【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】 作:ドン・ドナシアン
色々と途中経過をすっ飛ばしていますが、前話から本話のあいだの話は、ご想像にお任せしますることにします。
少し多忙で、なかなか投稿する余裕がありませんでした。今日は週末に休日がなかったので、代わりの休暇をもらっています。
*
「なかなか壮健ですね」
案内をされたテーブルの席につくと、シモンは思わず言った。
夕食は一緒にということで、ロウたちが食事をする席に招待を受けたかたちだが、そのロウはいない。
シモンの婚約者のクリスチナとともに、この屋敷の別室で愛し合っているのである。
当然に、ロウの席はシモンの向かい側に準備されているようだが、まだ空席になっていた。
その代わりに、ロウの女たちが横長のテーブルに揃っている。
シモンもそうだが、クリスチナもまたお互いの性には関与しない約束になっており、婚約者という関係であろうとも、クリスチナが誰と寝ようと気にしないし、クリスチナもまたシモンが誰となにしようと気にしない。
ただ、婚約のときにかわした契約を守ってもらえればそれでいいのだ。
クリスチナとはそういう関係だ。
そして、クリスチナは、ロウが多くの女を囲っているという状況が気に入らないと口にして、半ば強引にロウを閨に誘っていった。
そして、いまに至っている。
あれから半日ほど過ぎており、夕食までには戻るとロウは豪語していたが、果たしてどうなっているのか……。
とにかく、興に乗ったときのクリスチナの激しさと過激さはよく知っている。
相手が辺境候家の客人として遇するということが決まったロウといえども、それにクリスチナが遠慮するとも思えない。
今頃は、ロウがどんな目に遭っているが想像して余りある。
夕食には戻ると口にしたロウに対して、クリスチナは、明日の朝までかけてたっぷりとロウを調教すると言っていたので、十中八九、ロウとクリスチナが夕食会に参加するとも思えない。
そして、案の定、テーブルに準備されたロウの席は空席になっていた。
もっとも、ロウの女たちは、夕食には戻るとロウが口にしたことで、この食事会にロウが現れると思っている。
シモンは何度もあり得ないと説明しているのであるが……。
「壮観とは?」
食前酒を優雅に口にしながら、エルフ族女王のガドニエルがシモンに視線を向ける。その仕草も見事と言うほどに美しい。
さすがのシモンも嘆息してしまう。
そのガドニエルの席は空席になっているロウの席の隣であり、シモンと向かい合う席だ
また、空席の反対の隣には、エリカというやはりエルフ族の美女が座っている。
事前調査によれば、エリカはロウの冒険者仲間であり、もっとも古い愛人ということだった。話によれば、ロウはことさらエリカを大切にしていて、一介の冒険者であるにすぎないエリカのことを別格的に扱っているということだ。
それがこの席次にも現れている。
ただ、そのエリカとロウの情報も、二年前からのことからしか集まらなかった。
エリカにしても、ロウにしても、エルフ族の小さな里に現れる以前のことは情報をとることはできなかったのだ。
しかし、ハロンドール王国の王都に新米冒険者として移住すると、あっという間に、ロウという男は世に出てきた。
一応は隠されているが、王国でイザベラ王女と王太子の地位を争っていたキシダイン卿を失脚させ、その過程の中で、王女イザベラ、シモンの姉であるアネルザなど、王都で地位のある多くの女性たちを虜にして、いつの間にか陰で権力を握るキーマンのような立場を手に入れてしまった。
シモンも、ロウと面と向かって会うまでは、ロウのことを疑問視していたが、おそらく、彼は本物だ。
女の力を利用してのし上がったという印象を持っていたが、会うことであれだけ突き抜けていれば、女たらしという能力であろうとも、一流の男ではないかと思い直した。
しかし、実際には何者なのだろう……?
それはともかく、食前酒を口にしながら優雅に微笑むガドニエルは、さすがは女王という貫禄も感じる。
また、平服という指定であり、ガドニエルもシモン同様に軽い服装なのだが、彼女の美しさの前には、そんな平服も可憐な衣装に見える。
いや、ガドニエルだけでなく、テーブルについている女性たちは、誰も彼も美しく可憐だ。
もっとも、これだけ女性たちだけに囲まれる食事というのは、シモンも経験はない。だから、それを“壮健”という言葉で表現したのだ。
「全員が美しい女性たちばかりだということですよ、女王陛下」
シモンは食前酒のワインで口を濡らした。
「なるほど、そうか」
一方で、ガドニエルは微笑むこともなく、つまらなそうにそれだけを言った。
ロウが同席しているときとの雰囲気の違いがすごいなと思った。
これには、シモンも苦笑してしまった。
「もうすぐ、コゼたちが食事を運んでくるはずだ。ワインのお代わりはどうだ? わたしには酒の味はわからないが、ロウの一番妻のケイラがロウのために、ゲートを使って、わざわざ移送してきた最高級のものらしいぞ」
隣に席を取っているシャングリアが声をかけてきた。
この夕食会には給仕のような者はいない。
目の前の食前酒もそれぞれ手酌で注いでいた。
シモンだけは客人扱いで、いま話しかけたシャングリアが注いででくれたが、ほかの女たちも誰かに注がれるわけでなく、勝手に自分で器に注いでいる。
そして、酒を飲む者と果実水のようなものを飲む者と半々くらいである。
それはともかく、一番妻──?
