※この作品はR-18です。

【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】   作:ドン・ドナシアン

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643 お披露目会の罠

 あの地下牢でシズと朝まで過ごしたゼノビアは、朝になって姿を現したブレイドに、シズに隷属がかかっていることを報告した。

 ブレイドは鑑定術を遣えるのか、しばしのあいだ、シズを凝視するような仕草をしたがやがて、満足そうに頷いた。

 すると、シズの首輪に鎖を繋いで連れてくるようにゼノビアに伝えてきた。

 

 このときのシズは、すでに隷属が刻んであるこということを言い訳に拘束を解いて、横にさせて休ませていた。実際に、ひと晩に近い時間を責め続けられて、さすがにシズも疲労困憊しているし、シズがこれから遭わされる仕打ちを考えると、ある程度の休息は必要だ。

 さもなければ、本当に折れてしまう可能性もある。

 

 一方で、普段ではあり得ない、男の身体でシズを侵し続けたゼノビアも、かなり疲れ果ててはいた。

 だが、熟練の調教師という触れ込みである以上、余裕のある姿勢を崩すこともできず、床に背もたれて休むだけにしていた。

 もちろん、ゼノビアは、ギルドから借りている変身リングで、ジョンという薄汚れた男に扮したままである。

 

「わかりました、ブレイドさん……。おい、いい加減に起きろ、シズ──」

 

 ゼノビアは、わざと乱暴に足でシズの身体を蹴り動かす。

 シズがまどろみから覚醒して眼を開けたが、石牢の中にジョンという男に化けているゼノビアだけでなく、ブレイドもいることに気がつき、はっとしたように裸体を腕で隠す。

 

「命令だ。左手首を背中で掴め」

 

 ゼノビアは素早く命令する。

 すぐにシズの手が背中に回って固定される。

 ゼノビアは、調教具が詰まっている箱から鎖を出して、ゼノビアの首に嵌まっている隷属の首輪にその鎖を繋いだ。

 次いで、背中で組ませた両手首を前に出させ、金具の付いた革枷をそれぞれに嵌めさせる。いまは拘束されていないが、枷と枷を金具で接続したり、首輪の前後にある金具に鎖で繋ぐことができる。

 この闇娼館で働く性奴隷の全員に装着されているものであり、隷属の首輪のほかに、娼館からの逃亡を防ぐ魔道が刻まれていると教えられている。

 それを嵌めたのだ。

 シズの足首にも同じものを装着する。

 

「娼館に移動する。ついてこい」

 

 ブレイドが背を屈めて、低い出入り口から廊下に出た。シズを引っ張っているゼノビアも出る。

 廊下には十人ほどのブレイドの部下が待っていた。

 

「ど、どこに……?」

 

 歩き始めると、さすがにシズが不安そうに言った。

 身体を隠すなという命令は取り消したので、両手で胸を股間を隠して歩いている。シズを囲んだ男たちがぶしつけな視線を向け続けるので、羞恥と恥辱に顔を可愛らしい顔を歪めている。

 

「娼館に行く。お前のお披露目会があるらしい。そこでこのブレイドさんが準備した男娼に抱かれることになるようだ。それが終われば、客をとる場所に移動する。ほかの娼婦とともに、そこで男に奉仕することになる。ほかの娼婦とも仲良くするんだな。お前はここのクルチザン教会の闇娼館の性奴隷になったんだ……。そうですよね、ブレイドさん?」

 

 ゼノビアは言った。

 このことについては、すでにシズには夕べのうちに説明を刻み込んでいる。

 シズもわかっている思う。

 ただ、周りの者の手前、一応質問をぶつけているだけだろう。

 

 すなわち、これはシズにクルチザン教会の闇娼館に潜入させるための計略なのだ。今回のクエストは、ハロンドール王国内から連れ出されたラポルタ=テレーズ女伯爵の母娘を見つけ出して救い出すことであり、彼女たちがこのクルチザン教会の闇娼館に売りとばされたようだということは、高い確証をしている。

 しかし、かなりガードが高く、どうしても、性奴隷となって潜入する以外の手段で内部には入れそうになかった。

 それで、シズには悪いが、性奴隷になってもらって、わざと連中に引き渡す計略を組んだのだ。

 

