【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】 作:ドン・ドナシアン
「ふわあああ」
ノルズは、覆い被さっているロウの裸身を下から抱きしめながら、声を放った。
なにも考えられなかった。
ロウに抱かれている。
それだけで、ノルズは陶酔するような幸福感に包まれている。
そのロウがノルズの胸を揉み、耳からうなじまでをしゃぶりつくし、身体のありとあらゆる場所をほぐすように刺激してくる。
もはや、女の悦びを押し殺すことなど不可能だ。
官能という官能が怖ろしいほどに目覚めきっている。
前戯での二回に続いて、本格的な性愛になってからもあっという間に達したが、その後は、ロウは明らかに手加減をしているような愛撫になった。
それでも、ノルズは激しすぎる歓喜の興奮に全身を震わせ続けた。
「可愛い反応だな。もう一度、いこう。今度も一緒だ」
ロウが律動しながら、優しい声でささやく。
律動が始まってから、ノルズは、あっという間に二度達していたのだが、その二度ともロウはノルズの興奮に併せるように、精を放ってくれていた。
ロウが精を放つたびに、ロウの中に引き込まれるような不思議な感覚に襲われた。
多分、ノルズは性奴隷としての結びつきをロウから精を放たれることで、強化されていっているのだろう。
自分はロウの性奴隷だ……。
そう思うだけで、ノルズに心からの歓喜が襲った。
そして、ロウは精を放つと、ノルズを貫いたまま、ノルズの絶頂の余韻が静かになるのを待ち、また愛撫を開始する。
そんな感じの性交が続いている。
ずっと繋がったままだ。
そして、いま、三度目の絶頂をしようとしている。
前戯を含めると、五度目の昇天だ。
「は、はいっ──。ああああっ」
ノルズは、下からロウにしがみついた。
肩から顎へ、さらに唇へと、ロウの唇が這い寄ってくる。
ノルズは朦朧とした酔い心地のまま、ロウの唇に自分の唇を押し重ねた。
一方で股間では、ロウの律動がゆっくり、ゆっくりと続いている。
擦りあげる部分は、まるで溶けてしまうくらいに気持ちがいい。
一打一打がもの凄い快感として、ノルズに襲いかかる。
ノルズが常軌を逸したような連続絶頂に至らないのは、ロウがそんなように導いてくれているからだと思う。
「んんあああ、んんああ」
ノルズはロウの舌をむさぼりながら、嬌声を放った。
涎が顔から垂れ流れるのがわかるが、それをロウが舌で丁寧に舐め取っていく。
ノルズは夢中でロウの舌にしゃぶりついていた。
「よし、もう一度だ」
ロウの抽送の速度と勢いが変化した。
ずどんと子宮近くを思い切り突かれる。
痛いほどの快感が全身を貫いた。
「ふああああっ」
尋常じゃない快美感がせりあがる。
ずん、ずんと容赦のなく怒張がノルズの股間を襲う。
快感のうねりが荒れ狂った。
「ロ、ロウさまあああ──」
わけもわからずに、ノルズは歓喜の悲鳴をあげた。
ノルズは全身を弓なりにして、がくがくと身体を震わせた。
五度目の絶頂は、予想もできなかったような深くて峻烈なものだった。
脳天に快感が突き抜ける。
「出すよ」
ノルズが昇りつめるのに合わせて、ロウがノルズの子宮に精を浴びせたのを感じた。
凄まじい歓喜がノルズの肢体を粉々に打ち砕く。
全身が脱力していく。
それでも、快感だけはまだ続いている。
あがったところから、降りてこない。
まるで、雲の上にでもいるかのようだった。
ノルズは、下からロウの背中に手を回している。
「はあ、はあ、はあ……」
むさぼるように息をする。
余りの気持ちよさに、全身は弛緩しきって、指一本も動かない感じだった。
