【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】 作:ドン・ドナシアン
「さあさあ、皆さん。ロウ様の性処理を承知してくれて感謝します。お前たちを誇りに思いますよ。では、さっそく任命式を行います。その後、このノルズ殿の調教を受けなさい。ロウ様の前に出る前に、雌犬のしつけを覚えるのですよ。これは女王命令ですから」
ガドニエルがにこにこしながら言った。
「よし、じゃあ、さっさとやりな。そしたら、お前たちは、これから調教だ。ノルズの言葉に一切逆らうんじゃない。いいね──」
「いや、ラザニエル、余計なことはいいさ。逆らうなら、逆らっても構わない。ただ、逆らったら、どうなるのかを覚えてもらうだけさ」
ノルズが酷薄に笑った。
その口調も表情も、当事者でないエリカでさえもぞっとするような威圧感がある。
エリカは思わず口を開いた。
「な、なにをするつもりなんですか、ラザ様、ノルズ──? この方々たちは、これから定期的にロウ様のお相手をしてくれることに同意してもらえて、それでもう十分かと……」
「まあ、エリカさん、わたしがお姉様にお願いしたのです。ロウ様への贈り物ですから……。せめてもの心尽くしに、彼女たちにはロウ様の性奉仕隊として恥ずかしくない程度の躾の調教を受けてもらわなければなりません……。さもないと、わたしがロウ様に叱られますわ。万が一にも、先回のように、ロウ様に失礼なことがあってはならないのです……」
ガドニエルが笑顔のまま言った。
やっぱり、彼女が連れてきたようだ。
しかも、調教を頼んだ気配だ。
でも、このふたりが調教を……?
アスカにノルズ……。
エリカが知っている限り、もっとも冷酷に女を躾ける女ふたりだ。
そして、ガドニエルがさらに前に出て、三十名の女たちにゆっくりと見る仕草をする。
ガドニエルが口を開く
「さあ、お前たち──。お前たちがロウ様に仕えることに同意したのは、別の場所から魔道で見守っておりました。よい心がけです。だからこそ、森エルフ族の代表として恥ずかしくない立派な性奴隷になってもらいます。今夜は少ししかできませんが、これからも機会があれば、調教を受けてもらいます。よいですね──」
一転してガドニエルの口調が強いものになった。
ガドニエルが三十名を睨む。
三十人は、一転して鬼畜だの、調教だの、躾だのと厳しいことを急に言われて、戸惑っている感じだ。
やっとわかったが、どうやら、エリカの想像以上に、ガドニエルは張り切りまくっているようだ。
ロウの好むようなマゾ女に仕上げて、ロウに引き渡したいと思っている気配である。
それで、アスカとノルズを連れてきたに違いない。
だが、エリカとしては、彼女たちにはそこまでしてもらう必要もないと思う、まあ、もしも、ロウがそういう風にしたいのであれば、ロウに任せればいいとも思う。
だから、調教だの、躾だの、性奴隷という言葉だけは使わないように、さっきから気をつけて言葉を選んでいたのだ。
エルフ族の将兵たちを見る。
やはり、困惑顔だ。
「どうしよう、シャングリア?」
「どうも、こうもない。ガドにしてみれば、ロウへの贈り物のようなつもりなんだろうな。なんだかんだといて、生まれついての女王様だし、人に指図することに抵抗などない。ガドにしてみれば、ロウの女になることと、調教を受けるということは当たり前に同一だ。こうなったら、短い時間でも受けてもらった方がいい」
「えっ?」
エリカは声をあげた。
シャングリアまで、調教に賛成するとは思わなかったのだ。
「だって、狭間の森でガドの侍女が最初にロウに失礼な物言いをして、ロウが腹をたてたことがあったんだろう? ガドが心配してるのはそのことだと思う。だから、せめて、そんなことをしないくらいには、因果を含ませた方がいいんじゃないか。間違って、ロウに失礼なことをして欲しくない」
シャングリアは肩を竦めた。
そういえば、そんなことがあったなあと思い出した。
確かに、エルフ族というのは、人族の各種族の中ではもっとも種族的自尊心が高いと言われていて、特に体力的なものが劣る人間族を軽んじる傾向がある。
シャングリアがまだ死の呪いでロウの亜空間に隔離されているときだったが、確かに、そんなことがあった。
でも……。
エリカはシャングリアを促して、ブルイネンのいる部屋の隅に移動した。
「ブルイネン、いいの?」
小さな声で声をかける。
「もう、わたしには、なにも判断することはない。ガドニエル様が命じ、太守様も同意している。わたしとしては、将兵たちには悪いが、ノルズの調教を受け入れてもらうしかない」
ブルイネンも言った。
でも、いいのかなあ……。
すると、そこにガドニエルがやってきた。
満面の笑みを浮かべている。
「エリカさん、シャングリアさん、ロウ様のお好きな色はなんでしょうか? 教えてもらえますか」
ガドニエルがにこにこしながら言った。
色──?
