※この作品はR-18です。

【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】   作:ドン・ドナシアン

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71  刷り込まれた感情

「と、とにかく、止血剤を──。急いで──」

 

 血相を変えたミランダの大声が耳に入ってきた。

 一郎は目を開いた。

 手で押さえている傷口はもう閉じている。エリカの剣で刺されたときに一気に大量の出血をしたので、少しだけ意識を失った状態になったが、もう大丈夫だ。

 建物の中なので、ユグドラの癒しの効果が遅いが、それでも大地からやってくる加護の力は開かれたままの扉からでも伝わってくる。おかげで、すでにかなりの傷は塞がれた。

 建物の外に行けば、すぐに完全回復するだろう。 

 

「ミ、ミランダ、必要ない……。もう、大丈夫だ……。それよりも、替えの服をくれ。これじゃあ、エリカとあの男を追えない……」

 

 一郎は立ちあがった。

 

「そんな、ロウ。動いちゃだめだ……」

「そうです。エリカならあたしたちが捜しますから──。ご主人様、だめです──」

 

 シャングリアとコゼが慌てたように、一郎の身体を両側から掴んで引きとめた。

 一郎は苦笑した。

 そういえば、このふたりには、一郎が授かった「ユグドラの癒し」の力について説明していなかった。

 

 一郎は説明した。

 ふたりは呆気に取られていたが、コゼが思いついたように、外に通じる扉を全開にし、さらに窓という窓を開放する。

 すると、大地からの風が一郎に当たり、傷が急速回復した。

 

「大丈夫だ。ありがとう、コゼ」

 

 一郎はふたりの支えを離させて、ひとりで立った。

 そのとき一郎は、そのシャングリアとコゼのステータスに奇妙なものが存在することに気がついた。

 

 

 

 “シャングリア

  人間族、女

  ……

  状態

   一郎の性奴隷

   淫魔師の恩恵

   刷り込み(ジョナス)”

 

 

 

 “コゼ

  人間族、女

  ……

  状態

   一郎の性奴隷

   淫魔師の恩恵

   刷り込み(ジョナス)”

 

 

 

 刷り込み……?

 ジョナス?

 あの男のことか……?

 

 一瞬だったから完全には読み取れなかったが、扉の外に隠れていて、エリカに一郎を刺せと叫んだ髭面の男……。

 

 あの男のステータスには、“操り師”というジョブがあった。

 確かレベルは“25”……。

 名は、確かにジョナス……。

 人間族、年齢は四十歳……。

 

 あいつめ……。

 動機はわからないが、あのジョナスがエリカを操りの技で支配し、一郎を殺させようとしたのは間違いない。

 一郎は、コゼが運んできた椅子に腰掛けさせらながら、自分の腹が怒りで煮えたぎるのを感じた。

 

「ロ、ロウ、大丈夫なのだな? 本当に、本当にもう大丈夫なのか? なあ、大丈夫なのだろう──?」

 

 シャングリアが完全に気が動転した感じで、座っている一郎の前にしゃがみ込んできた。そのあまりにも動揺している姿に思わず苦笑してしまう。

 一方で、コゼはほっと安堵の表情をしている。一郎の様子を見て、もう危ない状況ではないことがわかったのだろう。

 

「ロ、ロウ、あんた、大丈夫なの? さっきの傷は、致命傷になりかねない深い傷だったわ。本当に大丈夫なの?」

 

 ミランダだ。

 あの百戦錬磨の元冒険者のミランダが、狼狽えているのが少し面白かった。ミランダは部下からギルドで保管していた「万能治療薬」の魔道薬を受け取り、それを一郎に持ってきたが、一郎はそれを手で制して断った。

 すでに、ユグドラに与えられた治癒力で出血した血も戻っている。貧血で頭がくらくらする状況も脱した。

 

「問題ない……。深くは説明していなかったが、俺には自己治癒能力があるんだ……。それより……」

 

