【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】 作:ドン・ドナシアン
一郎は、失神しているジャスランを目覚めさせる前に、ジャスランに嵌めているボールギャグを取り外して、別の開口具を装着させた。
とりあえず、普通に喋れるが、横の留め具を操作すると、口を大きく開いたまま固定されて、口が閉じられなくなるという器具だ。
それをジャスランの顎部分に嵌めて、顔の後ろに固定してしまう。
「コゼ、吊り上げてくれ。質問タイムだ」
「たいむ?」
すると、ガドニエルが首を傾げた。
一郎の話す言葉は、この世界にやって来たときの影響なのか、自動的に頭の中で翻訳されて、口から出てくるのだが、時々、翻訳されずにそのままの音で出ることがある。
“タイム”という言葉は、きちんと訳されなかったみたいだ。
「質問を始めるということだ。ちょっと、こいつに聞きたいことがあるんだ」
一郎は言った。
「あげますね」
コゼが台に置かれていた操作具を使って、ジャスランの両脚の付け根に繋がったままの鎖を天井方向に引き上げる。
がらがらと音を立てて、四肢のないジャスランの裸体があがっていく。
一郎の施した淫魔術による性感の沸騰と、掻痒剤の大量塗布によって、意識のないジャスランの身体は相変わらずにひくひくと動いて、股間はだらだらと性汁を垂れ流していた。
一郎は今度は、ジャスランの顔が一郎の顔ほどの高さにくるくらいまであげさせた。
「さて、お姫様のお目覚めの時間だ」
一郎はうそぶくと、淫魔術でジャスランを覚醒させる。
びくりと身体が震えたジャスランが目を開く。
「うあ? な、なんだ……? なに?」
すぐには状況がわからないみたいだ。
ぼんやりとした感じで、逆さに身体を吊られたまま首だけを動かしてきょろきょろと周囲を見回している。
だが、一郎の顔を認めた瞬間、びくりと身体を震わせて、顔をひきつらせた。
真名の支配と淫魔術の支配の両方によって、ジャスランには一郎に対する恐怖の感情を植えつけている。
だから、一郎を見た瞬間、恐怖で怯えるような態度をとるのだ。
この女魔族は、極端なくらいに感情的で、ある意味、獣のようなものだ。
恐怖でなければ、誰かに従ったり、屈したりはしない。
いや、屈したとしても、その恐怖が消滅すれば、すぐに本能のまま逆らったり、歯向かったりする。
理性や理屈などない。
一郎としても、別段、この女を完全服従させる気持ちもないし、死ぬ前にエリカたちに心からの謝罪をさせるつもりもない。
ただ、一郎が望むあいだ、一時的でいいので屈服させたいだけだ。
そのためには、徹底的な恐怖を与えるだけで十分である。
「う、くっ、か、痒い。あああ、痒いいい、ひいいいい。痒いいいいい」
そして、ジャスランが暴れ始めた。
意識に次いで、肉体も覚醒したのだろう。
すると、耐えることなど不可能の痒みと疼きが襲い掛かるわけであり、ジャスランはすでに真っ赤だった身体をさらに真っ赤にして、ものすごい勢いで吊るされた身体を前後左右にもがかせだす。
少し鼻声なのは、鼻の穴にも油性の掻痒剤を塗りこめているからであり、ジャスランは奇声をあげて顔も激しく振っている。
「うがああああ、痒いいいいい。謝るうううう。すびませんでしたあああ。殺してえええ。お願いだから、もうころじでええええ」
ジャスランが絶叫した。
随分と安い謝罪だが、いまこの瞬間だけは、本気で謝ってはいると思う。
ただ、苦しさが消滅すれば、いまの気持ちなどなくなるだけだ。
すでに、淫魔術で支配をしている一郎には、この魔族の性根がわかりやすいくらいにわかってしまう。
およそ、一緒になにかをするという関係には向かない相手である。
サキもよくこんなのを部下にしているものだ。
魔眼で見たところ、サキとジャスランには、魔道的な支配関係はないみたいだ。
真名という手段でも、サキについては従属関係はなかった。ジャスランは、サキにさえも真名は隠していたのだと思う。
「謝ってもらう必要はない。お前の余命は三日間だ。そのあいだ、苦しむだけ苦しんでもらう。犯した罰に相応しいようにね。逆らった相手が悪かったと思え」
一郎は、ジャスランの顎に嵌めている開口具を動かして、口を大きく開かせた。
