【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】 作:ドン・ドナシアン
「あああっ、ロ、ロウ様、これはだめええっ、これは許してええっ」
エリカが腰を振りながら絶叫した。
ローターを吊り下げている糸が振動してリングに伝わっているのだ。
エリカが全身をのけ反らせて身体を暴れさせる。
しかし、腰を動かせば、それだけローターも動くことになり、さらに、リングに振動が加わることになる。
クリトリスに直接にかかる振動は、ささいなものでも、エリカには強烈すぎる衝撃のはずだ。
エリカは身体をのけ反らせるようにしたまま、悲鳴をあげた。
「同じものを乳首にもぶらさげてやれ。エリカについては、いき過ぎて失神させてもいいぞ」
「はい」
「はいっ」
「はい」
女兵が一斉に返事をした。
さらに横に移動する。
横はノルズだ。
すると、ノルズのところには、十人に近い女たちが集まっていた。
ほかのところの女たちが少なかったのは、どうやら、ここに女たちが多く集まっているからでもあったみたいだ。
そういえば、最初はシャングリアのところに飛び込んでいったジェネも、いまはここにいる。
女たちは完全に、ノルズを取り囲んで夢中の様子であり、一郎がやって来たことに気がついていない。
一郎は輪の外から、ちょっとのあいだ見守ることにした。
「教官様、さっきは素敵でした」
「そうです。あたしも思いました……。だって、あんなに責められているのに、なんだがクロノス様と独特の世界がおありみたいで……」
「ねえ、いつも、あんなにクロノス様は激しいのですか、教官様?」
女たちがノルズに話しかけている声が耳に入ってきた。
そのあいだも、ノルズの悪態や嬌声が聞こえるから、ノルズは責められまくっているのだろう。
声の感じでは、ここは順調に寸止めが続いている気配だ。
「んふうっ、や、やめろおっ、い、いい加減にしないか──。し、尻ばっかり──。あああっ」
ノルズの吠えるような声がした。
一郎とノルズのアナルセックスにあてられた女たちが、ノルズの尻ばっかり集中的に責めているようだ。
思わず吹き出しそうになってしまった。
一郎は、淫魔術でノルズのアナルの感度を一気に倍にあげてやる。
「あはああっ、はああっ」
ノルズの悲鳴がした。
「まあ、やっぱり、お尻が感じるんですね、教官様」
「ところで、クロノス様のなされるお尻の調教というのはどのようなものなのですか? あたしたちはどのようなことをすればいいのでしょう?」
何人かが質問のようなことをしている。
ノルズは嬌声の合間から「知るかい」と怒鳴っているが、一郎はまだノルズにはアナル調教は施していないので、答えようもないはずだ。
「教官様に教えていただいた規約は、みんなで大切にしますね……。ところで、どのくらい調教を受ければ、お尻であんなに感じるようになるのでしょう」
「や、やかましい──。し、尻のことばかり訊くんじゃないよ。ふ、ふざけるな、お前ら──」
ノルズの凄まじい怒声が聞こえた。
群がっていた女たちが、一斉にびくりとなってさがるのがわかる。
さすがのノルズだ。
あんな恰好になっていても、醸し出す覇気はすさまじい。
それはともかく、規約とはなんだろう?
「おい、みんな──」
一郎は背中側から声をかけた。
「あっ、クロノス様」
「クロノス様」
「クロノス様です」
女たちが声をあげて、さっと道を開くように身体を動かす。
「ロ、ロウ様──」
するとノルズまでびくりと身体を震わせて、裏返ったような声をあげる。
たったいま、怒声一発で周囲の女たちをびびらせた女と同一人物とは思えない。
一郎は苦笑した。
「ノルズ、今夜は怒鳴るのは禁止だ。三十人から責めを受けろ。それが今夜の調教だ」
「は、はい──。もう怒鳴りません。申し訳ありませんした、ロウ様」
ノルズが宙吊りのまま叫んだ。
周りの女たちも一瞬にしての、ノルズの人格の変わりように当惑したようだが、すぐに微笑ましいものを見たような笑顔になる。
一郎もつられて笑ってしまった。
「……ところで、いま口にしていた規約というのはなんだ?」
一郎は女たちに訊ねた。
「特別親衛隊の規約です。全部で十条あり、教官様から暗唱により教えていただいたものです。先ほど、全員が暗記しました」
すると、ひとりが応じた。
規約の暗記?
