【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】 作:ドン・ドナシアン
マーズと向かい合った。
お互いに同時に地面を蹴る。
拳をぶつけ、それを腕で阻まれ、ほぼ同時に、飛んでくる拳を払いのけた。
ほんの一瞬だ。
数回打ち合って、すぐにエルミアが一度退くと、マーズもそれに合わせるように距離を取った。
再び構えを向け合うかたちになる。
まずは小手調べというところだが、エルミアはすでに肩で息をしてしまっていた。
すごい……。
エルミアは低く構えながら息を飲んでいた。
これほどの闘術の手練れは、エルミアは初めてだ。
拳を打ち合ったのは、束の間だが、その一瞬でエルミアは格の違いを感じていた。
それほどの腕だ。
しかし、驚いたのは自分自身のこともだ。
たったいま打ち合ったマーズの拳は、稲妻のような凄まじい殴打だった。それを辛うじてとはいえ、エルミアは飛んでくる腕に自分の腕をぶつけることでかわしていた。
自分自身があんなにも速く動けるということが信じられない。
「ふう……」
そのとき、マーズが大きく息を吐いた。
ふと見ると、マーズの内腿がすり寄せられるようになり、膝がかすかに落ちている。股間の丸い分染みも、さらに拡大している。
股縄か……。
それが苛んで、マーズ本来の動きを封じてもいるのか……。
エルミアは再び地面を蹴った。
身体をぶつけ合う。
マーズの手がエルミアの腕を掴もうとするのを腕で避けて、肘を胸の中心辺りに叩きつけた。
「くっ」
マーズの身体が一瞬よろけたと思った。
さらに踏み込む。
「うわっ」
しかし、足を払われて体勢を崩してしまった。
そのまま片手を掴まれて、背中側に回された。
完全に身体を固められて、両膝を地面につかされる。
「あぐっ、ま、参った」
背中側からマーズの腕に首を回されて、エルミアは声をあげた。
負けだ……。
あと一瞬で、首を絞められて失神させられたか、あるいは腕を折られたかだ。
マーズの腕が緩む。
「マーズ、一度打たれたな。縄が気になったか?」
見物の体勢だったクロノス様がにこにこしながら言った。
マーズが姿勢を伸ばす。
「い、いえ……。油断したわけじゃありませんが、エルミアさんの打撃をもらってしまいました。隙を突かれました。強いです」
マーズの称賛の言葉に、エルミアも苦笑してしまった。
「歯も立たなかったのに、強いと言われてしまうと笑うしかないわね。手加減していたんでしょう? さすがにわかるわ」
エルミアは言った。
股縄の影響もあるが、マーズが本気でなかったのは確かだ。
それくらいはわかる。
口惜しいけど、それが腕の違いというものだろう。
それにしても、エルミア自身も、我ながら凄いと感じてしまった。
エルミアは、長く鍛錬の日々を送っていたが、たったいまのように素早く動けたこともないし、強い打撃を相手に与えられたことはない。
負けたものの、相手がマーズでなければ、勝ったのはエルミアだっただろう。
エルミアは呆然と自分の両手を眺めてしまった。
「エルミアもすごかったよ。俺にはまったくふたりが打ちあっているのが見えなかった。人があんなに速く動くのは初めてだ」
クロノス様が笑い声をあげた。
エルミアは姿勢を正して、クロノス様に身体を向ける。
「あ、ありがとうございます──。マーズさんは素晴らしい戦士でした。でも、あたしも、こんなに身体が軽いと感じたことはありません」
エルミアは言った。
すると、クロノス様がさらに笑った。
「そんなにかしこまらないでよ、エルミア。昨日はお互いに抱き合った仲じゃないか。ざっくばらんでいいよ。もっと砕けて話しなよ」
「そ、そんな、クロノス様相手に、砕けるなど」
エルミアは慌てて拒否した。
そんなことは無理だ。
クロノス様は声をあげて笑った。
「まあいいや……。いずれにしても、自分が強くなったと思ったんなら、それが“淫魔師の恩恵”というものさ。マーズもそうだけど、俺の精を受ければ、どんな女でも能力が跳ねあがる。実はガドもラザも、俺と愛し合って魔道力があがったのさ。性奴隷になるなんて、自尊心が痛むと思うけど、悪いことばかりじゃないだろう?」
「まさか──。クロノス様に抱いていただくのは光栄です。でも淫魔師の恩恵って……」
つまりは、クロノス様の精を受けたから、身体があんなに軽くなったということか?
