【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】 作:ドン・ドナシアン
アルオウィンは、ロウに横抱きにされたまま夜のしじまを移動して、ロウの天幕としてあてがわれているらしい天幕にやってきた。
さっきまでみんなでいた天幕と同じくらいに広く、また、アルオウィンたちが使っていた簡易寝台ではなく、普通の大きな寝台があってソファがあった。
だが、それ以外にはあまりものは置かれておらず、中央部分は広くなっている。
しかし、ふと見ると、地面には杭が何本か打たれたり、あるいは天井部分に鎖を引っ張る器械が設置されたりしている。
よく見れば、人の体液の痕のようなものが地面にたくさん拡がっている。
「ここで、ジャスランを拷問していた。もしかして、ここで愛し合うのは気持ちが悪い?」
アルオウィンの視線を誤解したのだろう。
ロウが心配そうに言った。
アルオウィンは慌てて首を横に振った。
「い、いいえ、まさか……。それよりも、わたし、重くないですか」
ロウはアルオウィンをここまで横抱きのまま連れてきたのだ。
こういう風に女扱いされることなど、滅多に……いや、一度もなかったアルオウィンは、どう振る舞っていいかわからず、どぎまぎしている。
「これも成長だと思う。最初にこの世界にやって来たときには、とてもとても、人を抱きあげるなんてできなかったし、そもそもナタルの森の道を歩くのも必死だった。あの頃に比べれば、身体も強くなったし、よく動ける。自分の成長を感じるね。アルオウィンなんて、軽い軽い」
ロウが屈託のない笑みを浮かべる。
アルオウィンは思わずもらい笑みを浮かべてしまった。
不思議な人だと思う。
ちっとも威張ったところがなく、自分は女に守られているだけの能力なしだというのが口癖の彼だが、どうみても、彼に関係する女側の方がロウを頼っている。
エリカ、コゼ、シャングリア、ブルイネン、スクルド……、ほかにもたくさんの一騎当千の女傑たちが、彼に従い、彼の指示を待って行動し、判断を彼に委ねている。
そして、彼は間違いなく、その信頼に値する結果を残している。
彼は紛れもなく、英雄であり、大物だ。
また、多くの女を周りに置いて、のべつ幕なしに違う女を抱き、ブルイネンに手を出し、ガドニエル女王を虜にして、戻ってきた女王の姉、ラザニエルまで愛人にしている。
天性の女たらしというのは、彼のことだろう。
アルオウィンの気性からすれば、彼のような男は嫌悪こそすれ、慕うなどあり得ないはずだ。
しかし、どうしようもなく惹きつけられる。女たちは、誰も彼も彼に引き寄せられる。
それがロウという人物だ。
ブルイネンを仲介に、それこそ土下座するように、アルオウィンも女のひとりに加えてくれと懇願した日のことをアルオウィンはまったく後悔していない。
それどころか、あの決断をした自分を自分で褒めてやりたくらいだ。
聞けば、アルオウィンたちが水晶宮を先行した後、あのケイラ=ハイエルが水晶宮にやって来て、彼女もまた虜にしたのだそうだ。
とても信じられないが、ブルイネンによれば、気難しく、ひと癖もふた癖もある女傑物の彼女が召使いのようにロウにまとわりついて、世話をやこうとしていたという。
複数の男を侍らすことはあっても、男に媚びを売るというのは、あのケイラ=ハイエルには想像できない。
どんな魔道を遣ったのだろうと思う。
隙があるようで、実はケイラ=ハイエルは、自分を操るような魔道にはしっかりと防護していて、国宝級の魔道防護具で身を固めたはずである。
だが、ブルイネンによれば、絶対に彼女の態度は、魔道などの操りによるものではないという。おそらく、心からロウを慕っていることに間違いないと言っていた。
そうだとすれば、やはり、天性の女たらしだろう。
まあ、間違いない。
なにしろ、このアルオウィンがロウの前に出ると、まるで少女のように胸をときめかしてしまうのだから……。
「今回のことはありがとう。誰も死ななかったのは、アルオウィンのおかげだ。こんなことで礼になるとは思えないけど、これくらいしか取り柄がないものでね」