ロウの好きな色?
なんだろう……?
「なにかなあ、シャングリア?」
「ううん……。さあ?」
シャングリアも首を傾げている。
嗜虐的な性癖以外には、あまり好き嫌いをいう人じゃない。
色に限らず、食べ物に不満を言ったこともないし、服装にもこだわらない。
好きな色と言われても……。
ふと頭に浮かんだのは、何度も締めさせられた「赤いふんどし」だ。
赤はエリカの白い肌によく映えると何度も言われた。
とても嬉しかったので、赤はエリカの好きな色にもなった。
「赤……、かなあ……」
なんとなく言った。
「赤、赤ですね──。お姉様、赤です。ロウ様は赤色がお好みだそうです」
「おお、そうかい……。じゃあ、最後の仕上げをするよ。すぐに終わる。そうしたら、ガドニエル、女王のお前から手ずからにしてやりな。それで覚悟も入るだろう。ロウの性奴隷を象徴する首輪代わりのチョーカーだ」
ガドニエルがアスカに言い、アスカが応じる。
しかし、もうエリカも諦めた。
こうなったら主導権は向こうにしかない。
なるようになるしかないのだ。
もう、見学に徹しよう。
「わかりました……。さあ、お前たち──。これから、ロウ様に心も身体も、お仕えすることになるお前たちに、名誉ある装身具を与えます。赤いチョーカーです。ひとりひとりに装着します。これが任命だと思いなさい。ロウ様の紋章がついている方を前にして首に嵌めるのです──」
ガドニエルが声をあげた。
女王直々の命令に、一気に三十人に緊張が走っているのが肌で感じる。
一方で、アスカの方を見ると、魔道で真っ赤な色の革のチョーカーを次々に出現させている。
それをノルズが盆のようなものを出して、受け取っては載せていた。
確かに、チョーカーの中心の位置に、ほんの小さなメダルのようなものがぶら下がっているようだ。
おそらく、あれがボルグ家の紋章であり、塔の二匹の蛇の模様なのだろう。
それにしても、あれをいままでの短時間で準備したのか?
感じる波動から、あれにも魔道がこもっているのは間違いなさそうだが、かなりの意気込みを感じる。
「ひとりひとり、前に出なさい。これを首に嵌めた瞬間に、お前たちは名誉あるクロノス特別親衛隊の一員です。精進するのですよ──。そして、この首輪のような装具こそが、この名誉ある役目の称号の証です。さらに、この後、ロウ様の精を受けることができた者の全員に、ガドニエルの名において、“聖騎士”の称号を授けることを約束します。頑張ってロウ様に気に入られなさい」
ガドニエルが強い言葉で言った。
三十人が慌てたように返事をする。
事態の変化に当惑しているようだ。
まあ、それはエリカも同じだが……。
しかし、騎士の称号の付与?