能力があがる?
試しにもう一度構えてみる。
しかし、確かに、自然と全身に力がみなぎるのを感じる。
信じられないけど、クロノス様の言葉のとおりのようだ。
昨日の今日だ。
クロノス様に愛してもらったので、強くなったというのは間違いないだろう。
それにしても、クロノス様は、女王様や太守様を愛称で呼び捨てだ。
クロノス様がそれだけのお人だということだということだが、とても気さくでちっとも気取った感じがない。
クロノス様とは、こういうお方だったのか……。
エルミアは、なんだが胸がきゅっと締めつけられたような心地になるとともに、かっと身体が熱くなったのを感じた。
「本当だぞ。話によれば、昨夜は俺が来る前に、ノルズとやり合って負けたらしいけど、いまならノルズには軽く勝てる。あいつの得手は魔術であり、妖獣操りだからな。俺と愛し合って成長させたノルズの能力はそっち系だから、格闘術を成長させたエルミアなら、もう負けることはない」
「えっ?」
本当だろうか。
昨夜は二度ほどノルズ教官に刃向かい、完膚なきまでに叩きのめされた。
あんなに悔しかったことはないし、自尊心をずたずたに引き裂かれもした。
だが、すでにノルズ教官に勝てるようになっているとは……。
「このことは親衛隊の仲間内だけの秘密にしてくれよ。何十年も鍛錬をして到達する境地に、ひと晩の性交だけで辿り着くとなれば、大勢の男どもに追いかけまわされて、尻を犯させられるかもしれない。ぞっとする未来だ」
「も、もちろん、秘密にします──。殺されても口を割りません」
真剣に言った。
「いや、殺されそうになったら喋っていい。いずれにしても、もっと砕けて話してくれったら」
クロノス様がまた笑った。
だが、その顔からすっと笑みが消え、真面目に顔になる。
エルミアとマーズを呼び寄せた。
「さっきも言ったけど、俺と愛し合って精を注がれて性の支配を受けると、なぜかその女の能力が桁違いに跳ねあがる。これが俺と俺の女たちの秘密だ。また、それは俺自身のことでもある。俺は女を支配することで、俺自身の能力も向上させている」
「はい」
エルミアは頷いた。
クロノス様は、なにかをエルミアに教えようにしている気配だ。
その視線は真っ直ぐにエルミア側に向いている。
「この水晶宮の経験は、俺を成長させてくれもした。それで、いくらか、この世界の仕組みについてわかったこともある。それは、淫魔力の源である“淫気”も、魔術遣いの魔力の源にしている“理力”も、そして、闘気という力も、実は同じだということだ。根っこは同じだ。その同じものを、違う力に発揮させて、それぞれに別のもののように考えているだけということだ。わかるか?」
「同じものですか……?」
エルミアは言ったが、正直よくわからない。
クロノス様が微笑んだ。
「高位の魔道遣いが、実は好色だということは耳にしたことがあるか?」
クロノス様が言った。
エルミアは頷いた。
「それは、聞いたことがあります」
エルフ族のほとんどは魔道を操るので、人間族のような種族よりも、魔道の秘術には長けている。魔道の修行の中に、性愛に関するようなものがあるというのは本当だ。
エルミア自身は魔道を操るものの、高位魔道遣いというほどではないので、高位魔道の修行ということはしたことがないが、耳にしたところでは、信じられないような淫靡なことをするのだという。
最初に知ったときには耳を疑ったし、驚いたものだった。
「好色であればあるほど、魔道があがるというのは、魔術の根源である理力が、好色によって拡大される淫気と同等であるからだ。好色であるということは、淫気を身体にみなぎらせやすい体質になるということであり、すなわち、理力を集めやすい身体になるということでもあるんだ。それで魔術力があがる。闘気も同じだ」
今度はなんとなくわかったところもある。
どうやら、クロノス様は、好色であれば魔術もあがり、闘気もあがる……。
すなわち、強くなると言っているらしい。
