【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】 作:ドン・ドナシアン
三十名のエルフ族の女戦士が準備された水晶宮の広間の一室に集まっていた。
エリカは、整列をしているエルフの女将兵たちに向かい合うように、ブルイネンやシャングリアとともに立っている。
三人の中心がブルイネンであり、それをエリカとシャングリアで挟むかたちだ。
とにかく、呼ばれたからここにいるのだが、いまだに困惑はある。
式典のような形式にしたのは、女王であるガドニエルの発案らしいが、とりあえず説明には納得はしたし、協力には応じたものの、こんな状況になるとは予想してなかったのだ。
もともとは、エリカの言葉が始まりだったみたいだが、エリカはこんな大々的な形式は考えてはいなかった。
そもそも、そういう性質のものではないし……。
いずれにしても、ブルイネンはガドニエルの指示で中心になって準備に動いていたようだが、エリカとシャングリアはたったいま聞いたばかりだ。
しかし、筆頭奴隷として、協力してくれとブルイネンに頭をさげられて、拒否することもできない。
エリカだけではなく、シャングリアにも声をかけたのは、なんとなく話が通じそうだったかららしいが、ともかく、エリカはシャングリアとともに、発起人という立場でここに立つことになったのだ。
そもそもの始まりが、エリカがブルイネンに相談のようなことを口にしたのがきっかけなのは間違いないし……。
ともかく、この場所はガドニエルが自ら指示をして準備をした場所であり、いつもは使うことがない大広間だそうだ。
この場所で国賓との宴をすることもあるし、舞踏会のようなこともできるようになっているとのことだ。
とにかく広い。
しかし、いまはなにも調度品は置いていないので閑散としている。
その代わりに、柔らかい感触の真っ赤な絨毯が敷き詰めてある。真っ赤な絨毯をこの広い床に敷き詰めたのもガドニエルの指図らしい。真っ赤な色は情熱の色であり、煽情の色とのことだ。
とにかく、ガドニエルは張り切っている。
ロウへの感謝の証として、ロウにやっと恩の一端を返すことができそうで嬉しいと口にしていた。
そして、絨毯を敷き詰めさせているここに連れてこられたのだ。
また、すでに大広間全体に、ガドニエルの結界が刻んであり、この中で行われることについて、音や声が外に漏れることはないし、許可なく誰も入ることはできないとのことだ。
それにしても、急遽集められたブルイネン隊の要員たちは、一体全体なんの用件なのかと訝しんでいることだろう。
凛としてこちらを見つめる全員の視線には、緊張感さえ感じる。
とにかく、この中からこの三十人の全員とは言わないが、それなりの人数を説得してロウの性の常続的な相手をしてもらえるようにお願いすることになる。
果たして、どのくらい承知してもらえるか……。
つまりは、エリカが悩んでいたのは、ロウのことだ。
それで、こういうことに繋がったのだ。
もともと淫魔師として様々な技を遣うロウだが、この水晶宮にきて明らかに能力が向上した。
あの妖魔将軍のサキのような仮想空間術を使うようになったし、錬金術のように粘性体をほかの物質に変化させるということもやりだした。ほかにも、著しく体力や気力が向上したと感じるし、なによりも威厳のようなものを醸し出すようになった。
間違いなく、淫魔師としてのロウの能力があがったのだと思う。
だが、それとともに、絶倫度もあがった。
ロウの能力が、女を抱くことによって得られるのは、もはや明白だが、あまりにもロウの性欲があがったので、エリカたちだけでは、とても対応できなくなっていたのである。
すなわち、エリカたちが寄ってたかって、ロウの相手をしても、ロウの性欲を完全に満足させられないのである。
実は、エリカはそれを気にしていた。
ロウは加減をしてくれているみたいだが、パリスとの最初の対決の際に、ロウが淫気の欠乏で危機を招いたこともあったし、エリカとしては、ロウには常に十分な淫気を溜めた状態であって欲しい。
自分たちが不甲斐ないせいだが、なんとかしなければと考えてはいた。
それで、ブルイネンにちょっと相談をしたのである。
ロウのところには、連日、ロウに助けられた親衛隊の女たちなどが頻繁にやってきていた。だから、彼女たちさえ承知してくれるのであれば、ロウの性欲発散と、淫気の充填に協力が願えないかと……。
まあ、そのときには、それだけて話が終わり、ブルイネンもどう対応するとは言わなかった。
しかし、実際にはブルイネンは、色々と動いてくれたみたいだ。
そして、それが女王に伝わり、今夜のことになったようだ。
従って、エリカも無関係ではないので、発起人として関わることに決めた。
特に、ブルイネンに強く頼まれた。
エリカは承知した。
だが、なんでこんな風に朝礼でもするように集めたのだろう?