一郎が来る前に、そんなことをしていたのか?
「十条って……? じゃあ、一条は?」
「はい、クロノス様──。第一条は、“特別親衛隊は、ご主人様に絶対服従。いかなる命令にも喜んで従います──”です」
最初に規約を押してくれた女兵がすぐに応じた。
なんだ、それ……?
こんなのを全員が暗記したのか?
本当に?
一郎は別の女兵に向き直った。
「じゃあ、君……。二条、言える?」
「はい、第二条──。“特別親衛隊は、ご主人様に求められれば、いついかなるとき、どんな場所でも、ご主人様を受け入れます──”」
「すごいなあ……。じゃあ、君、第三条?」
今度は別の女を指名した。
ノルズが親衛隊を調教したのは、そんなに長い時間じゃなかったはずだ。
だけど、そんな短い時間で、十条もの規約を徹底したのか?
まあ、中身は馬鹿げて破廉恥極まりないものだが……。
その女兵も、第三条とやらをすらすらと答えた。
それにしても、これだけの内容をあっという間に暗記させてしまうとは、ノルズもどれだけ、女たちを恐怖で縛ったのだろう。
一郎も呆れてしまった。
しかし、一郎はそれで思いついたことがあった。
部屋にいる全員に声をかけて、宙吊りの女たちの責めをやめさせた。
女たちが責め具を持ったまま、股間側にいる一郎に対して反対側の、女たちの頭側に移動する。
「よし、いまからちょっとした趣向をするぞ。いま聞いたら、ノルズが親衛隊の規約を作って、唱和させたみたいじゃないか……。だから、宙吊りの先輩女たちにも暗唱してもらうおう……。ノルズは聞いてもしょうがいなから、エリカから順に訊ねるぞ。答えられなかったら浣腸だ。それ後のくすぐりは浣腸を受けてからということになる。ラザはすでに一本注入しているからな。答えられなければ、追加ということだ」
一郎は手に浣腸袋を出現させた、
女たちが悲鳴をあげる
「ひいっ」
「ロウ、それは……」
「ロウ様、それだけは……」
「小僧、ふざけるな……」
女たちが口々に文句を言った。
しかし、一郎は聞く耳を持つつもりはない。
エリカに近づいていく。
「エリカ、第七条だ。言え──」
適当に質問する。
「な、七条……。そ、そんな……。あああっ、え、ええと、親衛隊は……。んぐううっ、ま、待ってください。親衛隊は……。あんっ、ちょっと待って、あああっ、ああああ」
エリカはしどろもどろだ。
そのあいだも、ローターはリングを刺激し、蛇は肌を這い回っている。
これは答えにはならないな。
一郎は容赦なく、エリカの尻穴に浣腸袋の管を挿して、一気に薬液を注入する。
「ああっ」
エリカが絶望的な声を出す。
「次に、シャングリア、六条──」
「ろ、六条……。な、なんだったかなあ……」
シャングリアが必死に頭を働かせる様子を示したが、シャングリアも言えなかった。
浣腸をする。
ブルイネンも答えられずに、やはり浣腸──。
アスカも無理だった。
追加の薬液を注ぎ込む。
「……さて、ガドだな。お前も第七条だ」
「ひ、ひとつ、特別親衛隊は、ご主人様以外の男に身体を触れさせないことを誓います。そのため、どんな男にも負けない強さを身につけます」
すると、ガドニエルが間髪入れずに答えた。
一郎はびっくりした。
「すごいな……。じゃあ、十条?」
「はい、ご主人様──。ひとつ、特別親衛隊は、本誓約を破りません。万一、誓約に背くことがあれば、いかなる罰も甘受いたします」
今度も完璧に暗唱した。
これには一郎だけでなく、全員が感嘆の声をあげた。
試しに、一条から順に言わせてみた。
ガドニエルは、完全に十条まで言ってのけてみせた。
もっとも、一郎は知らないので、正しいかどうかはわからないのだが、親衛隊の女将兵の反応から正解なのだろう。
親衛隊の女将兵たちも、唖然としている。
「すばらしいなあ。君たち、女王、自らこれなんだ。じゃあ、親衛隊ももっと頑張らないとね」
一郎は軽口を言った。
すると、ワーイナーという筆頭小隊長が反応した。
「全員で毎朝、規約唱和します。これを親衛隊の綱領として、全員の魂に刻み込みます」
大声でワーイナーが言った。
ほかの者も一斉に頷いている。
これを毎日?