ロウが寝台にアルオウィンを横たえた。
その瞬間、身につけていた貫頭衣が消滅して、アルオウィンは生まれたままの姿になってしまった。下着さえもなくなっている。
相かわらず、凄まじい術を遣う人だ。
収納術は高位魔道師であれば誰でも遣うが、他人の身につけている衣類や装具を収納できる術師は、どんなに世界が広くても彼だけではないのだろうかと思う。
それくらい難しいし、魔道学的には不可能であるはずなのだ。あらかじめ、術紋を刻んでしまっているような衣類をまとっているなら別だが……。
これひとつとっても、ロウがほかに取り柄がないと自嘲するのはあり得ない。
「と、とんでもないです……。よ、よろしくお願いします」
アルオウィンは、本能的に自分の胸を隠すように手で自分の身体を抱くような恰好をしていた。
しかし、すぐに我に返っておかしくなった。
自分が当たり前の女のような反応をしたことが意外だったのだ。
アルオウィンのような諜報の人間にとっては、自分の身体でさえ、任務を達成するための武器だ。自分がエルフ族としても美しい方に入る自分の外面を知っているし、それを十二分に使って、さまざまなことをやってきた。
相手が男であろうと、女であろうと、自由自在に身体を濡れさせることができるし、アルオウィンにとっては、性愛というのは仕事の一部であり、必要であればいくらでも身体を開く。
それに感情はない。
しかし、ロウは、そんなアルオウィンに、忘れてしまった感情を取り戻させてくれる。
ひとりの女に戻してくれるのだ。
それがありがたいし、嬉しい……。
「こちらこそ……」
ロウが服のままアルオウィンに覆いかぶさり、唇を重ねてきた。
「んんっ、あっ、んんああ……」
舌が唾液とともに口の中に入ってきた。
瞬時に、官能という官能が全身から呼び起こされる感じになる。
そして、身体が痺れるように脱力して、狂おしいまでの欲情に見舞われてきた。
やっぱり、すごい……。
性で主導権をとることには、役目上、自信もあるのだが、ロウにかかっては童女も同然だ。
でも、それがいい……。
男に征服され、圧倒される。
そのことをこれ程の歓喜とともに快感を覚える日が来るとは思わなかった。
ガドニエル女王が夢中になるのもわかる気もする。
女王と同じ男を愛するということについては、少しだけ恐縮してしまうところもあるが、もはや、アルオウィンは、ロウなしでは生きれないだろう。
まだまだ、一緒に過ごしたのは短い時間ではあるが、自分がそれだけ彼を不可欠と思い始めているのは自覚している。
「はむっ……んんん……」
しばらくのあいだ、昂ぶった息とともに、ロウの舌をむさぼった。
驚くほどの快感が口の中から身体樹に駆け巡っていく。
たかが、口づけだ。
しかし、いつもそうだが、とんでもない口づけだ。
芳烈な快感のうねりが、女の悦びでアルオウィンを満たしてくれる。
「舌を出すんだ」
ロウが一度わずかに口を離して言った。
「は、はい……」
気がつくと、精一杯に舌を出している自分がいる。
ロウの命令に従うのは、心地よい媚香に身を委ねるような不思議な快感にアルオウィンをいざなってくる。
命令されて嬉しい。
そんな自分が不思議でたまらない。
本当にロウは特別だ……。
「いい子だよ……」
ロウが顔の前で微笑んだ。
アルオウィンは激しく心臓が鼓動するのを感じてしまう。
ロウが舌先でアルオウィンの舌の裏側をするするとなぞりあげてきた。
「はあっ」
それだけで鋭い感覚が身体を駆け抜けていった。
しかも、連続で……。
さらに、アルオウィンの舌全体をロウの舌が舐めまわす。
「口はそのままだ……。舌もね……」
ロウがくすくすと笑って、ちょんと顎を軽く突いたと思った。
次の瞬間、アルオウィンの口は大きく開いたまま閉じれなくなった。舌も動かない。
「んあっ」
困惑する。
だが、顎を持たれたまま、ロウの舌がアルオウィンの舌と口の中を動きまわる。
響き渡る喜悦のあまりもの大きさに、アルオウィンは我を忘れそうになる。
息があがった。
どうしようもなく、なにもされていない股間が疼きまくる。