騎士も立派な貴族の爵位のひとつであり、ロウの女になることができれば、末端ではあるが彼女たちを貴族にすると言っているのだ。
ガドニエルの気合をここにも感じる。
「……すごいわね。聖騎士とは……。ところで、クロノス特別親衛隊は、正式名称になったの?」
エリカはブルイネンに囁いた。
「初耳です」
ブルイネンは応じた。
「まずは、右側の分隊からだ。出な」
盆を抱えたノルズが、ガドニエルの横に立つ。
勢いに圧倒されるように、女将兵たちが順番にガドニエルの前に立って、ひとりひとりとチョーカーを装着されていっている。
いきなり、エルフ族最高権威にして女王のガドニエルと、水晶宮太守のアスカが登場して、任命式のようなものをさせられているエルフ族たちは緊張の頂点にいる。
見ていて気の毒なほどだ。
しばらくして、全員がチョーカーを装着した。
隊は再び最初と同じように整列している。
「じゃあ、ノルズさん、お願いしますね」
ガドニエルがにっこりと微笑んで、ノルズに頷く。
「ああ、任せな……」
ガドニエルは後ろに退くかたちになり、ノルズが三十人の前に出る。
この三十人は、ほぼ全員がノルズとの面識はないだろう。
彼女たちの顔に困惑を感じる。
「お前たち、よく聞きな。ガドニエル女王とラザニエル太守の命により、今日はあたしがお前らの教育係だ。あたしのことは“教官様”と呼びな。これから、本特別親衛の規約を言う。全員が復唱しろ──。いずれにしても、お前らに求めるのは、一にも二にもロウ様に服従することだ。うわべだけじゃない。心の底からの服従心を持ってお仕えしな──。全員、返事──」
「はい──」
「はい」
「はいっ」
ノルズの怒声と醸し出す気の迫力は、エリカでさえも恐怖を感じるほどのものだった。
それに押されるように、エルフの将兵たちは、一斉に返事をした。
しかし、明らかに返事をしていない者も数名はいた。
まあ、当たり前だろう。
彼女たちは、ノルズのことが誰だかわからないのだ。
それにもかかわらず、ガドニエルの命令とは言われても、すぐに命令に従えるものじゃない。
ノルズの眼がぎろりと先頭の将校に向けられる。
なんという眼力だ。
睨まれた将校たちも、顔をひきつらせている。
「何人かは返事をしなかったけど、前の五人については、全員が声を出さなかったね。どういうことだい?」
ノルズが言った。
「お、お前たちは──」
ガドニエルが声をあげようとした。
しかし、ノルズがそれを手で制する。
「いや、待ってくれ……。頼まれた以上は、あたしに任せてもらおう……。お前ら五人、あたしが許す。なにが不満か言いな」
ノルズが言った。
しかし、五人は顔を見合わせるような仕草をするだけで、誰も口を開くこうとしない。
どうするのかと思ったが、ノルズは五人を一瞥して、もっとも左側の女に向かっていく。
五人の中ではもっとも身体が大きいと思う。
「お前、名前は?」
「エ、エルミアだが……」
次の瞬間、ノルズの膝蹴りがそのエルフ将校の腹に喰い込んだ。
「ぐぼっ」
エルミアと名乗った女が胃液のようなものを少し吐いて、一瞬にして崩れ落ちる。
「あっ、エルミア──」
「なにをする──」
「こらっ」
騒然となったが、ノルズはまったく頓着しなかった。
跪いたエルミアの髪を掴んで引き倒し、軍装のスカートを掴むと、いきなり引き破って捨てた。
さらにノルズの手が無造作にエルミアの露わになった下着に伸びる。
「ひいいいっ」
エルミアが悲鳴をあげて、とっさに下着を守ろうとする。
しかし、ノルズに頬を思い切り張り飛ばされて、文字通り吹っ飛んでいった。
転がって床にうつ伏せになったエルミアからはお尻が剥き出しになっていて、一方でノルズの手には破り取った下着が握られている。
ノルズが布切れになった下着を捨てる。
「あたしのことは、“教官様”と呼べと言ったはずだ。あたしに話しかけるときには、必ず最後に“教官様”と付けな──。ほら、エルミア、立て──。誰が寝ていいと言ってんだい──」
ノルズが倒れているエルミアに向かって歩いていく。
蹴り飛ばさんとする勢いだ。