そして、亜空間に準備していた「水鉄砲」を取りだす。
これ自体は、ただの玩具だ。
しかし、こういうものも責め具に使えるのではないかと思って、旅の途中で見つけたときに幾つかまとまって贖ってしまっていた。
なにかに使うのはこれが初めてだ。
「なにするんですか?」
そばにいたコゼが訊ねてきた。
また、性交の後の余韻で気怠そうにソファに座っていた他の女たちも寄ってきた。
どの女も、一郎が与えた“キャミソール”を身につけている。ほかには下着も渡していないし、薄い生地からは彼女たちのきれいな裸身が透けて見えている。また、太腿の付け根近くしかない丈から出ている生脚も色っぽい。
また、手を出したくなってきたが、なんとか自重する。
「水遊びだ。ただ、中に入っているのは、ただの水じゃない。ユイナに調合させた特別な薬液だ」
一郎は寄ってきた女たちに、水鉄砲を見せながら、開いているジャスランの口の中に水鉄砲の先を突っ込む。
「あがががが、はががあああ」
なにをされるのかわからない恐怖でジャスランが顔を暴れさせる。
「大人しくしてなさいよ」
エリカがジャスランの髪の毛に手を伸ばして顔を固定させた。
「まずは、右の奥歯で試すか?」
一郎は水鉄砲に入っている薬液をぴゅっぴゅっと右奥の下の歯の表面にかける。
ユイナに調合させたのは、歯を溶かす強力な薬液であり、あっという間に歯を溶かして神経まで溶かし尽くすというものを頼んで作ってもらった。
試験をするのは今回が初めてだが、まあ、あいつの性格はともかく、彼女のこの手の技術には一目も二目も信頼を置いているつもりだ。
きっと口にした性能の通りの効果があるのだろう。
そのとおり、本当にすぐに薬液をかけた歯が溶け始めた。
歯を痛めつけられる拷問が、この世でもっとも痛い拷問だと耳にしたことがある。
神経が脳に近い分だけ、どんな強者でも耐えらえるものじゃないらしい。
「しばらく、痒みを忘れられるぞ」
一郎はエリカに合図して顔の固定を外させる。
口からも水鉄砲を抜く。
「あがあああああ、がああああああ、はがあああああ」
ものすごい形相でジャスランが暴れ出す。
さっきまでもすごかったが、いまはもっとすごい。
ぶらさげている二本の鎖を引き千切らんばかりの勢いだ。
「これは、さすがに……えげつないですねえ……」
エリカも顔をしかめている。
「まあ、いい仕打ちだろう」
すると、その横にいたシャングリアがまだまだ腹を立てたような様子で言った。
一郎の淫魔術で四肢も復活して、すらりとした彼女の肉体も元通りだ。
薄物一枚の彼女の裸体は、相変わらず美しくて、姿も凛としている。
しかし、さっきの四肢のない姿も弱っぽくて、官能を刺激した。
また、遊ぶとしよう。
「があああああ、うぎゃああああ」
ジャスランがぼろぼろと涙をこぼしながら暴れ続ける。
開口している口の中を覗き込むと、薬液をかけた二本の歯はすでになくなり、いまは歯茎の下の神経を溶かす段階に入っているみたいだ。
さすがはユイナだと思った。
一郎が求めた通りの効果のものを作ってくれている。
歯が溶けきる時間も、こんなものだろう。
一郎は、歯が溶けきって、ちょっと暴れ方が小さくなったところで、開口具を操作して、再び喋れるようにした。
「ゆ、許して……。ゆるじて……。もう殺して……。ごめんなさい……。あやばります……。ころじてください……」
ジャスランが涙と鼻水と涎にまみれたすごい顔で言った。
「謝罪なんか、どうでもいい。お前に聞きたいことはひとつだ。サキと連絡する方法を言え。俺をここで見つけたら、王都にいるサキに連絡をすることになっていたはずだ。その方法を口にしろ」
一郎は言った。
すると、ジャスランが呆けた顔になった。
「サ、サキ様と連絡してどうするのよ……?」
ジャスランが言った。
一郎は手を伸ばして、開口具を操作して口を開かせる。
「うがあっ、言う、言うううう──。あがあああああ」
ジャスランが必死の様子で叫んだが、口が大きく開いて、言葉を紡げなくなる。
「今度は前歯にしようか。四番目の刑は、傭兵たちに引き渡してひと晩輪姦させる予定だしな。噛み切る歯がなければ、連中も口を使うだろう。なにせ、まだ傭兵は百人は残っている。順番にやっても、後ろの穴だけじゃあ、朝までに十分にいきわたらないかもしれないしね」
