【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】 作:ドン・ドナシアン
524 クロノスの伝言
執務室の机に向かっているアスカは、目を通した書類を処置済み箱に置くと、必要な指示を言玉に込めて魔道で送った。言玉に与えた命令が、関係部署に飛ばされて、それで処置が実行に移されるのだ。
水晶宮にある太守の執務室であり、三日前からアスカが使っている場所である。
生活をするための寝室も隣接していて、会議をする広間とは渡り廊下で繋がってもいる。
いま、与えたのは、各里の近傍に発生している魔獣退治に関して、冒険者を斡旋する冒険者ギルドとの依頼契約に関するものであり、その手続料についてだ。
その規模や要領、依頼料の負担について検討していたが、結局のところ、それぞれの里の規模に応じて、ギルドに対する支払いの一部を水晶宮側で肩代わりすることにし、水晶宮側からは現金ではなく、クリスタルと称される魔法石で渡すことになった。
全世界で様々な魔道具を動かすために、理力を溜めることのできる魔法石は、各地の文化的活動に、いまやなくてはならないものだ。
しかし、そのクリスタルは、なぜか、このナタル森林でしか生産することができない。
クリスタルの流通管理は、水晶宮で一括で行っていて、大切なナタルの森の収入源だ。
エルフ族王家が各王室などから一目も二目も置かれた存在なのは、人類社会で最も古い王族であるというだけではなく、クリスタルの持つ経済的な力からでもある。
いずれにしても、水晶宮からの支払いは、金貨や銀貨よりも、クリスタルが喜ばれる。
「ふうっ」
アスカはひと息つき、椅子に背もたれさせると、何度目かとなる溜息をつき、こめかみに手をやった。
頭痛のようなものではない。
しかし、頭が鬱積したように重いのだ。
原因もわかっている。
とにかく、魔道でもどうしようもない。
我慢するしかないのだ。
ただ、身体が熱くて、気怠い。
その状態がずっと朝から続いている。
そのときだった。
目の前の空間が、わずかに揺れて、転送術による訪問許可を求める波動が流れた。
誰がやって来たかはわかっている。
いまや、水晶宮の最高行政官という立場のアスカの執務室に、事前の連絡なく、いきなり魔道でやって来るのは、ひとりくらいしか思いつかない。
いや、ふたりか……。
「どうぞ」
アスカは声をかけた。
空間がさらに歪み、そこにガドニエルが出現した。
「お姉様、ひと息、お入れになったらいかがですか? 今日の会議は終わったのでしょう?」
なにが愉しいのか、幸せそうににこにこしている。
ガドニエルは、執務室にある肘掛け付きの長椅子に、優雅に腰をおろした。
この妹と再会したのは、パリスとの対決のときであり、三日前のことだが、その三日のあいだに、ガドニエルは、さらに美しさに磨きがかかった気がする。
醸し出す妖艶さも、色気もすごい。
ほとんど、表には出ないことになっている女王のガドニエルなのだが、いまは逆に積極的に水晶宮の各所に顔を見せている。
これまで、イムドリス宮に閉じこもって一部のエルフ族にしか姿を見せることのなかったガドニエルの神々しいまでの美しさと艶めかしさは、すでに水晶宮の評判になっている。
まあ、評判になっているのは、手前味噌だが、アスカもそうだ。
そして、ロウもだ。
アスカは、ずっと隠棲していたが、ナタル森林の危機にさっそうと現れたガドニエルの姉ということになっているし、ロウはイムドリス宮と水晶宮に巣食っていた強力な魔族を倒した救世主だ。
それだけでなく、ロウは、ダルカンによりイムドリス宮に集められて頭を壊された大勢の女たちを淫魔術であっという間に治療をしたたくさんのエルフ女たちの恩人でもある。
イムドリス宮が閉鎖になったので、向こうで働いていた女たちも、この水晶宮側で重要役職を与えられて働いている。
その助けられた女たちも、どうやって「治療」をしたかを一応は口をつぐんでいるので、公には知られてはいないが、助けられた女たちはしっかりと覚えていて、最高の性技を持つ人間族の男として、実は女たちの中では凄まじい人気ぶりである。
男エルフ族たちは、ロウが治療のために、自分たちの妻や恋人、または、娘たちを犯したことは知らないので、諦めかけていた妻娘を助けてくれた、特殊魔道の持ち主と認識しており、やはり、ロウに大いに感謝している。
いずれにしても、ロウはいまや、水晶宮を中心とした全エルフ族の認識する「英雄」なのだ。
「お前、また、魔道力があがったかい?」
アスカは、ガドニエルに向かい合う長椅子に移動しつつ、椅子を挟む机に温かい茶をふたつ出す。
腰掛けてすぐに、その茶を口に入れ、改めてガドニエルを観察する。
やっぱり、ガドニエルが帯びる理力がまたあがっている。
昨日も会ったが、昨日の今日であがっているのだ。
アスカは驚いた。
「昨日から七日間もロウ様たちと一緒でしたのよ、お姉様。たっぷりと調教していただきましたし、精も注いでいただきました。雌犬そのものにされて、首輪をつけていただき、尻尾をお尻に入れられて……。本当に夢のような七日でした」
「昨日から七日? 頭は大丈夫かい、ガドニエル」
のろけというよりは、赤裸々な淫靡話を遮って、アスカは言った。
なにを言っているのだ、この妹は?
