【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】 作:ドン・ドナシアン
「ちっ」
一郎は、ジャスランが逃亡した方向に追いかけながら、舌打ちしていた。
まさか、逃亡を許すとは思わなかったのだ。
だが、ついにジャスランは、一郎たちの囲みを抜けて、どこかに消えてしまったみたいだ。
ここからは離れているが、ジャスランが樹木の幹に飛び込むようにして消滅してしまったのが辛うじて視界に入った。
逃亡を許したのは間違いない。
しかも、スクルドとエリカを操る洗脳球を握ったままだ。
さらに、アルオウィンとイライジャの行方もわからない。
困ったことになったと思った。
「ああ、いやああ」
一方で、スクルドの悲痛な悲鳴が夜の森にとどろいている。
ジャスランを追いかけるブルイネンたちを魔道で阻んだのは、移動術で身体を転送してきたスクルドだ。
さっき、ジャスランが魔道で洗脳球による声を森中に拡散していたので、それを受けてしまったのだろう。
両腕のない素っ裸のスクルドが、接近しようとするブルイネンたちエルフ隊に魔道をぶっ放しまくっている。
「スクルド──」
一郎は大声でスクルドに怒鳴った。
かなりの距離があるが、スクルドの視線があがり、こっちを確かめるのを確信した。
スクルドの顔が苦悶に歪んだのがわかった。
「ご主人様、だめです──」
「ロウ様、いまは──」
コゼとミウだ。
コゼとガドニエルが一郎の直接の護衛をしてくれていたが、いまはそれにミウが加わっているかたちだった。
三人とも、スクルドがジャスランから一郎を殺せと命令を受けていることを承知している。
だから、わざわざ一郎が自分をスクルドに見つからせるように呼んだことにびっくりしたのだろう。
しかし、泣きながら味方に攻撃をさせられているスクルドの姿を見ると、どうしてもいたたまれなくなったのだ。
ジャスランを取り逃がしさえしなければ、スクルドはあんなことをしなくてもよかった。
逃がしたのは、一郎の詰めの甘さでもある。
せめて、泣きながら味方を攻撃させるようなことは、早くとめてやりたい。
「任せろ──。魔道を遣わせなけばいいんだろう」
ブルイネン隊に魔道を放っていたスクルドが消滅したのがわかった。
すぐに、正面にスクルドが出現する。
魔道を放つ体勢になっていた。
だが、一郎は、ここに来るまでに拾った一本の樹木の枝を持っている。
スクルドの性感帯をこの木の枝に移動させてしまう。
「ご主人様、逃げてください──」
目の前のスクルドが絶叫した。
洗脳球というのは、身体は操っても、放つ言葉は操られないのか?
一郎は、ジャスランのステータスには“洗脳球”という言葉はあったが、どういう効果があるのかということまではわからない。
まあ、操り具ということまでは理解できるが……。
ただ、いままでの状況から考えて、感情や心を操るのではなく、純粋に肉体の行動だけを支配してしまう道具だということは予想がついた。
支配系の魔道は、ジョブの種類に関わらず、高位レベルの支配を低位レベルの支配系を覆せないというのは常識のはずだ。
だから、一郎よりもレベルの低いジャスランの支配が覆っているということは、単に身体だけが操られているということではないか……。
もっとも、ジャスランの“妖力レベル”は、“80”なので、サキに匹敵するほどの高さだが……。
「ミウ、前よ──」
コゼが焦ったように叫ぶ。
しかし、そのときには、すでに一郎の目の前には、ミウによる魔道壁が出現していた。
しかし、スクルドは残像を結ぶことなく前から消えた。
移動術の連続使用か――。
「後ろか──」
一郎は声をあげるとともに、ほとんど無意識に身体を倒した。
なんとなく危険を勘で感じたのだ。
身体のすれすれを魔道の衝撃が突き抜ける。
ミウの魔道壁は本来の前からではなく、後ろから魔道を打たれて、粉々に破壊されたみたいだ。
