【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】 作:ドン・ドナシアン
「くあっ、あっ、き、貴様……」
サキは目の前にいるはずのラポルタに向かって悪態をついた。
だが、その姿を確認することはできない。
あの球体の光を強制的に見せられ、強い発光を感じた瞬間に、サキの眼は視力を失ってしまったのだ。
おそらく、眼の奥で光を感じる器官を焼き焦がされたのだと思う。
はっきりと、頭の奥でなにかが破壊される感覚が伝わってきていた。
「性具加工の処置は、まだまだこれからですよ。リュンネガルト・ゴーテンバウム・サキュテスト様。まだ眼を閉じてはなりません。もうすでに視力は失われているはずですが、治療術などで回復できないように、魔道的に徹底的に視力を司る場所を毀します。もう二度と、ものを見ることはないでしょう。でも、問題ありませんね。サキ様は、これから俺の性具として生きる……いえ、存在していくのですから」
ラポルタがおかしな笑いをしながら、サキの顔の前でなにかをしている。
しかし、真名を使って命令をされてしまい、サキはまたもや大きく瞼を開く。
自分の意思ではなく勝手に身体が動くのだ。
「ぐあっ、あっ」
さらに身体に鋭い痛み……。
さっきラポルタが口にしたことをされたに違いない。こいつのことだから、本当に尋常な回復術では、復活できないようにしたのだろう。
最初に焼却処置したサキの本来の身体も、あのときに使った炎は、呪術の火らしく、サキの胴体は、もうこの世からはなくなり、これもまた、絶対に復活は不可能だと何度も言われていた。
あれだけのことを一瞬でできるのだから、サキの視力を復活不可能にする処置をこのラポルタが失敗するわけがない。
サキは歯噛みした。
だが、これでもサキは妖魔将軍の異名を持つほどの存在だ。
呪術を跳ね返し、再び肉体を得て、逆転する望みがないわけではない。
しかし、こうなってしまうと、それすらもかなり絶望的ではある。
「終わりましたよ、サキ様……。視力がなくなったので、嗅覚と触覚が鋭くなりましたよね。さらに、飢えと渇きを増幅します。我慢できなくなったら、声をかけてください。俺の精液をサキ様の口に入れてあげますね」
「あっ、そ、そんな……。くっ、うう……」
ラポルタの言葉が終わると同時に、これまでも耐えられないほどだった飢餓感と
すでに耐えられる限界を超えている。
サキは呻いた。
「ほら、いい匂いに感じるんじゃないですか。サキ様が俺のものになってくれて、俺はこんなに嬉しいんです。勃起がちっとも萎えませんからね。サキ様のお好きなものは、いくらでもあげられますよ」
いきなり鼻の口のあいだを生暖かいもので擦られた。
ラポルタの男根だったのだと知ったのは、気が狂うほどのいい匂いがそこから漂い、さらに擦られた鼻の下にぬるりとした感触とともに、美味しそうな汁の存在を感じたからだ。
精液のしずくだ──。
サキを歓喜が包む。
ほとんどなにも考えずに、鼻の上に舌を伸ばしていた。
「あがああっ」
だが、その瞬間、強い電撃が頭全体を貫き、サキは絶叫した。
「本当に物覚えが悪いサキ様ですねえ。舐めるのは“よし”の後だと何度繰り返せば覚えるのですか? まあいいでしょう。舐めていいですよ。“よし”──」
ラポルタが笑った。
口惜しいが、焼け焦げるような本能の渇望に逆らえない。
サキは懸命に舌を伸ばして、つけられた精液を舌で拭う。
おいしい──。
涙が出るほどの歓喜が包む。
だが、あっという間に舐め尽くし、さらなる焦燥感と精液への欲求がサキを覆い尽くす。
「も、もっとだ……。も、もっとおくれ……。欲しい……。お前の精液を……」
サキは口にしていた。
ラポルタの高笑いが部屋に響くのがわかった。
「やっとおねだりができましたね、サキ様。だけど、それは、サキ様が性具になってからです。まだ加工の途中ですからね……」
「ひっ」
顎の下にラポルタが手を触れたのだ。
たったそれだけのことなのだが、サキは、まるで少女のように怯えた声を出してしまった。
「おや、可愛らしい声を出して……。そんな弱いサキ様も新鮮ですね。さらに愛おしくなりそうです」
ラポルタが言った。
サキは慌てて口を閉じる。
だが、がくんと口の力が抜け、下顎が落ちてしまった。
「な、なん……ら……?」
なにをされたのだ?
口が閉じられない……。
驚いて力を入れようとするが、どうしても口が閉じられない。
「顎の筋力を弱めました。真名で禁止していますが、俺の性器を噛まれてもいやですしね……。サキ様は口も閉じれなくて、俺のちんぽを待ち望んで涎を垂れ流しながら生活をするんです。だんだんと性具に相応しくなりますね」
この狂人が……。
サキは、心の底からラポルタを憎悪した。
だが、苦しい。
この飢餓が……。
喉の渇きが……。
「うわっ」
今度は鼻の穴の入口に指を触れられる。
またもや、サキは悲鳴をあげてしまった。
一瞬だがつんとする痛み……。
しかし、すぐに息が苦しくなってきた。
いや、苦しい……。
息ができない──。
「かっ、かはっ、ら、らりを……しら……」
“なにをした──?”