「あたしは、それを実感しています……。あたしは強くなりました。先生のおかげです……。それに、まだまだ、さらに強くなれる気もしています。先生におかさ……いえ、暮らすようになってから……」
マーズが口を挟んだ。
顔が赤い。
どうやら、いまは犯されるようになったからと言いたかったらしい。
だが、正直羨ましい。
彼女は、こうやってずっとクロノス様と一緒にいて、愛されて、生活をして、鍛錬もして……。
いや、そんなことを言ったら、罰が当たるか……。
今朝の鍛錬の参加については、どれだけの親衛隊の将兵がエルミアを羨んだか……。
「とにかく、信じるかどうかはともかく、そういうことなんだ。つまりは、好色であれば強くなる。だから、もっと淫らな身体になれ、エルミア、マーズ──。それで成長する」
「はい」
「はいっ」
ふたりで返事をした。
クロノス様は満足そうに頷いた。
「じゃあ、第二試合だ。今度はマーズにハンデだ。これを後ろ手にしろ」
クロノス様が宙から取り出したのは、ひと組の革の手枷だ。
やっぱり不思議な術だ。
それはともかく、出した枷は短い鎖でふたつの枷が繋がっている。
手錠をしてエルミアと戦うというのか?
さすがに鼻白む思いだが、マーズは抵抗を示す素振りはない。
黙って両手を背中に回し、クロノス様がマーズを拘束するに任せている。
「さらにハンデだ。気を集中させろ、マーズ……。いつものようにだ。気を制御しろ。縄瘤を振動させるぞ……」
後手に拘束を受けたマーズがエルミアに向かい合うと、クロノス様が離れ際に、ぽんと軽くマーズの腰を叩いた。
「あっ、んんっ」
その瞬間、マーズの腰ががくりと沈んだ。
なにが起きたかわからなかったが、よく見ると半ズボンのマーズの股間にあった縄の筋のようなものが振動をして動いている。
目を丸くする思いだが、どうやらクロノス様が魔術のような技を使って、マーズが股間に喰い込まされている股縄を振動させたようだ。
マーズが顔を真っ赤にして、歯を喰いしばるような感じになった。
さすがに、これでは……。
いくらなんでも……。
だが、次の瞬間、そのマーズの全身から湯気のようなものがたちのぼってきたのがわかった。
エルミアは目を見張ったが、マーズがなにかの力のようなものに包まれており、さらに強い殺気のようなものをエルミアに向けてくる。
戦士の眼だ……。
エルミアは唾を呑み込んだ。
そして、本気のマーズの眼に、エルミアは気合いを入れる。
ハンデを受けた相手であろうか、文句は勝ってからだ。
勝てば、今度はハンデなしで戦わしてくれるだろう。
「いくよ」
構えを取るとエルミアは、間髪いれずに、マーズの懐に飛び込んだ。
掴んでしまえばもう終わりだ。
あの体勢だと、マーズは蹴り技限定だ。
しかし、警戒をしていた蹴りは来ない。
それどころか、マーズは立っているのもやっとの感じだ。
簡単にマーズの身体を掴めた。
勝った──。
エルミアは確信し、そのまま投げ飛ばそうとした。
だが、強い衝撃を胸に受けて、次の瞬間にはエルミアは宙に浮いていた。
「んがっ、がっ」
なにが起きたかわからない。
気がつくと、地面に背中を打ちつけられて倒れてしまっていた。
しかも、身体が痺れた感じになり動けない。
マーズは少し離れた場所だ。
そのマーズが向かってきた。
「うわっ」
マーズに馬乗りにされて、さらに腿で首を固められる。
締め落とされる──。
一瞬思ったが、触れたマーズの股間から縄の振動が使わってきた。
首を動かして振ると、その縄を弾くような感じになった。
「きゃああ、ああっ」
マーズが身体をのけ反らせて、身体を一瞬だが弓なりにした。
力が緩んだマーズに、エルミアは下から力の限りに横腹に掌底を叩きつけた。
「んぐうっ、んふううっ」
マーズの息がとまったのがわかった。
しまった……。
危険な技だがとっさに出してしまったのだ。
まともに掌底が喰い込み、マーズが息がとまった感じになったのだ。
「んはあっ、んんっ」
マーズの身体がエルミアの身体の上から崩れ落ちる。
「それまで──」
クロノス様の叫びがあり、倒れてるマーズの身体を抱え起こす。
次の瞬間には、マーズの息が復活して、荒いが息を始めた。
