【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】 作:ドン・ドナシアン
522 復活の女戦士たち
まずは光があった。
白い光だ。
最初に思ったのは、ここがどういう状況で、自分はどうしているのかという疑問だ。
なにしろ、光以外のものがなにもないのだ。
いや、ないのは、自分の身体もそうだ。
シャングリアは愕然とした。
手も足も……。
どこにも身体がない……。
あるのは、意識だけだ。
シャングリアは、なにもない空間に、ただ意識だけの存在として漂っている。
驚いた。
死……?
もしかして、死んだのか……?
これが死というものなのか……?
愕然とするとともに、懸命に記憶を繋ごうとした。
そして、ロウの指示により、パリスという男を殺すために、亜空間で待機していたのだということを思い出した。
そして、ロウを拷問をしていたパリスの油断をつき、マーズ、イットなどの仲間とともに、現実側に飛び出して目の前にいたパリスの首を叩き斬ったのだ。
だが、それ以上先の記憶がない……。
いや……。
さらに、なにかあったような……。
そういえば、その直後、突然に視界が消滅し、真っ黒い闇のような世界に連れ込まれそうになった……。
あるいは、そのとき、死んだ……?
シャングリアは納得した。
これが、死か……。
そうか、死なのか……。
どうして、自分が死んだのかわからないが、まあ、いい人生だったといえるだろう。
モーリア男爵家という小さな貴族の一人娘として生を受け、十歳のときに馬車の事故で両親が揃って死んだ。
血筋からすれば、幼くはあっても後継になるのは十分な年齢であり、当然にシャングリアが跡を継ぐべきだった。
だが、モーリア家は男子主義なところがあり、シャングリアが女であることを理由に、モーリア家の一族は、シャングリアではなく、“大伯父”と称される傍系の年配の男を一族の長として選んだ。
男爵と地位は低いものの、モーリア家は武門の家系であり、普段は傭兵稼業をしている者たちも含めれば、かなりの勢力になる。各部落長の力も強い。そういう者たちが、十歳の少女を頭領に抱くことを嫌ったのである。
これまで、父母のものであり、シャングリアのものだった家屋敷や財産が、名は知っているが、大して知らない親族のものになることが決定した。
その代償として、シャングリアは、その大伯父に養われることになった。
女であることを理由に、理不尽な目に遭ったと考えた最初だった。
そして、一族の決定通り、シャングリアの家族のものであった屋敷に大伯父の家族が入り、シャングリアの家族に仕えていた者たちは大伯父に仕え出した。
父が治めていた小さな領土とその領民は大伯父を領主とすることになったのだ。
それは、まだ幼さの残るシャングリアにとって、理不尽極まりないことに感じた。
特段に、跡を継ぐことに執着があったわけでもないが、父母のものであったもののすべてを奪われたという不満は残った。
もしも、シャングリアが男であったら、一族は疑いなく、シャングリアを当主に選び、逆に一族の者たちは幼いシャングリアを盛り立てていくことを選択したに違いない。
それをしなかったのは、シャングリアが女であったからだ。
ただ、モーリア家全体のことを考え、結果のみを考えると、大伯父が当主を引き継いだのは、幸運だったといえるだろう。
なにしろ、軍人畑の男だったのが意外なくらいに、大伯父は領主として有能だったのだ。
領主となるや、大伯父は、たちまちに領土を発展させ、新しい農耕法を取り入れ、わずかな投資で利益を生む特産物の生産と流通を実現し、巧みな税政策で商人を呼び込み、わずか数年で父が領主だった時代とは比べ物にならないくらいに、農業でも商業でも大きな繁栄を成功させたのだ。
モーリア家の発展が始まって三年が過ぎる頃には、移民も増え、もうシャングリアの父が領主の時代であったことを思い出す者もなくなった。