ただただ、ロウを抱き締めた。
まだノルズに入ったままのロウが優し気に微笑む。
「ちょっと休憩だ……。話をしよう。この二日の顛末を説明するよ」
ロウはそう言い、ノルズの股間に怒張を貫かせたまま身体を身体を起こし、胡坐の上にノルズを抱くような体勢に変化をした。
「あっ、いやっ」
挿入したままなので、絶頂で溶けきっている秘部が擦れて、そのまま達しそうになってしまった。
ノルズはロウにしがみついていた。
「ごめん、ごめん」
ロウが愉し気に笑って、ノルズの背中に手を回して、しっかりと抱き支えるようにする。
その優しさが、泣くほどの感動をノルズに与えた。
「ちょっと休んだら、今度は拘束してノルズを苛めさせて欲しいな……。両手を背中に回して……」
まだ続けるのかと、一瞬、愕然となりそうになったが、ロウに抱き潰されるのは嫌ではない。
むしろ、このまま毀れたい。
ロウになにもかも、破壊して欲しい。
そんな風にも思った。
とにかく、ロウはまだ終わるつもりはないようだ。
ノルズは大人しく、両腕を背中側の腰の括れの位置で重ねるようにした。
その動きだけでも気怠い。
腕に粘着体が腕に貼りつき、ノルズの両手が固定される。この粘性体の術が、ロウの淫魔師としての能力のひとつというのは承知している。だが、接するのは初めてだ。
さらに、腕を縛るその粘性体が急に変わった?
いや、変わった。縄だ――。
粘性体だと思っていたのに、いつの間にかしっかりとした縄になっている。
後手の腕だけでなく、乳首の上下にも縄が食い込んでいるのが視界に入るのでわかる。
ノルズは呆気にとられた。
「これも俺の能力が爆あがりしたことによる新たな能力だ、粘性体を縄にも鎖にも変化できる。しかも、俺の淫魔師としての能力を超える能力がないと縄抜けもできない。粘性体を布にも変えられから、身に着ける衣服のすべてを俺の淫魔術で合成したものに変えて身体を包ませるということもできる」
「は、はあ……」
よく意味がわからないが、とにかく大変な能力だということは理解した。
ノルズは緊縛された身体をロウに預けるようにして、首だけを小さく頷かせる。
「いずれにしても、縛られた方が楽だろう? なにもしなくてもいい……。全部、俺に任せるんだ」
「は、はい」
ノルズはロウにもたれかかるようにして、顔をロウの胸に当てるようにして目を閉じた。
気持ちがいい……。
本当に気持ちがいい……。
幸せだ。
「……さて、二日間の状況だけどね。まず、水晶宮は、今回の失態を各国の宮廷に通報した。魔道声明でハロンドールやエルニアや三公国に発信されたんだ……」
「すでに各宮廷に発信を? 知りませんでした……」
「それだけでなく、これは予定だけど、全人類に向けた同時発表も予定されているようだ。ガドの魔道による世界通信だ。もっとも、こっちは魔道波の解放を受け入れた国しか流せないらしいね。おそらく、ナタル森林の各里以外は、ハロンドール王国とデセオ公国くらいになるだろうということだ。ただ、受け入れを表明しない国でも、冒険者ギルドにはすべて流されるそうだ」
「えっ、世界通信を?」
ノルズは目を閉じて、ロウの胸に顔を当てたまま言った。世界通信とは、ほとんど過去の歴史にしか登場しない大魔道だ。
全世界の魔道具に使われている魔法石の波動を通じて、全世界に魔道波を拡げて、天空から地上に声を落とすというほぼ神話にしか出てこないような魔道である。
大陸に拡がる魔法石が全て、ナタル森林産であることから可能な大技だが、とてつもない魔道力が必要なはずだ。
「なんか、してやられて口惜しいとか言ってね。まあ、俺としてはどうでもいいんだけど……」
