【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】 作:ドン・ドナシアン
「ううう、くそう……」
シズは天井からぶら下がっている鎖によって、後手に縛られた縄尻を吊られて立たされた格好で小さく悪態をついた。
ここがどういう場所なのかわからない。
ただ、石牢のような場所だと知れるだけだ。
四周を石壁に囲まれていて、出入り口は正面の壁にあるが、人間がしゃがんでやっと通り抜けられるほどの高さの鉄格子の扉であり、頑丈そうな鍵が鉄格子の向こう側に嵌まっているのが覗いている。
その鉄格子の向こうにやはり、石畳の廊下のような場所であるみたいであり、雰囲気からはどこかの地下牢を思わせた。
しかし、その廊下からの燭台の明かりが辛うじてここを薄暗く照らしているが、あまりにも暗くてよくはわからない。
また、話し声のような声もするが、それはシズが監禁されているこの場所とは、かなり遠い場所から聞こえている。残念ながら話し声の内容までは聞き取れない。
そういう場所に、シズは一糸まとわぬ素っ裸で、縄で後手に縛られて、天井から吊されて立たされているのだ。
どうしてこういうことになったのか、まだうまく理解できない。
本物のテレーズ=ラポルタ女公爵母娘を探すというクエストによって、ゼノビアとともにカロリック公国にやってきた。
そして、廃墟となったシャロンの城郭を歩いている最中に、そのゼノビアから放置責めを仕掛けられ、拘束のうえ目隠しをされて置いてけぼりにされたのだ。
そのときに、すぐに得体の知れない男たちに見つかり、そのままさらわれてしまったというわけだ。
記憶にあるのはここまでだ。
あのとき、あっという間に、薬のようなものを嗅がされて意識を失い、気がつくとここに監禁されていた。
武器どころか、下着さえも剥ぎ取られて完全な素っ裸になっていた。
気がついたときには、いまの状態で天井から後手縛りの縄を吊られて立たされていたということである。
意識を戻してから視界に入った者はいない。
シズは、ひとりだけで放置をされていたのである。
廊下から聞こえる話し声の男たちに対して、大声を出して状況を探る手がかりを得ることも考えたが、この拘束が解けない以上、それが得策とは思わなかった。
それよりも、このまま意識を失った振りをして、誰かがやってくるのを大人しく待ち、逃亡の機会を狙う方がいいのではないかと思い、こうやってずっとじっとしたまま上体を倒したままでいる。
いずれにしても、ずっと後手の縄を解こうとしているが、しっかりと関節を極めて縛ってあり、どんなに時間をかけようとも、解ける感じはしなかった。
つまりは、シズを縛った相手は、それなりの玄人ではないかと思う。
それにしても、あまりにも不自然なことだらけだ。
ゼノビアが「嗜虐責め」の一環として、隠微な仕掛けをしてシズを放置したり、あるいは、人目のある場所でシズを辱めること自体は珍しいことではない。
シズとゼノビアは、女同士で性交をするような関係であるが、かなりの嗜虐癖のゼノビアがシズを苛め抜いていたぶるという関係でもあり、そのゼノビアに徹底的に躾けられたシズは、いまや、完全な被虐の性癖に染まらされてしまっている。
ゼノビアにあんなことをされるのは、ふたりの日常なのだ。
だが、それでいて、こういう危険に遭遇したのは初めてのことだ。
その点、ゼノビアはしっかりとしているのだ。
どんなことをされても、ゼノビアは、必ずシズを守るという信頼はある。だから、シズは、「百合責め」のときのゼノビアに完全に身を委ねるのだ。
しかし、シズは捕らわれてしまった。
だからこそ、ゼノビアがシズを放置して立ち去った直後に不審人物が現れてシズを誘拐したのは、とても奇妙なことのように思える。
もしかしたら、ゼノビアが裏でなにかの糸を引いているのではないか……。
そんな気がした。
そもそも、ゼノビアはおかしなことを喋っていた……。
シズがロウのことに未練があるようなことを口走ったことで、荒療治が必要だとか……。
そのときだった。
突然に牢の外から男の笑い声がしたのだ。
はっとして、顔をあげそうになったけど、シズは我慢した。考えていたとおりに、まだ意識を失っている演技をすることにしたのだ。
「おや、まだ意識がねえのか? そろそろ起きてもいいころなんだけどな」
シズは薄眼で、正面の低い鉄格子に視線を向ける。
そこには、見覚えのない男がこっちを覗いていた。
しかも、ふたりいる。
自分の格好を思い出してはっとした。
だが、耐える……。
すると、金属音がして鉄格子が開いた。
若い男がふたり、四つん這いになって入ってきた。
燭台を持っている。