ただ、誰にも当たっていない。
一郎は、倒れながらスクルドの全性感帯を移している木の枝を強く擦る。
「んはあああっ」
一郎の背後でスクルドが崩れ落ちるのがわかった。
粘性体を飛ばして、スクルドを覆ってしまう。また、淫魔術を遣って、スクルドの魔道を凍結する。
一郎は倒れた姿勢のまま、木の枝を擦り続ける。
こうなってしまえば、もうスクルドは怖くない。
「はっ、はっ、はああっ、ご主人様、ごめんなさいいいい。ああああっ」
一郎の粘性体に包まれて転がっているスクルドが全身を悶えさせて奇声をあげた。
無理もないだろう。
身体中の性感帯という性感帯が、この一本の細い樹木に移されているのだ。
その枝を刺激されるということは、スクルドにとっては全身の性感帯を同時に嬲られているのを変わらないはずだ。
すでに、一郎によって魔道も封じているし、封じられていなくても、この状態では魔道を結ぶのは不可能だろう。
一郎は樹木を擦りながら起きあがる。
「んふうううっ、んぐうううっ、あり、がとうございますうううっ」
スクルドがさっそく最初の絶頂をした。
しかし、一郎が木の枝を擦るのをやめないので、スクルドはすぐに二度目の絶頂に向かって全身を痙攣させている。
「いい気なもんね。これだけ、人騒がせしといて……」
横にいたコゼが緊張を解いた感じで、呆れたように言った。
ガドニエルやミウ、ほかの者たちも集まってくる。
「こっちはいい。それよりも、ジャスランだ。ガド、ジャスランが消えた場所から、どこに跳躍したのかわかるか?」
「調べてみます」
「待ってください、あたしも行きます」
ガドニエルに声をかけると、それに次いでミウもそっちに駆けていく。
そのときだった。
不意に害意を感じた。
それがなんであるかはわかからなかったが、強い殺気を感じたのだ。
さっきもそうだったが、もしかしたら、これこそが魔眼保持者の勘というものかもしれない。
一郎はとっさに身体を捻っていた。
「あぐうううっ」
どんという上から襲った衝撃を肩に受けて、一郎は地面に転がっていた。
肩に強烈な熱を感じる。
「な、なんだあ……?」
血が辺りに噴き出していた。
肩を剣で上から貫かれたのだと理解したのは、次の斬撃の衝撃を目の前に受けてからだ。
「危ないっ」
金属音がして、一郎を突き飛ばすようにして前に出て庇ったコゼの短剣によって、次の斬撃を受けとめられてきた。
「エリカか……」
一郎は肩を押さえながら呻いた。
油断した。
スクルドとともに、エリカがジャスランに、一郎の殺害を命令されたのはわかっていたが、姿がまだ見えないので気に留めてなかった。
エリカは、樹木の上を跳躍して、ここまでやってきていたのだろう。
一郎が刺されたのは、真上から剣とともに落ちてきたエリカによってだ。
もしかしたら、一郎が避けなければ、心臓に突き刺さっていたかもしれない。
その意味では、エリカの一撃を避けるなど、一郎としては神技に近いと思った。
自分で自分を誉めたいくらいだ。
「うわっ、ご主人様──」
「ご主人様──」
離れかけていたガドニエルとミウも悲鳴をあげる。
ほかの女たちも一斉に絶叫した。
「くっ、エリカ……」
エリカの剣を懸命に受けるコゼの短剣の音――。
コゼとエリカは剣と短剣を交わし続けている。
しかし、さすがに正面からでは、コゼはエリカにかなわない。
コゼはおされている。
「あぐっ」
コゼが蹴り飛ばされて、向こうに転がる。
しかし、エリカは深追いしない。
すぐに、エリカがこっちを見た。
どうでもいいけど、エリカは口にディルドが突き出ている革の覆いをしたままだ。
あれは、ジャスランがエリカとスクルドをいたぶるのに装着されてたものだが、エルフ兵の親衛隊がエリカを保護してから、まだ外す余裕がなかったのだろう。
「しゃあああああ──」
イットだ。
コゼに変わって一郎の前に立つ。
