【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】 作:ドン・ドナシアン
一郎側の視点となります。
*
「陛下、ロウ殿、そろそろ……。ええっ?」
急遽準備してもらった会合の刻限なのだろう。
ブルイネンが部屋に入ってきた。だが、部屋の入口のところで、驚いたように声をあげて、そのまま硬直してしまった。
「ああ、時間か?」
しかし、一郎は素知らぬ体裁をとって、入口のところで部屋の中を凝視しているブルイネンに声をかけた。
今日の一郎は、冒険者風の出で立ちでなく、ハロンドール王国貴族然とした服装だ。正装というほどではないが、粗末なものではない。
生地もデザインも一流のものであり、首回りや袖、襟には小さいが宝石を使った男性用の装飾具につけている。
ずっと前に、マアから一式贈られたものであり、あまり身につけることはなく、亜空間に収納しっぱなしにしていたが、今日はこれを着ることにした。
ガドニエルの権威を借りて、交渉役を務めるつもりだ。
ならば、いつものような冒険者然としか格好ではなく、それなりの身支度が必要だと思っただけだ。
「あ、あのう、陛下は、ど、どうして……?」
ブルイネンが戸惑ったように言った。
一郎も、その反応に思わず、ほくそ笑んでしまう。
すっかりと親衛隊長としての正装を整えているブルイネンだったが、彼女がびっくりしている原因は、部屋の真ん中で背もたれのない木椅子に腰掛けているガドニエルだ。
女王としては簡素にはなるのだろうが、女王としての威厳を損なわない程度に服装を整えてさせている。しかし、彼女は椅子に座った状態ではあるが、両手首を手枷でひとつに束ね、天井から伸びている鎖に吊して真っ直ぐに伸ばさせる格好をさせているのだ。
しかも、さらに目隠しと口に咥えさせたボールギャグである。
ボールギャグには、穴が開いているので、飲み込むことのできないガドニエルの涎が顎と首元に垂れ続けていた。
そして、ガドニエルの艶めかしい脚と脚の動き……。
しきりに足踏みでもするようにせわしなく脚を動かしながら、スカートの中の太腿を擦り合わせ、さらに腰をもじつかせている。
ほかの女たちは、いつもの服装に整えて、周りで静観しているだけなので、余計にガドニエルの痴態が目立つ。
だから、面喰らっているのだろう。
「目下、調教の真っ最中でね。言っておくが、今回は強制じゃないぞ。ガドがなにをしてもいいと言ったから、遠慮なくしただけだ。それに股間に栓をするのも、彼女の望みなんだ」
一郎はうそぶいた。
そして、ソファから立ちあがって、ガドに寄っていく。
「こ、股間に栓?」
ブルイネンが顔を真っ赤にした。
生真面目な優等生タイプであるブルイネンは、一郎の女ではあるが、羽目を外すような変態的な調教はブルイネン自身にはまだしていない。だからかもしれないが、一郎たちにいつも侍っている割には、明け透けな性行為や乱交、一郎好みの調教行為には、まだまだ慣れることができないらしく、いまのように、それを目の当たりにすると動揺や緊張を隠せなくなる。
さっきも、一度、事前会同の段取りが着いたと伝えにきたときには、一郎とガドの性愛の真っ最中だったのだが、ほうほうの
そのうちに、しっかりとこのブルイネンも、一郎の色に染める機会を作ろうと思った。
「まあ、ガドの望みといえば、そうなのかな?」
「わたしには、逆らえない選択をつきつけたようにしか見えなかったがな。罰として丸一日のお預けがいいか、すぐに調教を受けるのがいいかと問えば、ガドは調教を選択するに決まっている」
コゼとシャングリアだ。
一郎は聞こえないふりをして、ガドの顔から目隠しと口枷を外す。
「ガド、ブルイネンが来たぞ。会同の時間だ……。さて、最後の選択だぞ。本当にこのまま行くか? それとも、栓を抜くか? 少なくとも辛いのは半減するぞ」
「い、いえ、このまま……。慎みのないだめガドの股です。また、ご主人様の精を洗い出してしまいます。しっかりと栓をお願いします。そ、それに苦しいのは罰ですから……。しっかりと調教をお願いします。なんでもしていいですからあ」
「いい子だ。それでこそ、俺のガドだな」
