【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】 作:ドン・ドナシアン
「おめでとうございます、お姉様。これでなにもかも大丈夫ですね」
ガドニエルがアスカに微笑みかけてきた。
心からほっとした表情だ。
アスカも思わず、もらい笑いを浮かべる。
だが、すぐにもう一方の二個の石に意識を向けた。
こちらもまた、アスカの体内に長く入れられていて、アスカほどの魔道遣いを隷属させる材料に使われたものだ。
知られている魔瘴石とは異なり、パリスが手を加えて改良したものでもある。
「ガドニエル、こっちの球体ふたつは魔瘴石だ。持っていって調べさせな。なにかの参考になるかもしれない。これを調べれば、逆に瘴気の制御についても、わかるものがあるだろう。お前に任せるよ」
「わかりました、お姉様」
ガドニエルが手をすっと前に出す。
収納魔道を遣ったのか、目の前の球体がなくなった。
「感謝するよ、ロウ……。これをもって、アスカという女は正真正銘いなくなった……。ガドニエルともども、ナタルの森を守る王家の者として、お前に……、いや、ロウ=ボルグ殿……、あなたに感謝を……。感謝という言葉じゃ足りないが、いまは、感謝の言葉しかない。本当にありがとう……」
アスカは寝台の上で姿勢を正して、両手をついて頭をさげた。
ガドニエルがそれに倣うように、ロウからちょっと離れて、同じように床に両手をついて、ロウに頭をさげる。
「んぐううっ」
しかし、その瞬間、またもや淫具が動き出して、アスカは身体を弓なりにして、全身を痙攣させた。
淫具が動く瞬間が気持ちよすぎるのだ。
動いているあいだは言葉を吐くことができないまま、股間に両手を当ててぶるぶると身体を震わせていた。
だが、すぐに淫具はとまる。
アスカはがっくりと脱力した。
それにしても、この淫具は快感が大きすぎる。
あまりにも淫具から受ける衝撃が強すぎるので、それが静止することで、なんともいえない焦燥感や飢餓感というものを感じるくらいだ。
「おかしいなあ……。こんなに連続で刺激するほどには淫気は込めなかったんだけどねえ……。もしかして、この部屋には淫気が豊富すぎるのかな? まあ、そのうち落ち着くだろうさ……。それまで、頑張ってな、ラザ」
ロウが頭を掻きながら言った。
言葉や仕草は申し訳なさそうな物言いだが、表情と口調は、ただ面白がっているだけということがわかる。
アスカも腹がざわりと煮える。
畜生……。
「だ、だったら、外すんだよ、小僧──。それにしても、お前は人が真剣に礼をしているのに、なにもかも台無しにするねえ」
アスカは声をあげた。
「本当にずるいですわ、お姉様ばかり」
横からガドニエルが見当違いの抗議をした。
「ね、ねえ、ロウ、わたしも、どうにかしてよ──。だんだんと疼きが強くなるのよ──。足を舐めるわよ──。ねえ、舐めるから」
そのとき、耐えられなくなったかのように、女たちのひとりが泣き声をあげて、ロウの足にしがみついた。
ユイナだ。
ただ、様子がおかしい。
さっきもすでに赤かったが、顔がさらに上気して汗びっしょりだ。
身体が小刻みに震えているし、股間に手を当ててまるで自慰でもするかのような仕草で、太腿を擦り合わせている。
そういえば、こいつも、なにかの淫具を装着されていると口にしていたか……。
しかし、さっきのいまで、もうこんなに追い詰められている……?
