。
アスカはかっとなった。
「こ、こんなものが下着であるものかい──。この忌々しいものを外すんだよ、小僧──」
アスカは感情のまま怒鳴った。
「だめだね。ラザは、俺の性奴隷になったんだからね。これは儀式のようなものさ。多分、数日のことだから、我慢してもらうよ。俺がハロンドールに帰るときには外してあげるから」
「お前が帰るとき? 数日──?」
アスカは、ロウのあっけらかんとした口調の言葉に、思わず絶句した。
数日間とか言っているが、もしかして、こいつは、この忌々しい淫具をアスカに数日間もつけっぱなしにさせるつもりなのか?
信じられない……。
アスカは、今度は怒るよりもむしろ、びっくりした。
「気絶したら罰だと言ったぞ。あんたも合意した。そして、気絶した。だから、それというわけさ」
ロウがにんまりと微笑んだ。
そんな賭けを受け入れた覚えはない。
しかし、しなかったという自信もない。
ロウとのまぐ合いが終わったばかりの、イムドリス宮の一室だった。
激し過ぎる交合の末、どうやらアスカはロウに精を放たれるとともに、失神をしてしまったようなのだが、寝台の上で目が醒めると、こういう状況になっていた。
つまり、アスカは股に卑猥な淫具付きの貞操帯をはかされて寝かされていて、すでにロウはアスカから離れて身支度をしているという状況だ。
それで、思わずかっとなって怒鳴ってしまった。
そして、怒鳴ったことで思い出した。
そもそも、ロウとの交合は、このロウから淫魔術を結んでもらい、その能力によって、アスカに刻まれているパリスの呪術を解呪してもらうとともに、なによりも、パリスに埋め込まれたあいつの「命の欠片」を取り出してもらうためものだったのだ。
それはどうなったのか?
「そ、そうだ、小僧──。解呪は……」
「問題ない……。ところで身体はどう?」
ロウが急に心配そうな表情になって言った。
アスカはむっとした。
「身体がだるくて千切れそうだ。誰かさんのせいでね……」
「いや、そうじゃなくて、身体に異常とか……。それと、使徒とかいう言葉に覚えは?」
ロウが言った。
よくわからないが、なんだが一転して真面目な表情になっている。
しかも、アスカを凝視して首を傾げている。
もしかして、なにか鑑定術のようなものをしている?
「使徒だと? 使徒がどうしたんだい?」
それはともかく、アスカはロウの発した言葉を思わず繰り返した。
なんで突然に“使徒”などと?
こいつは、エルフ王家の伝承について、なにか知っているのか?
「えっ、もしかして、使徒という言葉を知っているのか?」
だが、ロウは逆に驚いたような顔になった。
なんなんだ、こいつは?
使徒という言葉に覚えがあるから、口にしたんじゃないのか?
「女神たちの古い言い回しだよ……。エルフ王家には伝わっているけどね。とにかく、使徒とは女神のことだから、エルフ族の王に男王ではなく、女王がつけば、使徒と呼ぶこともある。まあ、古すぎて、こっちでも廃れた表現だけどね」
「えっ? エルフ族の女王が使徒? じゃあ、ガドも?」
「まあ、そういうことになるかねえ。だけど、古い言い回しさ。もう、そんな呼び方はしないよ。逆に、エルフ族の女王を“使徒”呼ばわりすれば、不敬になるからね。ほかのエルフ族の前で口にするんじゃないよ……。それと、ガドニエルを“ガド”と呼ぶのも、ほかのエルフ族のいないときだけだ。大変な騒ぎになるからね」
「それくらいはわきまえているよ。あんたのことも、ちゃんとラザニエル殿下と呼ぶさ。それよりも使徒の話だ。使徒というのは、女神のことということで間違いないんだね?」
「まあね。だけど、さっきも言ったけど神話の話だよ。アルティス神の末裔がエルフ族の王家になったんだ。だから、使徒の呼称はなくなった。しかし、人間族の神殿には伝承すらもない物言いじゃないのかい? そっちの神話では、女神を使徒呼ばわりはしないだろう?」