エルミアはほっとした。
「ご、ごめん──。咄嗟に……」
エルミアも起きあがってマーズに駆け寄る。
しかし、クロノス様がマーズの上半身を抱えたまま、エルミアに顔を向けて横に振る。
「問題ない。試合の中の話だ。マーズが一発喰らったのは、マーズの失敗だ。縄の振動で気の集中が途切れたんだ。まだまだだな、マーズ」
「は、はい、まだまだです……。エルミアさん、ありがとうございます。負けました」
マーズが地面に座ったまま頭をさげた。
しかし、エルミアとしても、これで勝ったと言われるのはあまりにも恥ずかしい。
マーズが股間の振動をさせられていなければ、腕を後手に拘束されたマーズにエルミアは負けていただろう。
「……お願いだから、負けただなんて言わないでよ……。それよりも、最初に受けた技はなに? 魔道とは違ったみたいだけど」
エルミアは言った。
最初にマーズに組みついたとき、強い衝撃で身体を吹き飛ばされてしまった。
しかも、身体が痺れてすぐには動けなかった。
あれはなんだったのか……?
「あれが気弾だ」
マーズに代わって、クロノス様が言った。
「気弾……ですか?」
耳にしたことはない。
「そうだ、気弾だ。そもそも、マーズは魔道は遣えないしね……。エルミアにはこれを今日教える……。しかし、その前に、不甲斐なかった弟子に罰を与えるから待ってくれ」
クロノス様はそう言うと、しゃがみ込んでいるマーズの前にすっと立った。
一方でマーズの股間の縄はまだ振動をしているようだ。
マーズは甘い息をしながら、身体を微かに悶えさせ続けている。
「マーズ、いつもと一緒だ。負ければ罰だ。M字の姿勢で足を開いてしゃがめ。負ければ屈辱だ。そうやって、負けてはならないということを身体に刻み込むんだ」
えむじ……?
それがどういう姿勢なのかわからなかったが、ふたりには取り決めがあるのだろう
マーズは腰をあげると、しゃがんだ体勢になり、大きく両膝を真横に動かして開いた。
これが、えむじか……。
女としては恥ずかしすぎる格好に、エルミアはかっと身体が熱くなってしまった。
一方でクロノス様がズボンから性器を取りだして、マーズの顔に向ける。
すでに勃起状態だ。
そのまま、マーズの口に咥えさせる。
「えっ?」
エルミアは声をあげてしまった。
人気はないとはいえ、ここは誰でも入ってこれる公園だ。
そこで堂々と、口で奉仕だ。
エルミアは息を飲んだ。
しかし、クロノス様もマーズも、そんなに気にしている様子はない。
ふたりには、いつものことのようだ。
「マーズ、これが負けの口惜しさだ。次は負けるな。どんなハンデでもだ。股間の振動に気の集中を途切れさせてしまったのはお前の失敗だ。俺が精を放つと同時に、縄の振動を最大限にする。それで絶頂しろ。これが今日の罰だ。それだけじゃなく、絶頂と一緒に放尿もしろ。命令だ」
「んんっ、は、はいっ」
懸命に口の中のクロノス様の性器を舐めていたマーズが一瞬口を離して、小さく頷いた。
エルミアは今度こそ、自分の全身が小さく震えるのがわかった。
ただ見ているだけなのだが、マーズが股間を縄で刺激させられながら、陽の出ている野外でクロノス様に奉仕を強要されているのを目の当たりにして、エルミアの身体はおかしくなるくらいに、熱くなっていく。
しかも、クロノス様が精を放つのと同時に、絶頂もして放尿までするという。
なんという恥ずかしいことを……。
ああ……。
だけど、もしも、同じことをクロノス様に命じられたら……。
それを想像しただけで、エルミアの身体が震えてくる。
ますます、かっと身体が熱くもなる。
じわりと股間が濡れるのもわかった。
「よし、いくぞ」
クロノス様がマーズに声をかけている。
それに合わせるように、マーズの身体がぶるぶると震えて、身体が突っ張ったように硬直したのがわかった。
「んんんっ、んああああ」
マーズが我慢できずに、クロノス様のものを咥えたまはま声を洩らした。
また、クロノス様はマーズの口の中に精も放ったようだ。
クロノス様の腰が二度、三度とびくりと震えている。