「してやられる……? だ、だけど、せ、世界波の大魔道なんて可能なのですか……?」
それが可能というのは、さすがに、世界最高の魔道遣いという評価を持つエルフ族女王だと思った。
すると、ロウが上で小さく顔を頷かせたのを感じた。
「ガドとラザの合体魔道ということだ。こっちは数日以内に準備ができるそうだ」
「はあ、はあ、はあ……、そ、そうですか……」
ノルズは頷いた。
とても、息が苦しいし、いまでも挿入されている股間がじんじんと痺れる。
でも、この苦しさを手放したくない。
なにもかも委ねて、ロウにもたれかかる。
すると、ちょっとだけロウがノルズを抱く腕に力を入れてくれた。
歓喜が拡がる。
好きな相手に包まれるというのは、これほどの快感なのか……。
生まれて初めての経験に、ノルズは死んでもいいと思うような安堵感に覆われる。
「それと、水晶宮の太守は、カサンドラ夫妻からラザに変わる。カサンドラは病床の夫とともに引退……。ラザは、ナタルの森の混乱を鎮めるために、これから
「は、はい……」
「シティの冒険者ギルドから各国の冒険者ギルドに呼び掛けて、各国の冒険者による魔獣退治の援助も集めようとしている。もちろん、水晶軍も出動する。まあ、しばらくは混乱は続くと思うけど、大きな問題はないだろう。瘴気の発生の封印は、すでに各所で開始しているので、魔獣はじり貧だ。それほどの時間をかけずに、元の状態に戻るはずだ。ラザの見積だと一年くらいで落ち着くだろうということさ」
「わ、わかりました……。そ、それについて……お、お願いが……」
ノルズは目を開いて、顔だけをロウに向けた。
「お願い?」
「あ、あたしは……ラザニエルを手伝いたいのです……。こ、ここに……残ろうと……思います……。ラザニエルもそれを望んでいて……」
「ノルズを縛るものはなにもない。俺が許可をするような話じゃない。ノルズの好きにすることだ」
ロウははっきりと言った。
しかし、その眼がなにかを主張したいかのように、一瞬細くなった気がした。
ノルズはどきりとした。
「で、でも……」
ノルズは口を開いた。
これだけは言っていこうと思ったのだ。
ノルズは、ロウと離れたいわけじゃない。
本当は一緒にいたい。
ロウの周りにいる女たちのように、いつもロウに愛される暮らしをしたい。
だが、こうするのがいいと思った。
これからのこともある。
「それに、ラザは、水晶宮とハロンドールの王都を結ぶゲートを作るそうだ。開始さえすれば、半年もかからないうちに完成するとのことだったよ。もちろん、着手する前に、ハロンドール王の受け入れが必要だけどね。それは、俺が戻って騒動を収めたらから、すぐに手を打つ」
「ゲート?」
確か、スクルドがスクルズとして処刑される直前まで、気が触れたように手を出していた魔道跳躍施設がその名だったと思う。
スクルドは、魔道石を効果的に使うことで、連続跳躍できる魔道施設をあのハロンドール王国内に張り巡らせようとしていたはずだ。
ノルズも、手の者から報告だけは受けていた。
ただ、神殿長としてのスクルズの死により、その事業は中断されたままのはずだと思う。
ロウが説明を始める。
「……魔道における跳躍術をするための魔道紋を常設する施設らしい……。スクルドも手をかけていたが、それのもっと大掛かりなかたちになりそうだ。つまりは、水晶宮とハロンドール王都を跳躍術で結ぶということらしい……。ひとりふたりではなく、軍のようなまとまった勢力が一気に跳躍できる」
「そんなことが?」
驚いた。
国と国レベルで跳躍術で結ぶなど……。
しかも、軍のレベルで跳躍術?