いや、胸も……。
全身が苦しい……。
気持ちいい……。
口づけだけで達しそうだ……。
これが口づけと呼んでいいすればだが……。
なにしろ、こんなに情熱的で官能的な口づけなどあり得ない。まさにセックスそのものである。
「あっ、ああっ、あああああっ」
アルオウィンは下からロウの身体を抱きしめていた。
まだ、前戯……。
いや、前戯にも入ってないだろう。
なにしろ、ロウは服さえも脱いでないのだ。
しかし、それもいい……。
アルオウィンは、早くもオルガニズムに達しようとしていた。
強烈で暴流するような快美感がロウが触れる口から身体中に流れ込んでいく。
閉じられなくなった口から涎が垂れる。
それをロウが一滴、一滴と舐め取っていく。
ぞくぞくするような愉悦の痺れが走る。
「ふふ、今回の功労者様は、本番よりも、口づけがお好みか?」
だが、絶頂すると思った寸前でロウが小さく笑って口から舌を離れさせる。すると、途端に口が自由になる。
「ああ、ロウ様、待って──」
アルオウィンは、ロウの頭をかき抱くようにして引き戻していた。
今度はアルオウィンの方からロウの唇に吸いつく。
ほとんど無我夢中だった。
アルオウィンは喉の奥で呻きながら、舌と舌を擦りわせてしゃぶりまくる。
「んああっ」
アルオウィンは大きく身体をのけぞらせてしまった。
ロウが片手でアルオウィンの胸を捏ねあげだし、さらに濡れきった股間をくすぐるように指を這わせだしたのである。
電撃のような凄まじい快感がそこから迸る。
しかし、あまりにも強烈すぎる──。
アルオウィンは一気に絶頂に駆けあがった。
「んはああっ」
絡め合っていた舌をしゃぶらせ合いながら、昇天してしまった。
力いっぱいにロウを服越しに抱きしめる。
「ああああ、ああっ」
また、絶頂しながらも、アルオウィンはさらに舌をロウの口の奥に滑り込ませ、胸や股間をロウの手に擦りつけるように裸体をくねらせ続けていた。
やがてゆっくりと興奮が落ち着いてくる。
アルオウィンはやっとロウを抱きしめていた手を離した。
服を着たままだったロウの服はアルオウィンの体液ですっかりと汚れていた。
「す、すみません……。わたしったら、夢中になって……」
慌てて洗浄術でロウの服を綺麗にする。
「いや、脱がなかった俺が悪い」
ロウは笑っている。
そして、服を脱ぐような仕草をした。
しかし、ロウは女の服同様に、一瞬にして収納術で自分の服も亜空間に収容して脱いでしまうはずだ。
アルオウィンははっとした。
「あっ、ま、待って……。脱がないでください」
思わず言った。
しかし、すぐに後悔した。
……というよりも、どうして、脱がないでくれと口走ってしまったのか、自分でもよくわからない。
「えっ? 服を着たままがいいの?」
ロウがきょとんとした顔になる。
アルオウィンは顔を赤らめてしまった。
「わ、わかりません……。で、でも、そうかも……しれません……」
仕方なく言った。
本当にそう思ったのだ。
これまでのロウとの交合については、いつも裸で抱き合っていたと思う。
しかし、ロウはほかの女と抱き合うときには、自分が服を着ていたり、あるいは、女側も服を着ていたりと様々だ。
あんな風に羽目を外した感じで、ロウに扱われたいと思った。
その象徴が服を着たままにロウに犯されることだ。
考えてみれば、アルオウィンは、ロウに愛されるときには、あまり拘束をされないことが多い。
せいぜい、手錠で手首を縛ったりとその程度だ。
しかし、ロウの性癖が女を拘束して抱く嗜虐癖だというのは認識している。
拘束どころか、淫具や掻痒剤で苦しめたり、ときには鞭打ったり、打擲したりという行為を通じて、ロウは興奮をするらしい。
さっきだって、スクルドには懲罰めいたことを口にしていたが、石抱きと蝋燭でいためつけながら、アルオウィンはしっかりと欲情しているスクルドに気がついていたし、ロウもまた股間を固くしていたことを見ていた。
アルオウィンならずとも、ほかの女も気がついてたと思う。
だからこそ、ロウをあんな風に欲情させたスクルドのことが少し羨ましく思ってしまったのを思い出す。
