【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】 作:ドン・ドナシアン
「おい、シルキー。あの管はなんだ?」
屋敷の裏側にある庭に案内をされた一郎は思わず声をあげた。
屋敷の裏も広く、そこは芝生の拡がる庭園になっていたのだが、その隅を横切る木製の木管を発見したのだ。それは裏の川から続いていて、庭の途中から地中に潜っている。
「あれは水道です。ピエール様のご希望で川の水を屋敷の中に引き込めるようにしたのです。屋敷の地下室にある浴室内の堰き止め栓を外せば、濾過された川の水が浴槽に流れ込みます。ピエール様は、よくその浴槽に水を注ぎ、温かい湯にしてから、マーリン様や、わたくしめとともに入浴を愉しまれたものです。いまは、使っていませんが、浴槽を常に整えておくのも、わたくしめの仕事でした。懐かしいです」
シルキーは思い出すような口調で言った。
「浴槽だって? ここの屋敷の地下には浴場があるのか? もしかして、いまも、使おうと思えば使えるか?」
「もちろんです。ピエール様も、マーリン様やわたくしめを縛めて浴槽の中で悪戯なさるのが、それはそれは、お好きだったのです」
シルキーは何気ない口調で言った。
だが、一郎はその言葉を訝しんだ。
「ちょ、ちょっと待てよ。お前、屋敷妖精だろう? それなのに、もしかしたら、ピエールという男やマーリンという魔女の性の相手を務めていたのか?」
一郎は驚いて言った。
「屋敷妖精は、屋敷の主人に従うものでございます。屋敷の掃除や手入れをするのが屋敷妖精の本能でありますが、命令でございますれば、主人の“趣味”にお付き合いも致します」
シルキーはあっさりと言った。
一郎は唖然としてしまった。
同時に納得もいった。
このシルキーは、この屋敷の元夫婦の性の関係を随分詳しく知っていると思ったが、そういうことだったのだ……。
だが、一方である考えが沸き出てきた。
この屋敷は、なにからなにまで一郎の希望していた家そのものだ。
もしも、マーリンという女ゴーストの浄化に成功した場合は、ここを住まいにできないものだろうか。
つまりは、一郎がこの屋敷の主人になり、さらに、シルキーの主人に取って変わるということだ。
この屋敷の持ち主は文字通り昇天していなくなる。
しかも、ピエールとマーリンは、親族と絶縁状態だったため、この屋敷を相続する者もいないに違いない。
ましてや、この建物が建てられたのは、数十年も前のことだ。
正式の相続者は消えているだろう。
また、この屋敷には、すでに屋敷妖精のシルキーが住み着いており、ここに住めるのは、新たな主人とシルキーが認めた者でなければならないはずだ。
逆に考えれば、ゴーストがいなくなった後に、この屋敷の主人に一郎がなることをシルキーに認めさせれば、一郎たちは、「主人」としてこの屋敷に住める。
無論、そのためには、なんとか、あのマーリンという女ゴーストを浄化しないとならないが、もしも、それができなければ、エリカとコゼはもちろん、一郎もここで殺されるだろう。ここは、マーリンの魂を救い、その浄化がかなうものとして、次の手を打っておいてもいい。
それに、ここに住むということは、一郎やエリカにとって、大いに都合がいいことがひとつある。
おそらく、ここは、冒険者ギルドでクエストとして扱っている幽霊屋敷のはずだ。
つまり、対外的には、ここにはゴーストが住み着いている無人の屋敷なのだ。だから、クエストが未解決の状態であれば、常識的には、ここに人が住んでいるとは誰も考えないと思う。
従って、この幽霊屋敷は、アスカの追っ手のことを警戒しなければならない一郎とエリカにとって、最適の隠れ家になる。