一郎は噴き出した。
真面目な顔で冗談を言うエルフ女性だと思った。
「せめて、余人に聞かせないようにな。どんな変態集団かと笑われるぞ」
一郎は何気無く言った。
ワーイナーは大真面目で頷く。
「わかりました。綱領は完全な口伝として、絶対の極秘とします。唱和のときも防音の結界を刻み込み、その中で行います」
ワーイナーがさらに言った。
あれっ?
もしかして、本気?
よく見たら、全員が真剣だ。
どうするかなあ……。
うーん……。
まあいいか……。
一郎はガドニエルに向き直る。
「とにかく、凄いな、ガド。明日まで我慢させようと思ったけど、小便をさせてやる。思い切りしろ」
一郎はガドニエルの股間側に入り込み、貞操帯を外してやった。
「あ、あっ、はっ、はいっ、あ、ありがとうございます。で、でも……」
ガドニエルが苦しそうな困惑顔になった。
貞操帯が外れて、放尿を妨げるものが無くなったのだが、一郎が股のあいだからどかないので、おしっこができないでいるようだ。
一郎はほくそ笑んだ。
「どうした、ガド? そうだ。もっとご褒美をやろう。ガドのいやらしい場所をなめなめしてやる。それが終わったら、おしっこしろ」
一郎はわざとらしく惚けた口調で、ガドニエルのクリトリスに舌を動かす。
「ひいいっ、ご主人様あああ、だ、だめです。ガ、ガドは我慢できません。漏れちゃいますうう」
ガドニエルが悲鳴をあげた。
そして、ガドニエルが放尿したのは、それからすぐだった。
まともにおしっこを浴びた一郎は笑いながら、顔をどけ、放物線を描いて飛んでいくガドニエルの尿を見守った。
長く我慢させただけあり、かなりの勢いで飛んでいく。
そのときだった。
「あああっ……。も、もうだめえっ。こ、小僧、で、出る」
「ロ、ロウ様あああっ」
アスカとエリカだ。
ふたりがほぼ同時に絶叫した。
次の瞬間、ふたりの尻穴から糞便が飛び散った。
女将兵たちが悲鳴をあげた。
何人かは「始まりました」というような声もあげた。
「残りのふたりも脇をくすぐれ。それで我慢できたら許してやる」
一郎が言った。
シャングリアとブルイネンに女たちがとりつく。
五本ずつくらいの筆が両方の脇に一斉に伸びた。
「んぐううう」
「や、やめてええ」
ふたりも悲鳴をあげた。
結局、すぐにブルイネンとシャングリアも、続いて糞便をまき飛ばした。
一郎の仮想空間の力で、床に当たる直前に糞便が消滅する。臭気もすぐに消える。
しかし、女たちの尻穴ではまだ排泄が続いている。
最初に排泄を開始したふたりは、水便から固形便に変わっている。
ふたりとも泣き叫んでいる。
そして、排便が終わった。
すでに、なにもなかったように消えている。いや、実際になかったことになっている。
親衛隊たちの記憶には残らないようにできるし、この仮想空間のことは全部夢のようなものなのだ。
全部、一郎の思いのままである。
「よし、こうなったら、全員しろ──。おしっこだ。みんなで、かけ合え。命令だ。全員、馬鹿になれ。それが俺の親衛隊だ──」
一郎は声をかけた。
女たちは、ちょっと躊躇した様子をしたが、すぐにくすくすと笑い合うような感じでしゃがみだし、あちこちで向き合うように放尿を開始した。
一郎は適当な女兵のところに行き、おしっこをしている後ろから抱きつき、股間をいじった。
「きゃあああ、クロノス様──」
当然ながら、あちこちに彼女の放尿が飛び散る。
一郎もまた、おしっこまみれになった。
構わずに、一郎は放尿している女兵をひっくり返して、怒張を貫く。
股間はおしっこだけではなく、愛液でびっしょりだった。
「ひああああっ、んああああっ」
抽送を開始すると、彼女はあっという間に達してしまった。
彼女の放尿が終わるよりも早かった。
その女も周りの女も、きゃあきゃあ言っているが、歓声のような声もあげて笑っている。
いずれにしても、一郎も腹を決めた。
彼女たちを健全に一郎のものにしよう。際限のない性欲を収めるのに必要だし、彼女たちが結果的に嫌でないなら、そうさせてもらう。
