※この作品はR-18です。

【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】   作:ドン・ドナシアン

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526 第一の関門

 ずきん、ずきんと身体の奥から突きあげるような痒みに耐えながら、アスカはノルズの部屋に辿り着いた。

 ロウたちの部屋から廊下をひとつ進むくらいの距離であり、幸いにも誰にも会うことはなかった。

 

「ノ、ノルズ、わ、わたしだよ。ラザニエルだ。開けるよ」

 

 部屋は鍵ではなく、ノルズが張った結界によって出入りする者を制限するのだが、アスカについては結界に弾かれることはないようになっている。

 魔道医師によって指示を受けていたノルズの養生期間も終わり、寝台から出ているものの、特にすることもないため、エマと一緒に部屋にいるはずだ。

 そのまま、結界の内側に入る。

 

 すると、いきなり淫靡な女の泣き声のような嬌声が耳に飛び込んできた。

 卑猥な責めを受けているらしいエマの姿も……。

 

 なんだ、これは──。

 アスカは唖然とした。

 

 驚くことに、部屋の中央に、向かい合う二台の木馬があり、そのうちのひとつに、上半身こそ侍女姿だが、下半身にはなにも身に着けていないエマが、その木馬に跨らされているのだ。

 それぞれの木馬の首の部分には、両手を拘束する手枷のついた金属の棒が貫通していて、エマの両手首はその枷に固定されている。

 また、木馬の胴体にも脚を固定させる革ベルトが取り付けられており、エマの脚は五箇所ずつそれで縛られていて、木馬に跨ったエマに、馬から降りるどころか、自分の意思で身体を動かすことさえできないようになっているのだ。

 

 その状況に固定されているエマは、汗びっしょりであり、必死の表情で上気した顔を振っている。

 だが、穴付きの球体がエマの口に嵌まっていて、言葉を出すことはできなくもされていた。

 エマは哀願するような吠え声を出しながら、いまでも球体の穴から涎を垂れ流し続けている。

 とにかく、全身を真っ赤に上気させて、涎も涙も鼻水も垂れ流し状態のすごい状況だ。

 これはただの木馬じゃないだろう。

 エマが尋常じゃない責めを木馬から受けているのは明白だ。

 

「ああ、あんたかい。そこに座んなよ。エマの調教の真っ最中さ」

 

 上下の下着姿だけの半裸のノルズが椅子に座って足を組んでいるのだが、そのノルズがアスカに視線だけ向けて、白い歯を見せた。

 ノルズが自分の座っている椅子の横にある空きの椅子を顎で示す。

 まるで、アスカが訪れるのを待っていて、わざわざ準備していたような置き方だ。

 ふと見ると、椅子と椅子の間には小さなお茶置きの台があり、そこにはふたり分の茶器が置いてあった。そのうちのひとつには、茶が入っていて、もうひとつは空だ。

 やはり、アスカが来るのを待っていたのだと悟った。

 

「ノ、ノルズ、ロ、ロウは……?」

 

「座んな、アスカ」

 

 アスカがロウのことを訊ねようとすると、それを遮るようにノルズがもう一度椅子に促した。

 しかし、股間を苛む掻痒剤は、もうアスカの理性を狂わすかのように、アスカを追い詰めている。

 一刻の猶予もない。

 

 とにかく、痒い──。

 もう、どうしたらいいかわからない。

 

「ロ、ロウはどこなんだい──。ここにいるって、聞いているんだ──」

 

「だから、もう、ロウ様はここにはいないよ……。とにかく、座りなよ。それとも、いつまでも、そこで腰を振ってるかい? あたしの言うことをききな。そうすれば、股の痒みについてはなんとかしてやろうじゃないか」

 

 ノルズがにやりと笑った。

 アスカは驚いた。

 ノルズはアスカの受けている苦悶の状態を承知しているみたいだ。

 しかも、なにか企んでいるような気配である。

 アスカは絶句してしまった。

 

「とにかく、あたしの言うことに従いな。ロウ様については、ちょっと、揉め事があったらしいさ。だから、忙しいから、あんたに時間を潰して欲しいと言っている……。大丈夫だよ。預かっている道具もある。多分、気に入ると思うよ」

 