 一郎は、ジョナスという冒険者のことを訊ねようとした。

 あのジョナスには、操り師というジョブのほかに、冒険者というジョブもあった。

 もしも、ハロルドで暮らしている冒険者であれば、ミランダが知っているはずだ。

 

「なあ、ロウ──。なにがあったのだ──? エリカはロウを刺して、ひとりで逃げていってしまったぞ。さっぱりわからない」

 

 そのとき、シャングリアが口を挟んだ。

 

「えっ?」

 

 一郎は驚いた。

 ひとりで逃げるもなにも、一郎はエリカに刺されたとき、血相を変えた様子の髭面の男がエリカの腕を掴んで駆け去っていくのをはっきりと見た。

 それなのに……。

 一郎はコゼに視線を向けた。

 

「コゼ、お前はどう見たんだ? エリカはひとりで逃げていったか? エリカと一緒にいた男を覚えているか?」

 

「お、男……? エ、エリカはひとりで逃げていきましたけど……」

 

 コゼは一郎の問い掛けに当惑して答えた。

 一郎には、ふたりのステータスにあった“刷り込み”というのが、具体的には、さっきのジョナスという操り師のことを「忘却」するという暗示だと悟った。

 そういえば、エリカに刺される直前に、一郎の心に何者かの意思が侵入してくる感触を味わった。

 あるいは、あれは、あの操り師が一郎の心に接触しようとした兆候なのかもしれない。

 

 だが、あの操り師が“レベル”というものを理解できる力を持っているかは知らないが、一郎の淫魔師としてのレベルはすでに“70”だ。それに対して、あのジョナスの操り師としてのジョブは、わずか“25”──。

 もしも、ジョナスが一郎を操ろうとしても、それはできなかったはずだ。

 そういう意味では、コゼもシャングリアも、レベル“70”の淫魔師である一郎の呪術で支配されている女たちだ。

 ジョナスという操り師は、このふたりを操ろうとしたものの、支配するという状態に陥らせることができず、「忘却」という処置をしたのかもしれない。

 

 だが、同じ一郎の支配にあるはずのエリカは、どうやら、ジョナスの操りに陥ってしまったようだ。

 一郎はそれについて、忸怩たる思いに陥っている。

 これは一郎の甘さが原因だ。

 

 なぜ、エリカに対する一郎の支配がコゼやシャングリアに比して弱かったのか……。

 支配側である一郎には思い当ることがあるのだ……。

 いずれにしても、いまは後悔するよりもすることがある。

 まずは、目の前のふたりを睨む。

 

「コゼ、シャングリア──。お前たちは個室に行け。俺がすぐ行くから、しゃがんで口を開いて待ってろ──。俺が精を注ぎ込んでやる。それで、刷り込みは解ける」

 

 一郎は怒鳴った。

 ふたりは面喰った顔をしたが、一郎の権幕にすぐに小走りに駆けていった。

 部屋に入ったふたりは、一郎の命じたまま、床に膝立ちをして口を開いて待つことだろう。

 すぐにふたりの口に精を注ぐつもりだ。

 一郎の精の縛りのあるふたりについては、一郎の精を注げば、おそらく、あの操り師が手を出した心の縛りは解除できる。

 

 そういう意味では、連れ去られたエリカも、もう一度精を注げば、あっという間に正気に戻るはずだ。

 問題は、ジョナスがエリカをどこに連れて行ったかだ……。

 すぐに追えればよかったが、そういう状況ではなかったし……。

 

「ロ、ロウ……精を注ぐとか……そんなことは、ここでは……」

 

 そのとき、困惑顔のミランダが赤い顔をしてささやいた。

 ふと見ると、周りには、まだほかの冒険者やギルド職員の人だかりができている。

 一郎のさっきのシャングリアたちへの言葉にざわめきを交わしている。

 

「ミランダ、周りの連中を解散させてくれ」

 

 とりあえず、一郎は言った。

 ミランダが周りの人間に立ち去るように指示する素振りをする。

 周囲からやっと人だかりが消えた。

 