とにかく、目の前にはずらりと並んだ三十人ほどのエルフ族の女たちがいる。
全員がブルイネンの部下の親衛隊員だ。
ブルイネンが集めたのは、単にロウの性の相手をするのみではなく、実は、行く行くはロウやエリカたちがハロンドールに帰還するときの同行要員になる予定らしい。
ブルイネンは、その候補者たちに、まずは打診することにしたようだ
だから、編成完結のような形式にしたのだろうか?
まあ、性の相手集めの話とは別に、エリカたちがハロンドールに戻るときには、警護要員として一個隊を抽出して同行してくれることは決まっていて、どうせならと、ブルイネンはその要員と性の相手の要員を重ねることにしたのだとは思うが……。
「最初に言っておく──」
ブルイネンが口を開く。
「……これから話すことは、軍命ではない。当然に拒否は自由だ──。馬鹿馬鹿しい……。承知できない……。冗談ではない……。そう考える者はすぐに立ち去ってくれ。ただし、最後まで話を聞いてしまった場合は、そのときには拒否はできない。だから、不本意だと思う者は、必ず途中で出ていくこと。それを守れ。また、一度この部屋を出れば、もう入ることはできない」
ブルイネンが大きな声で三十名に対して言った。
全員が訝しむ表情をしたが、さすがにブルイネンが選んだ精鋭の女将兵だ。
しわぶきひとつする者もない。
「これ以降、発言を許可する。質問がある場合は挙手をせよ。さっき言った通り、黙っているとどんどん話は進んでいく。最後まで残った場合は強制参加だ」
ブルイネンの言葉に、やっと三十名がざわめきだした。
ひとりが手をあげる。
三十人は将校らしき五人の女エルフの後ろに、五人ずつの女兵が並ぶという態勢だったのだが、手をあげたのは先頭に並ぶ女将校のうち、向かって左から二番目の女だ。
「ドルアノア、なんだ?」
ブルイネンが言った。
「なんのお話かわかりませんが、その前提として、これはクロノス様の親衛隊への参加に関係するものですか? つまり、もしも、拒否したら隊の編成から外れなければならなくなるのですか?」
クロノス親衛隊というのは、正式の名称ではないらしいが、ロウとともに同行する今回の一隊に対して、なんとなく通称されるようになった隊の名前だ。
もともと、ブルイネンが要員選定をしていたロウの警護隊である。
かなりの者が希望してくれていると聞くし、大部分はダルカンに占拠されていたイムドリス宮で、性奴隷として残酷な扱いを受けた者たちのようだ。
ロウの淫魔術により奇跡的な回復をした者たちばかりらしい。みんな、その恩を返すのだという大変な意気込みだという。
ブルイネンも、希望者が殺到して、むしろ選抜に苦労しているとまで言っていた。
エルフ族といえば、選民意識が強く、人間族を蔑む者が多いので、このロウの人気はエリカもちょっと戸惑うところもある。
「その通りだ。ただし、離脱を選んでも、決して名誉を損なわない扱いをすると約束する。これはガドニエル様もご存知のことであり……」
「……いや、ブルイネン隊長、それだけ教えてもらえれば十分です。拒否すれば、クロノス親衛隊に入れないのであれば、わたしの腹は決まっています。おそらく、ほかの者も同じでしょう」
ドルアノアと呼ばれた女将校が、ブルイネンの言葉を遮り、毅然として言った。
だが、ブルイネンは小さく首を振った。
「いや、それは、話を聞いてから判断せよ……。繰り返すが拒否は自由だ。馬鹿にするなと怒ったら、遠慮なく部屋を出よ。しかし、これは真面目な話だ。決して、お前たちに失礼なことを言うつもりはないのだ。こっちは真剣だ。また、お前たちにも選択の自由は与える……。ただし、最後にこれだけは厳命しておく。ここでこれから見聞きするものについては、絶対に他言するな」
ブルイネンが言った。そして、エリカに視線を向ける。
「……わたしはここまででやめたいと思います、エリカさん……。これ以上のわたしの言葉は、軍命と同じになってしまいます。たとえ、性奉仕であろうと、彼女たちは命令には逆らうことができません。それはしたくないのです。すみませんがお願いします」
ブルイネンがささやいた。
「わかっているわ。ありがとう……」
エリカはブルイネンと位置を交代した。
これが発起人であるエリカが頼まれたことだ。
これから、ロウのことを説明して、性の相手をお願いする。
ブルイネンから頼まれたのは、それをエリカの口から話すことだ。
当然だろうと納得した。
確かに、ブルイネンや、ましてやガドニエルが言えば、どういうかたちでも強制になってしまう。
エリカは納得したし、承知した。
もともとは、エリカの問題認識から始まっているのである。
ブルイネンは、そのまま整列している隊から離れて、脇の壁までさがっていく。
エリカとシャングリアが三十人の前に立つかたちになった。