ただ、解決したクエストを未解決のまま置いておくというのは、ミランダが簡単に許すとは思えない。
しかし、ミランダを「説得」する方法はある……。
絶対に逆らえない「縛り」をミランダにかける手段もある……。
あの人のいいミランダを罠にかけることになることには、気が咎めるが……。
いずれにしても、とりあえずは、いまの一件が解決した後、一郎たちがここで暮らすことをシルキーに認めさせることだ。
それをやろうと思った。
拷問を受けているはずのエリカやコゼには悪いが、それほど時間のかかることをやろうとしているわけではない。
いまのうちに、ここを入手するための処置をしておくのは、決して無駄な時間潰しではないはずだ……。
「なあ、シルキー……。もしも、俺がマーリンの浄化に成功すれば、この屋敷の持ち主はいなくなる。そうしたら、俺を主人と認めて、俺たちがここに住むことを許すか? そうであれば、お前の希望のとおり、マーリンの浄化に俺は全力を尽くす」
一郎は言ってみた。
「あなた様が……でございますか……? まあ、屋敷妖精は、屋敷に縛られるものですから、あなた様がわたくしめを支配してくだされば、もちろん、それは構いません……」
シルキーは小首を傾げながら一郎をじっと見た。
だが、しばらくして首を横に振った。
「申し訳ありませんが、どうやら、あなた様には、わたくしめを繋ぎとめる魔道力が備わっていらっしゃらないようです。わたくしめの魂を繋ぎとめるだけの支配力がなければ、屋敷妖精をしもべにはできません。わたくしめは、あなたをこの屋敷の主人と受け入れることができません。申し訳ないことです。これはわたくしめのせいではないのです。わたくしめのような屋敷妖精の全員に存在する本能でありまして……」
「シルキー、俺の性器を舐めろ」
一郎はシルキーの言葉を遮って怒鳴った。
「へっ?」
シルキーが意表を突かれたように目を丸くした。
「俺たちはこの屋敷に不本意にも捕らわれて、命の危機に瀕している。そして、お前の願いに従って、俺はマーリンという怖ろしい魔道使いの女ゴーストを浄化する仕事をやろうとしている。つまりは、俺は冒険者であり、冒険者には仕事に対する報酬がなければならないということだ。このクエストの要求はなんだ?」
「報酬……でございますか?」
「そうだ。報酬だ。これは、お前がいま言った“本能”と同じようなものだ。報酬がなければ、冒険者は力を発揮することはないのだ。屋敷妖精であるお前が、魔道遣いによる魔道の縛りがなければ、屋敷妖精として存在できないのと同じだ。お前は、冒険者である俺に望みの仕事をさせるために、報酬を払わなければならない」
「そ、そういうものなのですか……? まあ、わかるような気もします。でも、その報酬が、わたくしめがあなたの性器をお舐めするということなのですか? そんなことでよろしいので?」
「よろしいのさ。さあ、舐めてくれ」
一郎は一物をズボンから取り出して、にやりと笑った。
精に備わる淫魔術で、この屋敷妖精を取り込んでやろうと思っていた。
「承知しました。わたくしめでいいのであれば……」
シルキーの姿は人間族の十歳くらいの童女と同じだが、そのシルキーが一郎の前に跪いて小さな口を開いた。
屋敷妖精の貞操観念や道徳心は、人間族社会とは異なるのだろう。
シルキーには、特に躊躇った様子もない。
手慣れた感じで一郎の性器を片手で優しく掴むと、もう片方の手を一郎の腰に回して、自分の身体を支える体勢になった。
シルキーの舌が亀頭の皮を押しあげ、亀頭全体を剥き出しにする。そして、まずは、その先端にキスをした。
「それは、ピエールというこの屋敷の主人だった男に教えられたのか?」
一郎は訊ねてみた。
