【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】 作:ドン・ドナシアン
三日目の朝がやって来た。
夜が明けたところで、傭兵隊長が九個目の刑罰を終えたジャスランを連れてきた。
傭兵隊長に連れてこられたジャスランは、十人ほど一緒にやって来た傭兵たちに囲まれて、四つん這いで歩いてきている。
傭兵たちのほかには、昨夜の後半夜の見張りとして監督をしたシャングリアとエリカが最後尾で歩いているが、ほかの女たちは、一郎たちと一緒に、天幕の前で待っていた。
これから始まるのは、ジャスランに対する十個目の刑罰、すなわち、最後の「処刑」だ。
ジャスランを抹殺するための「高炉」は、すでに天幕の前に設置してある。
この中に放り込んで魔道を加えれば、血も肉も骨も溶け去り、すべてが熱と煙になって消滅する。
灰さえも残らない。
十番地獄巡りの一日目の最初に、ジャスランから切断した四肢は、これで溶かしきっていた。これからやるのは、ジャスランに残っている胴体と頭を放り込んで処分するということだ。
ジャスランの手足が短くなっているので、ジャスランは、ふたつの乳房を引きずりながら進んでいる。
すでに体力は尽きたという感じだ。
しかし、よちよちとぎこちなく歩くジャスランだったが、まだ気力は失っていない。
面白がって、木の枝などで後ろからや横から局部などを突いて悪戯を繰り返す傭兵たちに、唸るような声を出して、威嚇をしたりしている。
もっとも、それ以上の抵抗はしないし、木の枝を避けるということもしない。
できないのだ。
おそらく、傭兵隊長に与えた「奴隷の首輪」に刻んでいる隷属魔道の「主人」としての権限で一切の抵抗を禁じられているのだと思う。
これが、九番目の刑なのだ。
つまり、ジャスランに与えた十個の刑罰のうち、九番目は、三番目に刻んだ隷属魔道の効果により、意に添わぬ行動を無理矢理にやらされるという懲罰だ。
これもまた、ジャスランがエリカたちにやったことであり、一郎は、ジャスランに与える十個の地獄の中にそれを含めることを決めていた
そして、昨夜同様に、ひと晩を傭兵たちに委ねてジャスランを自由に扱わさせた。
九つ目の刑罰でなにをされ、なにをさせられたのかは、一郎も詳しくは知らない。
輪姦もしたと思うが、それだけでなく、裸踊りや自慰行動、ありとあらゆる尊厳を失わせる行為をさせてくれと隊長に頼んだので、それなりのことはやらされたはずだ。
ただ、ああやって、傭兵たちに剥き出しの憎悪を向けて、怒っているところを見ると、まだまだ、気力は萎えてないみたいだ。
一郎は安心した。
殺すのであれば、生気を失い、心が毀れてしまったジャスランを殺すよりは、まともな状態のジャスランを処刑したい。
いずれにしても、これでジャスランへの報復のために準備した十個の地獄は終わりだ。
一番地獄は、挨拶代わりの小便窒息死──。
二番地獄は、痒み放置──。
歯を溶かす拷問訊問を挟んで、三番地獄は、拷問の末の「奴隷の首輪」による奴隷化──。
四番地獄は、傭兵百人による輪姦──。
五番地獄は、電撃魔道の流せる張形付き貞操帯をはかせての半日の運動責め──。
六番地獄は、やはり半日近くのくすぐり責め──。
七番地獄は、唐辛子大量浣腸──。
八番地獄は、その唐辛子浣腸で排泄した汚物を樽にとっておき、それに顔を浸けて糞便で溺死──。
そして、九番地獄が、隷属の首輪の効果による“命令”を使ったひと晩のあいだの徹底的な屈辱の付与だ。
最後が、もうすぐ執行をする高炉による処刑である。
殺して血が少しでも残っていれば覚醒できるジャスランだが、準備している高炉を使えば、血も肉も骨も残らない。
真実の死がジャスランに待っている。
「終わりましたぜ、英雄様。実に愉しかった。もう処分しちまうのが惜しいくらいでさあ」
傭兵隊長が一郎に媚びを売るように笑いかけてきた。
だが、顔が赤いし、息も酒臭い。
