【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】 作:ドン・ドナシアン
「エリカ、扉を閉めてくれ」
一郎はエリカに言った。
すると、エリカが扉を閉めてから、なにかの魔道を扉に向かってかけるような仕草をする。
「なにかした?」
一郎は椅子に座ったまま言った。
そのあいだに、ノルズが目の前まできたので、手で向かい側の椅子に座るように合図した。
だが、ノルズは緊張した感じで直立不動の姿勢をとったままだ。
一郎は小さく溜息をついた。
よくわからないが、このノルズは再会以来、ずっとこんな感じで頑な態度のままだ。最初はこれはこれで面白いかったけど、さすがに、そろそろもう少し砕けて欲しいと思う。
ましてや、このノルズのように、一郎と一郎以外の者への態度がここまで違うと、いつまでも壁が外れないようで寂しさも感じてしまう。
「防音の魔道を……。簡単なものですけど」
エリカが言った。
「イライジャやノルズとの話をみんなに秘密にするつもりはないよ。ただ、考えを整理したくて、イライジャだけを呼んだだけなんだ。男爵から話を聞いたことや、これからノルズから聞く話はみんなにも後で教えるつもりだし……」
「い、いえ、そういうことじゃないんです……」
すると、エリカがなぜか、顔を赤くした。
それで、一郎はすぐにぴんときた。
「もしかして、この小部屋の外の大部屋に、結構、みんな集まっている?」
「ブルイネン隊を除いて、全員います」
どうやら、部屋割りをしたにも関わらず、やっぱり全員が一郎の部屋に集まってしまったみたいだ。
一郎はくすりと笑った。
「なに、なに、どういうこと?」
寝台の縁に腰掛けた体勢のイライジャが怪訝な顔になった。
すると、エリカが口を開く。
「イライジャ、気をつけた方がいいわよ。まあ、今更、気にしないかもしれないけど……。ここの扉は薄いのよね……。防音の魔道は内側からしか、かけられないから……」
「まあ」
イライジャも顔を赤くした。
つまりは、扉の外の大部屋にみんな集まっていて、一郎とイライジャが愛し合うときの声を外の女たちにずっと聞かれていたということだろう。
もしかしたら、うちの女たちは、みんな一郎の
それで、エリカがここに入ってくるなり、防音の魔道をかけたということだろう。
「まあいいや、ノルズ、どうでもいいけど、もう少し楽にしてくれたら嬉しいかな」
一郎は目の前で、いまだに緊張した態度のままのノルズに声をかけた。
「は、はい──。楽にします──」
ノルズはそう言うが、ちっとも楽な感じじゃない。
一郎はくすりと笑った。
そして、ちょっと悪戯することにした。
とにかく、このノルズは、一郎のことを聖人君子かなにかだと勘違いしているような気がする。一郎という存在がノルズの中ですごく神聖化されているのではないだろうか……。
だが、一郎など、ただの嗜虐好きの好色変態男だ。
ちょっと、とことん
一郎は、ノルズが嫌だと言うまで、遊ぶことに決めた。
怒りだすかもしれないが、それならそれでもいい……。
「わかったよ。じゃあ、話を聞こうかな。ただし、俺に仕えている諜者の報告は下半身をすっぽんぽんになってするんだ。このロウ=サタルスの掟だ」
一郎は言った。
「なっ」
すると、ノルズが真っ赤になった。
「ふふ……、ロウ、わたしは外に出ているわね。彼女の報告というのは、後で教えてくれればいいわ」
すると、イライジャが立ちあがった。
一郎は肩をすくめた。
「緊急の報告だそうだよ。一緒に聞いておいた方がいいんじゃないか?」
「あなたが真面目に受けるつもりならね……。ところで、さっきの話だけど、わたしはここであなたと別れるということだったけど……」
「状況によってね。イライジャとミウ、そして、ユイナ……。マーズにイット……。この要員は、場合によっては、ここで別れて王都に向かってもらおうかと……」
「えっ、王都?」
声を出したのはエリカだ。
エリカは、いまだに扉のところに立ったままだったのだ。
「ああ、そういうこと……。あなたは決めたのね……。だけど、その人選はどうなのかしら? マーズもイットも最高戦力よ。あなたがそう決めたなら、ふたりは役に立つわ」
イライジャが言った。
どうやら、一郎の意図を説明なしに理解してくれたみたいだ。
一郎は首を横に振った。
「戦力ということなら、ミウもそうだよ。ジャスラン戦のときに、誰よりも最初にジャスランに一矢酬いたのは、ミウの魔道だった。もちろん、ユイナもイライジャも戦力外なんて欠片も思ってないね。だけど、