 ノルズの顔にはしっかりと嗜虐の色がある。

 アスカは嫌な予感がした。

 だが、ここにロウがいたことは確かのようであり、さらに、ここにはもうロウはいないようである。

 部屋には、ノルズとアスカと、目の前の木馬に乗せられて喘いでいるエマ以外の人の気配はない。

 

「もういいよ──。だから、ロウはどこに行ったんだい──? さっさと喋るんだ──。冗談は終わりだ──」

 

 とにかく、アスカは苛立って声をあげた。

 本当に泣きなくなるくらい痒いのだ。

 いまは、喋るだけでも苦悶が増大する気がする。

 

「教えて欲しければ、あたしの言うことに従うんだね。ロウ様から、あんたへの言いつけがそれさ……。ロウ様に従えない女は、それっきりだよ……。まあ、あたしとしては、あんたには悪いけど、ロウ様の命令が最優先で、あんたとの友情はその次かな」

 

 ノルズがからからと笑った。

 アスカは歯噛みした。

 少し前までは、ノルズとのあいだに奴隷契約があったから、最終的にはアスカが命令すれば、ノルズは従うしかなかったのだが、アスカがロウから解呪を受けた瞬間に、その奴隷関係は消失している。

 ノルズがロウの行方を教えてくれなければ、アスカにはそれを知る方法がない。

 そして、アスカは、このノルズが心の底からロウに心服しているのを知っている。

 ロウがなにをノルズに言ったかわからないが、ノルズはアスカがなんと言おうと、ロウからの命令に背くことはないはずだ。

 だが、もう我慢できない。

 なんとしても、ロウの居場所を教えてもらわなければ……。

 

「ふ、ふざけるな──。勝手に決めんじゃないよ──」

 

 アスカは再び怒鳴った。

 だが、その声がさっきよりも小さいし、少し声が震えていることに気がつかないではいられなかった。

 もう痒みの苦しさは、切羽詰まったものになっている。

 自分の自制心が信じられないくらいだ。

 

「勝手には決めてないさ。あたしはロウ様の言葉をお伝えしているだけでね。あんたの好きにしていいよ。どこでも好きなところに行きな」

 

「……ああ、もうだめだよ。本当に……。た、頼むから……」

 

 これが限界だった。

 アスカはついに、その場にしゃがみ込んでしまった。

 だが、ノルズは少しも動じた様子もない。

 空だったもうひとつの器にお茶を注ぐ。

 

「床に座るくらいなら、椅子に座ればいいじゃないか……。まあ、どうしても椅子に座りたくなければ、そうしてくれてもいいけどね。だけど、そのときには、ロウ様の言いつけに背いたとみなすよ」

 

 ノルズがにこにこと微笑んだ。

 嗜虐に徹したときの、ノルズの気の強さと冷酷さは、アスカはよく知っている。

 ノルズは諦めた。

 

「し、従わないとは言ってないだろう……」

 

 アスカは、仕方なく立ちあがると、ノルズの隣の椅子に座った。

 ノルズが満足そうに口元を緩めるのがわかった。

 

「す、座ったよ。ロ、ロウはどこだい──?」

 

 アスカは言った。

 そのあいだも、アスカの腿は必死の様子で擦り合わされている。

 どんなにそうしても、痒みがまったく癒えないことは承知しているが、そうせずにはいられないのだ。

 脳天にまで響き渡るような激しい痒みだ。

 もう、とても我慢できない。

 

「まあ、待ちなよ。それよりも、せっかくの茶だ。飲んでおくれ」

 

「い、いい加減に……」

 

 アスカはかっとなった。

 

「……飲むんだよ」

 

 だが、ノルズの凄みのある声に、アスカの心にあった怒りの感情が、ノルズに対する気後れの気持ちに変化する。

 そして、こいつは、こんな一面もあるのかと思った。

 考えてみれば、これまでノルズと面していたときには、なんだかんだで、アスカに対して、ノルズが隷属の刻みをしているという絶対的な優位な立場がアスカに存在した。

 まったくの対等の立場で面することはなかったのだ。

 ひとたび、ノルズが本気を出せば、ここまで相手を圧倒するような気を出せるのだと初めて知った。

 

「飲みな」

 

 ノルズがもう一度言った。

 そのときには、アスカには、もう逆らう気持ちが小さくなっていた。

 大きく息を吐き、渋々お茶に手を伸ばす。

 

