※この作品はR-18です。

【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】   作:ドン・ドナシアン

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74  …蝋燭の数

「なあ、エリカ、賭けをしないか?」

 

 そのとき、不意に一郎が言った。

 

「か、賭け?」

 

 エリカは顔をあげた。

 

「ああ、そうだ。賭けだ。これから三日間、俺はみっちりとお前を調教する。つまり、俺はこれ以上調教を受けるくらいなら、俺の精を受けて奴隷になり、楽になった方がましだと思うような目に遭わせ続けるということだ。お前はその調教を進んで受けるんだ。その代わり、もしも、三日間、音をあげずに、俺のことを拒否しつづけることができれば、お前のことを解放してやろう。どうだ?」

 

 ロウが言った。

 なにを馬鹿なことを……。

 

 一瞬、そう思ったが、この男から逃れるためには、それにすがるしかないのかもしれないとも思った。

 そうでなくても、この男はその気になれば、エリカの身体に自分の精を注ぎ込んで、いつでも支配することができる。

 この申し出を断ったところで、ロウは簡単にエリカの支配を取り戻せるのだ。

どういう気紛れで、そんなことを言っているかわからないが、この申し出を断っても、ロウが呪術でエリカを支配できるのだから、エリカがこの申し出を受けても、損をすることはない。

 拒否した場合は、ロウはあっさりとエリカを精の力で支配し直すだけだろう。

 だったら、可能性がある分だけ、申し出を受けた方がいい。

 騙されたとしても、もともと、騙されても同然のことだ。

 エリカが三日間の約束を頑張り抜いたところで、ロウが約束を翻さないという保障はないが、エリカがこの男から逃れる可能性のあるのは、そこにしかない……。

 

 そのとき、エリカはふとあることに気がついた。

 この男は魔道や魔道のからくりに疎い……。

 それを利用すれば、どうだろうか……。

 

「い、いいわ……。う、受ける……。そ、その代わりに……け、契約の魔道を……。約束して……。わ、わたしが三日を……た、耐え抜けば……必ず……か、解放すると……」

 

 エリカは股間に喰い込む木馬の突起の痛みと肉芽の根元に喰い込む糸の疼きに耐えながら言った。

 もう、息もするのも苦しい。

 だが、耐えてみせる……。

 この男から逃れるためなら……。

 

「いいだろう」

 

 ロウがにやりと笑った。

 かかった──。

 エリカは内心でほくそ笑んだ。

 この申し出にロウが乗るとは思わなかったが、やはり、この男は魔道には疎いのだと確信した。

 

 契約の魔道を交わせば、それはもうお互いの同意がなければ拒否できない。

 ロウが簡単にエリカの申し出に応じたことを考えると、あるいは、三日すれば、約束など反故にして、精の支配をしてしまえばいいと思っているかもしれない。

 だが、それは不可能なのだ。

 契約の魔道を交わせば、お互いの心が契約に縛られる。

 裏切ることはできない。

 おそらく、この男は魔道契約を軽く考えているのだと思う。

 

「シ、シルキーに術を……」

 

 エリカは言った。

 屋敷妖精のシルキーは、部屋の隅に影のように控えている。

 彼女は魔道を遣える。

 彼女を介添人として契約の魔道を交わせばいい……。

 

「シルキー、来い」

 

 ロウがシルキーを呼んだ。

 シルキーが横にやって来る。

 

「ただし、こっちも条件だ。契約の魔道を交わす以上、エリカも俺の調教を甘んじて受けろ。それが条件だ。さらに、俺に悪態をついたことに対する詫びを入れろ」

 

「う、受けるもなにも……どうやったって……う、受けさせるんでしょう……。ま、まあいいわ。それは誓う……。そして、悪態をついたことは謝ります……。こ、これでいい……?」

 

 エリカは言った。

 

「ああ、それでいい……。シルキー、木馬を消せ」

 

 次の瞬間、エリカが跨らされていた三角木馬が消滅した。

 

「きゃああ」

 

 エリカの身体はそのまま床に尻もちをつくように落ちた。

 すでに疲労の限界を超えていたエリカは自分の身体を支えることができなかったのだ。

 もしも、首輪に繋がれていた鎖がそのままだったら、エリカの首は完全に鎖で吊られた状態になっていたと思うが、エリカの身体が木馬の支えを失った途端に崩れるのを予期していたのか、鎖はエリカの身体が沈むのと合わせて、緩んでエリカと一緒に床に垂れた。

