【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】 作:ドン・ドナシアン
『710 道化師軍と南王軍』の最後の場面の続きになります。
「頭領、ごめんなさい──。領都そのものは無事です──。でも、拠点にしていた侯爵家の屋敷に、冒険者のパーティが潜入したんです。それで、侯爵夫人を連れて行かれてしまいました──」
戦場までやってきたカリュートがその場に土下座した。
カリュートというのは、
ユーレックからすれば、雲の上のような存在だ。
そのカリュートが泣くような顔で謝っている。
ユーレックは、侯爵夫人がさらわれたというのが、とんでもない事態であるというのを悟った。
「さらわれただとう――。いなくなったということか──」
ドピィの声は怒りで震えていた。
ユーレックは、タリオの間者として、この頭領のそばに従者として侍ることができるようになって以来、この頭領がここまで激怒したことに接したことはない。
あの四天王のひとりで、物資調達の責任者だったルロイが裏切ったと報告を受けたときも、ここまで怒ってはなかったと思う。
もっとも、あの頃は、ユーレックは賊徒団では、一介の騎士見習いであり、ユーレックが頭領の近くに侍ることに成功して、会話を聞ける立場になったのは、クロノス領に入ってからのことであるが……。
「顔をあげろ、カリュート」
ドピィが言った。
「は、はい……」
地面に額をつけていたカリュートが顔をあげる。
その瞬間、ドピィが腰に差していた剣を抜き、カリュートの首に剣を振るった。
血が飛び散る。
「ひいいいっ」
カリュートが首を押さえて、その場に尻餅をつく。
ユーレックはどきりとしたが、大して切っていない。せいぜい、首の皮程度を切ったくらいだ。
ユーレックは、ドピィを見た。
肩で息をしている。
呼吸が苦しくなるくらいに、ドピィは激怒しているのだ。
それでも、必死に怒りを抑えたのだとわかった。
やっぱり、この頭領はすごい……。
ユーレックは思った。
タリオ公国の諜者たちに、母親と姉を人質にされ、仕方なく間者として加わった賊徒団であるが、ドピィという頭領に接すれば接するほど、この人物に魅了されていく自分に気づいてもいた。
策略については天才的……。
今回も、たった五百の騎馬だけで、四千もの南王軍を追い返してしまった。別方向から二千も接近しているが、こちら側の主力の四千が退却していった現状においては、彼らもまた、一度後退するしかないだろう。
もともと、農民だった兵で作った賊徒の軍で王国軍に大勝利する……。考えただけで夢想だと思うことを本当に実現したのである。しかも、向こうの損害は計り知れないのに、こっちの損害は軽い怪我をした者が幾人かいるくらいだ。重傷者さえ出ていない。
それだけのことをした男なのだ。
だけど、おおらかで優しいし、厳しいことを要求はするが、兵には乱暴ではなく、むしろ
だから、全員が慕っている。
そのドピィがこれだけ怒っている。
ユーレックは、それだけで、ただならぬことが起きたのだということを感じた。
「タルハーニャ……いや、キーネはどうした──?」
ドピィがカリュートに怒鳴る。
カリュートは腰を抜かした感じで、切られた自分の首を押さえている。
また、キーネというのは、頭領のドピィが侯爵夫人につけていた老婆だと思う。
「キ、キーネは殺されました……。離れの中で、死骸になっているのを見つけました」
カリュートが言った。
「キーネが殺されただと? まさか……? 誰が……? いや、冒険者だと言ったか。何十人だ──? どのくらいの勢力が屋敷に入り込んだ──? それすら気がつかなかったのか──」
ドピィの剣幕はすごい。
「ひっ」
カリュートがまたたじろいだ感じになる。
「言わんかあ──」
ドピィがまだ抜き身のままの剣先をカリュートの顔に突きつける。
「うわっ──。よ、四人──。女が四人です──。いや、移動術のできる魔道遣いがいたから五人……。五人です──」
「たった五人の女に、あのキーネが殺されただと……?」
ドピィが呆然となった。
そして、しばらくドピィは黙り込んだ。
寂とした雰囲気が周囲を包む。
さっきまでの宴会の浮かれはもうない。酒と肉に興じていた賊徒団の騎馬隊の要員も、じっとこっちを見守っている。
やがて、ドピィは腰に下げている腰袋からひとつの玉を出した。
あれは、彼が肌身離さずに持っている亜空間に繋がる魔道の革袋であり、あれにたくさんの魔道具を入れているのをユーレックは知っている。
そこから取り出した玉をじっとドピィは見ていた。
よくわからないが、なにかをあの玉で探している気配だ。もしかして、その侯爵夫人を?