「くわっ」
エリカが剣を向ける。
そして、懸命になにかを呻いている。
眼は涙目だし、自分ではどうしようもないのだろう。
必死の様子で、一郎から流れている血を気にしているみたいだ。
一郎は、素っ裸のエリカに粘性体を飛ばす。
イットに阻まれて対峙した感じになっていたエリカの手首足首に粘性体が貼りついた。
エリカがほっとした表情になったのがわかった。
そのまま、地面に四肢を貼りつかせる。
「魔道を封印します」
ガドニエルが戻ってくる。
エリカに魔道封じをかけてくれた。
一郎も淫魔術で封じようと思ったが、ガドニエルの方が一瞬早かったみたいだ。
「ああ、ロウ様──。すぐに手当てを……」
ミウが駆け寄ってきた。
しかし、一郎はそれを制した。
「問題ない。すでに傷は塞がっている。残っているのは
一郎は言った。
ユグドラの癒しだ。
この一郎の身体には、この世界に最初にやって来たときに出会ったユグドラという女精霊からもらった身体の癒しの力がある。
大地に接している状況である限り、即死でなければ一郎の受けた負傷をすぐに癒してくれるのだ。
まだ痺れるような感覚は残っているが、傷そのものはすでに治っているのを感じる。
「まさか、上から降って来るとはね……。ご主人様、大丈夫ですか?」
コゼが粘性体に拘束されているエリカに近づいて、短剣で口覆いを切断して取り去った。
エリカの口から、大量の涎とともにディルドが引き外される。
なんかいいなあ、あれ……。
今度、女たちに使わせてみるか……。
ちょっと、そんな不謹慎なことを思ってしまった。
「ああ、ロウ様ああ、ごめんなさいいい。ごめんなさいいい」
エリカが号泣している。
一郎はエリカの横に立て膝を突いてしゃがみ、無防備なエリカの股間にあるクリリングに指をかけて、指をかけて弾く。
「んきいいい、んふううう」
エリカが全身を弓なりにして悶絶する仕草をした。
なにも外部からの刺激のない普段は耐えられるが、ひとたび、一郎がここを刺激すれば、たちまちに性感が爆発するように、エリカの身体は調教済みだ。
一郎に繰り返してクリリングを弾かれて、あっという間にエリカが絶頂の兆候を示しだす。
「ははは、いつもながらいやらしいな。エリカが俺を刺すのは二度目か。これは貸しだぞ」
一郎はできるだけ軽口に聞こえるように笑いながら言った。
ちょっとでも深刻そうな素振りをすれば、エリカのことだ。とことん、気にしてしまうだろう。
「は、はいいい──。どうか、わたしに罰を──、んぎいいい」
クリリングをいじられているエリカががくがくと身体を震わせる。
「まあ、考えておくよ。スクルドもな」
一郎は笑った。
スクルドの性感帯を移動させている木の枝への刺激を再開した。
エリカの嬌声に、スクルドの甘い声が混ざる。
一方で、エリカにしろ、スクルドにしろ、淫魔術で心に触れて、心の中にある罪悪感のような感情を潰していく。
潰しては現われ、現われては潰すということを繰り返していたが、やがて、ふたりとも心が落ち着いた感じになってきた。
もっとも、そのあいだ、エリカについてはクリリングを弾き、スクルドについては、木の枝に集めた性感帯をしつこく刺激しているということをしていた。
ふたりとも、なにかを思考するということなど不可能な状況になっている。
ただ、ジャスランが施した支配術の源は、魔力とも、淫魔術とも異なるものではあるようだ。
同じ肉体支配ということで、淫魔術で上書きできないかやってみたが、どうもうまくはいかない。
「いくうううっ、だめええええ」
「ご主人様あああ」
ふたりが同時に絶頂した。
とりあえず気絶するまで続けるつもりで、一郎はふたりへの刺激を継続する。
「あれあれ、よかったわね、エリカ。ご主人様が無事で……。もしも、ご主人様が死んでたら、いくらあんたでも、あたしはあんたを殺してたわよ。ご主人様の後を追う前にね」