部屋の中は明るくなったが、シズは脱力したまましっかりと目を閉じた。
「だが、いい身体しているよなあ。さすがはエルフだぜ。あんな新入り野郎だけにいい思いをさせるなんざ、もったいねえぜ」
「まったくだ。まあ、どうせ娼婦に仕上げれば、何十人、何百人と客を取らされて壊れるんだし、まだべっぴんのうちに味わっとこうぜ。耳に挟んだけど、エルフだけど、魔道は遣えねえそうだ。だから、魔道封じさえも必要なかったみたいだ。心配ねえ。ばれねえよ」
「へえ、だったら、いくらでもやり放題じゃねえかい」
ふたりが下品な笑い声をあげて、シズの前後に立つのがわかった。
シズは、ふたりがずっと廊下の遠くから聞こえていた話し声を同一人物だと悟った。もしかしたら、このふたりは見張りであり、シズがここに監禁されていることを知っていて、話しをしているうちに、シズを悪戯しにやってきたのかもしれない。
いや、そうだろう。
シズは目を開いて身体を起こした。
「舐めるんじゃないわよ、ちんぴら──。あたしに指一本でも触れたら容赦しないからね」
咄嗟に啖呵を切る。
目を開いて見ると、目の前の男は随分と若い気がした。
むしろ、少年といっていい。
しかし、まともな仕事をしている者じゃないことは一瞬でわかった。
目の前の少年だけじゃなく、後ろからもはっとするような息遣いが聞こえた。だが、それもまた、すぐに笑い声に変わった。
その声も若い。大人になりかけの少年というところだ。
「こりゃあ、驚いた。起きていたのかい。まあ、だったら都合がいいぜ。意識のねえ女を犯しても面白くねえしな」
「せいぜい泣き叫びな。どうせ、大声はりあげたところで、どこにも聞こえねえ、地下牢だしな」
「聞こえたとしても、クルチザン教会のど真ん中だ。お前を犯しに来る男が増えるだけだ」
少年たちが代わる代わる嘲笑する。
よく喋る男たちだと思ったが、おかげでシズが置かれている事情が飲み込めてきた。
“クルチザン教会”というのは、言葉のとおりの宗教施設ではない。奴隷専門の大娼館の店の名前であり、テレーズ=ラポルタ女伯爵が女奴隷として売り飛ばされた先かもしれない場所として、ゼノビアとともに候補にあげていた相手である。
しかし、クルチザンの経営する店は、カロリック公国内だけで二十は超え、さらに表には出せない女を娼婦として抱かせる闇娼館もあるという噂であり、シズたちもまだ十分に情報を集めきっていない状態だったのだ。
そのクルチザンに連れて行かれた?
やはり、これは偶然ではない気もした。
いずれにしても、そのクルチザンの地下牢?
つまりは、クルチザンの闇娼館の施設にさらわれたのか?
とにかく、もっと情報を……。
「クルチザン教会の闇娼館ということ? あの廃墟のシャロンにそんなものがあったの?」
「シャロン? あの獣人どもが襲った城郭か? ああ、そういえば、こいつはそっから運ばれてきたんだったな。いや、ここはファンゴルンだ」
「ファンゴルン?」
ファンゴルンというのは、カロリック公国の公都だ。
シズは、シャロンから公都まで運ばれたということか……。
「とにかく、たまんねえぜ。いい生えっぷりだ。ちょっと薄目だけどな」
正面の少年がシズの太腿の付け根にすっと手を伸ばした。
「なにすんのよ──」
かっと頭に血が昇ったシズは、片脚で正面の少年の脚を払った。
犯されることくらいは承知で、このお喋りなふたりからもっと情報を搾り取ろうとおも考えていたのだが、陰毛のことを言われて激情が込みあがってしまったのだ。
ハロンドールでゼノビアとともに、ロウたちに囚われたとき、ロウたちに手を出そうとしたお仕置きとして、ゼノビアと並べて陰毛を剃りあげられた。
あれから、やっと生えてきたのだが、少年たちが陰毛に話題を触れたことで、あのときの恥辱と恐怖が沸き起こった。
そして、それが一瞬後に激怒に変化したのである。
「うわっ」
正面の少年がひっくり返る。
そのまま急所を踏み潰す。
「んごおおおおっ」
倒れた少年が七転八倒する。
「あっ、なにしやがる、こいつ──」
後ろ側の少年がナイフを抜いた気配がした。
シズは後ろ蹴りでそいつの横っ腹を跳ね飛ばす。
「ぐあっ」
二人目も蹴り飛ばされて、床に倒れる。
「く、くそう、よくも……」
しかし、そいつはすぐに起きあがった。
手に持ったままの刃物をシズに向ける。
「このシズ様を見くびるんじゃないわよ──。それ以上、近づいてごらん。あんたも、金玉蹴とばすわよ──」
もしかしたら、ゼノビアの仕組んだことじゃないかという考えはすっ飛んだ。
いまは、激しい怒りがシズを覆っている。
「股ぐらを丸出しで、手も縛られて、よくも盾突けるなあ。覚悟はしてんだろうなあ」
「やれるものなら、やってごらんなさい──」