「……の、飲むよ」

 

 とにかく、お茶を飲む。

 ノルズはアスカがお茶を飲み干すまで、喋りだす気配がない。

 猛烈な股間の痒みに苛まれながら、お茶を飲む気にもなれないし、それ自体が拷問のようにも思えてしまう。

 とにかく、できる限り時間をかけずに、アスカは器を空にした。

 

「さ、さあ……」

 

「待ちな……。それよりも、見ておくれよ。あたしたちのエマの無様な姿をね……。これもロウ様の調教具さ。見えないとは思うけど、エマが跨っている部分には穴が開いていてね。そこに、それ自体が不規則に回転する玉がゆっくりと回転をして股間に当たるようになっているのさ。柔らかな刷毛の刺激も混ざってね。しかも、強い媚薬を噴き出しながらだ。とても気持ちがいいみたいさ。だけど、緩慢な刺激だから、絶対に達することもできない。もう、かなりの時間をエマにはああやって座らせている。そろそろ頭に達したみたいだね」

 

 ノルズが目の前のエマが木馬の機能について喋り始める。

 その口調は、わざとらしくゆっくりとしたものに聞こえる。

 エマを苛める責め具は愉しいとは思うけど、いまのアスカにはどうでもいい。

 すぐに苛ついてしまった。

 

「し、知らないよ。それよりも……」

 

「あいつにも困ったものなのさ。あたしがロウ様に優しくしてもらうのを嫌がってね。それで、いい機会だから、自分の立場をしっかりと知らしめてやろうと思っている。あのまま、もう半日はそのままのつもりだよ。狂うなら狂えばいいさ。すぐに、元に戻せるしね」

 

 ノルズがからからと笑った。

 アスカはかっと血が昇るのを感じた。

 

「ノルズ、いつまでも、ふざけるんじゃない──。お前の言うとおりに、椅子に座り、お茶も飲み干した──。ロウはどこだい──?」

 

 アスカは叫んだ。

 すると、いきなりノルズが立ちあがって、アスカの前に立った。

 アスカはどきりとした。

 

「親指を背中で重ねてこっちに向けな」

 

 一転してノルズの口調は冷酷そのものの響きだ。

 それはともかく、いまなんと……?

 

「……聞こえなかったのかい? 指を後ろだよ。逆らえば、ロウ様にところには連れていかない。そう言われている。さあ、どうする?」

 

 ノルズが言った。

 その表情には、冗談でもはったりでもなさそうだ。

 これは本気だ。

 アスカが逆らえば、ノルズは本当にロウのところには、アスカを連れていかないだろう。

 それがわかった。

 

「な、なんで、指を後ろに回さないとならないんだよ」

 

 しかし、それでも、アスカは最後の気力を振り絞って、ノルズを睨みつけた。

 だが、ノルズにはまったく動じた様子もない。

 ひょいと小さく肩を竦めただけだ。

 

「それがロウ様のご指示だからさ。さっきも言ったよね。ロウ様は忙しいのさ。だから、しばらく時間を潰してもらう。いやなら、帰りな」

 

 ノルズがさっと手をあげた。

 外に繋がる扉が開く。

 自分の羞恥の姿を廊下から丸見えにされたエマが悲鳴のような声をあげた。

 

「や、約束は守るんだよ……」

 

 もう仕方がない……。

 アスカは手を背中に回して、ノルズに向けるようにした。

 すぐに重ね合わした親指の根元に紐が巻きつけられ、ぎゅっと縛られる。

 指縛りだ。

 これで、両手は使えない。

 なにをされるかわからない不安に、アスカの心臓が鼓動を大きくする。

 

「じゃあ、次はそこに跨ってもらおうか……。心配ない。あんたは満足するはずだ。ロウ様の木馬は、一切の刺激を遮断するその下着だって、しっかりと刺激をくれるそうだよ」

 

 ノルズがけらけらと笑った。

 アスカは目を丸くした。

 木馬だって──?

 まさか、エマが乗せられている木馬にアスカも──?

 そういえば、エマと向き合うように、もうひとつの木馬がある。

 だが、まさか、本当にアスカをあそこに──?

