【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】 作:ドン・ドナシアン
案内をされた客間にひとりで入ると、シモンはとりあえず、部屋にあったソファに身を沈めた。
革も上等だし、柔らかさも抜群だ。
この椅子ひとつをとっても、腕のいい職人が作った高価なものだというのがわかる。ほかにも、部屋にある調度品は豪華で品のいいものだったし、やはり男爵家とはいえ、モーリア家は裕福なのだと改めて感じた。
ここは、先ほどまでロウたちとの会合をしていた男爵家の本邸ではなく、ロウたちが寝泊まりをしているという敷地内の別邸だ。
成り行き……というよりは、クリスチナの強引な要求で、ロウがクリスチナの情事の相手をするということになり、とりあえずの話が終わったところで、シモンとクリスチナについては、待機をさせていた五人の護衛とともに、ロウたちに連れられて、この別邸にやってきたのだ。
一方で、モーリア男爵については、向こうの本邸の表扉で丁重な見送りを受け、こっちには来なかった。
そして、すでに、クリスチナはいない。
ロウとともに、どこかの部屋に消えていった。
クリスチナは、「調教」のときに使う道具が入っている収納術が刻んである魔道の腰袋をしっかりと持っていたので、おそらく、今頃はすでに、クリスチナの激しい責めがロウに炸裂しているのだと思う。
まあ、そういう世界もあるということも、ロウにはいい勉強だろう。
それとも、ロウもあれだけの女を従わせているくらいだから、かなりの性技の持ち主で、もしかしたら、クリスチナといい勝負をするのだろうか?
いやいやいや……。
あのクリスチナことだ。
セックスの状態に陥るまでに、徹底的にロウを痛めつけるだろうし、とてもじゃないがロウの性の技を駆使する状況にはならないと思う。
まあ、ロウがどうなって戻るのか、ちょっと愉しみな気はする。
とりあえず、シモンは、ロウには自分の婚約者ではあるが、好きなように扱って構わないとは告げておいた。
いずれにしても、クリスチナはやる気満々のようだった。
ふたりでどこかの部屋に進む前に、ロウが口づけを要求し、クリスチナにしては珍しく、いつもの暴力的な手段で主導権を握ろうとすることなく、すぐに応じて、しかも、興奮した様子で接吻を交わしていたのだ。
また、見ているとお互いに舌を舐め合う行為においては、性愛については百戦錬磨のはずのクリスチナの方が押されているように感じた。
もっとも、希代の女たらしだというロウといえども、クリスチナの本格的な責めが始まれば、ひたすら屈服して泣くしかないのは確信している。
ところで、この別宅に到着したところで、護衛たちについては別邸を守っていたエルフ族の女兵たちにいったん引き留められている。
シモンについてのみは、二階に案内をされて、この客室に連れてこられたということだ。そのときに、クリスチナとロウが口づけを交わしてから、どこかに行ったのだ。
ロウの女たちもまた、どこかに散っていった。
いずれにしても、今日の会合は儲けものだったと思う。
ロウという男があれほどの男とは思わなかった。
会う前には、役に立つようなら部下にできるか、あるいは、評判のいい女たちをシモンの部下に引き抜けないかと考えていたが、下手なことをしなくてよかったと、いまは心から思っている。
根拠などないが、多分、あれは、いずれは大きなことを成し遂げる気はする。
いや、すでにエルフ族の女王から英雄認定を受け、大きなことを成し遂げているのか……。
また、一緒にいた女たちの能力も、忠誠心も間違いなく本物だ。
ああいうものを敵にしてはならない……。
シモンは、そういう勘が働くことについては、自分は一流だと思っている。
夕べ、クリスチナが連れてきたソフィアだって、ただの気儘で同行を許したわけじゃない。
そのソフィアは、まだ
仕込めば、クリスチナだけでなく、シモンのためにも、喜んで命を投げ出す最高の「道具」になる。
命を惜しまない部下ほど、使い勝手のいいものはない。
そういう意味では、ロウは一流だ。
ロウと一緒にいた女たちは、ロウのためなら命を賭けると思う。そんな目をしていた。
そんな部下を大勢持っている相手には、絶対に敵対してはならない──。
これはシモンの心からの矜恃である。
そのとき、扉にノックの音がした。
「なんだ?」
返事をすると、エルフの女兵ふたりを連れたエルフ族の女がいた。肩に触れるほどの長さに揃えた栗色の髪をした女であり、服装からしてエルフ族軍の高級将校だと思った。
シモンは立ちあがろうとしたが、そのエルフ族の女将校にそれを制された。
「どうか、そのままで……。今回の護衛隊の指揮官をしているブルイネンです。ご挨拶ととともに、女王陛下からの贈答品をお持ちしましたので、お受け取り願いたい」
「ブルイネン殿?」
素早く頭を巡らし、シモンは、その名前が伝え聞いているエルフ族女王に仕える親衛隊長の名前だということを思い出した。
女王ガドニエルそのものが、長年にわたって隠し宮に身を置いて外には出ていないので、当然に親衛隊長のブルイネンの風貌も伝わってはいないが、目の前のブルイネンを名乗るエルフ族の女性は、本物に間違いないとシモンに感じさせるなにかがあった。
シモンは、身を引き締めた。
「これは、わざわざ恐縮です……。シモン=マルエダ子爵です。お初にお目にかかります」
シモンも立ちあがった。
“子爵”というのは、辺境候家とは離れてひとりで活動することが多いシモンが、自分でやっている商売で得た財を使って買い取った幾つかの爵位のひとつである。
シモンとしては、自分で爵位を持っているということは、辺境候の七光りではないという主張のようなものだ。
それはともかく、女王からの贈り物と言ったか?