「んふうっ、ふううっ」
クロノス様の精を受けながら、マーズの身体もさらに一度震えた。
次の瞬間、マーズのはいている半ズボンの下に水たまりが拡がりだす。
放尿を開始したのだ。
股の下の地面の上の水溜まりがどんどんと大きくなる。
もうだめだった。
エルミアは股間に両手をあてて、そのまま少し膝を割ってしまった。
「見ているだけで感極まったか? それだけ好色なら、すぐにもっと強くなる。そのうちに、まともにやっても、マーズの相手ができるくらいまでにはしてやれると思うぞ」
クロノス様が小さく笑いながらマーズの口から性器を取りだしてズボンにしまった。
そのとき、がちゃりと音がして、見るとマーズの両手から革枷が消滅している。
どうやったの?
こんなのは魔道でもできないはずだ。
身体に装着しているものを消滅させるなど……。
マーズが立ちあがった。
また、縄の振動はとまったようだ。
マーズの身体の震えはとまっている。
しかし、半ズボンは放尿のためにびしょびしょだ。
脚もおしっこで完全に濡れている。
だが、尿以外の体液も、半ズボンの隙間から垂れて内腿に伝っている。
マーズの羞恥の姿に、エルミアもなぜか息を荒くしてしまった。
「エルミア、来い──」
クロノス様が言った。
エルミアは慌てて、クロノス様に駆け寄って立つ。
すると、クロノス様がエルミアの腰の後ろに手をやり、さらに反対の手をお臍の下にそっと触れさせた。
「あっ」
服の布越しだが、クロノス様の手の温かみを感じて、エルミアは身体をくねらせてしまった。
だが、クロノス様がぐっと手に力を入れて、エルミアの身体を押さえるような感じにする。
エルミアは身体を硬直させた。
「ここが
そのとき、クロノス様が触れている手から、こぶし大の見えない玉のようなものを下腹部の内側に入れられた心地を覚えた。
「あっ、いやっ」
思わず叫んだ。
大きな疼きのようなものが下腹部で弾けたのだ。
それがすっと股間にさがる……。
「あああっ、んはああっ」
膝が大きく崩れる。
大きな快感が股間に襲いかかったのだ。
腰が淫らに震えてしまう。
「いやああっ」
エルニアはがくりと身体を前のめりに倒させた。
それをクロノス様が支える。
まともに立っていられなくて、クロノス様にしがみついた。
「股間に動いたものを今度は上にあげるぞ。これを感じろ──。いまは俺が動かしているけど、自分で動かしてみろ。これを動かせれば、もう気弾を打てる──」
クロノス様がエルミアを抱きかかえる感じにしたまま、声をあげた。
一方で股間にあった“なにか”がすっと上にあがったのがわかった。
今度は胸だ。
その大きな疼きの塊のようなものが胸に到達する……。
「ああっ」
巨大な快感が乳房の内側からせりあがった。
痛いくらいに乳首も勃起する。
「魔道を遣うことを思い出せ、エルミア──。いま胸にあるものを手に移動しろ。理力を動かすのとまったく同じだ」
魔道を遣うために理力を動かすのと同じ……。
その感覚はわかる……。
エルミアは胸に襲いかかっていたものを腕に動かす。
すっと胸の疼きが小さくなり、ぞわぞわと腕が痺れたようになる。
まるで、股間の性器がそのまま手に移ったみたいだ。
快感が両腕に集まる……。
「外に出せ──」
クロノス様が叫んだ。
ほとんど無意識に、腕にあったものを手の平から外に弾き飛ばしていた。
見えない衝撃波のようなものが飛び、それが当たった樹木が大きく揺れる。
どさどさと木の枝が地面に落ちてきた。
まるで鋭利な刃物で切断したかのように切れ折れてしまっている。
エルミアは目を丸くした。
「ほら、できたろ? それが気弾だ。慣れると快感と切り離して制御できるようになる。気弾を打つたびによがってたんじゃあ、戦いには遣えないしね。まあ、あとは慣れることだ。何度もやれば、あっという間に自由自在に操れるようになる。頑張れよ、エルミア──。君にはマーズの鍛錬の相手になってもらうつもりだ」
クロノス様が笑った。
しかし、エルミアは自分がやったことに驚いていた。
いまのは、本当に自分が……?