 愕然とした。

 

「お、お前、このわたしをエマと一緒に──? ふ、ふざけるんじゃないよ──」

 

 さすがに怒鳴りあげた。

 これだけは承知できない。

 エマの前で責められるなど──。

 

「ロウ様に預かっているものがあると言ったじゃないか──。それは、その木馬さ。あたしがこんなものを準備できるわけなんだろう。ごちゃごちゃ言わずに跨りな。痒みが癒えるよ。それだけは請け負う」

 

「いやだ──。絶対にいやだ──。絶対にやらないよ──。そ、それに、そんなの無駄だ。この下着は外からの刺激を遮断するんだ」

 

「いや、実はその下着はあんた自身による刺激を遮断するだけだ。他からの刺激はちゃんとあるよ。とにかく、その絶対に嫌だと思うことを無理矢理にさせるのが調教さ……。あんたも、よくわかっているはずさ」

 

 ノルズは微笑んだ。

 アスカはぞっとした。

 それにしても、他人からの刺激は受け付けるだと? それでいて、自分自身の刺激は遮断?

 そんなことできるのか?

 

「……ああ、それと、もうひとつ伝言があった。あんたのスカートは長すぎるそうだ。次からは膝の半分よりも長いものをはくなと言っていたっけね。……というわけで、これは没収だ」

 

 ノルズがアスカの首を掴んで、椅子から引きずりおろす。

 そのまま後手に縛られている腕を取られて、身体を固められる。

 

「な、なにすんだい、ノルズ──」

 

 アスカは悲鳴をあげたが、魔道が封じられているアスカには、ノルズに逆らう手段など皆無だ。

 しかも、両手は背中で拘束されていて、非力のアスカにはノルズに抵抗などできない。

 あっという間に腰の留め具を外されて、スカートを足首から引き抜かれてしまった。

 

「うわっ、ひいっ」

 

 突き飛ばされて、床に転がされる。

 すると、アスカの周りに転送術の魔道紋が拡がるのがわかった。

 アスカは驚いた。

 

「大人しく木馬に座るかい? それとも、水晶宮の外のシティの公園にでも跳躍したいかい。好きな方を選びな」

 

 どちらも冗談じゃないと思ったが、本当に転送術の魔道紋に魔道が流れている。

 アスカは目を丸くした。

 

「や、やめなよ──。じょ、冗談がすぎるよ、ノルズ──」

 

 叫んだ。

 しかし、ノルズは冷たく微笑んだだけだ。

 

「忘れたのかい……。あたしは、ロウ様が命の女さ。ロウ様の命令なら、いくらでも、あんたを追い詰める……。それに、よく考えれば、あんたには山小屋でかなりの酷いことをされた気がするしね。その仕返しもやってないよね」

 

「な、なに言ってんだい──。そ、そんな昔のこと──」

 

「なにが昔だい。半月も経ってないよ。もういい──。じゃあ、その恰好でシティに行きな。姉の醜聞くらい、女王のガド様が揉み消してくれるよ」

 

 転送術の紋が光り本当に発動した。

 アスカは悲鳴をあげて、必死になって紋の上から逃げる。

 しかし、魔道紋が追いかけてくる。

 木馬に向かって追い詰められた。

 

「最初から素直になればいいのさ」

 

 ノルズが大笑いして、同時に移動紋の光が消滅する。

 アスカは、そのまま木馬の上に押しあげられてしまった。

 跨ってわかったが、確かに股間に当たる部分に、穴が開いていて、こぶし大の球体が半分だけ外に出ている。

 その上に、股間が来るように座らされ、あっという間に脚を固定された。

 さらに、首輪を嵌められ、それを木馬の首側に鎖で繋がれる。

 

「くっ、ううっ」

 

 アスカは声をあげた。

 球体がぐっと下着越しに喰い込んで、痒みに襲われていたアスカの股間を思い切り圧迫したのだ。

 だが、両脚とも五箇所以上は革ベルトで固定されている。

 木馬の背中から腰をあげることはおろか、左右にもずらせない。

 それはともかく、さっきノルズが言った通りに、この木馬については、下着に備わっている忌まわしい刺激遮断の効果はないようだ。

 しっかりと、球体による股間の圧迫を感じる。

 

「んんんん」

 