「そうです。マーリン様と一緒にいろいろなことを学びました。愉しい思い出です……」
そして、シルキーが小さな口いっぱいに一郎の性器を包んで擦り始める。
その口調や表情からは、屋敷妖精のシルキーの感情は読めない。
だが、シルキーが単なる屋敷妖精と主人という関係以上の感情をマーリンたちに抱いているのは事実だろう。
本格的な口による愛撫が始まった。
なかなかのテクニックだ。
快感が拡がっていく。
半勃ちだった一郎の性器はすぐに最大限に膨れあがった。
だが、シルキーには戸惑った様子はない。
さらに強く、あるいは、弱く、一郎の性器を巧みに舌で刺激してくる。
一郎は魔眼でシルキーを観察した。
残念ながら、魔眼ではシルキーの性的興奮は感じない。
あるいは、このような口吻はシルキーにとっては作業のようなものであり、性的行為とはかけ離れたものなのかもしれない。
一郎はしばらくシルキーの素晴らしい舌技を味わってから、おもむろに、シルキーの口の中に精を放った。
「んっ、んんっ」
シルキーが苦しそうな鼻息をしたのは、ほんの少しだけだ。
次の瞬間には、当然のように、口に放出された一郎の精を喉の奥に流し込み出した。
シルキーが一郎の精を飲み込んでいくにつれ、一郎は、だんだんと呪術の支配がシルキーの心の糸に触れるのを感じることができた。
そして、ついにしっかりと心の根元に届く。
そのまま、触れた糸をぐっと掴んだ。
「んんっ?」
そのとき、シルキーの身体が初めて震えた。
そして、ぱっと口を離した。
次には、慌てたように口に指を入れて、喉の奥に突っ込むような仕草をした。
「吐き出すな──。毒じゃない。受け入れろ。俺を受け入れるんだ──。マーリンのことは支配から外さなくていい。マーリンが存在する限りにおいては、お前はマーリンに仕えるしもべだ。ただし、マーリンが浄化されていなくなれば、俺に従え」
「は、はい。従います」
マーリンによる支配を外さなくていいと告げた瞬間に、シルキーの心から抵抗のようなものが消滅した。
やはり、シルキーにとっては、マーリンやピエールとの関係は、屋敷妖精と主人という関係以上のものなのだろう。
「そ、それにしても、あなた様は何者……? な、なにで、わたくしめを支配なさったのです? わたくしめは、こんなに強い支配を受けたのは初めてです……。でも、あなた様は、魔道を遣うための魔力はお持ちじゃない……。それは確かなのに……」
シルキーは戸惑った声をあげている。
また、一郎の支配が浸透したことで、シルキーの身体に変化が起きた。全身に赤いもやが浮かび上がったのだ。
「まあ、それは事が終わったら、ゆっくりと教えるさ。まずは、例の霊廟というところに行ってみよう……。だが、その前に……」
一郎は好奇心を抑えられなかった。
「……お前はピエールという男から、快感の極みを受けたことがあるか?」
そう訊ねてみた。
「快感の極みですか……? 残念ながらわたくしめのような屋敷妖精は、そのような悦楽を得ることはできないようなのです。旦那様のピエール様は、それについては、とても残念がっておいででした……」
シルキーは消沈した様子で言った。
一郎はなんとなく、そうではないかと思ったのだ。
シルキーの表情は、快楽を得ることのできない自分の身体が残念だというよりは、主人夫婦の期待に応えられなかったことが無念だったという感じだ。
だが、おそらく、いまのシルキーは、普通の人間族の女のように快楽を得ることができるようになったのではないだろうか。一郎の支配に落ちたことで、淫魔術によって、肉体に変化が起きたのだと思う。
その証拠に一郎に見えるシルキーのステータスに変化が起きている。
“シルキー
屋敷妖精、雌
年齢:**
屋敷妖精(レベル20)
経験人数:男1、女1