一郎はジャスランの前側の上下の歯の三本ずつ、あわせて六本の歯に薬液をかける。
歯が溶けていき、ジャスランの口の中から歯が消えていく。
「ふぎゃあああああ、あぎゃあああああ」
再びジャスランが号泣しながら暴れ出す。
しかも、逆さ吊りにしている股間からぴゅっと放尿が迸りだした。
「ガド、こういうことが苦手なら、目を背けていろ……。いや、こっち来い」
ほかの女たちは、なんだかんだと女戦士でもあるので、ある程度強靭な心を持っている。
あまり気持ちはよくはないだろうが、まあ、一郎のすることを平静に見守っている。
ただ、ガドニエルについては、拷問を目の当たりにするのは初めてなのだろう。
さっきの掻痒剤責めは、プレイの続きのようなものなので平然としていたが、完全な拷問になったいまでは、ちょっと顔を蒼くして、身体を震わせていた。
一郎はそれに気がついて、ガドニエルを呼び寄せた。
「は、はい……」
一郎に呼ばれて嬉しそうな顔をしたガドニエルを一郎の胸に顔を付けるようにして抱きつかせる。
「見るな。こうしてろ……」
片手でガドニエルを抱きしめながら言う。
「あっ、はいっ、ご主人様」
ガドニエルが心の底からの安堵感のこもった声で元気よく言った。
こうなると、ガドニエルはもう一郎のことしか考えなくなる。
淫魔術で覗いても、さっきまであった不安や恐れのようなものは、ガドニエルの心から消滅していた。
「あら、いいわね、役得」
「ほんと」
コゼとエリカが微笑ましそうに笑った。
「マーズ、お前も抱きしめてやろうか?」
一郎はガドニエルの次に怯えた感じのあるマーズに声をかけた。
女闘士で殺し合いにも慣れているはずだが、こういう拷問には耐性がないのかもしれない。
それにまだ十六歳だ。
彼女の心にも脅えがある。
「い、いえ……。せ、先生の抱っこは好きですけど、いまは大丈夫です」
しかし、気丈に彼女は首を横に振った。
一郎は頷いた。
それにしても、それに比べれば、うちの三人娘は心がしっかりしている。惨い拷問の前でも、心を動かさない。
淫魔術で覗いても、ジャスランに対するはっきりとした怒りが持続されたままだ。
「があああああ、ぐがあああああ」
ジャスランが号泣を続ける。
すでに前歯の六本はなくなった。
一郎は開口部を再び解いて、会話ができるようにする。
「お前に質問をする権利なんてない。ただ、訊かれたことに答えるだけだ。まだまだ歯はたくさんあるからな。歯が残っているうちに素直になるといいな」
「……い、言います……。な、なんでも……。喋る……。喋る……」
ジャスランがぶるぶると震えながら言った。
一郎は溜め息をついた。
「余計なことを喋るなと言っただろう。それとも、もう二、三本歯を溶かせば、俺の質問を思い出すか?」
手をジャスランの顎の開口具の操作具に伸ばす。
ジャスランの顔を引きつるのがわかった。
「ラ、ラポルタから連絡が来る──。彼女にロウ……あなたが現われたら報告するうう──」
ジャスランが絶叫した。
「ラポルタ?」
一郎は首を傾げた。
ラポルタというのは、確か王都に現れたという女伯爵のことのはずだ。
しかし、重ねて訊ねたら、どうも別人らしい。
ラポルタというのは、サキの眷属の筆頭のような女魔族のことであり、たまたま名が一緒というよりは、本当の名を使うのを嫌って、その都度、別の呼び名を周りに使ってもらうようだ。
今回は、サキが呼び出したとき、その女伯爵と同じ姓で名乗ったみたいだ。
だから、サキもそう呼んでいるし、ジャスランもそう呼んでいるみたいだ。
魔族は真名を知られると操られるので、どんなに親しくても真名を名乗らないのは普通のようだが、普通の呼び名まで隠すのは耳にしない。
まあ、一郎も魔族に詳しいわけではないが、随分と用心深い女なのだろう。
「まあいい。じゃあ、そのラポルタでいい。呼び出す方法を言え。サキと話がある」
とにかく、王宮に閉じこもっているというサキに話をしないと始まらない。
スクルドの話によれば、そもそも、サキがピカロとチャルタを使って、王都の軍と辺境候の軍を支配して、一郎を旗頭にして内戦を起こそうとしているということだった。