一郎は笑って、舌でガドの口から垂れている涎を顎や首から舐めとってやる。
「ああ、ご主人様ああ……」
ガドが感極まったように、両手を吊りあげられている身体を艶めかしくくねらせた。
「あ、あのう……、陛下に罰って……。なにかあったのでしょうか?」
ブルイネンがおずおずという感じで訊ねてきた。
「まあ、あったというか……。あんたがさっき来たとき、ロウ様とガドが愛し合ってたでしょう。あれって、ロウ様がガドに精をいっぱい注いでやるから、すぐに始まる会同のときに、その精をしっかりと股間に溜めて会同に参加しろっておっしゃってから始まってたんだけど……」
困ったような口調で応じたのはエリカだ。
エリカもまた真面目な性格だし、クレオンたちとの会同を前にして羽目を外すようなことを開始した一郎をそれとなく
半分は諦めた感じであり、それほどに積極的ではなかった感はあるが……。
「せ、精を溜めて?」
「それを洗い流しちゃたのよ。最後の最後に何回目かの精を注がれたときに、潮を吹いちゃってね」
コゼが横から口を挟んでけらけらと笑った。
一郎は女たちの会話に耳を傾けつつ、ガドの手首から手枷を収納術で消滅させる。
「ああん、あっ、ああっ」
すぐに、ガドは自由になった両手で装束の上から股間を激しく愛撫をする仕草をはじめた。
まあ無理もないだろう。
あのとき、潮吹きで一郎が注いだ数発分の精液を一緒に出し、ガドは完全に意気消沈してしまった雰囲気になってしまった。
だから、一郎は、罰として新しい調教を受けるのがいいか、丸一日の放置がいいかと訊ねたのだ。
ガドが放置を選択するわけがないとは思ったが、一郎の言葉にガドは目を輝かせて何度も大きく頷いた。「次こそ、汚名挽回をします」と宣言しながら。
それで施したのが、いま装着させているいつもの貞操帯だ。股間とアナルに挿入するディルドが内側にあり、クリトリスを苛む小枝のような突起もしっかりとある。
一郎はそれに掻痒性のある媚薬を塗ってやった。
しかも、貞操帯は外からの刺激を遮断する特別製だ。これもまたいつものやつである。効き目が本格的になるいままで、ずっと拘束もしていたので、かなり辛いのだろう。
刺激がないと痛感したはずなのに、いまでもずっと両手で服の上から股間を擦っている。
「ほら、我慢だ、ガド」
一郎はその両手を片手でまとめて掴んで股間から離させる。
「あっ、ご主人様ああ。か、痒いです。と、とっても……」
ガドが涙目になって、一郎を見つめてきた。
「会同の場所に入れば、ディルドが動き出す。それで耐えるんだ。ただし、無制御設定にするから、いつ、どう動くかわからないぞ。うっかりと声を出して、女王の威厳を損なわないようにするんだ。命令だ」
一郎は言った。
「は、はいっ、ガドは頑張ります」
辛そうな顔をしていたガドは、一郎の言葉に満面の笑みをして数回頷く。
可愛い女王様だ。
一郎は思わずにんまりしてしまった。
「ああ、今日はガドさんがずっと可愛がってもらって羨ましいですわ。わたしもご主人様の調教をいつでもお待ちしますわ。どんなことでも、なんでも耐えてみせますから……。いえ、耐えきれないかもしれませんけど……」
スクルドが一郎とガドのところに寄ってくる。
今日はしっかりと顔を隠すベールをかけさせている。一応は認識阻害の首輪もつけさせたので、これ以上はスクルドの正体がばれることはないはずだ。
だが、今日の昼間は、成り行きとはいえ、クレオンの前に素顔を晒してしまった。
クレオン自身はなにも言わなかったが、ずっとスクルドに奇異の視線を向けていた。あれは王都で殺されて死んだはずのスクルズだと完全に気がついている顔だった。
それは、まだモーリア男爵領のいるはずのシモンも同様だ。
認識阻害の首輪は、顔を記憶に結びつけたり、記憶に留めるのを妨害する効果はあるが、すでに顔と名が一致している状況では効果はない。
だから、ふたりがスクルズという女神官がまだ生きていると言いふらせば、認識阻害の首輪自体が意味のないものになるのだが、まあ、そのときはそのときか。
当人自体が、別段に無理をして隠そうとしている雰囲気もない。
神殿には戻るつもりはないようだが、ばれること自体はどうでもいいという様子である。