 シズには、心の中で何十回も謝り倒している。

 もちろん、シズの苦しみに見合う罰も、ゼノビアは受けるつもりである。しかし、いまは、あえて調教師であり、シズをクルチザンに売り飛ばす男として、娼館に入り込むことにした。

 

「その通りだ。だが、まずはヴィトー様が味見をするだろう。(ブラボー)クラスほどの女冒険者を闇奴隷として捕らえたとあって、ヴィトー様は大きく興味を持ってな。しっかりと奉仕しろ」

 

 ブレイドが無表情のまま言った。

 シズが歯を喰いしばるような表情になる。

 ゼノビアは、もう一度、心の中でシズに謝った。

 

 しばらく地下牢を進むと、家具などがまったくない部屋に着いた。ただ、部屋の真ん中に魔道陣が刻んである。

 魔道陣に乗るように言われたので、シズの首輪を引いて進む。一緒に来たのはブレイドだけだ。ほかの護衛らしき者は部屋の壁で待機するような態勢をとった。

 

 すぐに、腹がねじれるような感触が襲う。

 びっくりした。

 「移動術」だ。

 

 どうやら、さっきの魔道陣は移動術の文様だったのだ。しかし、移動術の魔道陣など、設置にも保持にもかなりの魔道と手間がかかる。動力となるクリスタル石もそれなりのものになるだろう。

 こんなものがあるというのは、やはり、クルチザンという組織が巨大な実力を持っているということがわかる。

 

 さっきとは違う場所に転送された。 

 一転して豪華な雰囲気を感じさせる広い部屋だった。

 部屋の半分は地下牢から跳躍した部屋にあったものと同じ魔道陣が床に刻んであり、向こう半分には大小の座り心地のよさそうな椅子が並べてあって、酒を口にさせるような設備も整っている。壁紙も、壁に掛かる美術品も、品のいいものだし、ここは闇娼館にやってくる客を迎える部屋だろうと思った。

 

 クルチザンの闇娼館の場所は秘密のベールに包まれていて、ゼノビアの調査でも場所がどこなのか全く情報を得ることはできなかった。

 幾つかある噂のひとつには、闇娼館は通常の入り口などない地下にあり、出入りは魔道による手段でしかできないというものもあった。

 どうやら、それが正解かもしれない。

 ここが闇娼館だとすれば、そんな感じだ。

 

 だから、果たしてここが、さっきまでいたカロリック公国の公都の郊外にあったクルチザン組織のあじとのひとつの近くなのか、あるいは、公都とは離れている別の場所なのかもわからない。

 いずれにしても、ここから逃亡するには、移動術のような手段によらなければ不可能になっているのだろう。

 闇娼館から逃亡した娼婦という話はないし、魔道でしか出入りできないのであれば、娼婦の逃亡も不可能ということなのだろう。

 

「ご苦労様です」

 

「お疲れ様でございます」

 

 部屋には地下牢のときとは異なる貴族に仕える召使いのような出で立ちの男女が十人ほど集まって待っていた。彼らの半分以上は美しい女だ。

 彼らが一斉にブレイドに向かって頭をさげる。

 

「ヴィトー様は、一ノスほどで来られるという連絡が……」

 

 待っていた者の中から一番身なりのいい執事風の男がブレイドに近づいて、ささやいた。

 中肉中背の柔和な顔をした四十過ぎの人間族の男だ。

 執事風であるが、彼がかなりの武芸の持ち主であることは、ひと目でわかる。

 

「一ノス? 随分と早いな」

 

「有能な女冒険者を陵辱できると耳にして、愉しみにしておられるようです」

 

 苦笑したブレイドに、その男が口元をあげて応じた。

 ゼノビアはふたりに見えないように、シズに目線だけで謝った。シズは「問題ない」とまばたきで伝えてきた。

 まばたきを持って意思を疎通するのは、ゼノビアとシズのあいだで決めている伝達手段だ。

 まばたきの回数や間隔、そのときの口の開きで言葉を伝えるのだが、一応はかなりの言葉を伝達できる。

 ゼノビアも「ごめん。耐えて」という言葉をまばたきでシズに伝えた。

 