「それって、クロノス神話とやらのこと? スクルドたちの口にする神話と、エルフ族の神話は違うのか……。あれ、もしかして、そんなことを教えられたかなあ……。いや、教えられてないか……」
ロウはまたもや首を傾げている。
だが、アスカもまた、首を傾げた。
こいつは、なにを疑念に感じ、なにを不思議がっているのだろう。
いずれにしても、“使徒”というのは、クロノスに支配された女神たちのことを指す。少なくとも、エルフ族に伝わる神話ではそうなっている。
しかしながら、ローム帝国から拡がった人間族の神殿では、クロノスの女たちのことを“使徒”とは呼ばないのだ。
そもそも、同じクロノス信仰ではあるが、ローム帝国で生まれたクロノス信仰と、エルフ族に伝わっているクロノス信仰では、幾つかの点で違いがある。
例えば、人間族の神殿では“クロノスに仕える”という言い方をする。
一方で、エルフ族の神殿では、“クロノスに支配される”という表現だ。
また、人間族では巫女が祭祀の主役となるが、エルフ族の神殿には、エルフ族の守り神であるアルティス以外は、祭祀に加わることができない。だから、エルフ族の神殿には巫女そのものがいないのだ。
従って、ガドニエルが女王になってからは、王家といえども、神殿の祭祀には女王は関わっていない。
ほかにも多くの違いがある。
ローム教会を中心に拡がる人間族の教会には、クロノスの像はなく、クロノスの座る椅子がある。像は女神の像だけだ。
それに比べて、エルフ族の神殿には、逆にアルティス以外の女神像はなく、クロノス像だけが飾られる。
面白い違いだと思うが、さすがのアスカも、神殿にはほとんど関わっていないので、なぜ違っているかなど知らない。
だが、それがどうしたのだ?
「使徒とは女神のこと? それでほかには? 使徒になったら、なにか変わるとか。あるいは特殊能力が授かるとか?」
「なにわけのわからないことを……。使徒になるってどういうことだい? 使徒は女神のことだと教えただろう。天空神クロノスに仕える女神たち、正妻のメティス、エルフ族の女神のアルティス、人間族の女神のへラティス、ドワフ族の女神のミネルバ、多淫のテルメス、そして、魔族と冥界の神であるインドラ。これが使徒だよ」
「あれ、女神って、獣人族の女神は?」
「追放されたモズかい? それは含まないよ。嫉妬に狂ってクロノスを裏切った獣人神のモズは、クロノスに追放されて使徒の権利を失うんだ。だけど、どうしたんだい? 神話に興味があるのかい?」
アスカは言った。
だが、ロウは考え込むように首を傾げ続けている。
なんなんだ?
アスカは訝しんだ。
「うわっ」
そのとき、突如として、股間のディルドが動き出した。
しかも、一緒にクリトリスまで同時に激しく刺激される。
「んひいいっ、あはあああ」
アスカは股間に手を当てて、寝台でうずくまった。
だが、かなり振動が激しい。
一気に快感が上昇して、達しそうになる。
ところが、急に振動が切断された。
アスカは脱力した。
「まあいいか……。その話はいずれ聞かせてくれよ」
ロウが言った。
「な、なにを……。そ、そんなことよりも、い、いまのはなんだい――?」
アスカはまだ寝台でうずくまったまま、顔だけをあげてロウを睨んだ。
こいつが股間の淫具を動かしたに決まっているが、わざとらしく知らん顔をしている。
アスカはかっとなった。
そのときだった。
急に外の気配を感じたのだ。
「おっ? 戻ったかな……。いずれにしても身体に異常がないならいいさ」
「異常はあると言っているだろう。お前に抱き潰されて死にそうだよ。しかも、この忌々しい淫具を外せと言っているだろう。そ、それにさっきはなんだい? せ、説明しな――」
アスカは叫んだ。
一方で、外の廊下に通じる扉が勢いよく開いて、ガドニエルを先頭にロウの女たちが入ってきた。
エリカのほかには名前と簡単な素性しか知らないが、コゼ、イライジャ、ユイナという名の者たちだ。