淫乱レベル:A
快感値:100(通常)
支配者
マーリン(ゴースト)
ロウ”
ステータスの変化や、シルキーの身体にあの赤いもやを感じることができるようになったことを考えると、一郎の呪術をシルキーが受け入れたことで、シルキーが快感を得ることができる身体になったと考えるのが妥当だろう。
「だったら、俺が経験させてやろうか?」
「えっ? そ、そんなことができるのですか?」
シルキーは驚いている。
一郎はシルキーの前に屈みこんだ。
シルキーが身に着けているのは、白いフリルのついた紺色のワンピースだ。それに真っ白い前掛けをしている。いわゆる、メイド服だ。
一郎は、シルキーのスカートの裾の下からシルキーの股間に手を入れた。そこには、下着のようなものはなかった。
触れた感じにおいて、シルキーの股間は人間のそれと同じような感じのようだ。恥毛のようなものはない。
淫魔術で感じる桃色のもやの地図に従って、シルキーの股間に指を這わせた。そして、肉芽に当たる位置を探して、くるくると指で擦る。
童女のそれのように、まだまったく発達はしていないが、確かに、そこに官能の源が隠されている。
「はうっ。な、なんですか、これ……。ふわあっ──」
シルキーがびくりと震えた。
一郎はその一点をしばらく動かしてから、すっと亀裂に添ってするりと指を滑らせた。
「あっ、あっ、ああっ」
シルキーの身体が小刻みに震え出した。
しかも、すぐに、たっぷりと濡れてきた……。
一郎は指を穴に送ってみた。
小さくて狭い。だが、柔らかい……。柔軟性もある。
一度ならず、何度もここに性器や淫具を挿入したことがある感じだ。
「うんんっ──」
シルキーが電撃にでも打たれたように、ぶるりと震えた。そして、支えになるものを求めるように、両手で一郎の肩をぐっと掴む。
「主人夫婦にここを犯されたことはあるな、シルキー?」
一郎は指をシルキーの膣の中に感じる真っ赤なもやの部分に移動させ、そこを強く擦った。
「はあ、はあ、な、なにが起こっているのですか……? ピ、ピエール様やマーリン様が、あんなにいじってくださったのに、わたくしめの身体はなんの反応を示さなかったのに……」
シルキーが荒い息をしながら言った。
「つまりは、ここを犯されたことはあるんだな?」
一郎は指で肉芽と膣の一部を交互に擦っている。いずれも、いまのシルキーの身体の中では一番真っ赤なもやが浮かんでいる部分だ。
「は、はい……。お、おふたりは、こ、ここを犯されました。潤滑油をつ、使って……。わ、わたくしめを家族になさりたいと……。はあ、はうっ……おかしいです……。熱い……。とても、熱い……。熱くて……ああっ」
「熱くて、どうした? 気持ち悪いか……?」
一郎は指を動かしながら、意地悪く言った。
赤いもやは、いまや股間全体に拡がっている。
それだけでなく、胸や耳、足も、首も……。ほかにも普通に人間族なら当たり前の場所に、次々に性感帯の印である赤と桃のもやが浮びあがってくる。
やはり、一郎の手により、この屋敷妖精の肉体が、性行為を受け入れることができるものに変化していっているのだ。
「い、いえ……。き、気持ちいいです……。ああっ、こ、これがピエール様やマーリン様がおっしゃっておられた……快楽の極みと……いうものなのですか……? はあ、はあ、はあ……あうっ──ううっ」
「快楽の極みは、この先にある……。これは、快楽の極みに通じる性の快感だ」
一郎は指をシルキーの膣の中で動かし続けている。
シルキーの股間からはとめどのない汁が溢れていた。
その感受性の豊かさは驚くほどだ。
すでに股間はびっしょりだ。
それにしても、屋敷妖精という人間族とも亜人族とも異なる存在だが、見た目も、身体の作りも、人間の童女とまったく変わらない。しかも、顔は可愛らしい十歳くらいの少女そのものだ。