「もらおう。だが、いま、一番妻と言ったか?」
シモンはワインの瓶をシモンに向かって傾けてきたシャングリアに、グラスを向けて訊ねた
ロウがまだ未婚のはずだ。
目の前の女王ガドニエルと婚姻を前提とした間柄という噂だが、愛人関係であるのは確かだが、婚姻の約束になるかまではわからない。
エルフ族女王がただの人間族と婚姻関係を結ぶわけはないが、ふたりに接していると、それもあるのかとも思ってしまう。
まあ、目の前のガドニエルがロウに接するときの態度を見ると、女王の方がぞっこんだというのは間違いなさそうだが……。
そして、まだ公開はされていないが、ハロンドール王太女のイザベラがロウの子を宿しているという情報もシモンは掴んでいる。
あっちにしても、王太女ほどの王族が地位のない冒険者あがりの子爵と婚姻をするなどありえないが、エルフ族女王から英雄認定を受けたということで、王配という線もあるのだろう。
どうせ、これから世は荒れる。
爵位などよりも、実力がものを言う時代であることは確かそうだし……。
ともかく、ロウの婚姻ということであれば、このふたりの名が最初に出てくるのかと思ったが、すでに婚姻をしている?
しかも、ケイラとは誰だ?
「自称よ。自称妻」
皮肉っぽく言ったのは、ユイナというエルフ娘だ。
ユイナはシャングリアの向こう側に座っている。
いま、このテーブルについているのは、エルフ族女王のガドニエル、そして、エルフ族のエリカ、ユイナ、親衛隊長のブルイネンもいる。そして、男爵家令嬢にして女騎士のシャングリア、スクルドと名乗っている王都で処刑されたことになっているスクルズだ。
イライジャという肌の黒いエルフ女性もいる。
また、料理を準備していて、すぐに料理を持ってやって来ると聞いているのが、人間族のコゼ、元女闘士のマーズ、獣人娘のイット、そして、童女魔道遣いのミウだそうだ。彼女たちの席もこのテーブルに準備されている。
「あら、自称ということはありませんわ。享さまは、ちゃんとご主人様にいただいた結婚指輪をお持ちでしたわ。ご主人様もはっきりと妻だと話しておりましたし」
口を挟んだのはスクルドことスクルズだ。
スクルドの席はシモンの左横である。
やはり、すでに妻を名乗らせている女がいたのだと思った。
しかし、まだシモンの情報には入ってきていない。
“キョウ”と呼ばれ、さらに“ケイラ”という名の女……。
考えたが、シモンには思いつかない。
ケイラといえば、エルフ王族の重鎮のひとりであるケイラ=ハイエルだが……。
「知らないわよ。前世で妻だったって、なにさ。わけがわかんない」
ユイナが不機嫌そうに言った。
前世──?
シモンは首を傾げた。
「ふたりとも、余計なことを喋るな」
そのとき、ブルイネンがぴしゃりと言った。
ブルイネンは、ガドニエルの横の席にいる。
「はい、お待ちどう様でしたああ」
そのとき、元気な声がした。
顔を向けると、台車の載せた食事をミウをはじめとした数名の女性が運び入れてきたところだった。
大皿の持った魚料理、肉料理、果物に菓子……。
かなり、豪華だ。
美味しそうな香りもしている。
最初に声をかけてきたのは、童女魔道遣いのミウだ。
「さあ、どうぞ──。イットとマーズもお願い」
ミウが声をかけると、ミウを含めた三人がテーブルに並べ出す。
スクルドが立ちあがって、それを手伝いだした。
すぐに大皿の料理がずらりとテーブルに並んだ。
「ミウ、コゼは?」
エリカが声をかけた。
そういえば、いつもロウにくっついている小柄の女がいない。
「すぐに来ます。ロウ様が戻ったので、ロウ様を案内してきます」
ミウが空いている椅子に座りながら言った。
マーズとイットも席に着く。
しかし、ロウが戻った?
随分早いな……。
シモンが思ったのはそれだ。
すると、ミウたちが食事を運んできた側とは反対側になる扉が開いた。
「ご主人様と雌犬様もお戻りよ」
入ってきたのはコゼだ。
くすくすと笑いながら扉を大きく開く。
すると、ロウが入ってきた。
「あっ」
次の瞬間、シモンは大きな声をあげてしまった。
ロウに続いてクリスチナが入ってきたのだが、クリスチナは腰に黒い革の下着を身につけている以外は完全に裸だったのだ。
しかも、四つん這いであり、クリスチナの首輪には犬に装着するような首輪があり、それには鎖が繋がっていて、その鎖をロウが引っ張りながら入ってきたのだ。
あのクリスチナが──?
シモンは目を疑った。
あのクリスチナをこんな風にしてしまうなど、ロウはどんな魔法を使ったのだ?
「クリスチナ、婚約者に挨拶だ。言われた通りにしろ。逆らえば調教のやり直しだ。また鞭打ちから始めるぞ」
部屋に入ったところで立ちどまったロウが微笑んだまま、後ろを四つん這いでついているクリスチナに言った。
「ああ……。そ、それは……。シ、シモン殿……。い、いえ、シモン様……。わ、わたしはご覧のとおりに、ロウ殿の雌犬になりました……。で、でも、これからはシモン殿の雌犬として引き渡されます……。どうか、ご指導のほど、よろしくお願いします」
クリスチナがはっきりと宣言をした。
シモンは唖然とした。