エリカも、ノルズのすさまじさに息を呑んだ。
「待て、なにをする──」
そのノルズの身体を他の将校が阻んだ。
最初に質問したエルフ女将校でドルアノアだ。
しかし、あっという間に腕を取られて、背中側に曲げられて固められる。
「んぎいっ」
ドルアノアが呻き声をあげた。
「教官様をつけろと言っただろうが──。エルフ族は低能揃いかい──。しかも、弱っちいねえ。ほらっ」
ノルズは片手をドルアノアの腰に伸ばす。なにをされようとしているのかわかって、ドルアノアは抵抗しようとした。だが、ノルズは片手だけでドルアノアの両腕を固めており、ドルアノアはなにもできない。
ノルズは、簡単にスカートを留め具を外して足首に落としてしまう。
「あっ、いやあっ」
ドルアノアが声をあげた。
だが、またもや、ノルズは下着を掴んで引き破る。
そのままドルアノアを投げ飛ばした。
騒然となった。
全員がノルズに一斉に掴みかかるような態勢をとる。
すると、いきなり彼女たちの立っている床が光った。
「あがああっ」
「ひぎいい」
「いぎいい」
「ぎゃあああ」
全員が同時にのたうち回る。
今度は電撃だ。
それにしても、なんという強さと激しさだろう。
これだけのエルフ軍の将兵がいて、子供扱いだ。
あっという間に、三十名の全員が倒れてしまった。
「お前ら、いつまで暴れるつもりだい──。わたしとガドニエルが、じっと見守っているだけの意味がわかんないのかい。しかも、弱い。弱すぎる――。それでロウが守れんのかい──。ノルズはお前らの教育係だとわたしが言って、ガドニエルも言った──。服従しろといったら服従しな──。それでも、ガドニエルとわたしの揃っての命令に逆らうなら、叛逆とみなすよ──」
今度はアスカが怒鳴った。
一瞬にして、三十名が静まり返る。
電撃の後遺症でまだ身体が脱力しているような感じだが、それよりも圧倒的なノルズとの実力差に戦意も敵意も失ってしまったような感じだ。
そのうえで水晶宮太守にして、女王の姉であるアスカの言葉だ──。
彼女たちは意気消沈してしまった。
「さあ、全員、立ちなさい。そして、いまは考えるのをやめなさい……。ただ服従することを覚えなさい。ノルズ殿はお前たちが、どのようにロウ様の前で振る舞えばよいかを教えてくれます。これも特別親衛隊の訓練だと思うのです」
ガドニエルが静かに言った。
全員が諦めたように立ちあがる。
今度は抵抗の色はない。
再び整列をし直す。
「……それにしても、本当に弱いな。ノルズ殿が強いとはいえ、太守様の言葉じゃないが、これじゃあ、ロウ殿をお守りすることなど……」
ブルイネンが不満そうに呟いた。
「ロウ様の精を受ければ強くなるわよ……」
エリカは、ノルズとエルフ隊を見物しながら言った。
はっきりとは約束できないが、ロウに女として支配されれば、必ず能力が飛躍的に向上する。
いまのロウの力はすごいのだ。
ずっと昔にロウの支配を受けているエリカやコゼやシャングリアでさえも、このところ、能力の上昇を感じている。
きっと、彼女たちも異常なほどの能力の活性化が起きるのは間違いない。
「こらっ、お前ら、ふたり──。さっさと並びな──。また罰を受けたいかい」
するとノルズの凄まじい怒声がした。
怒鳴られたのは、さっきノルズが下着まで引き破って股間を露出させた将校ふたりだ。
「あっ……でも、スカートを……」
見ると、意地悪くふたりから剥ぎ取ったスカートは、ノルズによって二枚とも踏みつけられている。
肉を叩く音が鳴り響いた。
喋った側の女の頬をノルズがびんたしたのだ。
「ひぎいっ」
「もしかして、お前らは将校かい──? お前らのような能無しには、まんこ丸出しのその恰好で十分だ──。脳みそがないのかい──」
また、平手の音が響く。
襟首を掴んで引き起こされて、今度は反対側の頬を叩かれたのだ。
どうでもいいが、一発でエリカもどん引きするようなものすごい平手だ。
「んぐうっ」
「ほら、あたしになにか言われたら、どうするんだい、このくそったれが──。お前もだよ」
もうひとりの女将校に平手が打たれた。
その女将校が床に横倒しになる。