信じられないが、さっきの感覚はまだ身体に残っている。
「あ、ありがとうございます、クロノス様──。あ、あのう……。あ、あたし、信じられない……。こ、こんなの……」
まだびっくりしている。
いまのが気弾……?
確かに、魔道とは違う……。
闘気の塊そのものを外に打ち出すという技だ。
「まあ、多分、すぐに身につけると思っていたよ。ところで、どうして、君をマーズの稽古相手に選んだかわかるか? もちろん、エルミアが闘術の素質があったからというのが一番だ。しかし、もうひとつ理由がある」
クロノス様が意味ありげに微笑んだ。
「もうひとつの理由……ですか?」
首を傾げた。
そんなことはわからない。
「三十人の中でエルミアが一番マゾだった。好色であるほど強くなる。少なくとも、俺の女に限ってはね」
クロノス様がにやりと笑った。
「素晴らしいですね、エルミアさん。こんなに呆気なく気弾ができるようになられただんて」
マーズだ。
その口調には称賛の響きがこもっている。
エルミアも嬉しかった。
年齢はエルミアよりも下だが、格闘の腕はマーズは、エルミアに遥かに上だ。
そのマーズに認められるというのはいい気持ちだ。
それにしても、クロノス様には驚きだ。
やっぱり、このお方はすごい……。
「ク、クロノス様って、お凄いのですね。気弾の操りもなさるのですね?」
エルミアは言った。
すると、クロノス様はにっこりと微笑まれた。
「つい最近までできなかった。だけど、俺自身の能力があがって、気弾の源の闘気も、淫魔力の源の淫気も同質のものだと悟ったら、もう使いこなせるようになった。こんな風にね……」
クロノス様が見えない球体を片手で持つみたいな姿勢をした。
その手をそのまま、エルミアの下腹部にぽんと置く。
股間に衝撃が発生した。
「えっ……? んふうううっ」
なにが起きたかわからなかったが、一瞬にして凄まじすぎる快感が下腹部から全身に走り、エルミアはそのまま膝を地面につけて崩れ倒れてしまった。
加わったものは、さっきと同じだったが、あまりにも巨大すぎて、それは制御の範疇を超えていた。
爆発するような快感に全身が包まれ、エルミアはあっという間に絶頂を極めてしまっていた。
「あああああっ、ああああああっ」
訳がわからず、エルミアは悲鳴をあげて快感を飛翔させ続けた。
あがりきった快感がなかなか終わらないのだ。
また、全身の力が脱力し、エルミアは絶頂とともに失禁までしてしまっていた。
クロノス様の笑い声が響く。
「失禁の好きな不肖の弟子たちだな……。罰として、小便で汚したまま、また駆け足だ。ほら、ふたりとも立て──。とにかく、強くなりたければ、好色を強くしろ。いやらしくなればなるほど強くなる。信じろ。それいくぞ」
クロノス様が笑いながら、走り出した。
やっと放尿の終ったエルミアは、やはり、下半身を尿でびしょびしょに濡らしているマーズとともに、慌ててその後を追いかける。
でも、達したばかりの腰に力が入らなくてつらい。
エルミアは歯を喰いしばって、懸命に地面を蹴った。