 とにかく、闇娼館に捕らわれている奴隷娼婦に接するには、娼婦としてさらわれて混じるしかないのだ。

 だが、そのためには、ある程度の仕打ちを受けなければ、娼館の奥の部分には入ることができない。

 シズがやらされようとしている娼館幹部たちによる輪姦もそうだ。また、客の相手をするまでのあいだに、一定の調教のようなことを受けて躾けられるのか、それとも、そのまま客をとらされるようになるのかもわからない。

 シズには申し訳ないが、テレーズ母娘と接触して居場所を確認できるまでは、それらのことに耐えてもらわなければならない。

 

「よし、ジョン、こいつ……シズだったな。シズを世話女たちに渡せ。支度をさせる。隷属の刻みを使って、女たちに絶対服従を命じろ」

 

 ブレイドがゼノビアに振り向いた。

 

「い、いえ、シズの調教係は俺……ですよね。俺が同行して躾けます。これも調教の一環ですし……」

 

 ブレイドにシズという女冒険者を無償で引き渡す条件としたのは、ジョンという調教師をしばらくは、シズの専属にすることだった。

 ジョンという調教師は、シズをギルドで見かけて横恋慕していて、本来であれば手の届かない(ブラボー)ランクの女冒険者を、クルチザンの力を借りて捕らえて犯したいのだという設定にした。

 ブレイドの上司であるヴィトーという首領にも顔通しを受け、そのとき、了承してもらいもした。

 だめで元々だったが、シズの貞操と尊厳を犠牲にするとはいえ、ゼノビアが横についていれるようだと安堵もしていた。

 

「ただの女の支度だ。それは女に任せろ」

 

 ブレイドが鼻で笑う仕草をする。

 仕方がない……。

 

 ゼノビアは、寄ってきた女たちのひとりにシズの首輪に繋がっている鎖を渡すと、シズに向かって口を開く。

 

「……彼女たちに絶対服従。彼女たちの言葉を俺の言葉と思って、一切逆らうな。自殺、自傷、他者を傷つける一切を禁止する。いいな──」

 

 ゼノビアは、シズの眼を見ながら言った。

 シズがぶるりとかすかに震えて、服従の首輪による隷属魔道を使った「命令」が浸透する仕草をした。

 そのとき、ブレイドがにやりと笑った気がした。

 シズが女たちに連行されて、どこかに連れ去られる。

 

「ヴィトー様の前でのお披露目式には同行してもらうぞ、ジョン」

 

「もちろんです」

 

 ゼノビアは頷いた。

 

「別室で食事を準備させている。夕べからほとんど食べてないだろう」

 

 ブレイドが言い、部屋に残っていた者に合図を送る。

 すると、女ふたりと男ひとりがゼノビアの前に来た。

 

「こっちだ」

 

 男が言い、女ふたりが後ろに立つ。

 彼らの案内で部屋を出た。

 廊下に出る。

 

 奥の奥という感じのところまで、かなりの距離を歩いた気がした。廊下は入り組んでいて、しかも、同じ装飾品や絵画があちこちに飾られており、道を覚えにくい工夫になっている

 すると、ひんやりとした部屋に着いた。

 真ん中に椅子とテーブルがあり、そこに簡単な食事がすでに準備されてあった。

 

「上着と武器を預かる。ヴィトー様の前では、こちらで準備した服に着替えてもらう。下着から靴も全部だ」

 

「服を?」

 

 驚いて言った。

 随分と用心深いことだと思ったが、逆らっても仕方がない。

 とりあえず、頷いておいた。

 ヴィトーというクルチザンの首領が非常に用心深いことは認識しているのだ。

 先日、ブレイドの仲介で会ったときにも、徹底的な身体検査ともとに、同じように向こうが準備した服に着替えてから面会となったことを思い出した。

 本当に徹底しているようだ。

 

 上着と腰にさしていた短剣を男に渡す。

 男はそれを受け取ると、お披露目会の開始までここで待っているように告げて去っていく。

 残った女ふたりが給仕の位置についた。

 

「給仕されるような身分じゃねえよ。放っておいてくれ。勝手にするよ」

 

 ゼノビアは男口調で女たちに笑いかけた。

 だが、女たちはひと言も喋らないし、身じろぎさえもしなかった。ただ、ゼノビアの両側で給仕の態勢をとったままだ。

 ゼノビアは肩をすくめてから、大人しく食事を始めた。

 