「いや、座ってください、シモン
ブルイネンがさらに言った。
そして、結局、お互いに座るということで決着がつき、シモンの向かい側にブルイネンが腰掛けた。
ブルイネンが連れてきたエルフ女兵は、部屋の壁際に立つ体勢になる。
そして、いま気がついたが、ブルイネンも含めて、ふたりの女兵は武器のようなものは持っていない。まあ、見える範囲ということだが……。
「それと、最初に伝えておきますが、このふたりは置いていきます。侍女としてお使いください。ここにはそういう者はおりませんので……。ただ、彼女たちは兵ですので、本物の侍女のようには気も回らないし、世話をする技量もありません。ただ、簡単な身の回りのお世話くらいは問題ないかと……」
ブルイネンが言った。
確かに、この別邸には、召使いや侍女のようなことをしている者たちの姿は感じなかった。
だが、シモンは首を横に振った。
「いや、必要ない。一緒に連れてきた護衛を呼んできてください。俺の世話はあいつらができる」
高級貴族出身には違いないが、別段にシモンも侍女がいなければ、服も着替えられないというような上等な人間ではない。
冒険者でもあるクリスチナと一緒にいるのだから、これでもなんでもひとりでできるし、侍女などいなくても問題などない。
「彼らはお帰りになりました。明日の朝に戻ってくるとのことです。このふたりは、あなたの護衛も兼ねております。どうぞご存分になんでもお命じください」
ブルイネンが事もなげに言った。
シモンは驚いてしまった。
あの護衛たちがシモンを置いて戻るなどあり得ない。ましてや、シモンの承諾なしにだ。
「……なにかしたのか?」
シモンはブルイネンを睨んだ。
「特に問題のあることはなにも……。ただ、ちょっと説得しただけです。明日の朝に戻られたときには、何事もなく、
ブルイネンが表情も変えずに言った。
シモンは嘆息した。
おそらく、なにかの操り術かなにかを遣ったのだろう。
エルフ族は、人間族よりも魔道に長けている。
あの護衛たちも、その手の魔道封じをしっかりと持っていたはずだが、それでも抵抗のできない術をかけられたのだと思う。
そして、侍女だの護衛だのとは言いつつも、要はシモンの見張りということだろう。もしも、シモンやクリスチナが不用意なことをすれば、容赦なく彼女たちも、シモンたちを処断できるということだ。
つまりは、人質ということであろう。
「もしかして、あの女王様か、ロウの指示?」
シモンは丁寧な言葉を使うのをやめた。
「女王陛下も、ロウ殿も人がいいので、あまり人を疑うということはしません……。まあ、ご本人たちの能力も傑出しておられるので、どうしてもそうなるのでしょうね。でも、仕えるわたしたちは、その分も身を引き締めなければなりません。ご理解ください」
ブルイネンが座ったまま頭をさげた。
態度も慇懃だし、勝手に護衛を帰してしまったことを謝罪しつつも、理解してくれと言うだけだ。
シモンが怒るということを全く気にもしていないのはわかる。
なかなか、最近ではこういう態度をとられることもなくなってきたので、ある意味新鮮だ。
だが、ここで腹を立てても、シモンには分が悪いことは確かだ。
シモンの個人的な腕では、目の前のブルイネンひとりだって太刀打ちはできないだろう。
「わかったよ。怖いお姉ちゃんたちに見張られて、ひと晩過ごせっていうなら、そうするさ。ところで、彼女たちにはなんでも言いつけていいってことだけど、それは夜の相手も入るのか?」
シモンは軽口を言って、壁際の女たちに片眼をつぶってみせた。ついでに、たっぷりの男の色気を乗せる。
どうせ、クリスチナは、ロウの情事にひと晩をかけると思うし、それまで待つということになれば、確実に今夜は暇だ。
だが、エルフ女兵たちは、完全に無反応だ。
エルフ族が他種族に排他的なのは知っているが、人間族の女に対しては、かなりもてる方なので、ここまで反応がないとちょっと自信をなくす。
「彼女たちは、ロウ殿の女です。それに強いですよ。おかしなことをすれば、両手の骨を砕くだけじゃすみませんよ。また、大抵の魔道や薬剤には耐性がありますが、もしも、そんなものを使えば、連れの人間族の女性も含めて、命の保証はしません」