その代わりに、淫魔術で彼女たちの能力の爆上げと、見た目の美しさを贈る。
いまの一郎には、それは簡単だ。
「あ、あああっ、クロノスさまああああ」
一郎がさらに続けて、怒張の先で子宮の入り口を押し動かすようにすると、身体の下の女兵が四肢を一郎の身体に絡めるようにしながら、再び背中をのけ反らして達してしまった。
一郎はタイミングを合わせて、彼女の子宮にたっぷりの精を送り込んだ。
それだけでなく、精を送り込まれて、最高の快感が爆発するように淫魔術で細工する。
「んああああああっ」
笑っていた彼女がすごい痙攣をしながら、三度目の絶頂をした。
さすがに、身体が限界を越えたらしく、そのまま気を失った。
だが、顔だけは幸せそうに笑っている。涎と鼻水ですごいことになっているが……。
それでも、すでに淫魔術が効いて、元の面影のままかなり美しい顔立ちに変化している。
もともと美しいエルフ族だが、人間族側の土地に来れば絶世の美女ともてはやされるに違いない。
彼女だけではなく、全員をそうしよう。
一郎は脱力している彼女から怒張を抜いて立ちあがった。
「まだまだだぞ。六人の先輩たちを虐め抜くんだ。活躍の者には、最高の快感をプレゼントだ――。みんな、頑張れ――」
一郎は叫んだ。
女たちが歓声をあげて、宙吊りの六人に群がる。
一方で、六人は悲鳴をあげた。
性宴は、まだまだまだ、始まったばかりだ。
*
「へえ、そんなことがあったのね……。つくづく、巻き込まれなくてよかったわねえ」
イライジャがくすくすと笑った。
水晶宮であてがわれているロウやコゼたちの部屋だ。
もっとも、部屋にいるのは、コゼとユイナだけだ。そこに、冒険者ギルドに入ってきた情報を確認にいっていたイライジャとスクルドが戻ってきたのだ。
ロウはここにはいない。
今夜は、エリカとシャングリアを連れて、ガドニエル女王の部屋に泊まるという連絡が入っていた。
連絡は、ロウ自身であり、どうやら、ロウの責めがすごすぎて、ガドニエルをはじめとした六人の女が泡を噴いて動けなくなってしまい、看病を兼ねて、向こうで寝るそうだ。
直接に連絡を受けたコゼは、手伝いに行こうと申し出たが、ロウには笑って断られた。
親衛隊の女たちもいるし、看病人には事欠かないという。
それよりも、このところ負担を掛け過ぎている感じなので、今夜は休んでくれと言われた。
コゼは、その言葉に甘えさせてもらうことにした。
ロウに抱かれるのは、いつ、どんなときでも問題ないが、確かに、まだ腰が抜けたように力が入らないのは事実だからだ。
ユイナなどは、いったん戻ってきたロウに気がつくことなく、いまだに、寝息をかき続けている。
詳細については、一応教えられたが、どうやら、あの女王がひと悶着起こしたらしく、ブルイネンの部下の親衛隊員の部下を無理矢理に、ロウの性奴隷にしようとして勝手に集団調教をやっていたみたいだ。
それを知ったロウが怒って、関係したガドニエル女王とラザニエル副王とノルズ、ついでに、関わったエリカ、シャングリア、ブルイネンを徹底的に懲罰を施したそうだ。
結局のところ、ガドニエルがブルイネンに集めさせた親衛隊員とやらは、ロウがそのまま引き受けたらしい。
いずれにしても、コゼがもう一度休もうと思ったときに、イライジャとスクルドが戻ってきた。
ふたりについては、冒険者ギルドに、ハロンドール王国内の新しい情報が入ったという知らせを受けて、今日は夕方から不在をしていたのだ。
眠気を押して、コゼはイライジャとスクルドに、ロウについては今夜は戻らないということを説明した。
イライジャも、問題はないと応じた。
新しい情報というのは、ハロンドール王国内で内乱の予兆ともいえる不穏な動きがあるということであり、まだ、なにかの形になったものではないということだ。
なにかが起こったとしても、ここでは対応のしようもない。