 床に尻もちをついたエリカはしたたかに腰を打って顔を歪めた。脚を閉じようとしたが、強張った筋肉がエリカが股を閉じることを許さない。

 

「さあ、誓いだ、エリカ。三日間、エリカは俺の調教を受け、それに耐え切れば、お前を解放する──。シルキー、契約を刻め──」

 

「た、ただ、解放……す、するだけじゃなくて……、せ、精の呪術を与えることなく……か、解放して──」

 

 エリカはすかさず付け加えた。

 

「いいだろう……。シルキー、契約の魔道とやらを結べ」

 

 ロウがうなずく。

 エリカはロウがあっさりと応じたことに喜んだ。

 いまのエリカの言葉に隠されていることをロウが悟ったかどうかはわからないが、エリカがひと言加えたことで、ロウは三日間の調教のあいだ、エリカの同意なしに、エリカに精液の呪術をかけることができなくなったのだ。

 呪術を刻めば、三日後に「精の呪術を与えることなく解放」することができなくなる。

 

「では、契約を結びます、旦那様、エリカ様」

 

 シルキーが言った。

 エリカはしっかりと自分の身体に魔道契約の結びが走るのを感じた。

 これで、あとは三日間、耐えるだけだ。

 それで、この卑怯者からは解放される……。

 ただ、三日間は、エリカもまた、調教を逃れるために、この屋敷から逃亡するということは許されない。

 エリカは三日間の調教を受けなければならない──。

 それも魔道契約の縛りなのだ。

 

「そ、それよりも、ロウ……ロウ様……か、厠に……」

 

 小尿をさせてもらいたいと頼もうと思った。

 すでに尿意が限界に達している。

 さっきの愛撫や、肉芽を指で押しつぶされた衝撃には耐え切れたが、さすがにもう我慢できない。

 そのときエリカは、いつの間にか、ロウの手に真っ白な細い棒状の杖が握られていることに気がついた。

 それがなんなのかを考える余裕はなかった。

 その棒状の先が剥き出しの尻たぶに触れたかと思うと、肉体を粉砕するかと思うような激痛が全身に走った。

 

「ひぐううう──」

 

 それが電撃だとわかるのに、数瞬が必要だった。

 咄嗟に逃げようともがいたが、長時間の三角木馬の影響で、エリカの身体はどうしようもなく弛緩している。

 それに腕は背中で拘束され、首輪には緩んでいるとはいえ、天井に繋がった鎖が結ばれている。

 逃げられない。

 悄然となっているところに、二発目の電撃が加わった。

 

「うぐううう」

 

 あまりの衝撃にエリカはのたうった。

 ロウが持っているのが電撃鞭という拷問具であることは明白だ。

 

「立て、エリカ」

 

 首輪に繋がった鎖ががらがらと引きあがり始める。

 全身は疲労と電撃鞭の衝撃による弛緩でくたくただったが、首輪によって無理矢理に身体を引き起こされた。

 エリカは脚を踏ん張ってなんとか立った。

 

「あ、あのう、ロウ様……、か、厠に行かせてください……」

 

 エリカはやっと言った。

 もう膀胱が破裂しそうだ。

 

「後だ──。それよりも、正面の壁の前にある燭台がわかるな。あそこに、蝋燭が何本ある?」

 

 ロウは突然に言った。

 そこにあったのは金属製の蝋燭立てだ。

 平たい金属の板の上に二本の火のついた蝋燭が差してあった。

 

「二本よ……」

 

 エリカは答えた。

 そのとき、さっと電撃鞭の先端がエリカの下腹部を突いた。

 

「あぐううっ」

 

 エリカは声を迸らせた。

 その一発でエリカはその場に崩れ落ちそうになった。だが、なんとか脚に力を入れて立つ。尿意にも耐えた。

 

「そこにあるのは、三本だ」

 

 

 ロウがすっと、電撃鞭の先を乳首に当ててきた。

 

「ひいっ」

 

 エリカは思わず悲鳴をあげたが、やってきたのは凄まじい電撃の苦痛ではなく、棒の先端で乳首を弾かれることで起きる快感だった。

 すでにエリカの身体には、長い三角木馬の責めと数発の電撃で、ほとんど抵抗力が残っていない。エリカの身体はロウの意地の悪い電撃鞭の先端による愛撫で鋭い反応を示せずにはいられなくなっていた。

 

「三本だ……。俺が三本と言ったら三本だ。あそこには三本の蝋燭がある。もう一度訊ねるぞ。燭台の蝋燭は何本だ?」

 