どうやら、酒を飲んでいたようだ。ふと見ると、一緒に来ている傭兵たちの全員が酒による赤ら顔である。
酒盛りの中で、ジャスランを色々といたぶっていたのだろう。
そんな感じだ
ジャスランの「処刑」後、すぐにここを出立予定の一郎たちや男爵本隊とは異なり、傭兵たちはさらに一泊して、この森に展開した陣地を全部撤収して離脱することになっているみたいだ。
男爵がそう言っていた。
だから、まだのんびりしてるのだろう。
だが、それはいいが、どうにも、酔っ払いというのは苦手だ。
一郎自身は、前の世界でも、この世界でも、酔うほどに飲むことはないが、前の世界でも付き合い酒というのは苦手だった。
どうも、一郎が平素から大人しそうに思えるのか、よく酔った相手に絡まれた。
特に思い出すのは、教育関係ということで、学校の先生たちと飲むときだ。企業同士の宴会ではありえないような乱れ方をする教師もいて、閉口したことも、二度や三度じゃない。
そして、はっとした。
いや、違う……。
一郎の前の世界の職業は、教育関係企業じゃない。人材派遣会社を掛け持ちで登録して休みもなく働いていた貧乏社会人だ。
どうにも、あの享子との仮想空間における一生分の生活以来、一郎の記憶は混乱がちだ。
「そりゃあ、どうも……。じゃあ、あとはこっちでやりますから、お引き取りを……。奴隷の主人の移管をしましょう」
一郎は言った。
すると、傭兵隊長がわざとらしく、大きく手を拡げて赤ら顔を横に振る。
「おいおいおい、そりゃあないぜ。こうなったら、こいつの最期を見届けるぜ。なにしろ、こいつとはまんこどころか、尻の穴の皺まで見物した仲なんだ。尻の舐め合いも夕べはしたしな。仲良しなんだ。一緒にいさせてくださいよ」
傭兵隊長が馴れ馴れしく、一郎の肩を掴むような仕草をしてきた。
どうも、うさん臭くて避ける。
すると、さっと一郎と傭兵隊長のあいだに、コゼが入り込んできた。
「おっ、なんだい、きれいな姉ちゃん」
隊長がにやにやと目の前に立つコゼを見た。
これは、かなり酔ってるな……。
一郎はうんざりした。
「ご主人様は、ジャスランの隷属の譲渡をお望みよ。さっさとしなさい……。そして、帰るのよ」
コゼが冷たい口調で言った。
一郎には甘えた態度でしか接しないコゼだが、他人にはとことんぞっとするほどの冷酷な態度で接する。
しかし、隊長には通じないみたいだ。
コゼが小柄なこともあるし、舐めたような態度を崩さない。
酒の入っているほかの傭兵たちも同じような感じで、にやついている。
「だけど、いまは、俺がジャスランの主人だぜ。俺が譲渡しない限り、隷属の主人は俺のままだぜえ。いいじゃないですか。立ち合わせてくれ……。おぐうっ」
隊長がその場に崩れ落ちた。
コゼが至近距離から、思い切り隊長の腹を殴ったのだ。
そして、倒れた隊長の手をコゼがさらに無造作に踏んだのがわかった。
「はぎゃあああああ」
隊長が地面に手を付けたまま絶叫した。
視線をやると、隊長の右の親指があり得ない方向に曲がって、コゼに踏みつけられている。
あれは、骨折どころか関節も砕けているだろう。多分、剣は持てない。
まあ、一昨夜、エリカたちに襲いかかった阿呆もそうだが、高額のポーションを使えば治りはするだろう。
そういえば、一郎は周りに無尽蔵に治療術を遣う者ばかりいるので、そんな感覚はなかったが、治療術を遣える魔道遣いは数が少なくて貴重であり、治療をするポーションもかなり高いらしい。
そんな貴重な魔道遣いが三人も、四人もいて一郎を助けてくれるのだから、ありがたいことだ。
「酔いが醒めた? さっさと譲渡しなさい」
コゼが隊長の手を踏んだまま言った。
「じょ、譲渡するうう。いがああああ、隷属を英雄様に移動するうう。ジャスラン、お前の主人は英雄様だああ。命令だあああ」
隊長が泣き叫んだ。
周りにいた傭兵たちも、一気に酔いが醒めた顔で顔を蒼くしている。
一方で、いまの隊長の叫びによって、しっかりと奴隷の主人の権限が一郎に移動した感覚がやってきた。