「ミランダ、ジョナスという冒険者のことを洗いざらい喋ってもらうぞ。ここに所属する冒険者だと思う。ミランダならそいつの居場所を把握しているだろう? エリカが操られて連れていかれた。とにかく、すぐに追う──。早く、喋れ」

 

 一郎は立ちあがって、個室で待っているシャングリアたちのところに向かいながら言った。

 とにかく、時間が惜しい──。

 こうしている間にも、ジョナスに操られてるエリカをあの操り師がどんなふうに扱うか……。

 もっとも、あのとき、エリカには淫魔術で特別な仕掛けはした。最悪に不愉快なことだけは避けられるはずだが……。

 

「ジョナス──? そのジョナスがどうかしたの? ジョナスという冒険者はこのギルドにもいるけど……。でも、理由を説明してくれないと、あんたに情報を渡すわけには……」

 

 横を着いてくるミランダが訝しむような声を出した。

 一郎は苛立った。

 立ち止まって、小さなミランダの頭に手を伸ばして髪を鷲づかみにする。

 

「ひっ──。な、なに──? ちょ、ちょっと、ロウ──?」

 

 ミランダがびっくりして声をあげた。

 

「いちいち詮索するな。面倒だ──。説明は後でする──。とりあえず話せ──。それと、そのジョナスを追いかけるから、ミランダもついて来い──。コゼやシャングリアだと、あいつの操りに支配される可能性がある。その点、ミランダなら大丈夫だ。俺で仕留められないときは、ミランダが俺を助けろ」

 

 一郎は怒鳴りつけた。

 エリカを連れ去られたことで、怒りで血が煮えたぎっている。

 その腹いせをミランダにぶつけたかたちだ。

 

 一度離れた者たちが、副ギルド長のミランダを一郎が乱暴に扱って、大きな声をあげる場面に面して、びっくりしているのがわかった。

 だが、いまこの場では、もうそういう斟酌をする気にもなれない。

 

 とにかく、エリカだ──。

 

「ま、待って、ロウ……。て、手を離して……。ほかの者が見てる……。と、とにかく、中に……。個室に入りましょう……」

 

 一郎に髪を掴まれているミランダが慌てたように、ロウを個室に向かって身体を押した。

 

 

 *

 

 

 住まいにしている宿の部屋に辿り着いたジョナスは、懸命に息を整えながら、やっとエリカの手首を離した。

 まだ、心臓が破裂しそうに激しく鼓動している。

 ここまで全力で走ってきたからだというのもあるが、目の前で人が死ぬのを見たのは、あれが初めてだったのだ。

 

 ジョナスは、女なら完全にだが、男であっても、ある程度の感情統御はできる。

 だから、血を見るような仕事をする必要がなかったのだ。

 しかし、あのロウという若い冒険者は死んだだろう。

 実際に殺したのはこのエリカだが、手を下させたのはジョナスだ。

 ジョナスが殺した……。

 その興奮でジョナスはまだ身体が燃えるように熱かった。

 

「あ、あの……」

 

 エリカが困惑したような顔でじっとジョナスを見つめながら声をかけた。

 ジョナスは、所在無げに部屋の中で立っているその美貌のエルフ娘を見た。

 

 このエルフ娘は、おそらく人を殺すことには慣れている。

 そう思った。

 殺人を犯したことに、少しも動揺している気配がないのだ。

 もちろん、いまはロウのことを憎い敵のように暗示を加えている状態なので、本来は同じパーティ仲間だという感情はない。殺すべき相手だったと思っているだけだ。

 だから、仲間に手を下したという後悔のようなものはあるわけはないが、ただ、人を殺したことには変わりないはずだ。

 しかし、このエリカは、すでにさっきのことなどなかったように平然としている。

 ついでにいえば、これだけ全力で走ったのに、息ひとつ乱していない。

 エルフ族は、本来は森林で生きる狩猟種族だというが、それは本当のようだ。

 いずれにしても、こうなったら、念のためにも、ここはすぐに立ち去った方がいいだろう。

 ジョナスの顔を誰かが覚えていれば、ブラボー・ランクの冒険者であるジョナスは、連絡先をギルドに届けているので、すぐにここが判明する。

 