一郎はうそぶいた。
しかし、一郎が考えたのは、ミウやユイナのことだ。
たとえば、パリスのときもジャスランのときも、ミウは戦ったし、もちろん、実力だけなら大戦力だ。
だが、やはり一郎はどうしても前の世界の価値観にとらわれるのか、まだ十分な年齢ではない者を戦争に参加させるのは抵抗がある。
戦になれば、相手は悪人ではなく、善人の首をはね飛ばす覚悟がいる。躊躇すれば、自分だけでなく味方も死ぬ。
そんなところに、ミウを連れていきたくない。
つまりは、一郎は場合によっては、辺境候軍を蹴散らしてでも、囚われているふたりを助ける決心をしていた。
まあ、一郎に戦争で人を殺す覚悟があるかと問われれば、一度も戦ったことのない自分としても返答には困るが……。
一方で、マーズとイットを外すのは、ミウの仲良しということもあるが、王都に一部を帰すなら、最大戦力を戻す必要はある。それに、殺しに慣れているとはいえ、あのふたりも十六歳でしかない。
「人間族は十五歳で成人じゃないの? エルフ族は一人前扱いされるのはかなり年齢がいってからだけど、子供扱いでなくなるのは十四歳よ」
「俺の前の世界では、成年は十八歳だった。とにかく、十八歳未満は連れて帰ってくれ。それに、もしかしたら、王都の方が危険かもしれない……。いずれにしても、まだ決断したわけじゃない。ノルズの話を聞いて、明日には辺境候の使者とも会う。それからの決断だ」
一郎は微笑んだ。
「わかった」
イライジャが手を振って、部屋から出て行った。
扉が閉じる。
一郎は、目の前のノルズに視線を戻した。
「おっ、まだズボンをはいていたのか、ノルズ。早く脱げよ。報告するんだろう? それと、報告のときには軽く足を開いたままね」
一郎は亜空間から長い柄のついた羽根を取り出した。
これでなにをされるか、わかっただろう。
ノルズがちょっと顔を引きつった感じになったのがわかった。
彼女が
高位魔道遣いを目指す「秘法」だそうであり、魔力を高めるために、神学校では少年少女時代から性的な倒錯行為に耽ることを奨励、あるいは、強要されるらしい。
その仕組みはわかっていないらしいが、好色であれば好色であるほどに、魔道力があがることはわかっていて、神殿界では昔から、才能がありそうな子女を神学校に集めては、そういうことをやらせていたみたいだ。
嘘のような話だが本当らしい。
しかも、異性間だと、結婚だとか妊娠だとかの話にもなりかねないので、その秘法という名の性修行は、必ず同性間でやるのだそうだ。
一郎も是非とも、機会があれば、「教師」として神学校に行ってみたいと思ってしまった。
それはさておき、ノルズだ。
一郎の破廉恥な要求に、かなり戸惑っている。
面白い……。
「ノルズ、ロウ様はふざけているだけよ……。嫌なら、嫌だと言いなさい」
エリカが後ろから溜息混じりに言った。
さすがは、そろそろ付き合いも長くなるエリカだ。ふざけるときの一郎のことをよくわかっている。
「なにを言ってんだい、エリカ──。ロウ様の言葉に嫌なことなんかあるものか──。ロウ様はいつでもあたしたちのことを考えてくれてるんだ──。ガドとあたしが親衛隊のことで暴走したときも叱ってくれたし、スクルズとのことだって……。そして、ロウ様の言葉に従えば、なにもかも、うまくいんだ──。知ったようなこと言うんじゃないよ──」
ノルズがエリカに向かい振り返って怒鳴った。
相変わらず、一郎以外が相手のときには、かなりの迫力だ。
だが、てっぺんから間違っている。
やっぱり、ノルズは一郎のことをあまりにも神聖化しているようだ。
だが、それはそれで、面白いかも……。
だったら、とことん遊んでやろう……。
ノルズが怒るまで……。
怒っても、一郎に殴りかかってくることはないだろう……。
十分にとりなせる……。
「じゃあ、早く脱ぐんだ、ノルズ。サタルスの掟の第一号だ。女諜者は俺の前では、下半身を裸になって報告をする」
「わ、わかりました……」
ノルズがズボンの腰に手をかけた。
エリカがまたもや、盛大な溜息をつく。
「じゃあ、ロウ様、わたしも出てます」
「いてもいいぞ……。俺に仕える諜者の報告のときには、一番奴隷は諜者を悪戯してもいいことにしよう。サタルスの掟二号だ」
一郎は笑った。
「えっ?」
エリカが困惑した表情になる。だが、真面目なようでも、実はエリカは百合好きだ。もともとは、アスカこと、ラザニエルの「ねこ」だったし、その前の少女時代は、さっきのイライジャの「ねこ」だった。
女同士の百合には、エリカは興味あるのだ。しかも、可愛いもの好きで……。