 食事が終わる。

 すると、妙に尿意を覚えてきた。

 シズについては、地下牢の中での調教にかこつけて放尿をさせておいたが、ゼノビアについては一度も地下牢から出ていないこともあり、見張りもいたことから、半日以上も用を足していない。

 直接ここに来たし、有無を言わせずにここまで連れてこられた感もあり、用を足す機会がなかった。

 意識すると、急激に尿意を感じてくる。

 

「わ、悪いな……。ちょっと厠に行きてえ。案内してくれるか?」

 

 迎えが来るまで待つように言われたが、あっという間に尿意が抜き差しならないものになってきていた。

 ゼノビアは女に向かって言った。

 

「わかりました。では、まずはお着替えください。その後すぐに厠にご案内します。着替えなしに、この部屋の外に出ることはできませんので……。用心のためです。そのように命じられています」

 

 すると、女のひとりが応じた。

 ゼノビアはわざと大袈裟に苦笑いした。

 

「おいおい、漏れちまうぜ。先に厠に行かせてくれ。すぐに終わるからよ。それとも、ここでしていいか?」

 

 わざと粗野な言葉遣いで笑う。

 

「ご随意に」

 

 女が無表情で言った。

 まるでとりつく島がないという様子だ。

 しかし、まさか、本当にここでおしっこをするわけにはいかない。

 ゼノビアは嘆息した。

 

「わかったよ。じゃあ、着替えさせてくれ。だから、すぐに厠な」

 

 ゼノビアはひそかに腿を締めつけながら言った。

 なぜか、どんどんと尿意が高まってくる。

 まるで、飲み食いしたものの中に利尿剤でも入っていた感じだ。

 いや、まさか……?

 

「こちらです」

 

 部屋の壁のひとつにあった扉の前に連れて行かれた。

 扉の向こうに小さな部屋があり、床にかごがある。

 

「裸になって、そこに全部入れてください。着替えの服は交換にお渡しします」

 

 ゼノビアが入ると、そう言って扉を閉められ、向こうから鍵をかけられた。

 

「お、おい、ふざけんなよ──。着替えるから服を寄越せよ──」

 

 驚いて扉に向かって怒鳴る。

 しかし、扉の向こうからは、先に服を脱いでから着替えを渡せと命じられているの一点張りだ。

 ゼノビアは嘆息した。

 

 仕方がない。

 ゼノビアは、いさぎよく上から下まで全部を脱いで、すっぽんぽんになると身につけていたものを全てをかごに放り込む。

 

「脱いだぜ」

 

 扉に向かって叫ぶ。

 

「では、前にお進みください。着替えはその向こうです」

 

 扉の外から女の声が返る。

 

「向こう?」

 

 ゼノビアは首を傾げて、入ってきた扉の反対側を見た。すると、ただの壁だと思っていた場所が開いて、赤い布が敷いてある更衣室のような場所がその奥に出現した。

 確かに、かごに入った衣類が隅に準備されている。

 

「行けばいいのか? だけど、厠はどうなるんだい──」

 

 ゼノビアは次の部屋に進んだ。

 途端に、はらわたがねじれる感触が襲う。

 移動術?

 

 はっとしたが、そのときには周囲が変わっていた。

 跳躍させられた先は、大勢の人間が床の絨毯に直接に座って酒盛りをしている大きな広間だった。

 

 広間の真ん中では、丸い寝台があり、その上で小太りの男が後ろ手に縛り上げた小さな女をうつ伏せにして、尻だけをあげさせて犯していた。

 犯している男は、ヴィトーだ。

 ブレイドを仲介に一度会っていた。

 また、ヴィトーが犯しているのはシズだった。

 ヴィトーはシズを後ろから貫き、シズの尻たぶを片手で持ってしっかりと押さえ込み、怒張を尻の下からシズの股間に貫いて反復運動をしている。もう一方の手はシズの背中で縛り合わせた手首を掴んで、ぐっと自分の方に引き寄せたり、また離したりして、局部の摩擦を愉しんでいる様子だった。

 ゼノビアはぎょっとした。

 

「あっ、これは──」

 

 そして、さらに驚いた。

 ゼノビアはシズが犯されている寝台の横に設置された丸く囲まれた狭い鉄格子の中にいたのだ。鉄格子は天井から床に向かって貫いており、広さはやっと人ひとりが立てるくらいだ。

 もちろん、かごにあった着替えなどない。それは元の場所に置いたままにされ、身ひとつでゼノビアは跳躍させられたみたいだ。

 罠──?