すると、ガドニエルは目を丸くした。
「お姉様、まだロウ様の仮想空間には、連れていっていただいてないのですか? ロウ様のお世界なのです。どんなに長い調教をしてただいても、現実空間ではほんの少しの時間しか経っていないのですよ。本当に不思議な術です。まあ、まだなのですね。じゃあ、いまからでもおねだりをしたらどうですか?」
「仮想空間? あいつ、そんな術まで使うのかい?」
びっくりして声をあげた。
よくは知らないが、そういう不思議な術を遣う妖魔がいるということだけは耳にしたことがある。
確か、妖魔将軍と称されるリンネという雌妖魔だったはずだ。
アスカだったラザニエルは、アスカ城で幾人かの魔族や妖魔族に接しているので、噂だけだが、単なる幻想術ではない、仮想空間術を駆使して、数多くの妖魔を従えている「妖魔将軍リンネ」は耳にしていた。
ロウは、そいつと同じ術を遣うのか?
アスカは唖然とした。
「お使いになります……。ところで、お姉様、ロウ様にしていただいていた例の貞操帯はどうして外したのですか? 今日はしていないですが?」
ガドニエルは怪訝そうな表情になる。
アスカは、この三日間の醜態と痴態を思い出して、自分がかっと赤面するのがわかった。
「昨夜、外させたんだよ──。どうしても、仕事にならなくてね──。とにかく、皇帝家廃絶の一連の処置の確認のための水晶軍の派遣準備、ロウの英雄式典、各里への行政指示と魔獣退治の手配、冒険者ギルドや商業ギルドとの連絡、さらに、各王家などと魔道連絡をしたりと忙しいんだよ。あんなものを装着してやっていられるかい──。怒鳴りあげたら、調子に乗って悪かったと頭をさげられたよ。とにかく、終わったんだ──」
昨日の夜のことだ。
ロウは最低三日で、ロウが戻るまではそのままと言っていたが、ふたりきりになったところで、アスカは泣きついたのだ。
実のところ、怒鳴ってもいないし、ロウは頭もさげなかった。
ただ、「じゃあ、終わりにしよう。悪かった」とアスカの頭を撫ぜただけだ。
とても、不思議な気持ちだったし、褒められて嬉しかった。
しかし、ロウに優しくされて満足したなど、そんなことは、とてもガドニエルには白状できない。
その後、縛られて繰り返し犯され、それもまた最高の快感だったなどとも……。
快感の名残りがいまだにとれず、身体の甘い疼きがずっと続いていて、身体が怠いということも……。
とにかく、試しにやってみた泣き落としに、あいつが弱いとは、やっぱり女に甘い「ご主人様」だと思った。
「そうなのですか? ロウ様に? 折角のロウ様の調教をお姉様からお断りに? ああ……、でも、それで……」
ガドニエルは目を丸くしている。
そんなに、驚くようなことか……?