それぞれに、布、飲み物、軽食類、そのほかの身支度のための小物といったものを抱えている。
「わっ、ご主人様、服を着ちゃったんですか? ええっ、あたしたちのお相手をしてくださると思ってたのに──」
「ま、待ってよ……。わ、わたしが先よ……。ね、ねえ、ロウ、ま、また、疼いてきたのよ……。あ、あんたの装着した得体の知れない女淫輪よ──。な、なんとかしてって──。も、もうおかしくなってきたわ……」
「なんで、あんたが先なのよ──。身の程をわきまえなさい、奴隷──」
「あんたも、似たようなものじゃないのよ、元奴隷──」
コゼとユイナが手に持っていたものを台に置くと、いきなり、口喧嘩しながら、先を争うようにロウにしがみついてきた。
ロウがふたりに押されるように、寝台に座り直してくる。
甘えるように抱きついてくるふたりを両側から抱えるようにしながら、ロウがふたりを宥めるように、それぞれの頭を軽く叩いた。
「待てよ、お前ら……」
ロウが苦笑している。
ただ、気分を悪くしている様子はない。
まるで甘えん坊の子供をあやしているかのような鷹揚な態度だ。
アスカは、コゼたちふたりのロウへの我が儘な態度にも、ロウの甘さにも、不思議な苛つきを感じてしまった。
小さく舌打ちする。
「コゼ、ユイナも待ちなさいよ──。ロウ様が困っているじゃないのよ。離れなさい──。……ところで、ロウ様、お水です。ご苦労様でした……」
エリカが水差しから盃に注いだ水をロウに差し出している。
「ど、どうぞ、アスカ様も……」
ロウが受け取ったあと、アスカに渡された。
エリカの態度はどことなく、余所余所しい。
アスカに、どういう態度をとっていいかわからない感じだ。
まあ、アスカも同じだが。
「もらうよ……。ありがとよ、エリカ」
水はすっかりと冷えている。
魔道で冷やしたのだろう。
いつの間にか、杖なしにこんな魔道もできるようになったらしい。
何気無くやっているが、盃に充たした水を凍る寸前の冷たい状態にするのは、なかなかに制御技術のいる魔道だ。
エルスラと名乗ってアスカといた頃には、魔道をうまく操るために、アスカが手渡した特殊な杖で魔道を増幅していたので、大した成長だ。
飲んだ。
アスカも激しいロウとの交合で喉が渇いていたようだ。
水はとても美味だった。
ふと見ると、ロウの方では、もう奉仕合戦が始まっている。
エリカとコゼとユイナが先を争うように、ロウに軽食やら、水のお代わりやらを渡そうとしている。
なんだこれ?
アスカも騒々しさに面食らった。
「……ところで、ユイナ……。あんた、いま、ロウを呼び捨てにしたわね。お前はロウの奴隷になる条件で生かしてもらっているのよ──。せめて、“ご主人様”と呼びなさい」
嗜めるような言葉を告げたのはイライジャだ。
「いいじゃないですか、イライジャさん。こいつも、駄目だって言わないし。どう呼んだって、構わないって言ってるんです」
ユイナがイライジャに向かって頬を膨らませた。
「けじめってものがあるでしょう──。そもそも、お前の保護者はわたしってことになってんのよ。恥をかかせないで」
「だ、だったら、こいつに言ってよ。得体の知れない淫具をわたしから外せって──」
ユイナが顔を真っ赤にして、怒鳴り声をあげた。
「外してはやらんよ、ユイナ。俺はそういう鬼畜が大好きなのさ。甘えた声でおねだりができたら、精を注いてやらんでもないけどね」
ロウが笑っている。
「ご主人様、コゼのお股に精をください。お尻でもいいです」
すると、ユイナの反対側のいるコゼが甘えた声で、さらにロウにぎゅっと抱きついた。
「やめなさいよ……。それで、ロウ様、解呪はどういうことになったのですか?」
エリカだ……。
一方で、コゼとユイナはまだ言い争いをしている。
本当に騒がしい女たちだ。
アスカは圧倒されるとともに、呆れてしまっていた。
また、ロウにしてもそうだ。
とことん女扱いが甘い。