「おいおいおい、冗談だろう。そこまでして、女を抱かなけりゃならないくらいに、女の縁のない男じゃないぞ。だが、彼女たちも、彼の女だとは知らなかった。だったら、どの女性がロウの女なのか教えてもらえるとありがたいな。厳しそうな隊長さんも、お互いが納得ずくの話なら、俺の首を引き抜いたりはしないんだろう?」
シモンはにやりと笑った。
すでに、猫を被るのはやめた。
実のところ、こういうぶっきらぼうな話し方がシモンの素に近い。
辺境候家は軍を率いる家だ。普通の貴族の家とは異なり、一般の兵と会話をする機会はかなり多い。
シモンも、将としての一応の軍略は学んでいるものの、長兄のレオとは異なり、シモンは兵と交わるのが好きだったので、子供の頃から頻繁に兵と一緒に訓練を受けたり、彼らに稽古をつけてもらったりしていた。
そうやっているうちに、いつの間にか態度も言葉も荒くなってしまったのだ。
だから、クリスチナのような女がシモンには居心地がいいのである。
「それについては、見極める必要はありません。この別邸にいる女は、すべてロウ殿の女です。女兵を含めて例外はありません」
ブルイネンが事もなげに言った。
女兵を含めてとは言ったが、別邸に入るときに建物を警護していた女兵は十数人はいただろう。警護は交代でしていると思うので、倍はいると思うが、全員がロウの女?
この真面目そうなブルイネンは、冗談を口にする感じではないが……。
「例外がないってのは、あなたもそうかい?」
なんとなく訊ねた。
「もちろんです」
すると、シモンがたじろぐほどの満面の笑みをブルイネンが浮かべた。
その後、やっとガドニエル女王の贈答品の話題になった。
渡されたのは目録であり、明日にこの別邸を出るときに、実際の品物を渡されるということだった。
しかも、エルフ族の魔道で織り込んだ収納術のこもった袋の入れ物に入れてである。クリスチナも持っているが、かなりの容積を亜空間に確保して、重さも容積も感じないのに、いくらでも物資を収納して運搬できるというものだ。
軍行動では、いくらあっても足りるということはない貴重な魔道収納具であり、市場に出回ることのなく、それひとつでひと財産だ。
クリスチナもダンジョン化された古代王朝時代の遺跡の探索で偶然に見つけたものだと言っていたし、いくらシモンがねだっても絶対に譲ってくれない。
それくらいの貴重品だ。
しかも、目録の中身は、大量の大型魔道石をはじめとして、貴重な魔道具や宝石など、驚くほどの大判振る舞いという感じだった。
「これは、いくらなんでも……」
シモンは唸ってしまった。
たかが使者が気軽にもらっていいようなものじゃない。しかも、目録によれば、辺境候家ではなく、シモン個人に与えられることになっている。
シモンも驚いてしまった。
「問題ありません。女王陛下のご指示ですのね……。ですが、もしもよろしければ、夕食のときにでも、ロウ殿がいる前でお礼の言葉を口にしてもらえませんでしょうか。陛下はただ、ロウ殿に褒められたいだけなのです……」
すると、初めてブルイネンの表情が少し動いた気がした。
しかも、どことなく、疲労感のようなものが浮き出ている。
なんとなくだが、我が儘な上官に振り回される部下という感じだ。
だが、シモンはいまだに、あのガドニエル女王が本物なのかどうかを怪しむ気持ちが消えないでいた。
あの話し合いのときの魔道力といい、これだけの財の目録といい、とてもじゃないが偽者が準備できるようなものではないのはわかっているが……。
それはともかく、シモンはふと気になったことがあった。
「……それについてはやぶさかではないけど、おそらく、ロウ……ロウ殿は、夕食には戻れないだろうな。クリスチナの愛し方は特別でね。おそらく、ふたりは朝まで戻ってこないよ」
「いえ、ロウ殿には、あなた方ふたりが夕食に参加するので、ひとり分の席を余計に準備するようにと伝えられています」
「ふたり増えるから、ひとり分の席を増やす?」
おかしな物言いだと思った。
すると、ブルイネンの顔がまたもや笑みが浮かんだ。
どうでもいいけど、凛として引き締まっているときの彼女も美しいが、こうやって微笑むときには、こっちがたじろぐほどの可愛らしい表情になる。
さっきの話によれば、あのロウは、あのときにいた女たちだけでなく、目の前のブルイネンも抱いているということだろう。