ロウの安全のことだけを考えるのであれば、数日後に予定をしている帰国をずっと先延ばしにして、しばらくここにいる方がよいというのが、イライジャの意見だった。
まあ、それについては、ロウが判断するのだろう。
ハロンドールで内乱があったとしたら、王都に残っている女たちは、間違いなく、なんらかについて巻き込まれているだろう。
そのために戻るのか、あるいは、さらに情報を集めるためにナタルの森に留まるのかは、ロウが考えるに違いない。
コゼは従うだけだ。
逆にコゼは、今夜あったらしい騒動のことをイライジャたちに伝えた。
それに対する反応が、さっきのイライジャの言葉だ。
「あたしは、いつでも、ご主人様の悪ふざけには巻き込まれたいとは思っているわ。今夜は、たまたま先に潰れてしまったけど……」
コゼは言った。
すると、後ろで鼻で笑うような音がした。
振り向くと、ユイナだった。
ただ、まだ毛布にくるまっていて、横になったままだが……。
「あら、あんた起きてたの?」
コゼは声をかけた。
すると、ユイナが寝返りで顔だけをこっちに向けた。
「起きたわよ……。ちなみに、あいつが戻ってきたときも起きてたわ。話だけは聞いていたのよ。あの残念女王もばかねえ……。無理矢理に性奴隷を集めるなんて、あいつが一番嫌がることじゃないのよ。それを褒められようと思ってやるなんてね」
「へえ、ご主人様のことをわかってんじゃないのよ。一番の新参者のくせに」
コゼは、ミウの物言いの真似をして、ユイナを皮肉った。
あの淫乱童女が「新参者の会」とかいうのを作って、自分よりも後に入った女たちを集めて、小さな派閥のようなものを作ろうとしているのは知っている。
年端もいかないくせに、この集団で主導権をとるために、したたかなところもあるのだとコゼは思った。
まあ、エリカも、ロウもなにも言わないので、放っているが……。実害もないし……。
それはともかく、このユイナは、そのミウの集めている新参者の会に参加をしているのだ。
それをちょっと皮肉ったのだ。
「新参者でも、あんたよりも、付き合いは早いのよ。あいつは、わたしのお尻をさんざんに犯したんだから……。そりゃあ、大した鬼畜ぶりだったわよ、コゼちゃん」
「そうやって呼ぶなって、言ってんでしょう──」
コゼは怒鳴った。
ユイナが動じた様子もなく、軽く肩をすくめた。
コゼはちょっと苛っとした。
「相変わらず、仲が良くないわねえ……。いい加減に少しはみんなと仲良くしようとしなさいよ、ユイナ」
すると、イライジャが嘆息しながら言った。
しかし、ユイナはにんまりと微笑んだ。
「わたしは普通ですよ、イライジャ姉さん。結構、一途で可愛いし……。だけど、こいつが突っかかってくるから……」
「なんですってええ──」
コゼは、今度こそ、かっとなった。
やっぱり、こいつは気に入らない。
「ちょ、ちょっとやめなさいって……。ユイナも、起きたんなら服くらい着なさい」
イライジャだ。
一郎が一度戻ったとき、コゼとユイナは抱き合うようにして全裸で寝ていたみたいだが、コゼは軽い服を身に着けている。
でも、ユイナはずっと裸のままなのだ。
「だって、だるいんです。あいつって、散々にわたしとコゼのお尻を責めたてて……」
ユイナが悪びれる様子もなく言った。
「せめて、あいつって呼ぶのをいい加減にやめるのよ……」
イライジャが二度目の溜息をつく。
そのときだった。
ずっと、黙っていたスクルドが口を開いたのだ。
「あ、あのう……。ロウ様は、さっきの件で本当にお怒りを……? 戯れで調教をなさったのではなく?」
なぜかスクルドは、深刻そうな表情をしている。
そういえば、いつも微笑んでいるのが常態の女が、珍しくも複雑そうな表情になっている。
「そりゃあ、調教もしたでしょうよ。鬼畜男だしね。でも、怒ってもいたわねえ。集めてしまった女は女で、大切にするような感じだったけどね……。だけど、どうかしたの、乳女? 珍しくも真面目な顔じゃないのよ」
ユイナが言った。
どうでもいいが、乳女?