そして、しばらくすると顔をあげる。
ドピィの顔には、大きな決断をしたような表情が浮かんでいた。
「カリュート、これを首に嵌めろ」
ドピィがカリュートの前に、一個の首輪を放り投げた。これもまた革袋から出したものであり、輪の一端が大きく開いていて、そこから首を入れて閉じて嵌めるようになっている。見た感じ鍵穴のようなものはなく、嵌めたら外せなくなる雰囲気である。
また、首輪の色は赤く、ちょっと太くてごつい。
カリュートは怯えた様子だったが、逆らってドピィをこれ以上怒らせたくないのだろう。黙って、それをまだ血が流れている自分の首に嵌めた。
魔道音のような音が響く。
やはり、魔道による施錠みたいだ。
「その首輪は炸裂環だ。首輪に火薬が充満していて、俺が指を鳴らせば、お前の首は吹っ飛ぶように魔道紋が刻んである」
ドピィが事も無げに言った。
「ひいっ」
カリュートが首輪を手で押さえて真っ蒼になる。
「無理に外そうとしても爆発するぞ。死にたくなければ、あまり触るな」
ドピィが冷笑した。
「うわっ」
カリュートが慌てて首輪から手を離す。
「命を貸しておいてやろう。賊徒団主力の全軍の指揮をとって直ちに出動させろ。──。目指すのはガヤの港町だ──。弾薬はありったけだ。ただし、兵糧は三日分だけでいい。死に物狂いで進めば、ガヤに三日で辿り着く。それからの兵糧は敵のものを喰らえ──。全軍に達しろ──。ガヤだ──。ガヤに敵の親玉がいる。それを殺せば、この地に楽園がやってくる。我らが民衆の国ができる。ガヤだ──。ガヤに行け──。尊き戦いの始まりだ――。お前はその指揮をとるんだ──。そして、俺の指示に従え──。失敗すれば、その首輪が作動する。いいな──」
「は、はいっ──。わ、わかった。すぐに──。すぐに──」
カリュートが立ちあがった。
自分が乗ってきた騎馬に駆け寄る。
「いや、待て──。違う──」
そのとき、ドピィが叫んだ。
カリュートが馬に跨がろうとした姿勢のまま、ドピィに向かって振り向く。
ふと見ると、ドピィはもう一度、さっきの玉を凝視していた。
やはり、なにかの探知具である気配だ。
「賊徒団には、最初の目的地は、ゲーレだと伝えろ。ガヤの近くにある小さな村だ。そこが最初の進軍目標だ」
「ゲーレ? そこになにがあるんですか?」
カリュートが首を傾げた。
その態度からすると、おそらくゲーレという小村の場所を知らないのだろう。ユーレックにもわからない。
なぜ、その小村なのだろう?