 かっとなった。

 ロウは本当は二本しかない蝋燭の数を三本とエリカに答えさせようとしているのがわかったのだ。

 意地でも三本とは答えてやるかと思った。

 

「に、二本よ──。二本──」

 

 エリカは叫んだ。

 乳房にどすんという衝撃が走った。

 電撃鞭だ。

 

「蝋燭は何本だ、エリカ?」

 

 ロウがまた訊いた。

 

「二本──」

 

 エリカは絶叫した。

 今度は腹に衝撃──。

 腕──。

 太腿──。

 

「に、二本よ──あぐうううう──」

 

 エリカは数を訊かれるたびに、二本だと叫んだ。

 まだ始まったばかりの調教だ。

 これに耐えられずして、どうして三日耐えられるというのか──。

 

 蝋燭は二本──。

 

 三本と答えることを続けられたら、三日間の責め苦に耐えることについての望みも生まれる。

 エリカはそう思った。

 電撃が十発を超えたとき、エリカの脚は完全に踏ん張る力を失った。

 一瞬だが、完全にエリカの身体は首で宙吊りの状態になった。

 だが、すかさず、ロウがそれを支えた。

 ロウは首環につながっていた鎖を二本の腕に巻いている革帯に繋げ直した。

 

「エリカ、蝋燭は何本だ?」

 

 エリカの身体を背中の腕で天井から引きあげる体勢に変更した一郎は、そのまま股間の頂きに指を差し込んでいじり始めた。

 

「い、いやあ……ううっ……ああっ……くう……」

 

 忌まわしいと思うと同時に、どうしようもなくその愛撫から大きな快感が発生した。

 あっという間に感じてしまう自分の身体が恨めしい……。

 エリカの口からはたちまちに甘い声が洩れ始める。

 

「……蝋燭は何本だ? 三本だな?」

 

 ロウがエリカの股間の亀裂で指をいやらしく動かしながら耳元でささやいた。

 

「ううっ、い、いやっ、うっ、ああっ……」

 

 ロウの指がエリカの股間に亀裂を動き回る。

 情けないくらいに反応してしまう自分の身体が恨めしかった。

 

「蝋燭は何本だ? 三本だということを認めれば、気持ちよくさせてやろう……。だけど、そうでないことを答えれば、また、電撃だ」

 

「い、いやあ……あっ、はあ……はあ……」

 

 股間に加えて、ロウの指が片側の乳房に伸びた。

 ぼろぼろになった身体をロウがしっかりと抱きしめて、上と下に淫らに指を這わせてくる。すべての抵抗力を失っている身体に与えられる愛撫に抵抗する力はエリカにはもうなかった。

 

 全身に震えが走る。

 ロウの指が這いまわる乳首がつんと上を向く。さらなる快感を求めて、エリカの胸は自然にロウの手に向かうように前に伸びた。辛うじて残る理性が、浅ましすぎる自分の身体の行動を拒否しようとするが、身体はますますロウに甘えるようにロウにしだれかかって悶え続ける。

 

 ロウの手管がすべての思考をもぎ取る。

 なにも考えられない……。

 

 わからない……。

 なにもかも……。

 ねっとりとしたロウの手の感覚……。

 身体の奥底から本当の快感が沸きあがる。

 

 股間が……。

 胸が……。

 身体が熱い……。

 全身に震えが走る……。

 

「……蝋燭は何本だ……? 三本だな……」

 

 ロウの声が耳元でささやいた。

 三本……。

 喉まで出かかった言葉をエリカは、辛うじて飲み込んだ。

 

「に、二本──」

 

 ロウの指が離れていく。

 どうしようもないほどの失望感がエリカを襲った。肌に触れていたロウの手が遠のいたことで、堪らない寂しさのようなものを感じた。

 

 ロウをがっかりさせた……。

 それを残念に思った。

 だが、次の瞬間はっとした。

 なぜ、自分はそんな気持ちになったのか……。

 

 そして、エリカは自分自身の身体は、ロウの愛撫をどうしようもなく求めているのだと悟った。恐怖と憎悪しか感じないはずのロウをエリカの身体はすっかりと受け入れているとのだと感じた。

 

 やはり、なにかがおかしい……。

 エリカはそう感じてきた。

 感情と理性が完全に離脱している。

 