「ははは、ユイナもだいぶ頭に来ているようだな。だが、悪いがみんな待ってくれ。ここに囚われていたエルフ女たちが大勢いただろう。彼女たちを抱いてくるよ……。さっき、ちょっと試してみてね……。それで、淫魔術さえ刻めば、彼女たちの正気も元に戻せることがわかったんだ。後遺症も多分完全に無くせる。だけど、さすがに人数が多いから時間もかかる。それに、すでに、シティ側の収容所に連れていったんだろう? だったら集めて片っ端から抱くというわけにいかないし……。とにかく、ガド、手配してくれ」
ロウが言った。
そう言えば、そんなことをアスカを抱きながらロウが言っていたっけ……。
狂った頭を正気に戻すことは魔道による回復術でも難しいので、そうしてくれれば助かるが……。
「ほ、本当ですか、ロウ様──。そんなことが──? ぜ、是非、お願いします」
ガドニエルががばりとロウに顔を向ける。
媚薬の吸いすぎですっかりと頭をやられて正気を失っている女たちは、ほとんどがここでガドニエルの世話をしてくれた侍女や、あるいは、親衛隊の女兵の者たちだ。近傍の里から騙されて集められた娘や人妻も含まれている。
ガドニエルも諦めていただろうが、ロウがなんとなると請け負ったことで嬉しそうだ。
「わ、わたしが先よおおっ──。あ、あんた、絶倫なんだから、一回くらい大丈夫でしょう。そんなの待ってたら、夜中か、下手すれば朝までかかるじゃないの。死んじゃうわよお」
ユイナが悲鳴をあげた。
「いい加減にしなさい、ユイナ──」
イライジャが横から怒鳴った。
「呆れたねえ、小僧──。お前、女に甘いのもいいけど、ハレム主を気取るなら、女扱いはしっかりとしな。お前は、自分の性奴隷たちに、甘すぎだよ」
アスカも、さっきからのあまりものわがまま放題のロウの女たちの態度に、思わず横から説教口調で口を挟んだ。
「ハレム主を気取るつもりも、かといって、甘いつもりはないけどね……。まあ、彼女たちには愉しませてもらっているだけさ。それに、俺は鬼畜男だよ。甘くなんてないよ。それとも、ラザの貞操帯をもっと激しく動くように変えてやろうか。鬼畜が足りないならね。振動だけでなく、何度かに一度は電撃なんてどうだ? ほら、鬼畜だろう?」
ロウが笑った。
アスカは「ひっ」と声を出して身構えてしまった。
これ以上、悪戯されて堪るものか──。
まさか、電撃?
ぞっとした。
ロウがアスカの態度に満足したように、にんまりと微笑む。
「……でも、お姉様って、ちょっと雰囲気が変わりましたか? いえ、変わってます。ちょっと若返ったような……。それに、憑き物が落ちたかのようなすっきりとした顔です」
そのとき、ガドニエルが改めてアスカの顔を凝視するように覗き込み、小首を傾げながら言った。
アスカは訝しんだ。
「そ、そうかい……?」
自覚はない。
だが、他の女たちもアスカの顔にまじまじと視線を向け、納得するように頷いている。
そうなのだろうか……?
「ラザは、ここで水晶宮の太守として、これからナタルの森の立て直しに尽力することになる。事実上の女王としてね。だから、いろいろと、アスカだった頃のことを知っている者が現われても困るだろう? だから、印象が変わるように淫魔術で若くさせてもらった。おそらく、こっちから言わなければ、ラザがアスカ城の魔女だったということに気がつく者は皆無さ」
ロウが言った。
驚いた。
確かに抱かれているあいだに、同じことを言われたが、そんなことまで淫魔術はできるのだと感心した。
まあ、アスカの魔道なら、外見など好きなように変えられるが、それにしても、この男は女に対して、よく気が回る。
「……ところで、ガド──。……というわけで、ラザとも話し合った。女王問題は、第三案で行くことになった。ラザの
「まあ、そういうことになったんですか……。わたしは、ロウ様たちとご一緒して、もう片時も離れたくないのですが……。第一案が望みでした……。でも、半年くらいのことですよね……。我慢いたしますわ」
ガドニエルががっかりしたように、首を項垂れさせた。
アスカとガドニエルのどちらが、女王を継ぐのかという話のことを語っているようだが、第三案と口にするところを考えると、単純にアスカに女王を押しつけるという話以外にも、いくつかの案を話し合っていたのだろう。
しかし、アスカとしては、同意したとまでの覚えはない。
さっきの閨での話し合いは、イムドリス宮を水晶宮側ではなく、ハロンドール側に繋いで、ガドニエルは女王のまま姿を隠匿してしまうという提案だった。
アスカとしても、拒否すれば、ロウとガドニエルは、かつてのアスカのように、強引に駆け落ちさえしかねないので、とりあえず頷いただけという気分なのだが……。
そもそも、こいつは、アスカがカサンドラに変わる水晶宮の太守になるとか口にしているが、なんの権利があって勝手なことを……。
まあ、もうカサンドラには太守を任せることは不可能だろうし、それが妥当なことだというのはわかるが……。
「だから、みんな──。事情が変わった。態勢が整い次第、ハロンドールに戻ろうと思う。今度は公爵を目指すぞ──。ガドと正式に婚姻を結ぶには、それが必要なのだそうだ。俺が公爵になれば、ラザも責任をもって、ここの族長会議とやらを動かすそうだ。ガド、待っていろ──。お前のために、出世してやろう。約束する」
ロウが事も無げに言った。
アスカだけではなく、何人かの女を除いて、多くの女たちが目を丸くした。
「まあ、出世などどうでも……」
当のガドニエルまで、困惑したような顔をしている。
そういえば、公爵になれば、エルフ族王家と呼ばれる連中の説得にあたってやろうとは言ったが、一介の冒険者が公爵などに簡単になれるとでも、本気で思っているのか?