前に“身ばれ”したら、魔道で記憶を消せるのかと訊ねたこともあるが、闇魔道系は得手ではないので、ひとりかふたり程度の簡単な記憶操作ができるくらいと言っていた。しかも、なにかのきっかけで取り戻せるくらいの記憶操作でしかないらしい。あまり役には立ちませんねと、あっけらかんとしていた。
「そのときはな。しかし、今日はだめだ。ガドがこんな感じだから、魔道対応はスクルドの役目だ。よろしく頼むよ」
一郎は言った。
スクルドがにっこりと微笑む。
「わかりました。お任せください。だけど、ご調教のことはよろしくお願いします。いつでもお待ちしてますので……。でも、ガドさん、今日は頑張りましょうね。きっと頑張れば、ご主人様のご褒美がありますわ」
「ああ、ありがとうございます、スクルドさん」
声をかけて、手を伸ばしてきたスクルドの手をしっかりとガドが握り返した。
なんだか悲壮な感じだ。一郎はなんだか吹き出しそうになってしまった。
仕掛けた一郎が思うことではないが……。
「あ、あのロウ殿……、この感じでは陛下は……。準備会同とはいえ、辺境候軍側との正式会同です。陛下はこちら側の代表であって、じっと座っていればいいというわけでも……」
ブルイネンが遠慮がちに一郎に声をかけてきた。
「なに言ってんのよ。じっと座っていればいいに決まっているじゃないのよ。ガドが隣にいさえすれば、ご主人様が仕切ってお喋りになっても、なにもあっちも言わないわよ。今夜と明日のガドの役目は、じっと座っていることよ」
コゼだ。
「そうだな。黙っていて、ほとんど喋らなければ、ガドは本当に気品と威厳のある女王にしか見えない。喋ると、途端にポンコツになるのが可愛いんだけどな」
シャングリアも笑って言った。
「ポ、ポンコツって」
ブルイネンが絶句している。
「ポンコツじゃないのよ。だから、あんたらも長くイムドリスとかいう隠し宮にガドを隠してたんでしょう。それをパリスに狙われたけど」
「そ、そんな、コゼ殿。隠し宮については……。そのう、女王陛下には、俗事には惑わされずに、大所高所から全体を見守ってもらうというか……」
「だったら一緒よ。ガドには大所高所から、ご主人様が相手と交渉するのを見守ってもらうといいわ。ご主人様の調教を受けながらね」
「まあそうだな。ガドもそれが嬉しそうだし。ガドは水晶宮にいたときよりも、この旅のあいだの方がずっと幸せそうだ。あれを見てみろ、締まりのない表情を」
シャングリアが笑っている。
一郎はずっとそれを聞きながら、ガドと接しているのだが、ガドは自分について話されている会話にまったく意識を向けていないみたいだ。
これほどまでに、周りに意識がないのも、ある意味すごいし、さすがはガドだとも思った。
「よし、とにかく準備はできた。乗り込むぞ──。ところで、今夜は全員が朝まで完全休息のつもりだったがすまなかったな。俺たちが動くとなれば、護衛も動かなければならないのだろう?」
一郎はブルイネンに声をかけた。
ブルイネンは軽く首を横に振った。
「全く問題ありません。任務ですから。すでに九人が会場となる建物の前に先行しています。この人数でスクルド殿の移動術で跳躍をし、向こうで親衛隊と合流して、それから案内を受けて会議の部屋に入る手筈になっております。それよりも、ロウ殿のお耳に入れたいことが……」
ブルイネンがそう前置きして語り出す。
口にしたのは、向こうの辺境候軍側の軍営のことだ。
明日の朝には、水晶宮からケイラ=ハイエルこと、享ちゃんが五百人の魔道師団を率いてここに乗り込んでくることがわかったので、急遽、これから、その前に方向性のすり合わせだけでも決定しておきたくて、先行会同を実施することにしたのだが、それを調整するついでに、ブルイネンは、マルエダ家以外のほかの諸侯の動向も確認したのだそうだ。
それによりわかったのは、この辺境候軍の主力となっておる主要六家のうち、マルエダ家を除いた五家が密かに会同を開いているという事実だった。
ブルイネンはそれを教えてくれたのだ。
辺境候軍の軍営がマルエダ家の一枚岩でないことには一郎はすぐに気がつき、昼間のうちに、そのうちにほかの家のこともそれとなく探ってくれとブルイネンに頼んでいた。
ただ、そんなに重要ではないとも伝えてもいた。