そう喋ろうとしたのだが、口がうまく動かないのでまともに喋れない。それはともかく、本当に息ができない。
苦しい──サキは恐慌に陥った。
「舌を出すんです。そうすれば口で息ができます。ただ、鼻の気道は塞ぎました。嗅覚にはまったく問題ありませんが、息をするためには、常に舌を口の外に出す必要があります……」
「はへっ、はあ、はあ、はあ……」
言われたとおりに舌を口の外に出す。
途端に息が楽になる。
ほっとして、舌を戻した。すると、またとてつもない息の苦しさが戻ってくる。
サキは慌てて舌を口の外に出した。
「ふふふ、みっともなくてよいお顔です……。さあ、もう少しですよ……。性具加工処置は、残りひと工程……いや、ふた工程かな……」
ラポルタがまた笑った。
その響きに混じっている狂気に、サキはちょっとぞっとしてしまった。これ以上、なにをするつもりだ。
「うあっ、かっ、かはっ」
猛烈な掻痒感が股間とアナルに襲いかかる。もちろん、サキには身体はないので、ラポルタによって、感覚だけを繋げられている首のない女体の身体から伝わってくるものに違いない。
初日のときに、散々にいたぶられた痒み責めだ──。
ここにはないあの女体に、ラポルタが掻痒剤のようなものを送り込ませることで、サキの頭に痒みの苦しみを送ってきたのだ。
サキは歯を喰い縛ろうとしたが、いまはそれすらもできない。
痒い──。
防ぐことも耐えることもできない猛烈な痒みだ──。
サキは泣きそうになった。
そして、次の瞬間、突然に口の中が熱くなる。
異常な火照りだ。
なんだ──?
「さあ、完成しましたよ。サキ様の口を性器の感覚そのものにしてあげました。舌はクリトリス。口内の表面は膣穴とアナルの内側です……。ふふふ、これで、俺と直接にセックスができます。俺もやっぱりサキ様と直接に繋がりたいですしね」
すると、ラポルタがサキの首をひょいと持ちあげた。
「ひゃっ」
おかしな声が出た。
視界もなく、なにをされても抵抗できないという恐怖がどうしても、サキに声を出させてしまう。
耐えたいが、これもまた本能だ。
怖さに耐えられないのだ。
「さあ、セックスをしましょう。しかし、今度は、あの女体を通じてではありません。サキ様の口が性器そのものになったので、本当に繋がるんです。あの女体は必要なくなりましたが、こうやって痒みで苦しめるために存在させておくことにします。俺と繋がることを四六時中考えるようにね……」
「うあっ」
顔がラポルタの股間に持っていかれたのがわかった。
頭を焦がすようないい香りが猛烈に襲ってきたのだ。
「あっ、それと、俺がいないときには、舌で口を擦って自慰をするのは許します。むしろ、してください。だけど、達することはできませんが……。そのように処置しました。サキ様が絶頂できるのは、俺と繋がるときだけです。そうやって、俺とのセックスを待ち望む心になってください」
顔が動かされ、閉じられない半開きの口の中にラポルタの性器を突っ込まれた。
香しい匂いが口に拡がる。
飢餓と渇きが癒える──。
美味しい──。
叫びたくなるくらいに嬉しい──。
しかし、だんだんと息が苦しくなって。
舌が口の中に入っているからだとわかった。
「口を開けて、舌を出せばいいんですよ。そうしても、俺の性器を受けれることができるでしょう。頑張ってください」
ラポルタがサキの頭を前後に動かし出す。
口の中がラポルタの性器で擦られる。
「ふおおおっ」
存在しない全身が解けるような愉悦に包まれて、サキは我を忘れた。
痒みも癒やされ、飢えと渇きも消失していく。
そのうえに、圧倒的に強烈な快感だ──。
巨大な安堵感と気持ちよさがサキを貫く。
また、言われるままに思い切り舌も出した。すると、確かに息も流れてくる。
安堵感がくると、快感を受けられるようになる。
また、舌を外に出していることで、舌全体でラポルタの性器を載せる感じになり、表面が強く擦られて一気に快感が沸騰した。
考えてみれば、舌全体がクリトリスになったということは、その全体を刺激されれば、それだけ快感も巨大だということだ。
もともと、官能の感覚も平素の十倍である。
サキは一気に快感を絶頂に向けて駈けあがらせた。
「へべええええっ」
身体はないが、がくがくと全身を震わすような感覚が襲う。
呆気なく、達してしまった。
「いきましたか? すごいでしょう? これだけの快感は、性具になったことでしか味わえませんよ。これは、俺だから与えられる感覚ですよ。人間族の男なんかよりも、俺が好きだと言ってください」