「……できれば、半分は残って欲しいわね」
エリカはシャングリアにささやいた。
ブルイネンとともに、ロウの防護のために同行することになるだろうエルフ軍の将兵に、ロウの性の相手もしてもらうように頼む……。
これからやるのは、そういうことだ。
本来であれば、常識外れの頼みだ。
しかし、彼女たちは一度は絶望的な状況だったところをロウに救われたという事実がある。
このことを忘れてもいないらしい。
だからこそ、この隊に希望してくれたのだろう。
真摯にお願いすれば、応じてくれるのではないかと期待している。
しかし、どう取り繕っても、彼女たちにお願いするのは、人間族であるロウの性処理だ。
エリカ自身もエルフ族なので、エルフ族の自意識の高さは熟知している。
ましてや、エリカのような孤児ではなく、水晶軍で勤務するようなエルフ族は、それなりの家系の出身だし、ここにいる大部分は、本来はガドニエル直属の親衛隊だった者が多い。
気位は高いはずだ。
ロウの人気が高いのはわかっているが、性の相手となればどうか……。
避妊草があるとはいえ、場合によっては子を孕むことにも繋がる行為なのである。
どれくらいが説得に応じてくれるか……。
「エリカ、こういうものは、ほぼ全員が残るか、それとも、まったく残らないかだ。でも、ほとんど全員が一度はロウに犯されたのだろう? だったら、全員が承知するんじゃないか」
シャングリアがささやき返してきた。
「そんな、楽観的な……」
「いや、ロウのセックスは意地悪だが、終わったときの幸福感がすごい。一度経験すれば忘れられるものじゃない。そして、彼女たちは一度経験をしている」
「だといいけど……」
エリカはシャングリアに呟き返してから、一歩前に出た。
「エリカです。承知の通り、ロウ様の愛人のひとりです。このシャングリアもです。ほかの同行の女も同じです。わたしたちが、ロウ様に対して、どのような立場なのか知りたいという声が多いとも耳にしています。察している方もかなりいるでしょうが、同行の女は全員がロウ様の愛人です。それだけでなく、毎日のように愛しても頂いております」
ざわめきが大きくなる。
さっきとは別の前列の将校が手をあげて、口を開く。
「そうである雰囲気は感じておりましたが……。でも、クロノス様と女王陛下も……そのう……」
彼女が言い淀んだ感じになった。
言いたいことはわかる。
公にはしていないが、毎日のようにロウのところに通ってくるガドニエルが、男女の仲だろうというのは、もはや、水晶宮の公然の秘密である。
なによりも、ガドニエルが恋する女王の顔をまったく隠そうとしていない。
とにかく、ガドニエルのロウへの態度は、余りにもあからさまなのだ。
なにしろ、普段の行事や公務のときには、毅然とした態度や仕草なのに、ロウが近くにいるだけで顔に満面の笑みを浮かべた幸せそうな表情になる。
それこそ、眼をきらっきらさせて、ロウのことしか見なくなる。
誰がどう見ても、ガドニエルがロウを好きなことは明白だ。
そして、そのことについて、エリカの知る限り、水晶宮の者たちは、女王の恋を温かい視線で見守っている感じだ。
だからこそ、エリカたちのことがよくわからなくなっているみたいだ。
エルフ女王の恋人の男に、別の女たちがいるというのが、わかり難いのだろう。
「ガド……いえ、女王様も承知ですし、そもそも、わたしたちと女王様……いえ、やはり、ガドと呼びましょう。仲間内ではそう呼んでいますし……。ガドとわたしたちは、ロウ様の愛人という立場では対等です。これはここだけの秘密に願います」
エリカの言葉に、全体から驚きの声が起こった。
怒っているという感じではない。
どちらかといえば、喜んでいるような雰囲気も感じる。
エリカは訝しんだ。
「ロウ様はクロノスです。このことには、いかなる比喩的表現も誇張もありません。ロウ様は、たくさんの女性を同時に愛してくださる方です。心から……」
さらにざわめきが大きくなる。
これがいい方向なのか、悪い方向なのかわからない。
とにかく、もう勢いだ。
「皆さんにお願いしたいのは、ロウ様の性の相手をして欲しいということです。大勢の愛人のひとりとして……。それも、一度じゃなくて、定期的に……。毎日とかじゃくていいので……。数日おきとか……。交代にでも……。そのう、ロウ様は愛の多いお方の反面、ちょっと精力がお強くて……」
どういう物言いをすれば、余り反感を買わずに、承知してもらえるだろうか……。
とにかく、ロウの性の相手を集めなければならないのだ。
しかも、できるだけ大勢を……。
すると、シャングリアが口を挟んできた。