それが可能になれば、これまでの国の防衛の概念が大きく変わるだろう。
「まあ、受け売りだけどね……。できるらしい……。もっとも、大人数の同時跳躍をさせるには、さすがに、ガドやラザ級の魔道遣いが理力を込めるか、それに見合う魔法石を使う必要があるとのことだったけど……。とにかく、ここの水晶宮とハロンドールの王都が自由に行き来できることになる。今度は、会いたいときにはすぐに来れるさ」
ロウが笑った。
だが、そんな技術が可能なのかと唖然した。
しかし、すぐに思い直した。
ノルズたちは、ナタルの森の林縁部から中心部のエランド・シティまで、アスカの魔道で一気に跳躍してきた。
それをハロンドールまで延長して、さらに移動紋が消滅しないように処置するだけのことだ。
できないことはない。
「うちの魔道技術担当係が、効率的な要領について、水晶宮の古文書の書物庫に入り浸って、調査と検討をしている。スクルドにも手伝わせている。まあ、魔道技術担当には、数日以内に基本設計を作れば、奴隷からは解放すると告げているしな。寝る間を惜しんで取り組んでいる。まあ、ずっと昔には、実際に運用されていた技術だそうだ。いまは、いろいろあって破棄されたらしいけど……。それを復活させるだけだし、その技術記録が見つかれば、本当に実現すると思うよ」
ロウは請け負った。
それなら、実現するのだろう。
また、ロウが言った技術担当係というのは、おそらく、ユイナとかいう黒エルフの娘のことだろう。
ロウの新しい女になったエルフ娘であり、直接には面識はないが、パリスが執着して、今回の騒動の発端にもなった娘だ。
どうやら、ロウは彼女も自分の女にしたようだ。
「そうですか……。わかりました……」
ノルズは言った。
「話を情勢の説明に戻すけど、実をいうと、旧ローム帝国領、つまり、三公国のうち、タリオ公国に存在していた皇帝直轄領はすぐになくなっている。タリオ公国のアーサー大公は、水晶宮の魔道声明が発せられる前に、突然に討伐を理由に直轄領に軍を入れたようだ。まるで、水晶宮で起こっていた陰謀の動きを知っていたかのような電撃的な侵攻だったらしい」
「えっ?」
ノルズは声をあげた。
驚いたのだ。
タリオ公国が水晶宮の声明を待たずに、皇帝家に侵攻したというのは、知らない事実だった。
すると、ロウの目が意味ありげに、また細くなり、ノルズを見つめた気がした。
ノルズは身体をわずかに竦めた。
「水晶軍も一応の兵を出すつもりだったけど、当初の思惑とは異なり、捕縛した皇族の処刑を確認するだけの兵になると思う。あるいは、出さないかもしれない。現段階では状況を確認中だ」
「そ、そうですか……」
ノルズはそれだけを言った。
「……タリオの大公のアーサーは、皇帝領に侵攻するとともに、皇帝家が冥王復活を企てたと発表した。同時にローム神殿の教皇猊下もアーサーの言葉を裏付けるように、皇帝家を人類の敵宣言をしたんだ。それも即日さ。事前に教皇と手を打っていたことは明白だね」
「タリオのアーサー大公が?」
「しかも、まるで、アーサーこそが皇帝家の陰謀を発見して、それを事前に封じたかのような印象を作っているようだ。それで、エルフ族側でも、パリスと皇帝家の陰謀とその阻止を急遽発表したんだけど、一連の主動権はタリオが持っていった感じだ。アーサーは、タリオの皇帝領侵攻がイムドリス宮に危機を救うことにもなったんだと情報操作もしているそうだ。本当にタリオの大公様はやり手だよ」
「えっ?」
ノルズは驚いたが、あのタリオ大公ならやりそうだと思った。
とにかく、タリオ大公のアーサーは野心家なのだ。
情報があれば、それを最大限に利用する。
アーサーのことを多少は知っているノルズは、いかにもアーサーらしいという気がした。
「エルフ族王家としては、パリスの陰謀として冥王復活の企てがあったことを全世界発表をして、水晶軍のエルフ族の軍を皇帝領に動かすとともに、その派兵に各国からの参戦を促すことで、皇帝家の陰謀を完全に消滅させるかたちを作ることを考えたけど、ナタル森林からの発表が遅れたことで主役はアーサーだ。後追いで発表したエルフ族王家からの発表も、アーサーの皇帝領侵攻の大義名分を与えることになった。アーサーこそが、人類を再び悪意の時代に陥らせかけた陰謀を事前に防いだ英雄だ」
「そ、そんな、パリスの陰謀を防いだのはロウ様で──」
ノルズはびっくりして声をあげた。
そんなことになっているなんて、予想はしていなかったのだ。
だが、改めて考えれば、あり得ることだ。