「連れていきなさい」
コゼが隊長の顎を蹴り飛ばした。
軽く蹴った感じだったが、仰向けになった隊長は泡を噴いて失神していた。
「容赦ないな」
一郎はくすりと笑った。
慌てたように、傭兵たちが抱えて去っていく。
「手加減しましたよ。殺しませんでしたし」
コゼが振り返る。
さっきの騒動が嘘のように、満面の笑みだ。
「そうか。とにかく、ありがとう」
一郎は、手を伸ばしてコゼの頭を撫でた。
コゼが嬉しそうに笑った。
「コゼ、よくやったわ」
「偉いぞ。あいつら、ちょっと調子に乗った感じでな……。鼻につく感じだった」
エリカとシャングリアだ。
ふたりは、傭兵たちがジャスランを責める見張りとして、後半夜一緒だった。もしかしたら、不快なこともあったのだろうか。
まあ、そうだとすれば、我慢するようなふたりではないので、容赦なくぶちのめしていると思う。前の夜も、ジャスランの輪姦で興奮して襲ってきた傭兵を半殺しにしたということだし……。
どうでもいいが、傭兵というのは、半分は盗賊も同然というし、規律などこんな感じなのだろう。
「罪滅ぼしにお役に立ちたかったのに、残念ですわ。あいだに入る暇がありませんでした」
ちょっと悔しそうに口を挟んだのはスクルドだ。
昨日までは、切断されてしまった両腕を復活させずに、首輪をつけて連れ回したりしたが、今日はすでにちゃんと両手を戻して、魔道遣いらしい黒衣のマントを身につけている。
いまも、一郎の護衛魔道師然として横にいたのだが、同じように横にいたコゼに、一郎を守る役を先取りされた気分なのだろう。
「さて、じゃあ、処刑執行をするか……。ジャスラン、これで終わりだ。次はそれほどは苦しませない。すぐに終わる。その高炉に放り込んで、あっという間だ。なにも残らない」
一郎は地面に這うように四つん這いになっているジャスランを見た。
ジャスランは、一郎の淫魔術の影響なのか、一郎が声をかけると、びくりと身体を竦ませる感じになった。
しかし、すぐに平静を取り戻す感じになる。
大したものだ。
淫魔術で恐怖を縛っているので心は一郎への畏怖に捉われているはずだが、気丈に表情を繕ってみせたみたいだ。
「……へへ、好きにするといいわよ……。それと、さっきはすっきりしたね。初めて、あんたに感謝したくなったよ」
ジャスランが顔をあげて微笑んだ。
さっきというのは、コゼが傭兵隊長をぶちのめしたことのことを言っているのだろう。
「そうか……。なにか言い残すことはあるか、ジャスラン? お前が俺の女に手を出しさえしなけりゃあ、もっと優しく扱ったんだけどね」
一郎は言った。
そして、スクルドとマーズに視線を送る。
スクルドは高炉に魔道を注ぐ役目。マーズはジャスランの身体を高炉に入れる役目だ。ふたりには、あからじめそれを頼んでいた。
「また、遊ぼうよ。今度はもっと愉しいことを考えておいてやるよ、スクルド、エリカ……」
ジャスランがうそぶいた。
「じゃあな、ジャスラン……。お前が無事に
「あんたらが来るのを待っているよ。そのときには、乾杯でもしようや」
ジャスランが高笑いした。
一郎はマーズに向かって頷く。
「大人しくするんだ」
マーズがジャスランに近づいて、髪の毛を掴んで持ちあげた。
「もう、ここまできたら、観念してるさ」
髪の毛で宙吊りにされて、ジャスランが高炉に運ばれる。
高炉の大きさは樽ほどであり、手足を切断しているジャスランであれば、すっぽりと入り込める。
ジャスランが頭を上にして高炉に入れいられた。
「陛下たちが到着しました、ロウ様」
一郎に寄ってきたアルオウィンが声をかけた。
「時間通りだな」
一郎は微笑んだ。
やって来たのは、男爵たちとブルイネン率いるエルフ隊だ。
エルフ隊は、全員が徒歩だが、中心に大きくはないが馬車がある。男爵に準備をしてもらったガドニエルのための馬車である。
ここにやって来るときには、とにかく、ここに急行したので、女王用の馬車や騎乗する馬などを準備する余裕もなかった。