アスカは舌打ちした。
一方で、ガドニエルがなんとなく納得したような表情にもなった気がした。
アスカは首を傾げた。
「ふわっ……あっ」
そのときだ。
突然にガドニエルが小さな息をして、太腿をぎゅっと擦り合わせるような仕草をして、顔を赤らめたのだ。
アスカははっとした。
「お、お前、まさか──」
立ちあがって、ガドニエルの隣に座り直し、いきなりスカートを捲りあげた。
「ああ、お姉様、なにを……」
悶えるように身体を捻り、形ばかりの抵抗をガドニエルがしたが、アスカはそのまま完全にガドニエルの股間をスカートから出す。
やっぱり──。
ガドニエルは、まさに昨日までアスカが装着されていたディルド付きの貞操帯をはかされていたのだ。
いまのガドニエルのよがりは、ディルドが突然に動いたときの女の反応に違いない。
昨日、ガドニエルに会ったときにはしていなかったので、さっきの仮想空間とやらの調教の後で、ロウがガドニエルに施したのだろう。
しかし、とても、とても嫌な予感がする。
「もしかして、その貞操帯は……」
「お、お姉様がしていたものですわ……。お姉様の……お汁がたっぷとついたものを……そのまま装着してもらいました。とても鬼畜で……。わたしも……びっくり……したんですが……。そうですか……。お姉様からお外しに……」
ガドニエルが小さく身体を震わせながら言った。まだ、振動が続いているのだろう。
しかし、アスカは驚愕した。
そういえば、ロウから貞操帯を外してもらったとき、あいつが何か思いついたように、にやにやしていたと思ったが、あいつ、そのままガドニエルに装着させようと思ったのか……。
アスカのたっぷりの体液がついたものを……。
「あ、あいつ……」
アスカは歯噛みした。
「あん」
ガドニエルがびくりと身体を竦める。
とまったのだろう。
アスカは知っているが、このディルドの振動はあまりにも気持ちがいいので、停止したときになんともいえない焦燥感と性への飢餓感が起きるのだ。
三日も付けっぱなしにされて、ずっと寸止め状態のようなかたちだったアスカが、昨夜ロウに泣いて外してくれと頼んだのも、それが大きな理由である。
「……わ、わかりました。お姉様の分まで、しっかりと、このガドがロウ様の躾をしてただきます。お姉様はご心配なさらず、ご政務をお願いします……」
ガドニエルが甘い息を吐きながらこくりと頭をさげる。
なんだか、腹がたつ……。
「ま、まあ、やるさ……。あいつに言われたこともあるしね。ゲートの設置だって、すでに手配済だ」
ロウに別に指示を受けたことというのは、ロウがハロンドールに帰還するにあたり、場合によっては、一個隊を貸して欲しいというものだ。
あのイライジャという褐色エルフに指示して、ハロンドールの動静を探らせていたようだが、その関係で必要になるかもしれない気配らしい。
もちろん、最優先で準備している。
また、ゲートとは、ハロンドールの王都と水晶宮のあいだに、長距離の移動術が可能となる設備を作るというものだが、昨日、例のユイナが基本設計を提出したらしく、アスカのところまで、すぐに書類があがってきた。
単純だが、性能の高そうな設計であり、物になりそうだと判断した。だから、すでに水晶宮とナタル森林側については着手するように指示を出した。
ハロンドール側の受け入れさえ可能となれば、そっちも、すぐにかかる。
まあ、ロウがなにかをしなくても、クリスタルの貿易のことがあるから、こっちから打診すれば、ハロンドール王側が断るわけがない。
実はすでに、ハロンドール王には、魔道で提案済みであり、いまのところ、返事はないが、すぐに実現するだろう。
「じゃあ、ロウ様から預かったものがあるのですが、必要ないですか? ロウ様がお姉様の身体が疼いてどうしようもなくなっていれば、渡せと言われているものがあるのです……。あっ、また……」
ガドニエルがびくりと身体を竦ませた。
貞操帯の振動がまた始まったのだろう。
今度はお尻をもじもじとさせているので、後ろ側かもしれない。
それはともかく、ロウからの預かり物があると聞いて、アスカはそれが気になった。
「ま、待ちな──。なんだい、預かり物って──? 出しな。出すんだよ」
なにをガドニエルに渡したのかは知らない。
しかし、昨夜、あれだけ抱いてもらったのに……。
いや、だからこそ、いま身体が疼きまくっている。
本当に、あいつとの性交は危険すぎる。
ゲートの建設をすぐに着手させたのも、それが理由だ。
ロウたちは、あと数日で帰還の途につくが、ロウがいなくなってから、ロウに抱かれない生活をどれだけ耐えられるか、アスカには自信がない。
「で、では……。あ、あの……、ロウ様は、仕事の邪魔にならず、それで、お姉様がロウ様に抱いていただきたいのであれば、これをはくようにと……。はいてから、お股を拭いてはならないそうです。汚れたまま、ロウ様のところに来いと……。はあ……ふううっ」
ガドニエルが脱力した。
振動が停止したのだ。
それよりも、ガドニエルが収納魔道で出したのは、小さな布の下着だった。
真っ白い柔らかそうない生地であり、一見して高級品だとわかる。
下着を……?