そのサキを説得という名の叱責をすれば、この騒動の大半は片付く。
だが、そのサキと連絡がとれない。
そもそも、ガドニエルやラザニエルの支配する水晶宮は、各王国の王宮とは即時の連絡ができる魔道の通信具で結ばれているらしい。
だから、一郎の英雄認定の映像が魔道通信で大陸中に流れたとき、サキ側から接触があるかと期待したが、まったくなかったのだ。
どうして、連絡がないのかわからないが、サキは一郎の身柄を確保して、内乱とやらの旗頭にしたいはずである。
一郎の居場所がわかったのだから、すぐ連絡を取ってきそうなものだと思った。
しかし、ない──。
それどころか、こっちから連絡をしようとしても、ハロンドールの王宮側は向こうに人がいないかのように反応もない。
スクルドに言わせれば、ミランダたちと仲違いしているサキは、宮殿を閉鎖して、そこに閉じこもっているというが、一郎にまで接触を遮断するのは、サキの性質から少し奇妙なことのように思っていた。
まあ、強引にここでジャスランに一郎を誘拐させて、一郎の意思に関係なく、辺境候軍に連れていこうと思っていて、それで向こうからは連絡しないのかもしれないが、だったら、ここで連絡が取ればいいと考えていたのだ。
また、ミランダたちとも連絡の方法はない。
そっちについては、ミランダが冒険者ギルドを追い出されて、文字通りに地下に隠れていることは知っているので、その手段がないことは承知している。
そういう意味では、ノールの離宮にいるイザベラたちとの連絡手段がないのは同じだ。
向こうとすぐに魔道通信で接触できる可能性があるのは、王宮にいるサキだけなのだ。
「ラ、ラポルタにはこっちからは連絡できない……。て、定期連絡のときに、変化があれば教えることになっていて……。で、でも次の連絡がいつなのかも、不明で……」
ジャスランが涙を流しながら言った。
歯を溶かす痛みの名残りが小さくなると、痒みがぶり返すのか、身体を悶えさせだす。
忙しいことだ。
それはともかく、一郎の身柄の確保など、サキの立場からすれば、なによりも重要な情報のはずだ。
それを報告することになってないなど、あり得るものか……。
一郎は開口具の操作具に手を伸ばす。
「本当よおおお──。こっちからは連絡がとれないのおおお──。向こうから──。向こうから、連絡ための鳥が飛んでくるうう。それしか連絡とれないのおおお──。ラポルタからは絶対にこっちから連絡するなと言われていてええええ」
一郎が操作具に手をかけたところで、ジャスランが泣きながら言った。
「どう思う? 変だと思わないか? なんで、サキたちとこいつが連絡とれないようになってんだ? ジャスラン側からの自由な報告を嫌う理由があるのか?」
一郎はエリカたちを見た。
こういう手合いの話については、エリカたちもあまり役に立たないことはわかっている。
しかし、一郎の腕の中で何も考えずに一郎に甘えているガドニエルは、おそらく話も聞いてないだろう。
本来は、女王であるガドニエルの方がなにかの意見を持っていてもいいのだが……。
それはともかく、一郎の言葉でやっと、一郎の疑念を共感してくれだしたのか、四人が首を傾げだす。
「でも、嘘を言っているようには……」
「そうですねえ……」
エリカが応じ、次いでマーズが頷いた。
シャングリアとコゼは、首を傾げたままでなにも言わない。
まあいいか……。
アルオウィンやイライジャにも意見を聞こう。
「とりあえず、もう二本か三本、歯を溶かすか。なにか思い出すかもしれないしね」
一郎は操作具を動かして、ジャスランの口を開けさせる。
淫魔術で覗いても、ジャスランが嘘を言っている感情は発見できない。
しかし、念のためだ。
「信じてえええ──。ほんどうよおおおお、あがあががが、がああああああ」
ジャスランが涙を流しながら再び吠えた。
*
【作者注】
サキの眷属の“ラポルタ”について
・初出(名前のみ)(321)
・ラポルタによるチャルタたちへの指示シーン(334)
・公爵家への襲撃の実働指揮(390)
・サキのよるラポルタの評価(399)
・サキが奴隷宮に集めた令嬢管理などの関与(402)
……などのシーン(他にもあります。)に登場している妖魔です。括弧内の数字は話数