一族の者もこぞって、その繁栄のおこぼれを受けて裕福になった。
大勢が大伯父こそ、モーリア家の中興の祖だともてはやした。
シャングリアは、なにか面白くなかった。
もしも、大伯父が意地悪で嫌な男であったら、シャングリアは素直に、大伯父を恨むことで鬱憤を向けることができたかもしれない。
しかし、やはり、大伯父は公平で善良な男だった。
シャングリアが成人となる十五になるときには、もはや、モーリア家の繁栄を作ったのは、大伯父であることを疑う者などいないし、今更、主筋の話を持ち出す者も皆無なのに、男爵家はシャングリアの持つ血が本来の主筋であり、大伯父の後継はシャングリアの子が継ぐべきだと言い始めたのだ。
そして、シャングリアに婿をとり、その婿とに生まれた男子を後継者にすると……。
この宣言に困惑したのは、一族の者全員だったが、シャングリアが感じたのは、むしろ怒りだった。
シャングリアでは当主にはなれなかったのに、血を受け継いでいない夫となる男を当主にするというのだ。
それは、シャングリアの子となる男子が生まれて、その子が当主になれる年齢に達するまでの暫定的な処置とはなっているものの、シャングリアからすれば、またもや、女であることを理由に不当に扱われたような気分になった。
なによりも、父から直接に引き継ぐのではなく、これほどまでに発展したモーリア家を受け継ぐなど、逆にシャングリアが大伯父の家族からモーリア家を奪うようなものではないか……。
シャングリアは大伯父の話の全てを拒否し、モーリア家の相続に関わる権利を放棄して、独立する一家を構えることを宣言した。
王都で騎士となるつもりだった。
女とはいえ、シャングリアは幼いころから、男と同等、いやそれ以上に武芸に励んできており、父母がなくなっても、大伯父は、シャングリアになんの不自由もさせないようにしてくれ、シャングリアの望むままに、一流の師範をつけてくれていた。
そのおかげで、シャングリアの武芸の腕は超一流の腕前になっていたのだ。
なによりも、シャングリアは、モーリア家の繁栄の邪魔物になるつもりはなかった。大伯父のおかげで栄えたといっても、所詮は男爵家だし、お互いに富を奪い合い、あるいは、譲り合っても仕方がない。
大伯父は当惑していたようだったが、最終的にはシャングリアの決意を受け入れ、いまや男爵とはいえども、中級程度の伯爵家と同等以上になっていた影響力を駆使して、シャングリアに騎士の爵位を付与させることに成功した。
シャングリアが十六のときだ。
とはいえ、騎士とはなったものの、シャングリアが所属した王軍騎士団で、シャングリアはなかなか芽を出すことができなかった。
なかなか認められなかったのだ。
周りの男に比べて、シャングリアが腕があるにも関わらず、自分に劣る男が自分よりも上官になっていくことに接し、実力主義のはずの騎士団でも、女であることを理由に不当に扱われるのかと、鬱積する日々を送っていたものだったが、いまにして考えると、これはさすがに、シャングリアの思いが不適切であり、シャングリアが出世しないのは、シャングリアが人の上に立つ力が不足していただけのことであり、決して、女であることが災いしていたわけじゃない。
だが、当時のシャングリアはそう考えていた。
女のように扱われるのを拒否し、名も、両親から受けた“シャンデリカ”を捨て、“シャングリア”と改め、シャングリアに女として言い寄ってくる男が片っ端から叩きのめし、ますます、女のように扱われるのを嫌うようになっていった。
しかし、女であることを捨てるのではなく、やはり、女としての身だしなみや肌の手入れには気を遣っていたし、そもそも、シャンデリカが、シャングリアになったとしても、女名であることには変わりなく、端から見れば、シャングリアが当時のこだわりは、いかにも中途半端で滑稽だったろう。