アスカは訝しんだ。
「これをあいつが?」
「はい、お姉様、ロウ様は身体が疼いて我慢できなければ、これをはいて来いと。さっきも言いましたが、ロウ様は不思議な術を使いますのよ。いくら抱いていただいても、ちっとも時間は経たないんです。お忙しいお姉様にぴったりの術ですのよ」
「なにがお忙しいお姉様だい」
アスカは呆れた。
忙しいのは、ガドニエルを引退させてアスカが代わったことだけじゃなく、さらに、本来の女王のガドニエルがなにもしないから、こいつがイムドリス宮でやっていたことまで肩代わりしているからだ。
ロウもガドニエルは飾りに徹してもらって、実権はアスカが握るべきだと言っているからこうしているが、早晩、信頼できる部下を見つけないと、アスカも参ってしまう。
だが、そうか……。
ロウに相手をしてもらっても、時間が経たないのか……。
そうか……。
確かに、なんか、あの貞操帯がなくなって刺激がなくなると、快感を求めて身体が疼きまくる……。
寸止めだけだったとはいえ、あの貞操帯は気持ちがよすぎるんだ。
そうか、ロウに……。
「と、とにかく、もらっておくよ……。もういい。お前は帰れ──。本当に忙しいんだよ」
アスカは、下着をひったくると、ガドニエルには退出を促す。
ガドニエルは、特段の不自然な態度もとらず、アスカに挨拶をすると、やって来たときと同様に魔道で姿を消した。
「この下着がなんだっていうんだい……」
つまりは、これをはきっ放しにして、汚してから夜に訪ねて来いということに違いない。
それでわざわざ、汚れの目立ちやすい白にしたのだと思う。
アスカは、下着を握って寝室側に移動をすると、すぐにはき替えた。
とにかく、身体が疼いているのは確かだ。
今夜にでも抱いてもらいたいのは間違いない。
いや、できればすぐに……。
まあ、はいてから、どうしても我慢できなくなれば、あいつを呼ぶか…。
あの伝言なら、この下着を愛液で汚しておかないと、相手をしてもらえないんだろう。逆に言われたとおりにしておけば、絶対に抱いてもらえる。
まだ、幾日もないが、あいつのひととなりは、かなりわかってきた。
とにかく、女に甘い男だ。
結局のところ、泣きつけば身体の疼きを必ず癒してくれる。
アスカは下着をはき替えた。
「えっ?」
しかし、身に着けていた下着を脱いで、その下着を股間にはいた瞬間に、アスカに違和感が襲った。
魔道ではないが、それに似たものが発動したのがわかったのだ。
仕掛けがしてあったことに、アスカが気がつかなかったということはあり得ることではないが、実際にはわからなかった。
ただの下着だと疑っていないし、だからこそ、大して迷うことなくアスカは身に着けたのだ。
「うわっ、な、なに──」
アスカは悲鳴をあげた。
はいた瞬間に、もの凄い股間の痒みがアスカに襲いかかったのだ。
「まさか──」
急いで脱ごうとした。
だが、脱げない。
それだけじゃなくて、柔らかい布のはずなのに、昨日まで装着させられていた貞操帯のように、外側からの刺激が内側に伝わらないようになっている。
よくわからないが、これは魔道の下着……。
呪いの下着とも称すべきものか──。
どうでもいいが、どんどんと股間が痒くなる。
股が……。
膣の奥が……。
お尻の周り……。そして、奥……。
肉芽まで……。
「あああっ、か、痒い──。ま、また、やりやがったね、あいつ――」
必死に脱ごうとするが、どうしても脱げないのだ。
アスカはその場にうずくまってしまった。