だが、ロウはいまのところ、アルオウィンをあんな風には扱わない。
おそらく、パリスに囚われて手足のない状態にされ、ダルカンに玩具のように扱われたアルオウィンを
しかし、アルオウィンも、ロウに乱暴に扱われたい。
彼に欲情の丈をぶつけて欲しい。
また、それがアルオウィンを興奮させる気がする。
なにしろ、ただ服を着ているロウに抱かれたというだけで、あんなに興奮したのだから……。
「ロウ様……。わたしを苛めて……、もっと苛めてください。縛って……、いためつけて……、侮辱して……。そんな風に扱われたいです」
アルオウィンは言った。
ロウがアルオウィンに気を使って抱いているのだとすれば、それは嫌だ。
まるでまだアルオウィンが“お客さん”のようではないか。
すると、ロウがにっこりと微笑んだ。
だが、その笑みがぞくぞくするほどの圧倒的な迫力があり、なによりもすごみがあった。
アルオウィンは、一瞬だけだが、さっきの自分の言葉を後悔しそうになった。
「なるほど……。お姫様は苛められるのがお好みか?」
そして、ロウがくすくすと笑った。
「えっ、きゃああ」
次の瞬間、アルオウィンは身体をひっくり返され、背中に両腕を回されて縄で腕を束ねて縛られていた。
なにをどうされたのかもわからない。
他人にここまで不覚をとったということもない。
そのまま身体を上体を起こされて、二の腕に縄が回り、乳房の上下に縄が通って、縛られた背中側の腕が胴体に密着された状態になる。
さらに首の横にも縄が通過して乳房に巻いた縄に対して縦に縄が加わる。
ここまであっという間だ。
さすがに、アルオウィンもびっくりした。
「後悔しないことだね……」
ロウが笑いながら、さらに二本の縄を足して、アルオウィンの胴体をひし形に縄で編みあげていく。
そして、股間に縄がかかり、ぐっと絞られた。
「あっ、そこは──」
アルオウィンは思わず、首を横に振った。
気がつかなかったが、股間を通った縄には縄瘤が作ってあり、アルオウィンの敏感な三箇所をしっかりと刺激してきたのである。
「完成だ。動けば動くほど、もがけばもがくほど、縄が締まって股間を刺激する特殊な縄掛けだ。これをされると、どんな縄抜けの上手な女も縄から脱出できない……。まあ、イライジャの受け売りだけどね……」
イライジャ……?
ああ、そういえば、あの色の黒いエルフ族は、実は百合癖があり、とても縄掛けが上手だとエリカがこっそりと教えてくれたことがあったっけ……。
まあ、色々な女傑がロウのところに集まっていることは知っているが……。
「まずは、性奴隷の挨拶だ。舐めろ──」
ロウが寝台の頭側の背もたれに身体を預けて、アルオウィンにどんと足を向けてきた。
服は着ていたが、足だけはすでに素足だったのだ。
アルオウィンはロウの足元に顔を埋めた。
「くっ」
しかし、その瞬間、縄瘤が股間を刺激してきて、アルオウィンはびくりと身体を震わせてしまった。
「ひぎいっ」
だが、いきなり乳首になにかに噛みつかれたような激痛が走った。
アルオウィンは驚いて、身体を跳ねあげた。
「くあっ」
しかし、その激しい動きでまたもや、股間を縄瘤が苛む。
「な、なんですか、これ──。あっ、これは──」
びっくりした。
激痛だと思った両方の乳首には、二匹の蛇の刺青のようなものが浮かびあがって、牙で乳首を噛みついていたのだ。
これは、エリカたちのような昔からのロウの性奴隷たちに、隠し彫りのように刻まれている不思議な紋様だと思った。
図柄は、ロウがハロンドールでもらった「ボルグ家」の紋章であり、それがロウの不思議な術によって、快感を覚えると浮かびあがるだけでなく、刺青の蛇が自由自在に肌の上を泳ぎ、身体を刺激したりするのである。
それがアルオウィンの身体に浮かんでいる。
よく見れば、縄を施された股間にも、その紋章の一部である逆さ塔がある。
「こ、これって……。くわあっ」
股間に痛みが走った。
見ると、蛇の一匹がアルオウィンのクリトリスに噛みついている。
「俺の性奴隷の刻印だ。ようこそ。俺たちファミリーに」
ロウがお道化た感じで言った。