「大丈夫ですか? ちょっと顔色が……」

 

 エリカが心配そうに、ジョナスの顔を覗いてくる。

 どうやら、ジョナスを心配してくれているようだ。もしかしたら、ジョナスは余程に蒼い顔をしてたのかもしれない……。

 だが、ジョナスは苦笑してしまった。

 直接に人を殺したのは、エリカであって、ジョナスではない。しかも、本来はエリカは死んだ男の女だろう。

 それにも関わらず、ジョナスの方がエリカよりも動揺するなんて……。

 

「問題ない。もう、落ち着いた」

 

 ところで、こうやって面してわかったが、このエルフ娘はただ美しいだけじゃない。びっくりするほどの色香が漂っている。

 とても、我慢できるもんじゃない……。

 とりあえず、このエリカと一発やるか……。

 猛りきっている血を沈めたい……。

 その時間くらいは十分にあるはずだ。

 

「脚を開いて、スカートをめくれ」

 

 ジョナスは声をあげた。

 いずれは顔が割れるとはいっても、それはすぐのことではない。

 エリカの仲間のシャングリアと黒髪の女には顔は見られているが、あれはジョナスの能力で記憶を封印した。

 また、死ぬ直前にロウもまた、ジョナスの顔を見ているが、おそらく、すでに死んでいる。

 あのギルド本部のロビーの中のどれくらいの人間が騒動に気がついて、視線を向けていたかだが、ジョナスは目立たないように、ギルド本部のロビーの入口のところで大人しくしていたので、ほとんどの者はジョナスのことなど見ていないはずだ。

 

 しかし、いずれにせよ、こうなったら、あのルロイという商業ギルドの幹部にエリカを引き渡すのはやめた。

 ああいう男は情報に目敏い。

 冒険者ギルドの騒ぎは知るだろうし、エリカを注文したのはあいつなので、ジョナスが殺させたことは悟る。

 訴えはしないとは思うが、今後の脅迫の材料に使われる可能性はある。

 とにかく、すぐにハロンドールを離れる。

 そう決めた。

 だが、それはなにはともあれ、目の前のエリカを一発犯してからだ。

 

「は、はい?」

 

 エリカがびっくりしたように声をあげた。

 

「早くしろ――。命令だ。それとも、俺に逆らうのか?」

 

「ま、まさか……。そ、そんなに怒らないで……」

 

 エリカは、腰の剣を外して寝台の上に置くと、慌てたように、そろそろと両脚を開いた。そして、短いスカートを両手で持っておずおずとそれをめくりあげていく。

 ふたりきりとはいえ、まだ昼間だ。

 さすがに恥ずかしいのだろう。

 顔が真っ赤だ。

 さらに、羞恥に耐えられないように、エリカは顔を横に向けて目を伏せている。

 

 だが、同時に、エリカは興奮もしている。

 それに気がついた。

 エリカには、ジョナスに対する強烈な愛情の感情を抱かせている。いまのエリカにとっては、ジョナスは死ぬほど愛している恋人と同じだ。

 つまりは、愛している男の前で痴態を演じるという状況に、エリカは欲情をたぎらしつつもあるようだ。

 エリカのスカートが完全にまくれあがった。

 そこには、白い下着がむんむんと息づいている。

 

 ジョナスはしばらくのあいだ、それをじっと見つめた。

 これから、この美貌のエルフ娘を好きなように凌辱して弄ぶことができる。

 そう考えただけで、あっという間に股間が硬くなった。

 

「下着を脱げ」

 

 ジョナスは言った。

 エリカはたくしあげていたスカートから手を離してスカートの中に両手を入れた。

 

「違う──。スカートはまくりあげていろ。そのまま、片手で下着を脱ぐんだ」

 

 ジョナスは怒鳴った。

 

「は、はい」

 