コゼが呆れたように言った。
一郎は苦笑した。
「冗談だろう?」
「本気です」
コゼはにこりともせずに言った。
どうやら、本気のようだ。
一郎は肩をすくめた。
いつの間にか、周りには女たちが集まっていた。
一郎は顔をあげた。
「ブルイネンは、親衛隊の把握を……。男爵たちは確保していると思うが、この陣営の支配を奪取してくれ。それと傭兵たちの全員はジャスランの支配術が刻んでいる指輪をしていた。男爵本隊も含めて、片っ端に外させろ……。それと、抵抗をした傭兵たちは念のためにどこかに集めて、拘束を……」
「わかりました」
ブルイネンがすぐにこっちに来ているエルフ兵の部下を連れて駆け去っていく。
「シャングリア、随分と小さくなったな。治してやれるが、それは俺が愉しんでからだ。いまのシャングリアはぜひ一度抱いてみたい。手足のない女を抱くというのも、すごく嗜虐心が刺激されるな」
また、一郎はマーズに抱かれたままのシャングリアに声をかけた。
シャングリアを抱えているマーズが、こっちまで寄ってきていたのだ。
「あ、悪趣味だぞ」
シャングリアが真っ赤になったのがわかった。
よかった。
思ったよりも、心に傷もないようで元気そうだ。
一郎もほっとした。
そして、そのマーズの横にいるユイナにも視線を向ける。
「さっきは助かったよ、ユイナ。ご褒美は抜かずの十発でいいか? いや、それとも前と後ろの五発ずつにするか」
一郎は笑った。
ユイナも真っ赤になる。
「な、な、な、なに言ってんの……」
目に見えて狼狽えるのが面白い。
一郎はさらにユイナを見た。
「……だから、知っていることを教えてくれ。血紋術ってなんだ? あいつが逃げた先について手がかりになることがあったら教えてくれ。その代わり、たっぷりと可愛がるから」
「そ、そんなことしなくても、お、お、教えるわよ……。血紋術というのは……」
ユイナが真っ赤な顔のまま、急に狼狽えたように語りだす。まずわかったのは、血紋術というのは、自分の血液で作る血紋を相手やものに移し、自在に動かすという技らしい。
よくわからないが、魔術遣いの波動をジャスランの血紋で乗っ取るのだそうだ。
ほかにも、ユイナが語る内容を熱心に聞き取る。
「ね、ねえ、ご主人様──。それなら、わたしがわかります。多分ですけど、わかりますわ。だから、わたしにもご褒美を──。いまのところ、活躍できていませんが、それなら予想がつきます」
ユイナの話が終わると、すぐに、ガドニエルがなんか必死の様子で横から割り込んできた。
「どこよ?」
コゼだ。
「亜空間だと思います。この陣営に亜空間の結界を作って、そこに隠れたのだと思います。あのときの魔道の波紋は、移動術ではありませんでした。おそらく、間違いないと思いますわ」
ガドニエルが勢いよく言った。
「それで、どうやって、その空間に行けばいいのよ」
さらにコゼが言った。
すると、ガドニエルが困った様子になる。
「そ、それは、亜空間術の波紋など、個人ごとに無数になりますから……。簡単には……」
「だったら、手柄とは言えないわね」
コゼがにこりともせずに言った。
「そんなああ」
ガドニエルががっかりした口調で言った。
「またいぐうう」
「んぐうううう」
そのとき、またもやスクルドとエリカが絶頂した。
一郎は、女たちと話しながらも、ずっとふたりを刺激し続けていたのだ。
とりあえず、もういいか……。
ふたりは、すでに息も絶え絶えに悶絶しかけている。
操られているとしても、もう無力だろう。
一郎は立ちあがった。
実は、ふたりをいたぶっていて、ジャスランを追いかける方法をふと思いついたのだ。
ユイナから教えてもらった血紋術の特徴から考えたことだけど、もしかしたら、いけるかもしれない。
「ジャスランを追いかけよう。ちょっと試したいことがある。もしかしたら、効果があるかもしれない」
一郎は言った。