シャングリア自身も、その頃のことを思い出すと、一体全体、自分がなにを気に入らず、どうしようとしていたのかもわからず、なぜあんなにも拘り、そして、どうして、あんなに憤っていたのか判然とせず、ただただ、悶々としていただけだったように思う。
いずれにしても、シャングリアがやっと自分らしさを得ることができたのが、ロウとの出会いであり、そして、その仲間の女たちとの関わりができてからだ。
女として扱われ、その悦びも知り、愛され、そして、心の底から愛した。
ずっと女に生まれてしまったことを口惜しく思っていたが、終わってみれば女でよかった。
ロウという男に巡り合い、あんなに愛し合って、愉しい仲間とばか騒ぎもできたのだ。
惜しむらくは、もう少し長く生きして、ロウやみんなと一緒にもっともっと過ごしたかったが、まあ、欲をいっても仕方がないから、こんな生涯で満足するとしよう。
そもそも、もう死んだのだ……。
愉しかった……。
さようなら、みんな……。
さようなら、ロウ……
さようなら……。
そのときだった。
なにを考えている──。
呆気なく諦めるな──。
お仕置きものだぞ……。
いきなり、突然頭の中に言葉が響き渡った。
同時に、ちょっと怒っているような誰かの感情も伝わってくる。
「えっ、なんだ?」
すると声が出た。
言葉を発することができると思っていなかったので、そのことでもちょっとびっくりした。
「んんっ」
すると……。
なにかが……。
いや、誰かが、うなじから脇腹にかけて唇で刺激しながら、脇腹をさすってきたのだ。
しかも、触ったのはただの一瞬にして、一箇所だったのに、大きな愉悦が連鎖して全身から噴き出してくるような凄まじい刺激だったのだ。
シャングリアは、見えない自分の身体を悶えさせながら、不意に襲ってきた愛撫の感覚に当惑した。
簡単に諦めようとした罰だ。
絶対に達するな。
必死で我慢しろ。
またもや、さっきの男の声が頭の中で響く。
一瞬、誰の声なのか、わかった気がして、とても幸せな感情が頭をよぎったのだが、なぜか、大きな力で遮断されたかのように、すっぱりとそれがなくなった。
ただ、その男の声が残した『我慢しなければならない』という言葉だけが強烈に心に刻み込まれた。
ほら、シャングリア……。
「ひんっ」
シャングリアはわけもわからずに、声をあげてしまった。
舌が耳の中に滑り込んできたのだ。
それだけでなく、手が胸元の乳房をすくいあげ、うねうねと気持ちよく揉みあげてくる。
しかも、もう一方の手が股間のいただきを下端から上に押しあげるようになぞってきた。
「ふうううっ」
シャングリアは、唇を震わせて、顔を必死で左右に振って、襲いかかってきた快感を外に逃がそうとした。
なにしろ、絶対に達しないようにしなければならないのだ。
しかし、いま受けている愛撫は、それが不可能と思うくらいに強烈なものだった。
そして、愕然とすることに、はじまった刺激は、まだ前戯以上のものではないことがわかっている。
だが、早くもシャングリアの身体は、息が荒くなるくらいに感じてしまっていた。
もっとも、実際には、シャングリアの必死の抵抗のために横に振っている顔もなければ、快感が激しく跳ね回る身体が存在するわけではない。
しかし、確かに身体のあちこちに受ける愛撫は本物だし、それに対するシャングリア自身の身体の反応も、しっかりと認識できる。
ただ、なにも見えないし、不可思議な存在の正体もわからないだけだ。
「んんんんっ」
とにかく、シャングリアは懸命に歯を喰いしばった。
耳と乳房と股間への刺激が続いている。
やがて、耳や乳房への責めは、ほかの場所に転々と変化するようになった。
ただし、股間への愛撫は継続している。
感じてはならない愉悦が四肢に注ぎわたる。
じっとしていろ──。
声も出すな。
我慢するんだ。
また、男の愉しそうな笑い声が聞こえた。
「んぐうっ、う、んんっ」