「別にいいぞ。女諜者は、報告のときには、猫耳の飾りをつけさせることにするか? サタルスの掟三号だ」
「そ、そうですか……?」
明らかにエリカが興味ありそうな表情になった。
しかし、ズボンを脱いで下着だけになっていたノルズがさっとエリカに向かって振り返る。
その表情はわからない。
だが、ノルズがエリカにまっすぐに顔を向けた途端に、エリカの顔色が変わった。
そして、ぶるりと震えるのがわかった。
「や、やっぱり、わたしは、部屋の外に……」
エリカがそう言って、一郎の返事を待たずに、扉の外に出ていく。
ノルズが顔を戻した。
しかし、一郎に向ける表情には、さっきと大きな変化はない。
一郎は苦笑した。
まあいいか……。
そして、そんなやりとりをしているあいだに、ノルズが下着も脱いで、肩幅に脚を開く。
ノルズは、女物ではなく、男物の服を着ていて、上は開襟の麻色シャツだ。
下を脱がしたので、辛うじて上のシャツの裾が股間にかかるくらいである。
陰毛はない。
ちらちらと裾の下から股間が覗いているが、すでにしっかりと濡れていた。
一郎は、長い柄のついた羽根で椅子に腰掛けたまま、ノルズの内腿をすっと掃く。
「くっ」
ノルズが反射的に手で股間を隠そうとする。
「動くな──。サタルスの掟四号だ。報告のときには、指示なく手は動かさない。手は体側につけてろ」
「は、はい……」
前に移動させかけていた手をノルズが横に戻して、ぐっと拳を握る。
だが、一郎が垣間見えるステータスでは、ノルズがすでに欲情をしているのがわかり、「快感値」はかなりさがっている。
すでに、“25”だ。
まあ、あれくらいに、べちょべちょに濡れているのだから、そんなものなのだろう。
「じゃあ、教えてくれ。報告はなんだ?」
一郎は羽根でノルズの股間のぎりぎりのところを左右に行ったり来たりしながら言った。
もちろん、性感帯の赤いもやを追うように刺激している。これをすると、どんな女でもあっという間にできあがる。
ノルズの脚が小刻みに震え出した。
「い、いくつかあります……。ま、まずは、ロウ様に……処刑命令が……。ハ、ハロンドールの王宮が……、全土に……。うっ、くっ」
ノルズが言った。
処刑命令? 例の捕縛命令のことか?
一郎は、とりあえず羽根を引いた。
「例のルードルフ王が発したという捕縛命令か? 俺が出立してすぐに出たやつだろう?」
イザベラとアンの妊娠発覚を切っ掛けに、ルードルフ王がアネルザの反対を押し切って発したという一郎に対する捕縛命令だ。
それを切っ掛けに、アネルザが大激怒して、国王ルードルフの失脚工作を開始した。
一連の騒動の皮切りだ。
「ち、違います──。そ、それは有名無実になってたんですけど、あ、改めて、で、出たんです。おそらく、この男爵家にも、一両日中には届くでしょう。それも、捕縛命令ではなく、処刑命令です。すべての領主や地方軍に対して、ロウ様を発見次第に処刑するように命令が出ます。冒険者ギルドにも、ロウ様の暗殺クエストがかけられました」
ノルズが言った。
一郎は唖然とした。
「はああ?」
なぜ、いまさら?
しかも、王宮の新たな命令?
王宮を支配しているのは、サキのはずだが……。
「そ、それと、マルエダ辺境候は王国から独立します。“ハロンドール列州同盟”を名乗って、独立を準備しています。後ろ盾は、タリオ公国のアーサーです」
ノルズは言った。
独立だと?
一郎は少し動顛したが、すぐに冷静さを取り戻す。
すると、好色も取り戻す。
「詳しく話せ……」
羽根をノルズに戻して、シャツを羽根で持ちあげるようにして、クリトリスの上を掃いた。
「あん、あああっ」
ノルズががくりと膝を割った。
「真っ直ぐにしろよ。それよりも、続きだ……」
一郎は羽根をとめずに言う。
ノルズは涙目になって一瞬、歯を食いしばるような仕草をする。
「ア、アーサーが……へ、辺境候に……せ、接近して……新しい国の……即時承認と……資金援助……と……流通援助……。だ、代償は、ロウ様の身柄……。あっ、くっ……。お、お願いします……。は、羽根を、す、少しだけ……と、とめて……、ああっ」
「いいから、喋るんだ。ちゃ、ちゃんと聞いてる」
一郎は羽根を動かし続ける。
「は、はい……、うっ、くうううっ」
ノルズががくりと腰を落とした。
しかし、すぐに語りはじめた。
*
指導者に求められる資質は次の五つである。
幸運、知性、説得力、自己制御の能力、持続する意志。
ロウ=サタルスという人物は、このすべてを持っていたと伝えられている。
シーノ=ナミ著『サタルス朝の物語・Ⅳ~大公以前』より