だが、これから男爵領に入るということになれば、何事にも「演出」は必要であり、ガドニエルと一郎だけは、馬車で移動することになっている。
さすがに、エルフ族女王が徒歩による男爵領入りでは恰好がつかない。
一郎たちが使っている幌馬車は亜空間にあるが、あれは女王の乗り物としてはあんまりだろう。
ともかく、それで男爵が準備してくれたのは四人乗りの馬車だ。近づく馬車を遠目で見ると、外装は豪華だ。エルフ王家の紋章も刻まれている。エルフ隊が急遽刻んだのだろう。
これから、ジャスランの処刑が終われば、すぐに出発の予定であり、一郎はエリカにも馬車に同乗してもらうつもりである。アルオウィンもだ。
また、スクルドとコゼは、一郎の亜空間に隠れてもらう。予想外の万が一のことが起きた場合の対処のためである。
ほかは、歩きということになる。
人間族とは異なり、魔道戦に長けているエルフ族は、将校でも騎乗はしないそうだが、シャングリアは本来は女騎士だ。
彼女の馬については、男爵領で調達の予定である。
とにかく、男爵領に到着したら、まずは戦うための編成を整えることにしている。
理由は、おそらく、すぐにでも辺境候のところに赴く可能性が高いからだ。
辺境候の使者からの書簡が届けられたのは、昨日のことだ。
アネルザの実家であるマルエダ辺境候が一郎がここにいると認識して、男爵家まで持ってきたものであり、文書そのものは直接に辺境候が記したものではなく、辺境候領から特別な魔道手段で文章の内容のみ送ってきたものを、ここに待機していた使者が代筆したという性質のものだった。
だから、絶対に本物とは限らないが、辺境候からのものに間違いないらしい。
男爵の家人によれば、男爵領の屋敷に現われた辺境候の使者は、間違いなく辺境候の部下だったと報告を受けているということだ。
しかし、その文書の内容が驚くべきものだった。
一郎は、これまでにスクルドからもたらされた情報から、王都の王宮を占拠しているサキは、一郎をして、王都のいるルードルフ王への叛乱の旗印に仕立てあげ、その叛乱に勝たせることで、一郎を新しい王にしようと考えているのだと把握していた。
それ自体は、かなり荒唐無稽なのだが、サキのような魔族の思考など、単純なものらしい。
目の前で高炉に入れられているジャスランもそうだった。
いずれにしても、マルエダ辺境候からの一郎への伝言は、一郎が予想していたような、一郎を旗頭として叛乱への参加を促すという内容とは全く違っていた。
概ね、以下のような内容だった。
“辺境候において、ピカロとチャルタと名乗る魔族をふたり捕らえた。彼女たちは辺境候軍を妖力によって操ろうとした極悪人であり、処刑が決まっている。
ただ、彼女たちは、自分たちの主人は、エルフ族女王から英雄認定を受けたロウ=ボルグだと主張している。
なんらかの手段で連絡をしてもらいたい。
いずれにしても、二人の処刑は半月後の予定だ”──というものだ。
とにかく、まったく予想外過ぎて、どう対応すべきか判断がつかない。
ただ、辺境候からの文書の日付が、五日前であり、半月後の死刑執行ということであれば、残りは十日ということだ。
スクルドがハロンドール中に整備した移動術のゲートは、辺境候領の近くまでは到達しておらず、陸路では王国内経由では十日では辿りつかない。
まあ、向こうに迅速に到着する手段が皆無というわけじゃないが、とにかく、なにかを判断するには、情報が少なすぎる。
男爵家に着けば、辺境候からの使者に会うこともできるであろうし、男爵が集めてくれた王国情勢の情報も入るだろう。
それから判断した方がいいと考えて、すぐには動かないことを決めた。
王都に速やかに帰還するつもりだったが、もしかしたら、それは危険かもしれない。よく見極めなければ……。
ただ、場合によっては、この勢力で辺境候軍に突入し、捕らえられているというふたりを強引に奪回することも視野には入っている。
それにしても、王都のサキは、どう考えているのか──?