まったく、このユイナはいちいち他人を不愉快にするような物言いを……。
それでも、ロウは大切にしているみたいだから、コゼは受け入れてい入るが……。
しかし、それはともかく、ユイナもまた、コゼと同じ印象をスクルドに抱いたみたいだ。
いつも飄々としている女がいまは、なんだか態度がおかしい。
心なしか顔に汗をかいているみたいな……。
「そうねえ……。どうかしたの、スクルド?」
コゼも訊ねた。
すると、スクルドは急に激しく首を横に振った。
「い、いえ、まったく……。まったくなにもありません。なにも問題はありません。わたしは、特にはなにも関与はしていないことですし……。あれは、サキさんが……」
「サキ? なんで、ここにサキが出てくるのよ?」
コゼは訝しんだ。
「いえ、サキさんは関係ありませんわ。いえ、関係ないことはないのですが、わたしはまったく知らないことなので関係ないと……。と、とにかく、わたしは休ませていただきます。では御機嫌よう」
スクルドはそそくさと立ちあがって出ていった。
訳がわからず、コゼはイライジャやユイナとともに呆気にとられてしまった。
(第47話『クロノスの懲罰』終わり)
*
【クロノス特別親衛隊】
(5) 親衛隊規約
……また、初期の特別親衛隊について、現在入手し得る最上の古典籍としては、参謀職にあったジェネ著の『特別親衛隊始末記』がある。
ジェネによれば、特別親衛隊には、隊員が遵守すべき十箇条の「鬼の掟」と称される隊規があり、厳格に運用され、その厳しい隊規を守り抜くことが隊員の誇りであり、隊員の心を支えたとされる。
しかしながら、その隊規は完全に口伝であり、現在に至るまでその内容を記したものは残っておらず、先述の『特別親衛隊始末記』にも、隊規の存在と、その役割については記述されているものの、具体的な内容は、隊員内の完全な機密であったとしか書かれていない。
帝政中期に活躍した歴史家シーボは、特別親衛隊の規約は、イムドリスがナタルの森にあった時代のガドニエル親衛隊を母体としていることと、新編された特別親衛隊がハロンドール国の王都に配置されていたことから、女王親衛隊時代の軍規に、当時のハロンドール王国の騎士団規約を組み合わせて、さらに厳格にしたものであろうと予測しており、また、民政移行直前に活躍した歴史研究家マグワルトの説としては……。
…………。
……以上記したが、規約の具体的な内容については、いずれの研究においても決定的なものはなく、現在に至るまで、いまだに謎のままである。
しかしながら、サタルス帝に仕えた特別親衛隊が異常なまでに高い団結心で結束されていたことは、いずれの歴史研究家の見解も一致しており、その基盤が彼女たちの特別な規約にあったことは間違いないものと推測されている。
…………。
ボルティモア著『万世大辞典』より
(ここに再録した引用文は、すべてスクルズ記念国際図書館から許可を受けて初版本から抜粋して採録したものである。)