「鬼畜だ、鬼畜だ」と自分のことを自称する癖に、自分の女を甘やかし放題ではないか。
これは、なんなんだ──。
「まあ、ロウ様──。わ、わたしもロウ様にお甘えしたいです。どうか、雌犬のガドにしつけを……」
そのとき、ガドニエルがいきなり、ロウの足のあいだに跪くようにして強引に割り込んできた。
アスカは唖然とした。
「ガ、ガドニエル──。お前は──。はううっ」
アスカは腰をあげかけたが悲鳴をあげた。
突然に、またしてもディルドが、しかも前後で同時に振動を始めたのだ。さらに、貞操帯全体で表面の球体が縦横無尽に動き回る。
そんなに激しい振動ともいえなかったのに、脳天まで突き抜けるような疼きがそこから沸き起こる。
アスカは、一瞬にして、頭が白くなりかけた。
「うわあっ」
アスカは股を拡げたようなみっともない恰好でひっくり返ってしまった。
「お、お姉様? あれ──? なんですか、それ?」
ガドニエルがやっとアスカに気がついたかのように、こっちを見る。
「あら、また、調教用の貞操帯? ロウ、あんたも好きねえ……」
イライジャとやらが呆れるような口調で言った。
一方、エリカは「アスカ様にまで?」と驚いている。
ほかの女たちも、それぞれにアスカに注目してくる。
「気に入ったようだな、ラザ──。それと、エリカ、もうアスカはいない。ラザニエルだ。俺の性奴隷になったな」
ロウが愉しそうに言った。
すると、振動がとまった。
アスカは、ロウに向かって、口を開こうとした。
だが、再び、振動が開始した。
「んぐううっ、と、とめないか、小僧──。うあああっ」
立て続けのディルドの振動に、アスカも絶叫した。
とにかく、開いた股を閉じるとともに、眉を寄せて、アスカは身体を震わせた。
ロウの悪戯に決まっているが、これは気持ちよすぎる。
アスカの股間の気持ちのいいところを集中的に責めてくる。
我慢できない。
「俺はなにもしてないよ。ただ、不規則に、そして、不定期に動くように、あらかじめ細工をしているだけさ。いつ、どんな間隔で動くかだなんて、俺にもわからないよ……。まあ、そんなに長い時間は動き続けないと思うから、安心してよ……。ラザも、水晶宮でいろいろと仕事をしないといけないだろうしね……。その邪魔にはならないようには気を使ったつもりさ」
ロウが笑った。
その言葉の通り、すぐに振動は停止してくれた。
だが、これが気を使って、手加減をした責め?
アスカは、すぐには口をきくことができず、しばらく、荒い息を整えようとすることしかできなかった。
「ま、まあ──。お姉様も雌犬調教を受けているのですね。それに、さっきから“ラザ”って……。しかも、もしかして、責め具をつけっぱなしにして生活をするのですか? ロ、ロウ様、羨ましいです。わたしも、もっと躾けてください。お姉様と同じように──」
ガドニエルだ。
しかも、これがエルフ族の最高権威の女王かと疑いたくなるくらいの甘え声を出している。
本当に、この馬鹿女王は……。
「わ、わたしは、そんなつもりはないよ、小僧──。外しな──。いいから……」
アスカは怒鳴った。
「いいから、いいから……。大変だと思うけど、装着しっ放しにする。だけど、ラザ。おしっことうんちは特別に魔道で外に出していいよ」
「はああ?」
こいつはなにを言ってるんだ――。
「とにかく、それは魔道じゃあ外れないから。もちろん、淫具を制御することも不可能だ。いつ動くかわからない淫具を装着して、びくびくしながら暮らすことを覚えてくれ。それが俺の性奴隷になるということさ」
ロウが愉しそうに言った。
くそう……。
こいつがそういう限り、本当にアスカには外せないし、どうにもならないに違いない。
確かに、アスカの魔道では無理だろう。
それは感覚的にわかる。
ロウも笑ってはいるものの、冗談で言っている雰囲気はない。
だが、魔道……?
その言葉でわかったが、アスカの中の魔道が復活している。
そして、はっとした。
しかも、これは……?