ピカロたちが捕らえられたというのは、そもそも本当か? 本当だと仮定して、サキ側が動かないのはなぜか? 任務に失敗したピカロとチャルタは助けるに値しないと考えているのか? それとも、動いているのか?
“サキ”が一郎を裏切らないことは絶対的に確信しているが、“サキ側”は味方か? それとも、敵か……?
まったく、わからない……。
男爵の五十人ほどの本隊に続き、エルフ隊が真ん中の馬車とともに着いた。
馬車の馭者はイライジャとイットだ。モーリア男爵は別に馭者をつけようとしたが断った。色々と都合もあるし、一郎は他人を周りに寄せ付けたくない。
馭者台のイライジャとイットが軽く手を振った。隊全体の先頭のブルイネンもだ。
一郎も手を振る。
すると、ほかのエルフ隊たちも、一斉に一郎に向かって手を振ってきた。
それにも応じると、きゃあという黄色い声がみんなからあがる。
まるで、前の世界のアイドルになった気分だなと一郎は手を振りながら苦笑した。
「ロウ閣下、お待たせしました」
エルフ隊と一緒にやって来たモーリア男爵は直属の部下とともに、親衛隊たちに先行する態勢で来たが、到着すると騎乗だった男爵がひらりと馬からおりた。
一郎は、さっきの傭兵隊長とのいざこざを耳に入れとこうかと思ったが、とりあえずやめた。
それは後でもいい……。
次いで、エルフ隊が到着した。
「ごしゅじ……いえ、ロウさ……、いえ、ロウ殿、お待たせしましたあ」
すぐに馬車の扉が開いてガドニエルがおりてくる。
女王には似つかわしくなく、一郎に向かって駆けよって来るが、まあ、あれくらいは仕方ないだろう。
ただ、ブルイネンが慌てたように、ガドニエルを引き留めて、走るなと言うようなことをささやいているのが見えた。
「では、処刑を執行します、ガド……。そして、男爵」
男爵とガドニエルがそばに来たところで、一郎は言った。
ふたりが頷く。
儀式めいたことはしない。
ただ、高炉を作動するだけだ。
「マーズ、スクルド、頼む」
一郎は言った。
「はい、先生」
「わかりました」
マーズがまだ頭だけを出していたジャスランを高炉の中に押し込める。
「また、会おうぜええ」
すると、高炉の中からジャスランの声がした。
負け惜しみだろう。
マーズが蓋をする。
ジャスランの声が途切れる。
「では、魔道を注ぎます」
スクルドが言った。
ぶーんと音がして、それがしばらく続く。
そして、一分ほど……、こっちの時間単位で一タルザンほどが経つ。
「蓋を開けます……」
スクルドが前に出る。
ジャスランの死を確認するためだ。
蓋を開けると、桃色の煙が大量に出たが、それで終わりだ。
「処分されています」
スクルドが一郎に言った。さらにエリカも確認しにいく。
彼女たちも、一郎に向かって頷いた。
「わかった」
一郎は言った。
「やれやれ、やっと終わったわね」
さっきまで、ミウと一緒に隅にいたと思ったが、いつの間に寄ってきたのか、一郎の隣でユイナが呟くように言った。
確かにそうだなと思った。
「じゃあ、出発しよう」
一郎は声をかけた。
女たちが一斉に動き出した。
*
30話以上にもなった『ジャスラン編』は、もう一話です。