「言われたことをすればいいんだ──。つべこべ言うと殺すぞ──」
ドピィが凄まじい剣幕で怒鳴った。
「うわっ──。わかりました──」
カリュートが声をあげた。
そして、馬に跨がると、あっという間に、立ち去っていった。
ドピィは、次いで、騎馬隊の副隊長を呼んだ。ドピィに次いで、この五百の騎馬隊の指揮権がある賊徒軍の将校である。
ドピィは、すぐに出立して、やはりガヤに近い騎馬隊用の拠点に移動するように指示した。
この領内には、あちらこちらに賊徒の隠し拠点を無数に作っていて、今回の作戦もそこを転々としながら、あちこちを襲撃してまわったのだ。
その中のひとつだ。
「……そこで俺の指示を待て。いいな──」
ドピィの言葉に副隊長が頷く。だが、ちょっと怪訝そうな表情になる。
「わかりましたが、頭領はご一緒には行かれないので?」
横にいるユーレックも、同じ疑問を抱いた。
この大賊徒団の頭領だが、戦いのときには常に先頭に立ち、その象徴が頭領直属のこの騎馬隊なのだ。
頭領の言葉や態度から、賊徒団が新たな蜂起をするというのは、ユーレックも理解した。
だが、ドピィは、どうやら騎馬隊とは同行しない気配だ。
「おそらく、明後日……、いや、明日の夜には合流する。それまでにすることがある」
ドピィは再び革袋に手をやると、一枚の紙を取り出した。
ユーレックには、それが魔道紙と呼ばれるものだと気がついた。あらかじめ魔道を刻むとともに、魔石の破片が縫い込んである紙であり、それがあれば、魔道遣いでなくても魔道が遣えるのだ。
そして、ユーレックは、その魔道紙が「移動術」の術が刻んであるものに違いないと思った。
大変に貴重なものだが、ドピィはそれを大量に保有している気配であり、しかも、それを使って、たびたびどこかに出掛けては、なにかをしているみたいなのだ。
従者としての役割を持つユーレックは、それを知っていた。
だから、慌てて口を開く。
「お、俺も頭領と行きます。連れて行ってください。王国との戦いのために、俺も役に立ちたいです。俺は頭領の従者です。同行します──」
「お前が?」
ドピィは怪訝そうに言った。
だが、ちょっと考えたみたいになり、すぐに肩をすくめた。
「まあいいか。だが、今日と明日、寝る間はないぞ。あちこちを動き回る。だが、また確かに、ひとりくらいは、連れて行った方が俺も楽ではあるがな」
「問題ありません。一緒に行きます」
ユーレックは言った。
頭領に密着して、この頭領に関することをなんでもいいから情報をあげろと命じられてはいるが、そのために同行するのではない。
これから、なにかが始まる。
その期待がユーレックにはある。
命をかけたなにかを……。
一緒にいるべきだ──。
おそらく、周りが思っている以上に、この頭領はなにかを思い詰めている。根拠はない勘だが、そんな気がするのだ。
だから、一緒に行きたいと思ったのだ。
なにがユーレックにできるのかわからないが、もしも、危険なことがあれば、守らないと……。
この人は死んではならない。
死なせてはならない人だ。
よくはわからないが、ユーレックは心からそう思う。
「わかった。一緒に来い。俺の身の回りの世話をしろ」
ドピィは言った。
「はいっ」
ユーレックは、大きく頷いた。
そして、すぐにドピィの準備した魔道紙が地面に出現させた魔道紋の上に乗る。
次の瞬間、はらわたが捻れる感覚とともに風景が一変して、どこかの農村を思わせる場所に着いた。
周囲には田畠が大きく拡がっていて、たくさんの人がそこで働いていた。
目の前には大きな平屋の屋敷がある。
「ここはどこですか、ドピィ様?」
ユーレックは周りを見回しながら訊ねた。