アスカ自身がびっくりするほどの凄まじいほどの理力が全身にみなぎっていた。
そういえば、ロウに淫魔術で支配されると、その女は自分の能力が跳ねあがるとか口にしていたか……。
つまりは、アスカも、その恩恵とやらを受けているに違いない……。
しかし、これはすごい……。
アスカも、自分で驚いた。
「それで、ロウ様、お姉様の解呪はどうなったでしょうか?」
ガドニエルがロウの足の間の場所を確保したまま、やっとそのことを訊ねた。
「ほらっ」
ロウがアスカの前に、両手を拡げる仕草をする。
次の瞬間、寝台の上に、黒っぽい拳ほどの大きさの球体がふたつと、親指大ほどの肉片のような塊が出現した。
ロウの能力で収納していたものだろう。
肉片に似た塊については、まるでこれそのものがひとつの生き物であるかのように、呼吸のような収縮を繰り返している。
これがパリスの命の欠片であるに違いない。
ほかの球体は、魔瘴石だろう。
すべてが、アスカを支配し、アスカをしてパリスやパリスの手下の奴隷であることを強要してきた、呪術の道具だ。
長い長い年月のアスカの「囚人」生活の象徴だ。
これが、ついに……。
感無量だ。
そうか……。
取れたのか……。
ロウのおかげで……。
つんと鼻の奥を刺激するものが襲った気がした。
「すべて異常なく外れたよ……。ラザが心の底から俺に屈服してくれたからね。もっとてこずるかと思ったけど、案外に呆気なく剥がれた……。まあ、ラザがマゾでよかった。こんな風に強気で喋るけど、閨では大人しかったし可愛かったよ……。俺に堕ちるのも積極的だったしね……。だから、たったの一回の射精でかなり深いものを刻めたのさ。いずれにしても、あらゆる意味で、ラザはもうパリスの支配は受けていない。今後も、それが復活することはない。請け負うよ」
ロウがきっぱりと言った。
アスカはほっとした。
全身が脱力するのがわかった。
しかし、こいつも、もっと言葉を選べないのか……。
アスカが積極的に、ロウに甘えたなど恥ずかしいだろう……。
「あ、ありが……。ひ、ひいいっ」
ロウに向かって頭をさげようと思ったとき、またしても、淫具が動き出した。しかも、お尻側だ。
アスカはもんどりうってしまった。
「おかしいなあ……。こんなに連続で刺激するわけないのになあ……。まあ、不規則で動くように設定しているから、俺にも予想はできないのは本当だけど……。それにしても、本当に気持ちよさそうだな、ラザ。挿入している淫具の形状や動きは、ラザが弱い場所を集中的に刺激するように、徹底的に淫気を刻んで作っているからね。絶対に快感からは逃げられないよ」
ロウが笑いながら言った。
アスカは歯噛みした。
この男には本当に感謝もしているが、ほかの者の前で淫具で辱めを受ける羞恥を味わわされるとあっては、その感謝も口にしたくなくなる。
「お、お姉様ばかり、ずるいです──」
そのとき、ガドニエルが本気の口調の抗議をした。
「ふ、ふざけるな──。いつでも交代してやる。こいつに言え──」
本気で怒鳴った。
なにが面白いのか、ロウが愉しそうに笑った。
アスカは歯噛みした。
しかし、まあいいか……。
ロウの性奴隷になるというのも、確かに約束だ。
こんな仕打ちや辱めに耐えなければならないというのは、その範疇だろう。
パリスの奴隷状態から解放してもらい、アスカだけでなく、ガドニエルやナタルの森そのものを救ってくれた恩人だ。
受け入れるか……。
もっとも、そんな風に思考してしまうのは、すでに、こいつに支配されているからかもしれないが……。
まあ、本音を言えば、ちょっとぞくぞくするというのも嘘じゃないし……。
アスカは諦めの嘆息をした。
「……それにしても、気味の悪い命だね」
アスカは、思念を戻して、寝台の上に無造作に拡げられているパリスの命の欠片を手に取った。
ぎゅっと拳に包む。
こんなものに……。
次の瞬間、パリスの命の欠片は、ちりぢりになってただの波動になって消滅した。
部屋全体に、強い突風のようなものが発生して、それもすぐになくなる。
正真正銘、これがパリスの最後だ。
本体は、まだ水晶宮の前で、死の一歩手前の状態で晒されているのだと思うが、もはや、アスカがパリスに支配されることも、連中に怯えることもない。
「おめでとうございます、お姉様。これでなにもかも大丈夫ですね」
ガドニエルが満面の笑みを浮かべて言った。
アスカもほっとして、笑顔を浮かべた。