人間族の貴族社会も、なにかの手柄をたてれば、出世するというようなものでもないはずだが……。
「阿呆じゃないの──。公爵ってなによ──。馬鹿なの、あんた? それよりも、わたしを抱いてよ。もう苦しいのよおお」
ユイナが遠慮のない罵声を口にした。
「いや、実は大公の話があるみたいなんだ。向こうで色々とあってね。俺の子をハロンドールの王太女が孕んでいるんだ」
「孕もうがなにしようが、成りあがりがハロンドールの次期女王の王配になれるわけないでしょう――。それよりも犯してったらあああ」
ユイナが絶叫した。
「いい加減にしなさいよ、このエルフ奴隷──。その口に短剣突っ込むわよ。ご主人様が公爵になるというなら、なれるわよ」
横でコゼが金切り声をあげる。
「さすがは、世間知らずの元奴隷ね。こいつが公爵なんて、無理に決まってわよ──。公爵というのは、王族とかが任命される貴族の最高爵位よ。ただの冒険者が子爵に任命されているだけでも、とんでもないことだってわかってないの? ましてや、大公?」
「だって、スクルドによれば、ハロンドール王国では、ご主人様がイザベラ姫様の子を妊娠したから、ご主人様を大公にするって話をしているってことじゃない。あんた、聞いていなかったの、ユイナ」
「千歩譲って、そんな話があるとしても、だったら、その王女とやら以外と結婚なんてできないわよ。本当に、元奴隷って馬鹿なのねえ……。王女と婚姻を結んだ瞬間、あんたとも結婚してもらうなんて話は、未来永劫に消滅するわね」
ユイナがコゼを小馬鹿にしたように笑う。
怒っていたコゼの顔がますます真っ赤になる
「ああっ、もう我慢ならないわ──。ご主人様をずっとこいつ呼ばわり──」
すると、コゼがロウの身体越しに、ユイナを掴もうとした。
「やめろって」
ロウが笑ってふたりを軽く制する。
「ひんっ」
「ふわあっ」
なにをしたのかわからないが、次の瞬間、ユイナとコゼが揃って床にひっくり返った。
しかも、真っ赤な顔でふたりとも、股間に両手をあてて、のたうち回っている。
これは、相当の淫靡な悪戯をされているようだ。
そして、ふたり揃って、尻を高くあげるようにして、ぶるぶると腰を震わせたかと思うと、がくりと脱力して倒れた。
あっという間に絶頂させられたみたいな感じだ。
揃って、虚ろな視線をして、真っ赤な顔で涎を垂らしている。
「それにしても、さっきも言ったけど、忙しい連中だねえ……。ロウが女に甘いのは、それとして。だったら、女たちの中でしっかりとやっていきな。お前らには筆頭奴隷はいないのかい。ハレムというのは、男に負担をかけないように、そうやって、女たちの中で約束事を作って、お互いに争いにならないようにしていくんだ。それでも、男の寵を取り合って、仲が悪くなるのがハレムだよ」
女たちに向かって怒鳴った。
すると、ガドニエルが小さく鼻を鳴らすような仕草をした。
「本当に、お姉様って、他人に説教するときには、昔から自分のことは棚に上げるのですね……」
「なんだって、ガドニエル──」
アスカはガドニエルを睨んだ。
「まあ、ここの女たちの筆頭奴隷は、それがロウに一番流されやすくて、みんなに
そのときイライジャが愉快そうに笑った。
「な、なによ、イライジャ……。そ、そんな言い方ないじゃない──」
エリカが真っ赤な顔でイライジャに言い返す。
アスカはエリカに視線を向けた。
「お前がこの大所帯の筆頭奴隷なのかい、エリカ?」
アスカも言った。
どうやら、そうらしい。
考えてみれば、この所帯で一番最初にロウの女になったのは、エリカだ。