 しかも、そのふたつが単純に対立しているわけじゃない。

 感情はふたつあり、理性もふたつある。それがエリカの心の中で複雑にいる入り乱れている。

 自分がロウに愛など感じるわけがなかった。

 ロウは呪術の力でエリカを支配していたような卑怯者なのだ。

 だが、エリカの心の中には、もうひとりの激情に陥っていない冷静なエリカもいて、彼女はロウの与える愛撫を素直に受け取り、それに悦びを感じたいと思っている。

 エリカには、そのもうひとりのエリカが淫乱で愛に飢えた存在に思えたが、そのエリカは、ロウの望むことを切々と受け入れたいと考えているようだった。

 

「エリカ、反抗には罰だ。そして、服従には快感だ。それを身体で覚えるんだ」

 

 ロウの口調は優しげだったが、エリカの裸身に向けているのは、あの恐ろしい電撃棒だ。

 電撃棒がエリカの身体のあちこちに連続して与えられ始める。

 

「ぐううっ──きゃあああ──」

 

 エリカは髪を振り乱して、逃げ惑った。

 もちろん、天井から吊られている鎖で後ろ手の両手を繋げられているので、本当に逃げることなど不可能だった。汗まみれの裸身に容赦のない電撃が加えられ続ける。

 

 十数発の電撃がエリカの裸身に浴びせられた。

 さすがのエリカも、反発心のようなものが自分から消え失せるのがわかった。自分でも驚いたが、十発を超えた頃からエリカはすすり泣きをしていた。さらに、数発を加えてから、ロウは電撃棒を下におろした。

 がっくりと脱力し、完全に吊られている鎖に身体を預けているように前のめりに倒れているエリカの身体を再びロウが抱きしめて、愛撫を始めた。

 

「ああっ、あっ、はあっ……」

 

 気が狂いそうだった。

 身体はなぜかこれ以上ないというほどに燃えあがっている。

 ロウに全身を撫ぜられる場所が燃えるように熱くなった。しかも、電撃棒の連続で、エリカにはロウの与える快感に抵抗する気力が奪われてしまっている。

 深い苦痛の後の反動だからだろうか……。

 快感が深すぎる。

 そして、鋭い……。

 

「ああ、ああっ、はああっ」

 

 すでにエリカの股間はたっぷりの愛液で溢れている。その愛液の水音を奏でながら、ロウが指を股間や乳房を刺激してくる。すでにエリカの身体は完全にできあがっていた。絶頂はすぐそばまでやってきていて、エリカは自分の口からほとばしる甘い声を止められないでいた。

 

 だが、達しそうで達しない。

 そんなぎりぎりのところでエリカの快感は止められていた。

 ロウが意図的にそうしているのは明らかだ。

 エリカの身体がロウから与えられる愉悦に耐えられずに達しそうになると、すっとその指が離れて、ほかのなんでもない場所に移動する。そして、そこでも達しそうになると、愛撫の場所がほかの場所に変わる。それを繰り返されている。

 エリカはおかしくなりそうだった。

 

 そして、尿意……。

 少しでも気を抜けば、漏れ出てしまいそうだ。

 

「はあ、ああっ、お、お願い……。も、もう、漏れます……。お、おしっこが……」

 

 エリカは耐えられなくて言った。

 ロウは簡単にはエリカが排尿をするのを許しそうにないが、すでに我慢の限界を遥かに超えている。

 

「蝋燭の炎が三つだと答えれば、ひとりだけで小便をさせてやる。だが、そう答えない限り、垂れ流しだ。もちろん、罰もあるぞ。粗相には当然、罰がある。お前もそれが当たり前と思うだろう、エリカ?」

 

 内容は鬼畜なのに、口調が優しいので、まるで愛でもささやかれているような錯覚さえ思える。

 いや、エリカの一部は、このロウの残酷な言葉にも酔っている。

 それがわかる。

 心の中のふたつのエリカ……。

 どっちが本当で、どっちが偽者か……。

 だんだんとエリカも、それに自信が持てなくなる。

 それにしても、尿意が……。

 エリカはもう泣きべそをかいている。

 

「……さあ、蝋燭は何本だ?」

 

 ロウがエリカの身体を愛撫しながら訊ねた。

 どう見ても、炎も蝋燭も二本しかない……。

 三本じゃない……。

 

「二本……」

 

 最後の抵抗だった。

 これが崩れれば、すべてが崩れる。

 エリカにはもうそれがわかっている。

 自分の心と身体だ。

 二本しかない蝋燭を「三本」だと答えてしまえば、あとはロウの「調教」に飲み込まれるように屈服するだろう。

 もうひとりのエリカに、いまのエリカは取って代わられる。

 エリカはそう確信した。

 