こうしていると、まるでメイド姿の十歳の童女を犯している気分だ。
興奮しないといえば、嘘になる。
我ながら、変態だと思いながらも、一郎もまた、官能に喘ぐ幼そうなシルキーの顔を見ていると、むらむらと欲情が昂ぶってくる。
“シルキー
……
淫乱レベル:A
快感値:25↓”
一郎はステータスをもう一度確認した。
すでに、挿入可能の目安である“30”を下回った。
「シルキー……ここを性器で犯していいか……? つまりは、これも報酬だ」
一郎は、もう自分の欲情を我慢できずに言った。
もっとも、我慢する気もなかったが……。
「ど、どうぞ……。わ、わたくしめでよければ……。はううっ……はああ……ああっ」
いまや指を動かすたびにシルキーは激しく身体を悶えさせる。
一郎はすぐそばにあった庭のベンチにシルキーを連れていった。
そこに一郎が腰かけ、シルキーを向かい合うように一郎の腰の上に座らせた。そして、ズボンから引き出した怒張の上に座らせるようにシルキーの股間を導く。
「おおおっ」
シルキーが大きくのけ反った。一郎はしっかりとシルキーの身体を支えた。
一郎の一物がずぶずぶとシルキーの股間に埋まっていく。
シルキーは、ちゃんと大人の男を受け入れることのできる身体だ。
一郎はシルキーの腰を下から抱えて、上下運動させることにより律動を開始した。
「はう、はあっ、ああ、ほっ、す、すごい……で、です……。な、なにかが、あ、あがってきます……。ひっ、ひいっ……」
一郎はメイド服のスカートに包まれているシルキーの股を犯し続けた。
しかも、亀頭の先はシルキーの膣の中の赤いもやをしっかりと擦るように角度を選んでいる。
シルキーの反応が激しいものになった。
「んふううう──」
やがて、シルキーは大きく背中を反り返らせて声をあげた。
達したようだ。
「出すぞ。股で受け入れるんだ」
一郎は声をあげた。
そして、シルキーの小さな身体をぐいと自分の股に引き寄せて、怒張が奥にぐいと食い込むようにしてから精を放った。
「んふうっ──。き、気持ちいいです……。だ、旦那様──」
シルキーが感極まったように叫んだ。
一郎が射精を続けるあいだ、シルキーはか細くて甲高い声を出し続けた。
一郎は精を放ち終わった。
すると、挿入されたままのシルキーが、がっくりと一郎の身体にもたれかかった。
しばらく、そうさせてやったが、少ししてから、一郎はシルキーの身体を起こした。
こんなことをゆっくりとしている場合ではないことを思い出した。
今頃は、エリカもコゼも少しつらい目に遭っているに違いないのだ。
一郎が身体を動かすと、シルキーもまた、動き出す。
「あんっ」
シルキーは一郎の一物を膣から抜くとき、可愛い悲鳴をあげた。
一郎の座る長椅子の前に一度立ちあがったシルキーだったが、すぐにその場にしゃがみ込んでしまった。
「こ、これがマーリン様が感じておられた快感の極みなのですね……。わ、わたくしめにも、それを受けることが可能だとは思いませんでした……。ありがとうございます、旦那様」
シルキーがまだ荒い息をしながら言った。
一郎は性器をズボンにしまうと、シルキーの身体を抱えて、長椅子に座り直させてやった。
「どうした? 腰が抜けたか?」
「は、はい……。そんな感じです……。とても、気持ちがよくて……。そ、それに、まだ力が入らなくて……」
シルキーはあっけらかんと言った。
一郎は微笑んだ。
「そこで待っていろ。行ってくる」
一郎は、シルキーを置いて、ひとりで歩き出した。
*
「くふっ、くうっ、ふうっ」
エリカは素っ裸で、魔道で動く床の上をひたすらに走らされていた。