それで、そのままエリカが筆頭奴隷扱いなのか……。
しかし、エリカが流されやすいというのは、いい得て妙だ。
エリカは真面目だし、腕っぷしもあれば魔道も遣えて強い。
しかし、身体が超敏感なマゾ娘であり、このひと癖もふた癖もありそうな女傑集団を仕切っていけるような女じゃない。
アスカも、この気が強い女戦士が閨では本当に可愛くなるのが気に入って、性奴にしていたのだ。
しかし、エルスラ、すなわち、エリカは性格が単純すぎて、人をまとめる力はないだろう。
だから、エリカには、性奴隷の仕切りは無理だというのはよくわかる。
「こ、これからは……わ、わたしが……補佐するから……大丈夫よ」
「なんで……、お前が補佐なのよ……」
まだ脱力してひっくり返っているユイナとコゼが口を挟んできた。
そのときだった。
またもや、扉が開いて、別の女たちがやって来た。
ロウの女たちの中では年少の方であるミウという童女魔道遣いとイットという獣人娘だ……。そして、さらに、スクルドという高位魔道遣いもやって来た。
これで全員か?
最初に、一緒に出ていったブルイネンというガドニエルの部下のエルフ女は、今はいないようだ。
そっちはそっちで、まだ多忙なのだろう。
「戻りました──。一応、終わりましたわ、ご主人様──」
スクルドがロウにしだれかかってくる。
「そうです。みんなで手伝いましたよ。パリスの晒し刑もやりました……。あ、あのう……。あのう……。だから、新参組のあたしたちに、ご褒美欲しいです」
しかし、ミウがさっとスクルドの身体をうまくかわし、さらにロウの近くに集まっている女たちを避けて、ロウのところまでくる。
そして、ぎゅっと抱きついた。
「新参組?」
「はい、新参組です」
ミウはにこにこしながら、ロウに抱きついている。
なんとも可愛らしい笑顔であり、ロウにくっついて本当に嬉しそうだ。
しかし、おそらく、まだ十歳前後だろう。
この童女まで、ロウはハレム要員として抱いているのか?
「仕方ないなあ、ちょっとだけだぞ……。スクルドとイットも来い。イットは気を練る鍛錬だ。身体の気を制御して、俺の愛撫から快感をかわしてみろ……。ミウはとっておきの口づけをしてやろう。だが、口づけだけで、気をやったら、明日までお預けだ。我慢しろよ」
ロウが笑って、三人まとめて腕の中で抱き寄せる。
「まあ、お手柄です、ミウ……。さあ、ご主人様に一緒に可愛がってもらいますよ」
スクルドとやらが満面の笑みで、ロウに抱きついた。
一方でロウも、両手でスクルドとイットの身体を愛撫し始め、真ん中のミウに口づけをする。
「ふうっ」
「ああっ」
「んああ」
驚いたことに、それが始まった途端に、三人が感極まった様子でがくりと膝を崩した。
あっという間に、その三人が快感を覚えてしまったのは確かだ。
「はがあああっ」
そのとき、またもや突然に、股間と尻穴の淫具が同時に暴れ出した。
アスカは両手で下腹部を押さえ、腿を擦り合わせるようにして、忘れかけていた甘美な衝撃に身体を脱力させてしまった。
「ははは……。ラザ、とても、いやらしくて、いいぞ。最短でも三日だ。じゃあ、頑張ってくれよ」
少女たちへの責めを続けているロウが、まるで他人事のように、アスカに揶揄の言葉を投げかけてきた。
そして、振動が静止する。
アスカはもうたじたじとなった。
「な、なんで、こいつらなのよおおお。わたしを抱いてったらああ」
一方で、ユイナが金切り声をあげた。
「ユイナには、これをやるよ。大好物だろう?」
すると、ロウが片足だけを伸ばして、ユイナに向けた。