シャングリアは、必死で見えない自分の両手を握りしめて、自分を戒める。
これ以上感じたら、おそらく達してしまう。
それは許されないことだ。
「はあっ」
また、声が出てしまった。
耳や乳房やほかの場所への刺激だけなら、まだ我慢しようと気力を振り絞れば、護りが可能だったかもしれないが、股間を襲う指ばかりはどうすることもできない。
ひと触り、ひと触りが稲妻のような気持ちよさとして、身体に響き渡る。
それが股間に連続だ。
しかも、どこに来るかわからないほかの場所への刺激もあるのだ。それだって、恐ろしいほどの愉悦が走りまくる
いつの間にか、シャングリアの全身の性感という性感は、沸騰するくらいに燃えたっていた。
すると、いきなり、舌がシャングリアの口の中に入ってきた。
だが、動くことを禁止され、声も出せない状態の中で、シャングリアの感覚は怖ろしいほどに鋭敏になっている。
そもそも、身体の存在しないシャングリアには、逃げたり動いたりするという概念がない。
ただ、なすがままに、与えられる快感を受け入れるだけだ。
「んはああっ」
大きな声が出た。
やっぱり、耐えられるようなものじゃない。
シャングリアは口の中を見知らぬ男に蹂躙されながらも、声を出し続けていた。
そのため、閉じることのない口の端から涎が垂れ続けるのがわかる。
このことがシャングリアの大きな羞恥を誘う。
「ふあああ、んんんん」
シャングリアは身体をがくがくと震わせて、快感を飛翔させていった。
いく……。
駄目なのに……。
我慢できない……。
いくうっ。
駄目だとは思っているのだが、自制は不可能だ。
シャングリアは男の腕に抱かれている感覚とともに、その男に身体を預けるようにしながら、背中を弓なりにして絶頂した。
いや……。
絶頂しそうになった。
だが、まさにいこうとする絶妙の瞬間に、「まだだ」という男の必死そうな声とともに、全ての愛撫が同時に消滅した。
達しないですんだことに安堵はしたものの、なんとも表現のできない焦燥感は膨れる。
お預けを喰らったような雌犬の顔だな、シャングリア──。
また、響く男の言葉……。
お前の弱い場所を順番に刺激してやろう。
とにかく、いくな。
快感を溜めろ。
溜めに溜めて、濁流となって暴発するまで我慢しろ。
限界までな……。
男が意地の悪い笑いをした。
しかし、なぜかその男の小馬鹿にいたような笑いは、嫌なものではなかった。
むしろ、この男に蔑まれるのは、ぞくぞくするような快美感で……。
「うっ、あああっ……」
シャングリアは全身を戦慄させた。
男の舌が脇の下を舌で舐め始めたのだ。
強烈な快感が上体を打ち抜いた。
シャングリアは、あられもない声を放っていた。
そして……。
男の舌による愛撫が続く……。
執拗な脇への責めが続いたかと思うと、責めの対象は脇腹になり、同時に乳首を刺激され、内腿をさすられる。
逃げる手段は存在しない。
すぐに達しそうになるのだが、見計らったように、その瞬間だけ、愛撫から解放されて、絶頂から免れる。
だが、すぐに再開されて、またいきそうになり、そこで愛撫がなくなる。
もはや、男が意図的にシャングリアの快感で遊んでいるのは明確だ。
シャングリアは、ひたすらに翻弄された。
「んはあっ、だ、だめだ、もうっ」
シャングリアはやがて、心の底からの苦悶の悲鳴をあげた。
あげられては寸止めされ、寸止めされてはあげられる全身の快感に、シャングリアはおかしくなりそうだった。
シャングリアの女の部分という部分が、一線を越えることを求めている。
しかし、それはどうしても与えられないのだ。
到達したと思っても、そこには行きつかず、それでいて、頂上がさらに上にあがって、快感の疼きだけが噴きあげさせられる。
その連続だ。
もう狂いそうだ。
「さあ、そろそろ、解放できるぞ、シャングリア……。よく頑張った……」