 目の前のエマと目が合った。

 すっかりと欲情している気配のエマが、木馬にあげられたアスカを眼にして、驚きで目を丸くしているのがわかる。

 

「じゃあ、始めるよ……」

 

 股間部分の球体が回転を始めた。

 

「あっ、ああっ、はあああっ」

 

 たちまちにアスカはあられもない声をあげて、身体をのけ反らしかけた。

 だが、首輪に繋がった鎖がそれを阻む。

 股間に当たっている球体がそれ自身が回転をしながら、全体でもゆっくりと回りだしたのだ。

 しかし、布越しだが、確かに痒みに爛れた秘部やアヌスの入口を刷毛による緩慢な刺激がくる。痒い場所への刺激は、アスカの想像を遥かに上回る快感だ。

 だが、あまりにも緩慢な動きすぎる。

 強い刺激を渇望しているアスカには足りなすぎる。

 じわじわとくすぶるような官能を少しずつあげさせていくだけである。

 

 また、なにかの霧状のものが球体とともに噴きあがっているのもわかった。

 だんだんと、股間の痒みが大きくなることで、下着から噴きあがっている霧状の媚薬と同じ性質のものだろうと悟った。

 さらに、時折柔らかな羽根か刷毛のようなものが回転に加わり、下着の上からや、あるいは、開いている内腿をいやらしくくすぐってくる。

 アスカは悲鳴をあげた。

 

「主従仲良く責められるというのもいいだろう、ラザ……。あんたが以前に言ったけど、責める者と責められる者──。これが交代するというのは、実に愉しいものだねえ……。あんたがあたしをエマに責めさせたときには、こんな気分だったのかねえ」

 

 ノルズが笑った。

 アスカは、ノルズを罵ってやろうと口を開く。

 しかし、ぎょっとした。

 エマが口にされているものと同じ穴付きの箝口具がアスカの口にも迫っていたのだ。

 

「んああっ、んんん」

 

 首を横に振って抵抗しようとしたが、強引に口の中に押し込まれて、ボールギャグの両端についている革紐で首の後ろで固定される。

 そして、驚くことにさらに目隠しをされた。

 

 すぐに、アスカは追い込まれた。

 木馬に跨った状態での、痒みに爛れる股間の球体による刺激は、本当に全身を痺れさせるような感覚であり、すでに股間の奥はアスカが感じたことがないくらいの熱い疼きを湧きたたせている。

 

 しばらくのあいだ、そのまま放置された。

 

 すぐ目の前からは、エマの悲鳴のような悶え声が聞こえてくる。

 せめて、エマの前では醜態を示したくなくて、必死に声を我慢しようと思うのだが、すぐにアスカの口からは、女の悶え声が響き始める。

 もっとも、球体型の箝口具が口の中に押し込まれているので、まるで獣の吠え声のような音になるだけだ。

 それがアスカの羞恥と屈辱を誘う。

 

 そのまま、かなりの時間が過ぎた。

 アスカは少しでも玉の回転と刷毛責めから逃れようと、身体を悶えさせるのだが、両脚をがっちりと木馬に固定されているために、いくら腰を動かそうと思っても、身体は前にも後ろにも横にも動かない。

 

「んんんっ、んぐううっ、んんんん」

 

 噛まされている箝口具を噛み壊さんとばかりに力を入れる。

 だが、当然だが箝口具も、脚の革紐も、指縛りの紐も、首輪の鎖もまったく外れない。

 

 そうやって、エマと一緒に、かなりの時間放置され続けている気がする。

 

 エマと同じ扱いで、いたぶりを受ける……。

 

 なによりも、それが途方もない恥辱だったが、いまはもうなにも考えられなくなってきた。

 しかも、ずっと生殺しの状態が続いていた。

 股間に加わる刺激により、怖ろしいほどの痒み地獄からは少しは癒されたが、代わりに襲っているのは、泣きたくなるほどの疼きに対する焦燥感だ。

 それに、霧状の媚薬はアスカの股間の表面だけでなく、容赦なく最奥にまで痒みを浸透させている。

 しかし、球体の刺激は秘部の表面が癒されるだけで、奥に触れることはない。

 アスカは股間の奥への刺激が欲しくて気が狂いそうだった。

 

「んんんん、んぐうう」

 