しかし、“ファミリー”という言葉に、アルオウィンは金縛りにあったような感動に包まれてしまった。
認められた。
ロウの女のひとりとして……。
心からの悦びが身体を貫く。
「ああ、ありがとうございます。ご奉仕します」
アルオウィンはロウの足の指に舌を這わせた。
一歩、一本と丁寧にしゃぶって、べとべとに唾液で濡らしていく。
そのあいだも、縄がぎりぎりと股間を刺激し、全身を刺青の蛇が動き回って、アルオウィンを愛撫する。
アルオウィンは喘ぎ声をあげつつ、一心不乱に舌をロウの足の指を舐め続けた。
指と指のあいだにも丁寧に舌を動かし、垢を舐め取っていく。
「俺の足の垢はうまいか?」
ロウが意地悪く訊ねてきた。
美味しいわけがないと思う。
だが、なぜか酔うほどに美味しい……。
しかも、興奮する。
「ああ、お、美味しいです、ご主人様……」
自然にロウのことを“ご主人様”と呼んでしまった。
だが、“ご主人様”と呼びたがるガドニエルの気持ちがわかった気がした。
ロウのことをそう呼んだ途端に、身体が震えるような快感が身体を走ったのだ。
誰かに仕える嬉しさ──。
アルオウィンの主人は、ガドニエルなのだが、彼女にも感じたことのない隷属の悦びをロウに覚える。
「合格だ、お姫様……。次はここだ……。口で出せ、アルオウィン……。命令だ」
ロウが指を指したのは、ズボンに包まれている股間だった。
しかし、その部分は大きく膨らんでいる。
アルオウィンは、知らず口に溜まった唾液を呑み込んでいた。
「はい」
アルオウィンは身体をずらして、ロウの股間に顔を接近させた。
そんなちょっとした仕草でも、縄瘤はアルオウィンの股間を責め悩ませてくる。
「くっ、あっ、そこはだめです。あひいっ」
アルオウィンは身体をのけぞらせた。
いつの間にか足に回っていらしい刺青の蛇が舌でぺろぺろと足の裏を舐め始めたのだ。
「く、くすぐったい──。あんっ、ああっ」
寝具に足の裏を擦りつけるようにしたが、くすっぐたさの感覚には変化はない。“蛇”の舌が足の裏を舐め続ける。
だが、それで動くと、すぐに緊縛の縄瘤がアルオウィンを追い詰める。
アルオウィンはくすぐったさと気もよさの入り混じった刺激に悲鳴をあげた。
「命令に従えないのか?」
ロウが手を伸ばして、アルオウィンの乳首をぎゅっと抓った。
ただ痛いだけはずなのに、アルオウィンが感じたのは狂おしいくらいの痛みの快感だった。
「んくうううっ」
アルオウィンはぶるぶると身体を震わせた。
「俺の女になるということは、痛みも恥辱もすべてを快感に変えてしまう変態になるということだ。後悔してきたか?」
「まさか……」
ロウの揶揄のような言葉に、アルオウィンは必死に気を保って、ロウのズボンに口をつける。
歯と舌でズボンの留め具を外し、口で下着ごと咥えて、足首に向かってさげていく。
ロウがお尻を浮かばせるようにしてくれて、なんとか性器を外にだすことができた。
それを口で頬張る。
すると、口の中で一段と勃起が膨らみを増した。
「んあっ、んん、んんんっ」
自分でも信じられないような甘い声が出る。
気持ちがいい……。
男の性器を舐めることがこんなに興奮するとは知らなかった。
両手の自由を奪われて、口で奉仕する。
信じられないが、それはアルオウィンにたとえようのない甘美感をもたらしている。
いくらでも舐めていられると思った。
アルオウィンは、夢中になって幹を舐め、先端に唾液をまぶして舌を這わせ、きゅきゅと口全体でしごきを入れた。
ロウから滲み出る精液の香りがアルオウィンを沸騰させるような快感に導きもする。
いつの間にか自分の腰がうねうねと動いていることにも気がついた。
そのたびに、ずんずんという縄瘤の刺激がアルオウィンに襲い掛かる。
「よし、じゃあ、一回目だ」
ロウがアルオウィンを抱き寄せると、寝台にアルオウィンを膝を立たせてうつ伏せにした。
ズボンは自分で膝まで下げたみたいだが、服はそのままだ。
さっき
アルオウィンは嬉しくなった。
「いくぞ」
股間の縄が解ける。
すると、ぽたぽたぽたと蜜が寝具に流れ落ちた。