ラポルタがサキの顔を前後に激しく動かしながら言った。
すぐに、二度目の絶頂──。
「ひれええええっ」
おかしな声しか出ない。
それがサキの惨めさを拡大する。
一方で、わずかに残る理性が、ラポルタの物言いへの激昂を呼ぶ。
「わ、わりの……ふりなのら……ひゅ……ろ……ろ……らけっ」
口を犯されながら、必死で声をあげる。
“わしが好きなのは、
そう言ったつもりだが、いまの状況では言葉にならない。
しかし、ラポルタには伝わったのだろう。
勃起して太かったラポルタの怒張がしゅっと小さくなる。
驚いたが、喜びがこみあがった。
一矢報いた感じになり、笑いが込みあがる。
ラポルタがサキを股間から離して、男根を抜く。抜いたときのラポルタの一物は確かに小さくなっていた。
サキは噴き出した。
「ひや、ひゃはははは、ら、らまみみろ……。ざ、ざまは……みろ」
ざまあみろ──。
そう言おうとして失敗し、顎に力を入れて、二度目は少しはましになる。
見えはしないが、ラポルタはかなりむっとしているようだ。
いい気味だ──。
「いいでしょう……。でも、時間をかければ、サキ様から、あんな人間族の男のことなんて消えてしまうのは間違いありません……。いや、間違いないはずだ……。決まってる……。明日だ……。明日まで放っておく……。優しくしすぎたんだ……。放っておけば……」
「ああっ?」
なにかぶつぶつと呟いてる。
かなり常軌を逸した口調がちょっとぞっとする。
「あ、明日の朝、また来ます……。そ、そのときには、い、いい子になっていることを……、き、期待してます」
顔が元の台座に置かれたみたいだ。
よくわからないが、もうやめるのだろう。
「あぎゃっ」
すると、舌の根元に痛みが走った。
どうやら、口の外に出していた舌の根元を金具のようなもので挟まれたみたいだ。
舌を口に戻そうとするが、金具に引っ掛かってできない。
畜生……。
サキは心の中で歯噛みした。
そして、部屋からラポルタの気配が消える。
ラポルタはかなり動揺していたみたいだ。おかげで、ちょっと溜飲がさがった。
その満足さは、ほんの少しだ。
すぐに股間とアナルから猛烈な痒みが湧きあがる。
「くっ、くくっ、うくっ」
本能的に舌で口を擦ろうとした。
擦れば痒みが多少は癒えることはわかっているのだ。
「りゃっ?」
ところが金具に当たって、舌が口に入らない。
なんのために、金具を舌の根元につけられたかわかり、サキは動転した。
サキに舌による自慰も許さなくするためだったのだ――。
このまま、ひと晩……。
いや、ラポルタのことだから、もしかして、もっと時間をかけるかもしれない。
あいつは、とにかくすべてに徹底していてやることが細かく、そつがない。だからこそ、腹心として、信頼して使っていたのだ。
どうすれば……。
いや、どうしようもないのか……。
ああ、痒い──。
飢えと喉の渇きも苦しみもどんどんと拡大する……。
痒い……。
痒い……。
震える口で舌の根元の金具が鳴る。
さっき悪態をつかなければよかった。
そうすれば、少なくとも精液を飲むことができた──。飢えと渇きは癒えただろう。
口を擦ってもらって、痒みも消えかかったのだ。
あのまま続けてもらえば、どんなに気持ちがよかっただろう。
後悔をサキを包む。
サキを本当の絶望が覆っていった。
*
時間がただ過ぎていく。
痒い──。
喉も乾いている……。
腹が減って死にそうだ……。
苦しい……。
苦しい……。
誰か……。
誰か助けて……。
だが、答えるものはない。
ひたすらに時間がすぎていく。
朝はまだか……?
ラポルタはまだ戻らないだろうか……。
もしも、戻れば……。
「あああっ、ほおおおっ」
サキは泣いていた。
追い詰められて、狂いそうになり、いつの間にか、みっともなく泣き声をあげて、涙を流していた。
とにかく、痒い──。
痒いのだ──。
餓えも乾きもとっくに限界を越している。
もう許してくれ、
いっそ、殺してくれ――。
もう殺してくれ――。
「ほおおおっ」
ぼろぼろと涙が台に落ちるのを感じる。
誰か、助けてくれ──。
自分では死ぬこともできない。
誰でもいい──。
助けてくれ――。殺してくれ――。
まだ、朝には遠いのだろうか。
そのときだった。
背後ですっと扉が開く気配がしたのだ――。
ラポルタか──?
「……ま、まさか、サキ様なのですか? いえ、そうなのですね……。ああ、お可哀想に……」
すると、後ろ側で、ラポルタではない押し殺した女の声がした。
サキは驚愕してしまった。
さらに、敏感になっているサキの鼻に、ある匂いがつんと入ってきた……。