「ガヤに近い農村だ。まあその中でも比較的大きなところだな」
ドピィは言った。
だが、ユーレックは驚愕した。
そんな遠くまで、一瞬で到着したかと思ったのだ。
「あっ、ドピィ様──」
その屋敷の前にいた家人のような三十歳くらいの男が気がついて、大きな声をあげた。
「久しぶりだな、コンラッド。名主殿に繋いでくれ。ドピィが頼みがあってやって来たとな」
「わかりました」
コンラッドと呼ばれた男が駆け去って行く。
随分と親しい感じである。
すぐに身なりのよさそうな老人がさっきのコンラッドとともにやって来た。数名のほかの人物と一緒である。
すると、がっしりとこの老人がドピィの手を握った。
「頼みと言われましたが……」
「ああ、ホーマー翁。みんなの命を貸してくれ。民のための尊き戦いの日が来たんだ──」
ドピィが言うと、ホーマー翁と呼ばれた老人が目を輝かせた。
「おお、ついに──。ドピィ様の活躍は聞いております。あの悪辣なクロイツの領主を殺し、領都を占領し、我らが出番はいつか、いつかと焦れておりました。ついに、出番が来たのですな──。我らの戦いのときが……」
「ああ、やって来た。この戦いに勝てば、我らの理想郷の時代がやって来る。戦いだ──。出動してくれ」
「もちろんです。やりましょう──。聞いたか、お前たち──。いよいよ、戦いぞ──。戦じゃ──。我らの世界を作るのだ──」
ホーマー翁は涙を流し出した。
ユーレックは、半ば唖然とした。
目の前の光景はなんだ?
この領内のどこかの農村だと思うが、もしかして、ドピィはそれに手を回して、すでに賊徒に引き入れている?
いや、そうなのだろう──。
よく考えれば、今朝の戦いのときだって、南王軍の兵糧の徴発に対して、それに毒を盛ったのは、徴発を受けた農民たちだ。
つまりは、この領内にドピィは、移動してきた賊徒団だけでなく、ほかにももともと定着している農民たちを味方に引き入れ終わっているということか?
すごい……。
「おう、ついに──」
「戦いだ──。尊き戦いだ──」
「おい、みんな──。尊き戦いのときが来たぞ──。戦だ──。戦の準備をしろ──」
周りの男たちも嬉しそうな大声をあげた。
すると、その声がどんどんと遠く拡がっていく。
「して、尊き戦いのときはいつですか、ドピィ殿──。行き先は──?」
ホーマー翁がドピィの手を握ったまま、感激の様子のまま訊ねた。
ドピィも手を握り返す。
「時はいまだ、ホーマー翁──。とりあえずの場所は、ガヤに近いゲーレという小村──。そこだ。とりあえず、出動できる者は向かって欲しい。ゲーレを占領してくれ」
「わかりました。ゲーレですな。数日前から王軍が兵糧を集めている様子。なるほど、そこを奪うのですな?」
ホーマー翁が頷く。
ゲーレという小村に兵糧を集めている?
だから、ドピィはそこを攻めよといったのか?
しかし、ドピィはちょっと意外そうに目を見開いた。
「王軍が兵糧を集積? ゲーレに? ……いや、なんでもない……」
ドピィは驚いている。
どう見ても、知っていて攻撃を指示した気配はない。しかし、すぐに、思い直したように、表情を装う。
「いかにも。なるほど……。わかりました。尊き戦いの最初は、連中の兵糧庫になりかけているゲーレ──。そこにいる農村の連中もわしらの味方ですからな。わしらが蜂起すれば、一緒に火の手をあげてくれるでしょう。あっという間に王軍を蹴散らしてみせます。数日前に王太女が入ったという話もありますが、まだ、勢力は手薄な様子。大丈夫です」
「王太女が?」
ドピィはまたもや、怪訝そうな顔になる。
ユーレックもちょっとびっくりした。
王太女って、あの王都にいる?
なんで、こんなところに?