「な、なにが、大好物よおお──。だけど、や、やるわ……。だ、だから、精をちょうだいよ……。疼いて死にそうなのよ」
「俺を気持ちよくしてくればな」
「や、約束よ……」
ユイナは、すぐにロウの足の指を舐めだした。
アスカはちょっとばかり驚いた。
「お前たちも舐めるか? もう片足は空いてるぞ」
さらに、身体側でスクルドとふたりの少女を愛撫しているロウがもう一方の足を伸ばす。
「いくわよ、エリカ」
「わかってる――」
真剣な顔のコゼとエリカがさっと、ロウの足にとりついた。
アスカはなんだか、呆れてしまった。
「いはああ、またああっ」
そのとき、またもや貞操帯が激しく振動を開始し、アスカは股間を押さえてうずくまった。
しかも、今度はなかなかとまらない。
気持ちのいい場所を何箇所も同時に責めたてられてる。アスカはさっきから何度も刺激を中断されていたこともあり、一気に絶頂まで快感を駆けあがらせた。
「いはああっ、いぐううう――。うぎゃうあああ」
だが、まさに昇天しそうになった瞬間に、クリトリスに電撃が走り、アスカはその衝撃で、まさにひっくり返った。
もちろん、絶頂感は寸止めだ。
振動もぴたりととまった。
「な、な、な、なんだい、いまのは――」
アスカは大声を出した。
「約束通りに、さっき言った鬼畜モードの追加だよ。絶頂しそうになると、軽い電撃をクリトリスに打ち込むように細工を追加したのさ。それが嫌なら、貞操帯の刺激を我慢して絶頂しないように頑張ればいい」
ロウが女たちの奉仕を受けながら大笑いした。
「な、な、な、なにが約束だい――、こ、こ、小僧――」
アスカは叫び声をあげた。
(第42話『クロノスの愛―悪堕ち魔女』終わり)
*
【ラザニエル=ナタル】
諸王国時代から帝国サタルス朝時代の勃興期を通じてのエルフ族女王だったガドニエル=ナタルの姉。ガドニエル女王の太守として、事実上のナタル森林の統治にあたったので、「ナタル副王」とも称された。
少女時代は、エルフ族王家の嫡女として次期女王の地位を期待されていたが、失踪により行方不明になった。
だが、妹のガドニエル女王がローム帝国家の陰謀によって危機に陥ったとき、ロウ=ボルグ(ボルグはサタルス帝の冒険者時代の姓)とともにナタルの森に現れて、エルフ族王家の危機を救う。
じ後は、ガドニエルの補佐役の太守の職として、「森林開放」と称される一連の改革政策を主動し、エルフ族の新たな時代を推進した。
その後、ロウ=サタルスが皇位につくと、「妻」のひとりとして、妹のガドニエル=ナタルとともに、ロウの治政を支える。
…………。
…………。
なお、同時代において、ルルドの森を瘴気で汚し、多くの殺人を犯したとされる魔女アスカの登場と死がラザニエルの失踪期間とほぼ合致することから、ラザニエルとアスカが同一人物ではないかという説がある。
代表的なものは、サタルス朝中期の歴史研究家マネの学説であり、数多くの論拠も呈示されているものの、同時代のロウ=サタルス帝の手記に、それを否定する内容があることから、ラザニエルがアスカであるという説は、歴史家の通説にはなっていない。
もっとも、ロウ=サタルスの神格化に伴い、彼の残す手記や諸記録が盲目的に受け入られすぎて、正しく歴史評価されていないという指摘もある。
いずれにしても……。
…………。
…………。
なお、南方荒地の開拓の父として知られる「ラザヴェルン」は、ラザニエルとロウ=サタルスの間に生まれた息子である。
ボルティモア著『万世大辞典』より(ここに再録した引用文はすべてスクルズ記念国際図書館から許可を受けて初版本から抜粋して採録したものである。)