皇帝家という老害の連中を利用して、陰謀を企てたのはパリスであり、パリスがいなければ、皇帝家など力を持たない無力な連中なのだが、見方によってはパリスなど末端勢力であり、皇帝家こそ陰謀の本拠地だ。
そこを制圧したのがアーサーということになれば、アーサーこそが陰謀を毀した英雄だ。
そして、功績も独占だ。
しかし、事実としては、パリスのいない皇帝家の組織など、胴体のない人形の頭だ。なんにもできない。パリスがいなければ、実行部隊など四散している。
ノルズ自身があの組織に属していたのだからよく知っている。
あんながらんどうを駆逐して、人類の英雄気取りは酷い。
本当は、パリスを倒したロウこそが英雄なのに……。
しかし、それでさっき話題に出た世界通信のことが腑に落ちた。だから、ロウの功績を喧伝しとうと、ガドニエル女王とアスカが躍起になったのだ。
「いや、とにかく、俺の功績とかはいいんだ。功績はノルズや女たちであり、少なくとも俺じゃないしね。それよりも、知っていることがあれば教えて欲しい。アーサーが第一公妃を置かずに、ハロンドールのエルザ王女と、クロノス大神殿のクレメンスの孫娘のエリザベート殿を第二妃と第三妃としているのは知っているね?」
ロウが不意に話題を変えたと思った。
ノルズはちょっと戸惑った。
「え、ええ……。一応は……。自分に相応しい女を正妻にするということですよね……」
アーサーは公表はしていないが、タリオ公国の内情を知る者なら誰でも知っている。
結構、有名な話だ。
「自分に相応しい王女ねえ……? スクルドによれば、アーサーは、ハロンドールの王太女のイザベラに婚姻を打診してきたようだ。妊娠している腹の子をアーサーとの子として認知するという条件でね。一度はハロンドール王はその話に応諾したみたいだ」
「えええ──?」
その話は知らなかった。
妊娠しているというのも、アーサーが婚姻を打診したということもだ。
手の者からは、イザベラ王太女がノールの離宮に幽閉されたという噂の報告を受けていた。
もしかして、妊娠をしたから、それを隠すために、王からノールの離宮行きを命じられた?
だけど、イザベラの恋人といえば……。
「もちろん、それを許すわけもない。ノルズなら知っていると思うけど、イザベラ姫様の相手は俺だ。お腹の子もね。アーサーに嫁ぐなど俺が許すわけもないけど、タリオ側はそのつもりで、エルザ王女をひそかにハロンドールに戻したみたいだ。まあ、スクルドも深く関わっていたわけじゃないから、間接情報でしかないけどね」
「エルザ妃がすでに、ハロンドールに帰国?」
そんなことがあるのか?
そもそも、もしもハロンドール王国とイザベラ王女とアーサーとの婚姻話があるとしても、エルザ妃の存在は、ハロンドールとタリオとの間の政略結婚であるし、エルザ妃の存在は、ハロンドール王国とタリオが戦争をしないための人質の意味もあると思う。
それを無条件に戻すなど不自然だ。
なにかの陰謀の匂いを感じる。
とにかく、アーサーは陰謀好きなのだ。
さらに、エルザ妃は、アーサーにぞっこんで、アーサーに求められれば、どんなことでも応じそうだ。
なにかある。
「そ、それはおかしいです。な、なにかを企んでいるのかも……。し、調べさせます……。あ、あたしにも伝手があるんで……」
ノルズは言った。
すぐに手の者に調査を指示しようと思う。
「なにかを企んでいるとノルズは思うのか?」
「ま、まあ……。エ、エルザ妃といえば、アーサーを盲目的に愛していて、この状況で帰国など、アーサーになにかの工作を指示されている可能性もあります。急いで、手を打つ必要があるかどうかわかりません……」
ノルズは言った。
それにしても、いまだに貫かれている股間がじんじんと疼くような快感を呼んでいる。
しかも、まったく動かしていないのに、ロウの一物はノルズの中で逞しいままだ。
やっぱり、すごいな……。
ノルズは改めて思った。
「つまりは、エルザ妃の帰国は、アーサーからなんらかの指示を与えられたうえの帰国だということか?」
「そ、その可能性も……。と、とにかく、ロウ様もご存知みたいですけど、タリオ大公は、自分に相応しい正妻を前から探していました。だから、お、王太女になったイザベラ王女様なら、アーサーは手に入れたいと考えると思います……。しかも、彼は陰謀癖があって、なにをするのか……」
「陰謀癖ねえ……。まあ、俺の女に手を出そうとさえしなければ、あいつが王になろうが、皇帝になろうがどうでもいいんだけど……。どうして、あれは俺の女に次々に手を伸ばそうとするんだろうねえ」
ロウが言った。
次々?