「……まあいいか……。とにかく、ホーマー翁、ほかの仕切り役の農村にも声をかける。賊徒団も向かわせている。しかし、最初の火の手は農民だ──。我らの赤旗を掲げて、尊き戦いを始めよう──」
「おう──。ありがたき──。明日の朝には第一陣は出ます。息のかかっている周りの村にもすぐに伝令を出しましょう。尊き戦いの日がついにやってきたのですな──。わしらの国を……。わしらの……わしらによる……わしらのための国を……」
「おう、ホーマー翁──。民の国だ。王や貴族などいらん──。そんなものは殺してしまえ──。だが、蜂起は明後日だ。それまでは隠れてくれ。一斉蜂起は明後日だ」
「おう、おう──。承知、承知──。とにかく、尊き戦いが……」
ドピィの言葉に、ホーマー翁は感激したように涙を流した。
「頼むぞ、ホーマー翁──。とりあえず、ゲーレの小村を囲んでくれ。ほかの農村からも尊き戦いに参戦してくる。俺の下知があるまで攻撃はしないでくれ。それとこれを……」
ドピィが魔道の革袋から小さな包みを渡して、ホーマー翁に押しつけた。
「これは?」
「反結界という魔道の刻んである魔石だ。これをゲーレを囲んだときに、四周に埋めてくれ。これがあれば、村中の者が魔道で逃亡することも、あるいは、魔道で中に入り込むこともできなくなる。ほかの村からの隊にも同じものを渡す。この反結界でゲーレを囲んでしまうのだ。これについては、ひそかに明日にでも頼む」
「下知のとおりにします」
ホーマー翁が頭をさげた。
ドピィは満足そうに頷いた。
「よし、次に行くぞ、ユーレック」
ドピィがユーレックを向く。
そのときには、またもや移動術の魔道紙を出していた。
地面に移動術に紋様が輝きだしたので、ユーレックは急いでそこに乗る。
次の瞬間、まったく別の農村にいた。
「ここも、ガヤに近い山村だ。ここでも同じことをする。今日中に十箇所まわる。明日には、その倍はまわる。夜には騎馬隊に戻り、そいつらを率いてゲーレに向かう。ついてこれるな?」
「もちろんです。でも、やっぱり頭領はすごいですね」
「なにが?」
ドピィは一瞬、不思議そうな表情になる。
「だって、ゲーレという村に、あの王軍の兵站基地ができるということを見込んだのでしょう。侯爵夫人のことからなにかを悟られたのだと思いますが、素晴らしい洞察力です。そして、そこを最初に攻撃するのですよね。さすがは頭領です」
ユーレックは言った。
しかし、ドピィはちょっと困ったような顔になった。
「おう、もしかして、そこにいるのは、ドピィ様では?」
だが、そのとき、声をかけられて、ユーレックとドピィの会話は中断された。
やはり、ここも名主の屋敷らしき前であり、そこから誰かが飛び出してきたのである。
男の身なりはいいので、やはり名主なのだろう。家人らしき者も数名もつれている
「イワン、そのときがやって来た──。尊き戦いだ──。蜂起のときがきたのだ──。時は明後日──。最初の攻撃目標はゲーレだ──」
「ゲーレ……。ああ、あの王太女が入ったという……」
やはり、王太女が入ったというのは有名なのだろう。
向こうまでは情報が入らなかったが、こっちはガヤに近い場所だと言っていたので、情報がすでに伝わっているみたいだ。
「ああ、ゲーレだ。ほかの村にも声をかける。事前に渡していた武器を持って、ゲーレに向かってくれ。蜂起は明後日の朝だが、こいつはなるべく早く処置して欲しい」
ドピィは、さっきの農村のときと同様に反結界の刻みのある魔石の袋を相手に押しつける。
「これは?」
「反結界の魔石だ。これを可能な限りこっそりと、ゲーレの村の四周に密かに埋めてくれ。ほかの農村にも同じことを頼んでいる。数が多ければ多いほどいい。頼む──」
「もちろん、ドピィ様のご命令であれば……。詳しくお聞かせください。出兵のことも……」
男が袋を受け取りながら、大きく頷いた。