しかし、もうふたりを助けようとする者はない。
ただ、顔に恐怖の色を浮かべて、頬を引きつらせている。
「わ、わかりました、教官様」
「な、並びます、教官様」
ノルズの恐ろしさにふたりの顔が真っ蒼になり、よろよろと整列の位置に向かっていく。
下半身になにも身に着けていないふたりも列に加わる。
「さあ、親衛隊、鬼の十箇条の規約唱和だ──。ありったけの声を出しな。ひとつ──。特別親衛隊は、ご主人様に絶対服従──。いかなる命令にも喜んで従います──。言え──」
「ひとつ……」
将校たちが大声でノルズの言葉を繰り返しだした。
全員が直立不動の姿勢だ。
彼女たちの前を威圧するようにノルズが歩く。
「ふたつ、特別親衛隊は、ご主人様に求められれば、いついかなる、どんな場所でも、ご主人様を受け入れます──」
「ふたつ、特別親衛隊は、ご主人様に求められれば、いついかなる、どんな場所でも、ご主人様を受け入れます──」
唱和が続く。
「三つ、特別親衛隊は、ご主人様の求める破廉恥な服装を、どんな状況であろうといたします──」
「三つ──、特別親衛隊は……」
「四つ、特別親衛隊は、ご主人様の行う、いかなる肉体的な拷問も喜んで受けます──」
「四つ──、特別親衛隊は……」
エリカはノルズの唱える特別親衛隊の規約とやらを聞きながら鼻白んだ。
横のブルイネンもさすがに顔をひきつらせている。
この規約は、いま唱和を強要されている女将校たちだけじゃない。
当然に、隊長のブルイネンにも適用される規約だろうからだ。
「五つ、特別親衛隊は、ご主人様の施す肉体の改造、開発を心からの悦びといたします──」
「五つ──、特別親衛隊は……」
「こらっ、もっと声を張りな、お前。お前だけ、もう一度」
ノルズが最初に下着を剥ぎ取った左端の将校の前に立ち、すっと股間を触った。
「ひっ、あっ」
流石にとっさに避けようしたところをノルズに平手打ちされる。
「勝手に姿勢崩すんじゃない。ほら、規約唱和だ──」
「は、はい、あ、んんっ、ひ、ひとつ……」
可哀想にその将校は、少しのあいだだが、股間をなぶられながら、大きな声で規約を叫ぶという辱しめを続けさせられた。
「じゃあ続けるよ──」
やっと、ノルズがその将校から離れる。
「六つ、特別親衛隊は、いつでもご主人様を受け入れられるように、常に股が濡れているような破廉恥な女になります──」
「六つ──、特別親衛隊は……」
「七つ、特別親衛隊は、ご主人様以外の男に身体を触れさせないことを誓います。そのため、どんな男にも負けない強さを身につけます──」
過激な規約唱和が続く。
しかし、いま、気がついたが、ガドニエルだが、どうやら一緒になって、ノルズの馬鹿馬鹿しい規約を絶叫しているようだ。
しかも、興奮しているのか顔が赤い。
エリカは嘆息してしまった。
*
【クロノス特別親衛隊】
または、単に「特別親衛隊」ともいう。
サタルス朝の初代皇帝サタルス帝に直属する警護隊であり、全員が女兵による当時世界最強と謳われた精強部隊。
その端緒は、サタルス帝がハロンドール王国における「狂王の変」に際して、ナタル女王のガドニエルが、当時一介の冒険者だったサタルス帝のために、エルフ女兵による三十名の身辺警護の一隊を編成したこととされる。
このナタル特別親衛隊の女兵が識別のために首に巻いたのが赤チョーカーであり、じ後、サタルス帝直属の親衛隊の象徴として引き継がれ、赤チョーカーの親衛隊はサタルス帝の覇権拡大に大いに活躍した。
一説によれば、特別警護隊の女兵の全員がサタルス帝の妾であったとも言われており、全員がサタルス帝の寵愛を受けて、その愛に報いるために命を賭して戦ったと言われている。
また、サタルス帝の治世を支えた女官についても、サタルス帝は特に優秀な高級女官に赤いチョーカーを授けたことが知られており、現在において、女性の正装の際に、赤い装飾具を首に巻く風習は、これが起源だと言われている……。
ボルティモア著『万世大辞典』より
(ここに再録した引用文は、すべてスクルズ記念国際図書館から許可を受けて初版本から抜粋して採録したものである。)