いま、次々に手を出すって言ったか?
「あのう、次々って……。イザベラ殿下のほかには、アン様のことですか?」
このロウがすでにアーサーと面識があることは、ノルズは知っている。
とにかく、ハロンドールからは離れていはいたけれど、ロウたちのことについては、ずっと手の者を張り付けさせていて、逐一情報を送らせてもいたのだ。
もともと、アーサーは最初からイザベラ狙いのところがあったが、その探りの一環として、キシダインと離縁したかたちになっているアン王女との婚姻工作をやったのだ。
まあ、すでにエルザ妃を娶っている時点で、アンやイザベラ王女に手を出すなど、あり得るわけもないが、アーサーは以前からハロンドール王のルードルフを軽んじていて、好き勝手な要求をしてくるところがあった。
それはともかく、そのアーサーが内々にロウにしっぺ返しを受けたという情報に接し、さすがにロウだとひそかに喝采したものだ。
そのときに次いで、さらにアーサーが、イザベラ王女に婚姻を打診してきたことについて言及したのか?
「いや、アンじゃない。ガドさ……。そして、ラザだ」
「ガドニエル様と……ラザって、アスカを? ラザニエル……?」
「まあね。これも内々だけど、タリオ公国から、ガドか、ラザとのアーサーとの婚姻を提案してきたらしい。魔道を使った特殊な通信でね。しかも、どちらかというと、イムドリス宮を救援したラザに目をつけたみたいだ。ラザがタリオ公国を訪問することを提案してきた。皇帝家のこともあるし、表向きにはタリオ公国には、エルフ族王家は貸しを作ったかたちだ。いまどう対応するが検討中だ」
「そ、そんなことに?」
ノルズは半分呆れた。
アーサーは、皇帝家の陰謀を暴いたと自負しているが、実際にはローム皇帝家などパリスの傀儡にすぎず、事実上の陰謀はパリスがやったことは知っているのだ。
そのパリスの陰謀を暴いて防いだのは、エルフ族側だ。
……にもかかわらず、恩に着せた感じで、婚姻を打診してくるとは……。
しかも、よりにもよって、ラザニエル……つまり、アスカを?
「意外に思うか、ノルズ?」
ロウがノルズをぐっと軽く引き寄せるように腰を揺らした。
ずんという大きな疼きが股間から全身に走る。
「あふう」
ノルズはロウの腕の中で大きく身体をのけぞらせた。
「だから、もしも、俺が知らないことで、ノルズが知っていることがあれば教えてくれ。だって、ノルズはタリオ公国の間者なんだろう?」
ロウが言った。
ノルズは驚いた。
「えっ」
その言葉しか出なかった。
なんで、突然……。
「どうして、驚く? ノルズはそのタリオ大公のアーサーの間者だ。タリオ大公であるあいつに、水晶宮の情報を送ったのはノルズに違いない。だから、タリオ公国は、まだ存在も公になっていないラザに目をつけてきた。そうだろう?」
ロウがくすくすと笑った。
ノルズは唖然とした。