なぜか、男が安堵する感情が伝わるとともに、いつの間にか四つん這いになっていたシャングリアの身体の後ろから、一気に怒張が貫かれる感覚が襲った。
この男性器をシャングリアはよく知っているが……。
最初に思ったのはそれだ。
しかも、自分は、この男に後背位から犯されることが大好きなようだ。
すべてを征服されるという感覚がいい……。
恥辱的ではあるが、むしろそれが……。
律動が開始する……。
泣くほどの喜悦がシャングリアを席巻する。
「んはあっ、はううっ」
言いつけのことなど忘れて、シャングリアはよがり狂った。
同時に、なぜ、自分はこの男のことを懐かしさのような、愛おしさのような、そして、喜びのような、不思議な感情で接するのだろうと考えた。
これ以上我慢することはできなかったし、したくもなかった。
律動が始まって、それほど経たないうちに、シャングリアは快感を絶頂に変化をさせて、がくっ、がくっと身体を大きく痙攣させる。
そして、全てを凌辱の嵐に押し潰されるのを許した。
予想を超えたはるかに深くて峻烈な快感が脳天を抜き抜ける。
「はあうううっ」
シャングリアが昇りつめたのと同時に、男がシャングリアの子宮めがけて精を放ったのがわかった。
その瞬間に、シャングリアは得体の知れない力に包まれ、急激に自分の身体全体が巨大な手で摑まれて持ち上げられる感覚を味わった。
「えっ?」
我に返った。
気がつくと、シャングリアは裸のまま、見知らぬ場所に横たわっていた。
「シャングリア、大丈夫か? 苦しい身体の場所はないか? 問題ないな?」
後ろから貫いていた怒張を抜きながら、心からシャングリアを心配する声をかけられた。
ロウだ。
やっとわかったが、ずっとシャングリアを抱いていたのは、ロウだったようだ。
「だ、大丈夫だ……」
シャングリアは息も絶え絶えに言った。しかし、身体の力が入らずに、脱力してその場に倒れてしまった。
同時に、ロウの心配がおかしくもあった。
ロウは加減をして、女を抱くような男ではない。
快感で死にそうになるくらいいつものことなのに……。
「ロ.ロウのとのセックスはいつも苦しい……。苦しいけど……気持ちいい……。いや、苦しいのが……気持ちいいよ……」
シャングリアは言った。
すると、一斉に笑い声が響いた。
目線を動かすと、エリカ、コゼ、ミウ、イットという顔ぶれが、裸のままシャングリアとロウを囲んで見守っていた。
お尻だけを突きあげてうつ伏せに局部を晒すというとんでもない恰好をしている大女がいたが、あれはマーズだろう。
ほかにも、エルフ族の女がいる。
絶世の美女だ。
エリカも美しいが、エリカに勝るとも劣らない。
誰だろう……。
面識はない。
また、もうひとり見知らぬ女……。
青白くて長い髪をしていて、胸が大きい……。
スクルズに似ている……。
いや……。
スクルズか……?
「えっ、どうして? みんなも……。もしかして、お前、スクルズか?」
シャングリアは言った。
声を出すということに、一瞬だけ違和感があったが、すぐにそれはなくなった。
だが、大変長い時間、動かしていなかった喉を急に動かしたみたいな感じだ
いずれにしても、どういう状況なのだ?
シャングリアは辺りを見回して、自分が美しい調度品に囲まれた一室にいることを悟った。
そして、シャングリアとマーズは、ロウとともに裸で寝台の上に乗っていて、おそらく、たったいままで愛を交わしていた?
「いまは、スクルドですわ、シャングリアさん……。それはともかく、ご主人様の亜空間の中で、ほとんど時間のない場所で過ごしていたので、時間の流れのある空間に出てきたことで違和感があるようですね……。でも、もう身体が慣れたのでは?」
スクルズ……いや、スクルドと名を変えた?
まあ、それはいいが、そのスクルドがにこにこしながら言った。
その屈託のない笑顔は、間違いなくスクルズだ。
なぜ、ここに?
いや、そもそも、どうして自分は……?