両手は背中側で水平に曲げさせられていて、それが外れないようにしっかりと革帯が巻きつけられている。
さらに、口には小さな穴の開いた丸い嵌口具を咥えさせられていた。
いずれも、この地下の部屋にあらかじめ置いてあったものであり、あの女ゴーストの魔道で強引に装着させられたものだ。
下半身の服は最初から身に着けていなかったが、上半身の衣類は自分で脱いだ。
ゴーストに自ら脱ぐように命令されたからだ。
逆らうことは不可能だった。
反抗するどころか、すこしでも拒否するような表情をすると、容赦なく魔道による「苦痛」を与えられた。
本当に凄まじい苦痛だった。
電撃や鞭のような激痛とも違う。
苦痛は「苦痛」そのものなのだ。
身体の内側から発生するものであり、耐えることも、慣れることも不可能な感じだった。
それをあのゴーストは容赦なく笑いながら繰り返すのだ。
そして、素裸で拘束状態になったエリカをこうやって動く床の上に乗せた。
床には白い枠線が四角で描かれていて、その枠線を少しでも足がはみ出すと、あの「苦痛」が襲ってくるという仕掛けだ。
だが、床は動き続ける。
だから、枠線内に居続けるためには、懸命に走り続けなければならない。
それをかなりの時間続けている。
もう、エリカは限界だった。
一体全体、これはどういう状況なのだろう。
まるで状況が読み込めないが、ここにゴーストに連れ込まれる直前に、一郎がエリカのことを抱きながら、しばらく耐えろと耳打ちした。
それだけが、エリカの心を繋ぎとめている。
とにかく、一郎を信じて、エリカは強要される激しい運動を続けた。
「ほほほ、まるで犬ね。涎を流して、はあはあとみっともなく走る姿はまさに犬よねえ……」
宙に浮かんでいる女ゴーストが意地悪く笑った。
エリカは懸命に駆けながら、口惜しさに歯噛みした。
だが、出るのは嵌口具の穴から涎とともに洩れるヒューヒューという音だけだ。
それにしても、このゴーストはなんなのだろう……?
この屋敷にやってきたときに、あの淫靡な絵に描かれていた女なのは間違いないと思うが、不意に出現して強力な魔道の拘束を受けてからの記憶はほとんどない。
辛うじて記憶に留まっているのは、拘束されて宙に浮きあがった後、おかしな煙を下から吹き上げられ、それを吸い込んだ途端にわけがわからなくなったことだ。
そして、気がついたら、ロウがエリカを抱いてくれていて、意識を取り戻した。
だが、すぐにここに連れてこられて、この屈辱的な拷問だ。
「エルフ女、もっと速度をあげてあげるわ。力を入れて走りなさい」
ゴーストが愉しそうに笑った。
その瞬間、床の動きが一段階あがった。
「はあ、はあ、はあ、はあ……」
エリカは涎が迸るのも構わず、懸命に脚を前に出し続けた。
体力には自信はある方だが、このゴーストが操る床は意地が悪いくらいの速度で動き続ける。
いまや、エリカはほとんど全力疾走に近い。
しかも、後ろ手に拘束されて、まったく腕を使えないのだ。
それだとバランスを取り続けるだけで大変なのだ。
「ひゅー、ひー、ほおっ──」
一方で、少し離れた場所からは、コゼの苦しそうな声も聞こえ続けている。
動く床を走らされているエリカに対して、コゼは床に描かれた八個の円の上を次々に飛び跳ねて動くという運動をさせられている。
八個のうち光る円はひとつだけであり、コゼが光る円の上に両足を載せると、すぐにほかの円が点滅し始める。
点滅の時間は数瞬だけであり、そのあいだに移動しないと、やはり、エリカと同じように、あの「苦痛」が襲いかかるというわけだ。
光の移動は速く、コゼも汗びっしょりだ。
また、コゼもエリカ同様に穴の開いた嵌口具を嵌められている。
しかも、コゼはそれを張形を股間に喰い込まされた貞操帯を装着されてやらされているのだ。