「言葉を取り繕っても始まらない。お願いしたいのは、ロウの性処理だ。わたしたちと同じようにだ。なにしろ、わたしたち十人くらいいたって、全然間に合わなくてな……。この話があなた方に失礼な話なのであれば、ブルイネンが言った通り、立ち去って欲しい。だけど、これだけは、言っておく。ロウに抱かれるのは、決して悪い話じゃないぞ」
シャングリアがきっぱりと言った。
エリカはエルフ将兵たちを見ているが、いまのところ、立ち去ろうとする者はいないようだ。
むしろ、なんとなく顔が赤い者が多いような……。
「まず第一に、ロウに抱かれると、とても気持ちがいい……。とってもだ……」
シャングリアがにこりと微笑んだ。
すると、三十人のエルフ兵たちから、一斉に笑みがこぼれたのがわかった。
あれ、いい感じだ。
エリカは思った。
「第二に、なぜかとても肌がきれいになる。これも本当だ」
「ああ、そういえば、そうね。わたしも不思議に思ってた」
すると、急にブルイネンが声をあげた。
思わず声をあげてしまったという感じだ。
「あ、あの、ブルイネン隊長が急にお肌がお綺麗になったなあとは思っていましたが、あのう、ブルイネン隊長もやっぱり……」
今度は後ろの女兵の中から声が出た。
「う、うむ……。そういう噂があったと思うが、確かにわたしもロウ殿の女だ」
ブルイネンがはッきりと言った。
エルフの将兵たちが一斉に喋り出した。
だが、やはり、かなり好意的な印象を抱いてくれたようだ。
「第三に……。いや、これだけは口が裂けても他言してもらっては困る。いまの段階で出ていこうと思っている者はどうか部屋を出てくれ」
シャングリアが言った。
エリカは三十名を見た。
やはり、出ていく者はいない。
また、シャングリアが三番目の恩恵をこの段階で喋らなかった理由も理解した。
三番目の恩恵は、能力が跳ねあがることだ。
ロウが本気で支配すれば、必ず女の能力は向上する。
この三十人の全員がロウの性奴隷となったならば、とんでもない精鋭部隊になるのは間違いない。
しかし、それは簡単に広まっていい情報ではない。
「いいのか、お前たち。最初に言ったぞ。最後まで残れば、もう逃げられない。今度は嫌だといっても、性奉仕をしてもらう。それでいいのか?」
ブルイネンだ。
「わ、わたしは問題ありません。最初に言いましたが腹は決まっている。それに、クロノス様には恩があるし、クロノス様がお望みなら、本当はむしろお願いしたいと思っていました。でも、ガドニエル様のお相手だとわかったので諦めていました。しかし、わたしもクロノス様にお近づきできるのであれば、喜んでお相手をします……」
すぐに反応したのは、さっきのドルアノアという女将校だ。
視線を向けると、ちょっと顔が赤いし、はにかんだような表情だ。
しかし、きっぱりとした性格でもあるのだろう。
そんな感じだ。
それをきっかけに、ほかの女たちもすぐに頷き出し、「問題ありません」「むしろ嬉しいです」「わたしでよければ、やらせてもらいます」などという言葉を次々に口にする。
エリカはほっとした。
これなら……。
しかし、もう少し説明をした方がいいだろう。
あとで悶着になりなくない。
エリカは再び口を開いた。
「ありがとうございます、皆さん──。嬉しいです。仲良くやりましょう。ただ、その前に、これだけは知っておいて欲しいのですが……。ロウ様はちょっと変わった性癖がおありで……」
しかし、そこまで話して躊躇した。
あのロウの性癖のことをどう説明すれば、悪印象を持たれないだろうか……。
「変態で鬼畜だ。女を縛って抱く。それだけじゃなくて、一度にふたりも三人も同時に抱く。ああ、玩具で遊ばれることもあるぞ。あと、痒み責めが好きだな。死にそうなくらいに苛められる。ちょっと恥ずかしいことをされたりもする。破廉恥な服で外に連れ出されたりな。ほかには、鞭打ちとか、アナル責めとか、浣腸とかかな……。まあ、そういうことだ。でも、最後には意識を保っていられないくらいに気持ちよくしてくれる。素晴らしいぞ」
シャングリアがエリカの言葉を遮って、あっさりと言った。
なんという露骨な説明だと思ったが、シャングリアはにこにこしている。
これは、心の底から、それが愉しいことだと認識している気配だ。
溜め息をついて、視線を将校たちに向ける。
ちょっと全体の感じが変わっている。
呆気に取られているというか……。
眼が点になっているというか……。
さっきまでは、完全に積極的にロウの女になりたいという雰囲気だったのに、少し引き気味になっているような……。
なんとなく、ちらちらと外に向かう出入り口に視線を者も出てきた。
まずい……。
どうしよう……。
ロウの性癖が常識的な抱き方だとは思わないが、エリカはもうロウでなければ、生きてはいけない。
しかし、まだロウに染まっていない者にとっては、さっきのシャングリアの説明は過激すぎたか……?