 そのとき、風のようなものが床から天井に向かって吹き上がった。

 

「きゃああああ」

 

 身体が脱力して、その場にしゃがみ込んでしまった。

 しかし、鉄格子が狭いので膝をついてしゃがむと、お尻が鉄格子にくい込むくらいになる。

 また、ゼノビアは変身が解けて、自分が女の身体に戻っていることを知った。

 

「うわっ」

 

 慌てて裸体を手で隠す。

 

「……これが変身具か? 貴重そうな魔道具だな。もらっておくぞ」

 

 腕が外から捕まれた。

 鉄格子の外に出るには間隔が狭いが、腕くらいは容易に入れるくらいには、鉄格子の間隔があるのだ。

 腕を掴んだのは、ブレイドだった。

 抵抗するまもなく、手首を握られて、指から指輪が抜き取られてしまった。

 

「な、なにすんのよお──」

 

 取り返そうと魔道を放とうとしたが、自分の身体から魔道が抜き取られてしまっているのがわかった。

 さっきの風だ。

 一瞬にして、魔道遣いから魔道を抜く仕掛けがあったようだ。

 魔力を抜かれたために、変身が解けてしまったのだとわかった。

 ゼノビアは舌打ちした。

 

「魔道封じを刻む」

 

 ブレイドが鉄格子の外から声を出したのが聞こえた。

 そのときには、ブレイドはゼノビアの手を離している。

 

「くっ」

 

 腹に魔道の文様が刻まれた。

 

「ははは、ブレイドは一流の道遣いだ。(ブラボー)ランクというが、その程度の魔道能力では、その魔道封じを無効にはできんぞ」

 

 ヴィトーだ。

 シズを犯しながら大笑いしている。

 どうやら、最初から、ゼノビアの工作などばれていたようだ。

 

「ああっ、あああっ、んはああああっ」

 

 そのとき、シズが全身を震わせて絶頂の仕草をした。

 しかし、様子がおかしい。

 ゼノビアに反応しないし、全身の汗もおびただしい。なによりも、反応が激しすぎる気がする。

 

「シ、シズになにかしたの──?」

 

 ゼノビアは鉄格子の中から叫んだ。

 

「全身が狂うような強い媚薬を飲ませた。男が欲しくてたまらなくなる薬だ。ここで全員の相手をしてもらわないとならないしな。ところで腕を出せ」

 

 ブレイドが言って、再び鉄格子から手を伸ばす。

 

「な、なにを──」

 

 慌てて手を引く。

 しかし、周囲に男たちが群がっていて、鉄格子のあいだから一斉に手が入ってきた。

 さすがのゼノビアも、この状態では抵抗できない。

 いまは、魔力が抜かれて、魔道も使えないのだ。

 

 おそらく、この小さな檻の床には、移動術の転送先とする文様とともに、魔力を抜く魔道陣があると思う。

 ついに、外から片側の手首を掴まれて手錠をかけられた。手錠の反対側が鉄格子にかかる。

 激しく抵抗したが、結局、もう一方の腕も同じようにされた。

 鉄格子にかかった手錠に天井からの鎖がかかり、引き上げられる。

 ゼノビアは檻の中で手をあげて立たされてしまった。

 

「なにするのよお──。離せ──、離せよおお──」

 

 ゼノビアは絶叫した。

 

「いきがいいな……。ところで、そろそろ小便がしたいのではないか? まずは余興だ。(ブラボー)ランクの女冒険者の立小便でも披露してもらおう」

 

 ブレイドが檻の外から言った。

 檻に集まっていた周囲の男たちがどっと笑った。

 

「おっ、始めるか? じゃあ、こっちも一度終わるか……。おい、シズ、命令だ。やってくる男たちの命令を聞け。前の穴と、後ろの穴、口も使って全員に奉仕しろ」

 

 ヴィトーが腰を揺すって、シズの股間に精を放つ仕草をした。

 すぐに、シズを離して立ちあがる。

 すると、さっきシズを連れて行った女と同じ者がヴィトーに集まり、身体を拭いたり、服を整え出したり始める。

 