「んっがあああっ──」
コゼがひっくり返る音がして、大きな悲鳴が聞こえた。
光の穴を踏み外してしまったのだろう。
苦しそうな絶叫は、あの「苦痛」が襲いかかったために違いない。
「うぐううっ──」
エリカは言葉にならない声でコゼに呼びかけた。
「ほら、転がっていても苦しみは続くだけよ。立って光を追いかけなさい、お前」
女ゴーストの残酷な声が響く。
そのあいだも、コゼの苦しそうな声は続いている。
「ぐうっ」
エリカもまた声をあげた。
あまりの全力疾走の継続に限界がきたのだ。
苦しさで速度ががくんと落ちたのがわかった。
次の瞬間、衝撃が全身に走った。
エリカの足は白枠の後ろにはみ出してしまった。
「あがああ──」
その瞬間、女ゴーストの笑い声とともに、あのものすごい苦痛がエリカに襲いかかってきた。
*
一郎は中庭をひとりで進んだ。
霊廟はすぐに見つかり、中庭の隅にあった。
一郎は霊廟の扉に鍵を差し入れた。
鍵は屋敷の中のピエールの部屋だった書斎にあり、それはシルキーが取り出してくれていて、一郎はすでにそれを受け取っていた。
開いた。
やはり、霊廟に見えるのは、外観だけのことだった。
内部はびっしりと棚が作ってあって、夥しい性具が所狭しと整然に並べられている。
「よくもまあ、これだけ集めたものだ」
一郎は独り言を呟いた。
中の広さは畳み二枚分というところだろう。
だが、責め具の小道具がそこにびっしりと並んでいる。棚にも壁にもだ。一郎は感心してしまった。
さて、マーリンを落とすには、この中から、どの淫具を選べばいいだろう……?
そのとき、なにかの気配を霊廟の中に感じた。
一郎ははっとして、そっちを振り返った。
「……数十年間、待ち続けた。時間も忘れ果てるほどに……。やっと、この霊廟を開いてくれる者が現れた……」
そこにいたのは、ゴーストだ。
一郎はびっくりした。
そして、それが、誰のゴーストなのか、一郎にはすぐにわかった。
「あ、あなたは、ピエール……さん」
一郎は言った。
ゴーストの顔は、屋敷のロビーにあった絵にあった男の顔そのものだ。一郎にも少し似ていたが、一郎よりもやや歳を取っている。
「その通り、ピエールだ。事故で死んで魂だけになった私だが、なんとかマーリンのところに戻ろうとしてきた。そして、この霊廟までは魂を移動して来れたのだが、これ以上は進めなかった……。だが、屋敷で起こっていることは、ここで見守ることはできた……。しかし、私の魂はこの霊廟に縛りつけられ、どうしても、ここから出ることはかなわなかったのだ。それよりも、ロウ殿……」
ピエールのゴーストが一郎を見た。
「お、俺の名を?」
「知っている。この屋敷で起きていることはすべてを感じることができるのだ……。さっきの悪戯も知っておるぞ。シルキーは感激していたようだな。私にはできなかったが、シルキーを女にしてくれたようだ」
ピエールが悪戯っぽく笑った。
この屋敷に仕える屋敷妖精のシルキーを勝手に犯したことがばれているとわかり、一郎は少しばつが悪くなった。
「いや、よいのだ……。シルキーは子供のいなかった私たち夫婦の子供のような存在であり、また、共通の恋人でもあった。大切にしてやってくれ。この屋敷とともにな」
「えっ?」
一郎はピエールの言葉に、思わず声をあげた。
「それよりも、行こう。私をマーリンのところに連れて行ってくれ。エリカとコゼへの拷問がそろそろエスカレートしそうな気配だ……。さあ、その張形を持っていけ。それですべては終わる……。マーリンを救えるのは私だけなのだ……」
ピエールが言った。
そして、ひとつの棚を示し、さらに、そこに並んでいた二十個ほどの張形から、もっとも男性器にそっくりな肌色の張形を指差した。