しかし、それで思ったが、この無駄に広い部屋は自由に出ていって構わないと言いながら、かなり出にくい。
なにしろ、壁まで随分と距離があり、そこに辿り着くまでずっと注目されると思うと、どうしても少し躊躇してしまうだろう。
もしかして、ガドニエルがこの場所を指定したのは、そんな狙いまであったのだろうか。
とにかく、そわそわしているが、まだ出ていく者はいない。
だが、ひとり出れば連鎖的に続く気配もある。
やはり、嗜虐趣味というのは万人受けはしないか……。
いずれにしても、状況の挽回を……。
そのときだった。
目の前の空間が揺らぎ、そこにアスカとノルズが出現した。
さらにガドニエルも……。
「女王陛下──。副王陛下様──」
「女王様──」
将兵たちが一斉に姿勢を正す。
「もういいだろう……。それだけ、丁寧に意思確認をすれば十分だよ。次の段階に入ろうか……」
アスカがエリカに視線を向けた。
だが、エリカは、この三人が突然現れたことに驚いた。
しかも、アスカの言葉によれば、どうやら姿は消していたが、話を聞いていた様子だ。
ガドニエルがこの話に深く絡んでいるのは知っている。ブルイネンにも説明されたし、ここはガドニエル自らが準備したのだ。
ここも、ガドニエルが説明したがった。
しかし、話を聞いたときに、エリカがそれを拒否した。
なにしろ、候補のエルフ女たちに対しては、女王命令で強制しようと口にしたのだ。だが、それだと拒否できなくなるので、彼女たち自らの意思決定に委ねるため、ガドニエルは出てこずに、ブルイネンとエリカたちだけに任せるように頼んだ。
ガドニエルも渋々のようだが、受け入れたと思ったのに……。
ましてや、アスカはもちろん、ノルズに語ってはいない。
このふたりがここにいるということは、ガドニエルが喋ったのだろうけど……。
しかし、なんとなく、いやな予感もする。
このふたりが出てきて、大人しく終わるような予感はしないのだ。
「……エリカたちが言葉を尽して、拒否できる機会を与えたんだ。時間もないんだろう? あいつがここに来るのはいつだい、エリカ? ガドニエルによれば、話がまとまれば、ここに、こいつらを抱きにくることになってんだろう?」
「まだなにも……。でも、話がまとまれば、今日の夜からでも相手をしてもらおうと思っていました……」
本当になにをしにきたんだろう?
ブルイネンに視線を向ける。
しかし、ブルイネンも、ガドニエルのことは知っていたが、アスカが現われるとは知らなかったみたいだ。
ちょっと驚いた顔をしている。
もちろん、シャングリアにもわからないだろう。
シャングリアも訝しんだ表情をしている。
「だったら、いくらもないねえ。ノルズ、馬力かけな。徹底的にいくといい」
「任せな。ちょっとくらい痛めつけるくらいでもちょうどいいさ。ロウ様は優しすぎるしね……。一ノスもあれば、最低でも性奴隷の心構え程度は叩き込む。とにかく、ロウ様の前に出すんだ。甘い考えで向かわれても困る。だけど、できれば、丸一日は欲しかったね。そうすれば、多少はましになったんだろうけど……」
アスカとノルズが物騒なことを話しだした。
エリカは驚いた。
すると、ガドニエルがすっと前に出た。
「さあさあ、皆さん。ロウ様の性処理を承知してくれて感謝します。お前たちを誇りに思いますよ。では、さっそく任命式を行います。その後、このノルズ殿の調教を受けなさい。ロウ様の前に出る前に、雌犬のしつけを覚えるのですよ。これは女王命令ですから」
ガドニエルがにこにこしながら嬉しそうに言った。目をきらきら輝かせながら……。
将兵たちが騒然となった。
エリカは唖然とした。