 ロウが、喉で嬉しそうに笑いながら、エリカから離れていく。

 電撃棒だ──。

 エリカは覚悟を決めた。

 

「……さすがはエリカだな。あくまでも抵抗して俺を愉しませてくれる。その調子でずっと頑張ってくれよ。心では屈していないのに、身体はどうしようもなく屈してしまう。それが嗜虐の醍醐味なんだ」

 

 ロウがすっと電撃棒を向ける。

 エリカは歯を食い縛った。

 一方で、エリカはさっきのロウの言葉を心の中で反芻していた。

 ロウはエリカが抵抗し続ければ悦ぶのか……。

 その言葉は、まるでこうやってエリカが反撥を続けていることに大義名分を与えられたような嬉しさだった。

 自分の一部がそう考えているというのは怖ろしいことだったが、ロウの言葉は確かに、エリカの心を熱くした。

 抵抗しなければ……。

 エリカは思った。

 

「はうううう──ふぐうううう──」

 

 電撃棒の苦痛が始まった。

 だが、さっきとは違ってもいる。

 苦痛は苦痛なのに、エリカはそこに愉悦も感じている。

 苦悶の中であるが、エリカはロウに電撃棒で苦しめられる自分に悦びを見出していた。

 自分がロウの思うままに解体され、弄ばれる悦びだ。

 愛撫を受けているわけでもないのに、まるで愛撫を続けられているように股間からは樹液が噴き出し続ける。

 そのとき、ロウの電撃棒の先端がまともに股間の亀裂に喰い込んだ。

 

「ぎゃあああああ」

 

 あまりの衝撃にエリカは一瞬気を失いそうになり、身体をがくがくと震わせた。

 全身の力は完全に抜けていた。

 

「あ……だ、だめ……そ、そんな……ああ……」

 

 ついに、股間から小水が漏れた。

 始まった失禁は、もう止めようもない。

 エリカの股間から流れる尿は股間から太腿を伝わり、無残な奔流となってしたたり落ち続ける。

 

「漏らしたな……。罰だな。今夜の調教は終わりだ。明日の朝、もう一度、蝋燭の数を訊ねてやる」

 

 ロウが電撃棒を投げ捨てた。

 部屋の隅に立っていた屋敷妖精のシルキーがそれを無言で拾う。

 そのシルキーにロウは何事かをささやいた。

 シルキーが頷き、魔道で取り寄せたなにかをロウに手渡すのがわかった。

 ロウが近づいてくる。

 

「こ、こんなことをいつまでも……やっても……む、無駄よ……。わ、わたしはあなたの……奴隷にはならない……」

 

 エリカは自分が作った尿の水溜りの上に立ったまま言った。

 

「そんなことはどうでもいい……。俺が訊ねているのは蝋燭の数だ。あれは三本だ」

 

 蝋燭の数は二本だ──。

 そう叫びそうになったが、ロウがエリカの口になにかを突っ込んだ。

 それはずっと嵌められていた小さな穴が幾つかある球形の嵌口具だった。それを口に入れられて首の後ろで縛られる。

 次いで、ロウは股間に手を伸ばした。

 思わず視線をそっちに向けて、エリカは仰天した。

 ロウは、木馬責めのときから繋げたままだった陰核の根元を縛っている硬い糸を手にしたのだ。

 それを引きあげていく。

 

「んふううっ、ふううううっ」

 

 エリカは悲鳴をあげた。

 なにをしようとしているのがわかった。

 ロウが伸ばした反対の手に向かって、天井から鎖付きの金具がゆっくりと降下してきたのだ。

 

「暴れるなよ。痛いのが好きなら、いくらでも暴れればいいがな」

 

 股間に鋭い激痛が走った。

 

「ぐふううっ」

 

 エリカは泣き声をあげた。

 ロウが肉芽に繋がっている糸をぐいと引っ張っている。

 まるで刃物にでも刺されたかと錯覚する激痛が股間に迸る。

 

「んんんんっ、むんぐうううっ」

 

 

 エリカは無駄だとわかっている哀願をした。

 しかし、その哀願さえも、嵌口具に阻まれて言葉にはなってくれない。ただ、穴の開いた嵌口具から涎が飛び散るだけだ。

 ロウは股間を引っ張っている糸を下りてきた金具に器用に結びつけた。

 そして、その鎖がからからと引きあがっていく。

 

「んはああ、んんんん」

 