 エリカがジョナスの声にびくりと身体を竦ませた。

 そして、片手でスカートをまとめるようにして押さえたまま、腰を屈めて下着を足首から抜く。

 驚いたが、エリカの股間には一本の恥毛も生えていなかった。

 成熟した女の股間に、童女のような無毛の股間──。

 その不似合さがジョナスを異様な興奮をもたらした。

 

「まずは、自慰をしろ。自慰をしながら、服を脱いでいけ──」

 

 ジョナスは興奮して命じた。

 エリカが目を見開いて、驚くような顔になった。

 

「どうした? できないのか? 俺を愛しているならできるはずだ。それとも、愛していないのか? だったら、どこでも出ていくがいいさ。俺は俺を愛してもいない女などいらん」

 

 ジョナスはわざと笑った。

 

「で、できます……。自慰をしながら服を脱ぎます……」

 

 エリカが慌てたように言った。

 そして、大きく息を吸う仕草をする。

 そのあいだにジョナスはエリカの前に椅子を運んできて腰掛け、目の前のエルフ女の自慰をしながらの脱衣を愉しむ態勢になった。

 エリカがスカートの横の留め金を器用に片手で外し始めた。

 一方で、右手はしっかりと股間に伸びて、自分の股をいじり始める。

 

 美貌のエルフ娘に、娼婦でもしないような破廉恥な行為を強要する──。

 ジョナスの興奮は最高潮に達した。

 

「ああ……あっ? あれ……? な、なんで……?」

 

 そのとき、突然、エリカが困惑した表情でさっと自分の股間に顔を向けた。服を脱ぐ手も股間をまさぐる手も止まっている。

 

「どうした?」

 

 ジョナスも違和感を覚えた。

 エリカが自分の股間を触ったときの手付きが不自然だった。

 ジョナスも思わず、エリカの股間に手を伸ばした。

 

「あっ……」

 

 恥部に直接に触られたときに、エリカの身体をびくりと震えた。

 だが、それどころではなかった。

 ジョナスは驚愕してしまった。

 エリカの股間は、まるで石のように硬かったのだ。

 驚いて、指を無理矢理に捻じ込もうとしてみた。

 

「んふっ」

 

 股間を強く押されて、エリカが甘い鼻息を鳴らした。

 しかし、とんでもなく硬い。

 筋肉が完全に硬直している。

 指を挿し入れるなど到底無理だ。

 これでは性交どころか、自慰も無理だ。

 ジョナスは途方に暮れた。

 

「……どうした、ジョナス? 俺の女だが、遠慮なくぶち込めよ──。お前の一物が石よりも硬ければ、あるいは穴の入口に届くかもしれないぞ……。もっとも、膣も尻も筋肉を石みたいに硬化させたから、穴に捻じ込むのはほぼ不可能と思うがな」

 

 部屋の入口から声がした。

 驚いて振り返る。

 

「あっ、お前は──?」

 

 ジョナスは叫んだ。

 そこには、間違いなく致命傷を負ったと思ったロウが、怖ろしい形相でジョナスとエリカを睨んでいた。

 その後ろには、大斧を持っているミランダがいる。

 

 しかし、ジョナスの視線は、ロウの持っている武器に吸いつくように引き寄せられていた。

 ロウは右手に短銃を構えている。

 王軍の騎士隊などが持つことが多い銃身の短い銃だ。

 引き金を引いて弾丸を発射する武器であり、眼の前のものは二連発式のようだ。

 一介の冒険者が持つには非常に高価なものだ。

 だが、ロウはそれを握っていて、さらに銃口が真っ直ぐにジョナスの身体に向けられている。

 

「俺に武術を教えてくれようとした女がいるんだが、どうにも俺は剣の扱いには向いていないようでな……。それで、王軍の騎兵で装備しているこの短銃ならどうかと持ってきてくれたんだ──。まだ、練習を始めたばかりだが、この距離なら外しようがない」

 

 ロウは言った。

 その声にははっきりとした殺意を感じる。

 ジョナスは背にどっと冷たい汗が流れるのがわかった。

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