 アスカは、自分の醜態を見守っているはずのノルズに、何十回目にもなる哀願の言葉を放つ。しかし、箝口具に阻まれて、それは言葉として届くことはない。

 媚肉を襲う妖しい痺れも、耐えがたい子宮の疼きももう限界だ。

 

「どうだい、ラザ? そろそろ、マゾの自覚ができてきたかい? あんたには、責めは似合わないよ。そうやって、いじめられるのがお似合いさ。そうだろう?」

 

 ノルズの声が耳元で聞こえた。

 すぐ横にいるのだ。

 アスカは、ほとんど条件反射のように首を縦に振っていた。

 もう、責めでも受けでもいい。

 

 それよりも、おろしてくれ……。

 

 そして、この疼き切った身体をなんとかして……。

 

「マゾだということを認めるね」

 

 アスカは再び首を縦に振る。

 すると、満足そうなノルズの笑い声が響いた。

 

「いい子だ。もっと遊んであげたいけど、あんたを引き渡す相手の準備ができたそうだ。じゃあ、次の場所に送ってやるよ。しばらくすると、次の相手がやって来るから、そいつに従いな……。あたしは、エマと遊んでいるからね。よければ、ロウ様に愛してもらったら、もう一度遊びに来ておくれ。一緒にエマで遊ぼうよ……。ところで、今回のことは、ロウ様のご指示だからね。お互いにロウ様の奴隷同士だ──。悪く思わないでおくれ。全部、水に流しておくれよ」

 

 ノルズの声が聞こえた。

 なにが水に流してくれだ──。

 やった側が言うな──。

 

 それにしても、ノルズはなんて……?

 

 アスカをどこか別の場所に送ると言った気がしたが……。

 どこかに魔道で飛ばされる……?

 悶えながらも、アスカの背中に冷たい汗が流れる。

 さらに、次の瞬間、急に胸の前が涼しくなり、乳房が剥き出しにされた感覚が襲った。

 

 えっ──?

 胸の下に布が垂れ落ちている感覚がある。

 そして、胸当ての下着も切り取られた。

 もしかして、服の前を切断されて、乳房を外に出された?

 多分、そうだと思うが、目隠しをされているのでよくわからない。

 

「どこに行くのかねえ……。本当にシティの真ん中だったらごめんね」

 

 ノルズがけらけらと笑った。

 それが最後の言葉になった。

 アスカは移動術により、自分の身体がどこか別の場所に移動したのを感じた。

 ずっと聞こえていたエマの必死の悶え声が消滅し、アスカ自身の甘い声だけが耳に入ってきた。

 ほかに喧噪は聞こえない。

 まるで、誰もいない部屋のようだ。

 アスカは息も絶え絶えになりながら、木馬の上で半裸の身体を悶えさせ続けた。

 

 そのときだった。

 部屋に転送術で誰かが跳躍しているのを感じた。

 焦燥感と股間の爛れるような性の疼きで狂いそうであり、魔道の感知もうまくいかないが、微かな波動の乱れでアスカはそれがわかった。

 

 そして、すぐにくすくすと女の笑い声が聞こえた。

 アスカは、その声の正体が瞬時にわかり、愕然とした。

 

 次の瞬間、突然に股間を襲っていた球体の刺激が消滅した。

 アスカは、がっくりと全身を脱力させてしまった。

 さらに、口の中の箝口具もなくなった。魔道だ。

 

「お姉様がわたしと同じで、マゾ女だというのは、まったく知りませんでした。どうして、教えてくれなかったのですか?」

 

 ガドニエルの気楽そうな言葉が響きわたった。

 しかし、アスカは、それどころじゃない。

 股間の回転刺激が中断されたことで、途方もない痒みがアスカに襲いかかってきたのだ。

 

「ああっ、や、やめないで──。やめないでおくれよ──。続けて──。続けるんだよ」

 

 アスカは泣き叫んだ。

 

 痒い──。

 痒い──。

 痒い──。

 

 もうなにも考えられない──。

  

「まあ、お姉様──。本当にマゾの雌犬のお顔になられているじゃありませんか。羨ましいですわ……。いずれにしても、ロウ様のお許しがなければ、なにもできません。ロウ様には、お姉様をとことん苛めるようにと命じられていますから……」

 

 ガドニエルがくすくすと笑う声が聞こえた。

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