この軍営からピカロとチャルタを回収しさえすれば、すぐに離脱するつもりだからだ。ここを出立すれば、すぐにスクルド版の移動術のゲートで短い時間で王都に帰還できる。
そうすれば、王宮に乗り込んで、サキの首根っこを押さえて、一連の騒動は終わりだ。
叛旗を翻している辺境候軍のことはそれからでもいい。
いずれにしても、ブルイネンはそれを心に留めていたようだ。今夜は朝まで休息のつもりだったから親衛隊員には別段の指示はしなかったが、それが覆ったことにより、マルエダ家以外の主要五家の動きを同時に調べさせたようだ。
そしたら、彼らの会同のことがすぐにわかったみたいだ。
「マルエダ家を除く、主要五家の会同か……。そのことをクレオン側は?」
一郎は訊ねた。
この状況でマルエダ家を除く五家が秘密に会同を開いているとなれば、マルエダ家を引き下ろす話し合いに決まっている。
今回のことで、マルエダ家は権威を失墜しているだけでなく、軍事力そのものをかなり損耗している。
レオナルドの引き起こした馬鹿げた突撃で、著しく戦力を失ったのだ。地力があるのですぐに整備もできるとは思うが、いまは狙い時だ。確認してわかったが、一郎やガドたちを包囲して攻撃したのは、軍営のうちでもマルエダ家の本軍が主体だそうだ。
ほかの諸候軍はほぼ無傷なのだ。
一郎がクレオンの立場なら、まず、その隙を突いて、マルエダ家がほかの五家に追い落とされることを心配する。その大義名分は十分すぎるほどにある。
そして、王家の権威が健在なら、王家と結びつきの強いマルエダ家を寄子側が追い落とすなどあり得ないが、ここの一帯の領主たちが王国から離反する状況ともなれば、あり得てくるのだ。
「知っている感じではなかったですね。急遽の会同のことを調整したときには、五家が集まるかどうかはわからないけど、参加できるところについては参加させたいという調整でしたし」
ブルイネンが応じた。
一郎は首をすくめた。
いまは一郎の精の力による能力向上により治政力も抜群のアネルザだったが、一郎と出会う前は治政の能力はそれほどでなかった。だが、政治力は最初からすごかった。キシダイン事件の直前の王都情勢において、血筋が完全なイザベラが孤立し、王宮がほぼキシダイン派で固まっていたのは、キシダイン自身というよりは、アネルザの影響が大きかった。
だから、一郎がアネルザをイザベラ側に寝返らせてからは、キシダインに情報が入らなくなり、簡単にキシダインを孤立化できた。
アネルザの影響力が王宮内でそれだけ大きかったのだ。
それに比べれば、クレオンは実直で律儀者の評判ではあるが、政治力に長けているという風評はない。むしろ、不足しているという評判みたいだ。
まだほとんど接していないのでわからないが、あのアネルザの父親にしては、クレオンは、周りの状況には疎いのかもしれない。
一郎でも考える他家の離散に考慮してないとなれば、あのアネルザの父親にしては、随分と残念だと思う。
こう言っては可哀想かもしれないが、だからこそ、タリオのアーサーなんかにしてやられるのだろう……。
「なんか面倒になりそうだなあ。もしかして、享ちゃんに脅してもらった方が、素直に、ピカロたちを取り戻せるかもしれないなあ」
一郎は苦笑した。
とにかく、一郎の目的は、ここで監禁されているピカロとチャルタを取り戻すことだけなのだ。
こうなることがわかっていれば、無理してでも昼間のうちに身柄だけでも確保しておくべきだった。
ここで向こう側の代表が変われば、これまでの約束など完全に覆る可能性がある。この世界においては、魔族というのは異界に完全に追放したことになっていて、存在を絶対的に認めない。こっち側に出現すれば、問答無用で殺戮するか、完全に隷属して酷使することになっているらしく、穏便な対応というものがあり得ないのだそうだ。
「や、やめてください。冗談でもそんな。長老様は三種の神器をお持ちになっているのですよ」
ブルイネンが驚いた口調で言った。
「冗談じゃないけどねえ。神器とやらの宝珠で脅迫すれば、誰であろうと文句を言わないだろう?」
一郎は微笑んでみせた。
「とんでもありません。絶対にお願いします」
ブルイネンが必死の口調で言った。