 ヴィトーが、さっきシズに隷属の命令を使った感じになったのは、さっきの女たちに服従をしろとゼノビアがシズに伝えた命令を利用し、さらに女たちからヴィトーへの服従も指示を与えられたということだろう。

 一度刻んだ隷属の魔道は、言葉によって簡単に命令が与えられるので、命令権の譲渡と解放により、あっという間に複数の命令に従う奴隷に成り果てさせられてしまう。

 その機能を使ったのだ。

 

「三人ずつあがれ」

 

 ブレイドが言った。

 歓声があがり、寝台のシズに男が三人群がる。

 やはり、シズの様子がおかしい。

 顔は呆けていて、目つきが定まっていない。

 

「や、やめなさい──。媚薬なんて――。なんてものを使うのよ──」

 

 ゼノビアは叫んだ。

 

「心配ない、冒険者……。ゼノビアだったか? 飛んで火に入るなんとやらだが、最初に言っておく。シズの隷属権限は、現段階ではお前にあるが、それを俺に譲渡しろ。そして、お前もまた服従の誓いをしろ。心からな」

 

 ブレイドが言って、檻の外からゼノビアに、奴隷の首輪を首に嵌める。

 はっとする。

 これで、ゼノビアがブレイドに屈服の感情を抱けば、その瞬間に、ゼノビアもまたブレイドの奴隷に成り下がってしまう。

 

「そ、そんなことするわけでしょう──」

 

 ゼノビアは叫んだ。

 一方で、吊り上げられている手首の手錠を揺すってみるが、とても外れそうにない感じだ。

 

「ならば、抵抗してみるか? 現段階でシズの命令権はお前にある。逆らえとでも命令すればいい。俺の部下たちも、多少の抵抗がある方がやりがいがあるだろうしな。俺たちはどっちでもいい。逆らい続けて奴隷にされるも、大人しく奴隷になるも同じことだしな」

 

 ブレイドは言った。

 ゼノビアは歯噛みした。

 その通りだろう。

 

 ここで抵抗の言葉を告げても、大きな意味はない気はする。あの状態のシズが抵抗できるとも思えない。

 しかし……。

 

「シズ──。命令を解く──。すべての命令を解くわ──。気をしっかりと持ちなさい。命令よ──」

 

 ゼノビアは怒鳴った。

 シズが一瞬だけ顔をあげた。

 やっとゼノビアを認めたようだ。

 隷属の命令は、言葉で与えられた命令を身体がなんとしても実行しようする。気をしっかりと持てと命じられたので、シズの精神が媚薬に抵抗をしようと努力し、それで束の間正気に戻ったのだ。

 

「ああ、お姉様ああ──」

 

 シズが泣き叫んだ。

 しかし、そのシズに男たちが四方八方から愛撫を始めると、たちまちによがり来るって理性を失った感じになった。

 

「ほう、そういうやり方もあるのか……。まあ、好きにするさ。どうせ、お前は、最後にはシズの隷属を俺に譲渡することになる。やり方はいくらでもある……。それよりも、その腹の文様は魔道を封じるだけじゃない。娼婦になるお前の身体をある程度操ることができる。こんな風にな……」

 

 檻の外のブレイドがそう言うと、ただでさえ切迫していた尿意が倍増した。

 

「ひっ」

 

 ゼノビアは内腿を密着させて、股間を引き締めた。

 

「おっ、いよいよ、始まるか?」

 

 服を着てきたヴィトーがやって来た。

 

「これなどいかがですか、ヴィトー様?」

 

 一転しておもねるような表情になったブレイドがどこからか準備した長い柄のついた羽根毛のついたものを手渡す。

 それを受け取ったヴィトーは、相好を崩してゼノビアの入っている鉄格子のすぐ前まで来ると、羽根毛のついたその棒を差し込んで、無防備なゼノビアの脇の一方をくすぐりだした。

 

「きゃあっ」

 

 ゼノビアは避けようとしたができない。

 くすぐられると、力が抜けて、一気に尿意が暴発しそうになる。

 懸命に股間に力を入れる。

 

「ほれほれ、簡単に粗相をするでないぞ。しっかり耐えてみよ。ほら、ほら……。これはどうじゃ? これは?」

 

 笑いながら脇の下や脇腹などをくすぐってくる。

 

「いやああ、やめろおおお」

 

 ゼノビアは悲鳴をあげた。

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