他人の女を奪ったりする趣味はないが、さすがに嫉妬も抱きたくなる。
うらやましいことだ。
「わたしたちのロウ殿も、あなたの婚約者殿に負けず劣らずに、変わった抱き方をされる人ですから……。それはともかく、あなた方は随分と変わった関係なのですね。自分の婚約者が他の男と愛し合うのが平気などと……。あっ、いえ、これは失言でした……。申し訳ありません」
ブルイネンが恐縮したような口調になる。
さらに、頭をさげようとしたので、シモンはそれを制した。
「よく言われるね。だが、俺もクリスチナも、ほかの相手を抱きながらも、お互いに尊重をし合っている。まあ、そういう関係だと納得してもらうしかないね」
シモンは笑った。
「そうですか……。でしたら、夕食の際には驚きにはなりませんように……。ロウ殿のやることについて、わたしは予想がつきますが、夕食に同席するのは、すべて身内ですので……」
すると、ブルイネンが微笑んだまま、意味ありげに言った。
*
ロウと一緒に「寝室」だという部屋に行こうと思ったら、人間族の童女と獣人少女のふたり連れと出くわした。
ふたりが壁に避けて廊下を開けたが、ロウはそのまま通り過ぎることなく、ふたりの頭に手をやって、なにかを耳元でささやきかけていた。
クリスチナには聞き取れなかったが、ふたりが真っ赤になり、しかも、人間族の童女がはにかむように嬉しそうな表情をした。
「さっきは、あの子たちになんて言ったの?」
再び歩きだしてからクリスチナは訊ねた。
すると、ロウが振り返ってにやりと微笑んだ。
「特別なことはなにも……。今日の夜は一緒に入浴をしようと言っただけですよ。あの子たちには、俺たちが辺境候領に行くときには、別行動をさせる予定でしてね。その分、しっかりとかわいがってあげないと」
「な、なんですってえ──」
かっとなった。
さっきから夕食前に、クリスチナとの性愛を終わらせるとうそぶくのも気に入らないが、それはともかく、彼女たちは年端もいかない童女ではないかと思ったのだ。
クリスチナも性愛にかけては、好色で見境のない方だから、他人の性癖にどうこういうつもりはないが、心も身体も成長しきっていない童女を奴隷にして弄ぶような変態は大嫌いだ。
あれだけの女たちが慕うのだから、きっとそれなりの男なのだろうと、ロウに対しては、ちょっといい印象を持ち始めていたので、大いに失望してしまった。
「まさか、隷属させてるんじゃないでしょうねえ」
クリスチナは怒鳴った。
もしも、そうなら、殺さないまでも、しばらく性器が使い物にならないくらいには、痛めつけてやろうと思ったのだ。
場合によっては、彼女たちを助けてあげたいと思う。
他人のものであっても、意に沿わぬ立場にいる弱い立場の女の存在をクリスチナは許さない。
話によっては、ロウへの性愛の最中に、彼女たちの隷属を解いてしまおうと思った。
すると、なぜかロウがくすくすと笑った。
「奴隷身分なのかという質問であれば違いますよ……。それに言っておきますけど、あのふたりはあなたよりも、余程に強いですよ。まともに戦えば、いくらあなたでも、数瞬も立っていられない」
「はあ? 冗談を言ってんの?」
「本当のことです……。ところで、着きましたよ」
ロウがそう言って、ひとつの部屋の前にやってきて扉を開いた。
中は小さな書斎だった。
クリスチナは首を傾げた。
「どういうこと? ここでふたりで本でも読もうというのかい? 悪いけど、あんたを犯しにきたんだけどね。狭いところがいいならそれもいいけど、わたしはあんたを引き回して、廊下に連れ出すかもしれないよ……。いや、それも面白いかねえ?」
クリスチナは言った。
だが、ロウに促されて部屋に入った瞬間、書斎だと思っていた部屋が、さっきの会議場くらい大きな場所になった。
しかも、正面の壁には棚があり、ちらりと見ただけでさまざまな責め具が置いてあった。大小の各種の鞭も別の壁に吊っている。さらに、天井からは魔道の遠隔操作具付きの鎖まで吊り下げられている。
しかも、四本もだ。
天井にはレールのようなものがあるから、あの操作具でどういう位置にも動かせそうだ。
拷問部屋……いや、嗜虐部屋というところだろう。
この屋敷にこんな場所が?