 エリカは必死で声をあげた。

 だが、ロウは口元に愉しそうな薄笑いを浮かべたままだ。

 

「んぐうう──」

 

 エリカは絶叫した。

 糸がぴんと引き搾られた。

 脳天まで貫くような激痛が走った。

 凄まじすぎる激痛に、エリカは嵌口具をぐっと噛みしめて、少しでも痛みをやわらげようと、爪先立ちになって股間を上にあげた。

 みっともない姿であることなど構っていられない。

 だが、その状態からさらに少し上昇してから糸の引き上げは終わった。

 さらに、後手に拘束されている両手に繋がっていた天井からの鎖は外された。つまりは、いま、エリカは陰核を天井から引っ張られた糸だけでつま先立ちさせられている状態だ。

 エリカは絶望的になった。

 腕に繋がっていた天井の鎖が外されたことで、その鎖に身体を託して、苦痛を和らげることさえできなくなった。

 すでに、つま先立ちの脚に震えが走りだす。

 そのため、糸が刺激されて抉るような激痛が股間に走る。

 エリカは呻き声とともに、箝口具を噛みしめた。

 

「気を緩めるなよ。気を緩めれば、肉芽が根元から切断されて落ちるからな。まあ、そうなっても、クグルスがいるから綺麗に治してやるさ。とにかく、朝まで頑張れ。朝になったら、また戻ってやる。そのとき、もう一度訊ねてやる。蝋燭の数をな」

 

 ぞっとした。

 確かにクグルスだったら、エリカの肉芽が千切れ落ちようとも、それを元の状態に回復することができるだろう。つまりは、本当に引き千切っても、大丈夫だとロウが考えているということだ。

 エリカは必死で弓なりになった身体を爪先立ちにした。

 

 本当にこのまま朝まで──?

 エリカはそれが絶望的なことだということがわかった。

 この瞬間にも、無理な体勢で身体のあちこちに痛みが走っている。無論、一番つらいのは限界まで引きあげられている肉芽だが、それに加わって全身の筋肉がひきつるように痛い。

 

「それと朝まで退屈しないように、もうひとつ贈り物だ」

 

 ロウが酷薄な笑いとともに、ぐいと糸を引っ張った。

 

「んぐうううう」

 

 エリカはのけぞらせた身体を激しく波打たせて、悲鳴をあげた。

 ロウがなにかを糸にとりつけている。

 そして、ロウが手を離したとき、それがなにかがわかった。

 「ろーたー」というロウがクグルスに作らせた淫具だ。

 長細い球体であり、それが淫らに振動をするという淫具だ。エリカはそれを何度も股間やお尻に装着されて外出させられ、羞恥責めにされた記憶がある。

 ロウはそれをエリカの股間を吊っている糸に縛りつけて固定したのだ。

 

「んんんん」

 

 次の瞬間、エリカは目を見開いた。

 「ろーたー」が振動を開始し、それによって糸全体がぶるぶると震えだした。

 当然、その振動は根元を縛られて鋭敏になっている陰核に伝わってくる。たちまちに、大きな疼きが股間に拡がる。

 

「じゃあ、お休み、エリカ──。明日の朝にはいい子になっているといいな。シルキーも休んでいいぞ」

 

 ロウの言葉で屋敷妖精のシルキーの姿がぱっと消滅した。

 そして、ロウが部屋の外に出ていく。

 

「んんぐうう」

 

 行かないで──。

 エリカはそう叫んだ。

 だが、嵌口具のために言葉にならない。

 エリカは意地を張ったことを激しく後悔した。

 いま、さっきと同じことを訊ねられたら、躊躇なくエリカは「蝋燭は三個」だと答えただろう。

 しかし、もう、それを答える手段まで奪われた。

 

 明日の朝まで──?

 

 そんなこと不可能に決まっている。

 いまが夜のどのくらいなのかはわからないが、まだ朝までには遥かに時間が必要だということはわかる。

 

「じゃあな、エリカ」

 

 だが、残酷にもロウはそのまま出ていき、エリカはひとり残された。

 正面の壁には燭台の蝋燭がゆらゆらと揺れている。

 すでに眼が汗と涙でかすみかけている。

 

 その蝋燭の数がふたつなのか、それとも、三つなのかもはやエリカにはわからなくなっていた。

 わかるのは息をするたびに、糸に強く抉られる肉芽の痛みだ。

 じんと腰骨までが痺れきり、もう声も出せない。

 

 エリカは必死になって爪先立ちの足を延ばした。

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