「体力は衰えているが、マーズと同じように呪術の影響はない……。まあ、俺の淫魔術で淫気を大量に膨れあげさせたから、それは辛そうだがな……」
一郎が笑った。
「シャングリア、あなたは、ずっと死にかけていたのよ。それをロウ様が亜空間で時間を停止したまま隔離していて、いま、ガドの光魔道で復活したところなのよ。大丈夫?」
エリカだ。
みんなと同じ用にシャングリアたちがいる寝台を囲んでいて、とても心配そうな表情になっている。
「死にかけていた?」
シャングリアは首を傾げた。
すると、ロウが再び口を開き、説明を始めてくれた。
それによれば、あのとき、シャングリアとマーズがパリスを殺戮したと同時に、パリスの死の呪術が発動し、それでふたりとも死にかけていたのだという。
魔道耐性を持つイットだけは無事だったが、シャングリアとマーズはパリスの死とともに昏倒して、そのまま即死しそうになったのだそうだ。
だが、咄嗟にロウが亜空間に、シャングリアとマーズを収容して、限りなく時間を静止状態にして、呪術を解呪する方策を準備していたという。
そして、いま漸く態勢が整ったので、シャングリアとマーズが解呪され、亜空間から現実側の空間に出されたということのようだ。
また、驚いたことに、あれから十日も経っているのだという。
シャングリアは唖然としてしまった。
パリスを斬ったのは、一瞬前のことにしか感じていない。
そして、ここはイムドリスというエルフ女王の居城なのだそうだ。
「ロウ様、申し訳ありません。わたしの光魔道でシャングリア様とマーズ様をお救いするのだと大きなことを口にしておいて、結局のところ、ロウ様の淫魔術の補助をお頼みしなければならなくなって……」
すると、絶世の美女の見知らぬエルフ女が、意気消沈した表情でロウに頭をさげた。
「いや、助かったよ、ガド……。ガドの光魔道がなければふたりを助けられなかったことは事実だし、まさか、解呪をしようと根こそぎ理力を注ぎ入れたところで、さらに逆戻りになるように、呪術が二重の重ね掛けになっていただなんて、どうして予測できるものか」
「それでも、わたしは残念です。ロウ様に褒めていただきたかったのに……」
ガドとロウが呼んだ女はしゅんとなっている。
随分と親しそうだが、ロウの新しい女だろうか……。
「だったら、先日、シャングリアたちを救出できた後で、お願いしたいと頼んだことをやってくれないか、ガド……。壊れてしまった『王家の宝珠』の修復だ。ちゃんと直ったら、ガドにご褒美をやる……。そうだな。一度、俺の仮想空間に案内しよう。俺の力があがったことで、亜空間とは別に作ることができることになったプレイ用の仮想空間だ。イメクラプレイを体感させてやる」
「いめくら……? わかりませんが調教ですよね。ほ、本当ですか? わたしを責めていただけるんですね? 調教を……」
「覚悟しておけよ。王家の護りの宝珠の出来に応じて、責めを強くしてやる。そうだな。魔道を封じたうえに、手足をなくしてやろう。そして、顔だけ水につけて、溺れ死にかけさせながら、身体だけ犯してやる」
聞いていて、とてもご褒美とはいえないような内容だったが、ガドという女はそうは思わなかったようだ。
顔に歓喜を浮かべて、ロウの言葉に大きく頷いている。
「う、嬉しいです──。やります──。壊れたというハロンドール王家の秘宝ですね。お任せください。まったく同じものを……。いえ、それ以上のものを作ってみせます。エルフ族女王の名をかけて……」
ガドが勢いよく言った。
だが、エルフ女王の名にかけて……?
えっ、ガド……?
そういえば、エルフ族女王……ナタルの森の女長老の名は、ガドニエルだったような……。
もしかして、そのガドニエル……?
シャングリアはびっくりした。
「シャングリア、お帰り──。無事でよかったわ。ところで、あたしたち、ご主人様と結婚することになったから……。もちろん、あんたも一緒よ……。だけど、あんたが承知しなければ、ご主人様はこの話はなしだと言っているのよ。よもや、男爵家があるから、ご主人様と結婚するのがいやだとか言わないでしょうね──?」
すると、コゼが勢いよく迫ってきた。
だが、なにがなんだかわからない。
結婚……?
ロウと……?
「こらっ、コゼ──。なん説明もなく、そうやって迫ったら、シャングリアも困っているじゃないのよ……。で、どうなの、シャングリア? ロウ様からの求婚を受けるの? 受けないの? 受けるんでしょう──」
今度は、エリカだ。
しかし、どういうことか、さっぱり……。
「やめないか、お前ら……。ただ、いずれにしても、シャングリア──。その件については、俺はお前の許可など求めるつもりはないし、許しも乞わない。だけど、王都に戻れば、早速必要な処置を開始する。実はアンと姫様は俺の子を孕んだ。ふたりとも結婚するが、お前たちともする。これは決定事項だ」
「はあ? 姫様とアン様に?」
理解がついていかない。
「とにかく、シャングリアは、ほかの女たちと同様に俺の妻にする──。拒否は許さん。いいな、シャングリア。一生ついてこい」
ロウが断言した。
「ふえっ?」
変な声が出た。
困惑した。
結婚?