さっきの口ぶりなら、シズはこのクルチザンの闇娼館で娼婦として店に出させるつもりのはずだ。
だったら、刃物で傷などつけるわけがないが、目の前の少年の眼は血走っている。
なにをするかわからない……。
そもそも、そんな知恵の回る者たちには思えない。
「ちょっとくらい傷つけても、治療術で回復できるさ。丸裸で縛られて抵抗できるならしてみな。寸刻みにしてやるからな──」
脅かすつもりだとは思うが、少年が刃物をシズの胸近くに、さっと振った。
シズは天井から吊られている身体を回転して避ける。
また、刃物を出してくる。
再び、身体を回して避ける。
すると、少年が笑い出した。
「へへへ、小さい胸でよかったな。小さいから刃物が当たらねえぜ」
必死に刃物を避けるシズの姿が面白かったのだろう。
少年が下品に笑った。
シズはまたもや、かっとなった。
「余計なお世話よおお──。小さいのもいいって、言われたんだから──」
脅すつもりで深く足を踏み入れてきた少年に向かって、再び蹴りを繰り出す。
膝を蹴り割るつもりで、蹴り込む。
「んがああああ」
刃物を持っていた少年がその場に倒れる。
シズは刃物を握る手を力の限り踏む。
指の数本が折れる感触が足の裏に伝わってきた。
しかし、一瞬、我に返った。
小さいのがいいと言われた……?
それを言ったのは、ロウじゃなかったか……。
さんざんに、シズを犯しながら、ロウはシズが女として美しいとも、可愛いとも言った。
拘束されて惨めに犯されたが、そのときだけは嬉しかった……。
えっ、嬉しかった?
シズは自分の思考に当惑した。
「いてえええっ、ち、畜生──。殺してやる──」
腕を押さえて起き上がろうとしたところをシズは顎を蹴りあげて、ふっとばした。
後ろに倒れたそいつが石壁に頭を打って静かになる。
そのときだった。
廊下がばたばたとして、数名の男たちがやってくる気配がした。
そのまま、新たに誰かが入ってくる。
腰をかがめて、新たに石牢に誰かが入ってきた。だが、まだ外に幾人がいる気配がある。
「やれやれ、この女が縛られてよかったなあ、お前ら……。いま頃、素っ裸で縛られた女に殺されていたところだぜ。だけど、俺は言ったはずだぜ。そいつは、
入ってきた男が石牢の中の光景を眺めて、呆れたように言った。
無精ひげの肌の黒い筋肉質の男だ。
もちろん、見覚えはない。格好な冒険者風であり、腰に年季の入った短剣を吊っている。
だが、声に聞き覚えがある感じはした。
もしかしたら、あのとき、薬で気絶させられるときにいた男のひとり?
「や、やまかしい、新入り──。お、お前だけがいい思いするなんて、許されることじゃねえんだよ」
顎を蹴られた少年が蹴られた場所を手で押さえながら怒鳴った。
また、最初に睾丸を蹴りあげて倒した若い少年も、やっと身体を起こす。
「それで、のされれば世話ないんだよ。ばーか」
無精ひげが吐き捨てた。
すると、シズに蹴り飛ばされた最初のふたりが顔を真っ赤にして怒ったのがわかった。
「なんだと、ジョン──」
少年のひとりが喚いた。
そのとき、外から二人目が入ってきた。
身なりがいい。髪も整髪剤で調えており、おそらく幹部クラスだとわかる。
「てめえら、勝手なことをしたな。しかも、商品を刃物で傷つけようとしたんだな……」
新たに入ってきた男が少年ふたりを睨みつけた。
すると、腹を立てていたふたりが顔を蒼くした。
「い、いえ……、そ、そんなわけじゃ」
「俺たちは別に……」
ふたりの少年が顔色を悪くしたまま首を横に振る。
「おい、外に連れ出して殺せ。見張りも満足にできない糞ったれたちだ」
幹部らしき男が外に向かって怒鳴る。
ふたりが泣き出した。
「そんな、ブレイドの兄貴──、許してください──」
「ちょ、ちょっと味見するつもりで……。も、もう二度としませんから」
男はブレイドというらしい。
明らかに、かなりの権力を握ってるのがわかる。
ブレイドに足にすがるように若い男ふたりがすり寄った。
「触るんじゃねえ──」
大きな風が発生して、ふたりが壁に背中を叩きつけられた。
魔道遣いか──。
シズは目を見張った。
しかも、無詠唱だ。
威力もある。
シズは魔道は遣えないものの、こいつがかなりの上級魔道遣いだということはわかる。
「外に連れ出せ」
ブレイドが再び怒鳴ると、廊下からさらに数名が入ってきた。
すでに気絶しているふたりを引きずりだしていく。
「さて、ジョン、ボスに大言を吐いた限りは、やることはやれよ。時間は半日だ。それでこの女を奴隷にできなければ、お前もいまのふたりと同じ目にあわせる」
「十分ですよ、ブレイドさん。これでも玄人の調教師ですよ。小娘ひとりにそれほどはかかりませんって」
調教師?