クリスチナは呆気にとられた。
しかも、一瞬前まで、小さな書斎だと思った気がしたが……。
「クリスチナさんは、こういう場所がいいんじゃないかと思って準備しましたよ。いかがですか?」
ロウが言った。
そして、扉が背中側で閉じられる音がした。
クリスチナは鼻を鳴らした。
「そうだね。こういう場所が望みかもね……。ところで、こういう部屋があるということは、やっぱりさっきの童女や獣人娘も、こういうところで弄んでいるということだよねえ?」
「否定はしませんけどね……。それが俺の愛し方ですし……。クリスチナさんは気に入りませんか?」
「ああ、そうだね。年端のいかない童女とか、獣人だからといって隷属をさせていたぶるような男は、どいつもこいつも糞っ垂れさ。そんな男は吐き気がするほど、気に入らないね」
クリスチナは、目の前のロウに火の出るような平手を喰らわした。
「ふぶうっ」
ロウがその場に崩れ落ちた。
「なにぐずぐずしてんのよ──。さっさとその場で服を脱ぎなさい。全部よ──」
クリスチナは、収納術のこもっている腰袋から乗馬鞭を出した。
調教のときに愛用をしているクリスチナの道具だ。
この鞭ひとつで、相手の皮膚をすっぱりと切断することもできるし、逆に傷も残さないのに、大の男が泣き叫ぶような激痛を与えることも自在にできる。
「えっ、ここで、すぐに?」
倒れたロウが上体を起こしかけながら言った。
クリスチナは、そのロウの肩を蹴り飛ばして仰向けにひっくり返し、鞭でズボンの両端を二閃して腰紐ごと引き裂く。
さらに、ロウのズボンを掴んで強引に引き裂いて剥がした。
「すぐにだよ、糞ったれが──」
クリスチナは下着だけになったロウの股間に足を乗せて、じわじわと体重をかけていった。
「いがあああ」
ロウが苦悶の声をあげる。
「ほらほら、まだ両手は自由だろう? 上を脱ぐんだよ。さもないと、このまま金玉を踏み潰すよ」
クリスチナは、股間を踏んでいる足をどけようともがくロウの手を鞭で払いながら、じわじわと股間を踏みつける靴に力を込めていった。
「わ、わかったああ、あああっ」
ロウが情けない声をあげて、もがくように上半身の服を脱ぎ出す。
クリスチナは、その惨めな姿に哄笑した。
そのときだった。
いきなり、ロウを踏みつけていた足が宙に浮いたのだ。
「うわっ、なに?」
クリスチナは狼狽えた。
驚くことに、ロウの股間を踏んでいた片脚の足首に革枷が装着されていて、だんだんとそれが天井に向かって引っ張りあげられているのだ。
いつの間に、そんなものを足首に取り付けられたのか、全く気がつかなかったので、クリスチナは仰天してしまった。
そのあいだも、どんどんと、クリスチナの足首は天井に引きあがっていく。
「驚いたなあ……。まあ、こういうのも少しは受け入れるのもいいけど、夕食前に戻る約束だしね……。ああ、そうそう。服だったね。まあ、それが望みなら、先に脱ぐさ」
ロウが笑いながら立ちあがり、服を脱ぎ出す。
それはともかく、クリスチナの片脚はすでに頭よりも高くなり、さらにあがったところで、体勢を保てなくなり、クリスチナはひっくり返った。
「うわっ」
とっさに頭を守ろうとして、鞭を放り投げて床に両手をつく。
だが、すでに頭が浮かぶほどに身体を宙吊りにされていて、頭は打たないですんだ。
しかし、その代わり、逆さ吊りになっているために、スカートが垂れ落ちてくる。
クリスチナは、咄嗟に手で裾を押さえた。
「さて、服を脱がないと、鞭で打つんだっけ? じゃあ、俺もそうしようかな。心配しなくても、傷は残さないよ。その代わり、とても痛いと思うけどね」
いつの間にか、下着一枚になっていたロウが、クリスチナが落とした乗馬鞭を拾って、クリスチナがスカートを押さえている手の甲に、鞭を一閃させた。
「んぎいいいい」
信じられないような激痛が打たれた手から迸り、クリスチナはスカートから手を離してしまった。