本当に求婚されたのか……?
ロウに……?
ふえっ──?
そして、思考停止していた頭が、だんだんとまわってきて……。
「ええっ──? 本当か、ロウ──? わたしはお前の妻になれるのか──?」
シャングリアは、やっと声をあげることができた。
すると、ロウがにっこりと微笑んだと思った。
なぜか、突っ伏していた身体を引っ張られて、腰の部分を胡坐に座ったロウの上に抱きかかえられる。
「それはそうとして、あのとき、仮想空間の中で呪術に引き戻されそうだったぞ。お前を連れ返そうとしたとき、あっさりと生を放棄しようしていたな。そのことは気に入らん──。これは罰だ」
「ひぎいいっ」
いきなり力いっぱいに生尻を平手打ちされた。
なんの呵責も感じない、力いっぱいの打擲だった。
「罰だと言っただろう、シャングリア──。数をかぞえろ──。そんな躾も忘れたか……」
ロウが二発目を打ちつけた。
「んぐうっ、い、いちいいっ」
慌てて叫んだ。
たとえ、二回目でも、罰のときには最初から数え直さないと、全部やり直しになる。それは、頭よりも身体で覚えていた。
「ちゃんと最初から数えたのはいいぞ……」
そして、打擲──。
「んぐうっ、にっ……ひいいっ、はあああっ」
だが、シャングリアが数をかぞえようとしたのを見計らったように、シャングリアの胴体を支えていた手がさっと動いて、股間をまさぐったのだ。
堪らず、甘い声をあげてしまった。
「惜しいな。数をちゃんとかぞえられなかったからやり直しだ。途中でほかの言葉を発するな」
ロウが笑った。
「そ、そんな……」
シャングリアは狼狽えて、抗議しそうになり、慌てて口をつぐんだ。
だか、そんなことを言われても、ロウの与える快感をシャングリアが我慢できるわけがない。
ロウはちょっとシャングリアを愛撫するだけで、まともに喋れなくするほどの快感を与えられるのだ。
そんなことを言って、シャングリアが七とか八までいったとき、さっきのようにいきなり愛撫をして、数を阻止するに決まっている。
ばしいいいっんん──。
尻を平手で打たれるいい音が鳴り響いた。
「いいちいいいいっ」
とにかく、叫ぶ。
さもないと、いつまで経っても、この苦役が終わらない。
いや、ちゃんとしていても、終わらしてもらえないかもしれないが……。
「う、羨ましいです、ロウ様……。王家の宝珠とやらは、真剣に修理します。修理しますので、わたしにもシャングリア様が受けている調教を……。いえ、鞭がいいです。鞭でどうかわたしの肌を引き裂いてください」
横から感極まったような声が聞こえた。
ガドニエル……?
だが、本当に本当に彼女は何者?
やっぱり、エルフ族の女王には……。
「おう、だったら、しっかりと直してくれ。王都でなにが起きているか知らないけど、王家の宝珠を奪うどころか、壊してしまったとなると、本当に処刑されかねないしな」
ロウがシャングリアのお尻を引っ叩く。
「にいいいいいっ」
大きな激痛が走る。
そして、お尻の痛みとともに、ぞくぞくするような激しい快感も……。
ロウからの調教……。
錯覚かもしれないが、なによりも震えるようなロウの愛情をそれに感じるのだ……。
シャングリアは、もはや、なにも考えられずに、ただただ大きな声で数を叫んだ。
「マーズももう一度するぞ。そろそろ、起きろ。数回の連続絶頂で気絶するとは、それでも無敵の女闘女か」
ロウがシャングリアの尻を叩きながら、マーズに向かって言ったのが聞こえた。
「ひぎゃああああ──。ひいいいい。お、お、起きました──。す、すみません、先生──」
シャングリアの横で突っ伏していたマーズが股間を押さえながら飛び起きた。
なにをされたのかわからないが、ロウの淫魔術で悪戯をされたのだろう。
「さああんんんん」
それはともかく、シャングリアは声を張りあげて、ロウによる尻への打擲の数をかぞえ叫んだ。