ジョンと呼ばれた無精ひげの男がにやにやと笑みを浮かべて近づく。
シズは再び膝を蹴りあげた。
「おっと、お転婆だな」
だが、簡単に膝を抱えられてしまった。
シズは目を丸くした。
「ちょ、ちょっと離して──」
シズはもがいた。
だが、びくともしない。
「さて、こうなったら、足技は使えないだろう? 見ててください。ブレイドさん、これから、じゃじゃ馬馴らしにかかりますから」
ジョンがシズの片脚を抱えたまま、顔だけをブレイドに向けた。
「ちょ、ちょっと──」
シズは足を振り払おうとするが、まるで岩にでも挟まっているかのように足が動かせない。
さすがに片足で立っている状態では、男を蹴りとばすこともできない。
一方で、ブレイドは腕を組んで、壁に背をつけて見学の構えだ。気がつくと、牢の中の人間は入れ代わり、シズのほかには、このジョンとブレイドだけになっている。
「ほらよ。女を屈伏させるには、昔から色責めと決まっている。お前みたいな女も、調教師の俺にかかれば、すぐに屈伏するさ」
すると、ジョンが空いている手で腰の後ろからなにかを取り出して、シズの首に嵌める。
がちゃりと音がした。
首輪?
もしかして……。
「奴隷の首輪だ……。知っているとは思うが、最初に奴隷化するときには、ただ隷属の首輪を嵌めるだけじゃだめだ。心の底からの屈服が必要だ。さて、じゃあ、屈服してもらうぞ」
ジョンが片手でシズの足を抱えたまま、片手をシズの太股に持ってきてくすぐるように手で撫ぜ始める。
「ひんっ」
シズは身体を反り返らせた。
ジョンと名乗る男に内腿を触られた瞬間、まるで稲妻にでも打たれたかと思うような快感の疼きが走ったのだ。
「随分と敏感だな。これは墜ちるのも早いかもな」
ジョンの指がつっつっと指が股間のぎりぎりとのところを愛撫する。
「くっ」
またもや、快感が走る。
これは──。
シズは歯を喰いしばった。
まるでシズの身体を知り抜いているような的確な愛撫だ。
「ブレイドさん、まずは気をやらせます。それで脱力させます。そうしたら、本格的に料理します」
「好きにしてくれ。ボスの言いつけだ。半日はお前の好きなとおりにさせろと言われている。まあ情報提供料としての見返りだ。それに、いい調教師ならいくらでも雇いたいしな。これは試験でもある」
「わかってます。よろしくお願いします。俺の技をお見せしますから……」
「お手並み拝見だな……」
ブレイドが壁に背をつけたままくすりと笑った。
そのあいだにも、ジョンの指がシズの股間を無防備に動き回る。
指の腹でくすぐり、揉み、強く弱くクリトリスを弾くようにする。
「ああっ」
耐えられずに悲鳴に似た声を張りあげてしまう。
すると、ジョンはすっと口をシズの耳に持ってきて嵌め始めた。
「や、やめてええ」
シズは顔を揺さぶって叫んだ。
淫らな陶酔が全身を席巻してきている。
それほどの強い愛撫ではない。
だが、ひとつひとつの動作が確実にシズの弱い場所を狙ってくるのだ。
「……そのまま、大きな声で悶えるのよ……。あいつにあたしの声が聞こえないようにね、シズ……」
そのとき、耳を追いかけるように舐めながら、ジョンがささやいた。
「えっ?」
シズは目を見開いた。
そのとき、ぎゅっとクリトリスを強めに抓られた。
「んひいいい」
シズは絶叫した。
「どうだい、お嬢さん? 男を蹴りとばすよりも、ずっと気持ちがいいだろう?……」
ジョンが大きな口調で喋り、次いで、またもや耳を舐めてくる。
そして、「あたしよ……。それよりも、声を出して」とささやいてきた。
もしかして、ゼノビアお姉様──?
シズは驚いた。
そして、口を開く。
「あああっ」
シズは部屋に響き渡るような嬌声をあげた。
「いい感じに仕上がってきてますよ。見ててください、ブレイドさん」
ジョン……いや、ジョンと名乗る男に化けたゼノビアが愛撫の手を激しくする。
「うふううう」
シズは絶叫した。