「洪水だな……」
ロウが笑ったと思った。
かっと羞恥が襲う。
しかし、ロウの怒張がお尻の下から滑り込んできて、すべての思念が吹き飛ぶ。
「んあああっ、くあっ」
ずんと怒張の先が膣の中に挿入してくる。
脳天を貫くような快感があるアルオウィンに襲い掛かる。
「あああ、あああああ」
電撃に撃たれたかのようにアルオウィンの裸身が痙攣した。
すでに一度昇り詰め、そして、縄と蛇の刺青の刺激で幾度も昇天ぎりぎりのところまで昂ぶらされては鎮まるということを繰り返らされていたアルオウィンは、たちまちに絶頂に向かって快感を飛翔させていた。
「ああ、ロウ様──、あああ、ご主人様ああ、あああああ」
抽送が始まる。
肉襞を突き破られるたびに、激しい快感が襲う。
アルオウィンはロウの怒張を受け入れたまま、全身でよがり泣いた。
あっという間にエクスタシーの波がアルオウィンを呑み込む。
「くあああ、んはああ、いくう、いきますううっ」
「いって、いい……。それに、合わせて、精を、放って、やる」
ロウが腰を動かしながら言った。
アルオウィンは強烈なうねりに身を任せた。
全身が突っ張り、アルオウィンは喉をのけぞらせて断末魔のような声をあげていた。
縛られて抱かれることがこんなに気持ちいいとは知らなかった──。
「くぐうううっ」
アルオウィンは奇声をあげてながら、ついに絶頂した。
すると、子宮のすぐ近くでロウの熱い精が迸るのをはっきりと感じた。
ロウがゆっくりと怒張を抜いていく。
しかし、あがりきった快感はなかなかさがってこない。
アルオウィンは、夢心地のような快感に包まれたまま脱力した。
「はあ、はあ、はあ……、あ、ありがとうございました……」
ロウから完全に怒張を抜かれたところで、アルオウィンは息も絶え絶えに言った。
こんなに深い性愛は初めてだ……。
すっかりと精魂尽きた感じなっている。
ロウに抱かれるのは神がかり的に気持ちいいとは思っていたが、今夜は極めつけだ。
縛られて抱かれるのがこんなに気持ちいいなら、やっぱり、これからもそうされたいな……。
アルオウィンは思った。
しかし、不意に身体が天井を向いて仰向けになり、両脚が大きく寝台の上で開かされた格好になった。
首に鎖付きの首輪もかかり、それは寝台の頭方向に繋げられる。
「ええ──?」
驚愕したが、いつの間にか両足首に縄がかかっていて、それが大きく寝台の隅に引っ張られたのだ。
アルオウィンは、寝台に磔にされて動けなくなった。
「なにを終わったような言葉を使っている。まだ、前戯の途中だ。夜はまだまだだぞ」
「えっ、前戯?」
アルオウィンは訝しんだが、ロウが手に持っているものを見て、目を丸くした。
それは二本の筆だった。
しかも、その筆は頭部分だけを前後左右にぶるぶると振動して動いている。なにかの魔道具みたいだ。
つまり淫具だ。
「ひっ、なにを──」
アルオウィンは絶句した。
まさか、あれで身体を……?
だが、それ以上考えられなかった。
ロウの持つ筆が同時に乳首を襲ってきたのだ。しかも、刺青の蛇が再び足の裏にも……。
「いやああ、んはあああ……、えっ、ああっ」
アルオウィンは悲鳴をあげた。
しかし、眼が不意に塞がれた。
目隠しをされたというわけじゃないが、急に見えなくなったのだ。
アルオウィンは、動顛してした。
すると、ロウのくすくすという笑い声が聞こえた。
「人というものは五感のどれかを制限されると、その分、残っている感覚が鋭敏になるらしいね。まずは視覚の封鎖だ。その次は聴覚の封鎖といこう。嗅覚と味覚は残すけど、その代わり、呼吸が半分しかできなくするかな……。最後には、さらにその半分の息……。多分、体験したことのない世界に行けると思うよ」
ロウが愉しそうに笑いながら、横腹をすっと筆で擦る。
「ひあああああっ」
そして、耳……。
次は内腿──。
さらに、脇の下に蛇が……。
「くああっ、はあ、はううううっ」
まったく、予想のできない責めに、アルオウィンはたちまちに追い詰められてしまった。
そして、まだまだ夜は長いということを今こそはっきりと自覚して、ぞっとした。